イクさんと提督4-306

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会議に思ったより時間を取られ、司令官室に戻った時には既に夜中を過ぎていた。
「おっそーい、の」
出迎える声は明らかに私の失態を咎めていた。
――仕方ないじゃないか。
――だって、会議が長引いたのだし。
――入渠している子たちの具合も気になったし。
言い訳をぐっと呑み込む。したところで「提督、言い訳なんかして、また“おしおき”
されたいの?」と言われるのがオチだ。それはそれで、悪くはないのだけれど。今日は、
それよりも。
ドアを閉め、鍵を掛ける。待っていた相手にも分かるように、大きな音を立てて。
絨毯にぺたりと座り込んでいた艦娘が、大輪の花を咲かせるように笑った。
私は襟を正し、出来るだけ“威厳ある提督”の格好をつけ、
「伊十九」
「提督ぅ、イク、って呼んでって、いつも言ってるの」
独特の、幼く高い声に出鼻をくじかれる。
「いや、一応戦果報告だから」
頼んでも聞き入れてもらえないのは何時ものことだ。伊十九はにこにこ笑っている。私
の言葉を待ち侘びてうずうずしている。私は折れることにした。二人きり、どうせ咎める
者もいない。
「イク、おめでとう。よくやっ」
言い終わる前に私はよろめいた。床に座っていた伊十九が飛び跳ね、私に抱きついてきた
からだ。破れたスクール水着から豊かな胸がこぼれ、私の腹に押しつけられる。
私の手には電信がある。今日受け取ったばかりの、ろ号作戦の達成を報せるものだった。
一週間の過酷な連続出撃をこなし、数多の敵補給艦をほぼ一人で屠ってきた、我が艦隊
唯一の潜水艦は、敵補給路寸断の任務を達成するや否や入渠もせず着替えすらせず、大破
した身体のまま司令官室に陣取っていたのだ。
私にいの一番に誉められたい、ただそれだけの理由で。
「提督」
潤んだ瞳が此方を見ている。
「イク、頑張ったの」
「うん」
「イク、頑張ったから」淡く開いた唇が、ゆる、と濡れた弧を描く。「提督の“ごほうび”
欲しいの」
伊十九は小さく熱かった。戦闘の熱がそのまま残っているようだった。
私は伊十九の腕についた煤を払い、聞いてみる。「じゃあ、宿舎に行こうか?」
「ううん」
乳房が押しつけられる。今度は明確な意志を持って。硬くなり、私のズボンごと伊十九
を押し上げるモノの感触を楽しみながら。
「待てないの」
声で。小さな手で。伊十九は私を撫ぜる。ねだる。
「今、ここで、“ごほうび”欲しいの――ね?」
否や、は、無かった。

白い絨毯に脱いだ上着を敷くと、伊十九は其処にころりと寝そべった。破れた水着は
とっくに脱いで、白い裸身が晒されている。
「提督の、においがするの」

「汗臭いかな」
「ううん、いいにおいなの」
言葉だけではなく袖を掴んですんすん鼻を鳴らす。少し恥ずかしい。覆い被さりそこだけ
発育した胸に手を置くと「ひゃんっ」と可愛らしい悲鳴が返ってきた。
「提督ぅ、じらしちゃ、ヤなの」
「じらす、って」
身体の下、幼い肢体が蠢く。「イクね」脚が広げられる。普段、魚雷を跨いでそうして
いるときよりも、大きく。恥じらいもなく、慎みもなく、「――すぐ、欲しいの」細い指
で、濡れた場所を拡げてきた。
荒くなる呼吸を堪え、伊十九の秘裂へと指を滑らせる。ぬるりとした感触。浅く行き来
させると蜜がとろとろと零れてくる。
「んっ、んっ」
伊十九が何処か不満げな喘ぎを洩らす。「すぐでも、いいのに…んっ、ひゃあっ!」
殆ど視認できない程度の薄い柔毛の下、ぷっくりと膨れる陰核をつまみ、痛くない力加減
でつつく。伊十九が、うー、と唸りながら見上げてくる。じらしているわけではない。
小さな彼女に負担を掛けたくないだけだ。断じて反応を楽しんでなどいない。
「濡れてるな」
「だからあ…もう、いいのにぃ…」
彼女の言葉通り、薄い肉は私の指をするりと呑み込んだ。仰向けになった伊十九の身体
がぶるりと震える。きゅ、と絡みついてくる襞と襞。熱い。
「随分とせっつくんだな」
「……だって」
小さな手が、私の腕を掴む。じっと見上げてくる潤んだ目。
「イク、ずっと、ずーっと我慢してたの…作戦だから、ずーっと我慢してたの……」
一週間ぶりに抱く身体は、震えていた。
――ああ、そうだ。
一週間。作戦のためにオリョール海をたった一人で出撃して、何度も大破して、何度も
入渠してまた一人で出撃して。
「――イク」
「んっ……」
覆い被さってキスをする。狭い膣を指でかき回す。小さな身体がびくびく跳ねて、絡める
舌も外れてまた重ねてを繰り返す。
「どうして欲しい」
唇を放す。イクははあはあと息をしている。汗ばむ身体がうす赤く染まっている。
「あのね、」
「うん」
「イク、欲しいの…提督の、ごほうび」
「うん」
「提督で、イクを、いっぱい、いーっぱいに、して、欲しいの……」
きゅう、と。呑み込ませた指が、締めつけられた。
「うん。分かった」
イクは嬉しそうに笑い。今度は彼女からキスをしてきた。

ズボンを脱ぐのももどかしく、前を開け勃起したものを取り出す。濡れた秘裂に先端を
添え擦ると、ぬるぬるとした蜜が絡みついた。
「提督ぅ…てー、とくぅ…」
イクが腰を持ち上げ合わせてくる。綻んでも狭い場所で男を求めている。
柔らかな脚を抱え、一気に貫いた。
「ひゃ、あああああっ!」
白い喉が仰け反る。熱くて狭い場所はすぐに奥に行き当たる。

「うあ、いっぱ、いっぱいなのおっ」
少し引いて浅い部分を擦り上げる。小刻みな動きにつれてイクの腰が跳ねる。
「抜け、てーとくう、ダメ、抜けちゃうの」
うわ言のようにイクは繰り返す。きゅうきゅうと締めてきて、絡めてきて、伝わる刺激
にびくびく震えている。
「抜けるの、提督、離れちゃやだあ…っ」
分かった、と答える余裕もない。イクの脚をぎりぎりまで広げさせ、深い場所まで打ち
込む。弓なりになる身体を凝視する。ずるずると引いてまた強く突き入れると、幼い顔が
苦しげに歪む。奥に押しつけたままぐりぐり動かすと、緊張を緩ませ細く濡れた喘ぎを
洩らす。少し位置を変え、滑らかな腹を内側から押し上げるように突く。「ひう、あ、
それえっ、いいのおっ……!」ざらり、とした感触が亀頭に当たる。いい、というイクの
言葉通り、そこを擦ると膣がさざ波立ち新しい蜜を滲ませる。イクの一挙一動を見る。
見る。求めに応える。これは“ごほうび”、伊十九への褒賞なのだから。
イクの“いいところ”に亀頭をあてがい、イクの脚を私の腰に絡ませる。突きながら、
自由になった手で揺れる豊かな胸をこねる。乳首を指で挟んで擦るのと、膣内のざらけた
部分を擦るのと。同時にやるのとずらしてやるのと、イクはどちらが好みだろう?
同時にやる。
「ひゃあっ! ん、ん、うあ、あっ!」
ずらしてやる。
「ふあ、ひ、ひぐっ! あう! あ、あぅう…!」
成程。いちどきに刺激を与えるよりも、間断なく、休む暇を与えず責めた方がイクの
好みに合いそうだ――どろどろに蕩けたイクの顔へと舌を這わせ、ぎっちりと締めてくる
イクの足、その力の許す範囲で腰を動かし奥をぐりぐり抉り、大きな胸を押し潰す。
「てえ、とくう…っ!」
びくん、と、イクの身体が跳ねる。ぶるぶる震えて硬直し、男を最奥へ咥え込もうと
蠢く。
じんわりと緩んでくる身体を、私は強く突き上げた。
甲高い嬌声が迸る。絶頂を迎え柔らかく膨れた襞が再度の熱を帯びてゆく。ぐちゃぐちゃ
に濡れた襞が噛みつくように絡んでくる。奥の、自分の一番きもちいいところに導こうと、
自分のきもちいいところに男の精を受けようと、自ら腰を振り当ててくる。
「てーとく、イク、イクのぉ……!」
「いい、“ごほうび”だ…好きなだけ、いっちまえ……!」
「てーとく、好き、すきぃ……!」
ぎゅうっと抱きついてくる身体。大きな乳房。柔らかく潰れる熱。包み込む襞。熱。
やわらかい中で、亀頭に当たる、硬い感触。下がる子宮まで貫く勢いで、思い切り、突き
上げた。
「ひうああああああっ――!」
吐き出す勢いにイクが仰け反る。びくびく痙攣するリズムが射精のそれと重なる。
しがみつく身体をかき抱くと、耳元で「提督、好きなの」の囁きが聞こえた。

また。私は、伊十九に出撃を命じる。
オリョール海への潜水艦単独出撃。まだ力の足りぬ我が艦隊で、最も確実に、最も被害
少なく敵輸送路を破壊せしめる戦法。
伊十九は何の躊躇いもなく戦地に赴くだろう――提督の“ごほうび”、楽しみなの――
そう笑って、たった一人、深い暗い海の底へ。
白くちいさな身体を抱く。
イクが眠るまで。私はずっと、そうしていた。

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最終更新:2013年11月27日 14:58