('A`)がミニ四駆をふたたび走らせるようです 第3話


4 : ◆UcHUIyQWbY :2008/08/07(木) 23:19:36.45 ID:VnGIm+2cO
~前回までのあらすじ~

ドクオは彼女無し、友達無し、夏休みだというのに昼寝しかすることのない寂しい大学1年生だ。
しかし、ふとしたきっかけから立ち寄った荒巻模型店で幼い頃楽しんだミニ四駆にふたたび目覚める。
先輩レーサーであるブーンとショボンのアドバイスを受けてマシンを組んだドクオはその翌日も荒巻模型店を訪れる。
そこでドクオは“なおるよ”と“オワタ”というレーサーの実力を目の当たりにする。しかし、荒巻模型店にはまだモナーというトップレーサーがいるという。ドクオは改めてミニ四駆の奥深さを思い知った。

5 : ◆UcHUIyQWbY :2008/08/07(木) 23:22:30.87 ID:VnGIm+2cO
なおさんとオワタさんのマシンの速さに驚いた俺だったが、ショボンとモナーという人はそれよりさらに速いらしい。

('A`)「モナーさんってそんなに速いの?」

( ^ω^)「おっお、速いお。そのうち来るから実際に見てみるといいお」

(´・ω・`)「おや、噂をすれば」

と、店内に恰幅のいい男性が入ってきた。



6 : ◆UcHUIyQWbY :2008/08/07(木) 23:23:05.22 ID:VnGIm+2cO
( ´∀`)「みんなおはようモナ」


(´・ω・`)「おはようごさいます、モナーさん」

( ^ω^)「おはようですお」


( ´∀`)「モナ?その子は新入り君モナか?」


('A`)「…あ、昨日から復帰しましたドクオといいます」

( ´∀`)「僕はモナーだモナ。よろしくモナ」

('A`)「よ、よろしくお願いします」

この人がモナーさんらしい。その柔和な表情とのんびりした雰囲気からは、とても荒巻模型最速レーサーだとは思えない。

8 : ◆UcHUIyQWbY :sage :2008/08/07(木) 23:26:27.14 ID:VnGIm+2cO
(´・ω・`)「早速ですけどモナーさん、僕とレースしてくれませんか?」

( ´∀`)「ショボン君はせっかちモナね。まあいいモナ。今回も勝つのは僕モナ」


モナーさんはそう言うと、不適な笑みを浮かべた。


(´・ω・`)「今日こそは荒巻模型店最速レーサーの座を渡して貰いますよ」



10 : ◆UcHUIyQWbY :sage :2008/08/07(木) 23:29:48.38 ID:VnGIm+2cO
( ´∀`)「ところで…」

と、モナーさんはチラッとコースの方を見る。

( ´∀`)「あの2人はまた喧嘩してるモナ?」

\(^o^)/「僕の 勝ちです」

('(゚∀゚∩「僕のマシンがそんな痛いマシンに負けるわけないよ!」

\(#^o^)/「化石みたいな マシンを使う人に 言われたくないです」

('(#゚∀゚凸「サンダーショットJr.はまだまだ現役だよ!化石なんかじゃないよ!」

モナーさんの視線の先にはいまだに言い争いを続けるオワタさんとなおさんの姿があった。

12 : ◆UcHUIyQWbY :sage :2008/08/07(木) 23:31:14.91 ID:VnGIm+2cO
このままでは埒が開かない、そう思っていると、

ξ#゚⊿゚)ξ「あんたたち!いい加減にしなさい!」

ツンさんが2人を怒鳴りつけた。

ξ#゚⊿゚)ξ「2人とも子供じゃないんだから仲良くしなさい!」

\(;^o^)/「スミマセンデシタ」

('(;゚∀゚∩「は、反省するよ!」

どうやらこの2人もツンさんには頭が上がらないらしい。


13 : ◆UcHUIyQWbY :sage :2008/08/07(木) 23:32:33.23 ID:VnGIm+2cO
( ^ω^)「おっお、ツンは相変わらず怖いお」

ξ#゚⊿゚)ξ「フンッ!」

ドスッ!正拳突きがブーンを捉え、鈍い音が響き渡った。

( ω )「ゲフッ!」

ξ#゚⊿゚)ξ「言葉には気をつけなさい」

( ´ω`)「…うう、とばっちりだお」

俺はツンさんだけは怒らせるまいと心に誓った。


16 : ◆UcHUIyQWbY :>>15ありがとうございます :2008/08/07(木) 23:36:07.79 ID:VnGIm+2cO
(´・ω・`)「モナーさん、そんなことより勝負をしましょう」

そういいながらショボンはマシンを取り出した。

('A`)「そのマシンは…」

(´・ω・`)「ウイニングバードフォーミュラさ」



17 : ◆UcHUIyQWbY :2008/08/07(木) 23:36:35.39 ID:VnGIm+2cO
ショボンのマシンのボディは銀色を基調に塗装されたクリヤーボディだった。シャーシは俺が子供の頃全盛期だったスーパー1シャーシに井桁改造を施したもののようだ。
フロントローラーはスタビヘッドに9㎜ベアリング、リヤは19㎜プラリングローラーを2段にしていた。
そしてなにより俺の目を引いたのは、今まで見たことのない大きなタイヤだった。

19 : ◆UcHUIyQWbY :sage :2008/08/07(木) 23:39:26.26 ID:VnGIm+2cO
('A`)「あのタイヤはいったい…」

( ^ω^)「おっお、あのタイヤは超大径っていってトップスピードを伸ばすためにレギュレーションギリギリまで径を大きくしたタイヤだお。上級者向けの改造だお」

('A`)「半分くらいしか路面に設置する部分がなくて、残りはスポンジタイヤになってるんだけど…」

( ^ω^)「タイヤの抵抗が大きすぎるとコーナーで減速するって前に説明したおね?ああやって設置面を少なくすることで抵抗を減らしてるんだお。スポンジタイヤはレギュレーションで定められたタイヤ幅にするためのダミーだお」


20 : ◆UcHUIyQWbY :sage :2008/08/07(木) 23:42:35.09 ID:VnGIm+2cO
('A`)「今はそんな改造があるんだ…」

なんだか原型をあんまり留めていないショボンのマシンを見たあと、モナーさんのマシンも見せてもらう。

( ´∀`)「僕のマシンはアバンテモナ」

モナーさんのアバンテもクリヤーボディだった。つや消しブラックで塗られたボディに金色のラインが映える。



22 : ◆UcHUIyQWbY :2008/08/07(木) 23:43:39.50 ID:VnGIm+2cO
( ´∀`)「シャーシはVSシャーシモナ。2次ブーム末期のシャーシだから、ドクオ君は知らないかもしれないモナね」

そういって見せてくれたシャーシもショボンと同じく井桁改造が施されていた。
( ´∀`)「スーパー1もVSもなかなか良いシャーシだけど、強度に難があるモナ。だからある一定以上のスピードが出るマシンはこうやって補強してあげる必要があるモナ」

(;'A`)(補強ってレベルじゃねーぞ)



23 : ◆UcHUIyQWbY :sage :2008/08/07(木) 23:44:42.64 ID:VnGIm+2cO
モナーさんのマシンのフロントは右がダブルアルミローラー、左が830ベアリング(どちらもスタビヘッド付き)、リヤは830の2段だった。そしてリヤバンパーの下には青いスポンジを貼られたFRPプレートが装着されていた。
タイヤはショボンと同じく超大型のようだ。しかし後輪のタイヤはショボンとは違い、透明のシリコンタイヤを使って作られていた。


25 : ◆UcHUIyQWbY :sage :2008/08/07(木) 23:46:16.86 ID:VnGIm+2cO
(´・ω・`)「それじゃあ、勝負といきましょう」

( ´∀`)「望むところだモナ。ブーン君、スタートの合図を頼むモナ」

( ^ω^)「わかりましたお。それじゃあ、2人とも準備はいいかお?」

マシンのスイッチを入れ、コクリと2人が頷く。

( ^ω^)「レディ………ゴー!!」

ブーンが合図をした瞬間

(´・ω・`)「いくんだ!ウイニングバード!」

( ´∀`)「いくモナ!アバンテ!」


銀と黒の閃光がコースに飛び出した。



26 : ◆UcHUIyQWbY :sage :2008/08/07(木) 23:49:31.79 ID:VnGIm+2cO
(;'A`)(は、速い)

速すぎる。なおさんとオワタさんのマシンも速かったが、この2人のマシンは桁違いだ。

\(^o^)/「相変わらず 速いですね」

('(゚∀゚∩「いつ見てもほれぼれするよ!」

いつの間にかオワタさんとなおさんも近くにやってきてレースに見入っている。


28 : ◆UcHUIyQWbY :sage :2008/08/07(木) 23:50:05.92 ID:VnGIm+2cO
( ^ω^)「おっお、ショボンのマシンがリードしてるお」

レースはショボンのマシンがリードしていた。立ち上がりはモナーさんのアバンテが速かったが、レーンチェンジとコーナーで僅かにショボンが速いようだ。

(*´・ω・`)「いける!いけるぞ!」

しかしモナーさんは少しも慌てた素振りを見せない。

( ´∀`)「レースは終わるまでわからないモナ」

29 : ◆UcHUIyQWbY :sage :2008/08/07(木) 23:53:18.61 ID:VnGIm+2cO
そしていよいよ最後の三周目に入った。依然としてショボンのマシンがリードしている。

(*´・ω・`)「いっけー!」

しかし

ガシャン!

(;´・ω・`)「ああっ!」

ショボンのマシンはレーンチェンジでコースアウトしてしまった。



30 : ◆UcHUIyQWbY :sage :2008/08/07(木) 23:53:54.92 ID:VnGIm+2cO
一方モナーさんのマシンは、安定した挙動でレーンチェンジをクリアし、無事ゴールした。

( ´∀`)「僕の勝ちモナね」


31 : ◆UcHUIyQWbY :2008/08/07(木) 23:54:34.67 ID:VnGIm+2cO
(´・ω・`)「一周目と二週目は大丈夫だったのに…」

( ´∀`)「超大径はどうしてもスピードがのるのに時間がかかるモナ。このジュニアサーキットでは一周目、二週目ではまだトップスピードに達しないモナ。だからトップスピードになる三周目を想定したセッティングをしなきゃいけないモナ」



32 : ◆UcHUIyQWbY :2008/08/07(木) 23:55:22.35 ID:VnGIm+2cO
('A`)(そんなことまで考えていたのか…!)

( ^ω^)「おっお、でも良いレースだったお。ショボンも気を落とすなお」
\(^o^)/「まだまだ だね」

('(゚∀゚∩「オワタ君には言われたくないと思うよ!」

(´・ω・`)「次こそは負けませんよ!」

( ´∀`)「受けて立つモナ。でも今回は少しヒヤヒヤしたモナ。僕もうかうかしていられないモナ」

2人はそう言い交わすと、しっかりと握手を交わした。



33 : ◆UcHUIyQWbY :sage :2008/08/07(木) 23:56:39.51 ID:VnGIm+2cO
('A`)(俺もあんな風に速くなれるのかな…)

そしていまだ握手をしている2人を見つめる。


('A`)(ライバル…か)

('A`)(俺にもできるのかな?)


2人のレースを見終えた俺は、ミニ四レーサーとしての闘志を密かに燃やしていた。




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最終更新:2013年09月16日 21:25