小ネタ:提督と雷電5-724

「司令官、元気出して。私たちがいるじゃない」
「……」
司令室で一人の男が雷の声に反応しないくらい気を落としていた。彼は百戦無敗の提督だった。だが…
「出撃敗数0な実戦派提督で行きたかったのに……まさか初雪が全快から一撃で轟沈寸前の大破してしまうなんてな……
これも艦娘のダメージ姿を図鑑に加えたいと思い、エリア1-1なら大丈夫と思い、
戦艦や重巡もつけずに低レベル駆逐艦だけで強敵と戦わせてしまった慢心提督の定めか……
こうなったのも全ては俺の責任だ。初雪は責められない」
男は初雪大破により撤退したことで敵がほぼ健在だったこともあり、一つの敗北がついてしまった。
「戦闘に突入した時に大破していなければ轟沈しない。そして昼間の戦闘で大破して夜戦突入しても轟沈した報告はない。
多くの提督が譲葉の心でもって動き導き出したことをまったく活かせなかった……」
「(譲葉の心…今朝見たアニメで出た言葉…司令官さんはまだ完全には落ち込んでないみたいなのです…)
司令官さん、元気出してください。確かに無敗提督の夢は崩れちゃいましたけど、
でも、司令官のあの時の決断が初雪ちゃんの命を救ったのかもしれないのですよ」
男が提督となった日から秘書艦として常に共にし、
互いに右も左もわからないながらも二人三脚で頑張ってきた電が慰める。
「命は失ったら二度と戻らないものなのです。多くの艦娘達が戦いで命を落としていく中、
司令官さんは戦いで命を失う艦娘を決して出そうとはしない。司令官さんは誰よりも、命の尊さがわかっているのです」
長い付き合いの中、電は司令官が落ち込んだ時どうすれば良いのかを無意識に理解していた。
「それにさ、昼間大破しても夜戦轟沈がないといっても、いつまでもそうとは限らないじゃない。
それに昼間大破した艦娘は夜戦突入で轟沈するんじゃないかとみんないつも不安に思ってるのよ。
艦娘に必要以上に恐い思いをさせなかった司令官の判断は正しかったわ」
続けざまに雷も慰める。
「二人とも……」
二人の言葉に少しずつ元気を取り戻す提督。
「ありがとう……(お前達は俺の天使だ……)」
「良かった……元気になったみたいなのです」
「もう……やっぱり司令官には私たちが必要ね」
元気を取り戻した提督に笑みを浮かべる天使達。その微笑みに提督は再び気力を取り戻した。

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最終更新:2013年12月19日 20:41