提督×雷4-503

  雷の司令官LOVEな休日


私は雷。読み方はかみなりじゃなくていかずちよ!
昨晩はキス島撤退作戦を無事に完遂させてきたの、
途中で戦艦が出てきた時はほんとヒヤヒヤしたわ。
で、嬉しかった事があるんだけどね……司令官が私を褒めてくれたの!
最近は戦艦や空母ばかり活躍していて、私や他の駆逐艦の子は遠征につきっきりだけど、
やっぱりこうやって戦果を挙げて司令官に喜んで貰えるのが一番嬉しいわ!

今日は入渠とかの処理で、出撃とかはなしで鎮守府はお休みなんだけど……(もちろん開発とかは行ってるわ)
私は久々に司令官の寝顔を拝みに私室の前に居るの。
時間は朝の六時。何時もの司令官だったら七時頃にはもう起きてるからバレちゃうかもしれないけど、
今日みたいに余裕のある日は司令官は遅めに起きるの。もうっ、ねぼすけさんなんだからっ!
でも私が今から司令官の所へ行くのは、起こす為じゃないの。

(音を立てないようにそーっとそーっと)
私は工廠妖精さんに作ってもらった私室の合鍵を使って鍵を開け、司令官の部屋へと侵入する。
(もー、また汚くなってるわ。仕事が忙しいのは分かるけどちゃんと部屋の掃除はしなきゃだめよ?
司令官ったら世話が焼けるんだから!)
私室の台所にはまだ洗っていないであろう食器、机の上には何らかの書類、風呂場の方にはまだ洗ってない服……
ただでさえ小さい部屋が更に小さく見える。今すぐにでも綺麗にしてあげたい所だけどそれはまた後ね。
(ふふ、よく寝てるよく寝てる)
私は司令官が布団で寝ているのを見ると、顔を綻ばす。
他の艦娘の所に泊まり込んでたら司令官が更迭されちゃうかもしれないからね。

(あっ! いつまでもこうしてるわけにはいかないわ!)
しばらくしてはっと我に返る。
寝ている司令官の顔に息を吹きかけたり、頬をプニプニしたり、
色々と堪能していた私だけど目的を忘れちゃいけない。

(ゴミ箱には……うんないわね)
私は机の近くにあるくずかごを漁……捜索して、怪しいティッシュがないかを探す。
何してるかって? 司令官が昨晩自慰したかを確認するのに決まってるじゃない!!
本当は私が秘密で司令官に御奉仕して慰めてあげたいけど、
司令官は私をちっとも女性として扱ってくれないの。ひどーい。
だからこうやって朝早くからスッキリさせようと私室に来たのよ。

(むっ、小さいわね。だけどこの雷様に任せて!
ちゃーんとお仕事中に発情しないように抜いてあげる)
私は提督の布団に潜り込んでパジャマとパンツをゆっくりと脱がせ、
司令官の7.7mm機銃を口に銜える。
(お掃除お掃除♪ここは男性にとって、とっても大切な所なんだから!)
私はペロペロと機銃の先っぽや周りをを、舌でお掃除してあげる。
余裕がある時に毎朝してあげたから、汚れすぎてたり発射できないなんて事態にはならないわ。
そうやって丹念に掃除しているうちに、司令官の機銃がどんどん大きくなって
口の中で46cm三連装砲に改造される。本当はそこまで大きくないけど……

(んんっ! っ……流石に口内に咥えきれないかしら?
だけど私は負けないわよー!)
息苦しくて一度司令官の連装砲を離しちゃったけど、私は負けじと
また連装砲を口内に咥える。
そして今度は司令官の弱点を狙って舌撃を加えていく、
カリ首を円を描くように舐めてあげたり、鈴口を優しく刺激してあげたり……
そんな風にしてあげると司令官のくぐもった切ない声が私に聞こえてくる。
きっと私の奉仕で快感を感じている証拠なのだろう。
私は嬉しくなって、もっと気持ちよくなれるように連装砲を責める。
(っ…はぁ…司令官はどんな夢見てるのかしら? もちろん私よね?)
ぺちゃぺちゃの淫猥な水音を立てながら、私は必死に最後のスパートをかける。
司令官の連装砲は震えていて、今すぐにでも精液を発射しそうだった。

(んんんんっ! んむぅ!)
私の口内に大量の精液が放たれる。数日分の溜まっていた精液は
これでもかと言わんばかりに私の口へと流れ込んでゆく。
(…ぜ、全部飲むんだから! し、司令官の為ならこれくらい……!)
私が飲むペースよりも早くどんどん精液が放出されてくる。
咽そうになるけど、私は頑として司令官の連装砲から口を離さず、精液を飲み干していく。
(んぐんぐ……ぷはっ! ぜ、全部飲んでやったわ!
これくらい私には余裕なんだから!)
司令官の精液を全部飲んだ自分が少しだけ誇らしくなった。
本当はそんな自分を褒めて貰いたかったけど、司令官はまだぐっすりと寝ている。
これじゃあどれくらい気持ちよかったのかも分からない。

……起きればよかったのに、起きればなし崩しに司令官と関係を結んだりして、
もーっと傍に居てあげられるかもしれないのに……
いっその事睡眠薬とかつかって眠らせて手錠とか付けて監禁して
私なしに生きていけないくらい依存してもらうとかそういうのも……

(あーあーダメダメ私がこんなに暗くなっちゃ!
司令官に笑ってもらうのに自分がこんなんでどうすんのよ雷!)
私は思いついた嫌な考えを振り払う。
少し魅力的な考えだったけど司令官には大切な仕事や役割があるし、
私だけが全部独占できる人じゃないから。
私は司令官の連装砲を口内で綺麗にすると、
元通りにパジャマと布団を着せ台所へ向かった。

(ん…ちゃんとあるわ。調味料の方は……)
私は冷蔵庫を開けて中にある食材を確認する。
司令官の為に前作った佃煮や金平牛蒡はちゃんと食べられてるし、
私がリクエストしておいた食材も買ってある。
戸棚の中に入っている醤油や酢も新しくなっていた。
(これなら美味しい朝ご飯を司令官に作ってあげられるわね!)
といっても今から食事を作ったりはしない。
私が合鍵を作っていて勝手に私室に入り込んでいるのを司令官は知らないからだ。
朝ご飯を作るのは司令官が起きそうな時間帯に合わせて、また来ればいい。
絶対にバレたら駄目。もしそんな事になったら……考えたくもない。
(じゃあねー司令官。また来るわ! 楽しみにしてて)
私は物音を立てずに部屋を出て、扉の鍵を閉めた。


私は自分の部屋に戻る。
「ん……雷? また司令官の所?」
「ええ。司令官分を補給してきたの。やっぱりこれがあると力が漲るのよ」
丁度外へ出ようとしていた響とばったり出くわした。
私の部屋は電・響・暁……第6駆逐隊四人の共同部屋だ。
「響はまた早朝散歩? 飽きないわねー」
「それだったら雷だって同じさ。私だったら
司令官の為とはいえあそこまで尽くせない」
部屋の外の薄明かりの中で取るに足らないことを話し合う。
響は私達より早起きで、よく早朝に鎮守府周りを散策することが多いの。
まー何が目的かは知らないけど、本人が楽しんでるからいいんじゃないかしら。
司令官とそんな風に二人っきりで誰も居ない鎮守府を、私も歩き回ったりしたいな……
今度お願いしてみるのもいいかも。
「……あんまり話し込んでると太陽が昇ってきちゃうね。
私はそろそろ出かけてくるよ」
「いってらっしゃい。面白い事があるといいわね」
私は響を見送る。港の方に向けてだんだんと背が小さくなっていった。

「ふー。準備準備」
時間までまだだいぶ余裕があるけど、必要なものはきっちりそろえておかないとね!
私は鞄の中にエプロンやタッパを詰める。
洗面所で髪やお肌をチェック、服に変な臭いや皺がないかも入念に調べる。
「……おっけー! 今日も私は万全!」
くるっと一回転してポーズを決め、私は時間を待った。

八時十五分。まだ眠っている暁と電を起こさないようにゆっくりと私は部屋を出た。

「しれーかん! しれーかん! 朝よー。早く起きなさい!」
私は扉をドンドンと叩く。
「……雷。また来たのか」
少しだけ間が空いて司令官が扉を開ける。口に歯ブラシを咥えてパジャマ寝間着姿、
予想通り起きてすぐだったみたいね。
「今日も朝ご飯作りに来たわ。さ、台所貸して頂戴♪」
私はウィンクをして、いつものように部屋へ入ろうとする。
「キス島撤退作戦が昨日完了したばかりだろう。無理せず休んでおけ」
そんな私を司令官は腕を上げて立ち止まらせた。
気遣ってくれるのは嬉しいけど、司令官だって色々と苦労してるはずでしょ?
これくらいなら私が余裕でやってあげる。まさに朝飯前ってやつね。
「なーに言ってるの、雷はもうピンピンしてるわ!
司令官も一人じゃ碌な食事作れないんだから、私に任せなさい!
……入れてくれるまで私は諦めないから」
「分かった分かった。遠征に支障がでないようほどほどにしとけよ」
司令官は渋々私を部屋の中に入れた。

「あーまた汚れてるじゃない!」
さっき侵入したくせに、白々しくも、私は部屋を見て言う。
「すまんな。後でちゃんと片付ける」
「はいはい言い訳はしちゃだーめ!
司令官は早く着替えて歯磨いて顔洗って、済ますこと全部済ましてくるのよ?
朝ご飯の準備は私がしておくから」
「あい」
司令官はそう言われると、頭を掻きながら洗面所へと戻って行く、
私が居なかったら、本当にこの部屋はどうなっていたことか。
「さーて今日も腕によりをかけて美味しい朝ご飯を作るわよー!」
私はまだ洗い物が残っている台所へと向かっていった。


「じゃーん! 朝ご飯の完成!!」
ご飯・味噌汁・納豆・鮭の塩焼き・卵焼き。
割とテンプレなメニューだけど、朝はあんまり時間がないから凝った食事が作れないのよねー……
「毎朝私に頼んでくれるなら、もっと色々作れるわよ?」
「いんや、大の男が子供に頼りすぎるのは良くない。例え苦手な料理であってもだ」
「なに言ってるの! 朝ご飯はね今日一日を元気に……」
「OK言いたい事は分かるから、朝っぱらから説教だけは勘弁してくれ」
はあ……私は司令官の体を心配して言ってるのに。
そーやって無茶するから病気になったり倒れたりするのよ?
そんな私が心配しているのをよそに、司令官は朝ご飯を食べ始める。

ふふっ、でもこんな風に美味しそうに食べてくれるのは、作った甲斐があるわ。
もっとお料理頑張ろうって気になるもの。
「ふふん」
「……どうした雷」
「なーんでもないの」
私は料理を食べている司令官を見つめる。
司令官が度々私の方を『何が面白いんだ?』って顔で訴えてくるけど、
私はそれに微笑んで返すだけ。
だってそうでしょ? 好きな人と一緒に幸せな時間を過ごすのは女の子なら
きっと誰でも望むでしょうから。

こうして私と司令官のゆったりとした朝ご飯の時間は過ぎていった……

「ふぅ……さてと、私は仕事があるから司令室に行ってくる。
雷も早く皆の所へ戻れ……って言ってもこの部屋を掃除するつもりなんだろう」
朝食も食べ終わり、制服に着替えた司令官が立ち上がる。
休みの日なんだからゆっくりすればいいのに。仕事が残ってるのかな?
「当然雷が責任持ってお掃除しておくわ!
司令官は安心してお仕事に行ってきてね」
「ああ、分かった。でも、別に無理して掃除しなくていいからな?
この部屋を汚したのは私なんだからな?」
「はいはい。後は私に任せて」
私はバツが悪そうに歩く司令官の背中を出口まで押していく。
掃除中にHな本見つけたからって捨てたりしないわよ?
私だっていつも一緒に居られないから、少しぐらいだったら仕方ない仕方ない。
あ、私の下着や服で自慰してもらうのもいいわね。
今度わざと部屋に置いていっておこっかな。

「そういえば今日の仕事ってどれくらいで終わるの?」
扉を開けて外へ出ようとする司令官に、私は話しかける。
「仕事か、昨日のキス島撤退作戦の事後処理が少し残っているから……
まあ昼前には終わるな。どこか行きたい所でもあるのか?」
「ううんそうじゃなくて。今日はどれくらい司令官と一緒に居る時間が
あるのかなーって、そう考えてたの」
「……部屋の掃除や食事を作ってくれる雷には感謝している。
あまり特別扱いは出来ないが、何かして欲しいことがあったら言ってくれ」
こちらを振り向いた司令官の顔は真剣そのものだった。
じゃあ私にキスして、夜、布団の中で司令官と夜戦したい……なんて言える訳がない。
たぶん……ううん、司令官は絶対に断るだろうから。
「今日も私の作ったお昼ご飯とお夕飯を食べてくれる?
後……司令官の部屋に泊まってもいい?」
「それで雷が喜んでくれるなら私は構わない」
「じゃあ約束よ! 忘れたらだめだからっ!」
司令官は黙って頷き、外へ出て行った。


司令官の居ない部屋はとてもガランとしている。
大きくない部屋なのに司令官が居ないと、まるで広いお屋敷のようにも感じた。
(しれーかん……)
私は脱衣所へ向かう。寂しい心の隙間を埋める物を求めて。

(はぁ……しれーかんのにおいだぁ……)
司令官の服と下着に包まれて、匂いを嗅ぎながら妄想をする。

私が秘書艦になって勤務中に性行為を強要される。
机の下で無理矢理フェラチオされたりして、私の顔に精液をかけられる。
倉庫に呼び出されて、声を押し殺しながら二人で交わりあう。
司令官の私室の布団で私が上になって司令官を快楽で喘がせてあげる。
私達の部屋で司令官との激しい性行為を、暁・響・電に見せつける。
「んっ……は……ぁ……」
私は司令官の為なら何でも出来る。
例えその結果、私が轟沈するとしても。
「……もっとぉ……しれーかん……しれーかん」
私の頭の中が司令官でいっぱいになる。
現実じゃなくても幸せだった。
「ふあぁぁ!!」
そして私は絶頂に達する。
頭の中では司令官が私の耳元で何度も何度も愛の言葉を囁き、
膣内へと精液を注いでいた。
(しれーかん大好き……)
しばらく私はその妄想に浸り続け、何度も達した。

そんな妄想から覚めてみると、何ともいえない寂寥感が私を襲う。
海の底へ沈む感覚はこれに近いのかもしれない。
冷たくて何も見えない、真っ黒な世界が私の目の前に広がるような。
(お掃除お洗濯……)
私はそんな感情を忘れたくて家事に取り掛かった。

時は流れて十二時三十分。私は食事を用意して司令室に司令官を呼びに行く。

(司令官以外にも誰か居るのかしら?)
司令室に近づくに連れてガヤガヤとうるさい話し声が聞こえる。
秘書艦の赤城さんはそこまでおしゃべりな人じゃないし……
(もしかして……)
ここまで騒がしくて明るい人はだいぶ限られてくる。
私は頭の中にある人を想像した。
司令室の前に立った時それは確信に変わった。

「だからな金剛、雷と約束があるんだよ」
「HEY!提督ぅー。Lolitacomplexはだめヨー。
雷ちゃんも偶にはrestが必要ネー」
金剛さんの声だった。
何を話しているのかは分からないけど、考えるよりも先に自分の体が動いた。
バタンと扉を勢いよく開ける。音が司令室に鳴り響いた。
「oh! ちょうどいい所に来マシタ」
金剛さんが部屋に入ってきた私を見て、都合が良さそうに司令官に言う
「最近提督はthunderちゃんに頼りっきりデース。
朝昼夜、全部お世話をしてもらうのは駆逐艦には荷が重すぎマース」
「全部って……雷が居ない時は自分の事ぐらい自分でやっている」
「つまり。thunderちゃんがいる時はentrust toっきりじゃないですカー。
それがいけないのデス!」
金剛さんの司令官への説教を聴きながら、私は無言で司令官に歩み寄り
手を取って出口へと無理矢理引っ張っていく。
「お、おい雷」
「thunderちゃん。wait a minute! 貴方にもお話ありマス」
「私は司令官のお世話を嫌だと思ったり、辛いって感じた事は一度もないわ!」
私を止めようとする金剛さんの声を背に受けながら、
声を張り上げ一言だけそう言って司令室を出て行く。

「crazy……」

金剛さんたら失礼しちゃうわ! 私は体は小さいかもしれないけど、立派な女性なのよ。
建造された歳から考えたらどうなってもみんな二十歳以上だし、ここに来てからだと全員三歳以下になる。
そういう意味では私の主張は間違ってない。そうよね?
それに荷が重いなんてふざけた話よ。私は時間がある時に、
司令官の日々の負担を少しでも減らそうとしてるだけ。無理なんかしてないのよ!
「雷。さっきの事で怒ってるのか?」
そんなに酷い顔をしていたのだろうか、司令官に声をかけられる。
だめだめ、だめよ雷! 楽しいお食事の時間を私の機嫌で台無しにする訳にはいかない。
「ううん怒ってなんかいないわよ。ちょっと考え事してただけ。
……金剛さんの言うこともちょっと分かるかなーって」
そう言いつつも、私の本心はまったくそう思っていない。
むしろもっと私に頼って欲しいくらいだ。
「ささ、早く食べて。和食ばかりじゃ飽きるとおもって、
お昼は洋食にしてみたのよ?」

午後一時。私は第6駆逐隊共同部屋に戻ってくる。
どうして司令官と一緒に居ないのかって?
……私だってそうしたいけど、司令官に気を遣わせちゃうし、
うっとうしがられたりするのはもっと嫌だから。
司令官も一人で行きたいとこや、居たい時もあると思うの。
そんな貴重な時間を私の我侭で潰すのは良くないって考えてるだけ。
でもそれは私の本心と矛盾する考えでもある……

「ねえ暁。一人前のレディーって何だと思う?」
真剣そうな顔で『月刊パラレルハート』を読んでいる暁に私は質問する。
「一人前のレディー? そうね……」
「ブラックコーヒーを飲めるとか、胸が大きくなるとか、
頭を撫でられて喜ばないとか、お子様ランチを頼まないだとか、
そーゆーのはなしでお願い」
「わ、私がそんな事言うわけないでしょ!」
そう口では言いつつも、態度に図星を指された様子がはっきりと分かった。
自分の気持ちを巧く誤魔化すのも、大人の女性に必要なのかもね。
私にはまだまだ出来ないけど。
「えっと……やっぱり周りに対する気遣いよね。空気を読むのって大切だと思うの。
後はやっぱり余裕って言うか……冷静とはちょっと違うんだけど、心の広さじゃないかしら?」
「ふ~ん。暁も結構考えてるのね」
「当然よ私だってちゃんとしたレディーなんだから!」
言ってることは間違ってないけど、
暁を見ているとまだまだ一人前のレディーには遠そうだって思うわ。もちろん私も。

午後二時。
「電ー、ちょっと背中に乗せてー」
「雷電ごっこはもういいと思うのです……」
「せっかく天龍さんから高周波ブレードを借りてきたのに」

午後四時。電の背中に乗っかりながら、海の水平線を見つめる。
「電って司令官の最初の秘書艦だったのよね?」
「お姉ちゃん……もうそれは何回も話したのです」
「ん……んー、やっぱり電が羨ましいっ!」
私はくしゃくしゃと電の頭を撫でる。ちょっとの嫉妬を込めて。
きっと電は司令官の良い所や悪い所を私より沢山見てきたのだろう。
私よりも長く司令官の傍に居たのだろう。
もしかしたら誰にも言えない秘密の関係を持っているのかもしれない。
羨ましい妬ましい、私ももっと早く司令官の傍に行けたなら
深い関係になれたのかもしれない……

「お、お姉ちゃん?」
「へっ? あ、ああボーっとしてたわ」
電に話しかけられて、私の思考は中断される。
「そろそろ夕食の用意しないといけないんじゃないですか?」
「……あああっ、もうこんな時間じゃない! 電、私行ってくるわ!!」
私は電の背中から素早く降りて、司令官の私室に向かう。
辺りの空はまだ青いけれど、手の込んだ料理を作るには時間がかかるから。

「お姉ちゃんは相変わらずなのです」

私が料理に失敗することもなく、司令官が約束を破ることもなく、
そして司令官との夕食に邪魔が入ることもなく時は過ぎていった……

夜十時。お風呂や歯磨きを済ませて、私と司令官は一緒の布団に潜り込む。
あ、残念だけどお風呂は一緒じゃないわ。きちっと自分の部屋で入ってきたの。
「司令官と寝るの楽しみにしてたの!」
「その言い方だと変態的な意味にも聞こえるからやめろ」
「いいじゃない本当の事でしょ?」
せっかくピンク色の色っぽいパジャマを着てみたのに、
司令官は全然興味を持ってくれない。
私は悔しくて、こちらに背を向けている司令官の首に抱きついて体を寄せる。
「暖かいわ……」
「もうそろそろ冬だからな。雷も寝る時はちゃんと毛布を使うんだぞ」
「でも今夜は司令官がいるからいらないわね」
ぎゅうぎゅうとより強く司令官を抱きしめる。
「電気消すからちょっと離れてくれないか?」
「はーい」
司令官が立ち上がって、電灯を消す。
部屋は真っ暗、外に幾らか光はあるけどそれは港を照らすものだけだった。

「明日の遠征も頼む」
そう言って司令官は私を抱きしめた。今度は背じゃなくて胸の中に。
私は無言で司令官を見つめて、抱擁の暖かさに浸る。
(はぁー、まさにこの為に生きてるって感じよね……)
頭も撫でてくれて、溶けてしまいそうなほど幸せ。
この感覚を毎日味わうことが出来たのなら……
(また明日も頑張ろう、もっと頑張って成果を上げて、
いつか司令官に……)

私は司令官に抱かれながら心地よい眠りの世界へと落ちてゆく、
いつか私の願いが叶うのを祈って。
(しれーかん大好き……)

 

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最終更新:2013年11月28日 21:43