一年間使った鎮守府。
大掃除も終わり、執務室には自分と古鷹の二人。
「年が明けましたね、提督。」
「そうだな。」
「宴会には参加しないのですか?」
「いいのさ、私は寝正月と決めているからな。」
「そうですか……」
「さ、去年は終わった、電気を消してくれ。」
「はい、提督。」
執務室の電気が消える。
残されたのは、古鷹の左目の明りのみ。
「古鷹の目は綺麗だな。」
「そうやって、正面から言われると、恥ずかしいですね……。」
そう言いながら古鷹は左目を覆ってしまう。
今度は明かりが完全に消える。
しかし、執務室、自分にとっては手慣れた場所だ。
古鷹に歩み寄ると。急に自分が抱きしめられた。
「古……鷹?」
声をかけると古鷹はこちらと目線を合わせてきた。
明るくてキラキラした、綺麗な目で。
「提督が寝正月なら、私も寝正月にします。でも、一つお願いが有ります。」
「なんだ?」
「提督と一緒に寝させてください。」
「私は良いが……良いのか?只のおっさんだぞ。」
「良いんです。重巡洋艦が大好きな、私達艦娘を大事にしてくれる提督が、大好きですから。」
「そうか、なら、良いぞ。」
自分と古鷹は狭い布団の中ひっついて、お互い温まりながら寝た。
古鷹の体は細く、柔らかくて……とても安心する体温だった。
今年も、頑張らなくてはな。
「明けましておめでとう。古鷹。」