No.10


『 俺 は 世 界 を 壊 し 』

暗闇の中で意識が覚醒する。
いや、暗いのは瞼を閉じている所為か?
酷く身体が億劫でまるで自分のものではないかのようだ。
意識し、重い瞼を開けてみる。

「…ッ!」

差し込む光に目が眩む。
それほど長い間、自分は眠っていたのだろうか?
ゆっくりと眼を光に慣らし、
周囲に眼を配る。
どうやら自分は玉座に座ったまま、
うたた寝してしまっていたらしい。

「お目覚めですか?」

声が聞こえる。
視線を声のした方へ向け、
そこに跪く一人の騎士を
ぼんやりとした意識で眺める。

「俺は…」

先程からどうもおかしい。
何かを失念している。

「貴方はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア陛下。
 私は貴方に仕えるべく召喚された、
 ガウェインと言う者です」

金髪の騎士が丁寧に頭を垂れる。

「ガウェイン…」

騎士の名前を反芻する。
それは奇しくも自分の乗機と同じ名称。
それを思い出すのと同時に
意識が完全に覚醒する。

「いや、如何いう事だ!?
 俺はあの時にスザクの手によって―」

「えぇ、死にました」

動揺し、立ち上がりかけた身体が
騎士の言葉によって脱力し、
力無く玉座に座り込む。


「何が起きているのか、
 説明して貰おうか?」

覚悟の上、親友の手に掛かり、
愛する妹の手の温もりの中で終わりを遂げた。
その筈だった。
だが薄れ行く意識の中、
何かに導かれるように扉に手を掛けた。

それが最期の記憶。

「正確に申しますと貴方はまだ死んではいません。
 “死の直前にある”と申し上げるのが正確ですね」

騎士の言葉にルルーシュは眉を顰める。
だが騎士が落ち着いた口調で言葉を続ける。

「今、ここに居る貴方は魂を現世での肉体から切り離し、
 肉体を聖杯によって再構築された存在です。
 貴方が感じる肉体の虚脱感は魂がまだ馴染んでいないからでしょう」

騎士の言葉にルルーシュは思考を巡らせる。
魂という概念を受け入れるのは難しかったが、
理論上、受け入れるのが一番納得がいくのだから
それは仕方がない。
そもそも自分にはギアスやCの世界という
超常の存在を認識した過去があるのだ。
『無い』と断じ切る事など出来はしない。
だが、それでも納得がいかない事がある。

「その聖杯とやらが俺を生かす目的は何だ?」

その問いに騎士は考え込み、
重く口を開いた。

「聖杯には目的はありません。
 貴方が生かされたのは、
 貴方がそれを望んだからでは?」

泣き叫ぶ妹。
祈る緑髪の魔女。
永遠に仮面を被り続ける親友。

「…俺の未練か」

残したつもりは無かった。
全てを受け入れた筈だが、
生存への欲求は何処かにあったのだろう。
それを聖杯は汲み取ったという事か。

「フ…フフフ……フハハハハ!!」

笑いが込み上げる。

「生を望みますか?」

騎士が問いかける。
答えなど端から決まっている。

「下らんな」

騎士の問いかけを一蹴する。

「俺は自らの意思で全てを遂げた。
 今更、第2の生など望む心算も無い。
 今、ここにこうしているのも
 一時の惑いの内に過ぎない!」

既に叶える望みは全て叶えた。
今更、他の手を借りて叶える望みなど在りはしない。

しかし、

「その聖杯とやらは気にいらないな。
 壊さない限り繰り返される可能性もあるという事か」

自分の中の拭いきれない未練を
いつまでも掘り返されるのは気に入らない。
ならば、いっそ綺麗に失くしてしまえば良い。

「聖杯を壊した時、貴方は死ぬ事になる。
 それでも構わないのですね?」

騎士がルルーシュへ最期の確認を取る。
それをルルーシュは鼻で笑い、

「撃っていいのは撃たれる覚悟のある者だけだ。
 俺は自分の責任から逃げる気はない」

ルルーシュの言葉を聞いた騎士が満足そうに微笑み、
自らの剣を掲げる。

「我が剣は忠義の剣。
 貴方を我が主と定め、
 我が命を貴方に捧げると誓う!」

その光景を不思議そうにルルーシュは眺める。

「死ぬ者の為に捧げる剣とはな…
 貴様もつくづくと変わっている」

その姿に親友を、
そして最期まで自分に仕えた
忠義の騎士の姿を重ねる。

「貴方の定めた道は確かに王の道。
 騎士としてこれほどの誉れはありません」

ルルーシュの皮肉めいた言葉も意に介さず、
騎士は跪き、臣下の礼を取る。
やれやれといった様子で立ち上がり、
王は騎士の剣を受け取った。

それは全てが終われば無に帰す泡沫の夢。
だが、刻まれし思いは世界を象る。

『 世 界 を 創 る 』

【参加者No.10 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュ】
【サーヴァント:セイバー(ガウェイン)@Fate/Extra】




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