提督×若葉6-758

どうしようもなく疲れていた。だが許される云われはない。
そもそもだ、私は何度、彼女と肌を重ねた? 何故、間違えた。寝間着姿は似ていても声で分かるではないか。
布団に広がる赤を見て、正気に戻った私は猛烈な後悔に苛まれた。
「すまない。何と言って、」
謝罪はキスで遮られた。何度も何度も繰り返される。
繋がったままであるから、動くのすらままならない痛みに襲われているはずなのに。
ああ、そうだ。ひとまず抜かなくては。
その動きを邪魔するように、足を絡ませられる。
「大丈夫だ」
呟かれた言葉を頭ごなしに否定したくなる。何が大丈夫なものか。問題しかないではないか。
そんな視線を感じ取ったのか、再び唇を奪われる。
「その、確かに痛いぞ。だが、悪くない。温かくて幸せな感じだ」
腹を括ると、引き返す気はないかと訪ねる。答えは分かりきっていたのだが。
抱え上げるように、体を入れ替え私が下に入る。
「んっ、くっ」
嬌声とも嗚咽とも取れる声が漏れる。
慣れない事をしても綻びが広がるばかりであるのは気づいた。既に恥などはない。
一瞬戸惑いを見せたが、決して無知ではないらしく、腰を動かし始める。
身を捻るたびに、痛いほどに締め付ける。本当に大丈夫なのか。
暗がりで良くは見えないが、涙目ではなかろうか。
やはり、私には彼女しかいないのだろう。
しかし、とうに止め時を失っているのは自明の理。なら、どちらかが果てるかでもしなければ収まらないか。
赤い潤滑油、どこか狂った嬌声、さして変わらない表情。
突き上げる度、痛みに耐えるように短い悲鳴が漏れる。
途中から半笑いになり、狂気の交わりと変わった。



空が朝焼けに染まり始めた頃になり、私は土下座をしていた。
24時間続けられるとうそぶくのをたしなめた後、この状態である。
「連絡がある、いやあったみたいだぞ」
過去形なのは、伝えるべき時を逃したからだろう。
そこにはただ短く、『戦略的勝利を収めるにあたり、四本の魚雷と一隻の駆逐艦を消費した』と書かれていた。
昨夜戦闘を行ったであろう駆逐艦には一人しか心当たりはない。
雷は私の母になってくれるかもしれなかった女性だ!
なのに何故、と呟く私を抱きしめてくれた。
「安心しろ。私がいるじゃないか」
だけど、きっとこの報告書を書いたものを許せない。
「また、この手を汚せと言うのか」
ああ、若葉は何を言っているんだ。誰か、教えてくれ。

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最終更新:2014年01月29日 01:24