同和信用組合事件


「北朝鮮「恨」の核戦略」 佐藤克巳 1993年 光文社

『総聯と信用組合は治外法権なのだ』

 1990年12月1日、朝鮮総聯は『総聯』という本を発行した。そのなかに、こういう一節がある。
「総聯は日本当局の不当な税務攻勢を是正させ、税金間題を公正に解決するため辛抱強く闘争した。その粘り強い努力の結果として、1976年に在日朝鮮人商工連合会と日本国税当局との間で税金問題解決に関する5項目の合意が成立した」
として、次の5項目を挙げている。
(1)朝鮮商工人たちのすべての税金問題は、朝鮮商工会と協議して解決する。
(2)定期定額の商工団体の会費は損金として認める。
(3)学校運営の負担金に対しては建設的に解決する。
(4)経済活動のための第三国旅行の費用は損金として認める
(5)裁判中の諸事件は協議して解決する。
もしここに書かれていることが事実だとすれば、

国税庁は、朝鮮商工会に対し、「治外法権」ではないにしても「特権」を認めていることになる。これは、万人は法の前には平等という原則を国税庁自らが崩しているという、きわめて深刻な問題が発生しているのである。

 なぜこんなことが起きるのか。
 彼らは「不当な税務攻撃を是正させ」るため「辛抱強く闘争した」と言っているが、
実態は日本の税務当局の税務調査に「実力」で対抗してぎたというのが正しい。
代表的な例を挙げよう。1967年12月、国税当局は、東京在住の金融業をやっている某総聯系「商工人」を脱税容疑で調査した。その過程で東京朝鮮信用組合の前身である「同和信用組合」に容疑者の取引資料の提出を求めた。同信用組合はそれを拒否、多くの総聯系同胞を動員し、実力で調査官の立ち入りを拒んだ。最後には機動隊が出動せざるをえなかったという事件が起きている。
 これだけではない。国税局が強制的な税務調査を行なうと、総聯系在日朝鮮人を大量動員し、税務暑に抗議行動という名の「実力行使」を行なってきた例は多い。その「成果」が、右に記された「合意書」なるものである。
 国税局は、「合意書」(1)のようなことは総聯以外のいかなる団体にも認めていないはずだ。こんなことを認めたら日本の税務行政は、崩壊してしまう。総聯は、それを認めさせたのであるから、「治外法権」ということになるのかもしれない。
 国税局にかぎったことではないが、日本の行政・マスコミは総聯の「抗議」という名の「暴力」に屈し、政治家はカネに屈する。その結果、信じ難い額のカネが金日成父子政権に流れ、それが核開発などに使われてきたのだ。
「在日朝鮮人企業活動形成史」 呉圭祥 1992年 雄山閣出版

1976年11月に商工連合会の代表者が田辺国税庁長官と会談し、在日朝鮮商工人の税金問題に関する合意を得た。ここでは国税庁の国税課長も同席し、日本社会党の衆議院議員が立会人となっている。

その内容は次のとおりである。
1、在日朝鮮人の税金問題は朝鮮人商工会との協議によって解決する。
2、定期定額の商工団体の会費は損金と認める。
3、朝鮮人学校運営の負担金については前向きに検討する。
4、経済活動のための第三国への旅行の費用は損金と認める。
5、法廷での係争中の諸案件は話し合いで解決する。
 この「合意事項」が成立したのは商工団体が税金問題解決のために実質的な団体交渉権を行使するようになったという点で貴重な成果といえる。

「日本外交はなぜ朝鮮半島に弱いのか」 佐藤勝巳 2002年 草思社
 朝銀をめぐって最初のトラブルが起きたのは1967(昭和42)年のことである。
東京在住の総聯商工人で、のちに暴力団員に殺された具次龍氏の脱税容疑で、国税当局は氏の取引先である朝銀の前身、同和信用組合(台東区上野)に資料の提出をもとめた。
同和信組はこれを拒否した。
国税局は強制捜査をおこなうことにした。
ところが同和信組はシャッターをおろし捜査を実力で阻止した。国税局は機動隊をともなって、バーナーでシャッターを焼き切り、強制捜査を実施した。
これを契機に総聯は、全国の総聯系在日朝鮮人多住地域の税務署に「抗議行動」をかけた。各地の税務署で業務妨害が発生した。
このとき日本政府は、国家公務員たる税務署員にたいする公務執行妨害でこれを取り締まろうとしなかった。
国税局と具次龍氏との脱税に関する和解は1976(昭和51)年に成立した。 → 市民の党
その後、先に紹介した国税庁と朝鮮商工会との税金に関する「合意」なるものが交わされた。すなわち社会党の故高沢寅男衆議院議員の部屋で、氏を仲介者として国税庁と朝鮮商工会幹部の話し合いがおこなわれたのである。「現代コリア研究所」はそのときの出席者の名簿をもっている。この具次龍氏の事件以来、総聯は気に入らないことが起きると行政官庁やマスメディアなどに「抗議」という名の「暴力」を公然とふるうようになった。私は1967年の「抗議行動」を、第二次世界大戦後、日本が総聯の暴力に届した恥ずべき日と記録している。ここに紹介したような事例は、いまにいたるまで、あちこちでみられる。1985(昭和60)年12月、関東国税局は東京都北区在住の総聯商工人を脱税容疑で強制捜査した。すると、関東国税局にはもっとも多い日で1日600名の「抗議」が来た。少ないときで100名である。国税局の業務は麻痺状態に陥った。局内では「上はなにをしているのか。仕事にならない」という声がでた。警視庁からは「年末の忙しいときに国税はなにをやっているのか」という不満の声が聞かれたという。
国税局ぱかりではない。大韓航空機を爆破した金賢姫が、ソウルで初めて記者会見したとき、私はテレビ朝日の夕方の番組に解説者として出演した。キャスターから「金賢姫は北の人間ですか」と問われたので「間違いないものと思う」と私は答えた。その直後からフロアがざわつきはじめた。放送が終わってフロアにおりると責任者が飛んできて「先生、大丈夫ですか」という。
「なにがですか」
「先生の発言にたいして抗議の電話が殺到して、局の電話線がパンクしそうです」
まもなく私はフジテレビに出演して同様のことを話した。そのときは総聯の抗議団がテレビ局に来たという。
 まだある。当時私は、日本テレビにもよく出演していた。あるとき日本テレビの記者が総聯へ取材をしにいくと「あんな男(つまり私のこと)を使っていると総聯に出入り禁止にする」といわれたという。私はそのことを記者から直接聞いた。あのころは私が出演する番組には抗議の電話を集中してかけていたようだ。テレビ局は解説者のいっていることの可否ではなく、抗議に対応する煩わしさから、私のようなコメンテーターを敬遠することになる。かくして総聯は気に入らない人間の発言をテレビ界から追放することができる。
私は公安当局者をはじめいろいろな人から「身辺に気をつけてください」といわれた。これは日本人が総聯の直接間接の「暴力」をいかに怖がっているかの証拠である。
 だが、総聯を支持する在日朝鮮人はいまや赤ん坊も含めて十万人いない。日本人の人口は一億二千万だ。いつまでも総聯を怖がっていれば、「暴力」をちらつかせることによって、十万人が一億二千万人の言論を支配できるということになる。これは日本にとってきわめて深刻な問題ではないか。
 関東国税局が総聯商工人を脱税容疑で強制捜査したとき、総聯の抗議団が関東国税局に押しよせたことを書いた。その直後、私は所用があって法務省入国管理局の幹部と会った。用件がすんだあと私は、この一件にたいする国税当局と警察の弱腰ぷりを批判した。「
行政官庁はみな総聯を怖がっている。強い姿勢でのぞめといっても無埋ですよ」幹部はそういって、私の意見に賛同しなかった。
前にも述べたが、総聯が自分たちの気に人らないことを書く報道機関に抗議に行くことは広く知られた事実である。朝銀幹部の逮捕報道にたいして、いまだに『朝日新聞』に抗議に行っていると聞く。こうして、1社でも抗議を受けると、他の報道機関まで自己規制をはじめる。たとえば北朝鮮に批判的な人間に原稿を依頼するさい、「刺激的な表現は避けてください」とつけ加えるといったことになる。
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「別冊宝島 朝鮮総聯の研究」 1995年 日名子暁他 宝島社

私が「商工連合会」と付き合うこれだけの理由

 谷川宏夫さん(仮名、31歳)は、祖父が始めたパチンコ店グループを引き継ぐ在日3世である。その谷川さんにパチンコ業と朝鮮総聯ならびに北朝鮮との係わりを語ってもらった。
 いま日本全国に約1万8000軒のパチンコ店があります。推定ですが、いわゆる"北"のパチンコ店は5000軒程度あるとみていいと思います。これだけのパチンコ店が、総聯と親しいわけです。正確に言いますと、
各地方にある商工会(在日本朝鮮人商工連合会(朝鮮総聯の傘下団体))に加入していて、定期刊行物代を含めて月々2万円の会費を払っています。
私のところも祖父の代からそうですが、だからといって、私自身には商工会に加入することで北朝鮮を支持するというような政治的意図はまったくありませんね。むしろ、いまでは政治的意図を持つ人は少ないんじゃないでしょうか。
ではなぜ総聯系の朝鮮商工会に加入するのかといえぱ、理由はいたって簡単です。私どものビジネスにとって、商工会が税務処理上できわめて強力な味方になってくれるからです。
 現状は、個々のパチンコ店が、それぞれに税務対策をしているわけです。そのなかで、私なんかは実績からみて商工会がいちばん頼りになると判断しているわけですよ。日本の税埋士さんではこんなことはできない。仮にですよ、私がざっと計算してこの年は3億円の税金を持っていかれると思い、商工会に相談しますね。商工会の税務担当は、長年、税金を扱っているプロ中のプロですので、表も裏も知りつくしている。帳簿を見ると、これはどのくらいの税金を払えばいいかという「落としどころ」が分かるわけですよ。私が3億円と計算したところを、彼らは8000万円で済むと読む。そうであれぱ、私は2億2000万円の節税になるわけですよね。この3億円と8000万円は、机上の数字ではありませんよ。商工会に依頼すれば、事実、このぐらいの比率で節税ができます。
商工会への謝礼ですか? 決算月に月々の会費の1年分の24万円を別に払います。ですから、毎年、商工会へは48万円を払っている計算になります。それに加えて、さっき言った「落としどころ」の3%、これがいわば暗黙の交渉手数料です。まあ最低でもこれだけはお願いしますという額ですね。
 つまり、「落としどころ」が8000万円だったら240万円ですね。"3億円"の例で言いますと、年会費の48万円に、この240万円で、合計288万円でしょう。それを払ったとしても、2億2000万円の節税ができるなら誰でも商工会に加入しますよね。あなたが商売人だったら、やはりそうするでしょう。
 その上、ここに支払った金は裏金でもなんでもない。商工会がちゃんと領収証を発行してくれる、何の問題もないお金ですからね。その見返りがきついだろうって? そんなもん、何もありませんよ。会費を払えば、新聞と雑誌を送ってきます。もっとも私はほとんど読みませんがね。あとは年に2回くらい、ハチミツとか金剛山の石とかの特産品を購入してくれませんかといった依頼があります。現地価格に比べれば高いかもしれませんが、日本国内の価格だと割安です。つきあいで買うこともありますよ。
商工会とのつきあいは、そんなものですよ。あくまでも税務対策上のもの。
なぜ、商工会にそんなカがあるのかって? これは朝鮮商工会の歴史と実績としかいいようがないでしょうね。

だって、国税庁との覚え書きがあるという噂があるのば朝鮮商工会ぐらいのものでしょう。そうなったのは、76年頃からだったとも聞いていますよ。ですから、私のところの税金申告書の担当税理士欄には、朝鮮商工会の印が捺してあります。

で、窓口での交渉は、税務署と商工会ということになりますね。私は、いっさい関係なしでね。その結果が、さっき話したとおりですよ。商工会も、いろいろ裏技を使っているようですね。
たとえば、退官した税務署員は、ほとんどが税埋士になるわけですよね。彼らに仕事をまわすとか…。パチンコ店というのは、彼らにとっても将来的にありがたいクライアントでしょう。
実際に税務署との交渉に当たるのは、ベテランの商工会の理事長とか副理事長といった幹部クラスです。
私たちは、再三言いますように、商工会に力があるのでつきあっているわけです。政治信条でつきあっているわけじやないんです。これは商工会だけでなく、朝信協(在日本朝鮮信用組合協会(朝鮮総聯の傘下団体))でも同じことですね。
たとえば商売をしていると、なんらかの理由でウチに査察が入ったとする。そうすればメインバンク、銀行にも査察が入るでしょう。そういう場合、日本の銀行だと国のいうがままに協力し、私たちの取引内容を教えてしまう。担当者だって、守ったところでメリットはない。何かあれば彼の首が飛ぶわけです。彼だって、つまらないところで失点を増やしたくないでしょうからね。
ところが、朝信協は違います。頑として抵抗する。身体を張ってでも、私たちの取引内容を公開しない。
これば、身内意識というか、情というんでしょうね。商工会も朝信協も、いったん懐に飛び込むと徹底して守ってくれますね。それを政治的にどうこう、と考える人もいるのでしょうが、昔はともかく今は政治とは関係ないと考える人間が多いんじやないですか。
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衆 - 法務委員会 - 2号 昭和42年12月14日
横山委員 
 けさの新聞にも報道されましたが、きのう東京において同和信用組合というところが国税庁の東京国税局調査査察部の強制査察を受けました記事をごらんになったと思う。私は大蔵委員も長らくやっておったのですから、査察事案ということの経緯はよく承知しておるつもりであります。本委員会でこれを問題にしたいのは、同和信用組合それ自身が脱税の容疑があったわけではないのです。国税庁に確かめたのですが、ほかのある会社の脱税容疑に関連をして、同和信用組合が取引先として査察を受けたという珍しいあり方であります。しかも問題にすべきなのは、二時か三時ごろに入りまして、警察官が本店と支店合わせて二百名くらいだと記憶しておるのですけれども、二時五十分に入りまして、銀行の――組合といえども金融機関ですが、銀行の大戸をおろさせてしまった。つまり取引先のお客さんを締め出して、商売ができなくさしてしまった。こういうのはいままでも類例がないのです。そして表へ国税犯則取締法第九条より出入りを禁止するというビラをぱっと張って、交通遮断をしてしまい、お客さんをみんな出さしてしまった。これはかって静岡銀行に査察が入ったときにやりかけてすぐにやめてしまったという事案がありますが、いまだかつて金融機関がかくのごとき強権を受けた例は、日本にはないと私は記憶しております。そうして表で大戸をおろして警察官が張り番をして、はしごをかけて組合の二階から入ってきて、そこのすだれを打ち破ってすだれがこわれてしまったのです。そうして自分たちで大戸をおろしているのだから自分たちが入ればいいものを、はしごをかけて二階から上がってなだれを打ってきた。そのとき内部におきましては、資料を出すか出さないかという相談で国税局と支店長との間に目録を残すことの一応の合意を見て、作成の話が進んでいる最中に大戸をおろし、二階を打ち破って入ってきたという事案が起こったというのであります。その次に問題にすべきなのは、書類を全部持ち去った。それできのうからきょうにかけまして、私も国税庁長官や東京国税局長に注意を促したのでありますが、年末金融が全く繁忙期にあります。それで、一つはもう手形の期限が来ておるものがあることは言うもおろかなことでありますが、一体その不渡りになりそうなものは何かということまでわからなくなっちゃったわけであります。他方においては、そういうことですから、この取引先の日本人並びに朝鮮人は、自分の預金、自分の資産がそれによってどうなるかわからないものですから、銀行に詰めかけてきておるというのであります。
私は、東京国税局長にも、この調査の対象になった会社の書類はやむを得ないとしても、他の書類はすべてすみやかに返すように、最低限これこれだけのものはすみやかに返すようにという勧告をいたしました。
単にこれは金融機関としての信用のみならず、取引先と金融機関の商権に関する問題である。信用組合としても営業権に関する問題で、きわめて重大なことだと私は思っておるわけであります。
多少トラブルもございまして、その現場並びに書類を早く返してもらいたい、おれの商売も困ると言って東京国税局へ押しかけた中に、多少の負傷者も出たと双方側の報告を聞きました。
 こういうような状況はなぜ起こったかといいますと、
国税局側の言い分は、いままで組合に対して資料の提供を求めたところ、提供に応じない。だからやむを得ずやったというのであります。
私がそれでは信用組合側の意見をつぶさに聞いてみましたところ、四十年の十月に二件、四十二年の十一月十四日、税務署並びに国税局が資料の要求に来たときには、ほとんど同意をして資料を提供をしておる、こう言うのであります。ただあなたのほうに言われる筋はないかと私が言うと、うちは職員に女の子が多いから、女の子が自分では処理がし切れないので、責任者が来るまで待ってくれ、きょうは取引先に回っておって帰ってこないという意味においてお断わりしたことはあるけれども、資料の提供をしたのは、私が説明を聞いただけでもすでに七件あるわけであります。だから、その意味においては、資料の提供を一回もしなかったとか、あるいは提供の度合いが悪いということは、局側としてはいかがなものかと私には感じられる。そこで、特にそれに関連して法務大臣に頭に置いてもらいたいのは、
最近、いま質問いたしました北朝鮮の帰還の問題、それから税金の問題、そのほか朝鮮人関係の問題については、在日朝鮮人の諸君の考えは、自分たちだけが不利を見ておるという印象であります。
これが正当な印象であるか不当な印象であるかは別としても、取り扱う政府、行政機関としては、この考えが長年の歴史の中から生まれたものだ、日本側のとった措置によって生まれたものだという反省をもって取り扱いを慎重にしなければならぬと、私は痛感するわけであります。きょうは、以上のことを申し上げまして、できればあした国税庁からも来ていただきまして、そのような職権乱用の事実はなかったか、あるいは人権じゅうりんの事実はなかったか、商権と取引先に対して不当な扱いをしたようなことはなかったかということを調査もいたす予定でございますが、法務大臣としても十分その事情を調査しておいていただきたい、こういうふうに希望いたしたいと思います。私のいま申し上げましたことについて、大臣も新聞をごらんになったと思うのでありますが、御感想を承っておきたいと思います。
高橋(英)委員 
関連質問。さっきから関連質問ばかりしてあれですが、いまの問題ですね、大戸をおろして営業が全然できないようにするような権限が、国税庁の職員にあるのですか、いかがですか。刑事局どらです。
川井政府委員 
 ごく新しい事件で、まだ報告を受けておりませんので詳細はわかりませんが、おそらく国税犯則取締法に基づいて、国税査察官が裁判官の令状を得て押収捜索を行なった案件ではなかろうかと思うわけでございまして、そうしますと、これはいわゆる刑事訴訟法にいうところの強制の押収捜索でありますので、刑事訴訟法あるいは国犯法に定められたような強制的な権限の行使が場合によっては許される案件でございますけれども、実際はどういうふうでありますか、事件を扱ったほうの言い分も十分聞いた上で、もしあした調査が完了すれば、明日またお答えをさせていただきたいと思います。

衆 - 大蔵委員会 - 3号  昭和42年12月15日
広沢(賢)委員 
 東京国税局が盛んに税金を取り立てる――中小企業とか、午後質問しますか、同和信用組合に対するたいへんな人権をじゅうりんするような行為を行なって、それで税の取り立てを強化している。こういう問題についてはきびしいけれども、一番大衆的なお客さんを困らせる、それからお客さんをおだてたりおどかしたりする、先の見通しが専門家だから明るいために、こういう者がそこらじゅうにいる。のみ行為が無数にある。こののみですね、これについて研究中だというんではやはり片手落ちで、こういう者こそほんとうに取り立てること、それから取り締まることをやることが一番大切だと思います。その点を要望して質問を終わります。

衆 - 法務委員会 - 3号  昭和42年12月15日
横山委員 
 きのう法務大臣に、同和信用組合に関する問題について、報告を受けました事実を御説明をいたしました。きょう大臣はお見えになりませんけれども、国税庁長官を含めて、政府側の同和信用組合に対する今回の査察事案について、質疑をいたしたいと思います。
 まず最初に、政府側委員にこういうことを考えてもらわなければなりません。それは、日本におります六十万の朝鮮人諸君についてのものの考え方からどうしても始めなければならぬと思うのであります。本委員会は、帰還協定の問題をずいぶん議論をいたしました。また、法的地位についても議論をいたしました。私どもが朝鮮人を語るについて、根底として、やはり関東大震災から支那事変、大東亜戦争を通じて、在日朝鮮人に対するわれわれ日本政府並びに日本人の歴史的な経過というものを頭の中に入れませんと、誤解も生ずる、行き違いも生ずるということであります。おそらく政府側答弁として、日本人も朝鮮人もない、法のあるところ平等に処理をするというお答えが、間々出そうな気がするわけであります。
しかし、私はあえて言いますが、それではいかぬのです。特別に慎重な配慮がなければ、この問題について、いろんな問題について円滑にいかないのだ。
それはわれわれの恩恵的立場であってはならず、むしろ、われわれの過去に対する反省的立場でなければいけないのだ。こういう意味で、私は、まず御答弁をなさるにあたって、そういうものの考え方を根底に置いてやらなければ日本政府の行政運営は円滑にいかないということを申し上げておきたいと思うのでありますが、この点については、かつて法務大臣の田中さんが私の趣旨に同感をされたのであります。政務次官は、御経歴の示されるように、大東亜戦争下において特異な立場をおとりになった方でありますが、どうお考えでございましょうか。一般論として御意見を伺っておきたい。
進藤政府委員 
 横山委員の御質問に満足いただけるかどうかわかりませんが、私、やはり法の命ずるところによって処理していくのが当然だと考える次第でございます。それ以外に区別的な気持ちは持ちません。ただ法に従っていきたい、かように思っております。
横山委員 
私が法ということと実際の運用ということを区別いたしました
のは、たとえばこういうことであります。先年問題になりましたけれども、名古屋のあるクリーニング屋さんが――気の弱い養子の人であります。税金の調査を数日連続受けまして、動転をいたしまして、そして家出をいたしまして、しばらくたってから入水自殺をいたしました。また、かつてあったことでありますけれども、やはり気の弱い養子のつくり酒屋さんでありましたが、夜の夜中まで調査を受けて、そうして裏の納屋で首つり自殺をいたしました。これは未遂に終わったわけであります。これはずっと前のことであります。それから本年は、やはり私の知っている名古屋の中川区でありますが、税務調査を受けまして、家出をいたしまして、二カ月くらいたって東北地方で死体が発見されました。こういうことを考えてみますと、法のもとで平等であっても、国民の中にはいろいろな人がおる。私は、何も朝鮮人諸君だけを別にするわけではありません。いろいろな人がおる。いろいろな人に納得と説得をもって当たるということは、きわめて重要である。
いわんや、そこに人権の問題を考慮に入れるとするならば、なおさらである。
そういう意味合いにおいて、日本人の中においても、法の運用についてケース・バイ・ケースにおいて運用の全きを期さなければならぬ。いわんや朝鮮人においてをや。これは歴史的な問題がある。こういう意味で申し上げたのでありますから、誤解のないように再度御答弁を願いたい
横山委員 
御趣旨が、何も税務行政ばかりではございません、あらゆる面で私は生かさなければならぬと思います。
その意味では、法務省の人権擁護局というものの存在をきわめて重要に私は考えておるわけであります。
人権擁護という立場は、なかなかむずかしい立場で、しかも法務省における人権擁護局ということになりますと、わりあいに局限された問題を扱いがちでございます。ひとつ法務省にあるという立場でなくて、政府にあるんだ、したがって、各省のすべての問題について、常に人権擁護の立場からチェックをするという気持ちがなくてはならぬと思うのであります。
 今回発生いたしました同和信用組合のこの査察につきましては、いろいろな角度でこの問題が問題を提起しております。国税庁長官にいまお聞きになったと思うんですが、今回どうしてこんなに混乱したのか。動あれば反動あり、おそらくきょうの大蔵委員会の答弁をもってしても、抵抗があったから力が、権力機構が動いたんだというお話だと思うのであります。抵抗があったから、なかったから――あるだろうか、ないだろうかといら予測の問題が、もう一つあると私は思うのであります。朝鮮人の心情、それから朝鮮人の組織という点については、十分予測というものがなくてはならなかったのではないか。その点に私は、何も抵抗をより多く、あるいはより小さくということでなくして、少なくとも朝鮮人諸君の利益について議論をする場合に、普通の感覚でやればいいだろう、日本人の商売人と同じにやればいいだろうというような感覚でなさったうらみがあるのではないか。周到な準備、たとえば、私の申し上げたいのは、調査に行った、調査が拒否されたという事実の争いがいま起こっておるわけでありますが、私も質問する以上は、先ほど広沢委員が言いましたように、調査をほんとうに拒否したかどうか、どういう事情にあったのか、ずっと調べてみましたところ、決してその調査を拒否し続けておったという事実はないのであります。事実問題の行き違いが多少あったにいたしましても、もう十数件となく調査に協力して書類が提出され、そして説明が行なわれ、この分においてはかかる大事を惹起するようなほど調査拒否があったとは信じられないのであります。もう少し手段を尽くして調査に協力を求めるべきではなかったか。百歩譲って、もしあなたのほうが調査拒否の事実が今回あったとしましても、いま一歩調査に協力をする期待と努力を続けるべきではなかったか、こう考えるのでありますが、いかがでございましょうか。
泉政府委員 お答えいたします。
東京国税局におきまして、今回同和信用組合について査察を行なったわけでありますが、これは申し上げるまでもなく、同和信用組合の脱税の容疑ではないのでありまして、
同和信用組合と取引をし、同時に同和信用組合に預金をいたしております――

もちろん本人名義の預金になってない、架空名義の預金になっておるものが相当多い

わけでありますが、いずれにいたしましても
預金をしておりまする五名の者につきまして、東京国税局といたしましてはかねてから査察対象人物といたしまして査察を続けておったのであります。
そこで、普通金融機関に対しましては、その信用を重んじまして、できるだけ令状の執行をしないで、任意調査によりまして協力を得て、その目的を達成するということにいたしておるのでございます。ただ、本件の場合におきましては、すでに先ほど横山委員からお話がございましたが、従来協力依頼をいたしまして協力を受けた事実もあるようでございますが、

今回問題となっておりまする被疑者の五名の場合におきましては、協力を得られなかった

のでありまして、ことに十二月五日に査察立件いたしました事案の場合におきましては、

査察官が一たん差し押え領置いたしました物件を実力をもって奪還されるといったような事態を生じておるのであります。

したがって、今回の信用組合に対する査察実施の際におきましても、午前中任意調査に入るように申し入れたのでありますが、その協力を得られませんので、
金融機関であることを考えまして、午後三時に営業が締まりますその十分前の二時五十分に調査に着手する、こういうふうな手段を講じまして、できるだけ金融機関としての業務の遂行に支障のないように、また取引を妨害しないようにという配慮をもって行なったのでございますが、ただ、ちょっとお話がございましたが、
従来の経緯から見まして抵抗があるということは予測いたしておりましたけれども、その抵抗が意外に非常に強かった。そのために警察の応援を求めざるを得ず、また警察の機動隊の応援も、一次の応援では足らず、二次の応援もいただかなければならない、こういったような事態になりまして、
非常に混乱いたしたことは確かでございます。しかし、東京国税局といたしましては、相手が北朝鮮の人であり、北朝鮮の方が経営者になっておるという事実は十分承知しておったのでありまして、そういった意味で抵抗があることは考えておりまして、普通の日本人の金融機関と同じつもりでやったわけではもちろんございませんけれども、しかし、それにいたしましても、

金融機関としてこのような強い抵抗があったのは初めてでございます。

そのために、若干そういった場合の措置としてどぎまぎしたような事態があったことは、いなめないと思うのであります。いずれにいたしましても、このような事態の起きたことは、私どもとしては非常に残念に思っております。

もっと任意調査に協力していただけますならば、こういった事態にならずに済んだであろうということをいまでも思っておるのであります。

横山委員 
 長官のお認めになったように、本件は一応除外をいたしまして、それまでに至る税務当局の調査要求に対しましては、協力を願った、こういうふうに解釈をするのですが、私の手元にありますものによると、税務職員の調査を要求いたしましたのは、四十一年の六月から四十二年の村井産業、神田税務署に至るまで、約二十件ぐらいのもの、この期間内にずいぶん多いわけでありますね。四十一年の六月から約一年ちょっとの間に、二十件の調査要求がある。それらは詳細を朗読するのを省略いたしますけれども、これはほとんど全部といってもいいですね、全部調査官の要求どおり提出したとか、あるいは四十一年六月は、渋谷税務署へ渋谷税務職員同行の調査を行なうことを合意したが、その後連絡なしとかいうように、全部調査に協力をしておる。それはほかの金融機関でも、税務職員が調査に来た、ああそうですか、それではすぐ出しますということばかりでもなくて、やはりときには、あした来てちょうだいとか、いま担当者がおりませんでということはあるのです。したがって、この同和信用組合が、今回の事件まで調査協力の実績なしとは言いがたい。問題は今回だけだ、こういうふうに判断ができるのですね。そうだとすれば、今回は一体どういうことから起こったかということが問題であります。一体今回の問題の最初の調査要求は、どういう事実から起こりましたか。調査要求をした事実だけでけっこうです。
泉政府委員 
 先ほど申し上げましたように、本件行政捜査に立ち至りましたのは、五名の方――その氏名はできるだけ公表することは差し控えさしていただきたいのでありますが、
五名の方の脱税容疑につきまして査察をいたしておる
のでありまして、その関係でありますが、特に十二月五日に査察立件いたしました事件につきまして、先ほど申し上げましたように、

一たん査察官が八名をもって捜索、差し押えいたしました物件を、四十名の会社従業員が参りましてこれを奪還されたという事件がありましたために、その取引先である同和信用組合を調査しないと、査察立件の目的でありまする証拠固めが十分できないということであります。

同時に、その人は同和信用組合の理事をもいたしておりますので、その理事の席にそういった証拠物件があると認められますので、その証拠物件を提出願うということが必要でありまして、そのために任意調査を申し出したのでありますが、協力を得られませんために強制調査に踏み切ったのであります。

横山委員 
 十二月五日から始まりのようでありますが、三和企業に対して東京国税局の査察官宮崎何がしという人が来て、業務多忙なためあす調査することを了解をして帰った。十二月六日に査察官宮崎氏より電話して、関連先として人種の異なる法人及び個人の調査を要求、すみやかに本人の了解を取りつけられれば調査に協力する旨話しておる。それからすぐ十二月十三日に移っておるわけですね。本店営業部に午前九時三十分に来られた。調査要求するも、本店営業部に取引がないことを職責をもって了解しておるので、取引なしと告げた。自分のところには、自分が一番よく知っているから言うけれども、本店にはこの人は取引がないということを告げたということです。ところが、もうすでに、そのときにはあなたのほうはいまの同和信用組合に関係のない事件――私はよく知りませんけれども、取り返したとか取り返さぬとかいうようなことは信用組合がやったことじゃないのですから、納税者のことで起こったことについて、同和信用組合はこのように協力の態勢にある。また事実は事実として、私のところは、本店としてはあの人は取引がない、職責をもって言えるといっておるときには、もうすでにあなたのほうは、同和信用組合は協力態勢なしと判断をして、午前にそういうことを言いながら、もう着々準備態勢を整えていて、断わるに違いないということで、わあっと押しかけた、こういうように判断ができるのでありますが、同和信用組合そのものが、この三和企業でありますか、そのほかの問題のある企業者に対して調査協力の事実がなかったとか、何回行っても承知しなかったとか、こういう事実が希薄のように見えてしかたがありませんぞ。この点どうなんです。
泉政府委員 
 この点につきましては、先ほど大蔵委員会でもお答え申し上げたのでありますが、
同和信用組合も、軽微な点につきましては調査に協力してくれた事例があるようでございます。
しかし、
査察の対象にいたしますような事件につきましては、
たとえば昭和四十一年の十月十二日に、これはやはり北朝鮮の人でありますが、その人の査察容疑に関しまして任意調査を申し入れまして、拒否をされております。それから昭和四十二年四月四日に、同じく北朝鮮の人について任意調査を申し入れまして、拒否されております。それから四十二年十月九日につきまして、やはり同じように拒否をされております。それから四十二年十二月五日に拒否をされております。なお、この間四十二年の七月二十七日に、東京局の部長名で任意調査に協力されたい旨の申し入れをいたしております。しかし、先ほど申し上げましたように、その後も十月九日あるいは十二月五日に任意調査に対する拒否の事実がございました。そういうことが積み重なってまいっておりました。そこで先ほど申し上げましたように、十二月五日立件いたしましたものにつきましては、

その社長が同時に同和信用組合の理事もいたしておるというようなことからいたしまして、任意調査に応じられないならば強制捜査するのもやむを得ないということに立ち至ったのであります。

泉政府委員 
 事実の問題は、客観的に調べませんと、何が真実であるかということがなかなかわかりかねることは、横山委員もよく御承知だと思います。私の受けております報告によりますと、相手方は本店のほうのことだけしか話しておらないのでありまして、確かに本店ではそういうことがあったかもしれませんが、
問題は上野支店なのであります。上野支店におきまして任意調査の協力を求めましたところ、本人名義になっておる預金以外の預金は、本人の承諾がない限りは調査に応じられないというふうに拒否しました。
なお、伝票を調査したいということを申し入れたのに対しましても、反対伝票の調査は拒否する、こういうような事実があったのであります。
お互いに自分の有利なことだけを言い合ったのでは、真実はなかなか把握できないと思うのでございますが、私の受けておる報告によりますと、本店はともかく、上野支店においてこういう事実はあったようでございます。
横山委員 
 ほんとうにあなたも私も事実を見ていないのだから、一方的な事実だけで押し切る議論は、なるべくやめたいと思います。ただ、しかし、あなたがいまおっしゃったことばの中に、本店はともかく上野はこうだということばがあるのであります。私も本店の事実だけをこれは申し上げているのですからどうかと思いますけれども、しかし、どうもおそらく協力しないであろう、だから、朝まあやってみよう。やってみてアリバイをつくっておけ。そうしてその間態勢は全部できているのだから、わっと行こうという、何か本店だけが――そういうようなことから言いますと、私はかりに百歩譲っても、本店関係については考えるべき点があったのではないかと思いますよ。
 次に移ります。これは事実関係でありますから何でありますが、査察令状を示したか、示さなかったかという点について、あなたのほうの受けました報告をひとつ願いたいと思います。
泉政府委員 
これは強制調査でありますので、もちろん国税犯則取締法に基づきまして、裁判所の令状を得て執行しておるわけであります。
本店におきましても、上野支店におきましても、令状を示しておるのは当然であります。ただ、その令状につきましては、調査開始にあたりまして在店いたしました従業員の一番上席と思われる者に提示したということに報告を得ておりますが、その人への氏名が、どういう氏名の方であるかということは確認しておらなかったようであります。なお、上野支店におきましては、一たん従業員に対し令状を提示いたしました後、預金係長であるとかあるいは支店長という方が三十分ないし一時間たった後にお見えになりました。そのつど査察官は令状を、その預金係長あるいは支店長にお見せいたしております。
横山委員 
 私のほうの報告は、令状を十分に見せなかったといいますか、出さなかったという報告ですが、百歩譲って、あなたのほうでは、上野では確認した、こういう人に見せたという、確認をされたようでありますから、この件につきましては、もう一ぺん調べてみます。しかし、本店で相手が確認できなかったというのは、これは争いのもとになると思うのですね。相手が確認できなかったというのは、場合によっては、客観的類推をもってすれば、見せなかったのかもしれないという類推ができるわけです。まさかそういうことはないとは思うのですけれども、しかし、他方においては見ていないという主張がある。あなたのほうは見せたと言うけれども、相手が確認できなかったという言い方では、客観的に言うと、本店におけるあの喧騒の雰囲気の中で、もうあなたのほうの責任者が動転してしまって、そうして十分なる法律上の職務を遂行しなかったのではないかと言われても、これはしかたがありませんよ。なぜ見せたときには相手を確認なさいませんか。
泉政府委員 
 お話しのように、裁判所令状を見せたときに相手を確認すべきだと思います。本人は、どこの席におった人であるかはわかっておるということは言っております。
 なお、私言い忘れましたが、本店におきましても、三時二十五分になりまして、本店の総務部副部長に令状を提示いたしておる事、実があるようでございます
横山委員 
 しからば、総務部副部長に一ぺん確認をしてみたいと思いますが、いま、うしろからメモを出されて、急に先ほどの長官の答弁と違った答弁をなさるというのは、ちょっといかがなものかと思うのですけれどもね。急にだれか――いやな言い方をいたしますけれども、あなたのほうが急にそういう見せた人をこしらえ上げてもらっては困りますよ。これは、先ほどのあなたの答弁と違うのですから、一ぺん確認をしてみたいと思います。
 それからその次に、いま、ちょうど三井警備課長がお見えになりましたが、国税犯則取締法九条によって出入りを禁ずという張り紙をして、入り口の通行が遮断をされました。あの張り紙の写真を見ますと――これはお役所が張ったのでありますが、だれが張ったわけでありますか。国税庁でありますか、警察でありますか。
泉政府委員 
 私からお答え申し上げますが、これは査察官が張りました。これはお話しのように、国税犯則取締法に基づきまして行なっておるわけでございます。
横山委員 
 出入り口の出入を禁ずということは、あらゆる人ですか。収税官吏も警察も通ってはならぬという意味ですか。
泉政府委員 
 この出入り禁止は、一応何人によらず許可を得なくしてはその場所に出入りすることを禁ずる、こういうことになっております。しかしながら、出入り禁止の目的は、臨検、捜索または差し押えを行なうために、その目的達成の必要上行なうわけでありますから、したがって、その目的達成上必要な査察官であるとか、あるいは実力をもって妨害行為があった場合に、それを排除するために警察官の応援を求める、こういった場合に、査察官あるいは警察官の立ち入りは当然許可をいたしまして、それを許すことになるわけであります。
横山委員 
 私も当然そうだと思うのですがね。それにもかかわらず、警察官がはしごをかけて二階から乱入し、窓ガラスにひびが入る、それからグラインダーがこわれるというような行為を、なぜ警察官はするものでしょうか。三井さんにお伺いしたいと思う。――どうして警察が言わないのですか。通って通れるものを、何ではしごをかけて二階から入ってブラインダーをこわす、めちゃくちゃなことをやるかということを、私は法律的に聞いておるのです。
泉政府委員 
 その事実関係をまず申し上げて、あとでお答えいただきたいと思いますが、いまのお話のございましたのは、同和信用組合の上野支店において起きた事実でございます。同支店には、先ほど申し上げましたように、二時五十分に着手いたしまして、三時四分に、営業時間も終了した関係でありましょう、
信用組合のほうで表のシャッターをおろしたのであります。
当時、中には、査察官が入って、営業部にあります書類につきまして差し押えすべきものを整理するということで、それをまず臨検して、それから差し押えに着手しようとして入っておったわけであります。
そこへ同信用組合の従業員と、それから他の第三者――これは、ちょうどそこの信用組合のうしろの建物にあります商工組合の方であると思われるのでありますが、そういう人たちが多数上野支店内のところに集まってこられまして、査察官のそうした臨検、捜索が妨げられるおそれがありましたので、警察官の出動を要請いたしました。
その結果、警察官が入るのに、シャッターがおりておりますので、そのシャッターをあけて警察官が入ったわけであります。入った後、外部にまた相当数の関係のない者が集まっておりますので、それが乱入することを防ぐために、もう一度シャッターを締めたのであります。そうした上で差し押えすべき物件をそれぞれ確認をする手続をとっておったわけであります。そして、差し押えしたものを調書をつくるのは、現場が非常に混乱しておって、そこでは調書をつくるのに非常に困難であると判断いたしまして、国税局に物件を引き揚げた後、差し押え目録と領置目録をつくるということを相手方の支店長に伝えまして、そして引き揚げることにいたしたわけでありますが、
ちょうどシャッターがおりておりまして、そのシャッターの電源が切られた関係か、シャッター付近を相手方に占拠されまして、再びシャッターをあけることができなくなりました。
そこで、シャッターをあけるようにしばしば信用組合の当局者に言ったのでありますが、言を左右にしてあけませんので、やむを得ず実力行使によってはしごをかけて二階から警察官が入りまして、そのシャッターの付近の人たちを排除してジャッキでシャッターをあけた
そういうような事実でございます。
松本(善)委員 
 国税庁長官に伺いたいんですが、このいま問題になっております同和信用組合といいますのは、在日朝鮮人が経営する金融機関であって、この人たちが日本で相互扶助の協調精神に基づいて、金融問題を自主的に解決しようという正当な目的でつくられたものであり、日本の関係法規と監督官庁の指導監督のもとにある合法的な金融機関であるということは、御存じですか。
泉政府委員 
 お話のように、同和信用組合が、在日朝鮮人の方の手によって、その相互扶助、金融の円滑をはかるために設けられまして、東京都の監督下にあるということは、承知いたしております。
松本(善)委員 
 在日朝鮮人――わが国におります外国人の生活のために営業しているこういう金融機関について違法あるいは不当なことが行なわれるということは、単に国内問題だけではなく、国際的な問題になるという、きわめて重要なことだということを考えに置かれた上で答弁をしてもらいたいと思いますが、まず、こういう金融機関に、十三日午後二時五十分、白昼公然と数百名の武装警官が護衛をして、百名をこえる国税局員によって中を占拠し、帳簿書類をすべて、これは強奪といってもいいようなやり方で持っていかれた。警官隊と国税局員が数隊に分かれて、一隊は金庫を占拠し、一隊は電話機を押えて外部との連絡を遮断し、一隊は職員たちを室の片すみに押し込んで動けないようにした。職員に聞きますと、警官はピストルに手をかけて、おとなしくしないと撃つぞということを言いました。組合をやりたければおまえの国に帰ってやれ、警官がこういうようなことを言っておる。まさに銀行ギャングにひとしいような野蛮な行為である。職員に対しては、女子職員の髪の毛を引っぱったり、分厚い帳簿で頭をなぐったり、足をけるというような暴行を働いて、五名の負傷者が生じております。ここに診断書の写しがあります。一人は十日間の通院加療の要がある人、それから一週間の通院加療の要がある人、それからまたもう一人一週間、四、五日というのもある。これだけの人がけがをしております。診断書の写しを見てください。そういうような暴行を、公務の名においてやっている。上野の支店では、いまも少し話がありましたけれども、二階の窓から乱入し、ブラインドなどをこわして、机をドライバーだとかペンチでこじあける――白昼、強盗まがいのやり方です。ここに写真がありますからお見せします。この乱暴ろうぜきのやり方、ものすごいものです。見てごらんなさい。警察の方もこれを見てごらんなさい。これが公務の執行か。めちゃくちゃですよ。しかも、警察官がこわしている写真もあります。ブラインドをこわしている。人はだれもいません。警察官、見てごらんなさい。こうやってこわしておる。警察……
大坪委員長 
松本君に申し上げます。自席で発言してください。
泉政府委員 
 先ほど来申し上げておりますように、本件は十三日の午後二時五十分から強制捜査に踏み切ったわけでございまして、そのために
相手方の実力抵抗があり、やむを得ず警官の出動を要請するというような事態に立ち至った
のは、非常に遺憾であります。
普通の場合でございますと、金融機関は、みずからの脱税容疑のためではなくて、その預金者の脱税容疑のために調査をしたいというときには、任意調査に応じてくれるように、それぞれの金融機関の協会を通じて申し入れておりまして、また金融機関側もそれを承知しておるのであります。しかし、本件の場合には、任意調査に協力が得られませんので、やむを得ず強制調査に入ったわけでありますが、その強制調査の過程におきまして、実力でもって抵抗されますので、実力でもって排除するというような事態になった
のでありまして、したがって、多少きついおことばがございましたようでありますが、えてしてこういう実力行使が相対抗いたします場合には混乱が起きやすいことでありまして、したがって、そういうことにならないように十分注意すべきものだと思うのであります。こういったことのために負傷されました方が、先方にもあるようであります。

査察官のほうにも、三週間の通院加療を要するという診断を受けた者もあります。警察官の中にも、やはり負傷した人がおるようであります。

お互いにこういったことが起きましたことは、非常に不幸なことに思っております。
松本(善)委員 
 おとなしくしないと撃つぞとか、組合をやりたければおまえの国に帰ってやれとか、ブラインドを自分で――この写真を見てもわかるように、だれも抵抗している状況はないですよ。そういう状態を見て、いまのような答弁。通り一ぺんの抵抗があったからやったのだというような感覚では、とても公正な職務は行なえないと思う。非常に遺憾である。厳重に反省を求めたいと思います。
 先ほど国税庁長官の言ったところに関係して聞きたいのですが、いま関係のないものは、きのうもきょうも返している、これからもどんどん返すということでございましたですね。そういうことですか。
 あなたが先ほどその答弁の中で言っておった北朝鮮の人が任意調査を拒否したという、これは同和信用組合にどういう関係があるのですか。
泉政府委員 
 先ほど申し上げましたように、東京国税局で査察対象にしております北鮮の出身の方で、簡単に言いますと、在日朝鮮人の方の脱税事件につきまして、同和信用組合にその取引及び預金の現在高を調査したいと申し入れたところ、その任意調査を拒否されたということでございます。
松本(善)委員 
 どうですか国税庁長官、人権局長が考えても、とにかく形は違法だ。これは国税局員のために、あるいは犯罪にはならぬということを考えてやるかもしれぬという程度のものだという答弁ですよ。よく帰ってからお考えください。
 この事件は、初めから周到な計画でやられたものだと私たちは考えている。第一に、この日この時間は、ちょうど千代田公会堂で南朝鮮における民主的な学生、教授の死刑に抗議する在日朝鮮人の集会があって、この同和信用組合の役員はみんなそこに出席をして、組合が手薄であるということをねらって行なわれている。そして国税局員は、本店に職員が何人いるかということを人数を確かめて、いつもは三十人くらいいるけれども、きょうは手薄だということを確かめてやっている。第二に、先ほど申しましたように、押収する物件を入れるダンボール箱を五十箱持ち込んで、あらかじめ机の位置、役職の名前が記されて、場所につくなり、す早くそれぞれの机のところに置いて、押収物件は指揮者がみんな分類をして入れていく、こういうやり方。第三に、本支店とも同じ時刻に同じように警官を連れて踏み込んだ。そうして外部と遮断をし、同じような方法でやっております。これを私たちは、一連の在日朝鮮人に対する敵視と弾圧事件、あるいは学校教育法の改悪でありますとか、在日朝鮮人の帰国問題、あるいは南朝鮮の朴政権、こういうものとだんだん密接になってくる、こういう政治的な事件と無関係とは、とうてい考えられない。むしろ新しい在日朝鮮人に対する敵視の政策が、さらに進んでいるというふうに考えざるを得ない。いままで問題になったのは、学校教育法の改悪、教育の問題それから帰国の問題、今度は在日朝鮮人の財産を奪おうとしているという政策が始められたとしか考えられません。先ほど申しましたように、在日朝鮮人が民族的偏見の、差別のきびしい日本で、相互扶助の精神でつくっているこういう組合金融機関、これを破壊しようという――しかも強制査察の中で、本店では、てめえの国に帰って組合活動をやれというような暴言を吐くとか、帳簿を全部押収して、営業ができないと言って返還を要求する職員に対しては、二、三日組合を締めておってもいいじゃないか、こういうことを言っている。金融機関が一日でも店を締めたらどうなるかということは、これは税務署の職員、国税庁の職員は知らないはずは絶対ありません。銀行は帳簿なりというふうにいわれているくらいだ。それほど帳簿というものは大事なものです。それをみんな持っていった。これは同和信用組合が、単に査察を受けたというようなものじゃないですよ。国税局に接収されたも同じです。営業用の帳簿をみんな持っていかれたんだ。私たちは、これについては過去のことを思い出すのです。いわゆる朝連が解散させられ、財産が接収されたという事件が、朝鮮戦争のころにあります。いまこの在日朝鮮人総連合会を解散させるというような口実は、どこにもない。だから、国税通則法とか国税犯則取締法の条項を使って、この在日朝鮮人の財産に大きな攻撃を与えるということになったのじゃないかと思います。法務政務次官、私はこの事件についていろいろの政治情勢その他を考えますと、そういうふうにしか見ることができないような、非常にひどいことが行なわれている

横山利秋

日本社会党所属の衆議院議員(11期)。
1950年(昭和25年)-国鉄労働組合本部企画部長。
1953年(昭和28年)-国鉄労働組合書記長
1955年(昭和30年)-第27回衆議院議員総選挙愛知1区に日本社会党から立候補して初当選。

松本善明

最初の妻は絵本画家のいわさきちひろ(いわさきちひろの死後に再婚した)。海軍兵学校(75期)で終戦を迎え、1948年(昭和23年)東京大学法学部政治学科在学中に日本共産党に入党。弁護士として松川事件やメーデー事件、労働争議に関わる。

衆 - 大蔵委員会 - 11号 昭和43年03月19日
広沢(賢)委員
 この同和信用組合というのは脱税しているわけではないのです。これは普通の信用組合なんです。そうして取引先五件の問題を問題にしましたが、国税庁長官にお伺いしますが、この間のは、上野の支店の状況についてばかり話がありました。ところが、本店も武装警官と査察官が数有名来たのですね。三和企業と本店には取引関係があるかどうか、御承知ですか。
泉政府委員 
 お話しのとおり、同和信用組合は、その信用組合自身の脱税の容疑で査察調査をいたしたのではないのであります。その取引先の脱税容疑に関連いたしまして、金融機関として取引があるということで、令状を持って捜索、臨検したわけでございます。いまお話しの三和企業につきましては、当初本店の取引先にあるということで、令状を請求したのでありますが、調査の結果、同じ三和企業でありますが、名前は同じでも、実体が違うということが判明いたしまして、三和企業は本店との取引がないということが判明いたしました。ただ、
上野支店とは取引があるということでございます。
泉政府委員 
 私のほうも、金年珍さんとか、あるいは松本裕商事が、本店と取引がないことは承知いたしております。したがって、この両者については本店に令状を請求いたしておりません。
それから、方元俊につきましては、当座取引はないのでありますが、普通預金口座に入金がいろいろありますので、本店に令状を請求いたしまして調査いたしております。このほうは、従来の調査がございましたので、すでに本年一月に告発済みであります。
 そのほか、いまいろいろお話がございました各納税者につきましては、従来同和信用組合がそういう協力をされたということでありますが、まあ、協力していただいた場合もあろうかと思いますが、私どもが令状を請求いたしましたこの五名の方につきましては、なかなか協力が得られなかったのは事実でございます。
 それから事実を御訂正願いたいと思いますが、昭和四十二年の十月に仙台の査察官、こういうお話でございましたが、これは査察官ではございませんで、実査官でございます。その点を直していただきたいと思います。
広沢(賢)委員 
 大体、本店にあまり関係がない事件が、本店までそういうふうにたいへんな取り扱いを受けたということについて、たとえばこう行いうことが必要じゃないですか。強制査察をなう以前に理事長に、税務調査に対する非協力に対して警告を行なうとか、それでも協力しない場合には、金融機関の公共性を重じて、たとえば信用組合ですから、東京都の管轄ですから、東京都に連絡をとって、何らかの警告をやったというようなことはないでしょう。そういうことをしていないのですね。そういう点についてはどうですか。東京都の金融課を通じてやったことがありますか。
泉政府委員 
 お話しのように、金融機関に対する調査につきましては、その公共性ということも十分考慮して行なわなければならないと思います。しかし同時に、
われわれが脱税の容疑で査察立件いたしておりますものの所得の内容を解明する必要もまたあるわけであります。したがって、ぐずぐずしておりましてその資料をなくしてしまわれるということになりましてもまた困ります。そういう点からいたしまして、
捜索いたしました当日、午前中に任意に提出していただくようにお願いしたのでありますが、任意提出がありませんので、午後に強制捜査に踏み切らざるを得なかったのであります。
その場合に、金融機関であるから監督官庁である東京都を介してというような御意見もおありになろうかと思います。しかし、信用組合に対する都の監督というのは、御承知だと思いますけれども、あまりたいした監督が行なわれているわけではございません。したがって、われわれとしては犯則調査のほうに重点を置かざるを得なかったということでございます。
広沢(賢)委員 
 それでは、三菱銀行とか三井銀行にそのような処置をとったという答弁をしますか。これはできないと思うのですよ。だから、やはり一庶民の零細な信用組合であったり、もしくは朝鮮の人たちが寄り集まって生活を助け合う、そういう信用組合だからこそそういうことが言えると思うのです。三井銀行、三菱銀行に対してもいまの答弁をそのまま言えますか、国税庁長官。
泉政府委員 
従来、査察調査に関連いたしまして、金融機関に令状を提示して協力していただいた事例は相当ございます。
したがって、三菱銀行の支店等におきましても令状を執行した場合がございますが、ただ、その場合には、令状をお見せすると任意に協力していただくのが普通でございます。したがって、
令状をお見せするだけでも任意に協力していただけますから、強制捜査に踏み切る必要はなかったのであります。

実は、金融機関におきまして、実力をもって抵抗されて、強制捜査をせざるを得なかったのは同和信用組合が初めてでございます。

それまでも令状執行をいたしました金融機関の数は相当多うございますけれども、その場合には令状をお見せすると全部任意に協力していただいております。

広沢賢一

1963年11月21日 第30回衆議院議員総選挙 東京1区 落選 日本社会党
1967年1月29日 第31回衆議院議員総選挙 東京1区 当選(1回目) 日本社会党
1969年12月27日 第32回衆議院議員総選挙 東京1区 落選 日本社会党

衆 - 大蔵委員会 - 26号 昭和43年04月19日
広沢(賢)委員 
 そうすると、やはり普遍的に個人別の預貯金の調査を行なうことは避けるということですが、同和信用組合の問題についてはこの点を十分確かめられましたか。
泉政府委員 
 お話しのように、金融機関は預金の秘密性の問題がございますし、公共的な機関でございますので、預金者が不安を持つことのないように、その金融機関の取引先の納税者について預貯金の有無並びにその金額を調査いたしますときには、個別に納税者の名前をあげて調査をするということで、普遍的な調査はしないということにいたしております。
 同和信用組合の場合におきましても、前に申し上げましたように、
私どものほうで査察をいたしましたのは、それ以前に脱税容疑として私どものほうで査察立件いたしております五名の人の取引並びにその預金の額を調査するために査察をいたした
のであります。そういう意味では決して普遍的な調査をいたしておるわけではございません。
広沢(賢)委員 
 そうすると、名前を間違えて、それでもって武装警官隊が三百入行ってがたがたにしてしまって、そのあとどうするのですか。がたがたにしてしまったあとで、お金もなくなったとか、領置目録もつくらないということで、私は済まないと思うのですが、その点。
泉政府委員 
 この三和企業も上野支店のほうとは取引があったのでございます。なお本店のほうでは、私のほうで先ほど申しました五人のうち、三和企業以外の他の二名は取引があるわけでございます。したがって、私どものほうは、その三和企業を含めましてその三名の方について査察調査をするという令状をいただいて本店に参ったのでございます。三和企業は確かに、たまたま同じ名前でありましたために、令状を請求して参ったけれども、その実体が違うということが判明いたしたのでありますが、他の二名の方については、令状を執行して、その預貯金関係を調査し得たのであります。
武装警官とおっしゃいますけれども、本店のほうにはそれほど多数参ったわけじゃございません。本店のほうに参りましたのは、査察官と警官を合わせましても二百名程度でございました。したがって、めちゃめちゃにしたというほど本店では騒ぎは起こらなかったのであります。むしろ騒ぎが大きかったのは支店のほうでございます。
広沢(賢)委員 
 時間がないからあれですが、私は支店のことを聞いているのじゃないのです。本店のことを聞いているのですよ。三百名が二百名になったとしても、あとその該当者が、これは新宿企業とそれから金年珍、それから松本裕商事と李五達だと思いますが、この件についていろいろ調べた結果、どういうあれが出ましたですか。
泉政府委員 
 査察調査いたしておりますので、名前は私のほうは公表いたしたくございませんので、その点御了承いただきたいのでありますが、そのうち一人の方につきましては、すべてに告発を本年一月にいたしております。他の者につきましては、なお調査中でありますが、いずれそれぞれ手続をとることになろうかと存じます。
泉政府委員 
 私ども朝鮮の人だからどうだというような考えは毛頭持っておらないのであります。
日本人でありましても朝鮮の人でありましても、脱税をしておられればその脱税は調査して適正な課税をしなければならない、こういう基本的立場を持っておる
わけでありまして、特に朝鮮の人であるとか民主商工会の人だからというのでねじりはち巻きをするということではございません。ただ、同和信用組合を査察せざるを得なかったのは、先般も申し上げましたように、私どものほうで取引があると認められるこの五名の査察立件いたしておる人につきまして、いろいろの資料を任意提供していただくように協力を求めたのであります。先般もお話がございましたような、他の人の場合には任意に資料を提供していただいた場合もあったわけでございますが、この五名の方についてはどうしても資料の提供がなされませんでしたので、やむを得ず査察調査をせざるを得なかったのであります。したがって、このような事件がそう起こるものとは思っておりません。その後も金融機関のほうにもお願いをいたしまして、査察調査を金融機関にしなければならないような事態を起こさないように、金融機関のほうで御協力をいただきたい。そのかわり、私どものほうも金融機関にそういう資料の提供をお願いするときは、普遍的な調査をするものではなく、脱税の疑いのあるもの、

偽名預金、架空名義預金などもございますので

その人の預金と目されるもの、こういったものについて調査をする。こういう基本的立場をとっておるわけでございます。

衆 - 予算委員会 - 14号 平成06年06月01日
中山(太)委員 
 ここで、国税庁、来ておられますか。来ておられますね。国税庁にちょっとお尋ねしたいのです。
この在日本朝鮮人総連合会の発行しているパンフレットがあるのですね。ここに「五項目の「合意事項」」というものが書かれているわけです。

日本税務当局との「合意」

「韓日条約」の締結後、在日同胞商工人にたいする日本当局の弾圧と税務攻勢はいっそう激しくなった。
一九六七年十二月、日本国税庁査察官と機動警官隊は、取引先の脱税容疑を口実に同和信用組合の本店と上野支店にたいする強制捜査を強行した。日本当局による同様の税務弾圧が各地で頻発した。
こういう中で、一九七六年十月、五項目の合意事項が結ばれているわけです。
在日本朝鮮人商工連合会と日本国税庁のあいだで合意された内容はつぎのとおりである。
 ①朝鮮商工人のすべての税金問題は、朝鮮商工会と協議して解決する。
 ②定期、定額の商工団体の会費は損金として認める。
 ③学校運営の負担金にたいしては前向きに解決する。
 ④経済活動のための第三国旅行の費用は、損金として認める。
 ⑤裁判中の諸案件は協議して解決する。
こういうふうな合意事項があったと言われているのですが、これはまあ朝鮮総連の出しているパンフレットに載っているわけです。この事実を確認してください。
三浦政府委員 お答えいたします。
 国税当局が、特定の団体あるいはその会員に対しまして特別な取り扱いをするということはございません。今御指摘の在日本朝鮮人商工連合会でございますか、それとの合意事項というものはございません。
中山(太)委員 
私もいろいろ実態を聞いておりますけれども、国税庁がいろんな団体と徴税に関して合意していることはほかにもあるでしょう。

はっきり言いましょうか。解放同盟というのが昔あって、活発にやっていたときには税務署でちゃんと協定ができていた。

あなた方、そういうことは一切ないと今この席で言われたけれども、現実にあるじゃありませんか。
今はあるかどうか知らぬけれども、かつてあったじゃないですか。
三浦政府委員 お答えいたします。
 ただいま申し上げましたようなことでございまして、他の団体と申しましょうか、いかなる団体あるいはその会員に対しても、特定の取り扱いをする、あるいはそれに関する合意事項というのはございません。いろんな記事とか出ておりますことは、当該団体からの要望事項として私どもが要望を聞くということはございますが、それに合意するということはございません。
中山(太)委員 
 要望を聞いて、合意することはない。それじゃ、まあ聞きっ放し。聞きっ放しですか、すべて。これ、この問題だけでも一日かかりますよ。

いろいろな国税局で判こを押した書類も、私は何遍も見ておりますから。

そんないいかげんな答弁して、国会は通りませんよ。
三浦政府委員 
 国税当局は、個々の課税の事案におきまして、常に適正な課税の実現に努力をしております。職員も日夜大いに苦労をして適正公平な課税に努力をしております。いろいろ要望があったりいたしますけれども、その要望等の有無にかかわりませず、個別の事案に対応いたしまして適正な課税ができるように努めておるところでございますので、御理解を賜りたいと思います。
中山(太)委員 
 これ以上ここで質問しても答えはオウム返しになるのだろうから、これ以上は申しませんが、社会はそんなことは考えてないのですよ。あなたの言われているのは公式論ということで、

現場ではやっているのです。やらされているのです。

そういうことをまあここでは言わざるを得ないと思います、お立場上。
 しかし、こういう文書が出ているということも、これ、取り消さなければいかぬですね、本当は、この文書自身を。国税庁から文句を言わないかぬでしょう。どうですか。

国税庁は団体に対してこういうことは一切合意はしていないという公文書を発出しますか。

三浦政府委員 
 要望の出方はいろいろな形で出てまいりますので、また、いろいろな個々の要望ということになります。
 ただいま議員の御指摘になりました点につきましては、記事でございますか、それを子細に拝見した上でまた考えさせていただきたいと存じます。
中山(太)委員 
 ちょっとこの文書を聞いてください。「ブッシュ政権の国家安全保障会議アジア部長だったダグラス・パール氏は、」
日本が「国内の北朝鮮関連団体への厳密な徴税姿勢を示せば、それだけで北朝鮮への圧力となる。日本国内の他の親北朝鮮組織に対しても徴税で同様の手段がとれる、」と述べております。
つまり、外国の政府の公務員だった人がこういうことを言っているわけですね。
 あなたは一方的に私にそういうことはあり得ないと言っている。こういうことは現実に存在しているのですよ。だから私が尋ねているわけです。
 だから、あなたはそれは言いにくいことだろうと思いますけれども、やはりこれだけの大きな国際問題を抱えた東北アジアの中に日本がいるわけですし、日本から送金が行われているわけだから、それを一体どういうふうにこれから監督していくのか、そこらのところはぴしっと国税庁として考え方を整理しておいてください。

衆 - 大蔵委員会 - 16号 平成11年07月06日
小池委員 
 ずっとこういうことが積み重なって、結局日本は、国交のこれまでのおくれてきたこともございましょうが、しかしながら、北朝鮮はもうアメリカとしか話をしない、日本に話してもしようがないみたいな、もうなめられちゃっているわけですね。それではやはり国家としての体をなしていないのではないか。それぞれ、一つ一つはパーツでしっかりやっておられるかもしれないけれども、全体の誤謬と申しましょうか、そういったことで結果的に我が国は非常に、平たく言ってなめられていると言わざるを得ないと私は思います。
 また、以前日本海での不審船との交戦が話題になったことがございますけれども、この万景峰92号こそ私は堂々と入ってくる不審船だというふうに思うわけでございまして、必要に応じということで関税局長おっしゃいましたが、これは常に必要があるというふうに、さらにきっちりとしたチェックをすべきということを私は主張しておきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、
事総連絡み、朝銀絡みとなると、どうも皆さん腰が引ける。
また、国会においてもこれが初めての質問であるということ、これも同じことだと思います。また、
ある月刊誌の七月号には、大阪朝銀の破綻について、大蔵省筋はやはり民族系金融機関という事情が大きいと説明している
そういうくだりもございます。

これまで、国税庁と朝鮮人商工会とのいわゆる五カ条の御誓文なるものがあって、それによって団体交渉権を得て、商工連の判こがあればそれはほとんどノーパスだということは、この業界、この方では極めてよく知られるところでございます。

国税庁は、以前も参議院の方で質問があった際に、そういう合意書はないというふうにお答えになっているのですが、しかし、

国税庁が否定なさったその直後に、商工連の梁守政氏は、絶対に既得権は守ると言って高らかに宣言をされておられるそうでございます。

彼らにとっての既得権とは一体何なのでしょうか、国税庁、お答えください。
大武政府委員 お答えさせていただきます。
 今先生からお話ありましたように、過去に在日朝鮮人商工連合会から国税に関する要望があったということは承知していますが、国税庁としては、決して特定の団体なりその会員に対し特別な扱いということを行うことはあり得ず、御指摘のような合意事項というものは存在いたしません。
 昨年十一月、先生からもありました、あたかも合意事項が存在しているのではないかと国民の誤解を招くおそれのある報道が新聞紙上でされたこともございまして、本年の一月、合意事項なるものは存在しないという旨について改めて職員に周知徹底を図ったところでございまして、今後とも適正かつ公平な税務の執行に全力で取り組んでいきたい、そう思っているところでございます。

最終更新:2013年08月18日 16:51