エクスカリバー


騎士王が湖の乙女から譲り受けた聖剣……ではない。

 エ ク ス カ リ バー
『鋼すら断つ剣』の銘を受け継ぐ、無数のナイフの都市伝説。

使い手の意志に呼応し、無制限に血塗れた呪いの短刀を発生させる。

原典は、とある名も無き廃れた神社の物語。
とある少年とその親友が、肝試しにその神社の傍に在った誰も知らない洞穴へと向かった日の怪異。

その洞穴は一本道となっており、粘土質の土と不可思議なぬめりによって形を保っていた。
その最奥に、一本のナイフが聖剣か魔剣のように、突き刺さっていた。

二人がどんなに力を込めてもナイフは抜けず、ふざけ混じりに少年はその刃に『エクスカリバー』と名付ける。
そして二人は、その奥に更に道が続いていることに気付く。
しかし、そこから先に進むべきではなかった。
二人は引き返すべきだったのだ。

その奥には、森のように鬱蒼と生い茂る、無数のエクスカリバーが在ったのだから。

森としか表現しようのない数のナイフに、少年達は怯え始め、流石に帰ろうとする。
しかしその目に映ったのは、先程どうやっても抜けなかったエクスカリバー。
更に言えば、その刀身は誰のものとも知れぬ真新しい血で濡れていたのである。

悲鳴を上げ、逃げ惑う少年達。
誰も居なかったはずの洞窟の奥から聞こえてくる、ナイフを引き抜く小気味のいい音。
二人は何が何やら分からぬまま、恐怖に包まれ逃げ帰ったのであった。


エクスカリバーとは、折れず曲がらず刃毀れしない、鋼を立つ剣。

世界で最も有名な聖剣にあやかり名付けられた、恐怖とナイフの都市伝説。



初出は第二十一話。ナイトメア・マスカレイドが新たな武器として手に入れた都市伝説。
マスカレイドがフリーメイソンの首領から賜ったらしい小刀(ナイフ)であり、無尽蔵に刃を生み出すためナイトメア・マスカレイドと非常に相性のいい武器でもある。
この武器の主目的は強化ではなく、彼らの天敵である姉帯豊音への対抗策だと京太郎に勘違いさせること。要はただのハッタリであり、マスカレイドが己の全身全霊を籠めた賭けであった。

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最終更新:2013年08月16日 10:00