非公式チュートリアル15 リズム3 ブライアン・ファーニホウのリズム分析と模倣2
このアーティクルは以下の論文の例を引用しています。
ミハイル・マルト「ブライアン・ファーニホウの音楽言語におけるいくつかの考察」The OM composer's book 第2巻より
ミハイル・マルト「ブライアン・ファーニホウの音楽言語におけるいくつかの考察」The OM composer's book 第2巻より
This article is quoted the original examples from;
Mikhail Malt: Some considerations on Brian Ferneyhough's musical language
The OM composer's book. 2 (ed. Delatour, IRCAM), page 7-19
Mikhail Malt: Some considerations on Brian Ferneyhough's musical language
The OM composer's book. 2 (ed. Delatour, IRCAM), page 7-19
ミハイル・マルトの論文に掲載された例の続き。
ここでは、 (1 2 3 4 5 6) という単純な1から6までの数列を用いて、複雑なリズムを作る例を紹介している。
まず最初のomloopで、rotateによって一つずつリストの要素を入れ替える。ここでの出力結果は
((1 2 3 4 5 6) (2 3 4 5 6 1) (3 4 5 6 1 2) (4 5 6 1 2 3) (5 6 1 2 3 4) (6 1 2 3 4 5))
となる。
((1 2 3 4 5 6) (2 3 4 5 6 1) (3 4 5 6 1 2) (4 5 6 1 2 3) (5 6 1 2 3 4) (6 1 2 3 4 5))
となる。
ファーニホウは、これらを括弧で括ることによってリズムツリーを作り出している。(1 2 (3 (4 5)) 6)という括弧のパターンを作り、それに数値をローテートさせたものを当てはめることによって、異なるリズムを作っている。例えば最初のリズムは、1, 2, 3, 6という合計12拍からなるリズムであり、その中の3の部分が4:5に分かれていると読み取ることができる。
単純化して書くと、以下のようになる。
単純化して書くと、以下のようになる。
このomloop 2の中身は、単純にリストの各部分をfirst, second, thirdなどで取り出したあと、listを使って括弧でくくれば良い。(プログラミング的にはnthなどを使ってもう少し「綺麗な」書き方ができるはずだが、視覚的にわかりやすい書き方を採用した。)
ここでの出力結果は、
(((1 2 (3 (4 5)) 6)) ((2 3 (4 (5 6)) 1)) ((3 4 (5 (6 1)) 2)) ((4 5 (6 (1 2)) 3)) ((5 6 (1 (2 3)) 4)) ((6 1 (2 (3 4)) 5)))
となる。
ここでの出力結果は、
(((1 2 (3 (4 5)) 6)) ((2 3 (4 (5 6)) 1)) ((3 4 (5 (6 1)) 2)) ((4 5 (6 (1 2)) 3)) ((5 6 (1 (2 3)) 4)) ((6 1 (2 (3 4)) 5)))
となる。
次のomloop 3では、それをpulsemakerによってvoiceクラスを生成したあと、それをリストとして集積している。注意点は、voiceの出力は一番左のoutput 0から繋ぐ。
ここで生成された複数のvoiceのリストを、最後にpolyのinput 1(右側)に入力する。結果として画像のようなリズムパターンのリストが得られる。
この例で生成されたリズムは、実際にファーニホウの「弦楽三重奏曲 String Trio」(1995)に使われている。137-174小節において見られるので、楽譜をお持ちの方、図書館などで閲覧できる環境にある方は、是非とも確かめていただきたい。