非エロ:提督×千歳5-101

「提督、何かお飲みになりますか?」
「ん?あぁ・・・ほうじ茶を頼むよ」

一日も半分を過ぎ、そろそろおやつという時間。
書類に目を通し、サインをする。
大体が報告書だ。提督への報告もあれば、大本営への報告もある。
「もう少しこういった雑多な書類が減ればいいんだがなぁ」と一人ごちた。
「大本営への日次報告なんて纏めて一括でいいだろうに、何故態々各任務毎に書式を・・・」
ぶつくさと文句を垂れる提督の鼻腔を、香ばしい薫りがくすぐる。
「ふふっ、そう仰らないで」
ことん、と置かれた湯飲みを手に取り茶を啜る。
「・・ふー・・・。悪いね千歳、何時もありがとう」
ばつが悪そうに返すと、人差し指を立てて
「いいえ、これも秘書艦としての勤めですから」
ウインク、可愛い奴め。
「後もう少しですから、ね?」
「全くだ、片付けてしまおう」
そして、残り一山の書類に手を伸ばした。

「午後五時。提督、綺麗な夕焼けですよ」
「おー・・・こっちもこれで綺麗に片付くぞ」
最後の1枚を手に取ると細部まで目を通し、サイン。
「これは工廠行きと・・・」ぴっ、と投げるようにカゴへ書類を放り込む。
「お疲れ様でした、提督」
大きく息を付き伸びをすると、両肩に温かい感触が置かれた。
「肩、お揉みしますね?」
ゆっくりと、凝った肩が揉み解されていく
「あぁ~・・・気持ち良い」思わず出た声に、千歳がくすくすと笑う。
「いやいや・・ほんとに気持ち良いんだよ?」
「ありがとうございます、揉んでる甲斐もありますよ?」
「そりゃどうも・・・」
心地よさに負けて、どうにも顔が緩んでしまう。
「何かして貰ってばかりで申し訳ないな・・・千歳はして欲しい事、無いのかい?」
手が止まる
「えっ。して欲しい事、ですか・・・?」
「うん、何でもは聞けないが。どうだろう?」
「して欲しい事・・・」
うーん、と唸る千歳。どうも悩ませてしまったようだ。
「そこまで考え込まれる様な事だと出来かねるなぁ・・
僕個人で出来る事ならまだいいけどね、例えば頭撫でて欲しいとか」

軽い冗談のつもりだった。
「へっ!?」
「・・・どうした、素っ頓狂な声あげて。」
振り向くと、顔を真っ赤にした千歳の姿があった。
「え、えっと・・・そのぉ・・・」
急に両手を合わせてもじもじとしだし、目を逸らす千歳。
「・・・・よし、分かった。」
椅子を引き、立ち上がる。
「えええっと、あの。提督?」
普段の落ち着きは何処へやら、提督の一挙一動にびくびくしている。
「ほら、千歳」
両腕を広げ、手のひらでおいでおいで、とジェスチャーをする。
「て、提督!?その「いいから、来なさい」
千歳の言葉を遮り、1歩近づく。
「じゃ、じゃぁお言葉に甘えて・・・」
おずおずと腕の中に入るが、そこで止まる千歳。
「・・・ほら。」
「あっ」
肩と背中に腕を回し、しっかりと抱きしめる。
「う・・・」
「どうした、顔が赤いようだね」
「もう・・いじわるですね、提督は」
「随分慌ててたからつい、ね。落ち着いたかい?」
こてん、と頭を胸に寄せる。
「はい。・・・提督」
「・・・なんだ」
出来る限りの精一杯で、優しく頭を撫でる。
「・・・大好きです。」
 

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最終更新:2014年03月05日 12:30