無数の竜によって支配される牙城と化した『紅魔館』。
その二階の主の間にて、『王の座』を陣取るのは一人のスタンド使い。
獰猛な竜の群れを統べる帝王―――「ディエゴ・ブランドー」。
「参加者が一人か」
右腕の上には偵察役の翼竜が一匹止まっている。
紅魔館に近付きつつある参加者を発見したらしい。
軽装の男性が一人。武器らしきものは何一つとして装備していない模様。
本当に何も武器を抱えていないのか、あるいはスタンド使い等のように丸腰であろうと身を守れる術があるか。
報告された情報を認識したディエゴは思考する。
「のこのこと足を踏み入れてくるか… クク、ならばこちらも準備を行うとしよう」
ともかく、思案する彼が行うことは一つ。
己の牙城へと訪れる客人への持て成しだ。
不敵な笑みを浮かべる男は、傍らに立つ一頭の『肉食恐竜』へと静かに語りかける。
「客人サマは丁重に持て成してやらんとな… なぁ、シーザー?」
返ってきたのは意思在る言葉ではなく、理性無き獣の鳴声だった。
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
紅魔館―――1F、廊下にて。
「ほう…」
ギリシャの彫刻を彷彿とさせる肉体美を曝け出す一人の男が廊下を歩く。
男の名は「カーズ」。柱の男の一角であり、同胞達を統べるリーダーでもある。
彼が紅魔館に訪れたのは日中の拠点確保と更なる情報収集の為だ。
サンモリッツ廃ホテルで情報を手に入れた後、彼は早急に移動を開始したのである。
自らの脚による移動だが、柱の男の身体能力は吸血鬼をも上回る。
当然、疾走によるスタミナやスピードも人間とは比べ物にならないレベルだ。
故に然程時間を掛けることも無く夜明け前に辿り着く事が出来た。
あとは『幻想郷』及びその住民に関する情報を手に入れることが出来れば好都合。
出来れば書庫のような部屋を見つけたいものだ。
「成る程、窓は極力排除されているようだな」
彼は館内の廊下を歩きつつ、見慣れぬ芸術作品を審美しているかのような素振りで内装を見渡している。
エントランスと廊下以外にも幾つか部屋を訪れたのだが、この館には窓というものが殆ど存在しない。
僅かに見かける窓にも遮光の為の施しが為されており、館内の明かりの役目は証明が担っている。
盗み聞いて得た情報によれば紅魔館には吸血鬼が住まうとのことだが、この館内の構造を伺えば確かに合点が付く。
(外部からの光…すなわち日光。それを遮る為の対策が為されている。
『吸血鬼』が根城にするにはうってつけというワケだ。そして我ら闇の一族にとっても)
この紅魔館、人間の邸宅を改造したのか、あるいは当初より吸血鬼の邸宅として建造されていたか。
幻想郷の吸血鬼が石仮面で作り出したそれと比べて能力の差異があるのかは不明だが、
少なくとも凶暴性に身を任せて暴れるだけの連中よりはまともに考えられる頭を持っているらしい。
この館の主である吸血鬼『レミリア・スカーレット』。
どれほどの力か、一度この目で確かめたいものだ―――そう思っていた。
尤も、戦った所で自身が負ける筈も無いとも考えていたが。
「情報収集も兼ねて、このまま館内の見物を続けたい所だが…」
そう呟いていたカーズが、唐突に脚を止める。
彼が視線を向けた先―――それは天井。
外観以上に広大な空間を見上げたカーズの視界に入ったものは、紅い体色を持つ一頭の翼竜。
その身を保護色に染め上げ、まるでコウモリの如く天井に張り付いていたのだ。
「どこの連中かは知らぬが、覗き見とは良い趣味とは言えんなァ?」
口の端を釣り上げながら翼竜を見上げたカーズ。
天井に張り付く翼竜は何度か甲高い鳴き声を上げる。
騒がしく鳴き立てる翼竜を弾き落とそうとしていたカーズだったが―――
唐突にその動きを止める。
何かの気配を察知した。異様な温度差だった。
複数の『生命』がこちらへと接近してきている。
その数、30体前後。体温といい数といい、参加者とは別の存在であることは明白。
廊下の奥へと目を向けたカーズは、すぐさまその正体を知ることになる。
「…成る程、な。ずいぶんと荒っぽい持て成しを受けたものだ」
廊下の突き当たりの角より、複数の翼竜達が一斉に姿を現したのだ。
天井に張り付いていた翼竜はいわば『見張り』。
見張りの鳴き声―――言わば伝達と共に『攻撃部隊』が襲撃を仕掛けてきたのだ。
彼らは獲物を見つけた狩人の如く、カーズ目掛けて殺到する―――!
「面倒なことになったが、まぁいい」
ふぅ、と一息吐きながら翼竜達を見据えるカーズ。
彼の右腕より顕現した『刃』を構えながら、騒々しい持て成しを見据えていた。
「―――流法!『輝彩滑刀』ッ!!」
カーズの右腕より顕現した光の刃―――輝彩滑刀の流法。
柱の男が独自に編み出した戦闘技術のひとつ。
その一振りが瞬時に周囲を取り囲む翼竜達を切り裂く。
首を切断され、胴体や翼を引き裂かれ、翼竜達は次々と力無く地面へ叩き落ちていく。
(やはりこの生き物…文献で目にした事があるッ!このカーズが誕生するよりも遥か古代に存在していたという『翼竜』!)
カーズの思考を余所に、増援として更なる無数の翼竜達が現れた。
彼らは間髪入れずにカーズへと目掛けて次々と襲い掛かってくる。
ある者は正面から突撃、ある者は背後から強襲、ある者は側面から牽制――――
(こいつらはただ闇雲に襲いかかっているわけではない!
このカーズを確実に仕留めるべく互いに連携を取ってくるッ!
まるで獲物を狩るべく地を這うオオカミの群れのようにッ!)
一対多。単独の敵に対し徒党を組み、集団戦によって翻弄する。
単純明快ながら厄介極まりない作戦―――どれだけ力で勝ろうと、手数の差は大きい。
少しずつ対処が遅れ始めていくカーズの元に、更なる『影』が飛びかかる!
「URRRRYYYYYYYYYYーーーーーーーーーーーーッ!!!」
「―――チィッ!」
死角より姿を現した『新手』がカーズへと鉤爪による奇襲を仕掛ける!
カーズは咄嗟に振り返りつつ輝彩滑刀で薙ぎ払い、『新手』の攻撃を弾いたッ!
(今度は『恐竜』かッ!?それに今のパワーとスピード…!)
奇襲を仕掛けてきた『新手』の姿は今までの翼竜や恐竜とは明らかに異なるものだった。
肌を覆うのは爬虫類のような鱗と皮膚だが、その顔立ちは先程の恐竜と比べれば比較的人間に近い形状だ。
しかし裂けた口からは牙が覗き、両手からは獲物を刈り取る鋭い鉤爪を生やしている。
一言で言えば――――『恐竜人間』。
「ほう、俺の攻撃を生身で凌ぐとはな!大したものじゃあないか」
恐竜人間―――ディエゴ・ブランドーは、不敵な笑みを浮かべながらそう言い放った。
目の前に立つディエゴをキッと睨み、カーズは右腕の刃を構える。
柱の男の首領。恐竜の統率者。二人の『帝王』が、対峙する。
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においがする。
このDIOと同じ。
『奪う者』のにおいだ。
「………」
霧の湖の傍らにて。
邪悪の化身―――ディオ・ブランドーが見据えるのは『悪魔の館』。
湖内の小島に浮かぶ洋館を睨むように目を細める。
(妙な気配だ…。ジョースターとは違う…しかし、このDIOに近い『何か』があの館にはいる…)
彼が抱くのは奇妙な既視のような感覚。
あの館、地図で言う所の紅魔館とやらから不思議な気配を感じる。
「フフフ…奇妙なものだ。まるでこのDIOを引力で結びつけているかのような…」
そう呟く彼の胸中に込み上げるのは好奇心。
未知でありながら、自身と近いものを感じる存在への興味。
彼の血筋は『ディエゴ・ブランドー』の存在を感じ取っていたのだ。
尤も、DIOはそのことにまだ気付いてはいない。
彼にとってディエゴは見知らぬ存在なのだから。
故にDIOは限りなき興味と関心を抱く。
「…楽しみだ」
満月を見上げると同時に浮かべるのは不敵な笑み。
宵闇の帝王は、『恐竜の王国』への進撃を開始した。
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「URRRYYYYYY!!!!」
幾度目の交錯か―――凄まじい瞬発力と共にディエゴが瞬時に動き出した。
恐竜化した強靭な右足による回し蹴りを放ったのだ。
カーズは即座に左腕を構え、勢いよく迫る右足を防御。
右足を受け止められたことで僅かな隙が出来たディエゴに向けて右腕の刃を叩き込もうとしたが―――
「『余所見』は禁物だぜッ!」
「ッ!」
ディエゴを切り裂かんとしたカーズの後方より姿を現したもの―――それは『肉食恐竜』!
カーズよりも一回り大きな体格を持つ凶暴な肉食恐竜が襲い掛かってきたのだ!
咄嗟に回避しようとしたカーズだったが、ディエゴに意識を向けていたが故に完全に『一手』遅れてしまう。
そのまま牙を突き立てた恐竜は、カーズの左肩から背中に掛けて荒々しく獰猛に食らい付いたッ!
「KUAAAAAA!!!」
カーズの皮膚に鋭い牙が食い込み、出血と共に熱のような苦痛が走る。
そのまま食らい付いた肉を左肩ごと咬み千切るべく、肉食恐竜は更に顎に力を込めるが―――
「!? 待て、離れろッ!」
直後、ディエゴは即座に異変に気付く。
カーズの背を抉る肉食恐竜の牙が少しずつ皮膚へと『取り込まれている』。
まるで肉体と一体化するかの如く。まるで捕食者が獲物を喰らうかの如く。
肉食恐竜は、成す術も無く己が突き立てた牙からカーズの細胞に吸収され始める―――!
「ウバシャアアアァァ!!!!」
だが、それを妨害せんとするのは複数の翼竜達。
ディエゴの側から飛び出した彼らはカーズ目掛け次々と体当たりや嘴による攻撃を仕掛けてくる。
舌打ちと共にカーズは翼竜達を自らの流法で切り裂くも、その際に生じた隙によって抵抗をしていた肉食恐竜が肉体から離れてしまう。
床へと叩き落ちた肉食恐竜は苦しむ悶えつつも即座に起き上がり、体勢を立て直した。
(やはりこの肉体そのものにも制限が掛けられているのか?忌々しい…!)
カーズの胸中に込み上げていたものは疑問。
先程から薄々と感じていたが、肉食恐竜を取り込もうとした際に確信した。
どうやら柱の男の『補食能力』にも少なからず制限が掛けられている。
本来ならば波紋を使えない有象無象の生物など触れるだけで即座に取り込み補食する事が可能だ。
しかしこの場では、恐らくある程度意識して相手に触れなければ補食は出来ない。
吸収能力自体も幾らか弱まっている―――
「URYYYYYYYY!!」
「フン!やはりこのカーズに匹敵する程のスピードとパワー…だがッ!」
翼竜による妨害の直後、間髪入れずディエゴが肉薄するッ!
そのまま輝彩滑刀を構えたカーズは、ディエゴを迎え撃つべく鋭い眼光で彼を見据える。
そして、右手の鉤爪が振り下ろされる―――
「甘い!」
輝彩滑刀の刃がそれを弾く!
間髪入れずに左手の鉤爪が薙ぎ払われる―――
「甘い!甘い!甘いッ!!」
瞬時に腕を動かし、輝彩滑刀の刃で鉤爪を更に弾く!
直後に両手の鉤爪が剣舞の如く何度も振るわれる―――
「甘い!甘い!甘い甘い甘い甘い――――甘いわァァァーーーーーーーーーッ!!!」
迫り来る鉤爪をカーズは輝彩滑刀によって次々と捌くッ!
一つ一つの攻撃を冷静沈着に対処し続けるッ!
「『甘い』だと?」
カーズの迎撃と共に少しずつ押され始めるディエゴ。
チェーンソーのような刃を持つ輝彩滑刀と獰猛な恐竜の鉤爪。切れ味、殺傷能力共に前者が上であることは明白。
故に防勢へと入ってしまったディエゴの不利は確実だ。
しかし、カーズを見据えるその表情は冷静そのものであり―――!
「ギャアアアアーーーーz____スッ!!」
「――――ッ!」
瞬間、カーズの後方より獣の方向が再び響き渡る。
ディエゴと打ち合っている最中、先程吸収し損ねた肉食恐竜が背後より突進を仕掛けてきたのだ!
「邪魔だァッ!!」
カーズはすぐさま体勢を変え、輝彩滑刀による回転切りで肉食恐竜の身を瞬時に切り裂くッ!
肉食恐竜は絶叫と共に胴体から深紅の鮮血を吹き出す。
しかし、肉食恐竜の猛進はそれでも尚止まらないッ!
「グルルルオオオオオオ!!」
胴体の裂傷のダメージをも無視し、前足の鉤爪を振り下ろしてカーズの肉体を引き裂くッ!
もはやカーズの吸収能力を意に介することもなく、捨て身の如く攻撃を仕掛けてきたのだ!
それと同時にディエゴの側から現れた複数の翼竜達もカーズを妨害すべく突撃を開始する!
「チィッ!このカスがッ!」
掴み掛かってくる肉食恐竜の腹部にカーズが右肘の打撃を叩き込み、力尽くで吹き飛ばす。
肉食恐竜は紅を基調とした色彩の廊下を転がり、床を更なる紅へと染め上げていく。
そのまま突き当たりの壁に叩き付けられてぐったりと倒れるも、複数の翼竜達によるカーズへの攻撃は止まらないッ!
「ええい、ちょこまかとッ…!」
「甘いのは貴様の方だッ!カアァァーーーーーズ!!!」
輝彩滑刀と体術によって翼竜達に対処するカーズ。
その一瞬の隙をディエゴは見逃さない。
強靭な脚力から繰り出されるスピードの勢いを乗せ、右腕の鉤爪を振るったッ!
「―――ッ!」
翼竜の妨害によって対処が遅れ、咄嗟に輝彩滑刀で鉤爪を防ごうとする。
しかし出が遅れたことにより輝彩滑刀の防御を弾かれ、カーズの身に大きな隙が生まれる。
その瞬間、ディエゴは凄まじい瞬発力でカーズの零距離まで飛び込んだ!
「チェックメイトだッ!これで貴様はオレの――――」
勝利を確信したディエゴの口元が愉悦で歪む。
この一撃で、奴を『恐竜化』して支配する!
カーズの身を鉤爪によって切り裂くべく、全力で腕を振るおうとした―――!
ダ ン ! ! !
―――しかし、ディエゴの身体は轟音のような銃声と共に転倒し吹き飛ばされる。
突如彼の右肩を襲ったのは強烈な衝撃と激痛。
その際のダメージによって偶発的にディエゴ本体の恐竜化が解除される。
何が起こったのか理解も出来なかった彼は、漸く攻撃の正体に気付いた。
「チェックメイト?こちらの台詞だ、バカが」
それはカーズの指先から放たれたライフル弾による一撃。
事前に弾丸を取り込み、肉体を介して発射――――参加者の一人であるナズーリンを葬った能力だ。
懐に潜り込んだディエゴに右手の人差し指を咄嗟に向け、ライフル弾を放ったのだ。
柱の男の肉体があってこそ行える芸当をディエゴが予測出来る筈も無かった。
「人間が身に付けた波紋以外の技術…この恐竜化も奴らが言っていた『スタンド』の一つなのだろうな。
我々を手子摺らせるのはJOJOのような波紋戦士くらいのものかと思っていたが、見くびっていたわ」
右肩を抑え、跪いた体勢で身体を起こした『人間』のディエゴを見下ろすのはカーズだ。
カーズは両腕を組み、涼しげな表情で余裕を装い続けている。
とはいえ、彼もまた翼竜や肉食恐竜による攻撃で消耗し少なくない手傷を与えられている。
実際、あの恐竜達による集団戦は厄介極まりない物だった。
恐竜の群れの使役―――恐らくその本質は『生物の恐竜化』。この本体の若造もまた恐竜と化して戦っている所からそう推測した。
単純明快ながら、この殺し合いの場で数の利を得られることはかなり大きい。
それ故に彼は目の前の男に警戒を感じていた。『この能力者は早々に始末すべきである』と。
そして、カーズは即座に行動を開始した―――!
「切り刻んでやろうッ!」
右腕から『輝彩滑刀』を顕現させ、一気にディエゴとの距離を詰めるッ!
その刃はディエゴの首を刈り取るべく迫り来る!
「くッ――――!」
咄嗟に恐竜化してカーズの攻撃に対処しようとするが、間に合わない!
カーズは即座に肉薄し、ディエゴに反撃の余地を与えようとしなかったのだ。
そのまま輝彩滑刀の刃が、彼の首筋へと迫る!
「う、おおおおおおおおおおおおおッ!!!」
ディエゴは雄叫びを上げながら必死に刃を躱そうとする。
そんな抵抗も空しく、彼の首に輝彩滑刀の刃が触れ――――
「ほう、既に始まっていたようだな」
―――ディエゴの後方より、突如として一人の男が姿を現す。
最初に気付いたのはカーズ。
続いてディエゴが気配に気付く。
そして、現れた男は静かに呟いた。
「『世界“ザ・ワールド”』」
――――――
―――――
―――
――
―
「UUUUOOOOOOOOHHHHHHHHHHH!!!」
―――カーズには、何が起こったのか理解出来なかった。
『世界“ザ・ワールド”』という呟きが耳に入った直後、何発もの凄まじい衝撃がその身を襲ったのだ。
防御や回避をする間もなく吹き飛ばされ、先程の肉食恐竜が倒れ込んでいる廊下の突き当たりの壁へと叩き付けられる。
その衝撃によって壁が勢い良く砕け散り、カーズは夜明けを迎え始めた館の外へと放り出された。
同時に壁際で倒れていた肉食恐竜もまた壁が破壊されたことで外部の庭園へと転がり落ちる。
(な…何だッ!今『何』が起こった!?)
そしてディエゴにも、目の前で起こった事象を理解することが出来なかった。
カーズが新手の攻撃によって一瞬で吹き飛ばされた。それは解る。
しかし、『どうやって!?』新手の動きはディエゴですら視認出来なかった。
奴が『突然姿を現した瞬間』『スデにカーズが吹き飛んでいた』のだからッ!
「ほう。先程から感じていた近しい気配…君がその正体というワケか」
言葉を耳にし、ハッと振り返るディエゴ。
彼の背後に立っていた者―――それは、自身と瓜二つの顔を持つ男だった。
黄金色の頭髪。透き通るような白い肌。男とは思えぬ妖しき色気。そして圧倒的な威圧感。
余りにも異質だ――――ディエゴは『新手の男』に対し、底知れぬ警戒を抱いていた。
「このDIOと瓜二つの顔をしているとはな。フフフ、興味深いじゃあないか…」
対する帝王―――『DIO』は、笑みを浮かべながら両腕を組む。
「―――さて、君は一体どんな力を見せてくれる?」
その態度は傲岸不遜。絶対強者としての余裕に満ちている。
ディエゴは現れた男の顔に驚愕しつつも、歯ぎしりと共に咄嗟に立ち上がった―――
「『スケアリー・モンスターズ』!!」
「『世界“ザ・ワールド”』」
スタンドの名を叫び、ディエゴの肉体が獰猛な『恐竜』のモノへと変化。
同時にDIOもまたすぐ側にスタンドを発現させるッ!
「フフフフ、やはり君もスタンド使いか!面白い…来るがいい」
ディエゴが発現させた能力を目の当たりにし、DIOは確信を得たように笑みを浮かべる。
直後に彼はスッと背を向け、その場から走り出す。
スタンドを携えた状態で長い廊下を駆け抜けて始めたのだ。
一見すると逃走のようにも見える。しかし、その実ディエゴを闘いの場へと誘い込んでいる。
走り出したDIOを見据えていたディエゴは、カーズによって突き破られた壁の方へと一瞬目を向ける。
(チッ、シーザーはもう使い物にならないか…!)
崩れた壁の穴の付近で倒れている肉食恐竜を見て舌打ちする。
胴体から出血を繰り返しており、戦いに駆り出すには手傷を負い過ぎている。
故に肉食恐竜―――シーザーのことは捨て置いた。
あれだけの傷を負ったのだ。どのみち奴はもう使えない。
今は、あの男を追うことが先決だ―――!
恐竜化した強靭な両足が、緋色の床を勢い良く蹴った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
タダ俺ハ、戦ッテイタ。
『ディエゴ・ブランドー』ニ動カサレルママニ。
俺ノ胸ニ込ミ上ゲテイタノハ、憤怒ダッタ。
ソレハ『ディエゴ・ブランドー』ヘ向ケタ怒リダケジャナイ。
『目ノ前デ』『俺ト戦ッテイル男』ニモ、激情ノ矛先ハ向イテイタ。
何故俺ハあいツが憎イ?
何故俺は、目ノ前のアイツに怒りヲ覚えテイル?
俺は漸くソノ理由を思い出シタ。
敵ダから。
アイツが俺ノ敵ダッタからだ。
そうダ。俺ノ敵が、目の前にいる。
アイツは、俺が殺すベキ敵。
消してヤル。
アイツを、消してやる――――――!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「はァーッ………はあーっ………………」
紅魔館の敷地内、花や植物が手入れされている庭園にてカーズが立ち上がる。
あの『金髪の男』が現れた瞬間に吹き飛ばされ、その衝撃で壁を突き破り館の外部まで放り出されたのだ。
荒い息を整えながらカーズは紅魔館の壁に開いた人間大の穴へと視線を向ける。
「このままでは……夜明けが訪れてしまう……!」
そう、夜明けが―――闇の一族の大敵である『太陽』がじきに姿を現す。
今すぐに館内へと戻らなければ―――否。
己の肉体の消耗が激しすぎる。
のこのこと館の中へ戻った所で、あの二人のどちらかに狩られるのがオチだ。
その上、新手の能力は全くの未知数。下手に手出しするのは危険すぎる。
「………どちらにせよ……館へと戻ることは出来ないようだな」
そう呟き、彼が見据えた先は吹き飛ばされたことで突き破られた壁のすぐ側。
そこに見えたのは一つの『人影』。
あの場所で倒れ込んでいたのは『肉食恐竜』だった。
否、正確に言えば肉食恐竜に変えられていた『人間』だ。
あの男の能力は恐竜化。つまり、肉食恐竜の元となった人間がいるのだ。
それを裏付けるかの如く、『人の影』はゆっくりと立ち上がった。
「……フン……貴様だったとはなァ……。蘇らされて……生き恥を晒すとは、無様なものよ………ええ?」
カーズは目の前に立つ男へと視線を向けた。
胴体に大きな裂傷を負い、多量の血液を流しながらも尚、彼は立ち上がっていた。
「はァーーッ………」
男は呼吸を整えるように息を吐き出す。
彼が無意識のうちに行っていた『波紋の呼吸』がその命を繋ぎ止めていた。
竜にも似た皮膚。獰猛な牙。しかしその顔、体格は人間のもの。そして瞳には確かな『意思』が宿っている。
ゲーム開始前に付けられていた傷がごく小さなものであったこと。
ディエゴがスタンドパワーを少なからず消耗していたこと。
その上でディエゴとの距離が一定以上離れたこと。
制限とも言えるそれらの要因が重なったことにより、中途半端な形で彼の恐竜化が解除されたのだ。
「カー………ズ…………」
故に、彼は傀儡としてではなく『戦士』としてその場に立つ。
荒い息を吐きながら、目の前の『敵』を真っ直ぐに睨む―――
「カアアァァァァァァァアアァァァーーーーーーーーーーーーズッッ!!!!!!!!」
肉食恐竜―――否、波紋戦士『シーザー・アントニオ・ツェペリ』は咆哮する。
直後に両腕からシャボンカッターを生成し、カーズ目掛けて次々と放つ―――!
「ぬうッ!」
殺到する複数のシャボンカッターをカーズは咄嗟に回避。
シャボンランチャーを一度目にした程度の彼にとって、それは初めて見るものだった。
一ヶ月の修行を経て編み出し、戦闘の天才・ワムウとの戦闘においても猛威を振るった必殺技。
「殺傷力を増したシャボンランチャーというわけか…ッ!」
カーズは輝彩滑刀を右手に顕現させ、即座にシーザーへと接近すべく地を蹴る。
夜明けまで残り僅か。一刻の猶予もないッ!
兎に角、この男をすぐにでも殺さなければ――――
「―――MUOOOHHHHHH!!」
カーズが駆け出そうとした瞬間、突如両足のバランスを崩して転倒する。
先程躱したシャボンカッターがブーメランの如く戻り、後方からカーズの両足を抉ったのだッ!
その隙に間髪入れず再び放たれたシャボンカッターがカーズの肉体を次々と切り裂いていくッ!
「ぐ、あァッ……!」
「貴様は…ッ!この、俺が…ここで仕留めてやるッ………!!」
膝をつき、片手を地面につけ、苦痛に喘ぐカーズを鬼気迫る表情でシーザーが見据える。
命を燃やして練り上げた決死の波紋がカッターの傷を通してカーズの身を蝕んでいく。
その肉体は大きく消耗していた。ディエゴ・ブランドーとの戦闘、『世界』の打撃による着実は確実に彼の体力を奪っていたのだ。
「波紋!シャボン……カッタァーーーッ!!」
「させるかアアァァーーーッ!!!!」
再び放たれようとしたシャボンカッター。
それを妨害せんカーズは即座に左手を突き出し、指先から爆音と共に弾丸を発射するッ!
しかしシーザーはそれを俊敏な行動で咄嗟に回避。
そのままシーザーは一気に勝負を決めるべく地面を蹴り、カーズへと接近ッ―――!
「シーザー…!」
迫り来るシーザー。それを見据えるは跪くカーズ。
両足、胴体の至る所に波紋傷を負い苦しみ続ける柱の男。
だが―――その瞳から闘志は消えていない。
生への執念は、決して消えていないッ!
「シィィィィザァァァァァーーーーーーーーーーーーッ!!!!」
「山吹色の“サンライトイエロー”…!」
両足に波紋傷を負いながらもカーズは立ち上がり、迫り来るシーザーへと向けて駆け出す。
対するシーザーの右拳には、ありったけの波紋エネルギーが練り上げられている。
柱の男―――カーズ。
波紋戦士―――シーザー。
二人の戦士は、一気に互いの距離を詰める―――!!
「波紋疾走“オーバードライブ”――――――――ッ!!!!」
「UOOAAAAHHHHHHHHHHH!!」
一撃を叩き込んだのはシーザーの方だった。
渾身の波紋を帯びた彼の右拳が、突き出されたカーズの右腕に全力で叩き込まれたのだ。
絶叫を上げ、右腕を焼かれるカーズ―――彼の手首には輝彩滑刀が生成されていたが、それさえも波紋によって溶解する。
僅差でシーザーの打撃の方が早く届いたのだッ!
「勝った……ッ!」
シーザーは勝利を確信していた。
今の彼が練り上げられる全力の波紋を叩き込むことに成功したのだから。
カーズの右腕からは波紋の光が迸り、もがき苦しんでいる。
「終わりだアアァァァ!!カーズッ!!!!」
―――トドメを刺してやる。まさに今こそ、そのチャンスだ。
魂が震える。心が燃え滾る。
限界まで高ぶらせた精神は、彼の左手に迸る波紋を纏わせるッ!
奴を仕留める機会はこの瞬間しかない!
最後の一発をくれてやる!俺にとっての、全身全霊の波紋を――――!
「このまま貴様の全身を波紋で―――――ッ!!!!」
「いいや…………貴様の、負けだ……シーザー……ッ!」
――――ぐしゃりと、肉が抉られる音が響き渡る。
直後に溢れ出る水の如く、深紅の血液がシーザーの口から吐き出された。
唖然と口を開き、唐突に両目の焦点が合わなくなる。
館内の戦闘でシーザーが胴体に負った、輝彩滑刀による『裂傷』。
その傷口にカーズの左手が勢い良く抉り込まれていたのだ。
「フフ、フ……私の……勝ちだ………」
傷口から体内に侵入したカーズの左手。その指先がシーザーの心臓を掴む。
胴体の傷口からどくどくと血液を溢れさせる彼を、不敵な笑みを浮かべながら見据えていた。
彼は賭けに勝った。
波紋を叩き込まれた―――否、『わざと叩き込ませた』右腕は囮。
シーザーが接近し、波紋の打撃を放ってくる瞬間を狙ったのだ。
右腕に敢えて波紋を喰らわせ、シーザーが勝利を確信するであろう一瞬の隙を突いた。
言わば肉を切らせて骨を断つ。策士の彼らしからぬ乾坤一擲の勝負。
『夜明け』と『消耗』による危機を迎えていた彼は、敢えて博打に乗り出したのだ。
「あ、が……アッ…………」
傷口に手を抉り込まれ、血液で足下の地面を紅く染め上げるシーザー。
カーズと同様、彼の肉体も限界に近かった。
致命傷足り得る一撃により、波紋を練る力さえも奪われたのだ。
もはやシーザーの負けは決まったのだ。
―――勝利を確信し、『柱の男』は口の両端を吊り上げた。
「終わりだ、シーザー」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
視界が霞む。
意識が遠くなる。
身体から、力が抜けていく。
「終わりだ、シーザー」
『敵』の声が耳に入る。
目の前に、柱の男がいる。人類の大敵がいる。
しかし、俺の身体はもう限界だった。
「う……あ……ァ……………」
屈辱に歯ぎしりをするも、もはやどうすることも出来ない。
子供の頃の記憶が。貧民街時代の記憶が。そして、波紋戦士としての記憶が。
今まで体験してきた出来事、脳裏を次々と過り始める。
走馬灯、という奴なのだろう。
父さんはこの俺を息子と知らなくても、自分の命を犠牲にして救ってくれた。
じいさんもJOJOの祖父ジョナサンのために、波紋の力を与えて死んでいったという。
なのに、俺は。
屍生人を前に手子摺らされ。
あの男にまんまと利用され。
そして―――死を目前にしながら、何も出来ずにいる。
俺は、父さんの仇を討つ事すら出来ずに。
このまま、死ぬのか?
駄目だ。こんな所で、俺は。
何もせず、無様な姿であの世に逝くなんて。
JOJOやリサリサ先生に顔向けが出来ない。
そんなのは、嫌だ。
俺は―――誇り高きツェペリ家の男だ。
「無駄だ。貴様の命は終わったのだ、シーザー・アントニオ・ツェペリ」
悪魔の囁く声が響き渡る。
まるで足掻き続けようとする自分を嘲笑うかのように。
波紋すら練れない今の俺には、どうしようも出来ない。
次第に諦観を抱き始めている自分がいた。
「………ツェペリ………の…………魂……………は…………………」
『帝王』に翻弄され続けた戦士は、掠れた言葉を漏らす。
そして―――直後に己の体内で心の臓が握り潰された。
己の無力を呪い、ただただ無念を抱き続け。
彼の闘いは、終わりを告げた。
【シーザー・アントニオ・ツェペリ@第2部 戦闘潮流】死亡
【残り 72/90】
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紅魔館1階―――エントランスにて。
「WRRRYYYYYY!!!!」
「URYYEEEEEE!!!!」
恐竜化した拳とスタンドビジョンの拳が衝突する。
凄まじい勢いと衝撃によって地響きのような振動が発生し、互いに後方へと弾かれる。
「っ………はぁーッ……!」
「フフフ…大した実力じゃあないか。身体能力は我が『世界』に及ばないとはいえ、ここまで粘るとはな」
弾かれたディエゴは両足で辛うじて立ち、右肩を抑えながら呼吸を整える。
対するDIOは両腕を組み、余裕綽々の態度で言葉を紡いでいた。
万全の状態で戦っていたDIOに対し、ディエゴは疲弊した状態で邪悪の化身を相手にしているのだ。
カーズとの戦闘で体力を消耗しており、右肩には致命的な銃創を負っている。
幸い弾丸自体は貫通しているものの出血は未だに止まらない。
その上右腕を動かす度に傷口に苦痛が走り、思うように力を発揮出来ないのだ。
「『あの男』と死闘を繰り広げたばかりなのだろう?それでこれほどまでのスタンドパワーを発揮出来るとはな」
足下に転がり落ちた翼竜の死屍を踏みにじりながらDIOは言った。
右肩を抑える左の掌を血で滲ませ、ディエゴは歯軋りを続ける。
ディエゴとDIOの交戦はせいぜい数分程度のものだが、それだけでも互いの力量を感じ取ることが出来た。
故にディエゴは死闘を予想し、更にその身を構える。
しかし、DIOは組んでいた腕をゆっくりと下ろし始める―――
「おまけに声も顔も私とそっくりと来た…ますます君に興味が湧いてきた」
その言葉と共にDIOはスタンドを引っ込ませる。
唐突に構えを解いた彼にディエゴが一瞬呆気に取られるも、すぐに目を細めて睨み付ける。
「…ふざけているのか」
「巫山戯てなどいない。ただ私はこれ以上戦う必要がないと思っただけさ」
悠々とした笑みを浮かべるDIO。
ディエゴはそれを警戒するかの如く睨み続ける。
だが、現に目の前の男にこれ以上の戦意が無いことは読み取れた。
このまま勝ち逃げをされるのは屈辱の限り―――だが、ディエゴは自身の消耗が激しいことも悟っている。
故に戦闘の続行は厳しい。彼もまた構えを解かざるを得なかった。
「フフフ…飲み込みが早くて助かる。私は君の力を試してみたかったのだからね…」
そして、DIOは真っ直ぐにディエゴを見据える―――
「問おう。君の名は何と言う」
「………ディエゴ・ブランドー」
どこか不服げな態度で名を名乗ったディエゴ。
ククッと含むような笑みを零した直後、『帝王』は両腕を広げる。
支配者のような出で立ちを見せ、傲岸不遜な笑みと共に彼は言葉を紡いだ。
「我が名は『ディオ・ブランドー』――――さて、私と少々『話』をしてみないかね?」
【C-3 紅魔館 一階(エントランス)/早朝(放送間近)】
【DIO(ディオ・ブランドー)@第3部 スターダストクルセイダース】
[状態]:疲労(微小)、体力消耗(小)
[装備]:なし
[道具]:大統領のハンカチ@第7部、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに勝ち残り、頂点に立つ。
1:ディエゴ・ブランドーと対話する。
2:永きに渡るジョースターとの因縁に決着を付ける。手段は選ばない。空条承太郎は必ず仕留める。
3:幻想郷及びその住民に強い興味。紅魔館で情報を探す。
4:古明地こいしとチルノを『天国』に加担させてみたい。素質が無いと判断すれば切り捨てる。
5:優秀なスタンド使いであるあの青年(ブチャラティ)に興味。
[備考]
※参戦時期はエジプト・カイロの街中で承太郎と対峙した直後です。
※停止時間は5秒前後です。
※星型のアザの共鳴で、同じアザを持つ者の気配や居場所を大まかに察知出来ます。
※名簿上では「DIO(ディオ・ブランドー)」と表記されています。
※古明地こいし、チルノの経歴及び地霊殿や命蓮寺の住民、幻想郷について大まかに知りました。
※自分の未来、プッチの未来について知りました。ジョジョ第6部参加者に関する詳細な情報も知りました。
※主催者が時間に干渉する能力を持っている可能性があると推測しています。
【ディエゴ・ブランドー@第7部 スティール・ボール・ラン】
[状態]:疲労(大)、体力消耗(大)、首筋に裂傷(微小)、右肩に銃創(出血中)
[装備]:なし
[道具]:幻想郷縁起@東方求聞史紀、通信機能付き陰陽玉@東方地霊殿、ミツバチの巣箱@現実(ミツバチ残り70%)、
スロー・ダンサー@ジョジョ第7部(現在恐竜化して大統領に派遣中)、基本支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る。過程や方法などどうでもいい。
1:ディオ・ブランドーと対話する?
2:同盟者である大統領を利用する。利用価値が無くなれば隙を突いて殺害。
3:主催者達の価値を見定める。場合によっては大統領を出し抜いて優勝するのもアリかもしれない。
4:紅魔館で篭城しながら恐竜を使い、会場中の情報を入手する。大統領にも随時伝えていく。
5:レミリア・スカーレットには警戒しておこう
6:ジャイロ・ツェペリ、ジョニィ・ジョースターは必ず始末する。
[備考]
※参戦時期はヴァレンタインと共に車両から落下し、線路と車輪の間に挟まれた瞬間です。
※主催者は幻想郷と何らかの関わりがあるのではないかと推測しています。
※幻想郷縁起を読み、幻想郷及び妖怪の情報を知りました。参加者であろう妖怪らについてどこまで詳細に認識しているかは未定です。
※この時間より、ディエゴの翼竜が会場全体の情報偵察に飛び立ちました。特に紅魔館周辺の警備は厳重です。
○『ディエゴの恐竜』について
ディエゴは数十匹のミツバチを小型の翼竜に変化させ、紅魔館から会場全体に飛ばしています。
会場に居る人物の動向等を覗き、ディエゴ本体の所まで戻って主人に伝えます。
また、小さくて重量が軽い支給品が落ちていた場合、その回収の命令も受けています。
この小型恐竜に射程距離の制限はありませんが、攻撃能力も殆ど無く、相手を感染させる能力もありません。
ディエゴ自身が傷を付けて感染化させる事は出来ますが、ディエゴが近くに居ないと恐竜化が始まりません。
ディエゴ本体が死亡または意識不明になれば全ての恐竜化は解除されます。
また、『死体』は恐竜化出来ません。
参加者を恐竜化した場合、傷が小さい程ディエゴの消耗次第で解除される可能性が増します。
それ以外に恐竜化に関する制限が課せられているかは不明です。
その身から少しずつ血を流しながら、敗残兵は覚束無い脚を動かす。
悪魔の館―――紅魔館から逃げるように、男は何とか歩き続ける。
(…やれやれ、とんだ失態だ)
霧の湖の側、バンダナを巻いた金髪の青年が紅魔館へと一瞬振り返りつつ息をつく。
その姿はまさしく波紋戦士『シーザー・アントニオ・ツェペリ』のものだ。
恐竜としての痕跡は一切存在しない、まさしく人間としての姿を保っている。
しかし、もはやシーザーという男の意識は存在しない。
(まさか奴ら一族の『死体』を使うことになるとは…)
シーザーの肉体を支配していたのは柱の男『カーズ』。
彼はシーザーの死体の中へと入り込み、かりそめの肉体として支配していたのだ。
カーズは紅魔館を調査し、あわよくば拠点として利用することを考えていた。
しかしその目論みはあの恐竜の男、そして新手の男によって阻まれ、敗走する羽目になった。
かろうじてシーザーの肉体を手に入れることで日光を避ける術を手に入れたものの、波紋による手傷は無視出来ない。
波紋による重傷を負った自らの右腕も切り落とした。重傷を通じて波紋が伝達し、胴体や頭部にまで達することを避ける為だ。
その上シーザーの肉体の損傷も激しい。故に次の夜まで傷を癒すべく近場の施設へと移動を開始したのだ。
(今は兎に角、日光を避けられる施設を探さねば…この肉体とて何時まで保つか解らん)
荒い息を何度か吐きながら、波紋戦士の皮を被った柱の男は歩を進める。
歩き続ける中でカーズは夜明けを迎え始めた空へと目を向ける。
徐々に光が灯り始めた暁の空は、どこか眩ゆく感じられた。
【C-3 霧の湖付近/早朝(放送間近)】
【カーズ@第2部 戦闘潮流】
[状態]:疲労(中)、体力消耗(大)、右腕欠損、胴体・両足に波紋傷複数(中)、全身打撲(大)、シーザーの死体に侵入
[装備]:シーザーの死体(心臓欠損、胴体に大きな裂傷二つ、出血中)、狙撃銃の予備弾薬(5発)
[道具]:基本支給品×3
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る。最終的に荒木と太田を始末。
1:ジョースター邸か廃洋館に移動。体勢を立て直す。
2:どんな手を使ってでも勝ち残る。
3:この空間及び主催者に関しての情報を集める。そのために、夢美とパチュリーはしばらく泳がせておく。
時期が来たら、パチュリーの持っているであろうメモを『回収』する。
[備考]
※参戦時期はワムウが風になった直後です。
※ナズーリンとタルカスのデイパックはカーズに回収されました。
※死んだ筈のシーザーを目の当たりにした為、ワムウとエシディシの生存を確信しています。
※シーザーの死体の体内に侵入し肉体を乗っ取っています。
日中でも行動出来ますが損傷と失血が激しく、長時間の使用は不可能でしょう。
最終更新:2015年06月13日 22:52