提督×翔鶴15-574

574 :名無しの紳士提督:2015/01/01(木) 00:06:21 ID:JVCB8H3c
あけおめこ
とよろ

姫はじめって聞くとイベント海域ぽくて不穏だけど鶴はめでたいからいいよね


1月1日 元旦朝

鎮守府の年明けは静かなものだ。
「「明けましておめでとうございます」」
提督の小さな部屋で互いに挨拶を交わす提督と翔鶴。

正月といっても特に何かある訳でもなく、挨拶を交わす以外には正月らしい点は今のところない。
しかし鎮守府内は正月らしい静けさがあった。

戦艦組は昨日の夜から臨時任務に就いている。
といっても戦闘海域にいるのではなく、近所の神社へ駆り出されているのだ。
神社にとっては一大イベントである初詣に備え、臨時の巫女として戦艦組、中でも普段からそれらしい格好で知られる金剛型、扶桑型、伊勢型に白羽の矢が立つのが最近の年末年始の恒例行事となっていた。
特に伊勢型はその名前から神社から有難がられ、毎年引っ張りだこだ。

これらは名目上ボランティアとなっているが、実際には謝礼やご祝儀という形で彼女達の臨時収入となり、お神酒やおせちが振る舞われたりする。
神社や町内会の方々も彼女らの立場を知っているので、おせちは包んでくれるケースが多く、鎮守府のおせちとして流用される。
また、もらったご祝儀は当然ながら彼女達の懐に入る訳だが、そのうち半分ぐらいは鎮守府で景気よく振る舞っている。
このため鎮守府では、戦艦組の帰還をもってようやく正月らしくなる。

他にも、秋雲と夕張は十二月に入ってからはイベントに向けて常在戦場の様を呈しており、その修羅場後に休む間もなく大掃除に駆り出されるため、今頃は夢の中だ。
「80センチ六五口径三連装砲ちゃんが見える」等のうわ言を言うぐらい疲れていたようなので、多分何があっても起きないだろう。

那珂は正月にイベントがあるため、昨日の夜からいない。
他の連中も大掃除後の忘年会で羽目を外してぐっすりというのが定番で、特に人手不足になる戦艦正月残留組やその不足を補う重巡組、
正・軽空母組は年末のあらゆる分野において主戦力であるため、正月はのんびりするのがおなじみになっていた。

残りは提督と翔鶴のように正月待機任務組であるため、暇なとき―ほぼ全てなので気が向いた時に初詣に行くぐらいが精々だろう。
このため、正月ムードは夜から始まると言え、朝方は年始の挨拶を交わす程度しかない。挨拶は実際大事。古事記にもそう書いてある。

575 :名無しの紳士提督:2015/01/01(木) 00:09:37 ID:JVCB8H3c
「今年も寝正月だな」
「ゆっくりできて、私は好きですよ」
二人でこたつに入りながら、翔鶴の淹れたお茶をすする。
寝正月と言う程だらだら過ごすという訳でもないのだが、普段に比べればほぼ開店休業状態だ。
事実、翔鶴も普段の胴鎧と籠手を外している。

「そうだな。正月ぐらい平和でいい」
「ええ、本当に」
そう言ってお互い微笑を浮かべ、しばし取り留めのない話をしながら、暇つぶしにテレビをつけて正月番組を見るでもなく見る。

「さあ続いては、今売出し中のこのコンビが登場です!張り切ってどうぞ!!」
司会者が陽気にコールすると、出囃子と共に舞台に女性二人組の漫才コンビが駆け上がる。

「はいどーも!大和です!」
「武蔵です!」
「「二人合わせて播磨です!よろしくお願いしまーす!」」

「ぶふっ!?」
提督がお茶を噴き出し、テレビに釘付けになる。
画面の中で軽快なトークと鋭い突っ込みで笑いを生み出しているのはまごうことなく大和と武蔵だ。
(いやいや待て待てあれはうちの連中じゃないそうだそうだそのはずだそうに違いない
だって俺の知っている大和はあんな舞台に上ったら緊張のあまりまともに話せないだろうし
武蔵のあんな笑顔は見たことないしきっとどこか別の艦隊の大和と武蔵だそうに違いない)

しかし提督自身、その思い込みが無茶であるというのは分かっている。
提督という生き物は付き合いが長い艦娘であれば、自分のところの娘をその仕草や様子から見分けることができる。

その提督の眼からして、今画面の中で「名前だけでも覚えて帰ってくださいねー」とか言ってるのは確実に彼の艦隊の大和と武蔵だ。
「あー完全にうちのだこれ」
神社に駆り出された訳でもないのにいない理由が今になって分かった。

「すごいですね二人とも。新年を機に新しい事へ挑戦したんですね」
(いや正月番組に出られるんだから去年からそれなりにやってたんだろう)
自分の左斜め前、何故か畏敬の念を持って二人を見ている翔鶴にそんな事を考える提督。

「まあ、新しいことに挑戦するのはいい事だな」
驚きから立ち直った提督はそう呟く。

そのとき不意に、こたつの下に忍ばせ、床につけていた提督の左手が、同じような体勢でいた翔鶴の右手の指先に触れる。
一瞬、びくりと指を動かした翔鶴だが、そこでふと思った。

576 :名無しの紳士提督:2015/01/01(木) 00:12:41 ID:JVCB8H3c
「……よし」

何かを決心したような翔鶴の呟きは、提督には聞こえなかった。
二人の間柄は鎮守府の中にあって公然の秘密ではあったが、当の本人にそれを一歩進めることができないでいる。
翔鶴の白い指が、恐る恐る提督の指に近づき、やがて触れる。

「おっ」
指先の感覚に気付いた提督がその手の主の方を見ると、彼女は指の動きと同様にもじもじしながら、薄化粧の顔を紅潮させ、
目をこたつの上の蜜柑に落としたり、触れている手の方にやってすぐ戻したりしながら、時折恥ずかしそうな上目遣いで提督の方を見る。

「わ、私も今年は…、積極的になれるように挑戦してみようかな……なんて」

直後、一瞬の沈黙。
テレビの音だけが部屋に響く。
音のないままぐっと提督の手に力が入りそして、
「きゃっ、ていと―」
翔鶴の手を引き寄せ口で口を塞いだ。

「ん……っ、んん……」
提督の舌が翔鶴のそれと絡み合い、それとシンクロするように互いの背中に廻された腕も、しっかりと力が入る。

「はぁ……。提督…ひゃん!」
熱っぽく潤んだ翔鶴の瞳から一瞬提督が消え、直後その舌が翔鶴の首筋を舐め上げる。
「ひゃひ!て、提ふひゃあ!はぁ、はぁ、ひゃん!」
提督の舌は翔鶴の敏感な首筋を愛撫し、位置的に顔に近づいている鼻から流れ込む彼女の微かに甘い香りを味わっている。

「ふひゃ!あっ、ああっ!!」
舌が動く度に翔鶴の体がビクビクと震え、その度に彼女の体が雌のそれへと変わっていく。
シュルシュルという衣擦れの音が、翔鶴の喘ぎにかき消され、ずり下された袴と下着がこたつの中へ沈む。

577 :名無しの紳士提督:2015/01/01(木) 00:14:54 ID:JVCB8H3c
しっかりと強張りのとれた翔鶴の中へ、提督の一物が滑り込んでいく。
「あっ、あぁっ!」
少し進むごとに翔鶴の嬌声が上がり、火照った体は更に提督を求める。

「あひっ!あぁ、ああぁっ!」
一物をしっかりと銜え込んだ翔鶴は、最深に到達したそれが動く度、ビクンビクンと体が波を打つ。

「ひっ、あっ、あっ、あああああっー!!」
一際大きく上がった嬌声と共に、翔鶴の体がびくりと大きく震え、白銀の長い髪を広げて力尽きたようにぐったりと動かなくなった。

やがて、力の入らない翔鶴を提督が優しく抱き起こし、腕に掻き抱いたまま再び口づけを交わす。
口が離れた後も暫くそのまま見つめ合っていた二人だったが、不意に提督が翔鶴を楽な姿勢で座らせ、自身は部屋の隅に置かれた小さな金庫に向かう。

「新しいことへの挑戦か……」

そんな独り言を言いながら服の乱れを正している翔鶴の前に再び座り込む。
「なら俺もそうしよう。翔鶴」
「はい」
提督の改まった雰囲気に思わず自分も座りなおす翔鶴。

「……結婚しよう」
金庫に保管されていた指輪が差し出された。
翔鶴は目を見開き、両手で口元を覆い、耳の先まで真っ赤になって硬直している。

再び一瞬の沈黙。
テレビの音だけが部屋に響く。
「……はい」

幸福がこの上なく大きい場合には微笑と涙が生まれると昔の偉い人が言ったそうだが、だとすれば翔鶴は今この上なく幸福なのだろう。
つけっぱなしのテレビから、今日何度目か分からない「おめでとうございます」が聞こえてきた。





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最終更新:2021年02月20日 18:25