保育所の規制緩和には議論があります。

単純に認可されているから安全、されていないから危険とは言えないのですが、大きく見て考えるべき指標の一つに児童死亡率があります。こちらはその差について検証しており、差はありそうだというデータとなっています。
認可保育園と認可外保育園における児童死亡率の差の検証

ただ、それであれば、死亡事故の原因を調べて、保育環境をモニタして、問題があれば是正していく措置が取れればいいわけですから、必ずしも認可条件を緩和してはいけないという結論にはならないでしょう。

ツイッターで、NPO法人フローレンスの駒崎さんが、いろいろなアイデアを述べていらっしゃいます。

某テレビ番組から保育所への株式会社参入(http://p.tl/bs-M- )へのコメント依頼取材を頂きましたが、所用があり対応できませんでしたので、ここでコメント致します。まず株式会社(やNPO)に参入規制を行う合理的理由はなかったので、方向性としては良いと思います。
とはいえ、幾つかセットで検討しなくてはいけないテーマがあります。それは①配当規制②撤退スキーム③情報開示義務 です。まず配当規制から。某保育企業は4〜5%の配当を行っています。原資は運営補助(税金)です。資金調達コストと言いますが銀行利子よりは随分と高い。これは良いのか否か。
【保育所配当規制】特に上場企業においては配当圧力が課されますが、税によって投資家を潤すことは正しいのか、また労働分配率を本来なら高められる部分が、配当される可能性があるのではないか、という議論があります。これに対しては、配当規制という手法が考えられます。
【保育所配当規制】イギリスの社会的企業の法人格であるCIC(Community interest Company)では、指定管理や補助金事業を受けることから、配当はイングランド銀行の利子率に上限設定されています。こうした「参入自由、ただし配当規制」という考えは参考にできます。
【撤退スキーム】次に、株式会社をはじめとした事業者が、定員割れ等によって撤退した際に、これまで通園していた園児を救済するスキームが一切ないことが、大きな問題です。これは株式会社だから、ではなく社会福祉法人でも全く同じ。潰れる時は潰れ、撤退せざるを得ない時は撤退します。
【撤退スキーム】これまでは供給過小であったため、よほどのことがない限り定員割れにはなりませんでしたが、待機児童ゼロが近づくにつれ、定員割れが顕在化します。現に横浜市は待機児童ゼロと同時に、定員割れが相当規模で出ていて、撤退を検討する事業者も出始めています。
【撤退スキーム】法人格に関係なく、子ども一人あたりの成果補助で運営する以上、定員割れ=撤退です。さて、撤退自体はニーズのないところなので、全体で見ると最適化ですが、通っていた園児や園児の家庭にしてみたら、迷惑な話ですし、急に預けられなくなると雇用にも影響しかねません。
【撤退スキーム】そういうわけで、A園が撤退した際に、突然撤退するのではなく、移行期間を設けることの義務づけが必要です。また、A園の周りのB〜D園で在園児を吸収し、その間は定員数を超えることを法的に許容する仕組みがないといけません。これが撤退スキームの構築です。
【撤退スキーム】そういうわけで、A園が撤退した際に、突然撤退するのではなく、移行期間を設けることの義務づけが必要です。また、A園の周りのB〜D園で在園児を吸収し、その間は定員数を超えることを法的に許容する仕組みがないといけません。これが撤退スキームの構築です。
【情報開示義務】社会福祉法人は利益規制がかかっていますが、それは積立金で回避できるし、別会社をつくってそこに発注することで利益を移し替えることができます。また、家族を役員にし役員報酬額を高めている事例もありますので、財務情報開示は、労働分配率向上へのプレッシャーになります。
【情報開示義務】財務情報だけでなく、死亡事故情報も公開義務を課すべきです。現在は、子どもが亡くなった園でも、そのまま運営している事例があります。また、事故の調査・公表義務がないことから、事故情報を業界で共有できず、同じ過ちを繰り返すことにも繋がっています。
【情報開示義務】「死亡事故を起こした」という事実を園のWEBで公表せねばならないとすることで、サンクションを課す。そして調査・公表義務を課し、オープンアクセスの保育事故DBに情報が共有されることで、ケース研修を全国の園で行え、再発防止に備えられる体制ができます。
以上、株式会社の保育園参入についてでした。メディアは決して「株式会社は金儲け主義だからダメだ」的な表層議論に留まることなく、具体的なより良い制度設計の議論にまで踏み込んで下さることを期待しています。

あ、僕は面積は「事故の主要原因ではない」と考えています。現場の経験から、ミスはよりソフト要因が大きいという肌感覚があるからです。だから、真の要因(達)を実正研究によって割り出してもらいたいな、と。

フィンランドの人口規模と国民負担率と財政規模をぐぐってみましょうね。日本で全ての保育所を公営化するのは現実的ではありません。 RT @claw2003 フィンランドにできる公営保育がなぜ日本でできないのか
最終更新:2013年05月03日 12:28