ややこしい計算はいいからとりあえずいろいろやってみたい人はこちらへ→レイアウトの調整2
レイアウトを組んでいるとき、既存の1/4レール、1/2レールでは調整できない間隔で接続したくなるときがある。その場合、直線を斜めに置いたり、カーブをS字に置いたりして調整することにより調整できることもある。ここでは複線幅を調整することを事例に考え方を見ていく。
課題
図のとおり、ターンアウトから出た線路をY字ポイントで合流させようとした場合、複線幅(Y字ポイントの幅の半分)の調整が必要となる。
この幅は、残念ながら1/4レールで調整できないため、斜めに直線レールなどをいれた組合わせによる調整が必要になる。
計算で導く場合の基本的な考え方
今回の事例では、縦方向については基準点が直線レール長間隔であるので調整は必要ない。むしろ、ずらさないための配慮が必要になる。
目標は、回って帰ってくる線路が60mm手前にもどってくることである。1/4レールの長さは54mmなので、1個を横に入れた場合には、6mmの差がある状態である。
斜めに一つ入れたとしよう。今回は上下方向にはレールをずらしたくないので、左右対称に入れることになる。一ついれてずれる間隔は、
54×2×1×√2/2=76.367mm
2つ入れると、
54×2×2×√2/2=152.735mm
少しもどしたいので、下の直線部に1/4レールを1ついれると
152.735-54×1=98.735mm
1/4レールを2つ入れると
152.735-54×2=44.735mm
結局、斜めにn個、下の直線にm個入れた場合のずれをAとすると、
A=54×2×n×√2/2-54×m
=54×(√2n-m)
=54×(√2n-m)
で表すことができる。
なお、プラレールのアプリでは厳密に合わせる必要はなく、おおよそ合う範囲にすれば、接続と判定されるので、数ミリ程度の範囲で候補を探すこととする。
n、mの候補をしらみつぶしにあたっていけばいいのだが、少々めんどうなので、Excel等の計算シートを使うこととする。
nの候補を簡単に探すために、剰余(mod関数)を利用する。
エクセルのセルに
=MIN(MOD(sqrt(2)*54*n-60,54),54-MOD(sqrt(2)*54*n-60,54))
を入力する。
エクセルのセルに
=MIN(MOD(sqrt(2)*54*n-60,54),54-MOD(sqrt(2)*54*n-60,54))
を入力する。
nをどこか適当な列から代入する形にして並べると結果は次のとおりとなる。
-2個の場合の3.26mm差、5個の場合の2.16mm差 が候補になりそうである。 -2個というのは、下側に2個入れた場合と解釈してほしい。
斜めに1/4を5個(直線と1/4)を入れた例
下側に1/4を2個(1/2レール)を入れた例
カーブのS字を含める場合の応用
カーブは縦方向に√2/2、横方向に(1-√2/2)ずれ、進行方向を45度曲げる。連続してS字に設置した場合には、2-√2横にずれることになる。直線の斜めのみを用いた場合よりも、より多くのバリエーションが得られることになる。
今回は上または下のカーブにS字を組み込んだ場合のずれの接続例のみを示す。
今回は上または下のカーブにS字を組み込んだ場合のずれの接続例のみを示す。
上のターンにS字を入れた例
下のターンにS字を入れた例
既知の接続事例を当てはめる場合
複線幅の折り返しについては、接続例がわかっているので、複線幅で折り返しになるようにレールを組めば簡単につなげることができる(少々複雑になるが)。もし可能であれば、点対称や線対称に注意してレールを足したり引いたりしていけば、形を整えられるかもしれない。