衆 - 大蔵委員会 - 36号 昭和24年05月19日


政府委員 大藏事務官(主税局國税第二課長) 山本菊一郎君

川島委員 
 政府並びに與党は、総選挙を通じて経済九原則の遂行とともに、勤労所得税の免税点の引上げ、取引高税の撤廃等、大衆課税の軽減を公約して來た。しかるに昭和二十四年度の予算案の内容を見るに、公約の内容は何ら果されていないのみか、さらに課税は多くなろうとしている。
財源の主体たる税は本來直接税たるべきであり、間接税、消費税はその本質上勤労者の負担を大にする大衆課税であり、かかる大衆課税を財源の主体となすときは、勤労者は一方的犧牲を強いられ、一部資本家が利益を得るばかりで、明らかに不公平な徴税方法と言わなければならない。
ここにわれわれは、税制の根本的改革の上に、直接税を主体とする高度累進所得税法を制定せられ、大衆課税を撤廃せられんことを請願するという趣旨であります。
山本(菊)政府委員 
 ただいまの御請願にございました
間接税と消費税の関連の問題でございますが、確かに間接税は一般的に轉嫁をされますので、そのかけようによりましては、非常に大衆課税的なことになりがちであるということはお説の通りでございます。
しかしながらただいまの日本の國民経済の実情等から見ますと、なかなか所得税その他の直接税だけで行くということは困難な状況でございまして、むしろある程度間接税に財源を求めざるを得ないというのが、今の多少機構的に遅れております日本の國民経済としては、やむを得ないところであろうかと存じます。從いましてそのような意味におきまして、國民の生活必需物資的な性質の比較的低うございます品物に対して物品税を課しましたり、また酒、タバコに対しまして相当高い税金を課しておるような状態でありまして、他面所得税に対しまして累進課税をするという考え方は、確かに一つの議論であろうと思いますけれども、ただいまの所得税は相当累進が強くなつておりまして、頭を打つておるという感じもなきにしもあらずと考えられるのであります。從いましてこれを要しまするに、御説はまことにごもつともであるように拜承いたしますけれども、ただいまの日本経済の実情からいたしますと、ある程度間接税を併用して行かざるを得ない。またその方が実情に即するのではないか。かように考えておる次第でございます。

最終更新:2013年07月23日 15:17