12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 18:31:17.67 ID:yr6hkM/lO
~第1話・装着、GPチップ!悪を蹴散らせ!~
('A`)「よ~し、俺も模型店に行くかな」
ここVIP町に1人の冴えない青年がいた。名前をドクオという。彼も世間のミニ四駆ブームに乗り、押し入れからかつて使ったマシンを引っ張りだしたのだが…。
(;'A`)「やっぱりこいつじゃダメかなぁ…」
ドクオのマシンはタイプ3シャーシのエンペラーだった。本来ドクオはレッツ&ゴー世代である。それではなぜフルカウルではなく四駆郎のマシンを使っているのか?
('A`)「でもカーチャンから貰った思い出のマシンだしな」
そう、このエンペラーはドクオの母が厳しい家計をやりくりしてドクオに買い与えたものだったのだ。フルカウル全盛の当時、友達にバカにされたりもしたが、カーチャンに感謝して大事に走らせ続けたマシンだったのだ。
('A`)「地図だとこの辺だな…お、やってるやってる!」
荒巻模型店と看板のかけられたその店の隣にはミニ四駆コースが設置され、たくさんのレーサーで賑わっていた。
ξ゚⊿゚)ξ「いらっしゃい。あら、あなたもミニ四駆?」
('A`)「あ、はい」
店名の入ったエプロンをつけた女性に話しかけられるドクオ。ここの店員だろう。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 18:35:42.05 ID:yr6hkM/lO
( ^ω^)「おっお、そのエンペラー昔のだお?もしかしてブーンと同じ復帰組かお?」
こんどはニコニコした男から話しかけられる。ドクオと同年代か。
('A`)「あ、はい。…“ブーンと同じ”ってことは…」
( ^ω^)「そうだお、ブーンも今日からミニ四駆に復帰するんだお」
そういって男がマシンを見せてきた。
('A`)「そのマシンは…」
( ^ω^)「おっお、ホライゾンだお!」
('A`)「見たところ俺と同年代ですよね?レッツ&ゴーのマシンじゃなくてダッシュ四駆郎のマシンって珍しいですね」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 18:38:41.37 ID:yr6hkM/lO
( ^ω^)「敬語なんか使わなくていいお。おっお、昔はマグナムセイバーを使ってたんだお!だけど探してもどうしても見つからないから新しくこいつを買ったんだお!」
('A`)「どうしてホライゾンを?」
( ^ω^)「お、それは…ブーンの名前が内藤ホライゾンだからだお!だけどみんなからはブーンって呼ばれてるお!よろしくだお!」
('A`)「俺はドクオ、鬱田ドクオ。よろしく」
( ^ω^)「おっお、よろしくだお!…それじゃあ早速コースに行くかお?」
('A`)「あ、うん…」
「や、やめてください!」
そのときコースの方から子供の叫び声が聞こえた。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 18:42:01.40 ID:yr6hkM/lO
(;'A`)「な、なんだ?」
(;^ω^)「行ってみるお!」
(;><)「や、やめてくださいなんです!」
ミ,,゚Д゚彡「うっせーなぁ、レースなんだから勝つためにはなんでもありだろ?」
从 ゚∀从「おいおい、フサギコ、子供のおっせーマシンなんかに本気になるなよ」
そこでは2台のマシンがレースをしていた。フサギコと呼ばれた男のマシンと、子供のマシンのようだ。
(;'A`)「こ、これは…!」
(;^ω^)「ひ、ひどいお!」
コースではフサギコのマシンが子供のマシンを執拗に攻撃していた。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 18:45:07.07 ID:yr6hkM/lO
ξ#゚⊿゚)ξ「ちょっと!子供のマシンになんてことするのよ!」
店員が止めに入るが…
ミ,,゚Д゚彡「うっせぇな、俺を誰だと思ってる。ニダー博士に選ばれたレーサー、フサギコ様だぜ?」
(;'A`)「ニダー博士!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「噂は本当だったのね!」
(;^ω^)「噂?」
ξ゚⊿゚)ξ「最近ニダー博士が全国の優秀なレーサーをスカウトして回ってるって噂よ。選ばれたレーサーには特別なGPチップが与えられるとか…」
(;'A`)「で、でもニダー博士ってたしか…」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ、勝利至上主義よ。速ければなんでもいい、勝つためなら相手のマシンを壊してもいい、っていう」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 18:48:05.99 ID:yr6hkM/lO
(;^ω^)「たしかそれが原因でモナー博士と決別したんだおね?」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ。だからニダー博士に選ばれたレーサーも各地のコースを荒らして回ってるって聞いたけど…まさかこのお店にまで来るなんて…」
ミ,,゚Д゚彡「ゴチャゴチャうっせぇな。モナー博士の子供がいるっていうから勝負しに来たのに、このガキ並のレーサー以下じゃねーか。そろそろ終わりにするぜ?」
(;><)「や、やめて…」
「やめろ!」「やめるお!」
ドクオとブーン、2人は我慢しきれずに怒鳴っていた。フサギコのマシンが攻撃の手を緩める。
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 18:51:02.77 ID:yr6hkM/lO
ミ,,゚Д゚彡「ん、なんだよ」
(#'A`)「ミニ四駆はそんな風に走らせるものじゃない!」
(#^ω^)「そうだお!正々堂々と勝負するお!」
ミ,,゚Д゚彡「俺がどんなレースしようと俺の勝手だろ。…お前たちもミニ四レーサーか。だったらお前たちが相手してくれよ」
フサギコがドクオとブーンのマシンに目を向ける。
(#^ω^)「臨むところだお!」
(#'A`)「受けて立つ!」
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと、あんたたち…」
(#^ω^)「ツン、止めるなお!」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、そうじゃなくて…あんたたちのマシンGPチップ搭載してないんじゃない?」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 18:53:49.47 ID:yr6hkM/lO
(;'A`)「あ…」
(;^ω^)「お…」
そう、復帰したばかりの2人はまだGPチップを手に入れていなかったのだ。
ミ,,^Д^彡「ギコハハハハ!GPチップもつけたことない奴がこの俺様と勝負だって?ちゃんちゃらおかしいぜ!」
(#'A`)「クッ…!」
このまま黙って引き下がるしかないのか。しかし、そのとき救世主が現れた。
/ ,' 3 「ふぉっふぉ、GPチップならこれを使いなさい」
ξ゚⊿゚)ξ「おじいちゃん!」
( ^ω^)「荒巻のじっちゃん!」
どうやらこの老人、ツンという店員の祖父で、この荒巻模型店の店長のようだ。
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 18:56:12.72 ID:yr6hkM/lO
('A`)「でも…いいんですか?これって今どこも在庫切れで次の入荷待ちの予約もいっぱいとか聞きますけど…」
/ ,' 3 「いいんじゃよ。ワシは2人の勇気とミニ四レーサー魂に感動したんじゃ。このくらいさせとくれ」
( ^ω^)「荒巻のじっちゃん、ありがとうだお!」
('A`)「ありがとうございます」
/ ,' 3 「付け方はわかるかの?チップをマシンにつけて、チップとペアの腕輪を腕につけるんじゃ」
早速2人ともGPチップをセットする。
('A`)「これでよし…」
(#^ω^)「さあ、勝負するお!」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 18:59:24.18 ID:yr6hkM/lO
从 ゚∀从「2人相手か。だったら俺も出るぜ」
もう1人の女レーサーが口を挟む。
ミ,,゚Д゚彡「おいおい、ハイン、こんな奴ら俺1人で大丈夫だぜ?」
从 ゚∀从「いいじゃねえか、見てるだけじゃ飽きてきてよ」
ミ,,゚Д゚彡「勝手にしろよ」
4人がスタート地点につく。コースはGPチップ搭載マシンに対応した仕切りのないオープンコースだ。
ξ゚⊿゚)ξ「それじゃあ準備はいいわね?レディ…」
ξ゚⊿゚)ξ「ゴー!」
ツンの合図で4台のマシンが一斉にスタートする。
('A`)「いけっ!エンペラー!」
( ^ω^)「いくお!ホライゾン!」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 19:01:13.08 ID:yr6hkM/lO
ドクオのエンペラー、ブーンのホライゾンも飛び出すが…
从 ゚∀从「おっと、そうはさせねぇ」
ミ,,゚Д゚彡「可愛がってやるよ」
ハインのサイクロンマグナム、フサギコのレイスティンガーにそれぞれ阻まれる。
(;'A`)「クッ、いきなり…!…う、うわっ!危ない!」
从 ゚∀从「オラオラ、楽しませてくれよ?」
サイクロンマグナムがエンペラーを小突く。
(#^ω^)「ドクオ、攻撃なんか無視して先にゴールすればいいんだお!」
(;'A`)「そ、そうだね!」
从 ゚∀从「だからさせねぇって」
ミ,,゚Д゚彡「そ~らよっ!」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 19:04:20.07 ID:yr6hkM/lO
ニダー博士に選ばれたレーサーだけあって、ハインとフサギコのマシンはかなり速い。今だってかなり手を抜いているのだろうが、おちょくるような攻撃を重ね、決して前には出させない。
(;^ω^)「このままじゃゴールの前に壊されちゃうお…そうだお!」
ミ,,゚Д゚彡「あん?」
フサギコが間抜けな声をあげる。
(#^ω^)「ホライゾン頑張るおー!ブーンがついてるおー!」
ブーンがマシンと併走しながら応援を始めたからだ。SGJCのような巨大コースならわかるが、ここは町の模型店に併設する小さなコースだ。マシンと併走するレーサーはまずいない。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 19:07:46.04 ID:yr6hkM/lO
ミ,,^Д^彡「ギコハハハハ!なにやってんだあいつ!」
( ><)「ホライゾンが加速してるんです!」
ミ;,,゚Д゚彡「な、なに!?」
少年の言うとおり、ブーンのホライゾンはグングン加速し、レイスティンガーを引き離す。
/ ,' 3 「ふぉっふぉ、GPチップを搭載したマシンはレーサーの心に共鳴して速くなるからの」
('A`)「そうか…!」
ドクオは思う。自分は今まで相手がニダー博士に選ばれたレーサーだからと、心のどこかで怖じ気づいていなかったかと。
(#'A`)「行くんだ、エンペラー!お前の力を見せてやれ!」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 19:10:21.75 ID:yr6hkM/lO
ドクオのマシンも加速し、サイクロンマグナムを引き離す。
从 ゚∀从「へえ…なかなかやるじゃねえか」
しかしなぜかハインは不適な笑みを浮かべる。
从 ゚∀从「そうでなきゃな。いいだろう…見せてやるよ、俺のマシンの必殺技を!」
(;'A`)「必殺技!?」
从#゚∀从「ウオオオオオオ…!」
ハインが雄叫びをあげる。サイクロンマグナムのGPチップとハインのつけたペンダントが青く輝く。
(;'A`)「ま、まさか!?」
(;^ω^)「マグナムトルネードかお!?」
从#゚∀从「そんなちんけなもんじゃねーっ!かっとべ、マグナムッ!!」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 19:16:47.97 ID:yr6hkM/lO
マグナムがコーナーから飛び出し横回転を始める…!!
スパイラル・エッジ
从#゚∀从「螺旋の刃!!」
サイクロンマグナムが回転しながら周囲の空気を巻き込む…!!生み出されたのはまさに螺旋状の空気の刃っ!!
(;'A`)「う、うわあぁ~、俺のエンペラーがっ!」
从 ゚∀从「ちっ、外したか…」
たしかに直撃は免れたものの、マシンの三分の一は破壊されてしまった。
(;^ω^)「ド、ドクオ!」
ミ,,゚Д゚彡「おっと、人のこと気にしてられんのか?」
(;^ω^)「お!?」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 19:28:32.82 ID:yr6hkM/lO
フサギコのマシンもいつの間にかブーンのマシンに接近していた。
ミ,,゚Д゚彡「ハインの奴派手にやりやがって…俺もしっかり決めてやるぜ」
それぞれ攻撃目標をとらえる…!
从 ゚∀从ミ,,゚Д゚彡「「これでとどめだっ!!」」
(;'A`)「エンペラー!」
(;^ω^)「ホライゾン!」
ミ,,゚Д゚彡「あれ?」
从#゚∀从「なにぃ?」
しかしエンペラーとホライゾンは無事だった。なぜなら…
\(^o^)/「オワタ 参上」
('(゚∀゚∩「そこまでだよ!」
突如現れた2人のレーサーのマシンがまるで閃光のように割り込んだからだ。
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 19:31:30.56 ID:yr6hkM/lO
ミ,,゚Д゚彡「お前らは…!」
从#゚∀从「ちっ!いいところだったのよう!」
( ><)「オワタさん!なおさん!助けに来てくれたんですね!」
('(゚∀゚∩「お前たちの好きにはさせないよ!」
\(^o^)/「ビロードくん もう 大丈夫です」
なにやらハインとフサギコ、そしてモナー博士の息子は知り合いのようだ。
ミ,,゚Д゚彡「構わないぜ、こいつらもやっちまおう、ハイン」
从 ゚∀从「…いや、今日はモナー博士の息子の様子を探れとの命令だ。他のモナー傘下のレーサーとはぶつかるなと言われただろ?」
ミ,,゚Д゚彡「…チッ!しかたねぇ、今日は退くか」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 19:34:04.22 ID:yr6hkM/lO
ハインとフサギコが帰っていく。と、ハインが振り向いて聞いた。
从 ゚∀从「…おい、お前ら名前はなんていう?」
(#^ω^)「…ブーンだお」
('A`)「ドクオだ」
从 ゚∀从「…そうか、覚えておこう。俺の名前はハインリッヒ高岡。いずれまた会うこともあるだろう」
そう言うと、今度こそ2人は去っていった。
( ><)「みんなありがとうなんです!」
(;'A`)「いや、俺達は全然役に立てなくて…」
(;^ω^)「そうだお…2人が来てくれなかったらどうなったことか…」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 19:37:06.49 ID:yr6hkM/lO
(;'A`)「そ、そうだ、助けてくれてありがとうございました。お二人はいったい…。それにその子、モナー博士の子供って…」
('(゚∀゚∩「僕の名前はなおるよ!だいたい“なおさん”って呼ばれてるよ!」
\(^o^)/「僕は オワタです」
('A`)「あ、ドクオです」
( ^ω^)「内藤ホライゾン、ブーンって呼んでくださいお」
('(゚∀゚∩「僕たちはモナー博士にスカウトされたレーサーなんだよ!」
\(^o^)/「今日は モナー博士に 頼まれて 優秀なレーサーを 探してたんです」
(;'A`)(;^ω^)「「な、なんだって!」」
('(゚∀゚∩「詳しい話は研究所でするよ!その壊されたマシンも、モナー博士の研究所でならきっとなおるよ!ついて来てくれるかな?」
(;^ω^)「は、はいですお!」
(;'A`)「そ、そういえば俺のエンペラー!い、行きます!」
\(^o^)/「それでは 行きましょう」
こうしてドクオはミニ四駆に復帰した。この男が後に伝説のミニ四レーサーと呼ばれることなど、まだ誰も知る由はなかった。
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/31(金) 19:42:51.71 ID:yr6hkM/lO
川 ゚ -゚)「…という話を考えたのだが」
从#゚∀从「ちょっと待てよ!どうして俺は悪役なんだよ!」
川 ゚ -゚)「人数の都合でな。それとイメージだ」
从#゚∀从「俺のどこに悪役のイメージがあるっていうんだよ!」
川 ゚ -゚)「そういうところだ」
最終更新:2014年04月14日 00:03