胡蝶の夢


都市伝説の一カテゴリー。

夢と現実が入れ替わった、という体験談を中心としたマイナーカテゴリー。
幸せな世界の夢を見ていたらそれは全て夢だった……という珍しくもない話の集合体。

夢と区別がつかない現実、現実と区別の付かない夢。
それらがくるくる狂々と廻り入れ替わり差し替わり、どちらが現実なのかどうか分からなくなってしまう。
都市伝説には、そんな夢と現実の逆転が度々確認されている。


この都市伝説は魔法によって調整され、二種の都市伝説の特性を中心に発現する。

片方は、『高一の出来事』。

高校一年生の夏から、両親の蒸発や就職、彼女とのカップル成立etc。
分不相応なほどに波瀾万丈でリア充な生活を送っていたが、全て夢だったという話。
高校一年生の時に始まった物語が、全て夢でしかなかったという物語。

現実では主役の少年は寝たきりであり、起きた後にはそんな波瀾万丈の欠片もない日常が待っていた、というエピソード。
ちなみにその彼女は、夢の中の世界で少年の心を覗いていたのだとか。

もう片方は、『時空のオッサン』にて語られる異次元世界のエピソード。

こことは違う世界に行った人間の存在が、元の世界では初めから無かった事にされてしまうという恐ろしい話。
異次元、平行世界、夢の世界は都市伝説において同質のものと語られる場合が多い。
京太郎の場合、この世界に来て起きて学校へと登校するまでの間がこれに該当する。

特定の都市伝説ではないマホと似たカテゴリーの都市伝説であることと、魔法による改造を受けたこと。
それらの要因により、これは『指定の人物の存在を最初から無かった事にする』という性質を持つ。

消しゴムによって消された字をそのままの状態で蘇らせる方法が無いように、無かった事にされた物は戻らない。
この世界に、無かった事にされたものを取り戻す方法は存在しない。

似たような物を用意する事が出来たとしても、それが限界だ。
似たようなものであって、それは決して失われたオリジナルではない。

だから、起動した時点で、全てが終わる。

悪意の魔法によって改造された都市伝説の、成れの果て。



初出は第二十四話。大沼が改造した都市伝説。
この都市伝説の効果によって、世界から『須賀京太郎が生きた痕跡』を全て消されてしまった。

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最終更新:2013年09月15日 16:18