衆 - 財務金融委員会 - 15号 平成14年04月26日


○坂本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として商工組合中央金庫理事長江崎格君の出席を求め、意見を聴取することとし、政府参考人として財務省大臣官房総括審議官藤井秀人君、警察庁警備局長漆間巌君、公安調査庁調査第二部長中村壽宏君、外務省大臣官房審議官黒木雅文君、外務省アジア大洋州局長田中均君、中小企業庁次長小脇一朗君、国民生活金融公庫総裁尾崎護君及び中小企業金融公庫総裁堤富男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上田(清)委員 おはようございます。民主党の上田清司でございます。
 きょうは、政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法の審議ということであります。御承知のとおり、
朝銀大阪が大阪府の監督であったがゆえに十分な検査ができなくて破綻をし、膨大な公的資金を投入するような結果になりました。
もちろん、他の信用組合等々についても、都道府県の能力について、いかがなものか。現実的に、金融庁が我が国で最大の検査能力を持った機関であることは間違いないことでございますから、各政策金融機関がそれぞれの監督省庁の監督検査を受けるのではなく、重要な部分について金融庁の検査を受ける等々、大事なことではないかということで、基本的には賛成したい、こういう立場で臨むものであります。
 そこで、四月十二日に金融庁の方から「より強固な金融システムの構築に向けた施策」、ペーパーで三枚でありますが、この中で、「主要銀行グループ通年・専担検査の導入」、つまり常時専任で検査をしていく、こういう仕組みを導入すると聞いておりますが、
定期的な検査ですら、先般の関西興銀の関係で検査官が逮捕されるという事件が起きておりますが、ずぶずぶの関係ができたりしているにもかかわらず、通年でやったらかえって癒着の温床になるのではないかと思います
が、この点についてはどのようにお考えか、担当大臣にお伺いしたいと思います。
○柳澤国務大臣 
私ども、先般、十二日の日に特別検査の結果を公表させていただきましたけれども、その際、ある意味でそうした検査結果を踏まえまして、新しい施策を何点か発表させていただきました。その中に、今委員の御指摘のような通年専担検査体制、実質常駐検査体制というものをしかせていただくということを公表させていただいたわけでございます。
 これをやると、大変遺憾なことでございますが、今回、
近畿財務局の検査官が犯罪の嫌疑をかけられて逮捕された
というような事件がありまして、それに照らして考えると、こういう専担制というのは、そういう癒着というか癒着に起因するような犯罪の事案を生みやすくなるのではないか、こういう御懸念が表明されました。この点は確かに一つの問題点であるというように私どもも考えているわけでございます。
○上田(清)委員 
そこで、一つ、かねてから私も北朝鮮系信用組合の問題についてはいささか議論をさせていただいてきた経緯がございます。また、今回、新しい四信組の受け皿の中で、総連系の支配を受けない仕組みをつくる、こういう原則を打ち立てたわけでありますが、関係のそれぞれの役員に総連系の幹部が就任していたということが明らかになっておりますが、このことについて、きちっと確認ができたのかどうか。別に政府委員でも構いませんので、どうぞ明らかにしていただきたいと思います。
○漆間政府参考人 
お尋ねの四信組の役員のうち、公刊物により、
朝鮮総連と密接な関係を有する朝鮮大学校の学部長や商工会の役員を務めていたことを警察として確認している者が何名かおります。
その他の役員で、公刊物で確認できない者が朝鮮総連と関係を有しているかどうかにつきましては、警察の情報活動の内容に関する事柄でありますので、お答えは差し控えさせていただきます。
○中村政府参考人 お答えいたします。
御指摘の信用組合の役員の中には、朝鮮総連及び傘下団体の機関誌等によりまして朝鮮大学校の学部長及び傘下団体の役員として報じられた人物と氏名の一致する者が含まれております。
ただ、それ以上の情報につきましては、当庁の業務遂行に支障が生じるおそれがございますので、答弁を差し控えさせていただきます。
○上田(清)委員 金融庁にお伺いします。
 今、警察の立場からと公安調査庁の立場から一部明らかにしていただきましたが、私どもの知るところでも、
ハナ、ミレ、京滋、兵庫ひまわりの中に、理事長以下常勤の役員の中に総連系の関係の方がおられる。
こういう実態が明らかになった以上、これは何らかの形で取り消しなり処分の対象として御検討されるのか、あるいはどのような立場でこの問題を処理されるのか、明らかにしていただきたいと思います。
○村田副大臣 
新設四信組につきましては、朝銀東京をめぐりまして、不正な資金の流れが総連向けも含めてあった
ということでございましたので、私どもとしては、新設組合の定款においてそうした総連等の組織からの独立性を確保することが、今後そうした新設の組合の経営の健全性を確保するためにも重要であるという観点から、定款に一定の、そうした、組合との独立性を確保するということを定めるようにお願いをしてまいりました。
○上田(清)委員 おかしな御答弁ばかりであります。
 捜査の話じゃありません。
認可して、この受け皿金融機関がきちっとして機能するには、資金贈与を受け、あるいは不良債権の買い取りをさせ、膨大な国民の税金がここに投入されるわけですから、適格な受け皿かどうかを事前にチェックするというのは当たり前のことであって、捜査じゃないんです、調査です。
その調査ができていないということについての責任をきちっと明らかにしなきゃいけないということなんです。
できていませんでした、これは失礼しました、おわびします、今後こういうことがないように注意をしますという言葉が出なければおかしいでしょう、もう明らかになっているんですから。それとも、まだ明らかになっていないというんですか。
それから、法務と警察は結構でございます。お疲れさまです。どうぞお引き取りください。
○上田(清)委員 続きまして、今度は韓国系信用組合の問題に移らせていただきます。
 お手元の図の三を資料として見ていただきたいのであります。京都シティ信用組合というのがございまして、これは大阪商銀の受け皿になりました。当時役職員二十三名で、こうした預金また出資金があり、大阪商銀の受け皿になったわけであります。これがその後改称し、京都産業信用組合になったわけでありますが、この京都産業信用組合が、日本一の信組でありました関西興銀、そして中堅の京都商銀の受け皿になっていったという経緯がございます。
小が大をのむ、あるいはしっぽが体を振り回すと言わんばかりの大変な異常な肥大化でありまして、この点について、幾つも疑念があります。
例えば、この京都シティ信用組合は、一九九九年の三月期に超過債務の状態になっています。
こういう不安定な信組がなぜ受け皿になったのか、極めて疑念であります。また、ディスクロージャー誌を読みますと、この京都産業信用組合は、平成八年、九年、十年、十一年、十二年、経常利益は五カ年連続マイナスであります。当期利益においても、平成九年、十年、十二年とマイナスでありまして、繰越欠損額も十二億、自己資本も平成十二年度にはマイナスの一六%というような、むしろ十一年にこの受け皿になることによって、贈与金によってプラスになるというような、こういう弱い体質の金融機関がなぜ受け皿になったのか、極めて不思議でなりません。この異常な肥大化あるいは経営体制に問題はないのでしょうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○村田副大臣 
御質問は、当時の京都シティ信用組合についての問題点の御質問だと理解いたしますが、先生御指摘のように、一九九九年三月期の決算におきまして、京都府の検査結果等を踏まえまして不良債権を処理した、こういうことで京都シティ信用組合は約十億円の債務超過でありました。そういう状況でありましたけれども、約十三億円の出資増強によりまして一年以内に自己資本比率を四%に回復する、そういう内容を定めた経営改善化計画を策定しまして京都府知事に提出したところであります。そういうことで、京都府知事は同年五月に早期是正措置、第一区分でございましたが、これを発出したものと承知しております。
 その京都シティ信用組合でございますが、同年六月に経営陣を一掃しまして、新しい経営陣を迎えた上で、その予定されました約十三億円の出資増強によりまして十二年三月期決算においては約三億円の資産超過、自己資本比率で申しますと五・〇九%というふうになった、こういうことを承知しているわけでございます。
○上田(清)委員 
承知しているだけじゃ困るわけで、実際、体質が弱いんではないかと。では、先ほど申し上げました五期連続経常利益がマイナスだというこういう金融機関が、破綻したとはいえ日本一の金融機関の受け皿に何でなれるのですか。配当ゼロですよ。これはまともな金融機関じゃないじゃないですか。もし上場していたら、上場取り消しになりますよ、こんなのじゃ。それが何で受け皿になるのですか。
○村田副大臣 
今お答え申しましたように、自己資本比率が五%超であること、そして新しい経営陣のもとに京都シティ信用組合の経営が健全化の道をたどっていく、こういうことでありました。
○上田(清)委員 
それでは確認します。この増資によって確かに自己資本がマイナスからプラスになっております、増資活動によって。このとき、見せ金増資というのはなかったのでしょうか。例えば、旧関西興銀ほかの不良債権先から近畿産業信用組合の増資引受企業になっている事例とかないですか。そういう事例というのは確認できませんでしたでしょうか。係官でも結構ですよ。
○村田副大臣 
増資引受先の個別の出資者につきましてはコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、今先生が御指摘のような債務者であったものが出資の引受人となった、そういう事実はないというふうに承知をしております。
○上田(清)委員 
きょうは余り時間がありませんので、いずれそうじゃないということを教えてあげます。
 それから、ダブルギアリング、持ち合いの出資を各商銀ごとにやっていませんか、韓国系信用組合ごとに。これはどうですか。
○上田(清)委員 
そこで、北東商銀を見ると、まさに今村田副大臣が言われたとおりでありまして、表面上は、預金残高が十三年九月末で二百八十三億。しかし、私どもが調べた数字では二百二十三億。貸し出しが二百三十二で預貸率が八二%ですが、実質的な計数を確認しますと一〇四%という形で、完璧に一〇〇%を超えております。この預金残高のうちの中身は、多分、六十億が金融機関の預金のはずです。こういう北東商銀を東京商銀の受け皿になぜしたのか。
 きょうは余り時間がありませんから、私の方から申し上げておきますよ。
そのうちの二十億円は近畿産業信用組合からの取り込み預金のはずですよ。
何でこういうところを受け皿にしたのか。何の問題もなかったんですか。
○村田副大臣 
私どもは、受け皿として適格性に問題があるとは考えなかったということでございます。
○上田(清)委員 
多分、その中身をお互いに今から論争すると十時までに終わりませんので、きょうは少し地雷だけ敷いておきますので、後で爆発させてもらいます。熊本商銀についても少しお伺いします。
十三年三月末に十億の繰越損失、十三年九月末に一億の赤字決算、出資残高は十一億で、
実質的な資本はゼロに近いのですけれども、こういうところがなぜ福岡商銀の受け皿になるんですか。
私には到底理解できません。お答えください。
○村田副大臣 
熊本商銀についての御質問でございますが、私ども、財務内容からいきまして、健全性に特に問題があるというふうに考えたわけではありません。
○上田(清)委員 
全然答えになっていないんですよ。多分にこれは、本当にあなた方はずぶずぶですよ、この関係でいうと。全然弱い体質のところを受け皿にしています。では、もう一つ聞きます。
この熊本商銀で、エム・ケイ・グループの関連会社からの相当数の、何億という数字ですが、出資はなかったですか。
○村田副大臣 
エム・ケイ・グループからの増資引き受けはなかったかということでございますが、詳細について、具体的に申し上げることは控えさせていただきたいというふうに考えております。
○上田(清)委員 
私どもの調査では五億円程度のものが入っております。
他の商銀が増資をして受け皿銀行を強化するという、文字どおり持ち合いをしております。
それから、もう時間がありませんから、この近畿産業信用組合のディスクローズ誌の中にも明らかにしてありますが、ここの融資の中身を、これはもう公にされているものだけですから明らかにしていきますと、この中で、貸出金業種別残高構成比というのがあります。これを見ますと、建設業に一七・三%、不動産業に一九・三%、建設、不動産業関係で四割近い貸出残高になっております。
 もう御承知のとおりの実情でありまして、関西地区が一番不動産の下落率が高いところであります。あるいはまた、ビルの空き室は関西圏が一番多いところです。こういう実態を踏まえた上で、本当に近畿産業信用組合が、日本最大の信用組合であった関西興銀あるいは中堅の京都商銀の受け皿金融機関として正しい選択なのか。私は間違っていると思いますよ、基本的に。金融庁は急いで、これ、丁寧にやらないとだめですよ。だれもチェックしなかったからこういうことをやっていますけれども、大変なことになりますよ、これが二次破綻になっていくと。
 私は再調査をお願いしたいと思いますが、まずはこの点について、四割近い不動産、建設関連の融資残高があるという事実について、こういうところについて何の懸念もなかったのかどうか、この辺について内部の討論というのはどういうものだったのか、それを明らかにしていただきたいと思います。尋常じゃないでしょう、四割というのは。
○村田副大臣 
今、具体的に融資先の割合を示す資料が私の手元にございませんので、それに対してのお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが……
○上田(清)委員 
時間になりました。ただし、
金融庁の今総務企画局企画調査室長の大森泰人さんが近畿の理財局長のときに、
このエム・ケイ・グループの総帥に、ちゃんと関西興銀や京都商銀を受け取れ、こういう話があったということをインタビューで明らかにしているんですよ。
できレースだったように思います。
このことも改めて機会を通じて明らかにしますが、しかし、極めて脆弱な体質の信用組合が、こういう弱い体質の金融機関が相当数、日本最大級の金融機関の受け皿になっていることについて、どうも担当副大臣にしても問題認識が薄いような気がします。そこだけ指摘申し上げまして、終わります。ありがとうございました。

最終更新:2013年04月24日 04:25