熱血直情系女子-潮血潮-続編


『熱血(バーニン・ブラッド)!!』

潮がそう叫ぶと彼女の頭頂部から吹き出していた血が瞬間的に炎に変わり

眼前のイカれた敵、フジキに襲いかかる。

が、それはフジキの居た空間を焼き払い、文字通り空を切った。

「一度タネが明かされた能力に怖いものなんてありませんよ」

そう不敵に、狂気に口角をあげるフジキにさらに怒涛の追撃をかける潮。

しかしフジキの言葉どおり、当たる気配はない。

「クソッタレがああああああ」

興奮と力みのあまり頭頂部からの出血はさらに激しさを増し、炎の勢いは増大していった。

「ダメですよ、潮さん、あなたの能力は有限なのですから、そんなに興奮されると、ほら」

そう言うや否や、潮は激しいめまいと寒気を感じた。

魔人といえど肉体そのものは普通の人間と変わらず、そのメカニズムも変わらぬ者がほとんどである。

人間の血液は500ml流血すればめまいや冷感を感じ、1500ml流血すれば意識混濁を起こすと言われている。

先のモヒカンとの戦いからの連戦により、潮の体内の血液量はそれをはるかに超える量を消費していた。

魔人となり、血液を消費して戦うスタンスゆえ、流血になれていた潮といえどそのまま戦いを

続けるのは困難なほど体内から失われていた。

「さぁてあなたの芸は見飽きました、そろそろ次の標的を応援しにいかないといけないのでそろそろ

 ここで終わりとさせてもらいますよ」

そういうと懐から十分に手入れされているであろう、太鼓のバチを取り出した。

「生・・・徒会の・・・・クソ・・・が」

もはや呂律も回らなくなるまで消耗しきった潮だがその両の目はぎらりと眼前のイカれた敵をはなさなかった。

「これにて応援終了です!」

そう、言い終わると両手のバチを潮に振り下ろした。

「・・・ッ」

潮はぎゅっと目をつぶった。

しかしいつまで経っても降りてくるはずの衝撃がこない。

もはや霞んでほとんど見えない目をゆっくりと開けるとそこには大きな背中があった。

相馬 結城の背中であった。

「ごらあああああ!!! お前ええええええ!!! なにしてんだあああああああ!!!」

巨躯を震わせ、怒号が響き渡る。

一方のバチは相馬の額、もう一方は左手に握られていた。

相馬結城の額から鮮血が流れるも、その巨躯はまったくどうじていない。

「相馬か!しかし俺の能力は内部に響き・・ブフ!」

突然フジキの体はトラックに弾き飛ばされたように横にはじかれた

「うちの潮ちゃんに何してるのよ!」

と足をぷるぷるさせながらも叫ぶキヤウの姿があった。

キヤウの能力『ものすごいいきおいでくそがとぶ!』で石を射出したのだ。

常人ならば動けないほどのダメージを負っているのであろうが、やはり魔人

脇腹を抑えながらもフジキは立ち上がる。

「魔人二人となるとさすがに分が悪い。今日のところはここで引き上げますよ

 せいぜいハルマゲドンまで伸びた命、大事にしてくださいね」

そういうとフジキは走りさってしまった

潮は霞む目のみがフジキを追うことができた。

そしてもっと強くなること、もっと冷静になることを強く想いつつ

意識は闇に溶けていった。

to be continue...



最終更新:2013年06月17日 06:27