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*No.21 白い少女が嗤う。自分を嘲るように。 赤い少女が嗤う。自分を嘲笑するように。 怯えていたはずの少女が嗤う。不要なのは貴方なのだと。 迫る狂戦士の石斧。自分を取り巻く女たちの嗤い。 それが間桐慎二が見たはずの、最後の光景だった。 「っ……!はーっ、はーっ……!」 救いのないまま、目が覚めた。 荒い、乾いた息が漏れる。 目覚めた場所は寒風吹きさす新都センタービルの屋上。 慎二のサーヴァント、メドューサと衛宮士郎のサーヴァント、セイバーが死闘を繰り広げた地。 ……そして慎二は、敗北したはずだった。あの衛宮士郎に。 「違う…っ!違う違う違うッ!」 ありえない。間桐家の次期当主であるはずの自分が、衛宮士郎などに敗北するなどあってはならない。 (僕のせいじゃない!僕は悪くない!悪いのはライダーだ!あんなはずれサーヴァントじゃ勝てるわけないだろッ!?) だがあの神父は言った。『お前たちは聖杯に選ばれた』と。 間桐慎二の知る知識でもこの聖杯戦争が異常なものだとは分かる。 聖杯戦争中の真っ最中に新たな聖杯戦争を開始する? 教会の連中も好き勝手が過ぎるんじゃないか? だがこれは僥倖。魔術師として再び戦う機会が自分にも得られたのだ。 そしてなによりも右手に刻まれたこの三画の令呪…! 魔術師の証、聖杯に選ばれた証、サーヴァントの主たる証明! 妹から奪い取ったサーヴァントじゃない、本物のサーヴァントを自分は率いることができるのだ。 今度はあんな雑魚じゃない、僕に相応しい、優秀なサーヴァントが…! 「おいっ!さっさと出てこいよ! 僕に召喚されたサーヴァント!」 従者たるサーヴァントは常に主であるマスターの側に侍り、忠実な奴隷としてその用務を請け負う。 前回自分が率いたライダーは主人への奉仕以外にはなんの取り柄もない弱いサーヴァントだった。 だが今回は違う。そもそもあれは妹が召喚したサーヴァントなのだ。あの愚図でなにもできない妹に相応しいサーヴァントだった。 だからあの意気地なしに代わり、自分が戦ってやっていたに過ぎない。 しかし今回は正真正銘、間桐慎二に相応しい最強の下僕が手に入る! 「――……えっ?」 霊体化を解き姿を表したそのサーヴァントに、慎二は彼に似つかわしくない間抜けな声をあげた。 そびえ立つ巨躯、猛牛のように前へ突き出た鋭い角付き兜に巨大なマント、鋼鉄よりも頑強なのではないかと見紛う鍛えあげられた胸板。 目を合わせた瞬間に、そのサーヴァントが、圧倒的強者であることを、間桐慎二はなかば小動物めいた本能的直感で察知していた。 同時に流れこんでくるこのサーヴァントの情報も慎二の直感を立証している。 驚くことに魔力を除くほぼ全てのステータスがAランク相当。特に筋力ステータスと、彼の持ちうる一部のスキルにはプラス補正までが付いている。 そしてクラスはライダー。三騎士の一角ではないが、基礎能力値から見ても間違いなく優勝を狙える。まさに最強のサーヴァントだ。 「ほぅ……貴様がこの俺のマスターとなる男か……。答えよ、小僧。貴様の抱く野望をッ!!」 目の前に立ちはだかった巨漢の圧倒的な存在感。その筋骨隆々たる体躯、己以外の何者をも意に介さぬというオーラ。 体重100kg以上、身長2m以上。その掛け値なしに本当にでかい男に内心怖じながらも、間桐慎二は精一杯の虚勢と共に己の野望を宣言する。 「衛宮のヤツと…遠坂に一泡吹かせてやるんだよ! さっさと行けライダー! 僕をバカにしたあいつらを痛い目に合わせ――」 「愚か者がァッッッ!!」 言い終わるより前に、ライダーの一喝と共に空前絶後の衝撃が慎二の身体を吹き飛ばした。 ライダーはさしたる力もこめず、小虫でもはたき落とす程度の力で平手打ちをマスターへと見舞ったのだが、 彼のその一撃は強烈過ぎたらしく、慎二は華麗に宙を舞い地面へと落ちた。 「この俺を召喚したマスターの野望が、矮小なただの意趣返しだと!? 恥を知れいッッッ!  地より生を受けし男が抱く大望とは、天をも掴むものでなければならぬことも分からぬのかッッッ!!」 下僕であるサーヴァントに平手打ちをかまされ、ましてや説教までされるなど信じられぬことであった。 ぶち打たれた頬を抑えながら、主への反逆に唇を震わす慎二の憤りをまったくこのサーヴァントは意に介さない。 令呪――三つの刻印をひとつずつ消費して行使される、絶対命令権の使用が慎二の脳裏に過る。 だがすぐさまその考えを慎司は否定する。 『始まりの御三家』の一角、間桐によりもたらされた令呪の重要性は、間桐の次期当主と自負する慎ニはなによりも理解していた。 これを全て失えばこのサーヴァントは制御できなくなる。 そしてなにより、この令呪を全て消費してしまえば、やっと手に入れたこの魔術師としての証までも失ってしまう。 「クソッ…!やっと強いサーヴァントを引いたと思ったらこれかよ…!」 冷たいコンクリート塗りの床を慎二はその拳で打つ。 魔術師の家系に生まれた、選ばれたはずの自分がこの聖杯戦争では辛酸ばかり舐めさせられてきた。 常に勝利者である自分がである。 何もかもが上手くいかない。 目をつけていた遠坂に袖にされ、同じ参加者であった衛宮を同盟へと誘っても断られ。 あろうことかそいつが最優のサーヴァントと呼ばれるセイバーを引き当て遠坂と同盟まで組んでいた。 今度こそはと掴んだチャンスも、サーヴァントの性格に難有りという酷さである。 かくいうライダーはそんなマスターのことなど気にもせず、天へとその豪腕を掲げ咆哮する。 騎乗兵(ライダー)に当てはめられた自分を象徴する宝具を。己と共に世紀末を駆け抜けた愛馬の名を! 「黒王――――ッッッ!!!!」 そのけたたましい怒号と共に、暗雲に覆われていた空が真っ二つに裂けたのは慎二の見間違いであろうか? 天より駆け抜けてきた象と見紛うほどに巨大な黒馬の嘶きに慎二はへなへなと立ち上がりかけた腰を落とした。 「――行くぞ、小僧」 そんなマスターの首根をライダーはむんずと掴み、巨馬の背へと放り投げる。 「はぁッ!? 行くってどこだよ!?」 ライダー自身もまた鞍へと跨り、再び高々とその拳を空へと向ける。 「天へっ!!」 「意味ワカンネーよこのバカッ!! 」 世紀末を制した覇王もまた、この聖杯を求める戦いへと応じた。 混迷の世と同じく、再び拳王の嵐がこの戦いに吹き荒れる――。 【参加者No.21:間桐慎二@Fate/stay night】 【サーヴァント:ライダー(ラオウ)@北斗の拳】
*No.21 白い少女が嗤う。自分を嘲るように。 赤い少女が嗤う。自分を嘲笑するように。 怯えていたはずの少女が嗤う。不要なのは貴方なのだと。 迫る狂戦士の石斧。自分を取り巻く女たちの嗤い。 それが間桐慎二が見たはずの、最後の光景だった。 「っ……!はーっ、はーっ……!」 救いのないまま、目が覚めた。 荒い、乾いた息が漏れる。 目覚めた場所は寒風吹きさす新都センタービルの屋上。 慎二のサーヴァント、メドューサと衛宮士郎のサーヴァント、セイバーが死闘を繰り広げた地。 ……そして慎二は、敗北したはずだった。あの衛宮士郎に。 「違う…っ!違う違う違うッ!」 ありえない。間桐家の次期当主であるはずの自分が、衛宮士郎などに敗北するなどあってはならない。 (僕のせいじゃない!僕は悪くない!悪いのはライダーだ!あんなはずれサーヴァントじゃ勝てるわけないだろッ!?) だがあの神父は言った。『お前たちは聖杯に選ばれた』と。 間桐慎二の知る知識でもこの聖杯戦争が異常なものだとは分かる。 聖杯戦争中の真っ最中に新たな聖杯戦争を開始する? 教会の連中も好き勝手が過ぎるんじゃないか? だがこれは僥倖。魔術師として再び戦う機会が自分にも得られたのだ。 そしてなによりも右手に刻まれたこの三画の令呪…! 魔術師の証、聖杯に選ばれた証、サーヴァントの主たる証明! 妹から奪い取ったサーヴァントじゃない、本物のサーヴァントを自分は率いることができるのだ。 今度はあんな雑魚じゃない、僕に相応しい、優秀なサーヴァントが…! 「おいっ!さっさと出てこいよ! 僕に召喚されたサーヴァント!」 従者たるサーヴァントは常に主であるマスターの側に侍り、忠実な奴隷としてその用務を請け負う。 前回自分が率いたライダーは主人への奉仕以外にはなんの取り柄もない弱いサーヴァントだった。 だが今回は違う。そもそもあれは妹が召喚したサーヴァントなのだ。あの愚図でなにもできない妹に相応しいサーヴァントだった。 だからあの意気地なしに代わり、自分が戦ってやっていたに過ぎない。 しかし今回は正真正銘、間桐慎二に相応しい最強の下僕が手に入る! 「――……えっ?」 霊体化を解き姿を表したそのサーヴァントに、慎二は彼に似つかわしくない間抜けな声をあげた。 そびえ立つ巨躯、猛牛のように前へ突き出た鋭い角付き兜に巨大なマント、鋼鉄よりも頑強なのではないかと見紛う鍛えあげられた胸板。 目を合わせた瞬間に、そのサーヴァントが、圧倒的強者であることを、間桐慎二はなかば小動物めいた本能的直感で察知していた。 同時に流れこんでくるこのサーヴァントの情報も慎二の直感を立証している。 驚くことに魔力を除くほぼ全てのステータスがAランク相当。特に筋力ステータスと、彼の持ちうる一部のスキルにはプラス補正までが付いている。 そしてクラスはライダー。三騎士の一角ではないが、基礎能力値から見ても間違いなく優勝を狙える。まさに最強のサーヴァントだ。 「ほぅ……貴様がこの俺のマスターとなる男か……。答えよ、小僧。貴様の抱く野望をッ!!」 目の前に立ちはだかった巨漢の圧倒的な存在感。その筋骨隆々たる体躯、己以外の何者をも意に介さぬというオーラ。 体重100kg以上、身長2m以上。その掛け値なしに本当にでかい男に内心怖じながらも、間桐慎二は精一杯の虚勢と共に己の野望を宣言する。 「衛宮のヤツと…遠坂に一泡吹かせてやるんだよ! さっさと行けライダー! 僕をバカにしたあいつらを痛い目に合わせ――」 「愚か者がァッッッ!!」 言い終わるより前に、ライダーの一喝と共に空前絶後の衝撃が慎二の身体を吹き飛ばした。 ライダーはさしたる力もこめず、小虫でもはたき落とす程度の力で平手打ちをマスターへと見舞ったのだが、 彼のその一撃は強烈過ぎたらしく、慎二は華麗に宙を舞い地面へと落ちた。 「この俺を召喚したマスターの野望が、矮小なただの意趣返しだと!? 恥を知れいッッッ!  地より生を受けし男が抱く大望とは、天をも掴むものでなければならぬことも分からぬのかッッッ!!」 下僕であるサーヴァントに平手打ちをかまされ、ましてや説教までされるなど信じられぬことであった。 ぶち打たれた頬を抑えながら、主への反逆に唇を震わす慎二の憤りをまったくこのサーヴァントは意に介さない。 令呪――三つの刻印をひとつずつ消費して行使される、絶対命令権の使用が慎二の脳裏に過る。 だがすぐさまその考えを慎司は否定する。 『始まりの御三家』の一角、間桐によりもたらされた令呪の重要性は、間桐の次期当主と自負する慎ニはなによりも理解していた。 これを全て失えばこのサーヴァントは制御できなくなる。 そしてなにより、この令呪を全て消費してしまえば、やっと手に入れたこの魔術師としての証までも失ってしまう。 「クソッ…!やっと強いサーヴァントを引いたと思ったらこれかよ…!」 冷たいコンクリート塗りの床を慎二はその拳で打つ。 魔術師の家系に生まれた、選ばれたはずの自分がこの聖杯戦争では辛酸ばかり舐めさせられてきた。 常に勝利者である自分がである。 何もかもが上手くいかない。 目をつけていた遠坂に袖にされ、同じ参加者であった衛宮を同盟へと誘っても断られ。 あろうことかそいつが最優のサーヴァントと呼ばれるセイバーを引き当て遠坂と同盟まで組んでいた。 今度こそはと掴んだチャンスも、サーヴァントの性格に難有りという酷さである。 かくいうライダーはそんなマスターのことなど気にもせず、天へとその豪腕を掲げ咆哮する。 騎乗兵(ライダー)に当てはめられた自分を象徴する宝具を。己と共に世紀末を駆け抜けた愛馬の名を! 「黒王――――ッッッ!!!!」 そのけたたましい怒号と共に、暗雲に覆われていた空が真っ二つに裂けたのは慎二の見間違いであろうか? 天より駆け抜けてきた象と見紛うほどに巨大な黒馬の嘶きに慎二はへなへなと立ち上がりかけた腰を落とした。 「――行くぞ、小僧」 そんなマスターの首根をライダーはむんずと掴み、巨馬の背へと放り投げる。 「はぁッ!? 行くってどこだよ!?」 ライダー自身もまた鞍へと跨り、再び高々とその拳を空へと向ける。 「天へっ!!」 「意味ワカンネーよこのバカッ!! 」 世紀末を制した覇王もまた、この聖杯を求める戦いへと応じた。 混迷の世と同じく、再び拳王の嵐がこの戦いに吹き荒れる――。 【参加者No.21:間桐慎二@Fate/stay night】 【サーヴァント:ライダー(ラオウ)@北斗の拳】 ---- |BACK||NEXT| |020:[[No.20]]|投下順|022:[[No.22]]| |020:[[No.20]]|時系列順|022:[[No.22]]| |BACK|登場キャラ|NEXT| |&color(yellow){聖杯戦争開幕}|間桐慎二&ライダー|041:[[Imagine Bleaker]]| ----

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