ハーレム状態の提督が天龍に怒られてから仲直りするまでに駄目になったり怒られたりして最終的には不知火とエロいことする話2-510


『ハーレム状態の提督が天龍に怒られてから仲直りするまでに駄目になったり怒られたりして最終的には不知火とエロいことする話』

 1

 怒号は司令室の壁を震わし、提督の目は驚きに見開かれた。息荒く、肩を震わせている天龍は、その隻眼を充血させながら、拳を深く握りこんだ。
 隣に並んでいた第六駆逐隊は一様に怯え体を震わし、暁に至ってはその大きな瞳に涙が溢れてきてさえいる。
 「……報告は受け取った。天龍は残れ。後の皆は補給を受けてきて良い。……お疲れさま」
 勤めて冷静に、跳ね上がった心拍を悟られないように気を使いながら、なるべく優しく声を発する。懲罰房から解かれた罪人のように、その言葉を聞いた駆逐隊の面々は、そそくさと司令室を後にした。
 場には青筋立った天龍と、ただただ重い沈黙が残った。
 先ほどの落ち着いた声音の言葉と、空気の気まずさに少しは頭の血も下がったのか、天龍の隻眼は提督を睨みつけることをやめ、視線は窓の方へと逸れていった。
それを確認した後に、何とか重い口を開いて、提督は搾り出すように言葉を発する。
 「私に怒りをぶつけるのはかまわない。しかし時と場所を弁えたまえ。彼女達を怯えさせる必要は何処にもなかった」
 「……うるさい」
 震えた低音の声は、随分小さく響いたようだった。それは怒鳴り声の方に耳が慣れてしまっためなのか、声量そのものが小さかったのか、提督には判断ができなかった。
 天龍は視線を合わさないまま、続けて言葉を紡ぐ。
 「オレは、間違ったことは言っていない。……もう三ヶ月だぞ? 三ヶ月も戦線から遠ざけやがって。やる仕事と言えば遠征任務の、くだらないおつかいだけ。
オレはガキのお守りじゃねぇし、一航戦共の給仕でもないんだよ!」
 「遠征任務とて大事な仕事だ。君だって、その重要性くらい分かってくれている筈だろう」
 「だからって何でオレだけなんだ! ……最近は敵に潜水艦もちらつきだしたんだよなぁ? 軽巡だって必要になっているはずだよなぁ? 
 球磨や長良が出撃準備している姿はよく目に付いてるぜ……。お前なんか、贔屓ばっかりして、オレの気持ちなんか何一つ、一片だって考えたこともないんだろっ!」
そんなことはない。そう発しかけた言葉は、しかし天龍が踵を返したことで、喉の奥に飲み込まれた。代わって、
 「待て!」
と制止の命令が吐き出されたが、そんなものに効力などあるわけが無い。乱暴に閉じられた指令室の扉の先、彼女の姿は消え去って、部屋の中央、腰を浮かせかけた姿勢でしばらく止まっていた提督は、ようやくするすると席についた。
 部屋に一人、ショックで呆然となりながら、何をすることもなく座っている。天龍の言葉が、何回も何回もリフレインして、その度に心臓が締め付けられた。
 脳みそが一語一句を思い出すたび、その棘が胸に突き刺さり、しかし言い訳などあるわけもないから、痛みを防ぐ事ができなかった。針のむしろになった心は重く、提督は頭を抱え、目を伏せた。
どれほどか時が過ぎ、沈黙の極地にあった部屋に控えめなノックが響いた。提督は頬を一回ひっぱたき、その後窓に写る自身の顔を見た。多少の違和感はあれど、セルフビンタは表情を、いつもの顔つきに近づけてくれたようだ。
 咳払いをして、入れと短く言う。
 重そうに扉を開け、入ってきたのは雷だった。武装は解かれており、可憐なセーラー服を身に纏っているだけである。いつもは快活で、晴れ晴れとした表情も、今は沈み憂いた面貌だ。無理も無い、提督はそう思う。
 「どうせ司令官のことだから、無駄に落ち込んでるんじゃないかと思って、様子を見に来てあげたわ」
 声だけは明るく、雷は言った。しかし何も反応してあげることはできない。面目なく情けない気持ちで一杯で、一体なんて返せば良いのか、まったく分からなかったのだ。
 雷は提督の、その悲しげな瞳を見て彼の全ての気持ちを察する事ができた。デスクを回り込んで、すぐ近くにまで歩み寄る。提督が椅子を回して正面を向くと、その頭を包み込むように、腕を回していった。
 「雷……」
 薄い胸に、服一枚越しに彼の唇の動きを感じて、雷はより深く強く抱きしめた。体温と匂いが交じり合って、それが自分勝手な慰みになっていく。
 「私は……俺は、あいつの気持ちを何も分かってあげられなかった。今の今まで、さっき怒鳴られるまで、まったくなにも感じられていなかったんだ。……提督失格だよ」
 彼の表情は、雷からは見て取れない。頭を撫で、黙って懺悔の言葉を聞く。それが唯一、彼女のできることであったし、それが提督を、僅かでも安心させた。
 心が落ち着くと、どこか廊下の奥、天龍の泣き声が聞こえた気がした。


 偵察機の索敵によると、敵艦隊の数は六。空母一、軽母二、軽巡一、駆逐一、更に潜水艦一の編成だった。先制攻撃によって既に駆逐と軽母一隻は轟沈。数的には有利の状況で、砲打撃戦に移行する事ができた。
 「天龍は潜水艦に。私が援護します。あとは残りの船を各個撃破。攻撃開始!」
 旗艦である加賀の指示で、第一艦隊はそれぞれに散開する。
 加賀の弓がしなり、戦闘機矢が一斉に放たれた。それを上空に仰ぎ見ながら、天龍は水面を半ば滑空するように走って行く。ソナーは既に、目標の位置を割り出していた。
 敵の攻撃機は戦闘機矢によりことごとく爆散し、攻撃はおろか、天龍に近づくことさえできないようだった。
 天龍は背面武装庫より二発の魚雷を発射した。猛烈な速度で海中を突き進み、弾着予想時間と寸分違わぬ瞬間に、水柱が大きく上がる。目標である敵カ級潜水艦は潜航装置に異常でもきたしたか、気泡を盛大に吐き散らしながら、海面へと浮上した。
 天龍はカ級の目前で飛び跳ね、鞘に入った刀の柄をしっかりと握りこんだ。着水寸前、長大化した意識の果て、カ級は天龍の、その刃の煌びやかさを見た。居合いによって放たれた刀身が、まとわりつく水滴を一滴一滴切断してゆく。
 申し訳程度に設置された機銃の銃身が、天龍の額を狙うその僅かな間、しかし間に合うはずはなかったのだ。気蓄機を兼ねる銃座機械は、その役目を果たすことなく、切断され水面へと転がり落ちた。
 「なますにしてやる!」
 低く、殺意の篭った声を聞く。しかしカ級は懸命に恐怖を殺して、魚雷を模した異形の口で天龍に襲い掛かった。だが水面に潜れない潜水艦の鈍重さ、その行動は何もかも遅く、予測の範疇のものだった。
 数瞬後には魚雷の顎下は水中に没し、さらに主要な節々の腱がずっぱりと切り離されていた。痛みにもだえ苦しむカ級を尻目に、天龍は刀を逆手に持ち変える。
 「とどめだ!」
 刀の切っ先は喉仏を、正確無比に打ち貫いた。機能停止したカ級は弛緩して、冷たい海中に引っ張られてゆく。天龍は亡骸のあった場所に立ちながら、呼吸を整えていった。
 昨日、司令室であったこと。そして今日、長良の代わりに第一艦隊の元に入ったこと。カ級の死骸が暗く見えなくなっていくのを覗きながら、天龍はそれを思い出した。
 今この現状は望み通りのものであるはずだった。待ちに待った前線での戦闘任務であり、こうして手に刀を持ってそれを振るう事ができている。しかし心持ちは晴れないどころか、より一層もやもやと暗がりを広めている。
それはあくまで、今回戦闘に参加できたのは、提督のお情けによるものであったから。或いは長良の疲労が溜まったから、あくまでスペアとしての登用であったためか。もちろんどちらも憶測の域を出ない。
だが疑念は胸に深く残り、それが天龍を落ち込ませた。
 「ぼけっとしないで! 上!」
 加賀の叫びが、天龍を我に返させた。耳には航空機の音。慌てて上を見ると、敵の艦爆が、今まさに急降下、一斉に突撃して来る所だった。迎撃は間に合わない。
 回避運動に入ろうとするも、それより先に爆弾の絶望的な投下音が、あたりには響いていた。

「あの娘の精神状態が不安定であることを知りながら、出撃させましたね」
 射抜くような冷徹な視線が、提督に突き刺さる。秘書艦である加賀に怒られるのは今まで何度もあったことだが、今回は格別鋭いものであった。有無を言わさぬ怒気が部屋の中に充満して、まともに呼吸できないほどの息苦しさを感じる。
 港の街灯が司令室に入り込み、それが唯一の明かりだった。部屋の電気は消され、ぼんやりとした影だけが、壁を彩っていた。
 「昨日、天龍に言われた。……出撃させてくれと、凄い剣幕で、怒鳴り散らしていて。私は、今日出撃させる事が、あの娘のためになるのだと……。不満ももっともだった。だから……」
 「その結果、あの娘は死にかけました。私の助けがなければ、確実に轟沈していたことでしょう」
 容赦ない言葉とともに、報告書が机に叩きつけられた。半分は損害を被った艦娘、こと天龍についてのことで、破損箇所や入渠の終了時間まで事細かく記されてあった。
 「敵との交戦中に棒立ちになるなど、ありえないことです。……私も愚かでした。旗艦でありながら提督の愚かな采配ミスも見抜けず、のこのことぼんやり娘を引き連れてしまった」
 加賀は提督を睨みつけ、一呼吸置いた後、吐き捨てるように言った。
 「提督の命令とあれば、私達はどこへでも出撃します。ですが、だからと言って無様に沈みたいわけではありません。提督には失望しました。
 報告はあげましたので、今日はこれで失礼いたします。……不知火が提督にご用とのことなので、呼んできます」
 振り返り、つかつかと去っていく加賀の背中を見て、何も言えずにただ座っている。自身の無力さに拳が振るえ、情けなさに唇を噛んだ。頭を壁にぶつけたかった。
しかし理性が衝動を抑え、体を硬くしその場にいる。
 扉のノック音に返事をし、机の上が片付いていないことに気が付いたのはその後だった。慌てて書類を引き出しに突っ込み、面体を整えるが、不知火にはその姿をばっちりと見られていた。
 「あぁ……すまない」
 何とか微笑み、取り繕うように言う。しかし不知火は訝しげな視線を送るだけであった。
 「用とは何かな?」
 「……約束を、お忘れですか」
 言葉を受け、提督の脳裏には思い出された事があった。だが、まさか素直にさっきまで忘れていたなどと言えるはずはない。
 「そんなわけないだろう。おいで」
それはまったくの嘘の言葉ではあったが、不知火は安心したように、いつもは見せることも無い柔らかい表情をし、早足でデスクを回り込んだ。
 抱擁と激しいキスを受けながら、提督の意識はそれに集中できないでいた。耳に入る吐息の音、口を割る舌の感触、体温。
しかし頭はそれを処理するより、そういった快楽を享受するより先に、思考を優先してしまう。加賀へ謝罪ができなかったことへの後悔と、天龍への接し方への悩みと、その両方で頭の容積は一杯だった。
 「あの……司令?」
 口と口とを伝う橋が、自重に耐えられず滴り落ちた。不知火は口を拭い、頬を上気させながら、しかし目つきは不満のそれであった。
 「今日は、お疲れですか?」
 声音から滲み出る、遺憾と不満と心配の念。下手に否定しても、すぐに看破されるであろうことは明らかだった。細い体躯を抱きしめながら、提督は言う。
 「加賀に、怒られたよ。失望したと。……俺は嫌われてしまったかな」
 「彼女が司令を嫌うなど、ありえないことのように思えますが……」
 不知火は提督の首筋に、舌を這わせた。下あごの骨の末端、首の筋のふくらみ、鎖骨のくぼみ。丹念に舐めあげながら、時折唇で挟み、吸う。赤い痕が残っていって、それを見ると満たされるのだ。
 息を荒くしながら、不知火はその行為に没頭していった。
 「嫌われても、文句は言えないんだ。不知火だって、話くらいは聞いただろう? 俺は、あの娘に、天龍にどう接したら良いのか……」
 「……私達艦娘と、敵の深海棲艦の違いというのは何処にあるとお思いですか?」
 唐突な質問に、提督は顔をあげて不知火を見た。彼女はしな垂れかかっていた体を起こし、じっとりと提督の瞳を覗き見ている。
 考えても答えは浮かばず、かぶりを振る。それを見届け、不知火は再び口を開いた。
 「それは、誰かに必要とされているかどうか。その一点です。……不知火は初期こそ前線任務についておりましたが、今では遠征ばかり。
しかしそれに不満が沸かないのは、こうして提督に抱かれ、必要とされていることを感じられるためです」
いつもの真剣な表情の中に、微笑みに似た暖かさがある気がした。すっと胸の荷が軽くなり、沈んだ気持ちが湧き上がるのを感じる。提督はありがとうと礼を言い、不知火の頭に手を持っていった。
 「それから……その、」
 髪を撫でられながら、視線を泳がす。提督は、頬を赤く染めた不知火にその言葉の続きを促した。
 「ど、どうか夜伽の最中には、他の女のことは考えないで……。不知火だけのことを……」
 布擦れの音。胸元のリボン紐が解かれ、黒のベストが床に落ちた。そこから先は恥ずかしかったのか、手を提督の肩に置き、脱がせやすいように体を離す。
 提督はブラウスに手をかけようとして、しかしやめた。不安の色を瞳に湛える不知火に、短く言う。
 「自分で、最後まで脱げ」
 一瞬固まった後、言葉の処理が追いつくと、猛烈に首を横に振る。だが提督に容赦は無く、
 「なら、俺は疲れているから、ここでやめるか?」
 「い、いやっ! どうか、それだけは……」
 「なら、脱げるな?」
 逡巡の後、一歩後ろへ離れた不知火は、意を決したようにスカートのホックに手をかけた。
やたら涼しくなった腰まわり、ブラウスの裾に隠れたスパッツは酷く淫靡で、動くたびにちらちらと、その白い脚との対比を見せてくれた。
ブラウスのボタンが上から外されていく。下着に包まれた端麗な胸が、増大する服と体との隙間から覗き見え、ついに最後のボタンまで外し終わると、ブラウスは肩口からするすると床に落ちた。
 「綺麗だよ」
 提督の言葉に、不知火は羞恥した。肩にかかる紐を外そうと伸びた腕が一瞬だけとまり、恨めしそうな視線をよこした後で、ストリップは再開された。
 止め具が外され、支えをなくした下着は、胸から剥がれるように落ちる。不知火の腕が、いま露になった桜色の蕾を慌てて隠し、しかしその姿は見るものの劣情を、激しく駆り立てるものだった。
 「もういいよ。おいで」
 提督の言葉に従い、不知火は胸を隠したまま近くに寄った。提督の手はすぐに、足の付け根、その股の間に伸び、指がつるつるとした布地越しに、割れ目をなぞった。
 「ひっ……う」
 「だいぶ蒸れてるな。さっきのストリップ、やってて興奮してたんだ」
 「そ、そんなことは……」
 発情し、潤んだ瞳で否定されても、説得力はまったくなかった。
 「確認してあげよう」
 指がスパッツの更にその下の、パンツと腰との隙間に入り込むと、提督は一気に腕を引き下げた。パンツと秘所との間には、粘液の橋がつたって、よく見ると太ももまでもが、その愛液によって濡らされていた。
 提督はぬめった太ももの、その滑りを確認するように指で撫で、それが不知火に屈辱を与えた。
 「あの、もう、そろそろ」
 切羽詰った表情で不知火はねだった。掌が提督の、股間の張ったテントを撫で、口から漏れる吐息は非常に荒かった。
 「机に手をつけ」
 「……はい」
 提督とて、我慢の限界であった。ズボンを脱ぎ後ろから、不知火の秘所に自身のをあてがう。肉壷を割り、最奥部まで到達する感触。
 普段では聞けない、高いトーンの不知火の嬌声。周りのことがまったく目に付かなくなり、ただ彼女を感じることだけに、すべて集中されていった。
 揺れる乳房に手を這わせながら、遮二無二腰を振る。何分も経たないうちに、限界は訪れた。
 「し、司令っ! あっ、んあぁあ、どうか、どうか中にっ! ふっぁ、中にください」
 気配を感じた不知火は、淫らに声を上げ、懇願する。ねだられるよりも前から、提督もそのつもりであった。
 水音がよりいっそう激しく響き、ついに精が放たれると、不知火は温かな腹内の感覚に微笑んだ。

 

 修復終了の報告書を手に、天龍は憮然と提督の前に立っていた。それは、不満の感情の表れと言うわけではなく、むしろ逆に、申し訳ない気持ちから何をどうすればわからず、ただ素直になれないための行動であった。
 報告を聞き、しかしそこから先へ埒が明かないと判断した提督は、席を立つと天龍の側にまで近づいた。
 「な、なんだよ」
 不安そうな声音で、上目遣いに彼を見る。提督は意を決すと、天龍の背中に腕を回し、思いっきり抱きしめた。
 突然の抱擁に、天龍は素っ頓狂な声を上げた。頬に赤みが差し、頭は煮えくり返って、混乱が悲鳴になった。じたばた暴れるのを気にせずに、むしろ腕の力を強めながら、提督は言う。
 「すまなかった」
その言葉が耳に入ると、多少は動きが緩慢になる。それ以上、何か言葉は不要に思えた。
そういえば、と提督は思う。不知火とも、今に似たやり取りの後に、関係を結んだ。それを思い出しながら、彼女の体温を感じる。キスをしてみようかと、そう企てを頭に廻らせて、頬へと手を伸ばしていった。
 

続き

最終更新:2014年06月11日 23:01