154 :ドクオ二次創作1:2013/05/05(日) 19:05:58 ID:???
シャー・・・シャー・・・
俺は今日も荒巻模型店に来ていた。
先日ハーフタイヤに挑戦して、アソビットでテストし、その成果を確かめた。今日はホームコースでのテストだ。
走っていたマシンをキャッチする。ドスッ、となかなかに重く、心地よい感触。昔に比べて格段に上がった速度は、
あのころとは違う、確かな感触を与えてくれた。
確かに地味ながら、着実に性能が上がっているのは確かなようだ。しかし・・・
( ^ω^)「おっおっ、もうちょっと調整が必要かお?」
(´・ω・`)「ブーンはもうちょっと丁寧に加工すべきだよ、力を入れ過ぎ」
('(゚∀゚∩「コース開いたね! 走らせるよ!」
まだまだこの人たちにはかなわなかった。復帰したばかりだから当然なんだけど、いつかは追い付きたい。
ショボやモナーさんは荒巻模型店で最速の座を争うほどの腕前だからまだ遠い存在だけど、
そろそろブーンと肩を並べたいと思い始めていた。そこで・・・
('A`)「ねぇショボン、なおさん。抵抗抜きについて教えてほしいんだけど」
先日、ハーフタイヤに挑戦して他の加工にも手を出してみたいと、意欲が出てきたのだ。
(´・ω・`)「良いよ」
('(゚∀゚∩「もちろん!」
ショボには以前、抵抗抜きをした駆動系を実際に見せてもらっていた。
荒巻最速という点から言っても、高度な技術を持っているのは確かで、俺の使っているシャーシについての知識も深いから参考になるはずだ。
なおさんは、タイプ系と呼ばれる古いシャーシを現在のシャーシと渡り合えるほどに改造できる人だ。
以前ショボも言っていたが、抵抗抜きの技術なら荒巻模型店で最高だろう。
155 :ドクオ二次創作2:2013/05/05(日) 19:07:21 ID:???
( ^ω^)「ブーンもちょうど抵抗抜きで色々やってたところだお! ブーンも聞かせてもらうお!」
(´・ω・`)「じゃあ基礎知識からだね。ドクヲは抵抗抜きと聞いて何を連想する?」
('A`)「え、う~ん。やっぱり摩擦の多い所を改造して抵抗を少なくする感じ?」
(´・ω・`)「うん、抵抗抜きの原点はそこだね。例えば・・・プロペラシャフトのギヤの角を落としたりしたよね、
あれもそういう目的があるんだ。
あと、カウンターギヤにボールベアリングを入れたりするよね、あれってただ入れただけだと意味ないと思わない?」
('A`)「あ、確かに。そのままでも機能的に問題ないのに、なんでだろうと思ってた。そのままだとなんだか、
ただ単にカウンターギヤの抵抗にボールベアリングの抵抗と重さをプラスしてるだけのような気がして・・・。
でも多分、俺のあずかり知らぬ理由があるのかと思ってた。」
(´・ω・`)「まぁ確かに、カウンターギヤシャフトに接触してる部分の距離を延ばして、
ブレを抑えるという意味もあるんだろうけど、抵抗と言う意味ではドクオの言うとおり増えてるんだ。
そこでね、ギヤの穴を広げてあげるんだ。」
('A`)「ギヤの穴を広げる?」
(´・ω・`)「そうそう、カウンターギヤのパイプ状になってる細い部分があるだろう?
ここの穴をベアリングをはめる側からピンバイスとかで広げてあげるんだ。
もちろん、全部広げてしまうとガタガタになっちゃうから、最後の方だけ1~2mmのこすんだ。」
('A`)「成程、それで接触してる部分を減らして、穴が広がった方はベアリングが支えるわけか。合理的だね。」
(´・ω・`)「これをさらに発展させて、ボールベアリングだけでカウンターギヤを支えるフローティングなんていう改造もあるけどね。」
('A`)「え! ベアリングだけで?」
(´・ω・`)「うん、カウンターギヤのベアリングをはめる穴を拡張して、730とか830みたいな幅があって高性能なベアリングを圧入するか接着して、
パイプ部分は切り取っちゃうんだ。730や830は幅がある分、一個だけでもブレが少ないし、何より回転が凄くスムーズなんだ。
でも結構難しい技術だよ。僕も出来るようになるまでカウンターギヤを何個も犠牲にしたさ。」
156 :ドクオ二次創作3:2013/05/05(日) 19:08:48 ID:???
なるほど、今の俺にはまだそこまでは難しいようだ。
('A`)「じゃあ、まず穴を拡張するところから始めてみるよ。」
(´・ω・`)「うん、それがいい。ちなみに、MSシャーシの場合ボールベアリングに変えるだけでも効果あるんだ。」
('A`)「そうなの?」
(´・ω・`)「うん。ほら見てごらん、MSのカウンターギヤの場合、ギヤ本体がカウンターシャフトと接している部分が短いだろう?」
('A`)「そう言えば・・・」
(´・ω・`)「だからどちらにしてもベアリングは入れなきゃならない。
だからキット付属のプラベアリングから520ボールベアリングに交換するだけでも抵抗を減らせるんだ。
もちろん、穴を広げる加工はこっちでも有効だよ。
カウンターギヤには他にも、パイプ部分の端っこの角を取ってギヤケースとの接触面積を減らすっていう加工もあるよ。」
('A`)「成程、そうやって抵抗を一つ一つ軽くしていくのが抵抗抜きなんだね。」
(´・ω・`)「そう、それが原点。でも、いつからか別の重要な目的も出てきた。」
('A`)「別の目的?」
(´・ω・`)「うん、これに関してはタイプ系使いのなおさんの方が詳しいかな。」
('(゚∀゚∩「じゃあここからは僕が説明するよ! これを見てごらん!」
そう言ってなおさんがギヤボックスを開けてくれた。
ギヤ自体を加工してあるのはもちろん、ギヤの周りにはワッシャーなどでスペーサーをかましてあった。
157 :ドクオ二次創作4:2013/05/05(日) 19:13:30 ID:???
('A`)「このスペーサーも、シャーシとの接触部分を減らすためなんだすか?」
('(゚∀゚∩「うん、それもあるよ! と言うか元々はそれが目的だね! でも、別の意味もあるんだ!」
('A`)「別の意味?」
('(゚∀゚∩「ドクオ君はバックラッシュって聞いた事があるかい?」
('A`)「う~ん、どこかで聞いた事があるような、ってくらいです」
('(゚∀゚∩「かいつまんで言うと、ギヤのかみ合わせの事だよ! 今の抵抗抜きは、このバックラッシュの調整も兼ねてるんだ!
これに関しては、明確な呼び方が無かったり抵抗抜きから派生した技術だから「抵抗抜き」の範疇に
含められたままってだけだと思うけどね!
特に僕の使ってるタイプ系シャーシなんか、これをやってあげないと今のシャーシと渡り合うなんて到底無理だよ!」
成程、タイプ系使いのなおさんにとって必須技術なわけだ。抵抗抜きが上手いというのもうなずける。
('(゚∀゚∩「スペーサーで調整するばかりがそうでもないけどね!
例えばドクオ君、君が先日組んだバハキング、あれに紙を挟んでギヤの調整をしてたよね?」
('A`)「あ、はい。成程、あれもそういう技術の一環だったんですね。」
('(゚∀゚∩「そうだよ! 僕の場合、かっちり決めてしまうためにランナーから削り出したプラ片や、
部品の包装に使われているホッチキスの針を接着したりして部品の位置を調整しているよ!」
どうやらパッケージのタグ以外にも、普段捨ててしまっていたモノが役に立つ事があるようだ。
158 :ドクオ二次創作5:2013/05/05(日) 19:15:31 ID:???
('A`)「バックラッシュの調整か、結構精度が要求されそうですね。」
('(゚∀゚∩「そうだよ! 下手をしたらなにしない方がましだった、なんて事もあるよ!」
( ^ω^)「ブーンも一回目にやった時はガタガタにしちゃったお! 今三回目だお!」
ブーンは力が強い分、力仕事には向いているのだろうがこういう繊細な作業は苦手なんだろう。
('(゚∀゚∩「でも、やった事がない事でもやらなきゃ何にもならないわけだし、
ドクオ君はマシンづくりも丁寧だから飲み込みは早いと思うよ!」
('A`)「そうですね、ミニ四駆を始めたときだってそうだったんだ、
俺の持ってる技術と工具でどこまで出来るか解らないけど、挑戦してみます。」
ピンバイスとワークマシンとやすりとカッターナイフ、これだけでどこまで出来るか・・・
('(゚∀゚∩「それならうちに来るといいよ! 道具を貸してあげるよ! コースもあるよ!」
159 :ドクオ二次創作6:2013/05/05(日) 19:17:15 ID:???
―なおるよの自宅―
なおさんの自宅につくと、なおさん自室に通された。
自室の窓からはベランダが見え、そこにコースが設置してあるのが見えた。
( ^ω^)「お邪魔しちゃってよかったんですかお?」
('(゚∀゚∩「今日は僕しかいないから大丈夫だよ!」
何でも両親は福引でペア旅行が当たり、他の兄弟たちも休日を利用して友人たちと遊びに行っていると言う事だった。
('A`)「所で、どんな道具を使ってるんですか? リューターとか?」
俺がワークマシン以外で思いつくのはそれくらいだった。
('(゚∀゚∩「リューターとかワークマシンも使うけどね、ギヤやタイヤの加工で主に使うのはこれだよ!」
そう言ってなおさんはベランダに行って手招きしている。窓からベランダに出て、尚さんが指さしている方を見ると、窓のすぐ脇に工作機械が置いてあった。
('A`)「凄い、工作機械を買ったんですか!」
('(゚∀゚∩「安物だよ! 卓上ボール盤と言って、ドリルで穴開け加工する機械だよ!
僕が買った時は6000円くらいだったけど、安い所では5000円くらいで売ってたらしいよ!
最近は8000円くらいで価格を固定しちゃったみたいだけどね!」
思っていたよりは確かに安かった。しかしそれでも、目の前にあるのは小規模とはいえ立派な工作機械だった。
160 :ドクオ二次創作7:2013/05/05(日) 19:19:21 ID:???
('(゚∀゚∩「精度は値段相応だけど、手でやるよりずっと精度を出しやすいし、
何より力が強いからちょっとやそっとじゃ回転が落ちないのがいいよ!
工業用だから、プラスチックだけじゃなく金属も加工できるよ!」
なおさんはさらに、加工物を置くテーブル(台)の上にXYZテーブルと言う三方向に動く装置を取り付けて、
簡易フライス盤として使えるようになっていると説明してくれた。
フライス盤がどういう機械かは知らないが、付属していたという万力だけよりもはるかに加工の自由が利くのは解った。
('(゚∀゚∩「ホントは卓上旋盤を買うのが一番なんだけどね! あれ高いよ! 最低でも10万円するよ!」
('A`;)「成程それは高いですね」
そのあと、ショボとなおさんに抵抗抜きの解説の続きや補足を話してもらい、俺のエンペラーの加工部位を決めた。
まだ初めてなので、最初話していたカウンターギヤの穴を広げ、パイプ部分の角を落とす加工をやってみようという事になった。
まずは穴を広げる工作だ。
('A`)「穴を広げるだけなら、ピンバイスだけで十分ですよね。」
('(゚∀゚∩「そうだね! でも僕は、わずかな穴の狂いを出来るでけ小さくするためにボール盤を使ってるよ!
せっかくの工作機械だからっていうのが大きいけどね!」
('A`)「接触部分を減らすだけだから、ちょっとぐらい穴がずれてても問題ないんじゃないですか?」
('(゚∀゚∩「これを見てごらん?」
そう言うとなおさんは、ワークマシンのホイールに小さなセッティングウェイトを一つだけ、マスキングテープで取り付け、スイッチを入れた。
161 :ドクオ二次創作8:2013/05/05(日) 19:23:29 ID:???
('A`)「・・・」
するとワークマシンはとたんに激しく振動し始めた。
('(゚∀゚∩「こうやって、たった1グラムの重りでも回転を狂わせるには十分なんだ!
確かに、カウンターギヤの内側くらいの回転半径の小さな所だと影響は少ないけど、こういう積み重ねの一つ一つが速さに繋がるんだよ!
それとドリルは一度食いこみ始めると回転させればさせるほど進んじゃうよね?
ピンバイスの場合うまくコントロールしないと貫通させちゃうんだ! そうなると、もうフローティングにするしかなくなっちゃうんだ!
ボール盤なら、レバーで動かした分しかドリルは進まないから、レバーを動かす量さえ気を付けていれば貫通する心配はないよ!」
やはりミニ四駆は俺が思ってる以上に奥が深い。
保護メガネをかけ、ボール盤のテーブルにカウンターギヤを固定し、ドリルをチャックに取り付けようとしてふと気がついた。
ギヤの穴と、ドリルが同一軸になっているかどうか解らないのだ。
('A`)「なおさん、どうやって位置を合わせれば・・・」
('(゚∀゚∩「こういうときはね、これを使うんだよ!」
そう言ってなおさんがパーツケースから取り出したのは、モーター軸だった。
162 :ドクオ二次創作9:2013/05/05(日) 19:27:08 ID:???
('(゚∀゚∩「これをまずドリルチャックに取り付けるんだ!」
('A`)「え、ドリルで加工するんじゃないんですか?」
('(゚∀゚∩「確かに加工自体はドリルでするんだけど、まず精度を出すためにモーター軸でギヤの位置決めをするんだ!
どんなに高精度な工作機械でも、位置決めが出来てないと意味がないよ!」
俺はドリルと同じようにモーター軸をチャックに取り付けた。
('(゚∀゚∩「これで一回電源を入れてみるんだ! ブレが無かったらまっすぐ取り付けられている証拠だよ!
この確認作業はチャックに取り付けるモノを交換するごとに行うといいよ!」
そう言ってなおさんはスイッチを入れてくれた。力強い音とともに、チャックが回転する。ブレはないようだ。
('(゚∀゚∩「回転している時は気を付けてね! 巻き込まれると指が飛ぶよ!」
('A`;)「え何それ怖い」
('(゚∀゚∩「これで一度スイッチを切って、チャックを下げてモーター軸が当たる所を見てみるんだ!
カウンターギヤの穴に軸がきれいに入ればOKだよ! チャックはこのレバーで操作するんだ!」
スイッチを切って、回転が止まっているのを確認してからレバーを回してチャックを下げてみる。
モーター軸はギヤの穴からやや外れた所に当たった。
163 :ドクオ二次創作10:2013/05/05(日) 19:30:32 ID:???
('(゚∀゚∩「テーブルを操作してギヤの位置を調整するんだ! テーブルはこれとこれとこれ、
この三つのダイヤルで操作するんだよ!」
言われた通り、モーター軸と穴が合致する位置を探る。
何度かトライして、きれいに軸が入る位置になった。
('(゚∀゚∩「あとはテーブルに触らないようにして、モーター軸をドリルに交換するんだ!
後はドリルが貫通しないように気を付けながら穴を広げるといいよ!」
これくらいかな、と辺りを付けてレバーを倒していき、そこまで行ったら一度引いて電源を切り、穴の状態を確かめた。
('A`)(もうちょっとか)
先ほどより少しだけドリルを下げる。今度は丁度良くなったようだ。
もうひとつのカウンターギヤも、同じ手順で作業した。
('A`)「フゥー、工作機械なんて初めてだから緊張した~」
('(゚∀゚∩「でもちゃんと作業できてたよ! ギヤの出来もいいし、やっぱりドクオ君は丁寧だね!」
('A`)「ありがとうございます。次はパイプの端を斜めに加工するんですね。・・・あれ?」
164 :ドクオ二次創作11:2013/05/05(日) 19:33:00 ID:???
そこで俺ははたと気づいた。こちら側はギヤの外周部分を削るので、ドリルでは無理なのだ。
ここはワークマシンを使うところだろうか?
('(゚∀゚∩「こっち側はね、ギヤをチャックに取り付けて回して、そこに刃物を当てる事で加工するんだ!
簡易旋盤ってやつだよ!」
何でも、加工物を回転させて加工するのが旋盤と言うらしい。
本来の旋盤は、縦軸ではなく横軸ということらしいが。
('A`)「でも、どうやってチャックに取り付けるんですか?」
そうなのだ、パイプの端を加工しようとした場合、そちらとは反対側をチャックで固定する事になる。
しかし、そこはギヤ部分になっているのでチャックでつかめば歯が潰れてしまう。
そもそも、MSギヤの直径ではチャックがつかめる最大直径を超えていた。
('(゚∀゚∩「こういうときには、治具を使うといいよ!」
そう言ってなおさんは、プラ棒やプラパイプを組み合せて加工したものを取りだした。
治具と言うのは、特定の作業専用に作られたか工具の事らしい。
('(゚∀゚∩「この部分を、ベアリングを入れる部分に差し込むんだ! そしたら反対側をチャックに掴ませるといいよ!」
165 :ドクオ二次創作12:2013/05/05(日) 19:35:45 ID:???
なおさんが言ったようにすると、治具はカウンターギヤにぴったりとはまった。
成程、これで治具の反対側をチャックに取り付ければ、ギヤを回転させられるわけだ。
加工用の刃物は、柄を短く切った彫刻刀をテーブルに固定した。回転させずにチャックを下し、歯とギヤの位置を調整してから加工した。
今度もうまく行ったようだ。
(´・ω・`)「じゃぁ後は実際にセッティングして様子を見るだけだね。」
('A`)「うん。あそうだ、MSの場合もスペーサーで位置調整したほうがいいのかな。」
(´・ω・`)「フローティングする場合はね。
今回ドクオがやった簡易の加工の場合、特に必要ないかな。ほら、MSの構造を見てごらん。
カウンターギヤはピニオンギヤと、そのその反対はセンターシャーシとの接触で位置を固定されているだろう?
だから、今回の加工ではセンターシャーシと接触しているパイプ部分の端っこを斜めに削っているから、これでOKさ。」
流石に新世代のシャーシだけあって、よく考えられているようだ。
(´・ω・`)「それより、ついでだからスパーギヤの抵抗抜きもしないかい?」
('A`)「スパーギヤの? でも俺あんまり難しい加工は・・・」
(´・ω・`)「スパーギヤ自体は加工しないよ。MSのスパーはギヤ脇の衝立で固定されてるのは知ってるよね?
この部分を接触させないようにしたら、抵抗は減ると思わないかい?」
('A`)「確かに。じゃあ、スパーの左右にスペーサーとボールベアリングを入れるの?」
なおさんに見せてもらったシャーシでは、リヤのクラウンギヤの背中側に620を入れてシャーシとの接触を避けているのを思い出していた。
(´・ω・`)「そういう方法もある事はあるけどね、もっと簡単で効率的なやり方があるんだ。
用はスパーギヤがシャフトの定位置にあればいいんだ。
さらにMSのスパーは、主に回転する縦方向にしか力が加わらないから、ガチガチに固定する必要もない。
具体的にはこうするんだ」
166 :ドクオ二次創作13:2013/05/05(日) 19:39:40 ID:???
そう言ってショボンは、自分のMSシャーシのスパー部分を見せてくれた。
('A`)「あれ、ギヤ加工してあるじゃん。」
(´・ω・`)「あ、今回はギヤ自体は見なくていいから。ギヤの左右に固定具があるだろう?」
確かに、スパーギヤの左右には紫色の部品があり、それがギヤを挟み込むように固定しているようだ。
('A`)「なんか、紫ピニオンみたいな色だね」
(´・ω・`)「うん、紫ピニオンを加工して作った部品だからね。このくらいで十分なのさ。
衝立を取り払って、これで固定する。たったこれだけで、スパーにかかっていた余分な抵抗はほぼすべて取り除けるんだ」
確かに、俺が考えていた方法よりもずっとシンプルで合理的だし、軽くもできそうだった。
あいにく紫ピニオンは切らせていたが、先日予備用にと買ったカーボンピニオンがあった。
今使ってるピニオンが割れたら交換しようと思っていたので、まだ1個も使っていなかったのだ。
('(゚∀゚∩「黒ピニオンの加工ならこれを使いなよ!」
機械に慣れていない俺では、小さい上に真っ黒で視認性が悪いカーボンピニオンをボール盤で加工するのは困難と言う事で、
なおさんが電動リューターを貸してくれた。
リューターはギヤだけでなく、シャーシの衝立を削除するのにも役立ってくれた。
家庭用電源から電気を引いてくるのでワークマシンよりも力が強く、最初はそのパワーに戸惑ったが、
慣れてしまえばサクサク加工できる優秀なツールだった。
加工部位の多いタイプ系を使うなおさんにとって、ボール盤にしろ電動リューターにしろ無くてはならないのもうなづける便利さだ。
167 :ドクオ二次創作14:2013/05/05(日) 19:41:32 ID:???
('A`)「よし、出来た!」
スパー部分の加工も終わり、全ての再組み立てが終わる。その頃には夕暮れが迫っていた。
('(゚∀゚∩「日が暮れる前に練習走行しといた方がいいよ!」
('A`)「はい。」
( ^ω^)「僕もいくお!」
夢中になっていて気がつかなかったが、どうやらブーンも俺が加工している横で色々調整していたようだ。
電池を入れ、ベランダに出る。そしてコースの前でスイッチを入れた。
シューン・・・
綺麗な駆動音が耳に届く。加工や組み立ては上手く行ったようだ。心なしか、いつもより回転も高い気がする。
('A`)「よし。」
( ^ω^)「いくお。」
スタートの構えを取り、二人同時にスタートする。
シャー・・・
頑張って加工した甲斐はあったようだ、いつもよりもペースが早い。・・・いや、速すぎた。
168 :ドクオ二次創作15:2013/05/05(日) 19:43:41 ID:???
ガシャーッン!!
Σ('A`)「うわ!」
エンペラーは、レーンチェンジで派手にコースアウトした。
以前よりも盛大に飛び出し、もしなおさんがコースの周りにクラッシュ対策のネットを張っていてくれなければどこか破損しているか、
ボディに大きな傷が出来たかもしれない。
でも、それだけ速くなっているのだと実感できる大クラッシュだった。
パシッ
マシンを拾っている横で、ブーンがゴールしていた。しかし・・・
(;^ω^)「お?」
ブーンのマシンは、走る前にはなかったカリカリと言う音を発していた。
俺はセッティングを見直すために、ブーンは異音の原因を探るため、室内に戻った。
('(゚∀゚∩「どうだった?」
('A`)「速度は上がったんですが、レーンチェンジで吹っ飛びました」
( ^ω^)「どこかギヤが欠けたようだお・・・」
(´・ω・`)「ドクオはローラーやブレーキを見直した方がよさそうだね。」
誰かの家で、コースを広げマシンを走らせながらワイワイ話し、セッティングする。こんな事何年振りだろう。
結局その日はセッティングが決まることなく解散したけど、とても楽しい時間だった。
また、明日荒巻模型店でコースアウトしないセッティングを探るぞ!
ドクオ二次創作 ('A`)は抵抗抜きに挑戦するようです ―巻―
最終更新:2014年02月04日 16:34