非エロ:夕張・加古・古鷹3-157

執務室で淡々と仕事をしていた所で急に提督が口を開いた。
「なあ、夕張、第六駆逐隊の遠征終わりまで後どのくらいだ?」
「それなら後もうすぐです。」
「そうか、じゃあ迎えに行って来るよ。」
「それなら、工廠で新しい艦も出来ているはずですよ。」
「そうか、有難う。」
提督が上着を羽織りながら出ていく。

「……はあ。」
この提督は姉妹艦、というものが好きすぎる提督だ。
資材的に大変で有っても、姉妹艦をセットで使い続ける。
仲が良いことはいいと思う。
だけど姉妹のいない私は、ずっと資料整理などしか働けない。
「……はあ。」
「ため息ついてると幸せが逃げるよー。」
「……加古ね……」
「出撃出来ないからって暗いよー、のんびりと行こうよー。」
「あんたはのんびりしすぎなのよ。まだ古鷹がいないから、って。」
「ZZzz…」

加古は提督が居なくなるとよく執務室に来る。
執務室の日あたりが良いから昼寝しやすいらしい。
そこまで干渉して来ない上に、出撃出来ない者同士、気負わずに会話出来る。
でも、いつかは加古も出撃してしまうのよね……。

「ん?妖精さんなあに?紙?」
妖精さんが持ってきた紙は提督から私への連絡だった。
加古を連れて工廠まで来るように。との事。

「加古、起きて、呼ばれてるよ。」
「んー?なんでー……?」
もしかして、噂すれば影かしら……。

「おう、来てくれたか。」
「重巡洋艦、古鷹です。」
ああ、予想通りか……
「ふ、る、た、かーー」
「うわ、加古!」
「待ってたんだよー待ってたんだよー。」
「えへへ、ごめんね。」

これで、気楽に話せる人がまた居なくなってしまった。
まあ、いつかは来ると思っていたからいいや。
「夕張、さんですよね?」
古鷹が意外にも私に声を掛けてきた。
「ええ、そうよ。」
「重巡、古鷹です。」
「うん、知ってるわ。」
「えっと、昔はありがとうございました。」
「え、昔?」
「えと、昔、私という船を造る際に、貴女のデータを活かさせて貰ったので。そう、私にとって、夕張さんはお姉さんなんです。」
「私があなたの姉…って事?」
「そう、なります。」
「え、え。」
急な事実に顔が真っ赤になる。
「おー、夕張は私のお姉ちゃんだったのかー。」
加古までお姉ちゃんだなんて言ってくる。
顔が真っ赤になる。
「おーそうなのか、じゃあ、これから三人組で指示をだすから、よろしくな。」
「提督、って事は私も出撃して良いんですか!?」
「ああいいさ、姉妹なんだろう?一緒にいきたまえ。」
「よろしくお願いします、夕張お姉さん。」
「よろしくだよー夕張お姉ちゃん。」
「軽巡洋艦の妹が重巡なんて知らないわよ……こちらこそ、よろしくお願いします。」
「よし、出撃!」
「「「はい!」」」

最終更新:2014年02月08日 00:15