『真壁ロゼ子、発つ!』


西暦20XX年、某日。

「お、お頭大変だァー! 俺達の†聖戦†~G-HARD~の舞台に突如として壁が立ってしまったァー!」
「ほんとだァー! 俺達の†聖戦†~G-HARD~が……俺達の†聖戦†~G-HARD~が……!」
「くそっ、俺達の†聖戦†~G-HARD~を邪魔する人間とは一体……」
「俺達の†聖戦†~G-HARD~への介入者……それは転校生な気がしてならないぜ……」
「なるほど転校生か……それなら俺達の†聖戦†~G-HARD~を汚すのにも納得がいく!」
「「「だがそれでも、俺達の†聖戦†~G-HARD~は決して諦めないぜ!!」」」


奮い立つ、戦士達。

俺達の†聖戦†~G-HARD~(俗称ダンゲロスハルマゲドン)。
それは濡れタオルで互いの首の骨をへし折り合うような、正真正銘の殺戮遊戯。
例え堅強な壁に阻まれようと、彼等の意志は、頑なに一つであった。
故に安寧の時は、今ここに破られよう――。


◆◆◆


「壁!? そ、それ本当!?」
「ガバガバガバ、ガバガバ!」
「そして番長グループ有志による索敵の結果、その壁の中に転校生とおぼしき生体反応が見られたことがわかったんだね!?」
「ガバ!!」

希望崎学園、東棟屋上。
晴れ渡る青空の下、購買部のパンを頬張る少女が二人。
片やウインドブレーカーを着込んだ絶壁少女、片やマンコがゆるゆるの15mのビッチ(後頭部より下のうなじにかけての縦1m幅10cm辺りに性感帯がある)である。

絶壁少女、真壁ロゼ子は考える。

(二勢力間を繋ぐ渡り廊下を塞ぐ壁……一瞬でそれだけの規模の障壁を作れるのだとしたら、それは恐らく壁使いの公算が強い)
(そして、今の好戦ムードに水を差すようなこのタイミング、この配置……)

――真壁マリア。
ロゼ子は、程なくして行方知れずの妹へと辿り着く。
そう、きっとあの子だ。あたしたちの家族が、生きている!

パンを緑茶で流し込み、立ち上がる。
見上げれば、青空には一条伸びるロケット雲。

掌を掲げ、
握り込む。

満足げに、にこやかに。
真壁ロゼ子は拳を見据え、その手応えを確かめる。

「……マンコゆるゆる女(※1)ちゃん。あたし、決めた!」
「ガバガバ?」
「番長小屋に連れて行って。あたしも、戦うよ!」
「ガバー!! ガバッガバッ! ガバガバガバガバガバガバガバ!!」
「うん。一緒に頑張ろう!」

真壁ロゼ子、番長グループ所属戦闘員。
転校生・真壁マリアの、お姉ちゃんである――。


※1…前述したマンコがゆるゆるの15mのビッチ(後頭部より下のうなじにかけての縦1m幅10cm辺りに性感帯がある)の名前である。ガバガバガバ!



最終更新:2013年06月19日 00:54