探偵Gの事件簿~せいきの大泥棒編~ガゥ☆


ここはダンテ探偵事務所。今日も今日とて仕事はなく、私は仕事の一つである掃除をしているのだった。
クラシックなメイド服に着替え気分もバッチリ!
つーッ
「あらここにもこんなに埃が!良子さんちゃんと掃除をしてくださる?」
くるっと回って移動!
「す!すいません義母様!今すぐに綺麗にしますので!」
くるっ!と回って立ち位置を元に。
「ンまっ!貴方に義母様と呼ばれる筋合いは……」
トゥルルルルルルルル
あら電話です。とととと電話の元に行きガチャっと受け取って
「はい、こちらダンテ探偵事務所です!」
うーんまさしく助手!ですね!
「いいいいE子さんですか!?」
この声は学校の後輩である十薬シブキさんです。
「あ、シブキさん。そんなに焦ってどうしたの?」
「E子さん助けて下さい!友達の……友達のココちゃんが!」


メイド服のまま急いでシブキさんに言われた公園にいくとおどおどとしたシブキさんとシーツをまとった虎子さんが!
「何があったの!シブキちゃん!」
「ココちゃんが……切られてるんです」
虎子さんとは虎耳虎柄のグローブと虎ずくしに染まったまさに虎になった女の子なのです。
明るくてでも賢くて、快活で気兼ねなく話せる良い子なのです。
ちなみに私の名前は良子なのです!私も実は良(い)子なのですよ!
「そんな!虎子さんは無事なんですか!?」
「ココちゃんは怪我無いんですが……大事なものがなくなっているんです!」
どどどどういうことなの!?
「これは事件の予感がするな!」
にゅっと出てきたのはダンテさん!いつの間にか探偵服に着替え右手にはパイプのようなものも構えています。
「どういう状態だったのか教えたまえ雌犬ぼっちビッチ」
相変わらずダンテさんはひどい事を他人に言います。
「わわわわ、私のことですか?」
「お前以外に誰がいる雌犬ぼっちビッチ」
「ひいぃぃぃ」
シブキさんが怯えています!流石にこれは物申さないといけません!
「ダンテさん!シブキさんは私や虎子さんがいるんですよ。友達の居ないダンテさんの方がぼっちじゃないですか!
それに、ビッチというのは雌犬の事を指すのですよ?それだと重言になってしまいます!」
「やかましいぞこのクソ雌豚淫乱ビッチが、それより早く状況を教えたまえ」
この人全く反省していません!
「ココちゃんとは始業式の最中に話しかけられた頃からの付き合いで、今日も虎子ちゃんと遊ぶ約束をしていたんですけど、いつまで立っても約束の時間にこないのでおかしいなあと思って家に行ったら……身体中切られた痕だらけで倒れてたんです!」
「そうだったのガゥかーガゥ☆」
虎子さんが心配そうに話を聞いています。
あれ?虎子さん?
「虎子さん無事なんですか!?」
「無事ガゥ☆」
あざとい猫のようなポーズを取る虎子さんに驚く私に向かってシブキさんが補足します。
「あっ、切られた痕はあったのですが切り傷はなぜか一つもなかったのです」
ダンテさんが確認します。
「けがなかったということか?」
「はい、けがありませんでした。ですが、その、おまたの部分にも何も無かったのです!」
シブキちゃんが言っちゃったと呟きながら顔を真っ赤に染めてしまいます。可愛い。

「まんこがなかったのか」
「ほ、本当だ!……ガゥ☆」
虎柄パンツを脱ぎながら虎子ちゃんが自分で確認しています。
って、ここは公園です!そんなことはしちゃいけません!
いや、見せちゃいけないものは付いてないので問題ないのでしょうか?不思議です。
「ふむ、面白い。本当になくなっているではないか」
とパイプのようなもので虎子ちゃんの股間をぽんぽんと叩きながらダンテさんが興味深げに言います。
「ダンテさん!やめてください!」
「ふむ、これは恐らく……何者かにまんこを盗まれたのだ!」


「盗まれたって、それに何者かって誰ですか?」
「それを探すのが俺たちの仕事だろう。おいこの……なんて呼べば良いのかわからんな」
男の子でも女の子でもない虎子さんにダンテさんはどう接すればいいのかわからないようです。
困ってる姿は珍しいですね。くすくす
「ええい!この虎キチ阿呆め捜査の基本だ昨日の行った場所を教えろ」
「昨日は……転校生のマリアちゃんのところで壁を借りて修行をしてたガゥ☆」
このマリアちゃんというのは真壁マリアさんのことかな?
人を遠ざけてるタイプの子なのによく修行に付き合ってくれましたねえ。
「なるほど、よし!真壁のところに行くぞ!」「行くガゥ☆」


というわけでやって来ました真壁さんのお家!
失礼かと思いましたけど私にはダンテさんと虎子さんを止めることは出来ません。
「真壁マリアはどこだ!」
ダンテさんは家の前で大声で読んでいます!恥ずかしいのでやめてください!
ですがそれ以上に大きな声がするのです!
「ヤァーッ!」
「あそこから声がするぞ、あっ、あっ!ウッ……ふぅ、あれはなんだ!」
ダンテさんが何かを見つけたようです。
そこには思いもよらない光景が広がっていました!
それはともかく歩きながらのオナニーはやめて欲しいです。

「ヤァーッ!」
そういうと人10人分の高さはありそうな壁を一気に壊しているのは紛れもなく同級生の斧寺春さんです。
「次の壁をお願いします!」
「も、もう勘弁してください」
そう転校生のマリアさんは涙目で懇願しています。いや、もうすでに泣いているかもしれません。
壁に囲まれた場所が好きな子なのですが壁を作っては片っ端から壊されていてとても可哀想です。
「あ、あれは虎子ちゃん!良子さん達もどうしたんですか。一緒に特訓します?」
「増えた……うあぁぁあぁぁぁあん!」
気づかれてしまいました。
そして、もう限界だったのかマリアさんは走り去ってしまいます。お達者でー
「虎子ちゃん大丈夫だった?」
斧寺さんが尋ねます。
「ふぅ……やはり貴方が昨日……」
ダンテさんは斧寺さんがいるということを薄々わかっていたみたい?
「はい、昨日私と虎子ちゃんは一緒に修行をしていたのです」
そして斧寺さんは昨日起こった事を話し出しました……


――
実は虎子と斧寺は週に三回修行と称して色々な物を壊していた。
最近は真壁マリアの下で修行を熱心に行っている。
「ヤァーッ!」
ドカーン
「ガゥ☆」
どかーん
「真壁さん!次お願いします!」
「ひぇぇええぇぇ……」
怯えながらもお願いされた真壁マリアは壁を作り続ける。かわいそう。
そしてそれを壊しながら二人は自分の力の限界を感じていた。
「くっ……このままじゃ番長達には勝てない!これがわたしの限界……いや、壁!……壁なら壊せる!」
そう斧寺春の能力は壁を壊す能力!
自分の限界という壁すら壊せるのだ!
それに気がついた斧寺は斧を自分に向け……
ズパッ!!
自分を切り壊したのだ!
そして、それを見ていた虎子もまた自分に限界を感じていた。
「このままじゃ私はパパみたいになれない……」
そうして何かを決心したような表情で斧寺の方を向く。
「春ちゃん……!お願い……私の限界も壊して!」
「虎子ちゃん……ダメです、失敗するかもしれません。失敗したらどうなるか……」
「いいの……ガゥ☆春ちゃんならなんでも任せられるから」
「……虎子ちゃん震えてますよ。本当にいいのですか?」
「お願い!決断が揺るがないうちにはやく!」
「虎子ちゃん!!!」
――

「そうして性器と共に性別の壁を壊されてしまったのか……」
衝撃の事実に唖然とする皆に斧寺さんは頬をかきながら、
「ちょっと間違えちゃいました!」
と照れています。
渦中の虎子さんは、
「限界も壊れたから結果おぅらいガゥ☆」
と嬉しそうにぴょんぴょんとあざとくジャンプしながら喜んでいるのでいいのでしょう。
そして、シブキさんも宣言します。
「わわわ私も……わたしもココちゃんと一緒に修行します!」

それらをかたわらで生気のない顔でつまらなそうに見ながらダンテさんはこう呟くのでした。
「はーあ、こんな事件じゃあ骨折り損の分だけ請求しないとな」
「けがなくて良かったガゥ☆」
どっとはらい。



最終更新:2013年06月21日 03:31