バミューダ・トライアングル


多くの都市伝説の母体となった、実在する怪異。
性質としてはハレー彗星に近い、都市伝説を生み出し続ける魔の海域。
フロリダ半島、プエルトリコ、そしてバミューダ諸島を線で結んだ『魔の三角地帯』の呼称である。

この海域に近づくと、ありとあらゆる計器が狂いだし、飛行機も船も遭難してしまうのだという。
一度入ったが最後、二度と出られない。人々はこの海域を恐れ、意志ある怪物であるかのように恐れ慄いた。

ブラックホールがあるのでは? 宇宙人が攫っているのでは? 地磁気が原因か? ハリケーンに飲まれたのか?
海藻が絡まるのでは? メタンハイドレートやマイクロバーストで、科学的に説明がつくのでは?
挙げ句の果てには、謎の組織の窺い知れぬ陰謀による、大規模な人為的事件であるとさえ人は語る。
長きに渡り人に恐れられ、考察され、語り継がれ、人の噂の上に継承される伝説と化した海原。

100年以上前に確認され、100を超える遭難事件が発生し、1000を超える人間の命を喰らった海という名の怪物。

……という名の、デマ。

実際は周囲の海域と比べてすら遭難件数が特筆して多くはない、がっかりトライアングルである。
強いて言うのであれば、霧が発生しやすい海域であり強い潮流に流されやすいということぐらいだろうか。

更に言えば三角形ですら無い。 本来四角形である。 なんというがっかりトライアングル。
『三』という縁起の良い数字をこの魔性から奪ってしまうことを恐れた者達による、ざっくり言えば縁担ぎなのだ。
噂に乗り飛散した数々のデマ、悪乗りしたマスコミ、ノリノリだったオカルト嗜好者。
それらが本当の意味で、この魔の三角海域の生みの親であると言えるだろう。
創作でよく題材にされ恐れられている横で、近海の漁師たちは平然とこの海域で漁に勤しんでいたのである。

ちなみに日本近海にはこの海域を元ネタとした魔の海域『ドラゴン・トライアングル』が存在する。
松実玄、大歓喜。 そんな都市伝説。
ちなみにこれも三角形ではない。いい加減にしろ!

人があまりにも広大な海と水平線を見渡した時、ふと心によぎる一抹の不安。

大き過ぎて人の理解の外側にあるその存在/海への、形容しがたい不安をカタチにした都市伝説。



初出は第十九話。過去の世界で登場した現象型の都市伝説。

このバミューダ・トライアングルの都市伝説をクトゥルー神話とが結びつき、魔の海域から古代都市ルルイエが浮上した。ちなみに、本来ルルイエが存在するとされている座標は南緯47度9分・西経126度43分、南極の少し北あたりである。

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最終更新:2013年07月02日 23:39