提督×龍驤2-683

「よーし、今日の作戦はもうない。明日に備えて休め」

夜戦を終えて帰投した艦隊の旗艦から概ね良好との戦果報告を受け、
全ての艦に労いの言葉をかけ、この言葉を最後に提督は執務室に帰って行った。
それを皮切りに各々の面子も自室へと帰っていく。

「はー、今日も疲れたなーっと」

その艦隊の中にいた龍驤も疲れたと零しながら伸びをしただけで会議室を後にした。
ここからは艦載機の手入れをするなり寝るなり自由である。

(ちょーっち遅い時間やけど、外行って涼もう)



日付が変ろうとしている時間ゆえ、桟橋にも岸壁にも誰もいなかった。
外に出てきて鎮守府を振り返ってみると、もういくつか光を放出していない窓もある。

(でも提督は絶対起きてるんやろな)

書類関係の面倒臭そうな執務がまだ残っているだろうから、
任務を終えた第一艦隊の面子は眠ることができても、提督はまだ眠ることはできないだろう。
お疲れなこったと他人事のように考えつつフラフラと岸壁を歩いていると、
何か硬いものを踏んづけた。
足を退けて拾うと、それは最近建造された潜水艦「伊168」が持ち歩いていたものだった。
彼女はこれのことを確か「スマホ」と言っていたような。

「そういえばイムヤは今夜遠征だったっけ。
2時間ほどで帰ってくるとはいえ無用心やなぁ」



それを拾ってから、長い時間は経っていないが日付が変わった。
龍驤は人より好奇心が大きい。
そのため、目新しいものに自分の時間を奪われるのも無理はなかった。
テレビなどと違い画面に直接触るという操作には少しの慣れを要したが、
もうそれを色々弄くりながら1人笑うようになっていた。
今一度付け加えておくと、それは人(?)の私物なのだが。

「あっはっは! あーっ、ホンマおもろいなーこの話」

スマホにはごちゃごちゃとアプリが入っていて、
その中にある、笑える話をまとめたアプリを見ていた。
一通り楽しませてもらったのでアプリを閉じ、
他の面白そうなアプリを探していると一つ目に止まったものがある。

「……ん? Hな話?」

何の躊躇いもなくそれを指で触れて開いた。
そこには人によっては抵抗があるかもしれないタイトル文、
あるいは誰でも開いてしまいそうなタイトル文などが多く羅列していた。
このアプリを目にして頬を染める者、先ほどの龍驤のように笑う者など
人によって反応は異なるだろうが、龍驤は苦笑いという反応を見せた。

「うわぁ……、あんまりイメージできんけど、イムヤもこういうの見るんやなぁ」

しかし、あまり興味なさそうな顔で羅列している文章を流し読みしていた龍驤も
一つ気になるものがあったので手を止めた。

「『好きな人に胸を揉まれると大きくなる』?」
龍驤は日本では唯一のフルフラットの空母であると語られてきた。
他の多くの空母は豊満な肉体でこの現代に蘇ったのに対し、
龍驤だけこのような肉体として蘇ったのもそういう根拠があるためである。
この文にある唯一という言葉は褒め言葉にも貶し言葉にもなりうるが、
龍驤にとっては貶し言葉としか受け止められない。

「へぇ……」

実際、胸など血行が良くなるかどうかか重要であって誰が揉むかは重要ではないのだが、
あいにくとそのことはそこには書かれていなかった。




「帰れ」

今日の執務はもう終わっており、手伝っていた秘書艦も自室へと戻っていた。
秘書艦の自室にその主がいたことを確認した上で、龍驤は執務室へ出撃したのだ。
ノックもせずに入ってきたものだから、
部屋の片隅に敷いた布団に横になって本を読んでいた提督は、
避けることもできずに馬乗りにされた。
下から見上げてみても確かにフルフラットだなと心の中で失礼なことを呟きつつ、
口にした言葉はとても短いものだった。

「なんやつれないねぇ」

「明日に備えて休めと言ったろう」

まあ浮いた話も聞かないこの提督だし、押し倒しただけではダメだろう。
こう判断し、その口を実力行使で黙らせる作戦に出た。


実のところ馬乗りをされたときも不快感を感じたわけではないので、拒絶するのが遅れた。
その結果サンバイザーを頭から外し、上半身を倒してきた龍驤にあっけなく唇を奪われた。
龍驤は目を閉じそのままでいるが、提督は目を閉じずに目の前の顔をぼんやりと見ているだけだ。
唇柔らかいな、とか、上半身全体に体温を感じて心地よいだとか、
心の中では並の男とそう変わらないことを思っているが、唇を開放されたあともそれは口に出さない。
提督は少しずつ、静かに欲望に灯した火を燃え上がらせていたが
あくまで冷静であることを努める。

「なぜ俺なんだ」

「ウチは別に百合趣味じゃないし」

それもそうだ。
この現代に蘇った艦娘の数ある不思議の一つに、艦娘はなぜみな「娘」なのか。というものがある。
そういえばこの鎮守府でも提督以外に男を見かけなかった。

「それに男なら誰でもええってわけでもないんよ?」

「ウチは提督のこと好きやから」

突然の告白。
しかし提督はなんと返したらいいか分からない。
今まで艦娘にはみな平等に接してきたし、異性を本気で想うということもなかったからだ。

「提督がウチらのことみんな好きなのも知っててやってるから、
今はどうこう言わなくてもええ」

そして二度目の接吻。
今度は提督も目を閉じた。

「ん、ん、ちゅ」

お互い相手の唇の感触を堪能していると龍驤の方から舌を入れてきた。
流石の提督も冷静さを欠く。

「ぇう……んんー、ふっ」

口内をかき回されて提督も自分の舌を差し出し、龍驤の舌に捕まえさせた。
提督も段々と投げやりな思考となっていき、このまま行くところまで行ってしまえという考えに至らせてしまう。
唾液もどんどん分泌されていき、それもまた提督の理性を崩すことを促した。

「はあっ……」

唇を離すやいなや顔を下のほうに移動させていき、
ベルトを外した上で提督のズボンと下穿きを下ろした。
膨らませた陰茎が外気に触れて少しスースーする。

「わあっ。……提督ぅ、もうこーんなにしてぇ……」

自分の体には自信を持っていなかったので
提督の陰茎が既に膨らんでいることは予想外だった。

「胸ないから挟むとかは無理やけど、できることはあるんやで……!」

「ぁむ、……ん、んう、んー、んちゅ、うう、ぇろ」

色々と吹っ切れた龍驤は行動に移すのが早かった。
陰茎をいきなり口に含み、拙いながらも舌を使い顔を上下させ快感を与えようとする。
提督もまた抵抗することはなかった。
「ん、う、ぐ、んぐっ、んむっ」

「……んあ、提督の、大きすぎや……」

「……ぁむ、えう、ちゅ、ちゅ」

「んぢゅううううッ」

「ッ!」

先ほどのイムヤのスマホで他のこともそれなりに予習した龍驤は
早速その知識を総動員すべくバキュームにかかる。
提督は歯を食いしばって繰り返し訪れる快感の並に抗った。
バキュームをしている間陰茎に歯が痛くない程度に無意識に添えられ、
それもまた快感を呼んだ。

「ん、ふぅ……」

一旦息継ぎをし事を再開する。
バキュームをしたかと思えばまた舌での愛撫に戻ったりと緩急をつけた。

「ふ、んんっ、ちゅる、ちゅる、ちゅう」

「んう、ううっ、ふ、んむ、ん、れろ」

「レロレロレロ……」

「ああ……」

予習したとはいえこんなことをするのは初めてなので
拙い動きでも仕方がないのだが、確かに提督は快感を感じていた。
ここ最近は処理をしていなかったことも手伝い、普段よりもすぐに限界が見えてきた。

「う、そろそろ出るぞ……」

「んんっ、ええんやへ、らひても」
「く、ああッ!」

「ん、んうううううッ!」

「はあっ……はあっ……ああ……」

「ん……う……うう……」

「……ああ? おい?」

陰茎を抜くこともせず、龍驤の口にそのまま放出した。
しばらくして陰茎から口を離したが、
龍驤は一向に生臭いはずのそれを吐き出そうとしない。

「龍驤? 無理して飲むことはないんだぞ? 出しちゃっても……」

「んんっ! ……ん、んぐ、ん、ごく……」

声をかけても首を振り、吐き出さずにそれらを嚥下したようだった。

「ん……はーっ、はーっ……」

「んもー、提督、量多いで……。どれだけ溜めとったんや」

「あ、ああ……その、3日ほど……。
というかお前、なんで飲んじまうんだよ、あんな汚いもの」

「いやあ……確かにまずくて濃いだけだったけど、
汚いとは思わんで? だって提督のやから……」

普段の凛々しい軽空母からはかけ離れ、
今やその顔は誰が見てもただの女の顔だった。
 

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最終更新:2013年10月19日 20:39