128 - 参 - 地方行政委員会 - 2号 平成05年11月02日


鎌田要人君 
 政府税調のお立場等につきましてはここで論議するのはあるいは適当でないかと思いますが、政府税調は、私の自治省税務局長時代の経験からいたしましても、国の財政は非常に熱心でありますが、地方財政、地方税制についてはおまけみたいな気持ちでやっておられた時代があります。今日はそうでないことを確信いたしますが。
 その中で、特に政府税調の今回の審議の中で直間比率の見直し、これが中心課題であるというふうに伺っておるのでありますが、地方税の場合の直間比率、これを見ますと、地方税の間接税比率は年々減ってきまして今や一〇%程度だと思いますが、今後の地方税制の安定的な発展を考えてまいります場合に大いに問題がある、もう少し地方税の間接税比率を高めるべきじゃないかという意見を持っておる者の一人でございますが、この点につきまして大臣の御意見をお伺いいたしたいと思います。
国務大臣(佐藤観樹君) 
 委員御指摘のように、直接税が九割ということになっておりますから、景気の波に財政が左右されるという度合いが非常に強いということでございます。しかし、一方、地方公共団体がやる事業というのは福祉の問題にいたしましても生活の周りの問題でございますから、これはいわば安定的に財源がなければできない事業ばかりでございますので、そういった意味では、地方税制のあり方自体、直間比率の見直しということは大胆に考えていかなきゃならぬ。そうしないと、安定的に住民の皆さん方の生活、福祉、環境その他のもろもろの要求を実現していくことができないと言っても過言ではないと思うわけでございます。
 したがいまして、今、税調の方で御審議はいただいておるわけでございますけれども、そういった視点に立って、地方の自主財源、特に間接税についてもバランスがあるものということを、それは必ずしも即地方消費税という意味じゃなくて考えてもらう必要がぜひあると思うわけでございます。
 私は、今委員から御指摘ありましたように、また御質問の中にありましたように、どうも国が中心という、国税が中心というのは率直に言って抜け切れていないなと。今や日本国自体の経済を支えているのは国と地方がいわば車の両輪であり、かつ事業量からいえば七割五分地方自治体が担っているということからいいますと、このことをちゃんとしないと国自体が極めて健全性と申しましょうか大きく進んでいかないということでございまして、実は税務局長もいろんな機会を通じまして、今御指摘のように、地方税のあり方そのものにつきまして委員各位の御理解をいただくように懸命に頑張っておるところでございます。
鎌田要人君 
 全く同感でございます。
 そこでお伺いいたしたいのは、明年度の
地方税制改正に関連いたしまして地方六団体から地方消費税創設の要請が出ております。
これは御存じのとおりだろうと思います。私といたしましては、地方税源の充実確保を図る見地からもこれは必要だと思いますし、また地方自治の観点、さらには高齢化の進んでおる地方自治体が圧倒的に多いわけでございますので、そういった観点からもこの考え方は非常に正しい、いいアイデアだと思うわけでございますが、この点についてどう大臣として受けとめられ、これが実現を図っていこうと考えておられますのか、お伺いいたしたいと思います。
国務大臣(佐藤観樹君) 
 今、税調で議論されていることにつきまして、答申が出れば細川総理同様答申を尊重するのは当然だと思っておるわけでございます
 委員御指摘のように、住民税を含めた所得税減税あるいは消費税率のアップという問題も出ておるわけでございますけれども、その中で消費譲与税を地方消費税ということで単独財源にしたらどうだという意見も出ていることも私たちも承知をしております。また、御指摘のように、地方関係六団体の方からたくさん私も要請書、陳情書等もいただいておるわけでございます。
 そのことも十分承知をしておるわけでございますけれども、消費税そのものに対します最終的な取り扱い方につきましてはいろいろ議論があるわけでございますので、それはさておきまして、やはり地方分権という大きな流れ、そして今の景気の状況、あるいは減税財源という観点から申しましても、地方消費税というのはどういうふうにあるべきかということにつきましていろいろな角度から十分議論されること、このことは非常に重要なのではないか。
 消費税導入時にいろいろ議論されましたが、結果的には御承知のとおり消費税という形で入っておるわけでございますけれども、これから地方分権の大きな流れの中で、自主財源という立場から地方消費税ということにどういう問題があるのか、いろいろな角度から議論されることは、非常に重要な時期に来ているだけに大事なことではないかというように私は考えております。
鎌田要人君 
 この地方六団体の要望の中にもありますが、地方消費税の問題については、地方六団体としてかねてから主張しておられたわけですね。それで、国税として消費税をつくりますときに、消費譲与税という形で譲与税化が図られたわけですね。このときにかなりの議論があったことは御案内のとおりです。ただ、私は譲与税というのはやはり経過的な措置であって、基本的には地方消費税として個々の団体が取れる、これがやはり基本。まさにその点においては、大臣のおっしゃる地方自主財源の強化ということにマッチする一番手っ取り早い方法だと思うんですが、その点重ねてお伺いいたしたいと思います。
国務大臣(佐藤観樹君) 
 今申しましたように税調の答申自身が出たわけではないものですから、出るであろうものを想定して最終的な物を言うのはいかがかと思いますけれども、いずれにいたしましても、一つは減税するにしても、あるいは地方分権を支える自主財源という観点からも、いかにあるべきかを考えなきゃいかぬこと。それからちょっと踏み込み過ぎかもしれませんけれども、地方消費税の議論のときに納税者としての手間の問題、あるいは税源が地域的な偏在をしないかとか、いろいろ言われたわけでございます。その辺の問題についても広く皆さんの中でも議論されることというのは非常に重要なのではないかと思っておるわけでございます。
 いずれにしましても、私たちとしましても税調の推移を見ながら、ただ重要なことは何をやるにいたしましても、私特に自治大臣の立場からいえば、地方の自主財源ということを支えにしなければ地方分権も委員御指摘のように進まないわけでございますから、そのことは十二分に頭に置きながらひとつ対応させていただきたいと考えております。
西川潔君 
 そこで、各自治体が地域の特性を生かし、より充実した福祉行政を行うためには使途について制限を受けない一般財源の十分な確保が必要であると思います。しかし、最近の税収不足に加えまして、所得税減税とあわせて住民税の減税の実施が緊急課題として浮上してきたわけですが、そのことによる地方独立財源の減少が心配をされております。
 先日、午前中も大臣がおっしゃっておられますが、地方六団体が地方分権の観点からも地方税の充実が必要であるといたしまして、国税である消費税の二〇パーを地方に譲与する消費譲与税を廃止いたしまして独立の地方消費税の創設を政府税制調査会に求められました。自治大臣としては、この要望に対してどういうふうにお考えでしょうか。
国務大臣(佐藤観樹君) 
 きょう何度か御答弁をさせていただいたわけでございますけれども、まだ税調の完全な答申が出ているわけではないわけでございますけれども、税調答申が出たとき、細川総理も言われておりますように、私たちもそれを重く受けとめるというのが自治大臣という立場で当然だと思っておるわけでございます。しかも、減税財源にとか、それからこれから起こってまいります高齢化、国際化あるいは社会資本整備という需要がどんどんふえていく中で、各位からお話ございましたように、各自治体が独自性、特色を持ったものにということになりますとやはり地方単独事業なり独自財源ということが非常に重要になっていくわけでございますので、そういった意味で私たちといたしましても、税調に対しましてぜひ地方の独自財源というものを十二分に考えてもらいたいということをいろんな立場で申し上げておるわけでございます。
 さて、地方消費税の問題につきましては、六団体の方から、あるいはもう各地方団体の方から大変たくさんの要望書をいただいております。消費税そのもののあり方についてもいろいろと議論があることは御承知のとおりでございまして、逆進性の問題を初めいろいろ問題があることは御存じのとおりでございます。その問題はさておきましても、とにかく地方分権の後ろ盾となります地方財源と独自財源というものを確保するという観点から、我々としてもこの税調の答申というものに非常に注目をしていくというのが現時点で言えることかと思いますけれども、いずれにしろ、財政需要が非常に地方といたしまして多くなる中で、地方の独自性発揮あるいは自主財源という観点からぜひ我々としても注目をしてまいりたいというのが現時点で言えることだと思っております。

最終更新:2013年09月15日 15:42