衆 - 大蔵委員会 - 24号 昭和27年02月29日


出席政府委員  大蔵事務官(主税局長)  平田敬一郎君

内藤(友)委員 
 税全体からながめまして、直接税と間接税との問題でありますが、実は今日直接税の方が非常に比重が重いために、税の問題は非常に大きな問題となつて考えられておるのでありまして、将来直接税と間接税というものに対して、大蔵当局は現状より少し方向をかえられて、何とか今日の税に対する不平不満をなくすようなお考えがおありかどうかということを、お尋ねしたいのであります。と申しますのは、実はこの直接税――もちろんそれはそれぞれいいところ、悪いところはあるのでありますけれども、今日これはひとり農業界だけではございません。一般産業界をながめてみますと、この税というものが増産をはばんでおる非常に大きな一つの要素になつておるのでありまして、こういうことは、これから日本の国が独立して行く上におきまして、まことに残念なことであります。日本の国は一日も早く何とか底力が少しでもつくようにして行かなければならぬときに、税の問題でそういうことができないようなことになることはこれは政府も国民一様に考えなければならぬ大きな問題ではないかと思うのであります。これは平田さんにお尋ねするのも少し御無理かと思うのでありますが、やがて平田さんは事務次官になられ、また将来大蔵大臣にもなられる方でありますから、どうかひとつ今のうちから御抱負がおありになりますれば、お聞かせいただきたいと思うのであります。
平田政府委員 
 直接税か間接税かという問題は、税制におきましていつも問題になるのでございますが、私どもも現在の日本の実際の所得水準、並びに所得の大中小の分布状況等から見まして、あまり直接税を重視するのはどうであろうかという気持は、確かに持つておるのでございます。先般も奧村さんと大分議論したのですが、

公平原則という点から行きますと、どうしてもやはり直接税がいい。

間接税はやはり大衆課税に陥りやすくて、負担の公平を欠くきらいがありますので、例のシヤウプ勧告では、所得税を中心にする直接税主義を強調しておる

わけであります。
税の一般論といたしましては、やはり直接税の方で行くのがいいという議論は、確かに正しいと思う
次第でございますが、その点は別といたしまして、しかし日本の場合において今考えてどうかということになりますと、あまり所得税を重視するのはどうであろうか。やはり相当程度間接税でまかなつて行くという行き方の方が、実際に即する点が多分にあるのではないかというふうに考えております。しからば間接税の代表的なものは何であるかということになりますと、実は酒、タバコがございますが、酒は千三百億、タバコは千二百億、これは相当なものでございまして、密造酒等を発見することによつて若干増收の余地はあると思いますけれども、税收にそう影響するほどのものではないと考えております。貨幣価値の変動ということを考慮に入れても、なお戦前に比べまして相当大きな酒、タバコの收入を得ておるということは言えるのであります。
その他におきましては物品税、砂糖消費税、織物消費税等が特別消費税になつておりますが、
織物は非常に大衆課税的性質が強いというのでやめた
のでございますが、これを復活したらどうかという議論は確かにございます。それから物品税につきましては、著侈品課税はいいが、必需品課税はいけないという具体的な問題になりますれば、税收を上げるということになると、なかなかまた摩擦が多い。ただそれにいたしましても、物品税の收入をもう少し上げたらどうかという考え方もあるかもしれませんが、かりに紙に課税し、あめに課税し、マツチに課税するのはどうかといつた議論も尊重するということになりますと、これまた物品税としては大した收入にならぬわけです。砂糖におきましても、そうむちやくちやに高くするというわけにもいかぬ事情にありまして、

間接税に依存するとしても、何人も間接税として異論の少いような間接税收入というものは、現在よりもそう多く期待できない。

一番代表的な間接税は実は取引高税、売上税でございまして、ヨーロツパの大陸はおおむね売上税によつて所得税と同額くらいの税收入を得ておるのでございますが、これにつきましても、日本におきましては、すでに過去においてはあまりうまく行かなかつた例もございますので、そこへ行くのもどうかと考えます。抽象的に日本の現状から見て、間接税の方がいいじやないかという議論はございますが、しからば大幅に移行するかどうか、あるいは移行できるかという問題になつて来ますと、これまたいろいろ問題がありますことを、われわれとしましては考えざるを得ないというのが現状かと思います。しかし今御指摘の所得税はどうも少し重過ぎるということは、私も感じておりまして、従つて所得税の減税たけは他の諸税に比べて、財政需要額等で相当犠牲が出ても、できるだけやりたいという趣旨で、二十五年、二十六年、二十七年の三回にわたりまして、相当の減税を実行して参つた次第であります。
 はなはだ一般的なお答えで、不満足でございましようが、なおお尋ねがございますれば、お答えすることといたしまして、一応これだけをお答えいたします。

最終更新:2013年07月23日 11:19