4 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:13:06.96 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
('A`)「さて、着いたぞ」
俺は今日も荒巻模型店に来ていた。
ここ最近ちょっと通いすぎな気もするが、大学生の春休みは長く、バイトは深夜だし、昼間は他にすることもないのだ。
('A`)「こんにちは」
ξ゚⊿゚)ξ「あら、いらっしゃい」
('A`)「あ、今日は子供たちが来てるんですね」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ、小学校も春休みに入ったらしいわ」
ミニ四駆のコースの周りには4人の子供たちが陣取って楽しそうにマシンをいじっていた。
( ><)「あ、ドクオお兄ちゃんこんにちはなんです!」
('A`)「こんにちは、ビロードくん」
6 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:15:08.45 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
この子はビロードくん。ここ荒巻模型店の常連、モナーさんの息子だ。
( <●><●>)「こんにちは」
(=゚ω゚)ノ「こんにちはだょぅ」
(-_-)「こんにちは…」
この子たちはビロードくんの友達のワカッテマスくん、ぃょぅくん、ヒッキーくん。
みんな今年から小学4年生になる同級生だ。
('A`)「ブーン達はまだ来てませんか?」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンは確か今日はバイトだって言ってたわ。ショボンはわからないけど」
('A`)「そうなんですか」
コースを使いたいところだが子供達が楽しんでいるから少し遠慮しよう。
9 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:16:42.08 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
( ><)「また負けちゃったんです!」
(=゚ω゚)ノ「やっぱりワカッテマスくんは速いょぅ」
(-_-)「もう大人にも勝てるよね」
(*<●><●>)「いやあ、そんなことないんです」
('A`)(相変わらず仲良いなぁ…)
子供達の様子を微笑ましく眺めていたのだが…。
( ><)「セッティング換えるんです!え~と…フロントは…」
( <●><●>)「あ、そのフロントスライドダンパーは止めた方がいいです」
( ><)「そ、そうなんですか?」
( <●><●>)「強度的にも精度的にも良くないし、そもそも減速の為のパーツです。スピードアップには繋がりません」
10 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:17:56.27 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
( ><)「フロントは後回しにするんです!タイヤを…」
( <●><●>)「あ、あ、スポンジタイヤは抵抗が大きすぎてコーナーで遅くなるからダメです!」
(;'A`)(ワカッテマスくん小学生なのに詳しいなぁ…)
ワカッテマスくんがビロードくんにアドバイスをする。しかしビロードくんは釈然としない様子だ。
( ><)「でもグリップ力があった方が…」
( <●><●>)「ダメです。しかもスポンジタイヤは変形しやすいし、跳ねやすいからゴムタイヤの方がいいです!」
(;><)「でも…」
11 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:20:06.62 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
( <●><●>)「あ、あとそのワンウェイホイールも重いし精度が悪いからダメなんです」
( ><)「……」
( <●><●>)「それからそのエアロハイマウントローラーも強度が弱いし、そもそもミニ四駆程度の大きさじゃダウンフォースは…」
( ><)「……いんです」
( <●><●>)「?なんですか、ビロードくん?」
(#><)「うるさいんです!」
(;<●><●>)「な…」
(#<●><●>)「せっかく人が親切に教えてあげてるのになんですか!そんなんだからいつまで経っても遅いんです!
僕の言うとおりにすれば速くなるんです!」
(#><)「うるさいんです!僕は僕の好きなようにマシンを組みたいんです!」
12 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:20:54.49 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(;=゚ω゚)ノ「ふ、2人とも止めるょぅ!」
(;-_-)「そ、そうだよ、喧嘩はよくないよ」
ぃょぅくんとヒッキーくんが仲裁に入るが…
(#><)「2人には関係ないんです!」
ビロードくんが振り回した腕が偶然ぃょぅくんの頭に…
ボカっ!
(=゚ω゚)ノ「……」
(=;ω;)ノ「うわああああああん!!」
(;><)「ご、ごめんなんです、ぃょぅくん!わざとじゃないんです!」
(#<●><●>)「とうとう暴力まで振るいましたね!最低なんです、ビロードくん!」
(#><)「わざとじゃないって言ってるんです!」
14 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:22:31.45 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
ビロードくんがワカッテマスくんに飛びかかる。
(#<●><●>)「イテテ…やりましたね!それならこっちだって…えい!」
ワカッテマスくんも応戦し、取っ組み合いの喧嘩になる。
(;-_-)「や、やめなよ」
(=;ω;)ノ「ヒック、ヒック……」
(;´・ω・`)「こんにちは…ってどうしたの?」
(;'A`)「あ、ショボン!事情は後で話すからワカッテマスくんを抑えて!」
(;´・ω・`)「う、うん!」
(;'A`)「俺はビロードくんを抑えるからツンさんはぃょぅくんをなだめて!」
ξ;゚⊿゚)ξ「わかったわ!」
なんとかして2人を引き離すことは出来たのだが…
15 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:23:53.37 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(メメ#<●><●>)「ビロードくんの分からず屋!」
(メメ#><)「分からず屋はワカッテマスくんの方なんです!」
依然言い争いを続ける2人。
ξ;゚⊿゚)ξ「あらあら、仲良くしなきゃダメよ?」
(メメ#<●><●>)「だって悪いのはビロードくんなんです!……行きましょう、ぃょぅくん!」
(=;ω;)ノ「グス、グス……」
(#メメ><)「ワカッテマスくんなんかもう知らないんです!ヒッキーくんは僕の味方ですよね?行きましょう、ヒッキーくん!」
(;-_-)「ま、待ってよ、ビロードくん!」
17 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:25:20.36 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
ξ゚⊿゚)ξ「みんな行っちゃったわね……」
(;´・ω・`)「一体なにがあったの?」
(;'A`)「実は…」
俺はことの成り行きをショボンに説明した。
(´・ω・`)「なるほど、そんなことがあったのか」
('A`)「確かにワカッテマスくんの言ってることは正しいんだけど、頭ごなしに自分のセッティングを否定されたら腹が立つのもわかるよね」
(´・ω・`)「大人のレーサーでもたまにそういう人いるよ。自分の理論を押し付けてくる人」
('A`)「あ、大人でもいるんだ」
(´・ω・`)「うん。本人に悪気はないんだろうけどね…やっぱり押し付けは良くないよ」
18 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:26:03.04 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
('A`)「そうだよね。やっぱりミニ四駆は自分の好きなように楽しまなきゃ。
……それにしても普段仲の良い2人があんな大喧嘩するとはね……」
(´・ω・`)「うん、ちょっと意外だよ」
ξ゚⊿゚)ξ「モナーさんに連絡した方がいいかしら?」
('A`)「仕事中だろうけど、メールくらいなら平気じゃないかな?」
(´・ω・`)「そうだね、一応メールしておこう」
ショボンがビロードくんの父親であるモナーさんにメールを送った。そしてしばらくして…
(´・ω・`)「メールが返ってきた…じゃなくて電話だ。はい、もしもし」
20 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:29:13.27 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
「もしもし、モナーだモナ。ビロードとワカッテマスくんが喧嘩したモナ?」
(´・ω・`)「はい、結構派手な喧嘩で…怪我は全然大したことないんですけど。……モナーさん今電話して大丈夫なんですか?」
「ちょうど昼休みだから大丈夫モナ。
それにしてもワカッテマスくんと喧嘩モナか……幼稚園の頃からの友達だけど、あんまり大きな喧嘩はしたこと無かったモナねぇ」
ビロードくんは本来素直な性格だし、ワカッテマスくんは年齢に似合わず落ち着いているので衝突も少なかったのだろう。
「う~ん……多分あの2人なら大丈夫だとは思うモナ。でも一応帰ったら話を聞いてみるモナ」
(´・ω・`)「はい、早く仲直りするといいですね」
「そうモナね。わざわざ教えてくれてありがとうモナ。それじゃあ失礼するモナ」
モナーさんは電話を切った。
(´・ω・`)「とりあえずは様子を見るしかないね」
('A`)「そうだね…」
22 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:30:53.31 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
~そのころビロードは~
(#><)「ワカッテマスくんなんてもう知らないんです!」
(;-_-)「落ち着きなって、ビロードくん」
(#><)「でも悪いのはワカッテマスくんなんです!」(-_-)「でもワカッテマスくんもよかれと思って言ってくれたんだろうし…」
(#><)「そんなんじゃないんです!きっと自分の方がミニ四駆に詳しいからって僕をバカにしてるんです!」
(;-_-)「そんな…」
(#><)「もうワカッテマスくんとは絶交なんです!口も聞きたくないんです!」
26 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:32:43.27 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
~一方ワカッテマスは~
(#<●><●>)「ビロードくんがあんなに分からず屋とは知りませんでした!」
(;=゚ω゚)ノ「いつものワカッテマスくんらしくなぃょぅ。少し落ち着くょぅ」
(#<●><●>)「ぃょぅくんだってビロードくんに殴られたじゃないですか。とんでもない奴です!」
(;=゚ω゚)ノ「僕はもう大丈夫だょぅ。それにあれは多分偶然当たっちゃっただけだょぅ」
(#<●><●>)「どっちにしろもう知らないんです。ビロードくんとはもう絶交です!」
29 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:34:53.25 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
~~~~~~~~~~~
(#><)「フンッ!」
(#<●><●>)「フンッ!」
(;'A`)(弱ったなぁ…)
あの喧嘩から一週間が経った。
しかしビロードくんとワカッテマスくんが仲直りをする気配は全くなく、店で顔を合わせても全く口を利かなかった。
(;-_-)「どうしよう…」
(;=゚ω゚)ノ「早く仲直りして欲しいょぅ」ヒッキーくんとぃょぅくんも板挟みにあって困っている。
(;=゚ω゚)ノ「ドクオお兄ちゃん、どうにかならないかょぅ」
(;'A`)「え、俺?」
(;-_-)「はい、僕たちが説得しても全然聞いてくれないし…。
お父さんにも相談してみたけど“男は喧嘩して友情を深めていくニダ!ウェーハッハ!”って言って笑うだけだし…」
(;'A`)「ニダーさんらしいなぁ…」
(´・ω・`)「う~ん…だからといって僕たちが口を挟むのもね…」
( ^ω^)「おっお、モナーさんも“子供たちを信じるモナ”って言ってたおね」
30 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:35:50.21 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
今日はブーンも荒巻模型店に来ていた。事情は全て説明してある。
('A`)「でもさすがにそろそろ放っておけないな」
(´・ω・`)「実は僕はモナーさんに頼まれててね。
2人がどうしても仲直りできない場合、自分はビロードくんを説得するから僕にはワカッテマスくんを説得して欲しいって」
( ^ω^)「お、そうなのかお?」
(´・ω・`)「うん。モナーさんはどうして僕を選んだのか…。
でもワカッテマスくんの気持ち、わからないでもないんだ。頑張ってみるよ」
33 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:38:02.70 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
~~~~~~~~~~~
(´・ω・`)「ワカッテマスくん、マシンの調子はどうだい?」
( <●><●>)「あ、ショボンお兄ちゃん。マシンはまあまあですね。だけどタイヤがなかなか決まらなくて…」
(´・ω・`)「レストンスポンジタイヤなんかどうだい?」
(;<●><●>)「え!?ショボンお兄ちゃんがそんなことをいうなんて…。レストンスポンジタイヤは全然使えないタイヤなんです!抵抗が大きすぎてコーナーで遅くなります!」
(´・ω・`)「フフ、じゃあステアリングシステムを使ったらどうだい?ついでに後輪はワンウェイホイールにしたら?
ミニ四駆は前輪を滑らせてコーナーを曲がるから、抵抗の大きいスポンジタイヤだと減速してしまう、ワカッテマスくんはそう言いたいんだよね?
でもステアリングシステムを使えばその悩みは解決さ!なにせステアリングを切ってコーナーを曲がるんだからね。スポンジタイヤの高いグリップ力も活かせる。
ワンウェイホイールで回転ロスを無くせば完璧さ!」
(;<●><●>)「で、でもステアリングシステムもワンウェイホイールも実際には重すぎるし精度が悪いから遅くなるだけ…」
(´・ω・`)「そんなことないよ、今すぐ付けてみるといいよ」
34 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:39:35.38 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(;<●><●>)「で、でも…」
(´・ω・`)「さあ、早く付けてみるといいよ。さあさあ!」
(;<●><●>)「わ、悪いけど僕は自分のセッティングを信じるんです!」
(´・ω・`)「……フフ、その気持ち、きっとビロードくんも一緒だと思うんだ」
(;<●><●>)「!!」
(´・ω・`)「セッティングにも人それぞれ好みがあるよね。
いろいろなセッティングやマシンがあるから面白いんだ。
……まあ、ステアリングシステムやワンウェイホイールは確かに速くするのは難しいパーツだけどね。それでも改良して使ってる人はいる」
(;<●><●>)「はい…」
37 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:41:06.78 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(´・ω・`)「荒巻模型店に集まってるレーサーにもいろんなタイプの人たちがいるだろう?
僕やモナーさんみたいに速さを追求する人、なおさんのように古いシャーシで頑張ってる人、オワタさんみたいにボディのドレスアップが一番の楽しみだって人もいる」
(;<●><●>)「はい…」
(´・ω・`)「でもだからといって誰が正しくて誰が間違ってるなんて決まってないよね?」
(;<●><●>)「その通りです…」
(´・ω・`)「速くなければいけないとか、かっこよくなきゃミニ四駆じゃないとか、そんな風に人に意見を押し付けたらいけないんだ」
39 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:42:48.75 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(;<●><●>)「僕も自分のマシンをバカにされて、違うセッティングに無理やりさせられたら嫌なんです…」
(´・ω・`)「そう、それぞれの好きなように組めばいいし、それをバカにする権利は誰にもないのさ。
……ひとつだけ言えるのは“ミニ四駆は楽しんだもん勝ち”ってことかな」
(;<●><●>)「僕、ビロードくんに謝らなきゃ…」
(´・ω・`)「ビロードくんならきっとわかってくれるよ。頑張って!」
42 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:44:42.44 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
~~~~~~~~~~~
( ^ω^)「お、話が終わったみたいだお」
ワカッテマスくんと話し込んでいたショボンだったが、どうやら話し終わったようだ。
ξ゚⊿゚)ξ「あら、ワカッテマスくんがビロードくんの方に行くわ」
喧嘩の顛末を見ていたツンさんも2人のことが気にかかるのだろう、俺たちと一緒に見守っている。
( <●><●>)「あの…ビロードくん…」
(#><)「……」
( <●><●>)「その、この前は…」
(#><)「なんの用ですか?」
ビロードくんがワカッテマスくんの言葉を遮る。
(#><)「ワカッテマスくんとはもう絶交したんです!絶交した人と話すことなんかないんです!」
(;<●><●>)「え…」
(#><)「今日はもう帰るんです」
45 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:46:47.12 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
そういうとビロードくんは本当に帰っていってしまった。
ξ;゚⊿゚)ξ「ダメだったみたいね」
(;^ω^)「おっお、ビロードくん結構頑固だお…」
(´・ω・`)「う~ん…あとはモナーさんに任せるしかないね」
('A`)「そうだね…」
~ビロードの自宅~
(#><)「ただいまなんです!」
从'ー'从「おかえりなさ~い。あらあら、どうしたの、そんなに怒って?」
(#><)「ワカッテマスくんの勝手さに腹が立つんです!」
从'ー'从「あら~、まだワカッテマスくんと喧嘩してたの?ダメよ、お友達とは仲良くしなくちゃ」
(#><)「もう絶交したから友達じゃないんです!」
49 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:47:55.27 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
( ´∀`)「ただいまモナ」
从'ー'从「あら、おかえりなさい。今日は早いのね」
( ´∀`)「仕事が早く片付いたモナ。…ビロードはまだワカッテマスくんと喧嘩してるモナ?」
(#><)「だってワカッテマスくんが悪いんです!」
( ´∀`)「……。ビロード、少しお部屋でお父さんとお話するモナ」
( ´∀`)「ふぅ…さて、ビロード」
( ><)「なんですか?」
( ´∀`)「喧嘩の理由は聞いたモナ」
53 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:49:39.72 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(#><)「全部ワカッテマスくんが悪いんです!」
( ´∀`)「ビロード、少し落ち着くモナ。……たしかにワカッテマスくんも少し押し付けがましいところがあったかもしれないモナ」
(#><)「そうなんです!」
( ´∀`)「だけどきっとワカッテマスくんは親切で教えてくれようとしたモナ。それに対して怒鳴り返したりするのはよくないモナね」
(;><)「だけど…」
( ´∀`)「ビロードは覚えてるモナ?ワカッテマスくんとは幼稚園からの友達だけど、その頃からなんでも2人は分け合ってたモナね?」
(;><)「……はいなんです」
56 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:51:35.28 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
( ´∀`)「ワカッテマスくんはたとえ自分がもらったお菓子でも、独り占めしないで必ずビロードと半分こしてたモナ」
(;><)「覚えてるんです…」
( ´∀`)「きっと今回もビロードに速さをおすそ分けしたかっただけモナ。ビロードも一緒に速くなって欲しかったんだモナ」
(;><)「!!」
( ´∀`)「そんな良い友達と、本当に絶交しちゃっていいモナか?」
(;><)「よくないんです!ワカッテマスくんに謝りにいくんです!」
( ´∀`)「モナモナ、そうするといいモナ。…だけど今日はもう遅いから明日にするモナ」
58 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:53:32.66 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
~翌日~
( ^ω^)「今日はあの2人、来るかおね…」
ξ゚⊿゚)ξ「どうかしらねえ…」
(´・ω・`)「ビロードくんのことはモナーさんが上手くやってくれてると思うけど…」
('A`)「あ、ビロードくんとヒッキーくんだ!」
荒巻模型店にまずはビロードくんとヒッキーくんが現れた。
( ><)「こんにちはなんです…」
キョロキョロと店内を見回すビロードくん。ワカッテマスくんを探しているのだろうか?
( ><)「あの、ワカッテマスくんは…」
ξ゚⊿゚)ξ「今日はまだ来てないわよ」
( ><)「そうですか…」
59 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:54:13.32 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
ガッカリしたようなホッとしたような表情を浮かべるビロードくん。そこへ…
( <●><●>)「こんにちは…」
ワカッテマスくんとぃょぅくんがやってきた。
(;><)「!!」
(;<●><●>)「!!」
お互いの存在を認め、緊張する2人。
(;><)「あの、ワカッテマスくん…」
(;<●><●>)「ビロードくん…」
お互いぎこちなく話しかけ…
「「ごめんなさい!!」」
2人同時に謝った。
(;<●><●>)「自分の考えを押し付けたりして本当に悪かったんです!」
64 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:57:25.42 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(;><)「僕の方こそせっかくセッティングを教えてくれようとしたのに、怒鳴ったりして悪かったんです!
ぃょぅくんも叩いちゃってごめんなんです!」
(=゚ω゚)ノ「わざとじゃないのはわかってるし、全然気にしなくていいょぅ」
(-_-)「2人が仲直りしてよかったよ」
( ><)「あ、僕はワカッテマスくんにお詫びのプレゼントがあるんです!」
( <●><●>)「え?僕も用意してきました…これです!」
ワカッテマスくんが取り出したのはオフセットトレッドタイヤ・ハードのオレンジ色だった。
66 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 20:58:42.05 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
( <●><●>)「オフセットトレッドタイヤは設置面を小さくすることで、コーナーでの減速を少なくするんです。
しかもハードタイヤだから、ジャンプ後の着地でも跳ねにくいんです」
それに、とさらに付け加えるワカッテマスくん。
( <●><●>)「ビロードくんがカラフルなタイヤが好きなのはワカッテマス!」
( ><)「ワカッテマスくん、ありがとうなんです!…それで、僕のプレゼントなんですけど…」
ビロードくんがプレゼントを取り出す。
( ><)「色は違うけど同じタイヤなんです!」
ビロードくんのプレゼントはオフセットトレッドタイヤ・ハードのライトブルーだった。
69 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:00:53.27 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(;><)「この色が気に入ったんですけど…かぶっちゃいましたね」
( <●><●>)「じゃあ、こうしましょうか」
ワカッテマスくんがタイヤをランナーから切り取る。
( <●><●>)「ライトブルーの前輪とオレンジの後輪を僕が、オレンジの前輪とライトブルーの後輪はビロードくんが使いましょう」
(*><)「半分こなんです!」
(;'A`)(すごい色の組み合わせだな…)
なにはともあれ2人は仲直りできたようだ。
( ^ω^)「おっお、よかったお!」
(´・ω・`)「うん、これで一安心だ」
71 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:01:56.81 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
一安心したところでショボンに質問してみる。
('A`)「ショボン、質問いいかな?」
(´・ω・`)「なんだい、ドクオくん」
('A`)「ハーフタイヤについて教えて欲しいんだ」
( ^ω^)「おっお、ハーフタイヤに挑戦するのかお?」
ハーフタイヤとは文字通りタイヤを半分(もしくはそれ以下)の幅に切って設置面を減らすことにより、コーナーでの減速の少なくすることを狙ったものだ。
(´・ω・`)「別に構わないよ。だけどドクオくんの使ってる大径タイヤは今はバレルタイヤやオフセットトレッドタイヤがあるから無理に作らなくてもいいとは思うけどね」
73 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:03:53.18 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(;'A`)「まあ、そうかもしれないけどさ」
オフセットトレッドタイヤはワカッテマスくんが説明したように設置面の少ないタイヤだ。
材質もハード、ノーマル、ソフトスリックの3種類が出ていてグリップ力が選べる。
バレルタイヤは名前の通り樽のように中央部が盛り上がった形をしているためにやはり設置面が少ない。
材質も一応3種類出ているが、ノーマルスリック以外は限定品や限定マシンの付属品だ。
ハードはまだ比較的手に入り易いが、ソフトスリックのバレルタイヤはほとんど手に入らないだろう。
74 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:05:07.44 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(´・ω・`)「まあ、軽量化にはなるしね。…ところでハーフタイヤの話に入る前にそれぞれのタイヤの材質の特徴は知ってるかな?」
('A`)「だいたいは。ハードがグリップが低くて、ノーマルは普通、ソフトスリックはグリップ力が強いんだよね」
( ^ω^)「おっお、だから前輪はハード、後輪はソフトスリックがよく使われるんだおね」
(´・ω・`)「うん、フロントはコーナーで滑らせるからグリップ低め、リヤは加速するためにグリップ力が必要だからね。その他の特徴も教えておこう」
('A`)「その他の特徴?」
79 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:06:52.62 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(´・ω・`)「ハードは跳ねにくいって利点もあるね。スロープセクションとかがあるコースで役立つ。
あとは欠点だけど、まずは重いことかな。それと劣化しやすくて割れやすいこと。
だからホイールにはめる前はお湯につけたりしてよくほぐしてやらないといけない」
('A`)「なるほど」
(´・ω・`)「ノーマルは文字通りノーマル。一番汎用性が高い。
フロント用に使う場合は日光に長時間晒して意図的にグリップ力を落としたりする」
( ^ω^)「いわゆる“干しタイヤ”だおね」
(´・ω・`)「ソフトスリックは通称シリコンタイヤとも呼ばれる透明なタイヤだね。グリップ力に優れている。
ただしホイールに両面テープや接着剤で固定しないと回転しているときにブレる」
81 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:07:38.59 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
('A`)「なるほど」
(´・ω・`)「……と、だいたいこんな感じかな。ドクオくんはどのタイヤを使うつもりだい?」
('A`)「そうだな…前輪はノーマルにして後輪はソフトスリックにするよ。ハードタイヤは割れるのが嫌だから止めておく」
(´・ω・`)「ホイールはどうする?」
('A`)「今使ってるこれでいいかな?」
俺が今使っているホイールはハードバレルタイヤ付属の大径カーボンホイールだ。
84 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:10:19.70 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
( ^ω^)「お…でもそれ限定品で今はあんまり手に入らないおね?加工しちゃっていいのかお?」
('A`)「いいんだ、ホイールなんて結局消耗品だし、使ってなんぼだよ。すでにシャフトを貫通してるしね」
ホイールを抜けにくくするために通常の60ミリシャフトではなく72ミリシャフトを貫通させて使っているのだ。
(´・ω・`)「強度もあるし悪くないホイールだと思うよ。トレッドが少し広いのが気になるけど、まあ許容範囲内だね」
('A`)「じゃあ早速ハーフタイヤの作り方を教えてくれないか?」
86 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:11:09.83 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(´・ω・`)「うん。…っていってもたいしたことじゃないけどね。
まずは使いたいタイヤを切って幅を細くするんだけど、このとき自分がしたい幅より大きめに切るんだ」
( ^ω^)「どうしてだお?」
(´・ω・`)「切っただけで望みの幅にするのは難しいし、まっすぐ綺麗に切るのもまず無理だからね。大きめに切ってヤスリで調整するんだ」
('A`)「タイヤを切るのはデザインナイフなんかでいい?」
(´・ω・`)「うん。削るのは最初はダイヤモンドヤスリやメッシュヤスリがいいかな」
( ^ω^)「ダイヤモンドヤスリは知ってるけどメッシュヤスリってなんだお?」
89 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:13:33.24 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(´・ω・`)「メッシュヤスリっていうのは…そうだ、昔タイヤサンダーっていうグレードアップパーツがあったろう?スポンジタイヤなんかを削ったりする編み目状のヤスリ。あれのことさ」
('A`)「あ、あれのことなんだ」
(´・ω・`)「ダイヤモンドヤスリもメッシュヤスリも100円ショップで売ってるから手軽に手に入るよ。
大きさを揃えたら耐水ペーパーなんかで切り口を整えるといい。
耐水ペーパーっていうのは前に説明したことがあるかもしれないけど、水に濡らして使える紙ヤスリのことだよ。
付いてる番号によって目の粗さが違うんだ。番号が大きいほど目が細かくて、小さいほど粗い」
93 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:15:24.83 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
('A`)「表面を整えるには目の細かいのを使うってわけか」
(´・ω・`)「そういうこと。タイヤが完成したらホイールの内側に寄せて瞬間接着剤で接着。
あとはダミータイヤだね」
( ^ω^)「おっお、外側に使う路面に接地しないタイヤおね」
(´・ω・`)「うん。なんでこれをつけるかっていうと、細くしたタイヤだけじゃレギュレーションを通らないんだ。タイヤの最低幅も決められてるからね」
('A`)「ダミータイヤにはどんなタイヤを使えばいいのかな?」
98 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:17:36.49 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(´・ω・`)「ダミータイヤは主に軽いスポンジタイヤで作られるよ。
灰色のローハイトスポンジタイヤが薄くて軽いから最適なんだけど、今は絶版品だね。
簡単に手に入るレストンスポンジタイヤでもなんの問題もないよ」
('A`)「じゃあ俺はレストンスポンジタイヤの黒にしよう」
(´・ω・`)「スポンジタイヤの加工は削りやすいから簡単だね。
ホイールにはめて大きさを整えたり接地しないように薄くしたりすれば完成さ。
ダミータイヤはホイールに接着してもしなくてもいいと思うけど、外れるのが怖いなら接着するといいよ。僕はそうしてる」
101 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:18:17.25 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
('A`)「そういえばタイヤを削るのはワークマシンでいいのかな?」
俺が取り出したのはワークマシン――パーツの加工用に使っているシャーシだった。
(´・ω・`)「うん、大丈夫だよ。ホイールを回しながらヤスリを当てていけばいい。
あ、大まかに削るときはハーフタイヤに使うホイールは使わない方がいいよ。傷んじゃうかもしれないからね。調整するときはつけなきゃダメだけど」
( ^ω^)「おっお、そういえばドクオもワークマシン作ったんだおね」
('A`)「うん、一台くらい持ってないと不便だからね。モナーさんが余ったシャーシを分けてくれたんだ」
102 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:20:06.20 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
俺のワークマシンはVSシャーシにウルトラダッシュモーターを積み、ナット止めホイールを装着していた。
('A`)「それで4つのタイヤを作ればいいんだね」
(´・ω・`)「うん、タイヤの大きさがバラバラにならないように気をつけてね。せめてフロント同士、リヤ同士は同じになるように。
あとタイヤを削るときはマスクをした方がいいよ。削りカスが鼻に入るからね」
('A`)「なるほど…そういえばショボンの使ってる超大径も同じような作り方なの?」
107 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:22:32.39 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(´・ω・`)「うん。多少手間が多いけどね。径を大きくするためにタイヤを2重にはかせるんだ」
( ^ω^)「おっお、興味あるからついでに聞かせて欲しいお!」
(´・ω・`)「いいよ。二重にはかせるタイヤの内側の方をインナータイヤって呼ぶんだ。これはゴムタイヤを使う場合とスポンジタイヤを使う場合がある。
ゴムタイヤの方が固いからしっかりしたタイヤを作りやすいけどその分重い。
スポンジをインナーにすると軽いんだけど、柔らかくてそのままでは使えないから瞬間接着剤を染み込ませてカチカチに固めなきゃならない。これが結構な手間なんだ」
('A`)「ショボンはどっち使ってるの?」
114 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:27:27.42 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(´・ω・`)「僕かい?僕はダブルインナースポンジっていって、スポンジタイヤを2枚重ねた上にゴムタイヤを重ねてる」
(;^ω^)「お…でもそしたら径が大きくなりすぎるんじゃ…」
(´・ω・`)「もちろんレギュレーション内のサイズまで削るのさ。そのぶんゴムが少なくなるからかなり軽いタイヤができる。
ただしゴムが薄いからバーストしやすくて作るの面倒なんだけどね。
ちなみにレギュレーションのタイヤ径の最大サイズは35ミリだけど、僕は34.5くらいにしてるよ」
('A`)「どうして?」
116 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:28:31.86 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(´・ω・`)「その日の会場の気温によってタイヤが膨張したりしてレギュレーションをオーバーしたら嫌だからさ」
(;'A`)「な、なるほど」
(´・ω・`)「超大径は精度を出すのが大変だよ。4つの径を全部揃えなきゃいけないし。
ノギスは100円ショップのとかじゃなくてある程度ちゃんとしたのを使わなきゃダメだよ。
…まあ、もう超大径を使う人はあんまりいないけど」
( ^ω^)「そうなのかお?」
(´・ω・`)「うん。以前は公式大会ではトルクチューン、レブチューン、アトミックチューン、ノーマルモーターだけだったのは知ってるよね?」
( ^ω^)「おっお、知ってるお」
119 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:30:42.50 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(´・ω・`)「そんな中で最高速度を伸ばす為に考え出されたのが超大径だったんだ。
…だけど今はレギュレーションが改定されて、公式大会でもより高回転なダッシュ系のモーターが使えるようになった」
('A`)「スプリントダッシュとかパワーダッシュだね」
(´・ω・`)「それからは小径マシンにダッシュ系のモーターを載せたマシンが増えてきた。
当然だね、小径マシンの方が重心が低くて安定するし、加速がつきやすいし、スピード不足はモーターのパワーで補える。
それに対して超大径は重心が高くなるし……まあ、それは工夫すればどうにかなるけど。電池の位置を落としたり、MSシャーシだったら車軸をずらしたり。まあ、それは置いといて。
ダッシュ系に超大径はさすがに速すぎて完走出来ないからアトミックチューンやトルクチューンを使うことになる。
そうすると結局手間暇かけて作っても小径ダッシュマシンに負けてしまったりする」
( ^ω^)「苦労の割に合わないおね」
('A`)「実際に小径マシンにダッシュ系を積んだマシンは速いからなぁ」
122 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:33:08.48 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(´・ω・`)「うん。以前は秒7っていって、レギュレーション内で作ったマシンの速さが秒速7メートル以上なら一流レーサーの入り口に立った、っていうレーサー間での暗黙の基準みたいなものがあったんだ。
…走らせたコースの長さとタイムから割り出すから、もちろんどんなコースかにもよるんだけど。
それが今では小径ダッシュマシンでバンバン出るからね」
('A`)「なるほど。……じゃあなんでショボンは今でも超大径を使ってるの?」
(´・ω・`)「僕かい?…そうだね、ミニ四駆の新製品が出なかった氷河時代も、ずっとミニ四駆を続けていたレーサーとしてのプライドみたいなものかな?」
124 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:36:34.15 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
('A`)「ショボンにもそういうこだわりがあったんだね」
( ^ω^)「おっお、速さ最優先かと思ってたお」
(´・ω・`)「まあ、ダッシュ系モーターを積んだマシンを否定するわけではないよ。一応僕も組んでみたし。
新しいものも柔軟に試さなきゃ速くならないからね。
ただ、やっぱり好みの問題かな。それに超大径を作る為に身についた技術も無駄ではないしね」
('A`)「たとえば?」
(´・ω・`)「買ったばかりのタイヤでも微妙に歪んでたり径が違ったりするんだ。
それを微調整するのに超大径制作で培った技術が役立つのさ。これを真円出しって言ったりするんだ」
125 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:38:34.93 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
('A`)「なるほど」
( ^ω^)「おっお、なんにせよ好きなように組むのが一番楽しいお!」
超大径は今の俺にはあまり向いていなさそうだ。
とりあえずはハーフタイヤを作ることにしよう。
('A`)「よし、じゃあ早速…っていってもさすがにお店じゃできないよな。今日は帰って家でやるよ」
( ^ω^)「もう帰っちゃうのかお?」
('A`)「うん、俺のアパート壁薄いから夜にモーター音響かせるわけにもいかないんだ」
(´・ω・`)「そっか、じゃあまた今度完成したら見せてよ」
( ^ω^)「おっお、ばいぶー!」
('A`)「うん、またね」
俺はすっかり仲直りした子供たちをチラリと見つつ荒巻模型店を後にした。
126 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:39:14.47 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
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('A`)「よし、家に着いたぞ」
早速工具とパーツを取り出して制作にかかる。
('A`)「まずはこんなもんでいいか」
タイヤをデザインナイフで切り、ヤスリで削り始める。
ギュイイイン……。
('A`)「結構時間かかるなぁ…」
タイヤをひたすら削るのはただヤスリを当てているだけとはいえ結構疲れる。
いや、単調な作業だからこそ疲れるのだろう。
('A`)「もういいかな…」
ワークマシンのスイッチを止める。
127 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:40:53.98 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
(;'A`)「あ、なんか微妙に太さが違うところがある。もう少し削ろう」
もう一度削り始める。
(;'A`)「あ、こんどは削り過ぎた…」
そんなこんなで削ってるうちに…
(;'A`)「う~ん…削り過ぎちゃったかな…」
かなり細くなってしまったのだ。
('A`)「まあ、前輪に使えば大丈夫だろう。もう一本同じ幅のを作って、後輪はもう少し太くしよう」
そう自分に言い聞かせて作業を続けた。そして…
('∀`)「できた!」
とうとう4輪とも完成した。
('∀`)「へへ、我ながら初めてにしては結構いい出来だ…」
129 : ◆ItodYKFaCM :2009/03/14(土) 21:42:04.89 (p)ID:OF7FNrW2O(67)
完成したハーフタイヤを眺めていると…
ドンドンドン!
(;'A`)「は、はい!」
「鬱田さん、あんたさっきからうるさいんだよ!何時だと思ってるんだ!」
(;'A`)「す、すいません!もう終わりましたから…」
「まったく、頼むよ!」
隣人に怒られてしまった。作業に熱中していて遅い時間になっているのに気づかなかったようだ。
(;'A`)「ふう、今度から気をつけよう」
今日はもう寝ることにして、着替えて布団に入る。
('∀`)「へへ…早く明日にならないかな」
マシンのテスト走行を楽しみにしつつ、俺は深い眠りに落ちていった。
第2話・完
最終更新:2013年09月16日 22:25