日興利益供与


142 - 衆 - 予算委員会 - 4号 平成10年01月19日
石井(一)委員 
自民党の新井将敬代議士は、昨年二月まで約一年半にわたって、大手証券会社日興証券から、株などの違法な一任勘定取引で利益を受けていたということが明らかになっております。
新井代議士は、昨年十二月二十二日、みずから記者会見を行いまして、口座の開設と不正取引の事実を認めております。
利益について日興証券の担当者に問い合わせたところ、不正な方法で利益を提供されていたことが初めてわかった、このように言っております。
 自分の知らないうちに証券会社が勝手に利益を提供した。与党の国会議員、大蔵省出身、大蔵関係の委員会に携わっていた新井氏になぜ利益が供与されたのか、その意図をはっきりさせる必要があると思います。
 手口は、四大証券会社を巻き込んだ総会屋事件と同じで、いわゆる利益のつけかえにすぎません。総会屋への利益供与事件は、本人だけでなく、証券会社経営陣が相次いで逮捕されるという業界ぐるみの問題になっております。
 また、これに関連して、大手証券会社に一万近いVIP口座が存在するということが伝えられております。政治家や高級官僚が、証券取引法で禁じられておる一任勘定取引を大手証券が受託し、特に有利な商品を割り当て、もうけさせているのではないかという疑惑が起こっております。新井代議士の事件はその一つが表面化したにすぎない、こう申しても過言ではないと思うのであります。
 新井代議士は利益を要求したことはないと言っておりますが、これを信じる人がおるでしょうか。それならば、なぜ新井氏だけが利益を提供されるのか。一般の顧客は何も受けていない。この株安の時期に、どれだけの人々が今泣いておるか。原資は一億円であったという。一年半の間に四千万をもうけたということが新聞に報道されております。
 こんなことをやっておって、政治に対する不信、政治家に対する不信というものはどれだけ大きなものになるか。証券市場に対する信用性、透明性というものはどのようになっていくだろうか。金融のビッグバンを進めるのなら、こうした不明朗な事件をまず真相を解明し、けじめをつけるという必要があると思います。
 私は、総理がこの問題に対してどういうお考えを持っておられるのか、御見解を伺いたい。
橋本内閣総理大臣 
 まず、冒頭申し上げたいこと、これは、法に反するようなことがあるならば、当然ながら当局は厳正な対応をするものと考えておりますし、その意味において私は捜査当局を信頼しているということであります。
 そして、国民の政治不信を払拭するために、政治家が常に自戒し、襟を正さなければならないという点では、議員の御指摘を私はそのとおりに思います。そして、明らかにされなければならないこと、それは、適切な場で、政治家みずからの立場で明らかにすべきものだと思っております。
 そして、議員よく御記憶のように、海部内閣の大蔵大臣在職中、損失補てんということから、いわゆる証券不祥事というものが起こりまして、そして、私自身の当時の秘書の軽率な行動もあり、私は責任をとって、第一弾の防止策を講じて、その職を辞しました。そのとき、こうした不祥事がなくなるような体質を証券業界がつくってくれることを心から願っておりました。
 しかし、総会屋への利益提供というものがまず発覚し、その中に補てんが出てきたり、あるいは大手証券会社の中で簿外資産の債務と化したものが出てきたりというような報道を聞くにつれまして、一たん戻りかけた証券市場への投資家の信頼というものが崩れることを本当に心配しておりました。
 今御指摘を受けましたような問題が事実であるのかどうか、私自身承知をしておるわけではございませんけれども、これ以上市場の信頼を失うことの事件の相次がぬことを本当に祈るような思いであります。
石井(一)委員 
 大蔵当局は、日興証券の担当者に対して、この問題がどうなっておるのかということを事情聴取しておりますか。いかがですか。ほっておるのですか。政治家のことだからさわらないということでほっておるのか。日興証券の、それはMOF担もおれば、いろいろおるでしょう。どういう状況かということを聞いておるのかどうか、簡単にお答えいただきたい。
長野政府委員 
 証券会社をめぐります法令違反等の事実があるかどうかにつきましては、証券取引等監視委員会におきまして、司法当局と連携をとって常時監視しておるものと考えます。
石井(一)委員 
 あれをもって、いわゆる典型的な官僚答弁なんですね。もう政府委員なんて要らぬですよ。大臣、副大臣でやるべきですよ。そういうことを我々は提案しております。そういう答弁なら出てこなくていいですよ。
 法務・検察の当局にお伺いをしたいのですが、これは確かに証券取引法違反の疑いがあると思いますけれども、そして関心を持って対処すべき問題だというふうに思いますが、どうお考えになっておるか。総理の先ほどの回りくどい御答弁をも含めて、御答弁をいただきたい。しかも、官僚答弁でなく、簡潔にお願いしたい。
原田(明)政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘のケースを含めまして、さまざまな報道がなされ、また国会でも広い角度から御論議されていることは、検察当局としても十分承知していることと存じます。
 ただ、検察当局が証拠に基づきましてどのような事件につき捜査するかという点につきましては、検察当局の判断に任せる面がございます。そういう点で、私どもとして、政府委員の立場であらかじめ、どのようなケースについて捜査すべきか、あるいはしているというようなことについては申し上げることができない点をどうぞ御理解いただきたいと思います。
 しかし、事実に基づきまして、まさに検察当局としては法と証拠に基づき今後とも適正に対応していくものと考えております。
石井(一)委員 
 金融の不安とその危機が最大の政治問題になっておるこの国会で、金融問題が中心で論議をされておるこのときに、今回の事件をあいまいにしたままで国会審議、法案審議に応ずることはできません。
 私は、本委員会に、まず第一点、新井氏を証人として喚問し、真相と政治的、道義的責任を明らかにするように要求したい。総理がおっしゃっておったように、そういう事実はなかったということを政治家の見識として明快にしていただきたいということ。
 さらに、第二点は、この問題に関するパートナー、日興証券の担当責任者を国会に招致して、この席で国民に明快に真相を明らかにしてほしい。
一億の金をつぎ込み、隠し口座、仮名口座で四千万が入っており、それがぬくぬくと入っておる。
政治資金としての届け出はどうなっておるかという問題もあるでしょう。
 そうして、第三点として、私は総理にお願いを申し上げたいですが、与党の最高責任者として、行政の最高責任者として、金融の問題を議論するのであれば、このことに対して、司法に任せてあるというのでなしに、みずから積極的に調査をし、それを国民に報告するぐらいの誠意はあっていいんじゃないですか。
 私は、第一点、第二点を委員長から、第三点を総理から御答弁いただきたいと思います。
松永委員長 
 新井氏の証人喚問の申し出、それから日興証券の担当者の喚問の申し出、いずれも理事会で協議をすることにいたします。

142 - 衆 - 予算委員会 - 6号 平成10年01月21日
岩國委員 
 自民党の新井代議士が日興証券から四千万円の利益供与を受けておった。一年四カ月の間に四千万円。その間に株式市場が約二割下がっていることを考えますと、一億円に対して六割の大変な運用成績であります。これは、ごく自然になったとはとても思えないわけでありまして、六千万円のそうした不当な利益供与が日興証券の犠牲において行われたとみなさざるを得ないと思います。
 これについて、日興証券を業務監督しておられる大蔵省として調査はされましたか。また、新井議員に対してどのような調査をされましたか。調査をしておられるかどうか、それについてお答えいただきたいと思います。大蔵大臣。
長野政府委員 
 証券市場におきまして違法な行為があるか否かにつきましては、証券取引等監視委員会が調査をすることになっております。四大証券につきましては、昨年来さまざまな調査、捜査当局の手にまでわたった事案があったことは御承知のとおりでございますけれども、そういった全体の調査がなお継続されておると承知いたしております。
谷口委員 自由党の谷口隆義でございます。
 本日は、金融機関の不良債権の問題、また金融二法の問題、また現下の大変厳しい雇用状況の問題等々についてお伺いをいたしたい、このように考えております。
 まず初めに、この一月の十九日に野党の側で、御存じのとおり、新井将敬議員の証人喚問の問題を申し入れたところでございまして、本日、そのことにつきまして御回答がございました。
 その回答を見ますと、
「日興証券社長金子昌資氏については参考人招致に応じる。 新井将敬君については、その状況をふまえ検討する。」
というもので、全く無回答に近いものであります。さらに、民間人を呼んで国会議員の証人喚問をはぐらかすというようなやり方は、これは極めて認められるものではない、到底認められるものではない、このように強く申し上げたいと思います。
しかも、自民党の金融政策に関与されておったこの新井将敬議員でございますので、その新井将敬議員が証券業界から便宜供与を受けておったということでございます。
今国会は、政治倫理の確立に加えて金融問題が最大の焦点でございます。その中で、新井将敬議員は、いやしくも日興証券から便宜供与を受けた議員であり、国民の批判はすさまじいものがございます。
 国会は、国民の声を反映し、その事実を究明する義務があり、その立場から、新井議員の証人喚問を求めているものでございます。この要求を無視するということは、民主政治の根幹そのものを揺るがすものと言わざるを得ない、このように考えております。橋本総理が民主政治を守り、政治倫理を正すとの決意があるならば、新井議員の証人喚問に応ずるべきである、このように強く思う次第でございます。
 したがって、この補正予算審議終了までに新井議員の証人喚問を行うべきであると考えるわけでございますが、総理の御見解、御決意をお伺いいたしたいというように思います。
橋本内閣総理大臣 
 まず、党としての立場でお答えを申し上げますならば、一昨日、党の執行部に対し調査を指示したことを冒頭申し上げたいと存じます。
 その上で、現在理事会において御論議が行われており、今理事会は休憩というふうに伺っており、協議中のことであります。私は、これに対して内閣の立場から物を申すことは控えるべきであると存じます。
佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 質問に先立ちまして、一言申し上げたいと思います。
 野党が一致して要求をしておりました新井将敬議員、金子日興証券社長の証人喚問について本日自民党の回答がありましたが、残念ながら事実上のゼロ回答でありまして、本補正予算の中心問題として、現在、金融支援三十兆、この問題が審議されておりますけれども、審議の基本として、政官財癒着の真相解明というのが絶対に必要である、このことを強く要求をいたしたいと思います。

142 - 衆 - 予算委員会 - 9号 平成10年01月30日
古屋委員 
 自由民主党の古屋圭司でございます。
 本日は、金子、浜平両参考人におかれましては、わざわざお越しをいただきました。感謝を申し上げたいと思います。
 本日の参考人質疑は、もう連日新聞報道等で国民にもよく話題になっておりますいわゆる日興証券の問題でありまして、きょうは、私と、この後で鈴木議員が質問させていただきますが、私は、その日興証券事件でも特に新井議員に関係する部分につきまして、質問をさせていただきたいと思います。
 御承知のとおり、この参考人質疑は、本日のように、こうやってテレビあるいはラジオが入っておりまして、国民が注視をいたしております。そして、その目的は、やはりこの事件の真相を語っていただく、それが一番の目的でありますので、ぜひ偽りない事実を率直にお話しいただきたい。そうでなければ、この参考人質疑をやる意味がございません。
 また、金子社長におかれましては、証券業界を代表する社長さんのお一人でございまして、そういった意味で、証券業界全体の責任というものもあろうかと思います。また、大勢のお客様を抱えているわけでありまして、やはり社長さんのその答弁の仕方次第が、いわゆる営業成績あるいは会社の命運にもかかってくる、こう言っても過言ではないと思います。どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
 それでは、幾つかの項目に分けて質問させていただきたいと思います。まず借名口座、そして二番目は一任勘定の問題、そして利益供与の問題、あるいは新井議員との関係、あるいはその取引実態等々について、それぞれ質問させていただきたいと思います。
 まず、借名口座の問題についてでございます。
 借名口座というのは、不正取引の温床になるということで禁止をされているということでございますが、この借名口座を使って取引をすることは法律違反ですか、これについて、まず金子社長からお伺いしたいと思います。
金子参考人 
日興証券株式会社の金子でございます。
 ただいまの古屋委員の御質問にお答えする前に、一言おわびを申し上げたいと存じます。
 これまで当社は、証券市場の担い手といたしまして、発行者、投資家の皆様方の御期待に沿えるよう証券市場の健全な発展に努力してまいりましたが、先般の総会屋に対する利益供与事件で世間をお騒がせし、皆様に多大な御迷惑、御心配をおかけするとともに、証券市場全体の信頼を損なう結果となりました。その上で、今般の事件でこのように立法府の皆様のお手数を煩わすことになりまして、大変恐縮に存じております。この場をおかりいたしまして、皆様に謹んでおわびを申し上げる次第でございます。
 当社といたしましては、先般の不祥事を引き起こした責任をとりまして、社長、会長といった当時の経営者が退陣いたしました。今後再び不祥事を引き起こしたり、このような疑念のある事態を生ずることのないよう、営業、経営の諸制度のみならず、会社全般を徹底的に洗い直しまして、法令、諸規則を遵守し、ディスクロージャーを徹底することを最重点として、社員の意識改革、組織改革に努めておりまして、上場企業の範たる、公正、透明かつクリーンな会社とするべく努力いたしております。
 具体的改善策につきましては、先般一月二十三日に、御当局に詳しく報告してございます。
 当社は、その社会的責任を全うし信頼を回復するため、全役員、社員が一丸となって全力を尽くしてまいる所存でございますので、よろしく御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、今般の事件につきましては、会社としましても重大な問題でございます。鋭意社内調査を進めるよう努力しておりますが、しかしながら、検察当局の捜査が行われておりまして、事情聴取を受けている社内関係者は、自己の弁護士以外には捜査内容を漏えいしないようにとの指示を受けているとかで、社内調査を十分に行うことができません。会社としましても、捜査の妨害をしているとの批判を受けないよう、詳細かつ徹底的な調査は控えておりますので、詳細につきましてはわかりかねます。
松永委員長 
 ちょっと金子参考人に申し上げますが、質問者の質問に正面から答えてください。質問の趣旨は、借名口座は違法かどうかという質問なんです。
金子参考人 はい。ひとつそういうことでよろしく御理解を申し上げます。
 それでは、借名口座につきまして、お答え申し上げます。
 借名口座のチェックにつきましては、昭和四十年代より、社内で、法令、通達に基づく適正かつ厳格な手続を励行しております。現在の規則では、平成八年四月一日の規制緩和の一環といたしまして、日本証券業協会の規則において、仮名取引の受託及びマネーロンダリングの防止に関する本人確認の対象顧客及び方法等が一本化されたことによりまして、当社では、口座開設時及び三千万円以上の大口現金取引を行う際に、本人確認書類の写しを受け入れる必要がございます。
 なお、昨年九月に、日本証券業協会の仮名取引並びに借名取引の受託の禁止に係る規則が改正されておりまして、禁止範囲が、株式から、有価証券の売買その他の取引等に広がりましたけれども、当社の社内ルールにおいては、従来から株式取引以外でも仮名取引並びに借名取引の受託を禁止し、幾度となく社内に徹底を図っておりますので、特別な変更はいたしておりません。
古屋委員 
 それがいわゆる証券業界のルールであるし、また社内の規定だと思いますが、現実には、株を取引されている方は恐らく皆さん御認識をされていると思うんですが、
借名口座はたくさんあるというのが実態
だそうであります。恐らく社長さんもあるいは関係者の皆さんも、御認識されているでしょう。なぜかというと、やはりそれはどうしてもチェックの仕方がなかなか複雑である、困難であるということが実態だと思います。
 そこで、こういった借名口座が半ば公然と行われている。これは不正の温床にもなり得るわけでありますし、また、証券業界の体質改善といった意味からも極めて問題だと思いますので、現在、日興証券を初め証券業界にどれだけの借名口座があるのか、これについて、調査というのは実際されたことはありますか。もしされているなら、その結果はどうなんですか。あるいは、されてないのなら、今後されるべきだと思いますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
金子参考人 はい。
借名口座につきましては、御存じのように、いわゆる証券業協会の諸規則に違反しております。
したがいまして、私たちは常に、新しく開設される口座が借名であるのかないのか、これは厳しくチェックをいたしております。現在、私が報告を受けている段階では、そういった法律違反になります借名口座はないという報告を受けております。
古屋委員 
 借名口座はないという今の答弁でございますが、これは一体、株を取引したことのある方がどれだけ信用されているでしょうか。やはり真実を答えていただかなきゃいけないのですから、実態はどうか。実際にチェックするのは困難なことなんですよ。ですから、その辺のことは率直に、正直に答えていただかなきゃいけないと思いますが、いかがですか。
金子参考人 
 例えば、借名口座といいますのは、要するに、人の名前ないしは友人とか秘書、例えばですね、秘書の名前を使って口座を開設されるわけですね。したがいまして、会社として、お客様と取引するに当たりましては、例えば運転免許証とか健康保険証などの公的書類によりまして、本人の確認を行っているわけでございます。
 それから、特に信用取引等につきましては、面談の上行っているという状況でございまして、私どもは常にこういうことをやっておりますので、特定の口座が借名かどうかというのは、こうした要件を満たしている限り、これは借名口座ではないと言わざるを得ないと思います。
古屋委員 
 それはあくまでも建前でございます。
 実は私も、私の関係する人間に、一市民として私の口座を開いてくれ、取引開始しろということで、複数の証券会社に行ってこさせました。チェックしているところもありました、免許証を見せろというところもありました。しかし、申込書を全部書いた後、名刺、ああ、きょう今持ってないんだよ、じゃ、後で持ってきてくださいねというようなことで、認めてもらったところもあるようでございます。こういうところですと、これは実質上の借名口座と同じことになるのですね。
 これは、やはりなかなかチェックするのが難しいというのが実態であるということをはっきり申し上げていただいた方がいいですよ。まあ、これ以上申し上げません、もうこれでよくおわかりいただいたと思いますので。
 ところで、新井議員の件でございますけれども、二十二日に記者会見をされましたね。このときに、
新井議員が記者会見で、日興証券との取引において借名口座を使っているということを認めたわけですね。
私ども、借名口座を使っているとなかなか認めたくないというのが心情だと思うのですけれども。よく政治家は、今何かお話があったようですけれども、株取引にしろ、その帰属先が問題になると秘書がやったとか、こういうことが過去にあったことは事実だと思いますけれども、新井議員は正直に、いや、借名口座を開いていました、申しわけございません、こういうことを言われたわけですね。
 このことについて、会社として、余計なことを言ってくれたな、こんな気持ちがあったのじゃないですか。いかがですか。
金子参考人 
 ただいまの先生にお答えしますと、別に、余計なことを言ってくれたななどということは、全くそういうふうに思っておりません。
 それから、借名口座は、例えば先ほどのあれなんですけれども、私どもそういう手続をするわけですね。そのときはちゃんと所定の手続でやりますが、その後もし借名口座とわかれば、これは協会違反でございますので、私どもはその都度関係当局並びに証券業協会へ届けて、これは処罰事項なので、正直に申告しております。
 現に今回も、この前の強制捜査で借名口座ということが結果的にわかりましたので、これは既に東京証券業協会へ口頭で報告しております。これは多分、これが事実であれば、処罰の対象になると思っております。
古屋委員 
 次に、一任勘定の問題についてお伺いをしたいと思います。
 一任勘定というのは、売買の別、銘柄あるいは数、価格、時期というのもあると思いますけれども、これをいずれか一つ、証券会社の判断、裁量において取引する、こういうことを指しているということだと思います。
これは証券取引法五十条で禁止をされている
こういうふうに理解をしておりますけれども、それでよろしいですね。金子社長。
金子参考人 
 はい、それでよろしいかと存じます。
古屋委員 一任勘定というのは、テレビをごらんの国民の皆さんもおわかりいただいたように、非常に判定が難しい。しかし、運用の仕方によっては、公正に運用がされればそれなりのメリットはあるということだと思います。
 次に、利益供与の問題についてお伺いをしたいと思います。
五十条の三第一項に、この利益供与について規定をされております。
簡単におさらいしますと、三つあると思いますね。
損失補てん、これは一千万円損したら全額カバーしてくれというのが損失補てんだと思います。
あるいは利益保証、例えば二〇%の利回りを保証してくれ。三番目には利益の追加、一千万円が一千百万になった、あと百万やってくれ、こんなのが利益の追加だと思いますけれども。
この損失補てんと利益の保証について、これらを客と約束して提供するということが証券法違反、
そして三番目の利益の追加については、提供するだけで違反
こういうふうに規定をされていると思います。
 それで、具体的にこういった利益提供をするためにはどんなことが行われているか。業界用語でつけかえとかあんことか、こんなふうに呼ばれる行為によって行われていると思うのですけれども、業界ではよく、飛ばしの山一つけかえの日興というふうに言われているそうであります。私も、業界の関係者からそういうことを聞きました。
 そして、一般にこのつけかえ、いわゆる花がえと言われているものはどんな取引なのか、簡単にで結構でございますから、国民にわかりやすいように御説明をいただきたいと思います。金子社長。
金子参考人 
 花がえについてお答えします。
 その前に、私が知る限り、つけかえの日興証券などという話は一切ないと思います。社長として、それは明言できます。
 それで、いわゆる花がえにつきましては、証券会社は大体、自己資金で株取引ができます。それと同時に、顧客の注文を場につないで取引ができる委託取引というのがございますけれども、
花がえというのは、とりあえず自分の自己の名前で仮に買っておいて、ある一定の時間が経過した後に、その株価の動向を見て、例えば値上がりしそうな感じだとか既に値上がりしたときに、それを特定の顧客に、コンピューターに入れて名前を打って、その顧客に移しかえるということでございます。
そうしますと、結果的にその投資家はかなり、投資家としては、既に値上がりした銘柄等が既に自分の顧客口座に移されている、自分の名前に移されている
ということでございますね。したがって、これは禁止行為になっております。
古屋委員 
 今社長が指摘されましたように、いわゆるつけかえというのは、これは禁止をされているということでございますね。これは、やはり平成四年の証券不祥事の際にこのつけかえの問題がありまして、それ以来、四大証券はつけかえが技術的にできないように工夫をしているということでございます。
 それは、やはり今社長から御指摘があったように、コンピューターによって取引されていますね。自己売買はコード番号があって、あるいはそれぞれ支店の客のコード番号もある。そのコードを恣意的に移しかえれば、当然つけかえ、要するにコードのつけかえということだと思うのです、これができるわけですね。
 ただ、四大証券は全部、コンピューターあるいはアプリケーションソフトなんかを改良して、技術的にできないようにしたということだそうでありますが、日興はこのアプリケーションソフト等々の改良というものをすぐやらなかった。したがって、やろうと思えば容易にこのつけかえができる体質が残っていた、こういうふうに実は指摘をされております。
 これは極めて重大な問題だと思います。やはり、証券法四十九条でも公正公平な取引をするために会社として努力すること、あるいは投資家をしっかり保護しろ、この一条の規定にもあるように、こういうことからすると、証券会社としてそういった努力を怠っていた、怠慢だったということは、私は事実だと思います。この辺につきましては、ぜひ今後改めていただきたい。これについては、もう時間がありませんので、恐らく答弁がどういう御答弁になるか想像ができますので、結構でございます。
 それでは、じゃ、どういった場合に客が罰せられるかということですね。これは、利益供与をしたということによって証券会社は罰せられますね。それだけで、では顧客というのは罰せられるか。そうではないわけでありまして、具体的にどういった要求が客からあった場合には罰せられるのでしょうか。
 例えば、証券会社に行きまして口座を開くときに、頼むからもうけさせてくれよ、これはだれでも言うことだと思いますね。もうけないで株を取引しようなんて人は一人もいないわけでありまして、そういった場合は営業マンとしてどういう対応をしているのですか。あるいはマニュアル等があるのですか。
 これは、長い間の経験からして浜平参考人にお伺いしたいのですけれども、どういった利益供与の要求があった場合には罰せられるというふうに解釈しているか。あるいは、通常の取引において、そのお客さんから、もうけさせてくれよとか、かなりしつこいそういう要請があったときには、どういう対応をしているのか。そして、それについてマニュアル等があるのかどうか。この三点についてお伺いいたしたい。簡単に説明してください。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 利益供与に対しての社内的な指導要綱というのですか、そういったことですけれども、利益供与自体をしてはいけないというのはもうルールで決まっているわけでございますので、当然、営業マンの研修とかそういったときには、ルールとして学習させているということでございます。
 ただ、お客様が来られましたときに、そういった要求があった場合に、どのようにしてお客様に話してわかってもらうかということになりますと、これは個々の営業マンのセンスとかいうことに起因するかとは思うんですけれども、現在の当社の営業マンが理解しているのは、当然、そういったルールが平成四年にできておりますので、そういった要求があったときには、きっぱりと断って、お客様との取引はしないというような指導をやっております。以上でございます。
古屋委員 
 そうしますと、ちょっともう一度繰り返して浜平参考人にお伺いしたいと思いますが、その利益供与の手段であるつけかえですね、つけかえという行為は、以前から違法だとずっと思っていたんですか。これについて、イエスかノーか、簡単にお答えいただきたいと思います。
浜平参考人 
 お答え申し上げます。私の現在の立場というのをちょっと御説明したいと思うのですけれども、昨年の大変世間をお騒がせいたしました
小池事件で私は現在被告人という立場になっておりまして、これから裁判を控えております。
それから、きょうの新井議員の件につきましても事情聴取を受けている。被疑者という立場でございますので、これから、私の発言によりまして、近い将来ではございますが、ひょっとしたら、何というのですかね、処罰される可能性があるという立場
にございますので、ただいまの御質問につきましては、お答えを御容赦願いたいと思います。ぜひ御理解いただきたいと思います。
古屋委員 
 これは、今御質問申し上げたのは一般論でありまして、この具体的な案件じゃないんですね。このつけかえというのは以前から違法だと思っていましたか、思っていなかったんですか、どちらですかという質問ですから、これに対してもお答えできないということですか。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 今おっしゃいました、先ほどからお話が出ておりますつけかえ、このつけかえという言葉自体も、今一般的に使われているんですが、非常に難しいといいますか、はっきりした定義はないわけです。ですから、こういう非常に大事な席で、簡単に、そのつけかえ自体についての考え方を私がこの場で言える立場には現在ありませんので、そのところをぜひ御理解いただきたいと思います。
古屋委員 
 今押し問答していても、時間がありませんので、じゃ、違う角度から言います。この問題はさておきます。
 具体的に新井議員は、報道によると、借名口座を開設して利益供与を受けたということになっていますけれども、では、具体的に新井議員は何を頼まれたんですか。浜平参考人にお伺いしたいと思います。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 ただいまの御質問は、新井議員からの具体的な商いの要求ということでございましたですかね。
古屋委員 
 いや、具体的にどういう依頼があったかということです。
浜平参考人 
 具体的な依頼ということでございますね。恐れ入ります。先ほど御説明申し上げましたように、
私は、現在、新井議員の件で検察当局から事情聴取を受けているという立場にございます。
その立場にあるということをどうぞ御理解いただきたいと思います。ただいまのお答えにつきましては、御容赦お願いしたいと思います。
古屋委員 
 いや、これでは、これからが非常に重要なところであるにもかかわらず、これでは、全くこの参考人質疑をやっている意味ないですね。
 それでは、ちょっと別にまた変えて言います。
 新井議員から、手段を選ばずもうけさせてくれとか、違法行為をやってもいいからもうけさせてくれということはあったのかなかったのか、どちらか。イエスかノーかでお答えください。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 ただいまの御質問につきましても、今の捜査にかかわることでございますので、まことに恐縮でございますが、お答えを御容赦願いたいと思います。よろしくお願いいたします。
松永委員長 
 ちょっと浜平参考人。新井議員との関係で、検察庁で調べを受けているということですね。
浜平参考人 
事情聴取でございます。
松永委員長 
 事情聴取を受けている。それは被疑者としてですか、参考人としてですか。
浜平参考人 
被疑者ということでございます。
松永委員長 
 被疑者として。そこで、その供述によっては、自分自身が処罰の対象に新たになるかもしれない、そういう意味ですか。
浜平参考人 
 はい。
古屋委員 
 そうしたら、ちょっと質問を変えます。
この利益供与については、法律上から見ると、証券会社が罰せられる度合いと、顧客が罰せられる度合いは、当然違います。非常に顧客の場合は厳密に規定をされております。
 平成四年の証券法改正のときに、これは平成三年九月二十五日の証券及び金融問題に関する特別委員会の議事録、当時の松野証券局長がこういうふうに言っております。「積極的に市場の価格形成機能をゆがめるような行為を要求する、証券会社に違法行為を行うよう求めるというような場合に限って顧客に刑事罰を科すということで十分ではないか、必要かつ十分であるというふうに判断した次第でございます。」こういうふうに、政府提案であるこの法案の実質的な最高責任者が、見解を述べているわけであります。
 この見解に沿った場合に、新井議員との関係において、新井議員というのは、これに合致するような要求というのは果たしてしたのでしょうか。いかがですか。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 先ほどの同じ御質問であるかと思いますが、まことに恐縮でございますけれども、ただいまのお答えにつきましては、私の立場からお答えを何とぞ御容赦をお願いしたいと思います。事情聴取を受けている立場ということでございますので、何とぞ御理解賜りたく存じます。
松永委員長 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
松永委員長 速記を起こして。
 浜平参考人に申し上げますが、新井議員との関係で、被疑者として取り調べを受けているということですね。
浜平参考人 
 はい。
松永委員長 
 どういう容疑についての取り調べですか。それを答えてください。
浜平参考人 お答え申し上げます。
証券取引法違反という件でございます。
松永委員長 
 新井議員との関連で、証券取引法違反という容疑で取り調べを受けている、こういうことですか。
浜平参考人 
 証券取引法違反疑義ということです。
松永委員長 
 違反の容疑で取り調べを受けているということですか。
浜平参考人 
 証券取引法違反の被疑者として
古屋委員 
 委員長、ここまで言ってもお答えいただけないならば、これはもう時間の浪費でありますから、質問を進めさせていただきたいと思います。
 これはあくまでも真実を言ってもらうための参考人質疑なんですよ。やはりそれが一番の目的で、これならやる必要はない、冒頭申し上げましたとおりでありまして、私、どうしてこういうふうにお答えできないのか、不思議でなりません。何かにおびえて話ができないのじゃないか、こういうふうに思われても仕方がないぐらい、そんな疑念を抱くわけであります。
 それで、私、一つお伺いしたい。
 新井議員と知り合ったのはどういうきっかけですか。新井議員と直接知り合ったのか、あるいは、どなたかからの紹介で知り合ったのか、どちらですか。
浜平参考人 
 お答え申し上げます。新井議員と知り合ったいきさつという御質問だと思いますけれども、
新井議員とは、平成七年の秋ごろから面識があったということでございます。それ以上のことにつきましては、恐れ入りますが、お答えを御容赦願いたいと思います。
松永委員長 
 ちょっと参考人に申し上げます。そういうことは答えるのを拒否する理由になりませんよ。正直に答えてください。
古屋委員 
 それはどなたかからの紹介ですか、直接知り合ったのですか、どちらですか。
浜平参考人 
 たびたびの御質問で、具体的にお答えしなくて申しわけないのですけれども、新井議員とのお話につきましては、関係ができたといいますか、知り合ったという時期しかお答えできません。先ほど申し上げていますように、事情聴取を
松永委員長 
 浜平参考人に申し上げますが、新井議員とあなたと具体的な契約をするとき、あるいは利益の提供の要求か何か知らぬけれども、そういう事柄についてなら別として、今、古屋議員の質問は、いつごろ知り合ったか、だれの紹介か、どういう状況のもとに知り合ったのか、こういう質問だから、それを言えないというのは、これは拒否することはできませんよ。それは答えてください。まじめに答えてください。答えてくれますね。
 では、古屋圭司君、もう一回質問してください。
古屋委員 
 もう一度お聞きします。どなたの紹介で知り合ったのですか。
浜平参考人 
 お答え申し上げます。
新井議員と知り合ったきっかけは、先ほどの被疑事実、被疑の件の周辺のことになりますので、時期のことしかお答え申し上げられません。
松永委員長 
 浜平参考人、それは極めてふまじめな態度ですよ。まじめに答えてください。だれの紹介か、どういう場所で知り合ったか、そんなことが答えられないはずはないです。あなたの判断で答えなさい。
浜平参考人 
 お答えを申し上げます。
被疑事実と密接に関係するかと私思いますので、お答えの方は御容赦お願いしたいと思います。
松永委員長 
 浜平参考人、そういう事柄は被疑事実と関係していることじゃない。だから、答えてください。
古屋委員 
 これは、この問題は被疑事実と直接関係ございませんので、これをお答えいただけないということなら、この委員会、進行できませんよ。
松永委員長 
 浜平参考人、誠実に答えてください。
古屋委員 
 今これ以上お待ちしていても、これは時間、回っているんですか。
松永委員長 
 回っているね。
古屋委員 
 回っているんですね。じゃ、これは時間の浪費ですから、私の方から申し上げます。
浜平、当時のエクイティ本部長は、当時の平石副社長からの紹介で会っております。これはみんな周知の事実なんですよ。
それをなぜお答えできないんですか。これが被疑事実とどういう関係があるんですか。お答えいただきたいと思います。
浜平参考人 
 お答え申し上げます。
 先ほどからお答えを申し上げますのに、具体的なことをなかなか申し上げないでまことに申しわけないのですけれども、先ほど冒頭で申し上げましたように、今後この取り調べの、取り調べといいますか事情聴取が進んで、今被疑者ということで申し上げましたけれども、私の発言によりまして将来的に刑事訴追だとかあるいは処罰の可能性があるという立場にありますので、御理解のほどをお願いいたします。
 それから、検察当局からも、日ごろでございますけれども、捜査内容については自分の弁護士以外にはしゃべらないようにということでございますので、広い意味の事情聴取に入ると思いますので、何とぞ私の立場を御理解いただきたいと思います。
古屋委員 
 全く私どもも理解できませんし、国民はもっとこれは理解できないと思いますね。やはりこの日興証券の体質そのものをどうも反映している、こういう答弁というふうにしか考えられないと思います。
私どもは、詳細の調査をいたしております。そして今、平石副社長を通じて知り合ったということ、あるいは新井議員と浜平参考人との関係等々、これにつきまして、私ども、具体的な重大な証拠、物的証拠を持ち合わせております。何ならば、委員会からの要求があれば、それを提出するということも私はやぶさかではございません。
ここまで申し上げたいと思いますが、いかがでございますか、お答えいただきたいと思います。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 先ほどからたびたびのことでまことに申しわけございませんけれども、ただいまのお答えについては、御容赦お願いしたいと思います。
松永委員長 
 浜平参考人に申し上げますが、委員の人たちも、私を含めて、法律家が多いんですよ。参考人の言っていることで、だれも納得できない。あれをした、これをしたということなら別として、どういう経過で知り合ったのかなどということは、これは容疑事実などとは何の関係もない。だから、答えてください。浜平参考人、答えてください。
浜平参考人 
 お答え申し上げます。まことに御迷惑をかけて恐縮なんですけれども、
新井議員との最初の結びつき、恐縮でございますけれども、今委員がおっしゃいました、新井議員が当社に来られまして、私どもの副社長の、その当時の専務から紹介を受けまして、一緒に会ったというのが最初でございます。平成七年の秋ごろからのおつき合いでございます。恐縮でございます。
古屋委員 
 そんな単純なことがなぜこの委員会でお話ができないか。何か裏があるのじゃないか、こう思われても仕方がないわけですよ。今それだけ証言を控えたことによって、浜平参考人にとっては極めてマイナスだったのですね。率直に答えられた方がよかった、私はそう思います。要するに、何かにおびえているのじゃないか、こう思わざるを得ないのですね。
 今、証券会社は、利益供与をしただけで罰せられます。顧客はその限りではありません。今、顧客については、その利益の要求があったかどうか、このことが問題だということを言っているわけでありまして、このことについて御質問申し上げようと思ったら、具体的なことは何一つ話していただけないということでございます。要するに、これは、道連れにしよう、何かそんな気持ちがあるのじゃないか、こう思われても私は否定できないと思いますよ。
 もう一つお伺いします。
 今の浜平参考人の立場はどういう立場でございますか。かつて常務でございましたけれども、現在はどういう立場にあるか。あるいは、会社からの俸給というのはどういうふうになっているか。これについてお伺いしたいと思います。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 現在は役員を退任しておりまして、日興証券の嘱託という立場にございます。給与につきましては、個人的なことでございますので、御勘弁いただきたいと思います。
古屋委員 
 給料はもらっておられるのですね。
松永委員長 
 その点を答えてください。浜平参考人、会社から給与が出ているかどうか、答えてください。
浜平参考人 
 お答え申し上げます。給与は出ております。
古屋委員 
 会社にとって結果的に大きな迷惑をかけた、そういう人間を会社がまだ職員として、社員として雇っておられる。俸給は幾らかはわかりません。逆に、もしその俸給が微々たるものであるということになるならば、長年にわたって会社のために、証券会社のために一生懸命努力された結果が、それだけ冷たい仕打ちを会社から受けるということになるならば、なぜ会社にそこまでとどまっている必要があるのか。両方から考えても、おかしな話でありまして、どうもその辺ははっきりしない。疑念を私は感ぜざるを得ません。恐らくこのことについてはお答えいただけないと思いますので、私は結構でございます。
 もう一度、一般論としてお伺いします。
 利益供与の要件、もう一度読み上げますよ。「積極的に市場の価格形成機能をゆがめるような行為を要求する、証券会社に違法行為を行うよう求めるというような場合に限って顧客に刑事罰を科すということで十分ではないか、必要かつ十分であるというふうに判断した次第でございます。」これが平成三年九月二十五日の当時の松野証券局長の解釈でございます。一般論として、この解釈というのはどういうふうに考えますか。どの程度のことをすればこれに当たるというふうに考えますか。
松永委員長 
 浜平参考人、証券取引法の解釈としてどのように考えておったかということです。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 一般的に、今の法解釈ということでございますけれども、利益供与自体、お客様から具体的にどういった形で言われてきたらそういうふうになるかということでございますけれども、現場にいた者としましては、具体的な現象としては、やはり取引においての大きな損が発生した場合に、お客様の方からそういった要請があったときに、営業マンとしてはどのようにこたえていくのかなというようなケースが多いのではないのかなと思います、具体的な現象としてはですね。
 それで、具体的なお客様からの要求がどういった形でなったときに損失補てん要求が成立するかということにつきましては、なかなか、認定上の問題でございますので、難しいかと思いますけれども、やはり常識的には、金額の提示があったとか、利回りに対しての計算上足りなかったとか、そういったことになるのではないのかなと思います。具体的な数字が出てきた段階ではないのかなというような気がしますけれども、これは法解釈上の問題になってきますので、具体的にはちょっとわかりかねます。
古屋委員 
 じゃ、今、新井議員の件に戻りますけれども、マスコミ等の報道によりますと、再三にわたって要求があったというふうに報道されているのですよ。マスコミの取材には答えられてそう言ったのですか、答えておられないのですか、取材は具体的にあったのですか。
浜平参考人 
 お答え申し上げます。取材につきましては、具体的には一切私は応じておりません。お話ししておりません。
古屋委員 
 わかりました。要するに、これは、浜平参考人は、平石副社長から紹介を受けて新井議員と知り合ったということなんですよ。やはりここが非常にポイントだと思います。
 それからもう一つ。
浜平参考人は、それ以後新井議員とは、報道にもございますように、恐らく本人も御否定なさらないと思いますが、かなり友達づき合いというか、一時は選挙の応援に息子さんも行かせたりとか、こういう関係だったということでございます。
そういう関係の人間が、変な強要があったとか、依頼されるというようなことで、そういうおつき合いをするということは、私は常識的には考えられないことだと思います。ましてや国政の場を預かる一員でございますので、やはり法律のことは十二分に承知をしておられる、私はそういうふうに解釈をいたしております。
 いずれにしても、きょうの参考人、今のこの質疑については、一番核心の部分についてはほとんどお答えをいただけなかった。極めて残念でございます。まさしくこの証券会社の体質を反映しているんじゃないかと思います。
 私は、冒頭も申し上げました、先ほども申し上げましたように、この浜平参考人と新井議員との関係を示す具体的な重大な物的証拠も持っております。場合によっては、それを委員会からの提案があればここに提出するということも私はやぶさかでございません。この辺のことをしっかりと委員長に報告をしておきたいと思います。
 いずれにいたしましても、やはり、飛ばしだとかつけかえだとかあんこだとかシフトだとか、こういう言葉が、いわば違法な行為が半ば公然として使われている、この証券業界の体質そのものに私は極めて重大な問題があろうかと思います。今後、そういった体質改善をしていくことこそが、こういった疑惑を少しでも少なくしていく唯一の方法だと思います。ぜひ奮起をお願いしたいということを金子社長に申し上げまして、私の部分の参考人質疑は終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
鈴木(恒)委員 
 それでは、具体的にお伺いいたします。金子社長にお伺いする。借名口座の名義人は何という名前ですか、端的に答えてください。
金子参考人 
 私ども、いわゆる借名口座という口座については調べておりますが、これはわかっておりますが、私は、これは個人のプライバシーに関するということでございますので、お名前だけは申し上げられません。まことに申しわけございません。
ただ、どういうお名前の方かはわかっております。
鈴木(恒)委員 
 そんなばかなことはありません。あなたの今の一言が、また日興証券のイメージを傷つけるのです。何を守っているんですか。あなたの社員を守りなさい。もう一度答えなさい。名前くらい言えるでしょう。
金子参考人 お答えいたします。
実は私は、その方の名前を通じて新井議員が取引をしているということはお伺いしておりますけれども、その取引がすべてその方の、新井先生のお取引がすべて、その借名口座を通じて新井議員がすべて取引をしていたかどうかというのはわからないんですね。
したがいまして、これは御本人の承諾がないと、私はこれは、申し上げるということは、いろいろな個人のプライバシーから考えて、いかがかと思っております。
鈴木(恒)委員 もう一問します。
 借名口座をつくるに当たって、新井議員が借名口座をつくらせたのですか、あなたの方から申し出たのですか。どっちか、言ってください。
金子参考人 
私どもの内部調査では、新井議員が浜平元常務と相談の上、借名口座ということにしたのではないかという報告を受けております。
鈴木(恒)委員 
 わかりました。何回取引がありましたか。金子社長。
金子参考人 
 約百三十回でございます。ただし、これは売りと買いを一回と考えまして、百三十回ございます。約百三十回ございます。
鈴木(恒)委員 
百三十回取引があって、新井議員の方から借名口座の申し入れがあった。
そして、浜平さん、あなたは被疑者として今取り調べられているとさっき申された。いいですね。幾ら利益が上がったのですか。金子社長。
金子参考人 申し上げます。
 先ほどの百三十回といいますのは、借名口座が始まって終わりまでの回数を計算したところ、百三十回でございます。それから、
トータルのその間の利益は、私どもの計算では、約四千百万円ではないかと思っております。
鈴木(恒)委員 わかりました。
 その取引に当たって、百三十回、その明細は出せますね。金子社長。
金子参考人 
明細と申しますと、実はこれは、強制捜査を受けまして、私どもの口座が全部実は検察庁のどこか倉庫にあるわけですね。
 それで、わからないので、私どもはコンピューターに記憶、これは法定帳簿なものですから、私ども、コンピューターから打ち出しまして、勘定元帳というものを見て、これはチェックしているわけですけれども、先ほど申しましたように、この勘定元帳は、その借名口座の方の、要するに個人の口座の記録でございますから、それを直ちにそのまま、何といいますか、お渡しするとかお見せするということは、これもやはり個人のプライバシーということから、まことに申しわけございませんけれども、控えさせていただきます。
鈴木(恒)委員 
 委員長にお願いがございます。この百三十回の取引の資料を委員会に日興証券から提出させていただくべく、御協議いただきたい。いかがでしょうか。
松永委員長 
 その点は、理事会で協議して適切に対応します。
鈴木(恒)委員 
 ありがとうございます。金子社長の方が頼りになるから、あなたに伺います。なぜ新井議員に利益を供与しなければならなかったと思いますか。
金子参考人 
 そこで、私どもも、なぜこういうことが起きたのか、社長の立場としまして、この事件が発覚いたしまして、内部、いろいろ調査をいたしました。まず、利益供与したのかどうかということは、実はまだわかっておりません。そのことを御理解いただきたいんですけれども。
 それと同時に、新井先生に日興証券が何か特別のことをお願いしたのかということでございますが、今までのところ、私どもの内部調査では、何か特別なことをお願いしているということは報告を受けておりません。私はないと思います。したがいまして、このようなことがなぜ起きたのかといえば、これは、お二人、新井先生と浜平元常務の関係で発生しているのではないかと私は思っております。
鈴木(恒)委員 
 浜平さんに質問をいたします。あなた、簡潔に答えてください。それから、逃げたらだめですよ、逃げたら日興証券に傷がつくんだから。いいですか。あなたの社員は、犠牲者が出るかもしれないんですよ。そのことを真剣に胸に置いて、良心に心して答えていただきたい。みんなが損をしている時期です、この時期、株。何におびえたんですか、あなたは。何のために新井議員に利益を出して、差し出したんですか。端的にお答えなさい。
浜平参考人 
 お答え申し上げます。これは捜査に関することでございますので、お答えは御容赦願いたいと思います。
鈴木(恒)委員 
 金子社長、お伺いします。新井議員の借名口座は一人の名ですか、それとも複数ですか。お答えください。
金子参考人 
 私どもの内部調査では、一人であるという報告を受けております。
鈴木(恒)委員 
 前の質問者の古屋先生から、浜平さんに聞いてほしいということがあります。あなたは、きょうの参考人質疑に当たって、検察庁から、余計なことは言うな、答弁はしないでほしいと言われたようなニュアンスの答弁をされましたか。そんなことがありましたか、それは事実ですか
浜平参考人 
 先ほど、当局から、この捜査の内容につきましては自分の弁護士以外には話をしないようにという意味の発言を私申し上げましたが、これは、一般的なこととして申し上げた、日ごろということで申し上げております。
松永委員長 ちょっと待って。浜平参考人、当局というのはどこだ。
浜平参考人 検察当局でございます。
松永委員長 東京地方検察庁の検事からという意味ですか。
浜平参考人 そうです。日ごろということで申し上げております。
生方委員 
 民友連の生方幸夫と申します。今の質疑を聞いていて、本当に情けない思いを私もしております。事は日興証券だけの問題ではなく、日本の証券業界、ひいては金融業界全体にかかわる疑惑に対して、今あなた方がどういうふうに答えるのかということが注目をされているわけです。
 そこで、まず金子社長にお伺いしたいのですが、もうこれは事が明らかになってから一カ月以上たっております。社内調査でどこまで明らかになったのか、お答えいただきたいと思います。手短に。
金子参考人 
 昨年、強制捜査、十一月十二日に事件が発覚いたしまして、私なりに社内調査をいたしました。社内調査をいたしまして、今の先生のお話は、今回の利益額がどの程度ある云々というお話だったと思うのですけれども、先ほど申し上げましたように、この件についての新井議員の借名口座による利益額は約四千百万円でございます。当初投資された資金は、一億円が振り込まれております。これはかなりの部分、信用取引によって行われておりました。
 信用取引といいますと、これはきちっとした口座開設のルールがありますので、これはその開設の主とちゃんときちっと対面をして確認していたしておりますので、私どもの内部管理者は、これが借名ということはわかっておりませんでした。
 それで、信用取引をいたしますと、約三・三倍、一億円の三・三倍、すなわちおよそ三億三千万円程度の売り付け、買い付けができると思います。
 それで、全部申し上げます、四千百万円の中には、分析いたしますと、これは例えば新規発行の株式を買うとか、それからワラントを買うといったように、売買ではなくて、新規応募によって利益を得ているというのが約一千百万円程度ございます。したがいまして、いわゆる売買による利益は約三千万円というところまではわかっております。
生方委員 
生方委員 
 何で新井議員に利益をつけかえなければいけなかったのですか。社長、どうですか。
金子参考人 
 私は、この件は、まことに申しわけないのですけれども、新井議員と浜平常務の間にどのような詳しい取引があり、本当につけかえているのかいないのかということこそまさに今捜査になっているわけで、何かつけかえを前提としたお話になっておりますけれども、私は、これは捜査当局の結果を待って、その結果をお伺いしたいと思っております。
生方委員 
 では、浜平参考人に伺いますが、今被疑者として調べられているというふうにおっしゃいましたが、これは利益供与を与えたから調べられているのですか、どうですか。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 証券取引法違反ということで事情聴取を受けております。その中身については、それも含めてということではあると思うのですけれども、特定のこととしてはお答えしかねます。
松永委員長 ちょっと。浜平参考人、最後に事情聴取を受けたのはいつですか。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 最後に聴取を受けたのは、先週、先週の週末ぐらいだったと思うのですが、ちょっと正確に今覚えておりませんのですが。
生方委員 金子参考人に伺いますが、事情聴取を受けているのは浜平参考人だけですか。それとも、ほかにもいらっしゃいますか。
金子参考人 お答え申し上げます。
 私どもが内部調査をした限りでは、それ以外に何人か、一人以上ですね、浜平元常務以外に事情を聞かれている者はあるという報告を受けております。
生方委員 どういう内容の容疑で事情聴取を受け、その方がどんなことをお答えになっているかというのは把握しておりますか。
金子参考人 
それは、今回、この借名口座が私どもの新橋店にあったわけですね。
したがいまして、この借名口座の、いや、これは私の推測ですけれども、いきさつについて、そこの元支店長がどういう事情だったかというのをヒアリングを受けているということだと私は報告を受けております。
生方委員 
これは、同じような被疑事実として、総会屋の小池さんに対して利益をつけかえたということがございますね。これは千四百万円なんですね。
今度の新井議員は四千百万円なんですね。総会屋よりも、三倍弱の利益をつけかえている。
 総会屋は、当然、総会において議事を妨害するとかという実害が予想されるから、それに対して、それを事前に防止するという名目がございますね。新井議員に対してはその総会屋よりももっと多くの利益をつけかえるということは、一体、新井議員の裏に何があって、何を恐れて利益をつけかえたのですか。金子参考人、いかがですか。
金子参考人 お答え申し上げます。
 もう一回繰り返しますと、この一億円の資金を投入されて、それで信用取引をも使って、いい相場で運用して、トータル四千百万円ですね。その中身を勘定元帳で調べますと、約一千百万円を引いて、三千万円が売買によってもうけております。(生方委員「それはさっき聞いたよ、そんなことはこっちは聞いていない」と呼ぶ)いや、先生のおわかりいただけるように説明しているわけです。
 それで、つけかえというのは、短期間に売買をするということですね。ですから、あと三千万円の取引を調べますと、当日売買が勘定元帳によってわかっておりますが、当日売買による利益は約一千二百万円ございます。その三千万円をさらに分解しますと、一千二百万円。残りは、きょう買って一週間後に売るとか、そういう通常の取引のようになっておりますので、これがいわゆるつけかえなのかどうか判定できないわけでございます。
生方委員 
 私が聞いているのは、総会屋に一千四百万円利益供与をしたので事件になったわけですね。それに対して、新井議員もその三倍弱に当たる利益をつけかえられている。それは一体何でなのか、そこが一番みんな疑問に思って、今ここにみんな集まっているわけですよ。そこを調べなければ調べたことにならないでしょう。
 社内調査の結果、なぜ新井議員に四千百万円も、たったの一年半ですよ、一年半の間に利益をつけかえなければいけなかったのか、そこの点をお答えいただきたいのですけれども。
金子参考人 お答えいたします。
 この借名口座を使って利益が出ておりますけれども、これがつけかえかどうか、きちっとした手法による判定、捜査がないとこれは言えないと思います。
生方委員 
 事情聴取を受けているのでしょう、事情聴取を。それは、違法行為があった疑いがあるから事情聴取を受けているのでしょう。
 じゃ、聞きますが、何の事情聴取、何の疑いがあるから事情聴取を受けているんだというふうに理解しているのですか。
金子参考人 
 私の理解では、まず、これだけの利益が出る過程において、証券取引法違反があるか、並びにつけかえ等の利益供与等があるかということを調べられていると私は報告を受けております。
生方委員 
 では、浜平さんに伺いたいんですけれども、新井議員とどういう関係でおつき合いをなさっていらしたんですか。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 先ほども、答えが具体的でないということでおしかりを受けたのでございますけれども、新井議員とのおつき合い、確かに平成七年から始まったということでございますけれども、一人のお客様としてのおつき合いを申し上げていたということでございます。それ以上のことにつきましては、お答えを控えさせていただきます。
生方委員 
浜平参考人に伺いますが、B&Bというのは御存じですか。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 その件につきましてもお答えを控えさせていただきますが……(生方委員「知っているか知らないか聞いているだけですよ」と呼ぶ)そのことも、捜査に対しまして間接的にかかわってくることになるかもわかりませんので、お答えは控えさせていただきます。
生方委員 
 B&Bを知っているか知っていないかが、被疑事実にどう間接的にかかわってくる可能性があるんですか。お答えください、お答えを。知っているか知っていないかだけ聞いているんですよ。内容がどうだなんて聞いているわけじゃないんだから。
松永委員長 今の生方委員の質問、それに対して答えることは、被疑事実と関係ないことだ。正直に答えてください。
浜平参考人 はい。お答え申し上げます。
 被疑事実とどういうふうにかかわってくるかということでございますけれども、広い意味で新井議員に関することになるかもわかりませんので、そういった意味で、お答えを御容赦願いたいというふうに思います。
生方委員 
 ということは、浜平さんと新井さんが関係あることを認めると全部被疑事実につながるということですね。つながるからあなたはそれを恐れておるわけですね。
 あなたは、新井さんから具体的に何かを頼まれたから、新井さんとの関係をすべて否定しないとここで自分の不利益になるというふうにお考えになっているんですね。どうですか。
浜平参考人 
 私の立場だけでそう申し上げているわけではありませんけれども、現実的に、現在の私の具体的な立場としましては、小池事件での被告人の立場でございますし、今回の新井議員での事情聴取の被疑者という立場ということで申し上げておりますので、よろしくお願いいたします。
生方委員 
 小池事件の件では確かに被告人になっておりますけれども、新井議員の件ではまだ何にもなっていないのですよ。何か、令状が出て何かということはないわけでしょう。
 あなただって、一番若くして取締役になったのであれば、自分の保身ばかりではなく、証券業界全体とか金融業界全体とかをお考えになってここではっきりすることが、あなたが今までお世話になった証券業界に対する恩返しじゃないんですか。保身ばかりで、そんな、私は言えない、言えないといったら、本当に情けない話ですよ。そこまで申し上げまして、同僚議員にかわります。どうもありがとうございました。
上田(清)委員 民友連の上田清司でございます。
 今までの質疑を聞いておりまして、私もそうだと思いますし、国民の皆さんもそうだと思います。明らかに二人はとぼけておられる、こういう印象であります。
 まず、このことを申し上げますが、こういうふうにとぼけておられますと、商法四百八十六条、発起人、取締役の特別背任罪になることも御承知の上で答弁されているのかどうか。まず、ここを聞きたい。
松永委員長 どちらに。
上田(清)委員 金子社長です。
 株主の不利益になるようなことをやっているということだよ。一番大事なことを知らないんだ。
金子参考人 お答え申し上げます。
 直ちにそのようになるとは思っておりません。
 ただ、もしこの取引が不当に利益供与がなされていたとすれば、これは株主の立場から、この利益を私、会社といたしまして、株主にかわって返還請求をしたいと思っております。
上田(清)委員 
 四百八十六条の意味がぱっとこなかったみたいですが、いかに株主を重要視していないかということがよくわかりました。
 金子社長は、就任当時の読売新聞のインタビューに、大変立派な姿勢を見せておられます。反社会的行為があったという反省のもとに、業務調査改善委員会と総合管理室の二部署で不正取引の点検を行った上で、週一回開かれる経営会議で報告させる、二重のチェック体制をつくった、そのことを明らかにされました。
 それで今日、こういう事件の中で、少なくとも、新井代議士が、不正事件に巻き込まれたと、要するにあなた方が勝手にやったと言っているのですよ。反論してください、本当かどうか。社長、お願いいたします。
金子参考人 お答えいたします。
 確かに、何か不正な証券取引があったというふうに報道されておりますけれども、したがって、そこのところを今、検察がいろいろな方から事情聴取をして調べているというふうに私は理解しております。
上田(清)委員 
 先ほどから金子参考人は、新井代議士と浜平参考人との関係によってこの問題は発生しているとしばしば言っておられます。隣におられますから、私、三分ぐらい待っても構いませんから、きちっと聞いてください。
 第一、社内調査をやって、百三十回の売り買いをやったとあるんですね。そうすると、同一銘柄で最も短い期間に売り買いを何日間でやったかというようなことを、ちゃんと原本があるんでしょう。確認すれば、どういう銘柄だったかというのもわかって、これはどういう売り買いだったのかもわかって、不正だったか不正でなかったかもわかるじゃないですか。プロじゃないですか。金子参考人にお伺いします。
金子参考人 お答えいたします。
 したがいまして、私も勘定元帳を関係者に調べさせました。それで、常識的に言いますと、この疑いのあるのは、極めて短期間の間に売買したことによる利益だと思うのですね。それがこの期間に十二銘柄、十二回にわたって同日に売買して利益が出ておるわけですね。その金額が一千二百万強ということでございます。
 ですから、何かこの種の利益供与がいろいろな短期間売買で行われているとすると、多分この金額かそれ以下。この中にもきちっとした取引があると思いますので、このところを詳しく本人、関係者に、これは一本一本、一つずつ聞きませんと、これはわからないと思います。
上田(清)委員 
 本当に、日興証券の中には調査部もあり、それぞれの専門家がおられ、法務部門の担当者もおられ、一カ月半の期間があって調査が不十分だというようなことは、国民に向かって通用しませんよ。ここだけで適当に逃れればいいというのじゃないんですよ。これは重大な、国民に対して、株取引においては特別な人は適当にやれるんだというイメージが定着して、証券業は成り立ちますか。それをさっきからずっと皆さんが言っているんですよ。
 それから、浜平参考人に伺いますけれども、先ほど、利益要求があったときにはきちっと断る、拒絶する、そういうことを言っておられましたけれども、あなた自身が小池事件できちっと断ってないじゃないですか。そうでしょう。だから逮捕されたわけじゃないですか、一回。
 そういうことからいいますと、今回の新井代議士の件に関しても、重大な疑惑を持たれているのですから、なぜ日興証券としてきちんと、不正はなかった、我々に対してはなかった、しかし、あるいは不正があった、その不正はなぜあったのかということを明らかにすればいいのですよ。なぜそれができないのですか。調査が不十分だ、何だかんだと言って。それはだれも信じていませんよ、そんなことで通用するとは。
 それから、何度も申し上げますけれども、被疑者に云々という話がありますけれども、新井代議士はまだ被疑者じゃないでしょう。第三者に重大な迷惑をかけるようなところだけ物を言えない、それはわかりますよ、少しは。それ以外は言っていいのですよ。何を勘違いしているのですか。
 そこを確認しますけれども、もう一度、新井代議士がしばしば担当の方と相談をしたりアドバイスを受けたりしたというのは、浜平参考人ですか、それとも浜平参考人の意を受けた、口座を開いた支店の支店長だったのですか。浜平参考人に伺いたいと思います。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 ただいまの御質問でございますけれども、取引に関するところの、商いにまつわる人の問題だと思うのですけれども、これにつきましても、中身の話になりますので、捜査に関することになりますので、お答えにつきましては御容赦お願いしたいと思います。
上田(清)委員 
 浜平参考人、これは本当に日興証券、自主廃業に持っていかれますよ、まじめに答弁しないと。
 別に捜査の中身でも何でもないですよ。百三十回売り買いをやった。一日に一回やって百三十日、土曜とか日曜とか祭日を除くと二百日、一年。大体三百日、一年半の間にできるとしたら、二日に一遍ぐらい新井代議士もしくは新井代議士の意を受けた人が、何らかの形で売り買いのアドバイスを受けたり注文したりしているということですから、よっぽど国会が暇かと思われちゃうと困るのですよ。
 だから、だれがこれを本当にしていたのか。まさか新井代議士だって国会をサボってやっていたわけじゃないでしょう。だから、これは一任勘定じゃないかという疑いがあるのですよ。百三十回もできるわけないと、普通の代議士をやっていて。よっぽど暇ならともかく、忙しかったのですよ、ここのところは。はっきり言って、政変が多くて。
だから、はっきり申し上げますけれども、私、お名前、知っていますよ。借名口座の名前は西田さん、新橋支店でやっていた。名前も言ってもいいのですけれども、あえて言わない。
そういうのは迷惑をかけるというから、言わないけれども、あなたが新井代議士の意を受けて何をどうしていた、あるいはあなた自身がだれに頼んでいたということは何の迷惑にもならないのですよ。むしろ国民に対して明らかになることで、日興証券の名誉を高めることなんですよ。もう一度聞きます。浜平参考人、お願いします。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 たびたびのことでまことに恐縮でございますけれども、ただいまの件についてはお答えをお許し願いたいと思います。
上田(清)委員 
 これでは、本日、参考人としておいでいただき、重大な疑惑を解明するためのこの委員会の体をなしませんので、証人喚問に切りかえることを要求いたします。理事会で諮っていただきたいと思います。理事で、今すぐ。
松永委員長 これは十二時から理事会がある、その理事会で協議して適切な対応をしたい、こう思います。
上田(清)委員 ありがとうございます。
 それでは、ぜひ、もう午後からは証人喚問に切りかえていただきたいということをさらにお願いを申し上げたいと思います。
上田(清)委員 
御承知のとおり、野村証券で新井代議士が取引をして四千万損をしたときに、損失補てんの要求をやった疑いがあるのですね。しかし、しなかった。やはりきちっとしたわけですよ、そこは。
 これ、四千百万利益を受けておられる。世間の常識とは、先ほども言われました、範囲外みたいだと、そういう御判断。その金額に関しては、常識の範囲内ではない。一方では、とも言えないという議論をされていますけれども。浜平さんからそのことについて調査をされたのですか、じかに。金子参考人。
金子参考人 お答え申し上げます。
 先ほど、出ている利益について、常識外であるとも言えるし常識内とも言えると申し上げたわけで、この中身については、はっきり言って申し上げられません。
 それから、浜平元常務を聴取しようともちろんしたわけでございますが、これは検察当局からそのようなことをすると捜査妨害であると言われて、実際にはできないという状況でございます。その辺を御理解賜りたいと思います。
上田(清)委員 
 本当に真実を語っているというふうに、ここにおられる委員の皆さん、そう思っていますので、ちょっと確認をしたいのですが、
先ほどの借名口座の名前ですが、西田邦昭さんに間違いありませんか。金子参考人。
金子参考人 
 借名口座につきましては、私、西田さんなる方がどういう方か存じません。それからまた、新井先生との関係も存じませんので、単に借名口座というだけでお名前を私の方から申し上げるということは、守秘義務という点から、プライバシーという点から申し上げられませんので、まことに申しわけないのですけれども、御容赦願います。
上田(清)委員 
 浜平参考人に伺いますが、これは金子参考人の方がいいかもしれません。
 最初、小池事件のときに、浜平参考人に対して猪狩弁護士が代理人として就任されておられますが、これは間違いありませんか。
浜平参考人 
 お答え申し上げます。事実でございます。
上田(清)委員 
 今度、日興証券全体としてこの問題に取り組むために、あえて猪狩弁護士を外されて、日興証券のいわば顧問弁護士団に、この件に関して、新井代議士との関係の疑惑については移されておられますか。浜平参考人。
浜平参考人 
 お答え申し上げます。猪狩弁護士の件については、私の個人的な弁護士ということでお願いしておりましたので、今回、小池事件の件で退いていただいたのも事実ですけれども、先生とのお知り合いでもあるということでございますので、退いていただいております。
上田(清)委員 
 今いみじくも言われましたけれども、猪狩弁護士は新井将敬代議士から御紹介いただいて、小池事件に関しての弁護人になっていただいている。不明朗なのですよ、関係が。だから、この問題で参考人として呼ばれているということに関して、あなた方二人は大変不誠実ですよ、国会に対しても。
新井代議士が、浜平参考人の小池事件に対する弁護士を御紹介された。そして、今回、日興証券と新井代議士とのかかわりについてのさまざまな疑惑について、当然猪狩弁護士が外れるのは当たり前ですが、浜平さんと新井代議士との関係というのがそういう関係だということであるわけですから、密接な関係があるということが明らかになっている
わけですから、当然そこで浜平さんは、あるいは金子社長は、この問題について、日興証券としてはきちっと対応しているということを知らせなくちゃいけないのですよ、全国民に向かって。
 それをやらず、もしこの参考人招致の委員会が終わるようなことになっては、私は、これから証券業協会あるいは日本経済全体に対しても多大なる損失を与えたお二方だということを、これは将来にわたって名を残すことになります、こういうことを申し上げまして、質疑を終わります。ありがとうございました。
北側委員 
 黙秘権を行使される以上は、自分はこういう被疑事実で取り調べを受けているということを、まずおっしゃっていただかないといけないのですね。今のお話だと証取法違反だということですけれども、そうしたら、その件は、少なくとも新井議員への利益供与、証券取引法の五十条の二の違反、この被疑事実で取り調べを受けているのですね。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 利益供与だけ、特定されているかどうかというのははっきりいたしません。含まれているのかもわかりませんが、特定されているわけじゃありませんので、要は証券取引法違反ということでございます。
北側委員 
 証取法違反といえば、いっぱいあるんですよ、法律は。証取法の第五十条の二の利益供与、損失補てんの禁止に係る違反で、あなたは事情聴取を受けられているのでしょう。少なくともその範囲ではそういうことでしょう、間違いないでしょう。そのことをまず最初にはっきりおっしゃらないと、どこが黙秘権の範囲かわからないんですよ。どうですか。時間ないから、早くやってください。
浜平参考人 
 恐れ入ります。お答え申し上げます。新井議員との取引に関することにまつわることになるかと思います。特定されてはおりません。
北側委員 何の違反の容疑かと聞いているんです。
浜平参考人 証券取引法違反ということでございます。
北側委員 それの損失補てん、利益供与禁止の規定の違反の疑いでしょう。
浜平参考人 これは捜査の中身になりますので、御容赦願いたいと思います。
北側委員 最初からそこをはっきり言ってくださいよ。
 今のを確認しますが、新井議員への利益供与の疑いがあるという疑いで、あなたは検察庁から取り調べを受けているということですね。間違いないですね。イエスかノーか。
浜平参考人 お答えを申し上げます。それも含まれているということでございます。
北側委員 そういうふうに、はっきり冒頭からおっしゃってください。
 それで、金子参考人にお聞きしますが、今問題になっている借名口座の取引、これはいつ開設されていつまで続いたのか、正確におっしゃってください。
金子参考人 
 借名口座は平成七年十月三十一日に開設されております。これが終了いたしましたのは平成九年四月一日でございます。
北側委員 
 伝票というのは、伝票を書く人がいるのですよ。浜平さん一人で今回の借名口座の取引、一切合財全部できないですよ。だれかにやはり指示しているわけですよ。だれかが電話を受けているのでしょう。まさか浜平さんが全部受けているの、これ。そうじゃないでしょう。社内の関係者を調べれば、そんなのはすぐにわかるじゃないですか。ごまかすんじゃないですよ。
金子参考人 
 おっしゃるとおりでございまして、したがって、その書いた伝票をそっくり検察庁に押収されておりますので、いや、もちろん浜平元常務が部下に命じて、注文を出して、それを新橋支店を通じて注文が出ているという形になっておりますけれども、いずれにしても、その伝票等が、原伝票がとにかく全部押収されておりますので、調べる方法がないのです。
北側委員 
 だれの指示で取引をしたのか、一任勘定であったかどうかなんということは、そんな複雑な話ではないよ。隣の人に聞けばすぐ済むことよ、すぐわかることよ。また、社内にはこの取引にかかわった人間は必ずいるわけなのです、浜平さんの指示のもとで。支店長の話も聞いたのでしょう、新橋支店の支店長の話も。
金子参考人 
 要するに、証券取引と申しますと、そのやっている当事者が関係者に指示をして出しますから、その指示を受けた部下は、それが一任勘定であるかどうかは、それはわからないのですね。通常の取引のようにして、我々も組織ですから、係の者がちゃんと伝票を書いて取引をしているという状況でございます。
 ですから、やはり一任勘定をしたかどうかというのはその当事者に直接、この場合は浜平元常務でございますけれども、聞かなければいけませんが、検察からは捜査妨害になるのだと言われて、ないしは証拠隠滅ということを言われて、私どもはできない状況でございます。
北側委員 
 新井氏と日興証券との株取引、新井氏が、新井氏本人もしくは親族名義もしくは関連企業名義で日興証券に口座を置いて株取引をしたことは、かつてありましたか。
金子参考人 
 過去二回ほど、今回以前にさかのぼることたしか二回ございます。今、正確に申し上げます。
 昭和五十九年六月から昭和六十一年四月まで、横浜駅前支店でございました。それから、二回目は、昭和六十一年四月から平成二年三月まで、兜町支店で、これは本人口座で取引をしておられたと思います。
北側委員 今の口座は、ともに本人口座、新井議員の本人口座ということですね。
金子参考人 はい、さようでございます。
北側委員 親族名義、もしくは関連企業名義での口座はなかったですか。
金子参考人 
 ただいま、新井先生の口座があるかどうかということなので、それは申し上げたわけでございます。これは二カ所でございました。
 それから、実は、親類とか親族の名前で取引をしているかどうかということは、今これを調べております。もし御必要であれば、調べた結果をまた後日、御報告の必要があれば、それはそれなりにお答えしたいと思います。
北側委員 それは報告してください。
 最初、一億円を預かったというお話でしたね。この資金はだれが持ってきた資金ですか。
金子参考人 
 私どもでは、新橋支店にあります借名口座に一億円振り込まれたわけでございまして、それがどこから来たかというのはわかっておりません。
北側委員 だれが持ってきたお金かもわからないんですか。
金子参考人 
 これは、銀行経由で振り込まれておりまして、具体的にどなたかが実際に現金一億円を持ってこられたようなわけでもないので、これはちょっとわかりません。
北側委員 だから、私が聞いているのは、だれの名義で振り込みがあったかと聞いているのですよ。どこの銀行から、どの名前で振り込まれたのか。
金子参考人 
 私どもは、現在わかっておりますのは、借名口座に一億円がもちろん振り込まれているわけでございますけれども、それがどこの経由でどういうふうにして振り込まれたという書類等も、これも一応押収されておりまして、今調べようがないんです。それと、どこからお金が来たということまで私どもが、プライバシーの点から、調べる立場ではございません。
北側委員 この問題になっている口座が閉鎖されたいきさつは何ですか。
金子参考人 
 これは、先ほど、閉鎖されておりまして、閉鎖されると同時に必要な現金が全部お持ち出しになっておりまして、この理由についてはわかりません。なぜ閉鎖されたのかわかりません。
谷口委員 
 これは昨年十二月三十一日、毎日新聞の報道なんですが、関係者によりますと、
「新井議員は一九九五年初め、勉強会で知り合った日興証券の幹部を通して当時株式部長だった元常務と知り合い、口座の運用を申し入れた。この際、新井議員は元常務に「野村証券でうまく利益が上がらない。日興証券で何とかしてほしい」と依頼したという。 
 これを受けて元常務は、一任勘定取引で利益を出すよう要求されたと理解したが、当時は株価が低迷していたため通常の取引では利益を上げられないと判断し、新井議員の口座開設をためらった。しかし、新井議員から再三、口座開設を要求されたため、同年十月ごろ、部下に口座を開設させ、利益を提供するよう指示した」というような報道があります。
 まず一点お聞きしたいのは、この元常務というのはどなたですか。浜平さん。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 毎日新聞の報道でございますか。これは毎日新聞の書いていることでございますので、私にはわかりかねます。
金子参考人 
 私ももちろん、新聞記事によりますと、想像はいたしますけれども、想像はできますけれども、その記事が本当に正しいのかどうか。ですから、その元常務でございますか、それがということについては申し上げられないと思いますが、私としては、その事の真偽はともかく、そこに書かれているのは浜平元常務ではないかと推測いたします。
春名委員 
 私たちは、先ほど名前が出ましたけれども、だれかということも調べております。こういうことぐらいはすぐやらなければ。借名口座をやってはいけないと言っておられるじゃないですか。事実を確認して、そんなことがあったのかどうか、すぐに調べられることじゃないですか。
 浜平参考人、先ほどあなたは、新井氏を顧客としてはつき合ってきたというふうにおっしゃいました。そうですね。顧客としてつき合っているときに、借名口座は違反なんだということを、当然そういうお話はされているはずです。今回の事件と関係なくていいです。顧客としてつき合っているときに、そういう説明をしなければなりません。したのかどうかをお答えください。
浜平参考人 お答え申し上げます。
 ただいまの御質問につきましては、現在捜査を受けている立場でございますので、お答えを御容赦お願いします。
春名委員 
借名口座のことを皆さんも聞きましたけれども、新井さんは記者会見で知らなかったと言っているのですよ。知らなかったというふうに言われた。そんなことがあり得るわけないと私は思うのですけれども。大きな問題じゃないですか、食い違っているじゃないですか。
そこについてお答えいただけませんか。金子参考人、どうですか。
金子参考人 
 基本的に私どもは、全社員、営業部店に対して、借名口座は、これはルールなので、してはいけない、必ず確かめろということを言っているわけですね。
 しかるに、このような借名口座が、私が考えるには、実際に行われているということは、例えば浜平元常務が、これはルール違反ということをわかった上で開設したのではないか。要するに、借名口座ということはルール違反ということはわかっていますからね。その当事者が、これはわかった上でやっていると思います。
 しかし、それを言われたその部下は、ルールにのっとってやっていますので、これはもうルールにのっとってやっていますから、わかりません。多分、当事者は、これはわかってやったのではないかと私が推測しているわけでございます。
古屋委員 
 自由民主党の古屋圭司でございます。
 午前中の金子、浜平両参考人への質問に引き続きまして、午後は新井議員への参考人質疑をさせていただきたいと思います。
 午前中の質疑でも皆様はっきりいたしましたように、ほとんど核心部分につきましてはお答えをいただけない。いや、核心部分ではない部分についてもほとんどお答えいただけないということで、恐らく国民は非常に大きな疑念を持ったと思います。午後は新井将敬議員への質問でございます。どうかそういったことを踏まえながら、この参考人質疑は、午前中にも申し上げましたように、真実をおっしゃっていただいて、国民に真実を理解していただく、これがこの参考人質疑の大きな役割でございますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 特に今回の事件につきましては、もう連日のようにマスコミで報道されておられます。知らない人はいないぐらい、こう言っても過言ではないかもしれません。そういう中で、きょうは新井議員に出席をいただきました。私も同じ党の議員ということで非常に複雑な立場でございますが、しかし、しっかりと真実を追求していきたいと思いますので、真摯なお答えをいただきたいということを心からお願いしたいと思います。
 それでは早速、質問に入らせていただきます。
 まず、この日興証券そして新井議員とのかかわり合い、それはいつごろからだったのかということをお伺いしたいと思います。
新井参考人 
 それは、もう昭和六十年代前半からだと記憶いたしております。
古屋委員 
 そして、今般、口座を開設するに至ったわけであります。そして、その口座を開設するに至った経緯で、一体どなたにお願いをして、どういう経緯で口座を開設されたのでしょうか。
新井参考人 
 私が口座開設をお願いした方は、元副社長の方でございます。秋、十月の中ごろにお願いをして、三日ぐらいたってから、支店を紹介するということで支店長がお見えになったというのが口座開設の経緯でございます。
古屋委員 
 そして、その口座を開設するに当たって、何か特別な依頼とかそういったことをされたのでしょうか。
 それからもう一つ、含めて、この口座開設に当たっては、新井将敬本名ではなく、借名口座で口座を開設しているという事実が判明しておりますけれども、それはどういった経緯、要するにお願いをされてそういったことをしたのでしょうか。この点も含めてお伺いしたいと思います。
新井参考人 
 借名の方をお願いいたしましたのは、私の方でございます。それは、たしかその十月の中ごろに見えた支店長の方に、その場でお願いをしたという経緯でございます。もう一つは何ですか。
古屋委員 それで結構です。
 そうしますと、借名口座で開いてくれということは、新井将敬議員みずからがお願いをしたということですね。そして、その借名口座を開くということ自身がルール違反だということは承知しておられたのですか。
新井参考人 
 証券業協会の内部規則で禁止されているということは、後になって実はわかりました。その当時はわかっておりませんでしたが、これは非常に大きな責任を感じておりますし、また、私が安易にお願いしたために証券会社の方が規則違反に問われている、こういうことについても非常に申しわけない、そういう気持ちでおります。
古屋委員 
 そうしますと、口座を開設されて取引を始めたということでございますね。みずからの名前はいろいろ政治活動を通じて少し売れているので、政治家が自分の名前で取引をしているということがいろいろな方にわかるというのは、ある意味での、余り知られたくないという、そういう後ろめたさと言ったら語弊があるかもしれないですけれども、そんなものがあったということだと思います。
 これは法律違反ではないということは事実でありますけれども、やはり、この問題は極めて道義的に責任を感じていただかなければいけないということだと思います。
 次に、具体的に契約をされた後、取引が始まるわけでございますね。そのときに、どういう形で株の取引をお願いされたのですか。ちまたに言われているような、いわゆる一任勘定と言われるようなものをお願いしたということでございますか、あるいはそうではないのですか。その辺につきまして、まず基本的なことをお伺いしたいと思います。
新井参考人 
 私が元副社長に申し上げたのは、運用したいということでございました。その三日後に、新橋の支店長、お名前、個人名は控えさせていただきますが、支店長が見えられたときに私が口座を開いて、そして、その支店を通して取引をしているという認識でございます。ですから、何か無理なことを、一任勘定を頼んだとかそういうことはございません。
最終更新:2013年08月06日 15:43