ハレー彗星

かつて、世界を震撼させた都市伝説。

日本においては「ノストラダムスの予言」と並び、双璧を成す都市伝説の母体『だった』。


ハレー彗星とは、体積1000立方kmにも至る大型の大彗星。
約76年周期で太陽系を周回し、次は2061年7月28日に地球に再接近する。

そもそも彗星とは隕石に近しいイメージを持たれがちであるが、実際はかなり差異がある。
隕石の主成分は岩石や鉱物だが、彗星の主成分は意外にも「氷」であるからだ。

そこにガス、有機化合物、岩石質等が混ざり合うことで彗星の核、「彗星の心臓」が形成される。

太陽系に突入するにつれ、太陽の熱により彗星は溶解・蒸発を始め、ガスとチリの尾を形成する。
この光輝く彗星の尾は、まさしく彗星の象徴と呼ぶに相応しい。
この尾は「コマ」と呼ばれ、シアン化合物を含む非常に毒性の高い気体が多量に含まれている。

ハレー彗星がその名を世間一般にまで知らしめたのは、1910年の最接近の時期。
軌道の関係上これまでにないほどハレー彗星が地球に接近し、加えて「その尾は確実に地球と交錯する」と知れ渡ってからである。

更にフランスの科学者、カミーユ・フラマリオンによって「彗星の尾には猛毒が含まれる」と発表されたことにより、パニックに拍車がかかる。

浸透するデマ・錯綜する噂。
猛毒が地上に満ちるという説。彗星の引力により地球の酸素が根こそぎ持っていかれるという説。地球に彗星が直撃し氷河期が来るという説。

そしてそれに乗じた騒動。
日本においてある者は空気を溜める為の自転車のチューブを買い漁り、ある者は息を止める訓練をした。
外国では、ここぞとばかりにローマ法王庁がこれまでの罪が許されると「贖罪券」を販売し利益を上げる。
彗星の毒の解毒剤だと薬(実は小麦粉だったらしい)が高値で売られ、欧米では処女を生贄に捧げる儀式まで行われた始末。
さらに世を悲観して自殺した者、財産を使い切った者。

この彗星がもたらした影響は、『ただの噂』としてはあまりに規格外だった。

そしてその噂は性質上、あまりに多様ではあるが全て『都市伝説』である。

だがそれらの都市伝説とともに、ハレー彗星は空の彼方へと消え去った。


既に失われた、過去の存在。
都市伝説の資格を亡くした、過去の遺物。

そんな、都市伝説の母体。



初出は第八話。エレーニン彗星と非常に類似した都市伝説。

本編ではハレー彗星自体は登場していないが、エレーニン彗星よりもメジャーな彗星の都市伝説と言うことで解説がされた。エレーニン彗星の能力もこのハレー彗星を元にしたものであるようだ。
おそらく有名な彗星と聞けばこれを思い浮かべる人間も多いだろう。彗星が地球に衝突するという話は今でもたまに耳にするほど有名な都市伝説ではあるが、このハレー彗星自体は結局衝突することなく宇宙の彼方に消え去った都市伝説であり、仮にまた衝突が噂されるとしてもそれは数十年先の話になるだろう。

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最終更新:2013年05月08日 01:05