執事エクスペリエンス

301 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/25(土) 20:55:00.74 ID:nPCkYBtNo


テクテクテク...

穏乃「ごめんね憧、付き合わせちゃって」

憧「別にいいわよ」

穏乃「まさか提出物を忘れてたとは……高鴨穏乃、一生の不覚」ヌゥ

憧「ただのど忘れが大袈裟」コツン

穏乃「ぁたっ」

憧「ったく……」

穏乃「えへへ。でも、学校で憧と二人ってなんか新鮮ー」

憧「ん、確かにそうかも」

穏乃「京太郎は先に部室に行ってるんだっけ」

憧「そーね、牌譜の整理とかしたいんだって」

穏乃「頑張ってるよね、京太郎」

憧「……まあ、まあまあね。うん。それなりに」

302 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/25(土) 21:18:03.58 ID:nPCkYBtNo

穏乃「えへー」ニコニコ

憧「ちょ、なによしず。なんで笑うのよ」

穏乃「憧、京太郎と仲良くなったなーって」

憧「ふ、普通よ普通。これぐらい普通……なんでしょ?」

穏乃「うん。普通になってくれて嬉しい」ニコッ

憧「……しず、なんかお姉さんぶってる」

穏乃「私の方が誕生日先だもーん」

憧「一ヶ月ぐらいでしょ!」

穏乃「それでも先は先だからねっ」

憧「ぐぬぬ……」

テクテクテク...ピタッ

穏乃「とうちゃーっく!」ヒャッハー

憧「テンション高いなぁ……ほら、ドア開けるんだから邪魔――」





京太郎「お願いします宥さん! やらせてください!!」





憧「ふ」

憧「き」

憧「ゅ」

309 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/25(土) 21:43:01.55 ID:nPCkYBtNo

宥「だ、だめだよ京太郎くん、こんなこと……」

京太郎「そこをなんとか!」

宥「けどぉ……」



憧「……」

穏乃「あ、宥さんもいるんだ。じゃあ京太郎も入れて四人で打と――」スッ

憧「待って!!!」

穏乃「ぅえっ!?」ビクッ

憧「………………」

穏乃「あ、憧?」

憧「(待て、待て、落ち着け、落ち着け)」

憧「(大丈夫、あたしは待てる)」

憧「(落ち着いて、状況を考えることが出来る)」

憧「(……このパターン、GW合宿の時と同じね!)」クワッ

憧「(そうよ、あたしの勘違いに決まってるわ)」

憧「(長野でも勘違いでボコっちゃったし……)」

憧「(いい加減、少しは京太郎のこと信用してあげなくっちゃ)」

憧「(友達、なんだから)」

穏乃「おーい、あこー?」フリフリ

310 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/25(土) 21:46:56.97 ID:nPCkYBtNo

憧「――よしっ」グッ

ガチャッ

憧「お、おつかれさま~! 遅くなってごめ――」





京太郎「すぐ! すぐ終わりますから! ねっ、ほら!」ハァハァ

宥「やぁっ……! 脱がしちゃ……///」





憧「」

憧「(きょうたろうがゆうねえからまふらーをはぎとってた)」

憧「(かみさま。あたしがんばりました)」ゴッ

323 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/25(土) 22:14:37.76 ID:nPCkYBtNo


憧「殴ってごめんなさい」ペッコリン

京太郎「殴られてごめんなさい」ペッコリン

 互いに頭を下げて上げて。

 そして交わす視線には共通の感想が含まれていた。

 即ち、『ビンタ一発で済んでよかった』。

 殴られた俺だが、振り返れば落ち度がないとは言いがたい。

 憧も、以前なら最低でもビンタが三往復はしていた。

 これは紛れもない成長だ。

 頬の紅葉は勲章ということにしておこう。

穏乃「で、京太郎は宥さんと何してたの?」

京太郎「宥さんとっつーか……マフラーがな」

穏乃「マフラー?」

京太郎「そう。ほつれてたんで直したかったんだけど」

宥「わ、私が寒いの嫌だってわがまま言ったから……」プルプル

憧「あー……」

333 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/25(土) 22:51:39.02 ID:nPCkYBtNo

憧「……え? 待って、京太郎編み物出来るの?」

京太郎「絶賛修行中」

穏乃「あ! もしかして長野で?」

 穏乃の言葉に頷いてみせる。

京太郎「ハギヨシさんから基礎は教わったけど、流石に一朝一夕じゃあな」

京太郎「だからこうして、生活の中で上達のチャンスを探してるんだよ」

 言いながら、宥さんから改めて預かったマフラーを解いて編み直していく。

 幸いにもほつれは端の方だったので、すぐに終わりそうだ。

 穏乃に抱きついて暖を取っている宥さんの為にも、迅速かつ丁寧に作業を進めよう。

穏乃「ほへー……本当に出来るんだぁ」

憧「基礎が身に付いてるだけで十分すごいんだけど……初心者よね?」

京太郎「編み棒すら持ったことなかったな」

憧「じゃあ今持ってるのはなんなのよ」

京太郎「ハギヨシさんから餞別で貰った」

 こんなこともあろうかと、ってやつだ。

347 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/25(土) 23:35:43.68 ID:nPCkYBtNo

京太郎「元々手先は器用な方でさ、そこはハギヨシさんにも褒められたんだぜ」

穏乃「すごいね!」

憧「アンタ本当に執事になれるんじゃないの?」

京太郎「……んー」

憧「?」

 思い出すのは、ハギヨシさんの言葉。

 あの、メンタルとタイムのルームで――

――『京太郎くん』――

――『貴方の飲み込みの早さには驚かされました』――

――『それはきっと、貴方に奉仕の精神が備わっていたからでしょう』――

――『誰かの為の自分でありたい……その健気さは貴方の魅力です』――

――『しかし、だからこそ貴方は執事を目指すべきではありません』――

――『あくまで、麻雀部のマネージャーであるべきだ』――

――『これから貴方には執事の技術を授けます。しかし心構えを教えることまでは、敢えてしません』――

――『自分を顧みることを、どうかお忘れなきよう』――

354 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/25(土) 23:52:36.38 ID:nPCkYBtNo

 ――みたいなことを聞かされた。

 確か俺はその時――



――『無理っす! 死にます! 死ぬ死ぬ死ぬうわあああ岩が降ってきたああああああ!!!』――



――と答えたんだっけ。

 執事とマネージャー。

 今考えても、奉仕する対象が違うだけにしか思えないが……

 それは俺が半人前だからだろう。

 だからこそ、もっと精進しなくては。

京太郎「っと、出来ましたよ宥さん」フワッ

宥「ゎわっ」

 補修の済んだマフラーを震える宥さんの首に掛けてあげる。

 きつくないように緩めに巻いて、

京太郎「どうですか?」

宥「……あったかぁい」ポワ



【裁縫スキルが2上がった!】

374 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/26(日) 21:43:34.52 ID:dEtLljlyo

ガチャッ

玄「よろしくお願いしまーす」

灼「お邪魔しま……」

宥「あ、玄ちゃんだぁ」

穏乃「お疲れ様です灼さん!」

灼「あれ、四人いるのに打ってないんだ」

玄「どうかしたの?」

憧「京太郎が宥姉のマフラーを編んでたのよ」

玄「えっ夜なべして!?」ギョッ

京太郎「それは手袋です」

 まず憧の言い方が悪い。

京太郎「ちょっとほつれてたのを直しただけですよ」

玄「あ、そうなんだ……って京太郎くん編み物出来るの!?」ギョギョッ

京太郎「……」

 まあ、ガラじゃないのは先刻承知ですけどね?

 ね? 玄さん、ね?

377 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/26(日) 22:04:26.89 ID:dEtLljlyo

京太郎「勉強中なんですよ。長野でハギヨシさんから教わりまして」

玄「あ、そっかぁ。そうだったね」

宥「あったかあったか……」ポワワ

灼「実際、執事の修行ってどんなことしたの?」

憧「あ、それあたしも気になるかも」

穏乃「私も!」

京太郎「どんなって、まあ大体イメージ通りだと思うぞ?」

憧「だから例えば?」

京太郎「えーと、掃除だろ? 洗濯だろ?」

穏乃「うんうん」

京太郎「もちろん料理だって教わったし……」

憧「あ、あんまり上達しないでよね」

京太郎「裁縫も習ったし、テーブルマナーも叩き込まれた」

玄「ふぅ~むなるほどなるほど~」

京太郎「他には華道、茶道、社交ダンス、そろばん、古式ムエタイ、漢検、英検、宅建、簿記、医療事務とかかな」

憧「資格講座か何か!?」

387 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/26(日) 22:37:09.54 ID:dEtLljlyo

穏乃「すごい! それ全部マスターしたの?」

京太郎「いや無理」シレッ

穏乃「無理なの!?」

 ムリダナ。

 俺がハギヨシさんの特訓を受けた時間は短く、その中で会得可能なスキルは限られていた。

 故に手当たり次第に齧っては投げ齧っては投げを繰り返し、不要だと感じたものは切り捨てた。

 その筆頭が古式ムエタイだろう。

 なんだムエタイって。しかも古式って。

 そんな物騒な技術、このタイミングで学ぶ意味が分からない。

 十分に熟達するのにどれほどの時間が掛かるのかも未知数だったし。

 麻雀プロならともかく、マネージャーを目指す今の俺には必要なかった。

京太郎「最終的には家事とか、日常で活かせるテクを重点的に鍛えたよ」

憧「ま、それが普通よね……」

京太郎「あとは自宅に教材が送られてくるから、それで勉強しなきゃな」グッ

憧「通信教育か何か!?」

 ハギーズブートキャンプ、今夜は7時からカラテの稽古だ。

398 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/26(日) 23:05:51.11 ID:dEtLljlyo

玄「京太郎くん」

京太郎「はい?」

玄「麻雀部の為に頑張ってくれてるのは嬉しいし、偉いなって思うけど」

玄「頑張りすぎちゃダメだからね? ちゃんと休む時は休んでね?」

京太郎「玄さん……」

玄「ねっ」ニコッ

 ごめんなさい。

 『久しぶりにまともなこと言ったな』とか考えて、ごめんなさい。

京太郎「……お、お気遣いありがとうございます。でも、これは今頑張らないといけないことなんで」

憧「京太郎……」

京太郎「そうだ! もう一つ勉強中のことがあったんだ、よければ誰か練習に付き合ってくれないかな?」

憧「え、何?」

京太郎「ふふん、聞いて驚け!」



          /   /     |   | |   | |  :       l :l   |  |   :|   | |
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.   /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:′_,ノ⌒ヽ::|  、    、      _  -‐'     /:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:/:.:.::/:.:
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憧「ふきゅっ!?」

408 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/26(日) 23:42:51.94 ID:dEtLljlyo

京太郎「こればっかりは場数踏まないと駄目だからさ、出来れば協力して欲しいんだけど」

憧「ま、マッサージって……!」

玄「その、あれ……だよね? 触ったりする……」

京太郎「まあ触りますけど」

憧「揉んだり揉まれたりするやつでしょ!?」

京太郎「いや一方的に揉むだけだと思うけど」

憧「ふぎゅっ」

 顔を赤らめて尻込みする憧と玄さん。

 まあ無理もない。

 二人が言った通り、マッサージをする以上ボディタッチは避けられない。

 そして俺達は年頃の男女だ。何も考えないと言えば嘘になる。

 躊躇うだろう、恥じらうだろう。

 それが当然のリアクションだ。



               . . : ̄: ̄: :- .、
             /: : : : : : : : : : : :`: 、
           /: : : /: : : : / ヽ: : : : : ヽ
              /: :!V: :/: : ハ: :{  V: }: : ハ:}
          /: : :i :V:{:ハ: !\L  /ハ:レ′
.          /: : : ∧: ハ:N ○   ○ハ}  「あっ、じゃあ私やる!」
          /: : : : : / \{:{"゙゙┌―┐゙゙):}
       /:/: : : : /   V ェ ゝ__ノ イ:j
        /:/ : : : V   -くヘ  ート  レ
        {:ハ : : :V  /  ヽー、くハニ>、    r, r,
        iハ : : ハ  /     i  く: .V:ハ  r、/ V /フ_
         V: :ハ /    /  ヽ小イ \ { ヽ   /
         V:{  L二ー-/      } !'∧ ノ` _ノ
         ヾ;  /  7┘     ゚i K /  /
               /   く   /   i / ヽ   /
               \   `<   ゚ i/  ー‐'
             7―- _ヽ〃



 例外がいた。

415 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/27(月) 00:10:24.40 ID:Zwo+aKhEo

憧「しず!?」

京太郎「穏乃?」

 とてて、と駆け寄ってくる穏乃。

 ピッとまっすぐ手を挙げて、

穏乃「りっこーほ!」

 宣言した。

京太郎「いいのか?」

穏乃「もちろん!」ニパッ

憧「ま、待ちなさいしず! アンタ本気なの!?」

穏乃「本気だよ?」

憧「京太郎に身体触られるんだよ!?」

穏乃「触られるだけでしょ?」キョトン

憧「う゛っ……!?」

 すげえ。

 真正面から憧を黙らせた。

 無邪気、恐るべし。

421 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/27(月) 00:31:19.86 ID:Zwo+aKhEo

穏乃「というわけで、私が協力するよっ!」

京太郎「あー……気持ちは嬉しいんだけどさ」

穏乃「?」

京太郎「お前、どこか凝ってる?」

穏乃「ぜんぜん!」

京太郎「やっぱり!!」

穏乃「肩もバカ軽だよ! ほらッ!」ググン グィン

京太郎「うわぁトニオさんの料理を食べた億泰みたいなポーズしてる!!」

 案の定だよ。

 超の付く健康優良児である穏乃に身体の不具合なんてなかったんや。

 改めて穏乃を頭から爪先まで観察しても……あ。

京太郎「脚はどうだ?」

穏乃「脚?」

京太郎「おう。穏乃って山とか駆け回ってるんだろ? 疲れとか溜まってるんじゃないか?」

穏乃「あー。どーだろ」

京太郎「自分でも気付かない内にってパターンもあるからさ、試しにマッサージしてみるか」

穏乃「ん、そだね。じゃあお願いしよっかな!」

京太郎「おう! おまか――」



                      -――-
                . . : : : : : : : : : : : : `丶、
                   / :/: : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
                  . : : :/:/::.::.::./::.::.::.::.::.::.::.:: : ヽ::.::.
            /::/::.:: /::.::.::./:|::.::.::.::.:|::.::.::.::.:i.::. ::.:
            ,'::/::.::.: i:.::.:: / │::.::.::.::|\| .:: |::.| ::.i
             |::i::.::.:|::.|::`ト|  | :|::.::.::.L イ::.::|::.| ::.|
             |::i::.::.:|::从≫=ミ|八 .::. 抖=ミ从::| ::.|    「おまかせあれ!」
             |::i::.::.:|::.:|{ rJハ  \_{.rJハ }|::.:| ::.|
            V|::.::.|::.:| 弋ツ    弋ツ ::. | ::.|
            /Ⅵ:|::.:|'. ::、::、  '   ::、::、 /|: | ::.|
             ,::/゚|::.l :.仏     __     厶|: | ::.|
            .:/::.:|::.| :.|:个: . .  ‘ ’   . :介/::/::八
          /::{/{∧::.::.i.::|〈  {≧ ‐≦}  |/::.::.: /ヽ::..
            / ::.::/ _V^>、|∧ ∨ーヘ. /iレく∨ ∧.::.、
.           / ::.::.」 // \く>、∨|  /∨rく_ン⌒∨ |::.::.\
          /::.::. 〔/ //⌒7┴ヘ_,//ー| ̄\\.\ 〕 .::.::.:\
       /::.::.:/       〈  -={_}=ー 〉`     \ .::.::.::.::\
.      /.::.::/{          人_,/| |\_人       ト、.::.::.::.::.: \



京太郎「玄さん、座っててもらえますか」

玄「あ、うん……ごめんね、つい……」ストン

429 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/27(月) 00:58:03.81 ID:Zwo+aKhEo

 閑話休題。

京太郎「それじゃあ場所だけど……机に乗るか」

穏乃「分かったー」

 とてて再び。教室の後ろへ。

 ここに穏乃を寝かしつけた時のことを思い出すな。

 相変わらず粗末な環境だが、部室にベッドなんてある訳ないからな。

 やはり我慢してもらおう。

穏乃「よいしょっ」

 机に飛び乗る穏乃。

穏乃「ここからどうすればいい?」

京太郎「そうだな、まず脱いでくれ」

憧「ふ」

京太郎「靴下」

憧「っきゅう……」

435 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/27(月) 01:32:48.64 ID:Zwo+aKhEo

穏乃「脱いだー」

 と穏乃。

 靴下は上履きに突っ込まれていた。

 ちなみに今の穏乃は学校の夏服だ。

京太郎「そんじゃ始めるか」

穏乃「お願いしまーす」

 さて、脚のマッサージである。

 机に腰掛けた穏乃と向い合って立つ。

 その体勢でぷらぷらさせている足首を掴んで持ち上げた。

 ら、

憧「ちょっ、スカートスカート!」バッ

穏乃「わわ」

 慌てて飛んできた憧が、捲れそうになった穏乃のスカートを押さえる。

憧「なに考えてんの、危ないでしょ!」ギロッ

京太郎「す、すまん……じゃあ、そのまま押さえててくれるか?」

憧「え?」

穏乃「よろしくね憧!」

憧「え!?」

437 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/27(月) 02:05:35.88 ID:Zwo+aKhEo

 対策も万全となったところで、マッサージ開始だ。

 足の裏を、踵から指の方へ向けて揉んでいく。

穏乃「わ、ふひゃっ! く、くすぐったっ」プルプル

京太郎「我慢しろ」グニグニ

穏乃「そっ、んなこと、言われて、もっ!」ピクピク

 悶える穏乃だが、一々取り合ってはいられない。

 裏が終われば次は甲だ。

 骨の位置を確かめて、その間を押してやると、

穏乃「い゛っ!? っくぅ……!」

京太郎「痛かったか?」

穏乃「い、いたきもちぃ……」

京太郎「はは、そうだろ」

 力加減さえ間違えなければ、痛いのは効いてる証拠だ。

京太郎「やっぱ凝ってるんじゃないか?」グイグイ

穏乃「そーなの、っかな」

438 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/27(月) 02:24:41.82 ID:Zwo+aKhEo

 お次は指だ。

 一本ずつ丁寧に、反らしたり、開いたり。

穏乃「ぅー……」ムズッ

京太郎「ん?」

穏乃「な、なんかちょっと恥ずかしい」

京太郎「恥ずかしい!?」

憧「しずの口からそんな言葉が!?」

穏乃「どういう意味!?」

 そのまんまの意味だよ。

京太郎「俺は楽しいけどなぁ。赤ちゃんの指みたいで可愛いし」

穏乃「そこまで小さくないよっ!」プンスコ

京太郎「わりーわりー。ほれ、足首~」グリングリン

穏乃「ぅぁー」ホワワー

 チョロい(確信)。

467 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/27(月) 21:58:04.19 ID:Zwo+aKhEo

憧「し、しず、大丈夫? 変な触り方されてない?」ヒヤヒヤ

穏乃「変な触り方って何?」

憧「何ってそりゃあ……ふきゅう」

穏乃「?」キョトン

 失礼な。

 こちとら誠心誠意、真面目にマッサージをしているだけだっての。

 しかし、相手が穏乃というのに助けられている部分があるのも確かだ。

 部内でも誰より気安い仲だからこそ、こうして遠慮せず触れられる。

京太郎「よし、じゃあ上いくぞ」

穏乃「あれ、まだやるんだ?」

京太郎「もちろん」スッ

 両手でふくらはぎを挟むように持って、

京太郎「これからが本番だ――ぞっ」

スルッ

穏乃「ぁっ」ピクンッ

473 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/27(月) 22:33:26.56 ID:Zwo+aKhEo

京太郎「ん? どうかしたか?」

 顔を上げて尋ねる。

穏乃「だ、大丈夫大丈夫っ。なんでもないよ、うん」アセアセ

 やたら慌てた様子だった。

 隣でスカートを押さえる憧も何故か顔を赤くしてるし。

 ……いや、それはいつものことか。

 この世には理由のない赤面などいくらでもある。憧は特に。

 気にせず続けよう。

 下から上へ――アキレス腱やヒラメ筋、腓腹筋をそれぞれ優しく指圧していく。

穏乃「ん、んっ……?」ムズッ

京太郎「穏乃?」

 さっきから変な声を出している。

 いつもとは調子の異なる、変と表現する他ない声。

京太郎「痛かったらすぐ止めるからな」

穏乃「や、そうじゃなくて……なんか、じわじわって」

京太郎「じわじわ?」

 わかんねー。

 すべてがわっかんねー。

 憧がますます茹だってる理由もわっかんねー。

485 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/27(月) 23:16:58.78 ID:Zwo+aKhEo

 とりあえず続行。

 ふくらはぎから膝裏を伝い、ふとももへ手を滑らせる。

穏乃「んひゃっ」ピクンッ

 残りはノンストップでいこう。

京太郎「」サワサワ

穏乃「ふぁ……」

京太郎「」キュッ

穏乃「ぅぁっ」

京太郎「」コネコネ

穏乃「ん、きゅ……っ」

京太郎「」スルッ

穏乃「ひぁっ!?」

京太郎「」スリスリ

穏乃「やっ、あっ」ピククンッ

穏乃「きょうたろ、そこっ……」

穏乃「なんか、だめ、だめ、だよ」

穏乃「んっ……ふ、ぅん……」

穏乃「ふぁぁ……きもち、ぃ……ぁん」





.             xァ′ /       |                ヽ {__j__
           '   /   ′       / |     |      .         :, `丶 \
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.      ′     八  :{  |  |坏´_)「:::ハ   \ ∨  _)「:::ハⅥ  |   |: .        ′
  ;           \乂_|  |八 rヘしi::::}     \   rヘしi::::} オ |  . .|: . i           ;
  |   i        l .⌒|  |   乂__/ソ          乂__/ソ |  |  . .|: . |       i   |   「ストオオオオオオオオオオッッップ!!!」
  |   |          | . . .|  |    ,,,      ,      ,,,   |  |  . .|: . |       |   |
  |   |         /:| . . .|  |\i                 |  |  . .|: . |       |   |
  |   |          | . . .|  |:::八     r'ア ̄`ヽ       /::|  |  . .|: . |       |   |
  |   |       i | . . :|  {::::::个:...   ∨     ノ    イ:::::}  |  . .|: . |       |   |
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  |   |     r七i| . . . . : |\i:i:i:i:i:i:i:|: . : . : . : . : . : . :|:i:i:i:/i:i/    // /i:\       |   |
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京太郎「うおっ!?」

493 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/27(月) 23:52:40.30 ID:Zwo+aKhEo

憧「きょ、京太郎! しずから離れなさーい!」ドンッ

京太郎「ぉお!?」ヨロッ

 不意に突き飛ばされる。

 屈んでいたせいで尻餅をついてしまった。

京太郎「ってて……何すんだよ!」

憧「それはこっちのセリフ! あ、アンタ……しずになんてことすんのよ!///」カァー

京太郎「へ? 穏乃がどうしたって――」チラッ

穏乃「はぁっ、はぁっ……ん、っ……///」クタッ

京太郎「どうした穏乃!?」ギョッ

 驚いた。

 見ると、穏乃は机の上に身体を投げ出して息を荒らげていた。

 最初は間違いなく起きていた筈なのに、いつの間に。

 どうやらマッサージに集中しすぎていたらしい。

495 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/28(火) 00:10:28.76 ID:8HhuP7UYo

京太郎「だ、大丈夫か?」

穏乃「……ぅん、だいじょぶ……」

 そうは見えない。

穏乃「ちょっと……きもちよくて、ねむくなっちゃった、だけだから」トローン

憧「ふっぎゅ……し、しず、一回立とっか」

穏乃「ふぇ?」

京太郎「憧?」

 不思議がる俺と本人の意思すら無視して、憧が穏乃を立たせた。

 立たせて、

憧「――っそぉい!!」スパァンッ!!

穏乃「ふぎゃあ!?」ピョイーン

京太郎「!?」ビクッ

 その尻を、フルスイングでひっぱたいた。

498 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/28(火) 00:30:49.19 ID:8HhuP7UYo

穏乃「なにすんの!?」

憧「あ、戻ったわね。よかったー」ニッコリ

 こいつ、笑顔で黙殺する気だ。

 穏乃もそれを察したのか、食い下がろうとはしなかった。

穏乃「ぅー、おしり赤くなってないかなぁ?」ペロン

憧「ぶっ!? め、めくって見せるな!」

 対面で良かった。

京太郎「さて、他にマッサージして欲しい人は?」

憧「えっ!?」

京太郎「えっ?」

憧「ま、まだやるの?」

京太郎「まあ、希望があれば。俺の練習にもなるしな」

憧「それはそうだけど……」チラッ

 憧の視線が横に逸れる。

 宛先は今までマッサージを見学していた上級生組だ。

灼「私はいいかな……」

玄「わ、私も……/// ね、おねーちゃん?」

宥「……」

玄「おねーちゃん?」

宥「……ゎ」


            ___
        ,...-‐'´       `ヽ、
      /             \
      /      ,:::::::::::::::::|::::::;    \
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   /,  , /.:::::::///l:::l::::::::::::::li::::〵::::::::〵. 〵
  // ..//::::::// |:| |:::|:::::::::::::|.l::i::〵::::::::〵. .i|
  i::| ....l..l..._,,ォl-イナ'i¯|i:::::::l::::|ヾ:ーr-、_;;;;|:::. l:|
  | | ::::|:ii´:::l.l:| {|.`╲{〵:::{╲{ ╲:::╲::╲::::|:::: l.|
  |:| ::::l,|╲:::|≧王元ゝ \:╲╲ィ伝玉ミx╲|::::: |.|
 .ヾ╲::{╲::ト;({.猛暑リ   ¯  萬赤チ }〉 |:::::. i| |   「私、やってもらおうかなぁ……」
  | |.|`:::::ト| ヾ竺/      ヾ竺ソ  レl:::::: ll .|
  | |.| ::::::| | , , , ,       , , , ,_____|_|::::: l l |
  { | l ::::::ト'' ̄ ̄¯`ー'¯¯¯´ ̄  ̄  ̄.|::::: l l |
  ╲|::l ::::::|:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:::::::l: l l
   }:〵:::::l_:_:_:_:/ ̄フ´ ̄ ̄\_:_:_:_:_l:::::::l: l::|
  /ハ:〵::::l`ー/   /      ╲'´:.:/::::::/ ∧╲
/::/:.〵〵::ソ'/   /          〵ヾ::://:/:.:〵:\
:;,,,クヾ、:╲:╲:{ {   {         }  }'/:/_:_;,:へ::::.`ヽ、
'./i   `ヾ;:〵    〵         /::/    ∧\::::::
/.〵    ╲:╲    〵           /イ     / }\\
  ╲  i  }::::{    }        }:::::{    ,   }:.:.\



京太郎「はい喜んでーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

545 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/28(火) 22:14:57.37 ID:8HhuP7UYo

玄「おねーちゃん!?」

憧「宥姉正気!? 今のしず見てなかったの!?」

宥「み、見てたよ」プルプル

憧「だったらなんで!?」

 失礼な。

 まるで俺のマッサージが下手みたいな言い草じゃあないか。

宥「見てたから……穏乃ちゃん、とっても気持ちよさそうだったから」

穏乃「確かに気持ち良かった、ですけど……」モジッモジッ

 ほらな!

宥「だから私も、って思ったの……ダメかなぁ?」

憧「ぅぐ……」

京太郎「俺は構いませんよ。ご協力感謝します」

宥「よかったぁ」ポワ

京太郎「それで、どこをマッサージしましょうか」

宥「ぁ……うん」モジッ

京太郎「?」

宥「えっとね、そのぉ……」モジモジ

 何故か口ごもる宥さん。

 マフラーの端を手で弄っている。

 もしかしてそれが原因でほつれたんじゃないか、とか考えていると、



宥「………………こし、揉んで欲しいなぁ……」ポソッ



京太郎「へ」

憧「ふきゅっ!?」

玄「ふえ゛っ!?」

557 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/28(火) 22:39:50.59 ID:8HhuP7UYo

京太郎「腰って……腰、ですか?」

宥「……///」コクン

 頷く宥さんの顔はやはり不自然に赤い。

 腰ぐらい、特に恥ずかしがる箇所ではないと思うが……

 年寄りみたいと思ってるのかな。

憧「ゆ、ゆゆ、ゆっ、宥姉!」

 こっちもやたら狼狽してるし。

宥「な、なぁに憧ちゃん」

憧「……腰?」

宥「うん……最近痛くて」

憧「………………具体的には?」

宥「き、きのう」

憧「…………………………玄」

玄「…………………………うん」コクリ

憧「~~~~~~~~~~ッ!!?!?!!!??!?///」ドカーン

 なんなの。

566 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/28(火) 23:09:08.68 ID:8HhuP7UYo

憧「だ、ダメ! 宥姉はマッサージ受けるの禁止!」アセアセ

宥「えぇ……!?」ガーン

京太郎「おいおい、それはちょっと酷いんじゃないのか?」

憧「だって――」ハッ

京太郎「だって?」キョトン

憧「その……ぁの……とにかくダメなの! ねえ玄!?」

玄「私!?」ズガーン

京太郎「玄さん、どうしてですか?」

玄「ど、どうしてって……///」カァー

京太郎「?」ジーッ

玄「ふぇっ……な、なんでもないよ! だからマッサージしてあげて、ねっ!」

京太郎「はあ、まあ、そのつもりですけど」

宥「くろちゃー……」パァァ

憧「く~ろ~!!」ガーッ

玄「だってぇー!」ヒーン

京太郎「???」

 なんなのなの。

575 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/28(火) 23:33:25.04 ID:8HhuP7UYo

 ともあれ許可は得たし、マッサージに入るか。

 いやぁ、今日に限ってレジェンドが来るのが遅くて好都合だなぁ(棒)。

京太郎「それじゃあ宥さん、机の上に横になってもらえますか」

宥「うん……よい、しょ」ヨジッ

 さて、腰のマッサージだ。

 肩・腰・脚と、主要な箇所に絞って覚えたのは正解だったな。

 穏乃には満足してもらえたようだし、今度も全力以上で――

京太郎「――、あー……」

宥「……? 京太郎くん、どうかした?」

京太郎「いえ、マッサージなんですけどね、より効果的に行うためには……」

宥「ためには?」

京太郎「服が邪魔なんです」

                 _,,  ----- _
             , r : : ´: : : : : : : : : : : : : :`:ヽ.、
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         /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
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     j: : : : : :|: : : ::|: : : :, r:ナ'ナ.|`:メ, |: : : : : : ::|i_,rハ-:、i: : : : |: : : ::i: ヽ
    .i: : : : : ii: : : : |: /: ::/::/ .j:::/  |: : : : : : /1:/ !: ::/iヽ、::リ: : : ::|:::ヽ
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    |: : : : ::|:|: : : : |/.{      .} レ     {    .レ'/: : : /::/|:リ
    .〉: : : : :|´|: : : ::|.  ゝ    ノ       、    .ノ./: : :/|::/ レ
   /:|: : : : :|. !: : : : !   ゝー''´         ゝ _.ノ /::::/:ノ'  '
   /: :|: : : : :|ゝi: : : ::|  \ \ \ \ \ \ \ \ \/::ノ: ::|:イ
   〈: :|: : : : ::|: :|: : : ::|                   ´ i: : ::j::|
   .ゝ:::|: : : : :|: :ヽ: : : |、       / ̄ ̄ ̄ヽ     ノ: : :ノ::|
    ヽ:|: : : : :|: : ヽ: : ::|.ゝ、     ゝ-------'__ -- ' /: : /: : ヽ、
    〉::!: : : : :|: : :>: : ::i  ` ヽ------- ' ´  __, --/: : :/: : : : : :ヽ
    /: !: : : : :i: :/ ヽ: ::i、        __ - '   ,,ノ::/::<: : : : : : :i:::ヽ
   ./: : :ヽ: : : :Y   〉、:ヽ、__,     ´    _ -´ // .ヽ: : : : ::iヽリ
  /: : : : :ヽ: : : ::|  ./ \ゝヽ      _, r ´      r⌒ヽ: : ::ノ レ
 /: : : : : : :ヽ: : : :|  |  `]-___, r ' ノ        /   ヽノ

586 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/29(水) 00:03:25.62 ID:GZxUyQ0Io

憧「ふ」ガタッ

京太郎「はいストップ!」ビシッ

憧「っきゅ!?」ピタッ

 先制成功。

 憧の暴走を阻止し、改めて宥さんに言葉を続ける。

京太郎「もちろん全部脱げとは言いません。ただ触れるところ――腰まわりだけでも見せてもらえると助かる……んですけど」チラッ

 遠慮がちに提案してみる。

 下心ナシだとは言えない。

 しかし直に触れた方がやり易いというのも事実だ。

 全ては、宥さんの裁量に委ねられる。

宥「きょ、京太郎くん」プルプル

京太郎「はい」

宥「服……脱いだら、あったかくないよ」

京太郎「……そうですね」

宥「……でも……」スッ

京太郎「!」

宥「京太郎くんが、あったかくしてくれるなら」モゾモゾ

宥「あったかいの、たくさん私にくれるなら……」プチ、プチ

宥「……いい、よ?」スルッ

 (マッサージしよ)

597 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/29(水) 00:29:49.31 ID:GZxUyQ0Io

 いかん、いかんですよこれは。

 意識をマッサージに集中させろ。

 邪念を排除。なるべく排除。

 震える手でカーディガンの前を開け、シャツのボタンを下からひとつずつ外しながら俺にあったかいのをちょうだいとねだる宥さんを邪な目で見てはいけない(戒め)。

 出来るか(憤慨)。

 出来なくてもやらなきゃ(使命感)。

宥「きょ、京太郎くん……さむい……」プルプル

京太郎「え、あ、すみません! じゃあ、うつ伏せになってもらえますか?」

宥「うん……」モゾモゾ

玄「あ、おねーちゃん、私のカーディガン下に敷いて!」イソイソ

宥「ありがと~」

 準備完了。

 俺の目の前には、露わになった宥さんの白い背中がある。

 穏乃の脚も健康的で綺麗だと感じたが、宥さんの腰はまた趣が違うな。

 程々に丸みを帯びたラインが実に女性的で、流石に緊張する。

 それでも早くマッサージを始めなければ、宥さんが凍えてしまう。

 俺を信頼して身体を預けてくれた宥さんに辛い思いはさせたくない。

 意を決し――

ピトッ

宥「ふゎ……」

605 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/29(水) 01:01:32.93 ID:GZxUyQ0Io

京太郎「まず軽く指圧していきますね」

宥「おねがいしまぁす……」

グッ グッ

宥「ぁっ、ぁんっ」

京太郎「……」

グッ グッ

宥「んぅ、っはぁ」

京太郎「……」

グッ グッ

宥「ゃん、ふゅう」

京太郎「……」

 誘ってんのか。

 なんだよこの人。

 吐息が意味深なんだよ。

 いや、割と普段から無駄にエロいってのは知ってたよ?

 でも今はマッサージ中だ。

 色々よくない。理性の及ばない部分で勘違いしてしまう。

608 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/29(水) 01:29:34.74 ID:GZxUyQ0Io

宥「きょうたろうくん……手……」ポヤー

京太郎「あ」

 しまった。考え事をして動きが止まっていた。

京太郎「ごめんなさい、すぐ続きを――」

宥「ううん」フルフル

京太郎「へ?」

宥「そのまま、手のひらでずっと触ってて欲しいな……」

京太郎「え、指圧はいいんですか?」

宥「うん……こっちの方が、京太郎くんのあったかいのが伝わるから」

京太郎「……そ、そっすか。それじゃあ、手のひらで押していきますね」

 注文通り、なるべく肌と肌が密着するようにマッサージする。

 柔肌に俺の指が浅く沈み込む。

 触れる宥さんの背中は冷たい。

 そこに俺の体温を刷り込むつもりで手を動かす。

611 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/29(水) 01:52:59.85 ID:GZxUyQ0Io

宥「ふぁぁ……は、ぁん……」

宥「あったかい……」

宥「あったかいのが……私の中に……入っ、て……」

宥「じわぁって……広がるの、感じるっ……」

宥「っや、ぁ、いい、きもち、ぃ……っ」

京太郎「……」サスサス

 誘ってんのか(二度目)。

 いい加減にして欲しい。

 こちとら理性をフル稼働させて自制しているというのに。

 部室で良かった。人前で良かった。

 これが仮に違う場所で、仮に二人きりだったら。

 そりゃあ。

京太郎「」ハッ

 いかんいかんいかん!

 また思考が引き寄せられていた。

 こうなったら、徹底的なマッサージ脳で突っ切るしかない。

613 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/29(水) 02:17:35.57 ID:GZxUyQ0Io

京太郎「宥さん、宥さん」

宥「んっ……なぁに、京太郎くん?」

京太郎「裏返していいですか」

宥「へ」キョトン

京太郎「お腹、揉んでいいですか」

宥「……」

宥「へぇえ……!?」ビクッ

京太郎「思い出したんです、冷え性にはお腹をマッサージするのがいいって」

宥「で、で、でも、でもでも」ワタワタ

京太郎「あったかいの、好きですよね?」ニコッ

宥「でもぉ……」

京太郎「よっこいせ」グイッ

宥「あぅっ><」コロン

619 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/29(水) 02:46:51.59 ID:GZxUyQ0Io

 いともたやすく裏返すことが出来た。

 背中同様に白く、そして柔らかそうなお腹が丸見えになる。

宥「ゎゎゎゎゎ……だっ、だめだよっ」アセアセ

 先程までの蕩けた様子から一転、慌てて肌を隠そうとする宥さん。

京太郎「宥さん、手をどけてもらえませんか? 揉めません」

宥「も、もませませんっ……」

京太郎「何故ですか?」

宥「だ、だって……私、おなかぷにぷにだし……///」ゴニョゴニョ

京太郎「え? なんだって?(難聴)」

宥「と、とにかくだめなの~」

京太郎「よっ」ガシッ

宥「ひゃっ?」

 つべこべ言う宥さんの両手首を片手で掴んで、

京太郎「こいせ」グイッ

宥「ふぁっ?」

 彼女の頭の上で押さえつけて、

京太郎「それでは、片手ですが……」ワキワキ

宥「え? え?」オロオロ

 そして、





京太郎「失礼しまーす」モミモミモミモミモミモミモミモミ

宥「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……///」プニプニプニプニプニプニプニプニ

650 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/29(水) 22:13:11.13 ID:GZxUyQ0Io

 揉む。

 一心不乱に揉みしだく。

 そうしながら、指令で憧の腹を触った時のことを思い出していた。

 憧と比べると宥さんの方が肉付きがよく、手触りも違ってくる。

 そういえば二の腕の感触は胸と一緒だなんて都市伝説があるが、腹も同じだろうか。

 仮に同じなら俺は今、宥さんを机の上に押さえつけて胸をこねくり回しているようなものだ。

京太郎「……………………………………………………」

モミモミサワサワポヨポヨフニフニグニグニスリスリコネコネツンツン

宥「ふゃ、ん、んっ、ぁ、っはふ、ぅん、あっ、うぁ、あ、んっ、だめ、ぇ……っっ!///」ビビクン

 お腹だから。

 合法だから。

 それに、何も無策に衝動のままに動いている訳ではない。

 そろそろだろう。

憧「い……っつまで触ってんのよスケベーーーーーーーーーーッ!!」バチーン

京太郎「すとまっく!!!」グハッッッ

655 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/29(水) 22:40:43.07 ID:GZxUyQ0Io

 我に返った憧による一撃。

 これを待っていた。

 これこそが宥さんの醸し出す無駄に洗練された無駄の無い無駄なエロス空間を突破する唯一の方法だ。

 いや、きっと他にも方法はあると思うが、これが手っ取り早いと思ってしまう自分が少し悲しい。

憧「宥姉!」

玄「おねーちゃん大丈夫!?」

 吹っ飛んだ俺をスルーし、二人がかりで宥さんを抱き起こす。

宥「はぁ……はぁ……ん、っはぁぁ……」ブルルッ

憧「うわ、汗すごっ!?」

玄「こ、こんなに汗だくのおねーちゃんはじめて見た!」

京太郎「どうだ、効果覿面だろ?」

憧「黙ってろ!!」ギロッ

京太郎「ウィッス」

宥「ん……」パチッ

 と、宥さんが瞑っていた目を開く。

 そして俺と目が合うと、

宥「~~~っ///」

玄「わっ?」

 玄さんの背中に隠れてしまった。

659 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/29(水) 23:02:04.71 ID:GZxUyQ0Io


 なんとか宥さんが落ち着いて。

京太郎「さ、次は誰だー?」

憧「まだやる気なの!?」

京太郎「あたぼーよ。むしろやる気が後から後から湧いてくるぜ」

穏乃「やる気があるのはいいことだよねっ!……けど、たまには程々でもいいんじゃないかなー……」

京太郎「えっ」

 なにやら穏乃らしからぬ発言だ。

 宥さんの隣に座って足をぷらぷらさせて、表情も普段より大人しめで。

 ……マッサージでリラックスしてくれたのかな?

 そうだとしたら、俄然やる気になってきた。

京太郎「――今の俺は、阿修羅をもマッサージする勢いだッ!!」クワッ

憧「なんで阿修羅!?」

灼「でも肩凝り凄そ……」

玄「……肩かぁ……」ボソッ

京太郎「!」ギラリ

665 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/29(水) 23:21:34.29 ID:GZxUyQ0Io

京太郎「くーろさん」ススス

玄「ゎ、な、何っ?」

京太郎「もしかしてですけど……肩、凝ってません?」

玄「ど、どうして分かったの!?」

 ビンゴだ。

 鷺森部長が「肩凝り」と口にした時の玄さんのリアクション。

 無意識でも肩を気にするような挙動を、俺は見逃さなかった。

玄「実は、この頃ずっと凝ってて……」

京太郎「ふんふむ」

玄「どうしてかなぁ?」ポヨヨン

京太郎「……」

玄「京太郎くん?」

憧「チッ!!」

玄「憧ちゃん!?」ビクッ

675 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/29(水) 23:57:06.46 ID:GZxUyQ0Io

 Q.どうして肩が凝るのか。

 A.それはおっぱいがおっきいからです。

 と言えたらどれだけ楽だろう。

 鷲掴みにしてみて、『ほぅら、手に余るだろう?』。

 と出来たらどれだけ幸せだろう。色んな意味で。

 しかし言えない。やはり出来ない。

 もどかしい気持ちもあるが、ぐっと堪える。

京太郎「よければマッサージしましょうか?」

玄「ふぇ、で、でもぉ……」モジッ

京太郎「我慢は身体によくありませんよ?」

玄「ぅ……そうだよね。そう、なんだけど……」モジモジ

京太郎「悪いようにはしませんから、俺に任せてもらえませんか?」

玄「うー………………うん。わかった」

京太郎「本当ですか? ありがとうございます!」

玄「じゃ、じゃあ少しあっち向いててくれる……?」

京太郎「え、どうしてですか?」

玄「どうしてって……だって……」



玄「脱いでるところを見られるのは……は、恥ずかしいし……///」ポッ



京太郎「えっ」

玄「えっ」

686 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/30(木) 00:21:51.85 ID:FB2229n5o

京太郎「……」

玄「えっ……えっ? えっ?」オロオロ

京太郎「玄さん」

玄「きょ、京太郎くん……」

京太郎「どうして脱ごうとするんですか?」

玄「だ、だっておねーちゃんも脱いでたから……」

京太郎「それはマッサージする箇所が背中でしたから、シャツをめくる為にボタンを外してもらっただけです」

玄「ふぇっ」

京太郎「玄さんの場合は肩ですよね? 肩を露出する為にはシャツごと脱いでもらわないといけません」

京太郎「流石に女性にそんなことをさせるつもりはありませんよ」

京太郎「なのに自分から脱ごうとするなんて……」

玄「あ、あのっ! 京太郎く――」



                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
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                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
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            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{  「もう少し慎みを覚えた方がいいんじゃないですか?」
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧          ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
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           | ::::::::::::ノ ::::::::::}::ム孑=ミノ }::/...}.ァチミヽ|:::::::::|' }ノ
           :::::: i:::::}ハ ::: /:《 f!:f:;:(_iノ'............{:::::j:ソノ}:::::::::|
            }::::八:人 i:::::::::|とぅ__:ツ.................`.てつ爪:::::{
             ;::::::: (__){>::::::::|  ///     ,  /// '::::::V:!
        __.′::::::{::`{  }::::::{、u         u 八:::/\
    i´ ̄    /:/{ ::八:::乂∧::::{个 .   rー~ぅ  .イ::.:.::::′ ハ
    |!     // 人 ::::::\:ド. }:. V \>´.__ . < { .|::.:.::::{  / }
    li     /::′  \:::::::: ヽ从 乂 r` 丁 }乂____V} ::::::::}/ |
    |i    /:::::{斗-  . \::::::::ヽ ≧.厶=\_.ノ'≦ ̄} |:::::::::′  {
    |!  /::::::::|    ` \::.:.:.:\   `} )=  《 |::. :./   .′
    |!. /::::::::八       ヽ:.:.:.:.:∨   .爪\   }':.: ∧   ∧

708 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/30(木) 00:51:17.53 ID:FB2229n5o

玄「ちがっ、ちがうもん……玄、ひっぐ、えっちな子じゃ、ないもん……」メソメソ

京太郎「」ハッ

 なんということでしょう。

 気が付いたら玄さんが泣いていた。

 なんということをしてしまったのでしょう。

 だが、これは玄さんサイドにも問題があると思う。

 意図せず真顔で言ってしまったが、玄さんに危機感が不足しているのは事実だ。

 まさか俺のことを好きな訳でもあるまいし、もう少し注意して欲しい。

 が、とりあえず今は玄さんに泣き止んでもらわないと。

京太郎「く、玄さーん」

玄「……」グスグス

京太郎「その、さっきは言いすぎました。ごめんなさい」ペッコリン

玄「……」グスッ

京太郎「勘違いは誰にでもありますよね。俺、もう気にしてませんから」

玄「……」スン

京太郎「お詫びに真心を込めてマッサージさせていただきたいなー……なんて」チラッ

玄「……」



玄「ほんとに?」

 あ、やっぱ心配だわ。

717 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/30(木) 01:19:04.40 ID:FB2229n5o

玄「椅子に座ればいいかなぁ? それとも机に寝る?」

京太郎「あ、椅子でお願いします……」

玄「はーい」イソイソ

 すっげー乗り気だし。

 もう、マジ、どうしよう。

 普通に可愛くて優しくて巨乳の先輩なのに、どうしてこうも扱いに困るんだろう。

 これまでの人生に類を見ないタイプだ。

 そんなことを考えながら、同じ脳の片隅で肩まわりのマッサージ方法を思い出していた。

憧「ちょ、ちょっと玄」

玄「なぁに、憧ちゃん?」

憧「ずいぶん乗り気みたいだけど……大丈夫なんでしょうね?」

玄「?」ヘケッ

憧「見てたでしょ、しずと宥姉! あんな風にならない保証はあるの!?」

玄「もー、憧ちゃんったら心配しすぎだよー」アハハ

憧「いやいや! 油断しない方がいいって絶対!」

玄「だーいじょうぶ! 脚とか腰ならともかく、肩だもん!」





                      -――-
                . . : : : : : : : : : : : : `丶、
                   / :/: : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
                  . : : :/:/::.::.::./::.::.::.::.::.::.::.:: : ヽ::.::.
            /::/::.:: /::.::.::./:|::.::.::.::.:|::.::.::.::.:i.::. ::.:
            ,'::/::.::.: i:.::.:: / │::.::.::.::|\| .:: |::.| ::.i
             |::i::.::.:|::.|::`ト|  | :|::.::.::.L イ::.::|::.| ::.|
             |::i::.::.:|::从≫=ミ|八 .::. 抖=ミ从::| ::.|    「松実玄に――おまかせあれ!」
             |::i::.::.:|::.:|{ rJハ  \_{.rJハ }|::.:| ::.|
            V|::.::.|::.:| 弋ツ    弋ツ ::. | ::.|
            /Ⅵ:|::.:|'. ::、::、  '   ::、::、 /|: | ::.|
             ,::/゚|::.l :.仏     __     厶|: | ::.|
            .:/::.:|::.| :.|:个: . .  ‘ ’   . :介/::/::八
          /::{/{∧::.::.i.::|〈  {≧ ‐≦}  |/::.::.: /ヽ::..
            / ::.::/ _V^>、|∧ ∨ーヘ. /iレく∨ ∧.::.、
.           / ::.::.」 // \く>、∨|  /∨rく_ン⌒∨ |::.::.\
          /::.::. 〔/ //⌒7┴ヘ_,//ー| ̄\\.\ 〕 .::.::.:\
       /::.::.:/       〈  -={_}=ー 〉`     \ .::.::.::.::\
.      /.::.::/{          人_,/| |\_人       ト、.::.::.::.::.: \

726 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/30(木) 01:30:31.15 ID:FB2229n5o

























































        . .――: :―. .、
      . :´: : : : : : : : : : : :`: :ー.、
    /: : : : : : : : : \: : : : : : \`\
  /: : : : : : : : : : : \\: : : : : : \ \   「ぁっ……あっ……ん……///」
  /: : : : : : : :ヽ: : : : : :ヽ_ヽ:_:_ : : : \ \
. /: : : : : : : : :i:ハ:、: : : :ハ  } ヽzz: : : : ヽ  )
. !: : : : : ヽ: : ハ/ヽ : : }  ヘ//∧_V: : :ヽ
. !: : : : : : ヽ:.レへzz VVノ   ゙ー'´'┘ヽ: : :ヽ    「やぁ、ん……いいよぉ、そこっ……///」
. V: : : : : : : :{ イ//∧       、 l/l/lヽ: : : \
 V: : : : : : : :トとつ´           V: : : : :ヽ
  V: : : : : : : ミ   l/l/l   ,  ┐  /: : : : : : ヽ
  l: : : : : : : rへ\       し  ̄  /: : : : : : : :∧  「もっと、もっとぉ……///」
  V: : : : : : ハ  \ヽ           /: : : : : : : : : ∧
   V: : : : : : :ゝ―´: ̄ヽ ―― ヘ\_:―、 : : : : \-、
    V: : : : : : : : : : : : : :∧       〉  \ \: : : :\\ヽ
    V: : : : : : : : : : : : :j ┴――ハ__l \ .:へ ヽ: : :ヽ \.ヽ  「いっぱいさわって……気持よく、して……っ///」
     i: : : : : : : : : : : ://     ト   〃: . : .:\ \: :\ ヽ'、
     |: : : : : : : : : : :く \    /:⌒:>ト: ._ : >、_\: :ヽ、ヽヽ
     |: : : : : : : : : : : : \ \ \: . : . ∧\: . : . : / \:ヽ \、
    i: : : : : : : : : : : : : : :\  ̄ヽ : ノ: .ヽ  \/    ハ:}  ヽ  「、ふぁぁあっ……♪」
    i: : : : : :/`\: : : : : : : :`:ヽ、 7: . : . : ト、__}      V   ',
    i: : : : : :ト\ \:\: : : : : : : \⌒ ̄    `ヽ           !\

805 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/30(木) 22:00:40.75 ID:FB2229n5o

京太郎「………………」

 玄さんの嬌声を聞きながら、しかし極めて冷静な気持ちで肩を揉んでいた。

 まるで動揺していない自分に動揺するレベルだ。

憧「∵」

 憧なんて感情すら見当たらない。

 虚ろな目で玄さんの痴態を傍観するのみである。

 視線をずらせば、穏乃達も似たような表情をしていた。

京太郎「玄さん、玄さん」

玄「ふぇ……?///」ジュルッ

 よだれ垂れてる。

京太郎「肩もほぐれたみたいですし、そろそろ終わりにしませんか?」

玄「えぇー……まだだめだよぉ……///」

京太郎「でも、もう凝ってませんよ?」

玄「だーめぇ///」

 そう言って玄さんが俺の手を取る。

 その手を、



玄「今度はこっち、さわって……///」

 胸に――



京太郎「松実」

玄「ぴッ」ビクゥッ

814 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/30(木) 22:24:18.41 ID:FB2229n5o

京太郎「……」

玄「きょ、京太郎くん今、私のこと松実って――あれ?」ハッ

憧「……」

玄「あれ、あれっ? ここ、どこ? 私、何して……、~~~ッ!///」ハッッッ

穏乃「……」

玄「ちっ、違うよ!? 違うからね!? あの……その……違うの!」

宥「……」

玄「これは京太郎くんのマッサージが気持ちよくて、それで……つい」

灼「……」

玄「でもね! む、む、胸とかっ、触らせるつもりなんてなかったんだよ!? ほんとだよ!?」

ウォーズマン「……」

玄「ど、どうしてみんな目を合わせてくれないの!? 京太郎くん! おねーちゃん!」

「「「「「「……」」」」」」



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            |:l|:::: |l:::::::::: l|:::|人:::::::八、__\: : |:::::::::: l|::::::::::: |::::.
            |:l|:::: |l:::::::::: l|斗匕\:: : \    \|:::::::::: l|::::::::::: |!::::.   「うわぁぁぁん!」
            |Λ:: |l:::::::::: l|     \:Г _____ノ―-=ミ|].::::::::::|l:::::.
              八 Ⅵl::::::::::八抖芋ぅ  /   /     ヽ:::::::::|!!:::::.
                   |八ハ八Λ////// /_____|. .   \___ノ\::: |||::::::.   「無視しないでよぉぉぉぉぉっ!」
                   |: /|::::::::::Λ 。J   \))) |: : : \/     ∨||:::::::.
                  (__) |:::::: /:.込、о  _____  \___ノ.        Ⅶ:::::::::.
              从 |::::::::::::::: 个o。  `⌒′  Jl{: :  .:    V:::::::::::.
                /:/ハ|::::::::::::::::: |l:::::::: ≧ー-<_..ノ八: : . /       V:::::::::::.
             /:/{ |::::::::::::::::: |l:::::::: : /〉}__厂 /: : \/.      --=ミ:.
            {Λ{ |::::::::::::::::: |l:::::::: /,仏{⌒ヽ::::::::::: /:        V    \
.              丿    |::::::::::::::厂 ̄ Λ:|  /:Λ___/!: :       V  . . ハ
               /|:::::::::::/  | ̄ ̄\/ ̄ ̄ ̄ ̄|: :.         V⌒ : : :|

825 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/30(木) 22:52:50.39 ID:FB2229n5o


京太郎「うおおおおおおおおおおッッッ!!!」ガガガガガッ!!

灼「ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ」グリグリグリグリグリグリ

 激突。

 俺の自慢の拳と、鷺森部長の頭。

 猛々しく震動するそれぞれを何度も打ち合わせる。

 決定打を狙い、時に火花を散らして。

 しかし相手は百戦錬磨の電動こけし。

 頭という使い勝手の悪い得物で、俺の両手をことごとく弾く。

 流石としか言い様がない。流石は鷺森部長だ。

 だからこそ燃える。だからこそ滾る。

 だからこそ――勝ちたい。

京太郎「俺のマッサージは……天にも昇るマッサージだあああああああああああああああッッッッッ!!!」


京太郎「ご指導、ありがとうございましたッ!」ペコッ

灼「うむ、精進し……」

憧「ナニコレ」

834 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/30(木) 23:08:30.67 ID:FB2229n5o

京太郎「さて」クルッ

 鷺森先輩との稽古を終え、

京太郎「全ての麻雀部員はマッサージした……」

 俺が向き合うのは、

京太郎「残っているのはジョーカー! お前ひとりだ!」

憧「だ、誰がジョーカーよっ」

 憧だ。

 穏乃。宥さん。松実。鷺森部長。

 五人中四人まで制覇したのだ。

 最後の一人も――と思うのは自然な流れだろう。

 問題は、憧が納得してくれるかどうか。

京太郎「どうだ? マッサージ受けてみる気はないか?」

憧「……そうね……」

 おや。

 まさかの考え込む素振り。

 てっきり即答で拒否されると思っていた。

841 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/30(木) 23:51:36.91 ID:FB2229n5o

憧「どうしよっかな……」チラッ

穏乃「ぅー……」パタパタ

宥「はぅぅ……」ポカポカ

玄「」サメザメ

灼「ヴヴヴヴヴ」ガタガタ

憧「~~~っ……や、やっぱやめとこっかな!///」カァー

京太郎「えー」

 期待させといて。

京太郎「ダメなのか?」

憧「だ、だって……」モジモジ

京太郎「気持ちいいぞ?」

憧「それが問題なんじゃない」ボソッ

 何か言ったが聞こえなかった。

京太郎「憧って結構気ぃ張って生きてるイメージあるし、凝ってると思うんだけどなー」

憧「ま、まあ……確かに? あたしも最近、肩とか凝ってるなーって感じるけど……」

京太郎「え? 肩は凝らないだろ?」キョトン

憧「どうして断言した! 言え!!」クワッ

849 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/31(金) 00:22:16.02 ID:advG+d2to

京太郎「そりゃお前が貧」

憧「言うなあああああ!!」ギリギリギリ...

京太郎「ぐぇぇぇ」

 どっちだよ。

 そして首を絞めるな。

 身長差と体格差であまり痛くはないが。

憧「べ、別に胸が小さくても肩は凝るんだからね!? あたしは小さくないけど!」

 いや小さいだろ、とか言うと更に締められそうだから言ーわない。

 代わりに、

京太郎「だったら尚更マッサージした方がいいんじゃないか?」

憧「う゛」ギクッ

京太郎「確かに肩凝りに胸の大小は関係ないよ。男だって凝るもんな」

京太郎「憧が普段から頑張ってるのは知ってるし、少しでも負担を減らしてやりたいってのは本心なんだけど……」

京太郎「……ダメか?」

憧「う、ぅ、ぅうう……」

憧「だ、だめ、じゃ、ない……けど……」

京太郎「けど?」



                /. : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : .\
               /. : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : .ヽ
            / : . / : . : . : . ,. : . : . : .i. : . : . : . : .ヽ . : ',
          , 'ニ/. : .:,'. : . : . : . :i . : . : . : |. : . : . : . :、. :! : ._{_}ミ ヽ
         // /. : . :i: .,' . : . ,':/! . : . : . : |. : . : . : . :.:i .|: イ:|  \: \
.      //  .,' /: . :| :| ./: . |/ | |:ノ: .ヽ、 |: . : . : . : .:.|: |r:{: .|   \: \
.    /:, '    /:/! : .:.| .|/| :|: | ,|イ : . : . : ト:、{ :i:.:| : i: |: |/| : |     \: `. 、
    /:/     !:| | :i . :!:.∧.斗匕 圦 : . ト : | ヽ`{:十t}: } :|: !: i |        ヽ: . :i
.   /:/     |:!|:| . |.:|:{x示㍉xミヽ\:{ ヽ{xテヤ示xV!: :!,'.: .| |        ヽ:.|
  ,' :i      {! .|∧: :! 圦 {トイ_刈`    ´{トイ_刈 灯:.:| : . :| |         |.::|  「ふ、二人っきりで、して欲しい……・」
  | :|       |:i :ヾ|: :{ 乂こソ      乂こソ |: :!|. : . :l |          !: |
  | :|        |.| . : |:从 :xx //////xx  | :|ノ . : . |:.|        |.::|
  | :|       |l.|: . : |:.{ム "゙    '     ""゙  | :|: . : . : |: |      |:|
  |: |      i| i!: :. :.|: |:.:ヽ.      __       イ:.|: |. : . : . :|: |        |.|
  | :|      l|:.:| : . : | :|: .|: > .  ´ `   イ:.:..!.:|: | . : . : . |: |         |.::|
  |: |     l|: . !.: . :..|: :i:.:|: . : r‐|`  -‐ ´ |入.:.|:.| :|. : . : . : l: |         !: |
  | :|       l|: : |: : . : !_ l:_| _/ \    /   \j :!: . : . : . :|: |       |:|
  |: |     |: : ,:|. : . : |ヽ{ |     /`Yバ      ノ/|. : . : . : . l: :|        ! :|
  | :|    |:, イl: . : . .|   ヽr──ミ、__彡──y'  |. : . : . : :/ヽ:!     |:|
  |: |   /  /. : . : .j    {    { }     } |: . : . :./   \      ! :|



 なんでやねん。

942 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/31(金) 22:10:16.22 ID:advG+d2to


 曰く――

憧「ぁ、あたしさ。その………………敏感、で」

憧「人に触られるとダメなの。男とか関係なく」

憧「特に首筋とか、触られたらすっごくゾクゾクして」

憧「……声とか出ちゃうから……」

憧「だから、しず達に見られたり、聞かれたりするのは恥ずかしい……かも」

 ――ということらしく。

 渋る穏乃達に廊下に出てもらい、今に至る。

京太郎「……男の俺に聞かれる方が恥ずかしくないか?」

憧「う、うっさいっ。仕方ないでしょ、アンタにマッサージしてもらうんだから」

京太郎「くすぐったがりってことだろ? 無理して協力してくれなくてもいいぞ?」

憧「別に無理とか……してないけど」

京太郎「本当に?」

憧「本当よ。……しずも宥姉も玄も、すごく気持ちよさそうだったし……」ボソッ

京太郎「ん?」

憧「な、なんでもないっ!」

946 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/31(金) 22:32:02.12 ID:advG+d2to

京太郎「ま、お前がいいって言うならいいけどさ」

 マッサージ出来れば俺的にはオールオッケーだ。

 今日だけで五人……いや鷺森部長はノーカンで四人か。

 いい経験になっただろう。

京太郎「んじゃ早速始めるかー」

憧「えっ!?」ビクッ

京太郎「え?」

憧「も、もう始めるの?」

京太郎「ああ。監督が来る前に終わらせないと」

 しかし本当に遅いなレジェンド。

 まるで今の展開を見透かしているようだ(迫真)。

京太郎「それに穏乃達を待たせても悪いしな」

憧「それはそうだけど……」モニョ

京太郎「どうした?」

憧「………………ほら、ムード作りとか」

京太郎「お前は何を言っているんだ」

953 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/31(金) 23:00:43.80 ID:advG+d2to

憧「だ、だってここ学校だよ!? しかも部室!」

京太郎「うん、そうだね」

憧「シャワーも浴びてないし……」

京太郎「うん、そうだね」

憧「あっ、電気! 電気は消して! お願いだから!」

京太郎「日光で十分明るいんですがそれは」

 こいつは、本当に、何を、言っているのか。

 緊張しているのは分かる。

 まず俺は男だし、くすぐったいのが苦手なら身構えて当然だ。

 とは言え動揺しすぎじゃなかろうか。

 そんなことを考えながら椅子に座る憧の後ろに回る。

京太郎「とにかく力抜けよ。余計身体に悪いぞ」

憧「ぅ、わ、分かった」カチコチ

 分かってねぇ。

京太郎「ん」

 髪が肩に掛かっていた。

 邪魔なので背中の方へ落とす。

憧「ふきゃあ!? きゅきゅきゅ急に雰囲気出してこないでよ! バカなの!? 死ぬの!?///」

京太郎「お前今日変だぞ!?」

960 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/31(金) 23:20:23.49 ID:advG+d2to

憧「あ、アンタが人の髪にいきなり触るから!」

京太郎「えー。……でも、そういや髪に触られるの嫌がってたよな。それはスマン」ペッコリン

憧「え、ぁ、うん……そ、そうよ。乙女の髪に許可なく触らないでよね。ふんだ」プイッ

京太郎「悪い悪い。でも、憧の髪に初めて触ったけど、すげーいい手触りだな」

憧「ほ、ほんとに?」

京太郎「ああ。やっぱり手入れとか気を遣ってんのか?」

憧「当然! 毎日丁寧にケアしてるもん」

京太郎「なるほどなぁ……な、もっかい触っていいか?」

憧「ふきゅっ!?」

京太郎「優しくするからさ」

憧「っ……い……、……だ、だめ! 絶対だめ!///」ブンブン

京太郎「ダメかー」

憧「当たり前でしょっ。髪なんて、大切な人にしか触らせたくないものなんだから……」

京太郎「でも穏乃」

憧「あれは例外」

京太郎「ウィッス」

963 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/01/31(金) 23:56:32.65 ID:advG+d2to

憧「い、いいからマッサージ始めてよ!」

京太郎「いやお前が散々引き伸ばし……」

憧「い・い・か・ら!」

京太郎「……へーい」

 納得いかねー。

 ま、いいか。

 とにかくマッサージだマッサージ。

京太郎「そんじゃ肩な。リラックスしてー」

憧「ふ……ふきゅぅぅぅ……」ガチゴチ

京太郎「リラックスしろっつーに」

憧「でもぉ……」

京太郎「なんか楽しいこととか考えたらどうだ?」

憧「たのしいこと?」

京太郎「おお。そしたら気も紛れるんじゃないか?」

憧「………………」モンモン

 お、黙り込んだ。

 これなら平気かな。

 ちょん、と触れてみる。

憧「ふぁぁぁぁぁんっ!?///」ビビクンッ

京太郎「えええええええ!?」

972 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/02/01(土) 00:34:50.06 ID:hzs5OhuOo

憧「にゃ、なにすんのよぉ!?///」

京太郎「マッサージですけど!?」

 どんだけ神経ビンビンで生きてるんだ。

 普段だって大概だが、これは酷いぞ。

憧「うぅ、やっぱり声出ちゃったじゃない……///」カァー

京太郎「はあ……だったら手で口を押さえてろよ」

憧「あ、それいいかも」


 ……という遣り取りから三分後。

京太郎「……」モミモミ

憧「ふっ……くぅ……!」ピクッ

京太郎「……」モミモミ

憧「っは、ぁ……ん」プルプル

京太郎「……」モミモミ

憧「んっ……ぁ、はっ!」ビクンッ

 俺は俺の提案を心から悔やんでいた。

976 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/02/01(土) 01:10:05.83 ID:hzs5OhuOo

憧「ぅ、ぁ、ん……ふぅ……っ」

京太郎「……」モミモミ

 無心だ。

 無心になれ、須賀京太郎。

 例え美少女の艶っぽい声を次から次から次へと聞いて我慢の限界を迎えつつあっても、無心でいなくてはならない(戒め)。

 出来るか(憤慨)。

 出来なくてもやらなきゃ(使命感)。

 やれないことは出来ない(正論)。

 ヤりた(自主規制)。

京太郎「…………」

 ヤバいヤバい。

 なんだかんだ意識しちまってるぞ、俺。

 だけど憧とはあんなことがあったし、意識するなという方が酷だろう。

憧「んっ……ん、ぁ……ゃぁ……」

 涙目で、耳まで真っ赤にして、両手の下で声を押し殺す憧。

京太郎「………………」

 無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無sぐりっ。



憧「ぁんっ///」ゾクッ



京太郎「」





京太郎「」

979 名前:6月11日(火)[saga] 投稿日:2014/02/01(土) 01:13:30.38 ID:hzs5OhuOo










 このあと滅茶苦茶マッサージした。



 そのあと部内でのマッサージ禁止令が出された。










【TO BE CONTINUED...】
最終更新:2014年02月01日 12:18