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2013年度東京河上会 公開シンポジウム「今後の日本経済のゆくえ」より(2013/6/17開催)



高橋洋一さんのお話


10年ぐらい前の時、マネタリベースを増やしたら、予想インフレ率が高くなるということを書いているんですけど、これがどのぐらい後にそうなるかというのが、その時はわからなかった。(だからその時は)理論的な話として書きました。

予想インフレ率が高まると、実質金利が下がって、実体経済に影響が出ると。

アベノミクスの肝だけ言うと、実は予想インフレ率さえ高まれば、実質金利が自動的に下がること。実質金利が下がれば実体経済に影響が出るのは経済学200年の歴史で証明されている。

マネーストックは、すぐに増えたり減ったりするかというと、わかりにくい。ただし、マネタリベースを増やしたとき、ちょっとは増えるということがわかった。関係はあると。ただしこの関係は非常に複雑。あんまり単純に言えない。

これを教科書なんかで信用乗数で「一定」などと言ったら、金融政策なんてバカみたいだという話になって、おそらく日本銀行の総裁が金をもらうことはなくなる。たぶん10人ぐらいでできちゃんじゃないかな。ほとんどエアコンの操作みたいなもの。ここは実はわかんない。わかんないから中央銀行は金をもらって何とか仕事ができるんだと思います。

この間は、アクセル踏んだ時にどの程度スピードが出るかと言うことで、トランスミッションが壊れているボロ車に乗っているようなもの。アクセルを踏んだ時にスピードが出るのか出ないのかわからない。プロのドライバーなら何となく感覚でできるでしょう、というようなレベルなんですよね。

マネーストックが増えたときに、2年位たったらGDPが増えて失業率が減って、賃金が増えてインフレ率が高まる、このぐらいはわかっていました。これはデータですぐわかる。

だからポイントは、マネタリベースを増やせば予想インフレ率がこれから増えるでしょう、そこだけですね。

私がこのあいだ若田部さんと話した時、勝利宣言しちゃったんですよ。それを反リフレの人がものすごい怒ってたんですけど、マネタリベースを増やしたら、予想インフレ率が予想通り増えたね、それだけです。

そして実質金利が下がった時に実体経済に影響がないはずはない。これで(話は)お終い。

マネタリベース、マネーストックを増やすと2年後にどうなるかというのはかなりの確度で言える。

今の黒田さんのやり方なら、2年位たった時に、名目成長率は4か5になっていないとおかしいですね。そのくらいにはなるはずです。失業率がどのぐらいになるかというと、だいたい計算できます。3%半ばぐらい。賃金の上昇率も3%ぐらい。インフレ率2%。そんな感じです。もちろん紆余曲折あって2年半か3年になるかもしれないし、ひょっとしたら1年半で終わるかもしれない。それはよくわからない。

長期金利は上がっているでしょう。貸出は増えています。長期金利がちょっとずつ上がると、だんだん債券が貸し出しに変わる。それが今のパターンだと勢いがついてしまっていて。こういうのは行って戻ったりすることはよくあること。

(2000年頃?)アメリカから帰ってきたときにすぐに経済再生諮問会議ですぐにやりました(物価連動国債のことと思われます)。ただ発行するときにブツブツブツブツ言う奴がいて、財務省ですけど、なかなかやらない。でもちょっと置いて2003年から発行したんです。でもなんとリーマンショックの時に止めちゃったんです。これをもって、「このデータがインチキだ」という人がたくさんいます。某日本銀行の人も。これは多少へんちくりんもあるんですけど、すごく長い目で見ると、日米の予想インフレ率の差で、あと、名目の金利差で見ると、為替がかなり説明できる。ということは結構使えるもの。

もちろん予想インフレを出すときにこれだけじゃなくていろんなものを見る。

2003年~2006年の量的緩和の時に政権の中にいたので、計測しています。だいたい当たってた。そこで2006年で量的緩和を解除したら大変なことになりますと安倍さんに言っているんですね。そしたら後で、「高橋さん、良く先がわかるね」と言われた。これを日本銀行にも言ったけど無視してやった。その結果2006年のインフレ緩和解除は失敗でした。

2008年の欧州でも計測しているんですけど、日本と感じ似てます。これでマネタリベースを増やせば予想インフレ率が高くなることに自信を持った。

次の5つの式で話は全部終わり、と言いたい。
(配布資料より)
1. BEI=5.3+0.05*半年前マネタリーベース+0.4*消費税折込
相関係数0.91 (2010.01-2013.05)

2. インフレ率=-2.1+0.62+2年前マネーストック増加率
相関係数0.89 (1969-2011)

3. 賃金上昇率=-3.66+1.00*2年前マネーストック増加率
相関係数0.93 (1969-2011)

4. 失業率=4.36-0.16*2年前マネーストック増加率
相関係数▲0.82 (1969-2011)

5. 名目GDP成長率=-2.1+0.9*2年前マネーストック増加率
相関係数0.91 (1969-2011)

1個の変数でこんなに説明できることはめったにない。
半年前のマネタリベースで予想インフレ率が決まる。
その後ぐじゃぐじゃぐじゃっとなるんですけれども、最終的な結論を言うと、2年前のマネーストックでインフレ率がだいたい決まる。それと2年前のマネーストックで賃金の上昇率も大体決まる。2年前のマネーストックの増加率で失業率も決まる。名目経済成長率もだいたい決まる。
すごくシンプルな構造をしている。

みんな株価のことばっかり言うんですけど、私はこれまでの説明の中で、株価の話なんか一つもしていない。そこに関心があるのはわかります。わかりますけど、株価をこういった形で説明しろと言われてもできない。

株価は1年先のGDPを半分ぐらい先取りするということはありますけれど、説得力はあんまりないです。要するに、はっきりいって、わかんないです。ただし過去のデータをざっと見ると、2000年からざっと見て、こういうものを見るときに世界のデータと照らし合わせるんですけど、これは日経とロンドンとNYの半年間の株価上昇率の比較。これを見ると、上も下も、半年間で40%を超えることはめったにない。最近(日経は)80%ぐらいまで行っちゃったんで、それはあり得ない世界でしょと。スピード違反ですね。だからどっかでなんかなるでしょと。

で、なんかなるとき、マーケットはいろんな理屈を探すんですよね。そこで飛んで火にいる夏の虫になったのが成長戦略ということだったと思います。

骨太が、名目経済成長率3%と書いてある。あれを見たら私なんかのけぞっちゃうわけで。あれっ、民主党といっしょだねと。どうして「違う」と言って、同じ数字出すのかと。安倍さんは正直言うとそんな細かい話はわかんないから、騙されて、GNIで150万円と言った。GNIで150万円と言ったら2つほどわかんない話がある。まず、「GNI」がよくわかんない。昔、GDPの前にGNPというのがあった。あれとほとんど一緒。なんであんな古い話が出てくるのかよくわかんないんです。マスコミに話をするときにわざとわかんない話をする。マスコミの人ってそこにわーっと食いついて、後の話がなくなるんですよね。それの典型的な例。150万円という数字がわかんない。GDPで換算すると名目3%。民主党とまったく一緒。どっかに矛盾があります。その矛盾のまま名目3%、実質2%、デフレータ1%。この時の役人の答弁はわかるんです。インフレ2%ですけどデフレータは1%低いですって説明するんです。それが成り立つのは実はデフレの時だけです。ちょっとマイルドインフレになった時はほとんど一緒なんです。そんなの過去のデータ見ればすぐわかるし。

差だけ見るとちょっとわかんないんですけど、たとえば、GDPデフレータを消費者物価で乖離させると。そうすると「よていすうこう(?)」というのが出てきてそれを見ればすぐわかります。

ですからそれははっきり言ってまやかしで、民主党の時はそういうまやかしはしなくて、結果的にはインフレ目標1%だからデフレータだいたい同じでしょ、と言う風にやっていた。今回そうじゃないからまったく矛盾がある。非常に変な話。

最近の金利を見ると、インフレ予想はびゅっと上がって下がるんですよね。記憶容量の少ない人だと、ちょっと前より過去のデータをみんなdeleteしちゃう。私なんかは過去のデータも覚えているから、1年ぐらい前と比べてくれというんですけど。1年前と比べたらこれだけぎゅーっと上がってちょっと下がるのは大した話じゃないとわかるんですけど。

最後に第3の矢。規制緩和の話が中心なんですが、こういうのやらないと、政治的に結集ができないんです。安倍さんがこれを使うのは(目的は)政治結集だけ。ほとんど期待はできないですよ。ただ政治結集しないと政策がうまくできないのを彼は知っていてやっているというだけ。

こういうのを経済的に全然意味ないでしょ、といったらそうなんだけど、それはわかってやってる。もともと規制緩和なんて効果が出るのすごい先なんで、関係ないんですよね。関係ないんだけどこれやると結構(政治的に)強くなる。同士が集まったりするんですよね。そうするとそこそこうまくいったりする。

私はこのことを郵政民営化でだいぶ経験しました。安倍さんもそういう形でやっている。経済政策は二の次で、政治的に考えてやっていると思います。


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