接待王


142 - 衆 - 予算委員会 - 27号 平成10年03月18日
谷口委員 自由党の谷口隆義でございます。
 本日は、大蔵省を取り巻く問題について何点かお聞きいたしたいというように考えます。
 まず初めに、マスコミの報道によりますと、大蔵省審議官杉井孝氏の疑惑についてお伺いいたしたい。御本人にきょう来ていただくように強く要望しておったわけでございますが、御本人はきょう出てこられておらない。そのことも含めて、後でまた御答弁をお願いいたしたいというように思います。
九二年六月から九五年六月まで、この杉井氏は、大臣官房秘書課長として、金融機関トップの叙勲に関し便宜を図ったのではないかという疑惑がある。
三和銀行元会長が勲一等を受章した。この方は業界団体の長は経験されておらない。また日興証券元会長は、九一年に、証券スキャンダル時に経営責任者であったにもかかわらず、勲一等を受章いたしておる。通常このようなことは考えられないというようなことでございます。
総理府賞勲局に叙勲候補者を推挙する権限を持つ秘書課長であったのは、当時秘書課長であった杉井審議官であったわけであります。これまで、全銀協会長を経験することなく勲一等を受章した銀行トップは、当時の三和銀行元会長のみであります。また、証券スキャンダル以降、勲一等を受章した証券トップも日興証券の元会長のみであります。
 検察関係者の話を聞いておりますと、職務権限を持つ杉井氏が三和銀行や日興証券から接待を受けておれば、金銭授受はなくても収賄罪は成立するというように言っておられるようであります。
この杉井氏は、今申し上げました叙勲疑惑のほかにも、また住専処理の枠組みに関して、金融機関から多額の接待を受けたのではないかというように言われておるところでございます。
 週刊誌の報道によりますと、
平成七年から八年にかけて住専問題がございました。これは我々も大変大きなやりとりをやったわけでございます。六千八百五十億円という公的資金の投入の問題で、大きな事件と申しますか、話題に上ったわけでありますが、
このときの当時の責任者が杉井氏であったのではないか、深くかかわっておったのではないか、このように言われておるところでございます。
 当初、住専処理案では、一次損失処理を個別の母体行がすべて面倒を見る、このような案であったようであります。ところが、このようなことになりますと、日本興業銀行、興銀の系列のノンバンク、日本ハウジングローンがこの処理をめぐって大変負担が大きくなる。こういうような状況の中で、
住専七社横並びの処理をし、母体行は系列住専を全面的に面倒を見る必要はない、自分の債権を放棄するだけでいいというように銀行業界を説得して回ったようであります。
また、その折の金融安定化基金の設立、このようなことも考案し、このようなことで日本興業銀行は大変助かったと言われております。
有利な処理づくりを行って、これをまた推し進めた当時の責任者杉井氏
このようなことに関して、一体どのようにお考えでございましょうか。大蔵大臣がまず初めにちょっと今の疑惑に関して御見解をお述べいただきたいと思います。
松永国務大臣 お答えいたします。
 叙勲の関係のお話がございましたが、委員も御承知と思いますが、私も承知しておるわけでありますけれども、それは総理府の賞勲局で、極めて厳正な審査をした上なされることだというふうに承知いたしております。したがいまして、そのことについてのコメントは差し控えさせていただきますが、いずれにせよ、大蔵省の職員たる者が、世間から見ておかしいと言われるような行動があってはならぬわけであります。
 また、住専処理の問題については、母体行主義あるいは修正母体行主義、いろいろな議論が我が党の中でもありました。そして、結果としては、国会で御審議を願ったようなことになったわけでありますが、それはそれとして、やはり大蔵省の職員たる者、関連する業界の方とはもちろんのこと、そうでない者との間であっても、いわゆる過剰接待と言われるような接待を受けるなどということはよろしくないことであります。
 そういったことも念頭に置きながら、毎回お答えしておるわけでありますけれども、今委員の仰せられた報道については、私もそういう報道があるということは承知しておるわけでありますが、杉井氏は、当然のことながら、今大蔵省で進めておる内部調査の対象人物でありますから、委員の申された報道も念頭に置いて、さらに調査を進めて、問題があるということがはっきりしてくれば、国家公務員法の規定に基づいて厳正な処分をしていく、こういったことで対応していく所存でございます。
谷口委員 
 本日は、先ほど冒頭私がお話ししたように、本人に出てきてくれというように申し上げたのですが、本人が出てこられないということでございますので、どうも官房長が答弁するというようなお話でございますので、本人が本日出てきて、ここで弁明をされたらいいと私は思ったわけでありますが、そのことも含めて、大臣の方から、今調査中であるというようなお話もございました。
 聞くところによりますと、大変高額な接待、もう一千万近い接待があるというようなことも聞いておるわけでございますので、実務の、行政側の上司である官房長、そうしたら、今までの状況を、大臣とは違う観点で答弁していただきたい。
武藤政府委員 
 御指摘の杉井につきましては、現在、大臣から申し上げましたとおり、今回の報道も念頭に置きまして、調査をしている最中でございます。
 そういうことで、調査中でございますので、まだ結果について申し上げられる段階にはございません。大臣の御指示を得つつ調査を進め、その結果に基づいて、大臣に厳正な処分を御判断いただきたい、そういうふうに考えております。
谷口委員 
 ちょっと踏み込んだ発言をきょうはしてくださいよ。
 実は、先ほど申し上げました住専処理の枠組みの責任者であったのではないかと言われていますね。また、前国会で大変大きなやりとりを与野党でやりました、あの預金保険法の改正案。悪い金融機関と悪い金融機関を合併させてこれを存続させるという、到底我々は許容できないようなこの法案をつくった責任者。また、今回の三十兆円の資金投入。
 これもどうも、まあ後で質問したいと思いますが、十七兆円は、今までの、倒産した、経営破綻をした金融機関に使うんだ、預金者保護のために使うんだ、あとの十三兆円は公的資金を資本注入するんだ、こういうようなわけのわからない、後で申し上げますが、結局、横並びの、何ら今までの護送船団行政を脱皮していないやり方で今行われておるわけであります。
このような実質的な責任者が彼ではないのですか。
山口政府委員 お答え申し上げます。
 先生の御質問、一点目は、住専の枠組みの責任者ではなかったのかという御質問でございますが、住専の具体的な枠組みが決まりましたのは、平成七年の十二月十九日の閣議決定でございます。それから、住専処理方策の具体化ということで、基金をつくるとか、あるいは住専機構をつくるとかいう具体的な姿が決められましたのが、翌平成八年の一月三十日の閣議了解でございます。杉井審議官が主計局から銀行局との併任になりましたのは、二月の十四日だったと思いますが、それ以降でございます。
したがって、枠組みそれ自体の責任者ではないのではないかと思います。
 それから、もう一つの御疑問点、預保の特定合併の件でございますが、これは、実は、私は、銀行局長としていろいろ国会でも御答弁申し上げましたように、当時の情勢から見て、これをやらないといろいろ金融不安がとどまらなくなるということで審議をお願いしたものでございます。もちろん、彼も私の部下としていろいろやっておりましたけれども、
これは組織として行動させていただいたということでございます。
 それから、今回の、三十兆円とおっしゃいました金融安定の二法につきましては、これは、与党内でのいろいろな御議論を踏まえつつ、また、十一月以降のいろいろな金融不安を何とかしてとどめ、金融の安定化のためということで、政府を挙げての、大蔵省を挙げての意思決定でございます。そういうことをぜひごしんしゃくいただきたいと思います。
谷口委員 
 相対的に、冷静に、客観的に見て、どうも今申し上げた住専処理から以降の銀行の処理案というのは、極めて金融機関に甘い。一般国民に大変つらい。この公的資金の投入、今回の三十兆円の公的資金の投入に関しても、もう全部そういうように負担させたらいいんだというようなことなんですよ。
 金融機関も本当に、今回また二兆余りのキャピタルインジェクションをやるわけでありますが、リストラ策を見ても、抜本的なリストラ策なんかないじゃないですか。あれだけ金融機関が責められておって、何にもやっていないんだよ。これは、この法案のプロセスにおいて、私は、大変大きな問題があったのではないか、このように申し上げたいわけであります。
 今、公務員倫理法の策定が行われておる、検討されておるということでございますが、省内ではもう既に倫理規程があるわけですね。この倫理規程に基づいて、今私が申し上げました杉井氏の調査は、大臣もおっしゃいました、今現在やっておると。調査状況について報告をお願いいたしたい。
武藤政府委員 
 先ほどもちょっと申し上げましたとおり、御指摘の平成八年十二月の倫理規程以後におきます遵守状況、さらにはそれ以前の平成七年五月の通達の遵守状況、さらにその前におきましてもどうであったかということで調査をしております。
 杉井個人の調査状況につきましては、今、全体の中で調査をしている最中でございますので、具体的なことを申し上げる段階にないということを御理解いただきたいと思います。
谷口委員 
 今、地検の事情聴取は受けておるのでしょうか、杉井氏が。
武藤政府委員 
 私どもの方から今の御質問にコメントするのは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
春名委員 
 日本共産党の春名直章でございます。
 くしくも先ほどの谷口議員と同じテーマで、
杉井孝大臣官房審議官をお呼びして、今大問題になっております不祥事、お聞きすることになっておりました。
私がこれを要望したのは昨日でしたけれども、きょう私の質問の一時間前になって、出られないという連絡がありました。私は、来られないこと自身が後ろめたさの証明だと思います。
 そして、官房長が全部責任をとられるということをおっしゃいましたが、改めてお聞きをしておきますが、杉井さんの問題について全部責任をとっていただけますね。その発言に二言はないといいますか、そういう構えでいいんですか。
伊藤(公)委員長代理 
 官房長は今向かっているそうですから、次の質問を。
春名委員 
 とんでもない話ですね。官房長が答えますと言われているのに、これじゃ話にならないじゃないですか。委員長、とめて、検討していただけませんか。
松永国務大臣 
 杉井審議官ですか、これは説明員であって政府委員じゃないんだそうです。したがって、政府委員である官房長がお答えしたいということになったそうでございます。
春名委員 
 それで官房長もいない、こういうことでは全然話にならないでしょう。だから、ちょっと時間をとめていただけますか。
春名委員 
 あと何分あるのかよくわかりませんけれども、先ほど言いましたように、私は、杉井さん自身がこの場所に来てきちっと弁明、解明もしていただくということをお願いしましたが、それができないということが一時間前に伝わって、そして官房長にお話を聞こうと思ったら、その責任を全部持つと言われている官房長もいらっしゃらないということでこんな事態になったのでありまして、以後絶対にこういうことがないようにしていただきたい、厳しく要求しておきます。
 それで、官房長にお願いします。
 杉井さんの問題について私は詳しく聞きますけれども、全部その問題は責任持って答えていただけるのですね。責任とれますね。
武藤政府委員 
 大変おくれて恐縮でございました。おわび申し上げます。
 今の杉井問題に関してのお尋ねでございますけれども、現在私ども調査しておりますので、私どもが知る限りのことについてはお答えをさせていただきたいというふうに思います。
春名委員 
 事実かどうか私はうのみにするつもりではないけれども、あなたの部下がこういうことで書かれているときに、これを御本人に確かめることぐらいはすぐできると思うのです。それは五百五十人の調査をやるということの中でやっていらっしゃると言いましたけれども、こんなことが言われているじゃないか、これがうそか本当かすぐ調べる、これぐらいのことは直ちにやれるじゃありませんか。そう思いませんか。
 それで、書いてあることも重大なんですよね、谷口議員が今言われましたけれども。
叙勲の格上げをめぐって接待攻勢を受けていた大臣官房の有力幹部、杉井氏のことです、接待総額は一千万円前後に上る、三月十一日付毎日新聞。
田谷氏が失脚した後の接待キングは杉井審議官で間違いない、週刊朝日三月二十七日付等々であります。
しかも、三月十日の東京新聞ではこう書いております。
捜査当局が既に杉井氏への接待問題で銀行業界に対して詳細な関係資料の提出を求めたほか、接待の趣旨や目的などについて説明を求められた。
 もうここまで行っているのですよ、新聞に書いてあると大臣が言われるのは。そうでしょう。そうであるのに、直接本人にすぐ確かめることができるじゃありませんか。なぜそれをすぐにおやりにならないのですか。そこのところの感覚が私には理解ができないわけですけれども、改めて御答弁お願いします。
松永国務大臣 
 私は、いろいろな情報は参考にいたしますが、言葉は適当でないかもしれませんけれども、真実を解明するためには、手順を立てて調査していかないと、いい、内容のある調査結果は出ない。ある人のことが新聞に書いてあったから、はい、ある人のことが新聞に書いてあったから、はい、こういう形での調査は、調査の仕方としてはいい調査の仕方ではない、こう私は思っております。
春名委員 
 そんなにあちこちたくさんおって調査もできないということではないでしょう。名前が具体的に出ているのはそんなにたくさんじゃないじゃないですか。その一人一人に事実を確かめることぐらいすぐできるじゃないですか、そう私は思いますよ。
 私は、このことを言っているのは、長野証券局長の問題もありましたけれども、昨日来追及させていただきましたが、この杉井さんの問題が、谷口議員もおっしゃいましたけれども、本当に、大蔵行政の根幹にかかわるような疑惑になりかねないということを非常に危惧しているからであります。
 この杉井さんの疑惑は二つであります。
 その一つは、先ほど出ましたけれども、叙勲の候補を総理府に推薦するということで、その問題をめぐっての重大な疑惑でありました。
 そこで、改めて確認願います。大蔵関係の叙勲候補者の推薦を総理府に対して行う部署あるいは課はどこでしょうか。
武藤政府委員 
 大臣官房の秘書課でございます。
春名委員 
 秘書課であります。それで、杉井氏は、平成四年から七年にかけて大臣官房秘書課長になっていらっしゃいまして、課長を通さなければ推薦をするということには当然ならないと思います。
 叙勲申請書というのを例で持ってきましたけれども、これは一人の人を推薦するときに、一人の人がこれだけの文書をこれだけ上げて、それでやっていただくということになっているわけであります。
 そして、マスコミの報道では、接待を受けて、三和の川勝堅二氏、日興証券の梅村正司氏、両元会長への叙勲を強引に総理府に働きかけたのじゃないかという疑惑が持たれているということが述べられているわけであります。
 調べてみますと、川勝氏は平成六年春に勲一等瑞宝章、日興証券の梅村正司元会長も平成七年秋に勲一等瑞宝章をお受けになっていらっしゃいます。受けられていること自身は、私は別にそれに疑義を挟むものではありませんけれども、さまざまな新聞を見れば、叙勲の陰に企業担当者の汗があるとか、あるいは監督官庁がオーケーを出さなければ絶対に無理なんだ、いかにその評価を得るために苦労するかというような記事も、私はいろいろ探して見てまいりました。
 それで、これだけ具体的に提起されている問題ですので官房長にお伺いしますけれども、この問題について、今全体として調査中だと言っておられますけれども、三和あるいは日興証券、このときこの二つから接待が実際あったのかどうか、ヒアリングもされていると思いますので、どういう状態だったのか、その事実を具体的にお述べいただきたいと思います。
武藤政府委員 
 ただいま調査をしているところでございます。ヒアリングも行っている最中でございます。一つ一つきちっと、事実であるかどうかということを確認する必要がございますが、まだその確認が終わっていない段階でございますので、具体的なことをこの場で申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
春名委員 
 その答弁は、杉井さんの問題だけではなくて、もう繰り返しお聞きをしていまして、全く同じことを繰り返している答弁で、これだけ世間が重大な疑惑を持っているものに対しても同じ答弁しかされないということ自身に、私は非常に怒りを感じます。
 これだけではないのです。私も調べてみました。
九六年二月から銀行局に出向して、主計局の次長をおやりになりながら、銀行局別室の室長になっていらっしゃいます。
この銀行局別室というのは、どういう役割、任務を持って設定されたのか、そして、その中で杉井さんはどのような役割、仕事をされていたのか。具体的にお答えください。
山口政府委員 
 お答え申し上げます。
 当時、銀行局におきましては、住専問題の重要性や、その事務量が大変に膨大なものになるという事情にございましたので、住専処理の体制に関し整備を図るために別室というものを設けたわけでございます。この別室では、住専スキームなどに基づき、住専債権の強力かつ効率的な回収体制を整備するために、預金保険機構の組織の拡充整備や、住宅金融債権管理機構の設立に向けた準備作業などをやっていたわけであります。
杉井審議官につきましては、兼務で、審議官級ということで、そのチームのヘッドにいた。
別室の……(春名委員「責任者ですか」と呼ぶ)責任者といいましょうか、そこの一番上にいる者ということでございます。
春名委員 
今お話あったように、文字どおり住専処理の立ち上がりを指揮する立場で行かれて、やっていたわけであります。
 谷口議員もお話ありましたけれども、この住専処理問題というのは大問題でありました。今も尾を引いております。国民のごうごうたる批判がこれに集中したのです。なぜ母体行主義を崩すのか、なぜ乱脈経営によって勝手につぶれた住専に国民の税金を六千八百五十億円も投入するのか、大問題になりました。この怒りが日本列島を揺るがしたのであります。
 杉井さんがいらっしゃったら、あなたはというふうにレジュメにも書いてあったのですが、このスキームを実行する上で決定的な役割、実際に現場で、銀行に幾ら出資をさせるのかとか、どのように支払わせるのかとか、こういった最前線の問題を指揮していた、つかさどっていたのがこの室長たる杉井さんだったという事実。そうですよね。任務としてはそういうことになるでしょう、最前線で銀行といろいろ折衝もされていた方。そういう仕事になるでしょう、具体的には。局長、そうですか。
山口政府委員 
 お答え申し上げます。
 先ほど谷口先生にもお答え申し上げましたが、スキーム自体が固まったのは、彼が兼務になる前の年の十二月、七年十二月の閣議決定でございます。それから、一月三十日にもう少し具体化の閣議決定がございます。彼は二月になっております。
 それで、今、幾ら出資とかいうお話をされましたが、これは、そのとき決まった基金の総額について、閣議決定が決まっておりますので、各金融機関が調整をみずからやられたわけでございまして、彼が幾ら幾らと割り当てたということでは、そういう意味ではないと思いますが。
いろいろな事務をやり、主に住専の、あの中坊さんがいらっしゃる管理機構の立ち上げに従事していたというのが主だと思います。
春名委員 
 スキームは十二月、そして一月には具体的な枠組みを決めてやっていたということは先ほども聞きました。
ただ、この問題は、二次損失の分まで含めてこれを全部解決するというのには、六月、七月とかかっているわけですよね。それで、すったもんだしたじゃないですか。
その中で別室の室長として采配を振るっていたのがこの方だったわけですよね。これはもう動かすことができない事実なわけであります。
 この住専の一次損失の処理でいいますと、これも報道ですけれども、
興銀にとって、系列の日本ハウジングローンの処理での負担が大きかった、だから、これを緩くしてもらいたいということがあって、そういうことにもなっていったということが報道されているわけでしょう。
事実、私、調べてみたら、住専七社の不良資産の一覧で、日本ハウジングローンというのは、残高は二兆二千億円、不良資産が一兆六千億円、損失見込み額は一兆一千億円、いずれも七社中断然トップでありました。
 こういう形に対して個別の母体行が全部面倒を見るという案が浮上したけれども、住専七社の横並びの処理、これを実際は実行することになるということが起こったということで、そういう問題での疑惑が第一にあると言われているわけであります。
 二次損失の処理についてはどうでしょうか。金融安定化基金の設立はもう考えられて、そして、銀行が基金へ融資をして、その運用益で損失を賄う。融資であって資金を捨てるわけじゃないということで、この点でも、負債をたくさん抱えている興銀が随分助けられたということも報道されているわけであります。
そして、実際の処理策の実行については、先ほどお話があったように、杉井さんが陣頭指揮をとってこれをやってきた。
 こういう事態があって、そういう中で、マスコミの報道でいけば、接待王だ、一千万円の接待を各銀行から受けていたということが報道されているわけなんですから、私は、この情況証拠といいますか、これだけを見ても本当に重大な問題だなと思うのですよ。
 それにもかかわらず、五百五十人の方と一並びにして、同じような位置づけで、同じようにお調べになるということでいいのでしょうか。大蔵行政が大もとからゆがめられているかもしれないのですよ。少なくとも、火のないところに煙は立たないわけだから、そういう問題として、やはり国民にしかるべき対応を見せていただきたい。それが私の願いであるし、国民みんなの願いじゃないでしょうか。
 こういう問題が今提起されていると私は思うのですけれども、大蔵大臣、いかがお考えですか。
松永国務大臣 
 先ほども御答弁申し上げましたけれども、今の新聞の記事、私も承知しております。非常に重大なことがそこには書いてあります。
 しかし、それが真実かどうか、これは私にはわかりません。その新聞の記事も十分念頭に置いて、そして調査を進めてまいりますということを申し上げたわけであります。
 なお、住専処理の関係では、あれは平成七年でしたか、七年の夏ごろから、母体行主義あるいは修正母体行主義、いろいろ議論がなされておりました。しかし、結果においては、あれは修正母体行主義ということになったのですかな、そういったことになったわけでありますけれども、その経過も私は私なりに承知しておるわけであります。
 今の記事、非常に重大な記事だ、こう思っておりますが、それが真実かどうか、これはまだわかりません。それを念頭に置いて、そして調査はきちっと進めてまいります。先ほども申し上げたとおりでございます。
春名委員 
 直ちにヒアリングをやるとか調査をやって、これだけの疑惑をただすということを、一言言ってほしかったと思います。
 私は、そういう姿勢だから、内部調査ということを繰り返しおっしゃっておりますけれども、それ自身も非常にいいかげんなものになってしまうのではないかという危惧をしております。その問題を別の角度から大臣にお伺いしたいと思います。
 三月十二日に、参議院の財政・金融委員会で、私どもの党の笠井亮議員が質疑をいたしました。その中で、逮捕された宮野容疑者が、金融機関から接待を受けていたことを二月初旬に自主申告をしていたが、その後も山一証券の飛ばし疑惑の実態調査の職務に引き続きつけておられた。この事実を取り上げて、笠井議員は、癒着の疑惑が出たときに直ちにその部署から外すべきではなかったのかと質問をいたしました。
 そのとき、松永大蔵大臣はこうおっしゃいました。宮野の被疑事実は野村の過剰接待が被疑事実の中心であって、山一の接待は私の方ではわからないというふうに御答弁をされていらっしゃいます。
 私は、この答弁を後で知りまして愕然となったわけですが、二つ問いたいと思います。
 まず、大蔵省、あなた方がやっている調査が調査の体をなしているのかということであります。宮野容疑者の自主申告、事情聴取の中で、山一からの接待については明らかにされていたのですか、明らかにされていなかったのですか。このことをお答えください。
武藤政府委員 
 あの段階におきましては、それぞれの部署におきます服務管理官が調査を担当している段階でございました。そういう段階でございますので、その中身につきましてまだ未確認でございますので、先ほどもお断り申し上げましたけれども、大変恐縮でございますけれども、具体的な中身についてここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
春名委員 
 一九九三年から九五年にかけて、野村だけではなくて、新商品の認可、さまざまな便宜を図ってもらうということで、大和や山一からも大きな接待を受けているということがもう言われているわけですね。今はもう何も言わないということで決め込んでいらっしゃるけれども、このことがもし知られていない、つかんでいないとしたら、一体どういう調査をやっているのかということに一つはなります。つかんでいたけれども大臣には伝わっていなくて、どうにもなっていなかったというのであったら、一体何をしているのかという、この一点でも大問題になります。こんなことで本当に許されるのでしょうか。
 宮野容疑者が自主申告していたのは二月の初旬でした。今おっしゃったけれども、それぞれの上司が事情聴取をした上で、二月半ばに、金融服務監査官室に対して、調査と処分が必要だと思われるという報告を上げた、こう言われています。監査官室は、もう少し詳しく事情を聞くようにと差し戻して、驚くことに、この事実が判明した後も一カ月近くにわたって、山一の飛ばしの実態を把握する特別検査チームのナンバーツーの位置でその職務をやってきた。そして、その間に逮捕されるという最悪の事態となったのですよ。えらいことじゃないですか。大蔵省の醜態じゃないですか、これは。
 どういう調査なんですか。私たちは、中間報告をしなさいということも大臣に繰り返しお話をしています。それから、局長や審議官などの上の方をまず調査して、直ちに具体的にやらないとできない、だめなんだということも言いました。この事実を見たって、そのことの重要さがあるじゃないですか。
 五百五十人の人を待って、それで春過ぎたら、春ごろというのですか、やりますというふうに言われるけれども、また新しい逮捕者が出たらどうするのですか。信じられないですよ。悔しいと思いませんか。自分たちできちっと処分をするということをやらないで、放置されている間にこんな事態が起こってしまって、大蔵省は一体何をしているのかと言われてもしようがないじゃないですか。
 本当に、こういう点でいえば、調査なるものが極めていいかげんなものだ。大事な疑惑がかけられている問題については、直ちにこの場で明らかにしてもらいたい。中間報告もしていただいて、少なくとも疑惑がかかっている問題については、白でも黒でも構いません、きちっと調査をしていただく、そして報告をしていただくのが責務じゃありませんか。そのことを私は改めて大蔵大臣に御要望申し上げたいと思います。
 私の時間がもう来ましたので終わりますけれども、改めてこういう調査の問題、決意、この宮野さんの問題も含めて、大臣に見解をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
松永国務大臣 
 私どものしている調査は、国家公務員法あるいは人事院規則、そういう法令に基づく処分をする、その前提としての事実調査でございます。そして、その事実をできる限り詳細につかんで、その事実の軽重に比例する形で厳しい処分をしていくという方針でこれからも進めてまいります。

142 - 参 - 法務委員会 - 4号 平成10年03月19日
橋本敦君 
 ところで、法務大臣も所信表明の中で、今日の汚職、腐敗については厳正な法の適用によって解明をするという決意を表明されました。私はそのことを高く期待しておるのでありますが、それに関連をして今起こっている問題について、さらに踏み込んだ捜査をお願いしたいということで刑事局長にも来ていただきました。
 まず、刑事局長に伺いますけれども、
問題になっております一つの事件としては、金融機関関係者の叙勲問題に関連をして供応接待があったのではないかということが広く報道されております。
これは端的に言って杉井孝大臣官房審議官の問題であることはもう明白になっておる
のでありますが、一般論として各金融関係者の叙勲について大蔵省の担当官房に対して申請があり、内閣の賞勲局の方にそれが受賞候補として挙げられていくという手続を考えますと、その衝に当たる大臣官房審議官が叙勲を得たいあるいはいい叙勲を得たいというそのことを目的として供応接待をするということに関与するとなれば、これは私はまさに刑法上の贈収賄罪に該当する、そういう事案になる問題だというように認識せざるを得ないと思うのですが、刑事局長として一般的な御見解はいかがですか。
政府委員(原田明夫君) 
 一般論ということでお尋ねでございますが、やはり刑事事件につきましては、具体的な証拠関係に基づきまして、どのような法令上の評価ができるかということが厳格に告げられなければならないと考えるのでございます。一般論といたしましても、法務当局の立場である一定の事実を想定してその擬律について評価をするということにつきましては、やはり差し控えるべきであろうと考えるのでございます。
 ただ、委員御指摘のような報道がなされていることは私自身も承知しているわけでございますけれども、検察官といたしましては過去のさまざまな事例につきましてあらゆる観点からできるだけの証拠に基づく捜査をいたしまして、そして必要な法律上の適用の有無につきまして判断を適正にするものと考えておりますので、その点で御理解賜ればと存ずる次第でございます。
橋本敦君 
この杉井氏は、平成四年六月から、つまり九二年六月から九五年の六月まで大臣官房秘書課長をしておりまして、そのときに今私が指摘をした叙勲に関する仕事を担当しておったというのが、これはもう客観的に明白であります。
 報道されているところで客観的に明らかなのは、
九四年の春に三和銀行元会長の川勝堅二氏、九五年秋に日興証券元会長の梅村正司氏が勲一等を受章している。これは、全銀協の会長を経験していないということが一つ、それからもう一つは、御存じのようにまさに三和銀行にしろあるいは日興証券にしろスキャンダルにかかわっているところであることは有名でありますから、そこのところの経営トップが勲一等ということは、これはまさに業界の中でも異例だと言われていたわけです。
 そういう異例な叙勲が行われた背景に、新聞の報道でも、刑事局長御存じと思いますけれども、まさにこの時期に大臣官房秘書課長であり、そういったことを所管していたこの杉井孝、現在審議官でありますけれども、かなり銀行からMOF担を通じて供応接待があったということになれば、これは重要な問題として捜査をするのが私は当然だと思うんです。
 この問題で、既に予算委員会でも議論になりました。松永大蔵大臣は、十八日午後開かれた衆議院予算委員会の答弁の中でも、この審議官が銀行や証券業界から住専の問題やあるいは勲章、叙勲の格上げをめぐって過剰接待を受けていたというこの報道については大蔵省の内部調査の対象に入っているとはっきりおっしゃって、国家公務員法に基づいて厳正にその結果が出れば処分するとまで答弁されている。これは私は当然だと思うんです。だから、この問題について私は単に国家公務員法上の処分の問題ではなくて、まさに刑法に触れる嫌疑がある事案として捜査をする必要性があるのではないかということは明白だと思うのであります。
 今、刑事局長は、この報道も知っている、検察当局もそれに関心を持っているというお話がありましたが、これは私が今指摘したとおり、大蔵省は公務員法上の問題として検討するとはっきり大臣が言っておるのでありますから、検察庁としても犯罪の嫌疑の有無について積極的にこの問題は解明をするという決意を持って臨んでいただくのが当然だと思うんですが、もう一度重ねて答弁をいただきたいと思います。
政府委員(原田明夫君) 
 委員の御質問の趣旨については私もよく理解するところでございますが、我が国の刑事訴訟といいますか刑事司法のあり方ということから考えますと、やはり検察官において最終的に事実の存否について証拠に基づいて判断をする、そしてその上で擬律について問題があれば適正な処置をするということについて、そのような建前のもとで運営されておりますので、その点につきまして法務当局からある特定の立場でそれについて関心を持つべきであるとか、こういう立場でやるべきだということに関して申し上げることは適切でないと考えます。
 その点につきましては、どうぞ刑事司法のあり方という観点からのものでございますので、御理解を願えればと存ずる次第でございます。

142 - 衆 - 大蔵委員会 - 17号 平成10年03月20日
佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海です。どうぞよろしくお願いします。
 まず、大蔵省にお聞きしたいと思いますが、
九六年の住専処理をめぐって、いわゆる二次損失の穴埋めをするための金融安定化拠出基金の設立などの取りまとめに当たっていた杉井孝審議官が住専の母体銀行などから過剰な接待を受けていたとの疑惑が報道をされております。
 この問題は、十八日の予算委員会で我が党も取り上げました。ここで山日銀行局長は、杉井審議官がいわゆる銀行局別室のヘッドになったのは九六年二月であり、住専のスキームは十二月の閣議決定で決められ、一月の閣議了解で具体化された、その後は閣議決定に基づいて各金融機関が調整をみずから行ったと言い、杉井氏は住管機構の立ち上げに従事していたというのが主だと思います、金融機関の負担額を彼が幾ら幾らと割り当てたということでは、そういう意味ではないと、杉井氏の関与を否定する答弁をいたしました。実際にそうだったのかという問題であります。
 一月の閣議了解は、スキームの大枠は決めていましたけれども、細部の調整は全くその以後のことでありまして、二次損失のための金融安定化拠出基金については、一兆円という規模は決まっておりましたが、出資を求められる関係金融機関の範囲や業態ごとの負担額は未確定でありました。この調整が最終決着したのは七月の初めでありました。大蔵省から各業態ごとの負担額が提示され、各業界がそれを受け入れるということで七月に決着をいたしました。
 この決着に至る二月の段階での報道ですが、金融安定化基金への拠出額をめぐり、「住専負担をほかに押し付けようとする各業態問の〝内ゲバ〟は、激しくなるばかりだ。」これは九六年二月二十日の読売の報道です。こう報道されるような状況がありました。こういう業態間のつばぜり合い、内ゲバの調整に大蔵省も関与し、その中心の役割を杉井氏が果たしたのではありませんか。
山口政府委員 
 この基金の総額が一兆円というふうに決められたのは、先生御紹介いただきました一月三十日の閣議決定、平成八年でございますが、その決定でございます。したがいまして、当局としましては、総額がこの一兆円になるように関係者にいろいろとお願いをしたということでございます。
 私がさきの予算委員会で申し上げたのは、何とか銀行、あなたは幾らです、あなたは幾らですというようなことをやっていたわけではありません、こういうことであります。少なくとも一兆円という枠がありますので、それが実現するようにいろいろお願いをしたということで、個別行についてどうこうしたということはないというふうに聞いております。
佐々木(陸)委員 
 その答弁で山日銀行局長は、各金融機関が調整をみずから行ったというふうに言っておられるわけです。
九六年二月二十七日付の毎日新聞にはこういう報道があります。
 大蔵省は二十六日、住専の処理問題で、金融機関関係者と協議。住専母体行の部長クラスのほかに、農林中央金庫など農林系金融機関の代表が初めて出席した。
同省からは体制強化のため銀行局兼務になる杉井孝主計局次長らが出席
同処理問題の解決に向け、協議を断続的に続けていくことを確認した。
今後は預金保険機構内に作る金融安定化拠出基金への出資や、住専の資産を引き継ぐ住専処理機構への低利融資などを具体的に詰めていく。
というふうに述べています。同様の内容は、同日付の日刊工業新聞でも報じられています。
まさに、杉井氏が金融安定化基金への出資額の調整役をやっていった、協議を断続的に続けていくその主導をやっていったということではないのでしょうか。
予算委員会以来の山口局長の答弁は、そういう意味では虚偽答弁と言わざるを得ないと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
山口政府委員 
 先生のおっしゃる調整ですけれども、一兆円という枠が決まっておりますので、それは各業態別でいろいろ、私の方は少なくしてくれという意見が出てくるのは当然だと思います。それを、いや全体で一兆円になるようにひとつよろしくお願いしますと言うことは、それは広い意味では調整かもしれませんが、私が否定したものは、各銀行で、あなたのところは幾らです、あなたのところは幾らにしなさい、あるいはこっちを減らしてこっちをふやすというようなことを各行別にやるとかいうことをやったわけではありません。つまり、一兆円という枠が決まっておりますので、それにはまるようにひとつ各業態、代表者だったと思いますけれども、その代表の母体行の人に、一兆円になるようにやっていただかないと一兆円の枠が埋まりませんので、そういった調整ということであれば、それは当然やっているはずでございます。
佐々木(陸)委員 
 つまり、先ほど言いましたように、業態間での内ゲバまで起こっているような状況だった。そこで、どの業態はどうするか、どの業態はどうするか、そして個別の金融機関はどうするかということが最終的に決まっていったわけであります。
そのいわば協議の中心を担っていった、これが杉井氏であったわけであります。
 九六年三月十九日付の日経金融新聞。大蔵省銀行局、援軍が奮闘という見出しで、
杉井氏は最近、民間金融機関の幹部と頻繁に会い、民間とのパイプ役を買って出ていると、銀行界によく名を知られている杉井氏の仕事ぶりを描き、ある都銀企画部幹部の「杉井氏らの登場で省内の情報が伝わり、本音で話せるようになった」との言葉を報じております。
企画部というのは、MOF担の担当部局の幹部であります。その人物が、杉井氏から省内の情報が伝わるようになってきたということも言っているわけであります。このような当時の状況を重ねると、今の杉井氏の接待疑惑の報道というのは極めて真実味を感じさせるものを持っているわけであります。重大な疑惑と言わざるを得ないと思います。
 そこで、大臣に最後にこの問題でお聞きしたいと思いますが、接待の有無を明らかにするための五百五十人を対象とする調査とこういう重大な疑惑のある杉井氏の調査などとは同列ではないのではないかと思うのですが、大臣は同列にやるという認識でしょうか。大臣の認識をお伺いしたいと思います。
松永国務大臣 
 委員からも、それから先生からも、予算委員会でもいろいろ御指摘をいただいておるわけでありますが、私は、その中で参考にすべきものは参考にしながらやっていきたいという気持ちがあるわけです。それからもう一つは、これはどなたでしたか、五百五十というのを全部一列でやろうとするから手間暇かかるんだ、重立った者を重点的にやったらどうかという話も聞きました。私は、それも一つの参考になるな、こう思ったわけであります。
 いずれにせよ、杉井次長も内部調査の対象でありますし、それからまた報道も相当あるわけでありますから、一般の人よりも重点を置くというか、そういう感じを持ちながら調査を今進めているところでありまして、もう少しひとつ時間をかしていただきたい、こう思います。

142 - 衆 - 大蔵委員会 - 23号 平成10年04月28日
佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 接待汚職に関する大蔵省の内部調査と処分の公表で、大蔵省と金融業界との癒着というのがいかに深刻なものであるか、構造的なものであるかということが明確になりつつあります。
ところが、この接待というものの中身がどういう目的で行われたのか、あるいは、接待の結果、大蔵行政がどのような影響を受けたのか、こういう点が一切明らかになっておりません。
全容が公表されないままでこれで一件落着ということは、国民は到底納得できないと思うわけであります。
 きょうの東京新聞などでも、
処分は大蔵省が下したもので内部への処分は甘い、公務員の退職金も税金から出るのだから処分は軽い、懲戒免職にすべきだ、許しがたい、公務員全体の信頼を失墜させてしまった罪は減給で済まない、退職は当然、大蔵大臣が約束しておきながら処分は遅いし軽い、許せない、こういう声がどんどん出されているわけであります。
 そこで、具体的にお聞きをしたいと思います。
 大臣談話で松永大蔵大臣は、「金融機関との間に行き過ぎた関係があった」というふうにあります。あるいは大蔵省の発表文には、「節度を超えた関係」、こういう表現があります。極めてあいまいな表現だと思うわけであります。どこまでが認められるところで、どこから超えれば行き過ぎた関係になるのか、何を基準にその点を判断されるのか、松永大蔵大臣にまずこの点をお聞きしたいと思います。
佐々木(憲)委員 
 職務に関係のある業者との間の接待、会食、こういうものは許されないというお話でありました。
そこで、今回、百十二人の処分が発表されたわけでありますが、この処分のランクづけがありますね。停職、それから減給あるいは戒告。ところが、それぞれの基準というのが示されておりません。
つまり、減給と停職との間の基準といいますか、仕切りはどこにあるのか、あるいは戒告と減給との間の仕切りはどこにあるのか。つまり、接待の内容を具体的な基準として示していただきたい、こう思います。
武藤政府委員 
 ただいま大臣からも御答弁がございましたけれども、まず、判断の基準といたしまして、当然のことながら接待の回数といいますか、そういうものが基本にございます。しかし、仮に回数は同じ、あるいはより少なくても、より問題のあるケースもあるのではないかということから、私どもは幾つかの基準を設けて判断いたしました。
その第一は、八年十二月の倫理規程の制定前後で世の中のこの問題に対する対応が違った。
したがって、公務員としてそういう倫理規程に従うべきであるということから、その後におきましてはより厳しく、その前におきましては、これはその当時、例えば八年の十二月の前でも、七年五月のいわゆる大蔵省の中での通達がございますけれども、その間は次に重く、それよりさらに前になりますと、原則として会食は行わないといったようなことで、一定の社会通念上許される会食というものがあったというのが、残念ながらそういう認識が職員の中にあったのも事実でございますので、そういう意味で倫理規程等との関係というのが第一点でございます。
第二点は、職務上の関係があったかどうかということでございます。
それから第三点は、同一の相手方と反復、継続する度合いが非常に強いといいますか大きいケースにおきましては、より戦務の公正を疑われるのではないかということでございます。
 そういうものを総合判断した上で、さらに、管理監督の立場にある者、位の高い者はやはりそれだけ責任も重いというようなことで、そういうことを総合勘案いたしまして判断をしたわけでございます。そういうことでございますので、これは一般的な基準でございますが、それを個々具体的に当てはめまして、あそこに御報告しましたようなそういう判断に至ったわけでございます。
佐々木(憲)委員 
 今言われた基準を当てはめて処分を行った。
 それでは、先ほど上田議員の質問に対しまして武藤官房長は、戒告以上の処分について、一人一人について処分理由を文書で具体的に示すことを検討する、このように答弁されましたが、それはいつまでに結論を出し、いつまでに公表する予定でしょうか。
武藤政府委員 
 つい先ほどの御質問でございましたので、ちょっと、いつまでにということを今申し上げられませんけれども、真剣に検討いたしたい、このように考えます。
佐々木(憲)委員 
もう既に処分もされて、そしてまた基準も明確なわけでありますから、現実にその資料はそろっているわけですね。あとは公表するかどうかということだけであります。
直ちにこれは公表すべきだと私は思うわけですが、その決意、これは大蔵大臣にお聞きした方がいいかもしれません。基準が今明確にされましたね。そして、それに基づく処分が行われたという事実がありますね。ですから、それぞれの処分者のこういう理由でこういう処分になったという具体的な中身について、これは少なくとも戒告以上については直ちに明らかにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
松永国務大臣 
 国会の委員会等で正式に答弁をするというのは、これは公表したということに理論上なるんじゃないでしょうか。ただ単に文書をつくって配るということよりも、国会の委員会の場で答弁の形で申し上げるというのが一番権威があるんじゃないでしょうか。
佐々木(憲)委員 
 それならば、今ここで戒告以上のそれぞれの理由について具体的に述べてください。
松永国務大臣 
 もう一つ申し上げておきたいことは、先ほど官房長から判断の基準というのを答弁をいたしました。その基準に基づいて総合的に勘案して結論を出したということであります。これは裁判とは全く違いますけれども、この種の場合の処分の量定といいますか、裁判の場合には量刑と言うんでしょうけれども、この量定については一応の判断の基準があり、それに基づいて総合判断して重さのかげんを決める、こういう仕組みになっておるわけであります。したがいまして、その概要についてはお答えはできる、こういうように思います。
佐々木(憲)委員 
 具体的なことについて少しお聞きをしたいと思います。
今回処分を受けた滝本銀行局保険部第一課長、これは当時の肩書でありますが、この方は現在は証券取引等監視委員会総務検査課長でありますが
一九九五年一月十九日、二月九日、二月十四日、この三度にわたりまして日本生命副社長、現在の社長から接待を受けたという報道があります。
これについては検査をしたでしょうか。事実はどうだったでしょうか。
武藤政府委員 
 私どもはいろいろな金融機関からの接待の状況というものを調査いたしましたけれども、本人の申告及び相手方に対する問い合わせ等々いろいろな手段を講じておりますので、中身の個々の名前を申し上げてお示しするということはこの場では差し控えさせていただきたいというふうに思います。
佐々木(憲)委員 
 具体的な調査を行ったわけでありますから、では、この問題について対象にはなったということでしょうか。
武藤政府委員 
今御指摘の者につきましては、保険会社との間でかなり頻繁に会食が行われておったということと、さらに、今お示しの個別のところがら接待を受けたということは把握しております
けれども、具体的な場所等までは確認できておりません。
佐々木(憲)委員 
 具体的な点は把握しているという答弁でありました。内容については公表していただきたいという要望を申し上げておきます。
 きょうの日経によりますと、杉井、長野両氏に大蔵大臣は、責任の重さを考慮してみずから進退を判断してほしい、このように要請をされて事実上辞任を求めたという報道がございます。長野証券局長、杉井審議官は、辞職願を出して受理されたということであります。
 その扱いですけれども、これは自己都合による退職という扱いなのか、それとも、事実上要請されたというわけでありますから、これは勧奨退職という扱いになるのか、どちらでしょうか。
松永国務大臣 
 私が具体的に辞職を要請したという事実はありません。辞表を出したのは、二人の文字どおり任意の気持ちで出された辞表提出であったというふうに私は思います。

142 - 衆 - 法務委員会 - 11号 平成10年04月28日
保坂委員 
 それでは、この法案をちょっと離れまして、昨日、大蔵省の一連の、日本を揺るがした事態というふうに言ってもいいと思いますが、一連の処分が発表されました。このことについて、大蔵省に来ていただいていると思いますので、幾つか伺っていきたいと思います。
 まず、今回の大蔵省の処分の前提になった大蔵省内の調査は、職員の自己申告だけなのか、それとも接待をした側の金融機関からの調査報告を受け事実確認をしているのかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。
溝口政府委員 
 御指摘の点は両方でございます。
 手順を申し上げますと、調査対象者から、記憶と記録をたどりまして、まず申し立てのメモを提出させました。そのメモを、各局の服務管理官、あるいは金融服務監査官室というのを設けましたが、そこで個別に面談をいたしました。それから、いろいろな資料等もございます。あるいは申し立て書の中で一緒にいたとか、そういう資料もございますし、あるいは外部からの情報もあったと思います。
 そういうものを相互に確認いたしまして、その過程で問題がありそうな方につきまして相手方の民間金融機関に照会をいたしまして、それによりまして調査の内容を確認していったということでございます。
保坂委員 
 そうしますと、金融機関側から照会を受けて返事があったということだと思いますが、その内容をきちっと報告されるということを求めたいと思いますが、どういう内容だったのでしょうか
保坂委員 普通なら、会って調査した後とどめると思うのですが。
 それでは、長野前証券局長が受けた百二十七回にわたる接待ということが明らかになったわけですけれども、証券局長という職務に関連した何らかのテーマについて、接待した側も長野前局長も、それぞれが認識してその接待が行われたという事実があったかどうか、どのように掌握されているでしょうか。
溝口政府委員 
 今回の調査におきましては、職務に関連した依頼を受けたか否かについても調査を行っておりますが、そうした事実は確認されておりません。
保坂委員 
 法務省刑事局長に伺いますが、接待の海という言葉がたびたび、莫大な資料を精査する中でも漏れたということも聞いております。
長野前局長、杉井前審議官、その他もっと回数が多い方もいらっしゃいますけれども、これは、大蔵省内の今回の調査は終わって、そして懲戒に付された者もいる、あるいはやめられた方もいる。しかし、今回の一連の、大蔵省の構造的な、つまり接待そのものを収賄の構成要件として捜査も進められてきたわけですから、今回の事件、この大蔵省内の調査でおしまいというわけではないのだろうというふうに思う
のですが、その点、いかがでしょうか。
原田(明)政府委員 お答え申し上げます。
 検察官におきまして、今後どのような事項について捜査するかにつきましては、捜査機関の活動内容そのものにかかわる事柄でございますので、答弁を差し控えたいと存じます。
 一般論として申し上げますれば、検察官は常に法と証拠に基づき適切に対処するものと考えます。

衆 - 大蔵委員会 - 24号 平成10年05月06日
佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海です。
 先週、当委員会で、私たち、大蔵省が発表した処分の問題について質問をいたしました。その質問を受けて、先週の大蔵委員会理事会に大蔵省から一つの資料が提出をされ、処分の詳しい内容についての中身が発表されました。これは、全体を集めると相当分厚いものになります。しかし一これを見ても、率直に言って肝心な点は何にもわからないということを言わざるを得ないと思います。
 一つお聞きしますけれども、一番処分の重い杉井審議官、ゴルフや会食の数は六十七回で処分の軽い人よりも少ないというのもありますが、この人が一番重い処分になった理由は、反復、継続的な会食等があった、これが理由ですか。
武藤政府委員 
 処分の基本的考え方といたしまして、平成八年十二月の倫理規程以降において依然として会食等をやっていた場合は特に重く判断する、それから、職務に関連のある者との会食については関連がない場合と比べて厳重な判断をする、それから、反復、継続が行われている場合には重大に判断する、あとは、管理監督の地位にある者に対してはそれ相応の責任を求めるといったような四つの基本的な考え方によって私どもは判断をしたわけでございます。
 杉井につきましては、一つは、八年十二月以降におきましても倫理規程に定める手続きを経ずに会食を六回行った。それから、確かに反復のものが、十回を超えたものが複数あったということであります。
 さらに、この点について私ども特に重大に考えているわけでございますけれども、杉井は、平成四年から七年までの間に綱紀保持の担当者であります大臣官房秘書課長の職にありまして、特に七年五月のいわゆる田谷、中島事件のときに出されました「綱紀の厳正な保持について」という通達の発出に携わっておりました。その前後においても会食等が行われていたということについて私どもは重く判断をしたわけでございます。
 回数ももちろん基準の一つではございますけれども、そういう中身において杉井については大変重大な問題が多いというふうに考えた次第でございます。
佐々木(陸)委員 
 杉井審議官が金融機関から受けた十回以上の会食、複数だと言いまずけれども、これは二つの金融機関ですか、三つですか、四つですか、五つですか。
武藤政府委員 
 二つの金融機関でございます。
佐々木(陸)委員 
 ですから、私は申し上げたいと思うのですけれども、十回以上も続けて特定の金融機関から会食を受けていれば、その金融機関に対して何か特別のサービスをしてあげるとか、あるいはその金融機関に対して不利なことをしないようにしてあげるとか、つまり、作為、不作為によってその金融機関に対して有利になるようなことをしたということは、当然、国民からは疑われるわけですね。それで、それを疑われるような事実は大蔵省が調べた限りでは確認できなかったということであって、そういう事実が本当になかったかどうかということの証明は、もちろん捜査機関じゃないわけですから、できていないということははっきりしていますね。ですから、この調査の結果からはそういうことは我々も全然わからないわけです。
 そして、ついでにお聞きしておきますけれども、この杉井審議官の場合の二つの金融機関というのがどの金融機関とどの金融機関ということは発表できないわけですね。
武藤政府委員 
 相手のあることでございますので、個別名は差し控えさせていただきたいということでございます。
佐々木(陸)委員 
 相手のあることということをしばしば繰り返されるのですけれども、その相手というのも、十回以上も会食をして何らかの依頼をしたという疑いを持たれる金融機関のわけです。いいことをやっているわけじゃないのですよ。
 相手のあることだから相手から聞いたところは発表できないと言うのだったら、少なくとも本人の申告したものだけについて、どの金融機関と何回会食したかと、確認した相手の金融機関の名前を出してはいけないと言うのだったら、本人の申告したその金融機関についてだけでも発表できることはいろいろあると思うのですよ。私たちは、あなた方が職務の公正をゆがめることがなかったということを証明するようなものはなかったと言われても、軽々に信じるわけにはいかない、金融機関の名前が全然出てこないわけですから。
 だから私は、ここで余りいろいろやってもしようがないですから、委員長に要望しておきたいと思うのです。もう少しこの調査の内容の具体的なものが出せるように理事会でもさらに協議をしていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

142 - 衆 - 法務委員会 - 17号 平成10年05月20日
木島委員 
 日本共産党の木島日出夫でございます。先週の水曜日の一般質疑、五月十三日でありますが、大蔵省の接待問題について質問をいたしました。大蔵省、参っておるようであります。
大蔵省の方に、滝本豊水氏が日本生命から下記三件について接待を受けたのは事実かと。
一つ、平成七年一月十九日、サロン・ド・ミネルバ。
二つ、同年二月九日、氷川。三つ、同年二月十四日、氷川。
そして、事実だとすれば、同氏の処分事由の会食回数としてカウントされているのか。私がこの点を質問したのですが、法務委員長からも大蔵省に資料要求という形で出ていると思うので、改めて、その事実の有無について、きょう大蔵省から篤と承りたいと思います。
渡辺(博)説明員 お答え申し上げます。
 先週、御質問を委員からいただきまして、また委員長の方からも御指導をいただきまして、それを踏まえまして、お答えをさせていただきます。ただいま御質問をいただきました者につきましては、
平成六年七月からの約一年間、銀行局保険部保険第一課長の職にあったわけでありますが、その間、その職から見ての、
職務上の関連ある民間金融機関に該当いたします複数の生命保険会社との間でかなり頻繁に会食が行われていたということを把握しておりますし
さらに、御質問のありました個別の会社との間でも会食を相当回数行っていたということを把握しております。
 これは、御質問の対象であります本人の記憶に基づいて行われました自主申告においても認めているところでございますし、それを踏まえました当方の調査、さらには、相手方民間金融機関への照会を通じて、当方として把握したところでございます。
 しかしながら、今、保険第一課長在職中の期間内に行われたのではないかとされております御指摘の三回の会食のように、日時、場所を特定しての御質問につきましては、この点についての本人の記憶も、現時点から三年以上も前ということもありまして、必ずしも定かではなく、また相手方民間金融機関からも、日時へ場所については正確な確認がとれておりません。
 したがいまして、個別の会食への参加の有無について、国会の場で正確にお答えすることは困難であると考えております。
 以上、まとめて申し上げれば、御質問の対象となりました者が、御指摘の個別の会社との間で、御質問の時期を含む期間中に会食を行ったという事実及びその回数については把握しておりますが、具体的な個別の、今の例示であれば、三回の会食へ参加したかどうかの有無については確認ができておりません。
 以上でございます。
木島委員 
 きょうはこの問題で余り時間を使いたくないのでありますが、不満であります。わずか三年前であります。そして、もう既に
大蔵省も承知のように、時間、場所、そして週刊誌の報道によれば、そこに同席していた者まで名前が出ておる。週刊誌には政治家の名前までが出ておる。
 そして、前回大蔵省からの答弁にもありましたように、
五十五年ぶりの保険業法の大改正の直前であったということ、その他その他、
三年前の飲食であり、もし事実とすれば到底忘れることのできない会食だと私は指摘せざるを得ないのです。十数年前の話じゃないわけです。
保険業法という大改正の直前の時期の、しかもその担当部署の職責にあった時期で、保険業界の最大手の幹部との会食が指摘をされているわけです。
 前回の質問後、大蔵省は滝本氏から直接、もっと詳しく事実関係を思い出すようにという調査はやられたのですか。それを受けて今のような御答弁なのですか。
渡辺(博)説明員 お答えいたします。
 先日の御質問を受けましてから本人に確認をいたしまして、それを踏まえましての今の答弁でございますが、
本人の方からも、御引用になりました写真週刊誌に記載されております先方会社の幹部と会食を行ったということ自体は記憶にありますが、何年何月、それがどこの場所でということまでの確認は、本人としては手帳等に記載がない以上記憶がないということでありますが、そこに記載のありました幹部との会食があったということは記憶にあると。
 したがって、それは回数としてはカウントをされているというふうには私どもとしては認識をしております。
木島委員 
 大分事実が明らかになってまいりました。それでは、きょうは時間と場所を詰めるのは私はやめます。
 そして、今の答弁の中で、保険会社の幹部との会食は認めておったという答弁でありますが、それでは、あの週刊誌に出ていた政治家がそこに同席していたかどうかという、その点での事情聴取はされましたか。それに対する滝本氏の回答はどんなものだったのでしょうか。
渡辺(博)説明員 お答え申し上げます。
 今回の一連の我が省の職員と民間金融機関との関係についての調査及びそれに基づく処分という関係におきまして、私どもの方としては、職員本人と相手方の金融機関、そして相手方金融機関の出席者がだれであるか、あるいは我が省の者としてその場に同席した者がだれであるかという相互のチェックをしておりますけれども、それ以外の方についての確認はしておりませんし、今回もそういう点についての確認は行っておりません。
木島委員 
 今検察当局は、大蔵省を中心とするさまざまな金融機関との接待関係について捜査もし、そして、それが贈収賄事件になる職務に関しての接待だというところまで事実が把握できた者に対しては、起訴までしておるわけですね。起訴をしているわけです。検察はそこまでやっているわけですね。
 そうしますと、大蔵省としても、単純なる接待を受け飲食をしただけなのか、請託を受け一定の行政行為等に対しての要望を受けていたのか、これはもう重大なものであり、当然調査すべきであろうと思うのですね。そして、その受けた請託は政治的なものだ、国会にかかわるものだというふうになれば、そういう接待の場に政治家がいたのかいないのか、まさに重大な問題だ。
 この問題の解明なしに、接待の回数だけで処分が行われているとすれば、大蔵省の今回の処分というのはまことに不十分と言わざるを得ないと思うのです。回数の問題ではない、もっと重大な、たった一回の回数でも請託を受け職務が曲げられれば、処分は重くて当然なわけでありますから、やはり私は今の答弁には納得するわけにはいかない。
 どういう会食であったのか、政治家が関与したのか。特に、前回保険業法の改正の直前だ、その担当に当たる職員と保険業界最大手との会食だということがきょうの答弁でも明らかになってきたわけですから、やはりこれは調査すべきなのじゃないでしょうか。大蔵省、どうですか。
渡辺(博)説明員 お答え申し上げます。
 今回の調査におきましては、相手方金融機関がどのような趣旨で会食あるいはそれ以外の接触を持ったとか、そういう点での聞き取りを特に行ったわけではございませんけれども、まさに委員御指摘のように、それぞれの場において会食、あるいはそれ以外の場においても個別の請託あるいは便宜供与の依頼等があったということについては我々も関心を持って調べております。
 これにつきましては先週の委員会で私が既に答弁申し上げておりますので、重ねて申し上げますが、今回の御質問の対象となっている人物につきまして、職場での接触あるいはそれぞれの会食等の場においてどのようなことが話されていたかということの中において、具体的な請託あるいは便宜供与の依頼があったのかどうかということについては、本人に個別に確認を行いましたけれども、これにつきましてはそのようなものはなかった、そういうような例は確認されていないということは先週もお答え申し上げたとおりであります。
木島委員 
 では、その問題については質問をやめますが、しかし、保険業法の改正の直前で、担当に当たる職務に従事している大蔵省の職員が業界の幹部と飲食していた、週刊誌には政治家も一緒にいたのじゃないかということが指摘されている、それは重大なのですね。だから、直接具体的な請託があったかどうかについては、私はきょうは質問いたしません。
保険業法の改正の直前ですから、政治家がいたかどうかというのは、その事実だけでも私は重大だと思う
ので、少なくともそこは調べておくべきではないか、どうでしょうか。
渡辺(博)説明員 お答え申し上げます。
 今回の調査全体におきまして、多くの人間に対しまして調査を行ったわけでございますが、それがそれぞれ個別の相手方の民間金融機関との間でどのような接触を行っていたかというのは、会食あるいはゴルフをともにしたというだけではなくて、それ以外の接触も含めて関心を持って調べているところでありますけれども、その際に、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、こちら側の、大蔵省側の出席者あるいは先方の民間金融機関の出席者については可能な限り明らかにしようということでございますけれども、それ以上の方あるいは第三者という方がどのような形でそこにかんでいたかということまで具体的に調査をするということは現在まで行っておりませんし、今後ともこの調査の一環として行うということは考えておりません。
木島委員 
 大変不満であります。自分の不利益になるような事実については調査を受けても答えたくないというのが一般的な心情であろうと思うわけでありますから、ひとつそこは、きょうは質問をこれで打ち切りますけれども、調査するつもりはないという答えでありますが、ぜひ重大問題として調査をやっていただきたいということを重ねて大蔵省にお願いだけしておきまして、この問題は打ち切ります。大蔵省はお帰りいただいて結構であります。
 続いて、翻って、検察あるいは法務省当局の接待問題について、私は、法務委員会でも質問をしたことがあるわけで、きょうはその問題は質問いたしません。ただ、最近週刊誌等々によって、やはり検察の姿勢も手ぬるいのではないかという大変厳しい指摘が出始めているのではないかと思います。
 これは、ことしの五月二十二日付の週刊ポストという週刊誌の記事でありますが、「ならば検察の疑惑はどうなんだ!」という見出しの文書でありまして、ちょっと気になる記事がありますので指摘をし、こういう事実を法務・検察当局はつかんでおるのか、重大な関心を持って見ておるのかについてお聞きしたい。読みます。
 私が前回取り上げた、
法務省から出向した二人の検事に対する処分に深くかかわった同省幹部がこう言う、
「職務上関連する業者との会合を接待というのであれば、法の番人たる検察は、すべての国民、法人が《関連業者》にあたるはずだ。そうした飲食は検察でも日常化していた。杉井審議官」、大蔵省ですが、これは「辞任したが、
それなら、一緒に会食していた東京地検の石川検事正はどうなのか。週刊ポストでも報道していたように、長野証券局長が北新地」、大阪であります
「北新地で行きつけだったクラブ『A』に、検察首脳が入り浸って一緒に接待を受けていたことも省内では知らぬ者がいない話だ。」
こんな記事が公然と出ているのですね。これは、もう検察・法務当局にとっても見過ごすことのできない事実だと私は考えます。
 そこで、法務大臣、法務当局にお尋ねしたいのですが、こういう記事が出ていることは承知しておるのでしょうか。そして私は、これが事実ならゆゆしいことなので、やはり大蔵省だけの問題だと、大蔵省の問題をよそ目に見て知らぬふりしているのじゃなくて、他山の石として法務・検察当局、省内、庁内でも、大蔵省以上に検察は襟を正さなければいかぬわけでありますから、やはりそういう接待がないか、改めて徹底した内部調査が行われてしかるべきだと思うのでありますが、御所見をお伺いしたい。
但木政府委員 
 御指摘のような報道がなされているのは承知しております。しかしながら、一つの報道機関がそういう事実を報じたということをもって、調査あるいは捜査を開始すべきであるというふうにはならないというふうに考えております。

142 - 参 - 財政・金融委員会 - 18号 平成10年05月28日
三重野栄子君 
今回の調査によりますと、過去五年間に金融関連部局に在籍された職員に限定して行われているのではないかと思います。
おやめになりました長野前証券局長、それから杉井前銀行局審議官はいずれも主計局が長かったのではないでしょうか。
主計局の幹部の経験もおありのようです。
また、他の職員も金融関連部局以外の主計局などに在籍中にも継続して接待を受けておられたのではないかと思うわけです。
したがいまして、今回の調査結果を踏まえまして、他の部局においても他省庁などからの官官接待を含めた実態調査の必要性が高いのではないかと思うわけです。
 大蔵行政に対する国民の信頼を回復するために一日も早くすべてを明らかにすべきだと思いますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。

142 - 参 - 行政監視委員会 - 7号 平成10年06月08日
国務大臣(松永光君) 
 大蔵省をめぐる接待問題の概要について御説明申し上げます。
 昨年来、金融行政に関連する部局の職員について、民間金融機関との関係において種々の疑惑が指摘され、さらに大臣官房金融検査部等に在職していた職員四名が民間金融機関からの収賄容疑で逮捕されたこと等により、金融行政そのものに対する不信感も高まりかねない状況にあったことから、大臣官房金融検査部、証券局、銀行局等の金融行政に関連する部局の課長補佐以上に相当する職に在職した職員に対して、銀行、保険会社、証券会社等の民間金融機関等との間における会食等について調査を行ったところであります。
 調査の結果、多数の職員について民間金融機関等との間に節度を欠いた関係があったことが判明したことはまことに遺憾であり、深くおわびを申し上げたいと思います。
 調査の結果に基づき、これまでの国会での御論議も踏まえつつ、四月二十七日、厳正な処分を行ったところであります。その内容は、国家公務員法上の懲戒処分である停職が一名、減給が十七名、戒告が十四名、内規に基づく処分である訓告が二十二名、文書厳重注意が三十三名、口頭厳重注意が二十五名、合計百十二名であります。このほか、国家公務員法上の懲戒処分対象者ではありませんが、辞職した者が一名おります。これはかつて例を見ないものであり、まことにざんきにたえません。また、
長野証券局長、杉井大臣官房審議官から辞職の申し出があり、これを受理しました。
このほか、墳崎近畿財務局長ほか四名を四月二十七日付で官房付に更迭をしたところであります。
 このような事態に立ち至ったことは、本人の倫理観の欠如はもちろん、本人の自主申告により綱紀の保持を図る倫理規程の仕組みがその実効性を担保する仕組みになっていなかったことなどによるものと思われますが、このような公務員として節度を欠いた関係があったことを深く反省するとともに、綱紀の厳正な保持を図り、信頼回復に向けて職務に邁進することを決意し、私を初め幹部職員は俸給の一部を国庫に返納することといたしました。
竹村泰子君
 大阪の朝日新聞、これは大阪版だけなんですけれども、こういう報道を見つけました。「関西金融再編に影響も キーマン二人姿消す」、こういう見出しなんです。
キーマン二人というのは、言うまでもなく杉井孝大臣官房審議官と墳崎敏之近畿財務局長のお二人で
関西の金融再編のキーマンと見られていたという報道
であります。
 大臣はよく御存じのとおりでありますけれども、
杉井氏は銀行局審議官として中小金融分野を担当、同年十一月、第二地銀の阪和銀行に銀行として戦後初の業務停止命令を出す決意をされた。
また、昨年は、預金保険法改正のために奔走をなさったというふうにお聞きしております。
今回の処分で杉井氏は、処分を受けた後に自主退職をしていらっしゃいます。
 墳崎氏は官房付となり、キーマンが二人いなくなった関西の金融界は非常に大きなショックであったというふうに見られているわけであります。
 私が何を言いたいかといいますと、接待王と呼ばれるような、すごい接待の洪水を毎日毎日受けておられたこの方たち、キャリアの方たち、もうラーメンが食べたいよと。毎日毎日宴会の料理はもう嫌だよ、僕はラーメンが食べたいよとおっしゃるくらいの接待漬け攻勢であったということであります。接待を受けられる官僚はできる官僚なんだという、関西金融界のキーマンとか、あるいはもうお一人お一人お名前は挙げませんけれども、さまざまな接待漬けになっておられた方たちは仕事のできる人たちだった。
仕事のできる人間にお座敷がかかるのは当たり前だろうと自負しておられたと。これは杉井さん御本人がおっしゃった言葉だそうです。それは当然のことだろうと。
私の目に触れたのは朝日の大阪版の記事でありますけれども、他紙も大阪紙面ではこのような記事が出ていたのではないかと思います。
 この接待王たちの自負といいますか傲慢といいますかおごりといいますか、こういうことが大蔵省の常識になっていたというふうに私どもは思います。その大蔵省の常識がこういった腐敗を呼び、キャリアの犯罪を呼び、そして大蔵省のみならず省庁のキャリアたちの犯罪が次々と暴露されている、露呈しているということではないかと思うんです。
 大蔵省の体質となっているということになりますと、露呈するのはこれは交通事故と同じで不運だったと。みんなやっているのに当たり前のことなのに。私どもがいただきましたこの処分の名簿、そして処分事由、処分内容を拝見しても、百十二名の方たちの処分事由というのをずっと読んでおりましたらそういう感がするのであります。まさに接待されるのは、できる人が当たり前のこととして、当然のこととして接待を受けている。露呈したのはほんの不運な人であってというふうな言い方を私たちは聞くわけであります。
 こういうことで、杉井さんについては一番重い停職四カ月ですか、これは非常に重い処分だったというふうにおっしゃっておりますけれども、こういう体質が果たしてこれらのことで今日是正されてきているのだろうかと非常に私は疑問に思うわけであります。
 今回の処分で、松永大蔵大臣は、当初は事務当局の案を見た上で自分で判断するという態度で臨んでおられた。首相や自民党幹部の感情を探っておられるうちに、事務当局主導による従来の処分の延長線では首相官邸が納得しないという判断に達しられたというふうにお聞きしております。
橋本龍太郎首相は、小村前事務次官に辞表を持ってこいとおっしゃったと。
三塚前大蔵大臣が金融検査をめぐる汚職事件の責任をとって辞任をされた。
このとき小村さんと武藤敏郎官房長は居座りを決め込むつもりだったといううわさを聞いております。
監督責任を名目にして、次官、官房長に戒告程度の処分をするという案をつくり、橋本総理のところに持っていった。このときにはまだ松永さんは蔵相におなりになる前ですから、橋本さんに持っていったと。当時、それに対して総理の怒声が飛んだわけでありまして、
小村、武藤両氏は辞任を申し出たのに対して、武藤氏については立て直しのため残れという命令を出されたと、
こういうふうにお聞きしておりますが、大蔵大臣、これは事実と違いますか、どうですか。
国務大臣(松永光君) 
 たくさんのことについての御発言がありましたので、そのすべてについてお答えできるかどうかわかりませんが、まず竹村先生に申し上げたいんですけれども、官庁の中の官庁とかいう言葉はお互いに使わぬようにしたらいかがでしょうかと私は思うんです。官庁の中の官庁という言葉が続けば官僚の中の官僚と、ほかの官庁よりも大蔵省が偉い官庁だと。ほかのお役所の官僚よりも大蔵省の官僚が偉いんだというようなことがまかり通れば、それは甚だよろしくないことだと思うのでありまして、ただ予算編成の関係では、制度の仕組みの上からいって各省が持ってくる予算要求を事務的に査定するという任務は与えられておるけれども、各省が上下の関係にあるわけじゃない。したがって、官庁の中の官庁という言葉は私は好きじゃありませんし、使わぬことにしております。
 また、官僚の中の官僚という言葉も、これも私は適切じゃないというふうに思うのでありまして、この政界でも、あるいは一般の社会でもそういう言葉はもう使わぬようにした方がいいんじゃなかろうかと、私はそう思っているわけであります。
 その上で御答弁申し上げますが、まず、接待漬けをしているような人間が立派な仕事ができるはずはないと、私はそう思っております。仕事ができるような人が案外接待の誘いは受けるでしょう。受けるでしょうけれども、本当に仕事を一生懸命やろうとするならば、連日のように接待をされてそして酒を飲んでおって立派な仕事ができるとは私は思わないです。
 また、大蔵省の役人の中でもほかの役所の中でも、そう日常生活が乱れているような人でいい仕事をしているということは私は聞きません。のみならず、私生活もきちっとしている人がやっぱりいい仕事ができるのではなかろうかと。一つの仕事が終わった後に御苦労さんという意味での慰労会的な接待なら別として、日常茶飯事のごとく飲み食いしておった日には私はいい仕事はできないのではなかろうかというふうに思います。
 ただ、今一、二御指摘をされた人についてはどうもそういう感じがあったように思いますけれども、したがってその方についてはそれなりの処分をしたというふうに思っております。
 それからもう一つは、これは私の感想も入るわけでありますけれども、今までは、少なくとも平成八年の暮れにこの倫理規程というのを制定してそして発出するまでは、金品をもらっちゃいかぬけれども飲み食い程度はという気持ちがあったんじゃなかろうかというふうに私は推測をしておるんです。というのは、倫理規程が発出された後は実は接待、飲食の回数は極端に減っております。そういったことからいって、やはり倫理規程発出前と発出後は相当程度違ったのかなという感じを
私は持ちました。
 同時にまた、今回の処分というのは、少なくとも国家公務員法に基づく懲戒処分を受けた者については、役所の経験のある人は御存じでございましょうけれども、一生人事記録に載るわけでありますからこれは大変な制裁になるわけであります。したがって、今回の処分は大蔵省の職員全体について相当厳しい戒めになるものというふうに私は思っております。
 しかし、今後とも倫理観を持って、そして綱紀を厳粛に保持して、そして職務に当たるのが公務員の務めでありますから、今回を契機にして先ほど申し上げましたとおり厳しい倫理観を持って職務に当たってくれることを期待しておるわけであります。
竹村泰子君 大臣、私と対話をしてください。質問中です。
 それで、大臣が今おっしゃったように、よく仕事のできる人が接待漬けになる、接待王とまで言われると私の言ったことが、そんなことはありません、それは事実と全く違いますとおっしゃるのであれば、あなたは余りにも事実をお知りにならな過ぎると言わなければなりません。国民はそんなことは思っていませんよ。事実こうやって公開された、これはほんの氷山の一角かもしれないけれども、
この処分事由というのを見れば、ゴルフが六回、会食が十数回、ゴルフを三十回とか出てきているわけですし、人によっては三百六十五日毎日接待漬けであったという人もいるというふうに聞いております。そういうのを聞きますと大臣のお答えは余りにも建前論であり、そらぞらしく私どもには聞こえます。
 もちろん、そうだからといって私は検察じゃありませんから決めつけているわけではありませんし、そういうことであったのではないかといって今お聞きしているわけですけれども、もし私の言っていることがたとえ半分でもそうなのであれば、やっぱり大蔵省の体質がどこまで直っていくのか。九〇%以上の大蔵省のお役人さんたちがまじめに仕事しているのを私たち知っています、よくわかっています。ですけれども、一握りのキャリアがどれだけ大蔵省を毒しているか。
 接待漬けわいろというのはこれは犯罪じゃないですか。
杉井さんという方についてはまさに省内の綱紀粛正に関する通達を出す人だったわけですね。九五年当時の秘書課長として通達の直接の担当者であった。
通達を出した本人が接待をこれだけ受けていれば下の人たちは、ああ、あのくらいだったらいいのか、通達は出ているけれどもあのくらいだったら許される範囲なんだなと思うのは当たり前じゃないでしょうか、これ。責任は極めて重大だということがあって大臣が四カ月の停職にされたということであろうと思いますけれども、こういうことで私どもはなぜ懲戒免職ができないのかと思うわけです。
 この杉井さんという方は自主退職ですから、退職金をおもらいになったんですか。幾らもらわれたんですか。
国務大臣(松永光君) 
 私は先ほど答弁をしたわけでありますけれども、キャリア全員がしょっちゅう接待漬けの人だったというふうに言われてはちょっと、まじめにやっている人もおるわけでありますから、その点は理解をしていただきたいと思います。大蔵省のキャリアの職員の中でも、今処分を受けたような人はある意味では接待漬けだったという表現が当たるのかもしれません。それまで私は否定するつもりはありませんが、ただ、キャリアの中にもきちっと節度を踏まえて、そして自分の職務に精励しておる人もいるということは竹村先生にもわかっていただきたいなというふうに思うわけです。全部と言われてはキャリアが浮かばれませんから。
 それからもう一つ、今の、名前は伏せておったわけでありますが、出ましたので申し上げますが、
杉井氏については、先ほど接待王という言葉がありましたが、その表現が必ずしも外れているということじゃない、いわばそれに近いような行動であったんだろうというふうに、これは事実からいってもまたうわさからいってもそういう感じは私も持ちました。
しかも倫理規程を作成し発出したときの直接の担当課長でありますから、それが倫理規程発出後も数回にわたる接待を受けておったということ、これは一番いわゆる状が重いということで、処分を受けた人の中では一番重い処分にしたということでございます。
竹村泰子君 
 私もキャリアが全部悪いとか言っているわけではなくて、大蔵省の中の一部のキャリアの人たちがというふうに申し上げたつもりだったんですけれども、どうかそこは誤解なさらないようにしていただきたいと思います。
 時間がもう来てしまいましたので終わらなければなりませんが、こういったわいろとは何ぞや、これは大森先生にお聞きした方がいいのかもしれませんが、わいろ罪とは何なのかというふうなことについては定説があるようでございまして、役人がこうやって仕事をしてわいろを授受したときには五年以下の懲役に処すとか、いろいろと法律上の決まりがございます。
なぜこの長野さんや杉井さんというような方たちを検察が見逃したのか
そこのところは私もちょっとよく理解できないところでありますけれども。
大森礼子君 もう時間がありませんので、最後に一つ。
 長野前証券局長については平成八年十二月二十六日以降の違反事実がないわけですね、ないならこしたことはないんですけれども。その前の期間には非常にあるわけです、二十数回、平成七年五月二十五日から平成八年十二月二十五日まで。そうしますと、杉井さんなんかはこの倫理規程が決まった後もやっているわけで、惰性でやったのかなと思うんですけれども、長野さんの場合はぴたっとやまって、それまでは何か許される範囲と思ったとかいろいろおっしゃっていたんですけれども、この倫理規程でぴたっとやまっちゃったのかなと。規範意識が覚せいしたのであればそれはいいと思うんですけれども、何か不自然な気もするわけです。本当にこの期間なかったと言えるのでしょうか。
 それから、処分の理由について、長野氏の部下であった榊原氏が違反行為、これは逮捕、起訴までされているわけなんですけれども、長野氏の処分事由の中には部下の監督不行き届きというのはないんですけれども、これはなかったと認定されたのでしょうか。
政府委員(溝口善兵衛君) 
 長野前証券局長の届け出の関係につきましての御指摘はそのとおりでございまして、平成八年十二月の通達以降は、先ほど申し上げましたが、八条によりまして例外として会議などを行う場合には届け出をすれば許される場合もありますけれども、そういうことをしないで行ったのはないということでございまして、全くないわけでございます。違反がないということでございます。
橋本敦君 
それから第三点は、処分は、今度の場合は特に杉井氏及び長野氏については余りにも軽いのではないかという国民の不信、私どもの不信というのはぬぐい切れないと思うんです。
これについて、退職金はそれぞれ返上したということで三割辞退とか二割辞退とかいうことはありますよ。しかし、懲戒処分としてそれぞれここに停職四カ月あるいは減給ということで、国家公務員法八十二条に基づいて懲戒処分ということがきちっとなされているわけでしょう。この処分の程度の問題なんですよ。
このお二人について言うならば、なぜこういう程度になったのかということですが、下級公務員の場合は数万円の接待でも数万円のわいろでも懲戒処分になっていますよ。
それから、先ほどもお話がありましたけれども、厚生省の例の福祉グループの問題については、和田審議官は百万円の現金をお祝いとして受け取ったというけれども、しかしこれは返している。それでもしかし小泉大臣は懲戒免職処分をなさっている、こういうことですね。
 今度の場合の懲戒処分の理由を見ましても、繰り返し接待を受け、下級公務員の皆さんに対して範を示すべき立場にある人が、あるいはまた倫理規程をつくったその人がこういったことを繰り返しているということについてこの程度の処分で、懲戒免職処分にもならずに退職金は多額に受け取れる、こういったことが国民感情として、行政に対する信を回復するに足るでしょうか。この問題を最後に私は厳しく伺って、質問を終わります。
国務大臣(松永光君) 
 私は私なりに、国家公務員法八十二条による処分関係について比較的経験のある人からの意見も聞き、それから過去の実例、先例も調べた上で、接待を受けたという場合の処分例としては最も重いランクに属するような処分をしたつもりであります。
 なお、ほかの省でしたことを言いたくございませんけれども、今の厚生省の例でございますが、返したとしても、翌日返したとか三日後に返したとかというならば返したことになるでしょう。相当期間たって返したのは返したとは見ないというのは委員御存じのとおりであります。その金額のほかに国家公務員として手にしてはならぬ金を数百万受け取っておったという事実も実はあるわけでして、それも後で返されたという話でありますが、そういったことから、刑事訴追は受けなかったけれども例外的に懲戒免職処分になったというふうに私は聞いておるわけであります。そのことと大蔵省の例とは次元が少し違うんじゃないかというふうに私は判断をした次第でございます。

最終更新:2013年08月03日 22:17