衆 - 財務金融委員会 - 16号 平成14年05月17日


○五十嵐委員 
次に、つい最近でありますけれども、近畿財務局の八幡さんという方が逮捕されていると思います。四月の下旬でありますけれども、
八幡匡紀さんという方が、上席金融証券検査官でありますけれども、大阪府警に逮捕をされております。
この件につきまして、事実、そして地検への送検についてどうなっているか、事実関係を警察庁に確認したいと思います。
○吉村政府参考人 
お答えを申し上げます。
四月二十三日、大阪府警におきまして、今お尋ねの近畿財務局職員一人、それと関西興銀の元理事長ら三人、計四人を贈収賄罪で逮捕しております。
逮捕事実は、近畿財務局が平成十一年十一月中旬実施の信用組合関西興銀に対する検査に関して、
近畿財務局の上席金融証券検査官が興銀側に検査体制、検査内容等の検査情報あるいは対応策を教示したことへの謝礼等として、十一年八月下旬ごろ同興銀理事長らから現金二十万円のわいろを収受した
というものであります。その後の捜査によって、
同検査官がタクシーチケットあるいは商品券の供与、また、飲食接待を受けていたという事実がございました
ので、総額二十数万円相当になりますが、これを追送致をしておりまして、これらを含めて五月十四日に起訴をされているところであります。
○五十嵐委員 
この近畿財務局というのは非常に問題が多いところでありまして、かつて接待問題というのがありました。この接待問題の大きな舞台にもなったところであるわけでありまして、本格的にメスを入れなきゃいけない。要するに、接待問題で大処分が行われたわけでありますけれども、それ以降も接待が行われたということの証拠になるんじゃないかなと、今回の事件が。タクシーチケット、飲食接待、そして現金の授受、こういうことが行われるというのは、いわゆる接待漬けがその後もひそかに継続されていたということになりはしないかという疑いが出てくるわけでございます。
 それから、それに関連して、この近畿財務局管内ではさまざまな疑惑事件が発生をいたしているわけで、それとの関連も私は追及されなければならないだろうと思います。
 今起訴されました八幡容疑者というよりも被告ですかは、一九七五年四月に近畿財務局に採用されまして、一九九〇年以降、検査官を務めており、九九年七月からは審査業務課配属でありまして、関西興銀の件で今回、情報を漏えいした、そしてその見返りに現金を受け取ったということで逮捕、起訴されたわけでありますけれども、実際にこの八幡被告が関西興銀の問題や大和都市管財の検査に、あるいは審査に直接かかわっていたんではないかというふうにも疑われるわけですが、この点の事実関係は確認できますか。
○村田副大臣 
近畿財務局におきましては、理財部の検査総括課が検査の時期とか体制等の計画を立案する、それで情報を管理する、こういう建前になっております。立入検査は、同部の金融証券検査官が実施をすることになっておりまして、八幡検査官は上席の金融証券検査官ということでございます。
 立入検査後の審査、すなわち立入検査で得た資料等を精査しまして結果を取りまとめていくということは同部の審査業務課が行っておりまして、必要に応じて金融庁のチェックを受ける、こういうことで、検査の結果は財務局長名で通知している、こういうことでございます。それで、
本人は同部の審査業務課というところで、
関西興銀につきましては審査業務に関与しておった、
大和都市管財につきましては検査官として立入検査をしている、
こういうことのようでございます。
○五十嵐委員 
やはりかかわっているわけですね。そうすると、
単に情報を提供しただけではなくて、審査の過程で手心を加えた可能性が出てくるじゃないですか。
その辺の確認はしていますか。要するに、関西興銀の審査がこれによってゆがめられたという事実はなかったんですか
○村田副大臣 
先ほどの警察庁の方の御答弁にありましたように、まことに遺憾ながら八幡検査官が起訴されたわけでありまして、委員の御質問のことも含めまして、事件の詳細につきましては、今後、捜査の結果を踏まえまして司法の場において明らかにされる、こういうふうに考えておりますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○五十嵐委員 
いや、司法の手といっても、一たんはこれは決着しちゃっているんですから、それは司法の問題じゃなくて金融庁として、監督当局としても、検査そのものがゆがめられたのかどうか、そして、こういうことが再発される可能性があるのかどうかということを厳しくチェックする必要があるんじゃないですか。どうですか。
○村田副大臣 
今御答弁申し上げたとおりでございますけれども、審査の過程、審理の過程でもって、八幡検査官が一人でまとめていく、こういうわけではありませんで、同僚の検査官あるいは上司とも協力しながら結果をまとめていく、こういうことでございますので、私どもとしてはそうしたことがなかったものと考えておりますが、いずれにしましても、捜査の結果を見ながら我々としては対処していきたい、こういうふうに考えております。
○五十嵐委員 
今村田副大臣は、一人でやったんじゃないから大丈夫なんだという御答弁でありましたけれども、そんなことは言えないと思うんですね。
九八年に、いわゆる大蔵省の接待スキャンダルというのが問題になりまして、四名が逮捕されて百十二名が処分を受けているわけですね。
特に近畿財務局は問題なわけですけれども、その後も、近畿財務局では幹部職員が接待を受けていたという報道があるんですね。だから、その延長上にこの話があるんであって、一人だけ特殊な方が八幡さんだったというより、そういう風土が残っていたということではないんですか。
だから、この八幡容疑者が逮捕されたことで一件落着というのではなくて、改めて近畿財務局全体について、業者との癒着がなかったかどうか、このような接待の慣行が残っていたかどうか、それがいろいろな疑惑事件との絡みで不正な手心が加えられたのかどうかということを、これはきちんと見る、チェックする必要があるんじゃないですか、どうですか。
○村田副大臣 
いずれにしましても、関西興銀につきましても、最終的には管理を命ずる処分ということで、破綻を来しているわけでございまして、大和都市管財につきましても、近畿財務局からの請求でもって清算をする、こういうふうになったわけでございます。
 私どもとしては、近畿財務局において、先生がおっしゃるようなそうした事実があって、不適切な金融行政が行われたということは考えておりませんけれども、今後とも金融行政の遂行に当たりまして綱紀の粛正に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○五十嵐委員 
どうもそれは臭い物にふたをするような話でありまして、どうしてチェックをしないのかというのは不思議でならないですね。このようなことが行われたとは思えませんなんというような話は、チェックしてみてからでないとわからないはずですね。
大体、上席の検査官が逮捕されるという自体、日本の金融検査の信頼性を揺るがせるような事態が起きた
わけですけれども、この逮捕の監督責任というようなものはどうなっているんですか
○村田副大臣 
私ども、先生の御指摘のように、職員が収賄の容疑で逮捕されたということはまことに遺憾でございまして、そうした意味で、私どもの金融行政について信頼を損なう行為であった、こういうふうには認識をしております。
 しかしながら、私どもは、その一件のみをもちまして我々全般の金融行政が曲がって行われた、こういうことはないと信じておりまして、今後ともなお一層職員の綱紀粛正に努めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○五十嵐委員 
監督責任についても述べないし、近畿財務局の体質に疑わしいところがあるからチェックするということもおっしゃらない。これはゼロ回答でありまして、とても答弁になっていないですね。
それでは、観点を変えて、八幡さんだけかという話をさせていただきたいと思いますよ。
一九九八年六月に破綻をいたしました大阪商銀の受け皿となった京都シティ信用組合、名前が今変わっております。近畿産業信用組合というふうに名前を変えましたけれども、預金量が大阪商銀の十分の一しかなかった京都市内の小さな信用組合が、十倍の大阪商銀の受け皿となったわけであります。これが、今八幡さんの事件があった関西興銀、これは最も大きな民族系の信用組合だったわけですけれども、この関西興銀と京都商銀をも譲り受けるという形になったわけですね。
関西興銀と京都商銀を合わせた預金量は、実に近畿産業信用組合の五十倍ですね。十倍のものをのみ込んで、さらに五十倍のものをのみ込んだという極めて異常な受け皿のバトンタッチが行われたわけですね。
これでは、二次破綻の可能性は極めて高い
と言わざるを得ないと私は思うんですが、この不自然な受け皿選定に際して、私の方で調べたところでは、近畿財務局の理財部長であった大森泰人氏、今金融庁の総務企画局企画課の調査室長でありますけれども、この大森さんが、近畿産業信用組合が受け皿になれるよう指導したというふうに言われておりまして、そういう情報を入手いたしました。これは大変重大な問題だと思うわけであります。
大森氏は、九九年十一月には関西興銀、二〇〇〇年十月には大和都市管財の検査をも指導しておりまして、これは八幡さんとセットで動いていたと思われるわけですけれども、大森氏についても同様に厳重に調査をする必要があるのではないかというふうに私は思いますが、どうですか。
○村田副大臣 
私も、先生からの御指摘を受けまして、青木社長の雑誌の対談といいますか、その部分を読んでみました。あと、その時点時点の経緯を考えたときに、一部不正確であるところもこの青木発言にはあるな、こういうふうに私自身感じたところであります。
 すなわち、大森が近畿財務局におりましたのは十三年七月まででございまして、その後異動をして今金融庁におるわけでございますが、そういう意味で、関西興銀については彼がかかわりようがないということにもかかわらず、青木さんの中では、関西興銀について、あたかも何か引き受けを慫慂したような発言がございまして、そこは必ずしも正確ではないな、こういうふうに私自身感じた次第でございます。
 いずれにしましても、韓国系の破綻四商銀につきましては、私どもとしては民族系のまとまりがあるということを期待してまいりましたけれども、そういう意味ではまとまり切らずに、
最終的には、透明、公正なプロセス、すなわち入札によって受け皿が選定された。
その経緯につきましては、譲渡先の選定権限を有します金融整理管財人においてもその経緯が詳しく述べられておるわけでございまして、そういう意味では、大森が今先生の御指摘なさるような不明朗なことにかかわっていたというふうに私どもは考えてはおらないわけでございます。
○五十嵐委員 
大森さんと、私が名前を出していないにもかかわらず今言われた、
京都シティ信用組合のもともとオーナーであり、近畿産業信用組合の今でも実質的なオーナーであります青木定雄氏との深い関係があった
ということは指摘をされているわけでありまして、そして、この大森さんという方自身は、九八年のいわゆる大蔵省接待スキャンダルの際に処分を受けている人ですよね。訓告処分を受けていると思いますが、訓告処分というのはかなり重い方の処分だと思いますが、これは事実関係、確認できますか。なぜそのままこの近畿財務局に置いておいたのか、問題がある近畿財務局でこのような仕事をさせたのか。
 私は不思議でならないのですが、この人物はいろいろな疑惑を持たれている。今おっしゃった受け皿の選定について、よく調べたけれども問題になるようなところはないとおっしゃったけれども、当初十二月初旬と予定されていた結果通知が一カ月近く延びたという事実もありまして、大森さんが、近畿産業信用組合に増資を果たして受け皿となれるように時間稼ぎをしたという疑惑も持たれているわけですが、全く調べもせずに、何の問題もないのだと言い切れるんですか。
○村田副大臣 
私ども、破綻した四商銀の譲渡先の選定手続につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、金融整理管財人がその選定権限を持っておりますので、その管財人のイニシアチブによりまして、一つは費用最小化原則、あるいは引き受け譲渡後の信用組合の経営の健全性を確保する、こういう観点から、選定を公明な、透明性のあるプロセスで行った、こういうわけでございまして、大森当時部長がその選定を無理に曲げた、そういう可能性は全く介在し得ない、こういうふうに考えております。
○五十嵐委員 
それはおかしいですね。極めて密接で、また、その指導をしていた、そして別の情報では、近畿産業信用組合の余裕資金を利用して不適切な増資まで誘導しているという話が、大森氏にはそういう疑惑の情報も流れているわけです。
もともと、
今言われた金融機関の会長さんは、前科十犯なんじゃないですか。
そういう方が雪だるま式に膨れ上がっていく金融機関の会長職を務める、事実上支配できるというのは、私は大変問題だと思いますよ。
その人と癒着関係にある人がいろいろ動いて、何にもありませんでした、一点の曇りもありませんなんという話は、世間では通用しないです。
 しかも、ドラゴン銀行というライバルがあって争ったわけですけれども、当初ドラゴンに傾いていた金融当局の考えが、急速にある時点からこの近畿産業信組の方に転換をしていった。とても不自然なんですね。公的負担の最小化原則というのが突然持ち出されたりして、この受け皿選定の経緯が極めて不自然に動いてきている。
 こういうことから考えて、大森さんが何の関係もないという今の答弁は到底納得できるものではありません。ちゃんとこの方のやってきたことについて、今でも金融庁の幹部になっているわけですから、そして過去に接待をされていた、そして訓戒処分を受けたという事実もあるわけですから、この人のこの経緯、そして八幡さんとの関係、飲食やタクシーチケット等の接待を受けていなかったかどうか、改めて調べる必要があると思いますが、きちんと答弁してください。
○村田副大臣 
大森前部長につきましては、大和都市管財の登録更新拒否に関しましては、私どもかねてその経緯を調べたことがございますが、むしろ私どもとしては、大森部長が登録更新拒否をした、こういうふうに聞いておりまして、そういう意味では、彼は適切な行政処分を行ったというふうに私どもは考えている次第であります。
 それから、破綻四商銀の手続につきましては、先ほど申しましたように、金融整理管財人が譲渡先の決定についての詳しい資料を公表しているわけでございまして、その中で書いてありますようなそういうポイント、そういうメルクマールに基づきまして入札まで行いまして、それはなぜかというと、一つにまとまれ切れなくて、手を挙げたその受け皿が幾つかあったということの中で入札を実施した、こういうわけでございまして、突然入札を提案した、こういうわけではなくて、そういう選定の仕方として、幾つかの受け皿候補がある場合に入札を実施しまして、費用の最小化原則とかそういうものを見ながら受け皿の優先順位を決めていった。こういう過程はまことに透明で公正なプロセスであったと私どもは考えている次第であります。
○五十嵐委員 
だめですよ、そんなでたらめなごまかし方をしたんじゃ。大和都市管財にしたって、登録拒否は確かにしましたよ。だけれども、それは遅過ぎたんですよ。なぜあそこまで引っ張ったのかということの方が問題なんですから、そんなものは公正な決定をしたという理由にならないですよ。
 それから、この京都産業信組についてはめちゃくちゃな事実をつかんでいますよ。
このエム・ケイ・タクシーの青木定雄氏が大阪商銀を引き受けた際には出資を募ったわけですけれども、
出資を募った先の一人である堺市在住の松原さんという方がいるんですが、
出資金の払い込みは青木氏の関連企業の小切手でしている。
それで、そのわずか五カ月後の九月に、総代会の承認がないまま全額返還した。
これは見せ金増資ですよ。
こういうことをずっと繰り返しやってきて、小が大をのむということをやってきたわけですから、到底まともな手段でこれが認められたとは思えないというわけであります。
 この問題は引き続き追及しますけれども、大森さんのチェック、ちゃんとしておいてくださいね。それだけは言っておきます。


最終更新:2013年08月02日 16:16