非エロ:提督×翔鶴1-678避「翔鶴と、提督の決断」

+ 前書き
670 :名無しの紳士提督:2014/06/27(金) 08:40:31 ID:YyAGuR/g
日頃秘書艦を任せている翔鶴さんをねぎらうためにスイーツ屋へ連れて行ったら、帰り道に雨が降ってきて、濡れた衣服を乾かすためにラブホテルに入るようなSS下さい


675 :名無しの紳士提督:2014/06/28(土) 17:17:49 ID:/irDxFA.
超短編ですが>>670をそのまま書いてみました、短いうえに進展できなくて非エロになってしまってすみません。
機会あれば、エロ有りで続きを書かせて頂きたいと思います。

676 :名無しの紳士提督:2014/06/28(土) 17:18:52 ID:/irDxFA.
翔鶴と、提督の決断

「止まないなぁ。雨」
「ですね」
夏の休日の昼下がり。海沿いの田舎の車道脇で、木々の陰に隠れて雨天の暗い空を見上げているのは、提督と翔鶴だ。

「大変、震えていらっしゃるじゃないですか」
「まぁ正直、ずぶ濡れで風邪引く寸前て感じ。君は平気そうだな」
「私たちは、波や嵐に濡れるのが仕事というところもありますから………それよりもこの少し先に確か、宿の施設がありましたよね」
「って翔鶴、来る時に見たあれはホテルはホテルだけども………」
よりによってそういうホテルである。海沿いの田舎道といえば、定番といえば定番であるが。
といっても他に頼れそうな場所もなく、提督は走る翔鶴に手を引かれるままに、雨から逃れ、年季の入った人気のないホテルへふらふらと足を踏み入れた。
ああ翔鶴ハ何処ヘ向ヒシヤ。

『ホテル五十六』と妙な名前の描かれた看板のある無人のホールに入り、自動の部屋鍵選択機を軽妙に操る翔鶴を提督は横目に見た後、
二人は借りた「ご休憩-2時間\3,000」へと向かった。


「良かった、お風呂が使えそうですね。どうぞ」
個室内、外から見える風呂に自分で入るのは全く楽しくないなと思いつつ、既に余裕のない提督は熱いシャワーを求めて浴室のドアを開ける。
「ランドリーがありましたので、回しておきますね~」
甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる翔鶴に心から感謝しながら、提督の心は申し訳無さに揺れていた。

いつも秘書を頑張ってくれるから、たまにはお礼をしようと思ってきたというのに。

二人でこっそり電車に揺られて街に出て、雑誌に載っていた海沿いの甘味処まで徒歩二十分。
海の見えるカフェで可愛いスイーツを前に、珍しく子供っぽいような翔鶴の満面の笑みを存分に味わったのは良いが、その帰り道に折悪しく夕立に襲われ、今に至るという訳だった。

何をどうケチっているのか、ホテルのシャワーのお湯は微妙にぬるかった。



「如何ですか?」
「まだ少し寒い」
服がないので沿え付けの浴衣を素肌の上に被り、提督は矢鱈と大きな丸いベッドの上で膝を抱える。
「あら………分かりました、では」

意を決したように翔鶴は、衣服のボタンとベルトを外し始め、やがて下着姿となった。
背後の衣擦れの音に気づかなかった提督は、下着姿の翔鶴に後ろから抱きつかれた瞬間、思考が停止した。

「少しは暖かいでしょうか?」
「あ………ありがとう、翔鶴」
子を守る母のように包み込んでくる両腕、背中の薄衣の向こうに感じる柔らかなふたつの感触、翔鶴の優しい髪の匂いを全身で感じる。
ベッドの上に座ったまま、伝えられる身体の暖かさのほか、胸の奥に小さな火が灯ったような暖かさが広がってゆく。

こんな恥をかかせるなんて申し訳無いな。
そういえば………

「………前に瑞鶴が言ってたな。いつも姉さんは私たちといると面倒なことに巻き込まれて、一番大変な思いをするんだって。申し訳無いってさ。今、まさに同じ気持ちだよ」
「あら………。うふふ、あの子ったら、らしくない気を使うこともあるのね」
翔鶴は本気で笑い、囁くような声で続ける。
「私はね、提督。この身で誰かを守れるならば、それだけで満足なんですよ。でもそれはきっと、神様から強さを与えられた全ての艦娘が、同じ気持ちを持っていると思います」
翔鶴はそう言って、強く抱きしめてくれた。
「それに、私は今回は別に不運だなんて………。あ、いえ、なんでもありません」
背中にくっついた翔鶴の体温が、少しだけ上がったのを感じる。
これは惚れるなというほうがムリだよな、と提督は思った。


「綺麗に晴れましたね~。よかった」
およそ一時間の後。弾むような足取りで建物から夕日の光の中に出たその後ろ姿は、本当に綺麗で。
「そうだな。ありがとう、翔鶴。本当に助かったよ」
「どういたしまして」
太陽に負けない笑顔が眩しい。

次の一言がどう受け止められるかは分からない。
しかし、そこから必ず新しい何かがはじまるはず。

「………翔鶴。今、伝えたい。聞いてくれないか」
提督はその直感を信じ、決断した。
「僕は、君のことが………」


(終)



これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/

最終更新:2015年12月03日 17:22