潮血潮--熱い血のルーツ--3


 停学になって二週間、ようやく折り返し地点って所か……。

 上級生殺害事件の後も番長四天王の内部抗争は続いている。

「色々と解らないことだらけだな」

 考えても仕方ない、とりあえずは停学期間も残り二週間、この間に決着を付けないとな。

 潮が動き出したその頃、番長四天王内部抗争は終結に向かおうとしていた。

「これで終わりか……」

 番長四天王が一人にして内部抗争を起こした主犯、黒鋼鉄(クロガネ・テツ)と、

「とりあえずはね♪」

 番長四天王の紅一点にして至高の性倒錯者、飛九龍(フェイ・クーロン)。

「流石は四天王のNo1とNo2ね、内乱から終結迄の動きが見事ね」
「"鬼姫災禍(オニヒメ・サイカ)"か……」

 そこへ現れたのは潮とぶつかった女性だった。

「貴方達のお陰でこっちの仕事は楽だったわ♪」

 そう言って上機嫌の災禍に対し、黒鋼は彼女を見据え、

「俺達が動かなくとも貴様一人で事は運ぶだろう」
「確かに、災禍は"転校生"なんだし私と鉄じゃなくても大丈夫だったんじゃないの?」

 この問い掛けに災禍は笑いながら応えた。

「それだと面白く無いからね〜♪」

 四天王内部抗争を要約すれば、今回の潮による上級生暴行事件を発端に、兼ねてから四天王の在り方に意義を見出だせずに居た黒鋼と九龍が内乱を画策、そこへ学校から依頼を請けて暗躍する災禍がタイミングよく便乗してたのだ。

 それぞれの思惑が交差し一つの大事件となっていたのだが、この時はまだ知らない。

 潮の暴走っぷりが災禍を始め、黒鋼と九龍の想像を凌駕している事を。

 その頃の潮は……

「こいつで終わりか?」

 番長四天王の一人、男殺し(性的な意味で)の天野は驚愕していた。

「な、たった中坊一人に私の兵が全滅……」

 仮にも四天王の一柱にしてその私兵達だ、中には魔人能力者も居たが、潮の得意とする喧嘩殺法と先手必勝の不意打ち。

「やっぱ魔人も大した事無いね」
「不意打ち紛いで偉そうに………」

 じりじりと互いの間合いを詰めて行く潮と天野。

「お前は私の能力を知らない」

 男殺しの天野、その能力は………

「私の魅力で男を魅了(チャーム)するのっ」

 天野が話し終える前に、潮は金属バットを振り抜いていた。

「"俺"は"女"だ!!」
「な、何ぃ………」

 天野のリアクションが余程腹立たしかったのか再度バットを降り下ろした。

「ギャース!!」
「うっせぇ〜糞ホモオカマ野郎!!」

 その通り、男殺しの天野はバリバリのオカマだった、そして………

「なんで俺より女らしいんだよ(怒)」
「ギャー--ス!!!!!!」

 これがトドメとなり、天野は行動不能になった。

 今になりここに来た理由を思い出す潮。だが時既に遅く、情報を聞き出せる相手が居ないのだ。

「おい、起きろオカマ!!」
「うぅ〜……凶暴ぺちゃん娘(こ)」

 何かムカついたんで一撃食らわしてみた。そして誰も喋れなくなった…。

「やっちまった……」

 こうして又、真実へと遠退いた潮だった。

「何だこのオチ……」

〜〜〜〜〜<完>〜〜〜〜〜



最終更新:2013年06月22日 08:59