920 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/02(月) 22:37:53.79 ID:V1ey86lvo
彼女は、間違いなく彼を好きだった。
愛している――そう表現しても過言ではなかった。
彼とは、桜の舞う季節に出会った。
親の都合で引っ越してきたという、新入生の少年だった。
最初は、同じ部活の先輩と後輩の関係から始まった。
「麻雀は下手だ。けれど大好きだ」、そんな姿勢に好感を持った。
次第に、関わり合いは学校生活全体に波及した。
昼食、勉強、登下校。気が付けば四六時中行動を共にしていた。
やがて、お互いを意識するようになった。
それは自然な流れのようにも思えたし、夢想のように突飛にも思えた。
ただ人を好きになるということの難しさを痛感した。
少年と少女。幼い感情同士の行き違いに傷つき、涙する日もあった。
それでも相応の障害を、相応の困難を乗り越えて、彼女は彼と恋仲になった。
彼は笑って、彼女は泣いた。
嬉しくても涙は出るのだと知った。
幸せだった。
彼女は、間違いなく彼を好きだった。
922 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/02(月) 22:52:53.02 ID:V1ey86lvo
◆
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_/ イ / l| |_,∧_{ :. ,-|-}-/、 , | { _ ___,-、 __
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{〃 r∧ |ィ斧ミ从 、Ⅵ , イ斧ミ、 } /l| l、r  ̄ { { | / _ }、
/ /{ 从{、 Vzリ \Ⅵ/ Vzり /イ } / | 乂_人_/、_/ / \
/ //从 l∧\ ,\ | /イ/ }==  ̄ ̄ ̄ ー く
/ イ' {/l∧ ∧ 、 ,イ/j' / \
 ̄ ̄ ー∧ _, 从 , \
ヽ 、 ` ¨  ̄ ィ }/ / / '
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{(从_| -- ´ 「/// | { 「恭子さーん!!」
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925 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/02(月) 23:15:27.68 ID:V1ey86lvo
恭子「京太郎くん……」
タッタッタッ...
京太郎「おはようございます!」キキーッ
恭子「ん、おはよ」
洋榎「おはようさんさんさんころり~♪ 今日も元気やなー京太郎」
京太郎「あっ、愛宕先輩の面白い顔の方だ! おはざーす!」ペッコリン
洋榎「おーう……って待てコラァ! なんやその呼び方!」
京太郎「え、でも100人いたら100人に通じると思いますよ?」
洋榎「通じひんわ!」
絹恵「まぁまぁおねーちゃん落ち着いて。京太郎くんも、あんま上級生をからかったらアカンで?」
京太郎「へへ、すみません絹恵さん」ペッコリン
洋榎「そんで絹は名前で呼ぶんかい! そしたらうちかて名前でええやん!」
京太郎「とんでもない! 愛宕先輩の面白い顔の方を名前で呼ぶなんて畏れ多い……」
洋榎「もっと他に畏れるところあるやろ!!」
926 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/02(月) 23:37:29.83 ID:V1ey86lvo
絹恵「もー、またそうやっておねーちゃんをいじめるー」
京太郎「いやぁ、つい」ヘヘヘ
洋榎「くぅぅ、一年坊主のくせに毎度生意気な奴やっちゃな……! おい恭子!」
恭子「……」
洋榎「恭子? 恭子ー?」
恭子「っえ、あ、なんです?」
洋榎「なんですやあらへんがな、京太郎や! アンタの彼氏がうちのこともてあそぶねん!」
京太郎「人聞き悪っ!?」
絹恵「割と事実やしなぁ」タハハ
洋榎「せやから彼女からビシッと言うたってーなー」
恭子「わ、分かりました。……京太郎くん、主将で遊んだらアカンやろ」メッ
洋榎「軽い!」ガーン
京太郎「ごめんなさい恭子さん、二度としません」ペッコリン
洋榎「こっちも軽い!!」ガビーン
927 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/03(火) 00:04:59.34 ID:Uhcmt83mo
恭子「京太郎くんは目上に対する礼儀がなってへんな」
京太郎「そうですか? 恭子さんにはこんなに真剣なのに」
恭子「いや主将や主将。私はまた話が別やろ」
京太郎「ああ、確かに別ですよね。恭子さんは俺の恋人ですもんね!」ニコッ
恭子「ちょ、大声で言わんといてーな! 人に聞かれたら……!」アワアワ
京太郎「恥ずかしがってる恭子さん可愛い!」
恭子「きょーうーたーろーうーくーんー」ツネリー
京太郎「いふぁいいふぁい。きょうこさん、いふぁいっふ」
. / /: :.,ィ: : : : : : : : : : : : : : : \i
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i 「`7 /!: : : :∠」_ ハ: i: : : : : : : : :i
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絹恵「……おねーちゃん、私らお邪魔みたいやし、行こ?」
洋榎「せやな……」
恭子「へっ?」
絹恵「お先ですー」ドヒューン
洋榎「ごゆっくり~……」ドヒューン
恭子「ちょ、絹ちゃん!? 主将ー!?」
929 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/03(火) 00:37:07.18 ID:Uhcmt83mo
ポツーン
京太郎「行っちゃいましたね」
恭子「せやね……」
京太郎「まあ、俺達も行きましょう。遅刻しちゃいますよ」
恭子「……ん」
テクテクテク...
京太郎「恭子さん恭子さん」
恭子「なに?」
京太郎「手、繋ぎませんか!」
恭子「へっ」
京太郎「主将達もいないし、チャンスだと思うんですけど」
恭子「あ、いや……えっと……」
京太郎「」キラキラー
恭子「っ……アカン。駄目や」
932 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/03(火) 01:00:01.93 ID:Uhcmt83mo
京太郎「え……駄目っすか」ショボーン
恭子「だ、だってほら、主将達がおらんくても人前やし、お互い体面もあるやろ?」
京太郎「体面って、恋人同士が手を繋ぐのにそんなこと考えます?」
恭子「……私にかて、色々あんねん……」
京太郎「色々、ですか」
恭子「……」コクリ
京太郎「……。分かりました!」
恭子「京太郎くん?」
京太郎「恭子さんが嫌がることならしません。我慢します」
恭子「あ、ぃ、嫌って訳や――」
京太郎「気にしないでください。俺の方こそ困らせてごめんなさい」ニコ
恭子「っ」ズキッ
京太郎「さ、行きましょう! 本当に遅刻しちゃいますよ」
恭子「……せやね。行こか」
テクテクテク...
936 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/03(火) 01:24:18.65 ID:Uhcmt83mo
◇
彼女は、間違いなく彼を好きだった。
愛している――そう表現しても過言ではなかった。
彼の笑顔を愛していた。
気持ちが塞いだ時はいつもあの笑顔に助けられた。
彼の掌を愛していた。
震える手を包んでくれたぬくもりが忘れられなかった。
彼の声を愛していた。
根拠のない自信に満ち溢れた言葉は勇気を与えてくれた。
けれど。
愛すれば愛するだけ。想えば想うだけ。
裏腹に膨らむ感情もあった。
それは彼女の内を満たし、今にも溢れ出そうとしていた。
愛されれば愛されるだけ。想われれば想われるだけ。
裏腹に膨らむ感情に、
彼女は――
972 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/03(火) 21:46:06.29 ID:Uhcmt83mo
……
…………
………………
◆
~公園~
京太郎「恭子さん!」
恭子「……京太郎くん」
京太郎「すいません、待たせちゃいました?」
恭子「んーん。私も今来たとこやから」
京太郎「良かった」
恭子「私こそ急に呼び出してごめんな」
京太郎「気にしないでくださいよ。夜でも恭子さんに会えるなんて嬉しいっす」ニコッ
恭子「そか。そう言ってくれたら助かるわ」
京太郎「んで話ってなんです?」
恭子「うん、あのな――」
973 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/03(火) 21:54:06.42 ID:Uhcmt83mo
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|:.{〈|: : : / ` `}/〉: : :′
. 八:Ⅵ: : :' -=≡ミ、 、 /: :.:/
/ :.l: |:.| 、、、 /:/:./
. / : : :.l: |:.| , =ミ、/:/:./ 「私ら……別れよか」
. /: : : : リリ込、 r‐ 、 、、 '/:/:./
| : : : :///::::::::..、 ー' /: : /
.. __| :_:_:/// ̄ ̄ヽ`r―‐===ァ彡: :./
/ 人:_:_彡' /∨∧: : : :/: : : :./
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∨ ∧ ___}_{\\彡く
\ }ノ / /∧ \~ \
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ト- | } \
| ノ { __ 〉
|´ Κ /
|∨ ∧∨/
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976 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/03(火) 22:22:25.90 ID:Uhcmt83mo
京太郎「――、」
京太郎「……え?」
恭子「……」
京太郎「恭子さん。今、なんて……」
恭子「聞こえへんかった? 別れる言うたんや」
京太郎「……どうして……」
恭子「理由、知りたい?」
京太郎「あ、当たり前じゃないですか! こんな急に……どうしてですか!?」
恭子「そやな……まあ、一言で言うなら私の都合やわ」
恭子「ほんまに自分勝手で、京太郎くんには悪いなって思う」
恭子「けど、もうどうにもならんことやから」
京太郎「だから、その理由を教えてくださいよ!」
恭子「……」
恭子「キミがな、眩しいねん」
京太郎「え……?」
981 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/03(火) 23:00:16.34 ID:Uhcmt83mo
恭子「……キミは私の自慢の恋人や」
恭子「優しくて、格好よくて」
恭子「女子力かて私よりあるし」
恭子「どこに出しても恥ずかしくない、自慢の……」
京太郎「だったら、どうして」
恭子「だからや」
京太郎「え?」
恭子「そんな京太郎くんに、私の方が釣り合ってへんねん」
京太郎「ッ!」
恭子「私なんかが隣におったら、キミに恥かかせてまうやん」
恭子「だから――」
京太郎「嘘です!」
恭子「――、なんやて?」
京太郎「嘘です……嘘ですよね?」
京太郎「本当は俺が悪いんでしょう? 恭子さんのこと、なんか怒らせたりして……」
京太郎「俺は恭子さんが大好きです。何があっても嫌いになんてなりません!」
京太郎「でも、恭子さんが俺のことを嫌いになったなら……その嫌いな部分を直します!」
京太郎「すぐには無理でも努力して、絶対に直します! また恭子さんに好きになってもらえるように!」
京太郎「だから――」
恭子「――だから、それが眩しいゆーてんねん!!」
985 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/03(火) 23:28:52.97 ID:Uhcmt83mo
京太郎「ッ……」
恭子「自分、今の状況分かってへんのか!?」
恭子「私の一方的なワガママでボロクソにフラれるとこやで!」
恭子「それやのに何が「大好きです」や! 何が「直します」や!」
恭子「……いい加減にしてーな……」
京太郎「恭子、さん」
恭子「しんどいねん……キミの期待が、それに応えられん自分が……」
恭子「私はキミに好かれるような人間やあらへん」
恭子「分不相応な運に恵まれただけの、しょーもない女や」
恭子「せやからもう、キミとは別れる」
恭子「キミみたいなええ男をフって、それを思い出にして」
恭子「もう、普通の恋愛させてーな……」
恭子「お願い……」
京太郎「……」
京太郎「……分かりました」
987 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/03(火) 23:56:22.82 ID:Uhcmt83mo
恭子「え……?」
京太郎「恭子さんの気持ち、分かりました」
恭子「京太郎くん」
京太郎「今日はもう帰りますね。また明日、学校で」タッ
恭子「ちょ、待――」
タッタッタッ...
恭子「――、あ……」
恭子「……」
恭子「終わったんか……これで」
恭子「なんや、えらいあっさりしとったな」
恭子「もっと、もう少し食い下がるかと思ってたのに」
恭子「……はは。なんや、向こうも腹ん中じゃ愛想尽かしとったんかいな」
恭子「私から切り出してくれて手間が省けたってとこか?」
恭子「なんや、そしたら私がアホみたいやんけ」
恭子「こんな、」
恭子「……」
恭子「……こんな……辛い思いして……」
恭子「アホみたいに……好きやったのに……」
恭子「……っ、く、ぅ……」
恭子「うぅうう、うあああぁぁああああっ」
恭子「京太郎くん」
恭子「京太郎、くん……!」
23 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/04(水) 00:44:49.45 ID:hQlVnVjMo
……
…………
………………
24 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/04(水) 00:45:34.78 ID:hQlVnVjMo
~通学路~
テクテクテク...
恭子「……」
恭子「(結局、三日も学校サボってもーた)」
恭子「(我ながら女々し……いや、女やねんけど)」
恭子「(その程度にはショックで……冗談言える程度には回復したっちゅーことかな)」
恭子「(けど、これから卒業まで何回学校で京太郎くんと顔合わすことになるんやろ)」
恭子「(登下校は時間をズラせば問題ないし、昼はクラスで食べればええ)」
恭子「(……部活に顔出さんわけにはいかんよなぁ。もう少し漫ちゃんの面倒もみたいし)」
恭子「(そうしたら必然、会うてまうよな)」
恭子「……メゲるわ」
恭子「はあ……」
テクテクテク...
タッタッタッ...
25 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/04(水) 00:56:55.00 ID:hQlVnVjMo
「恭子さーん!!」
恭子「は?」クルッ
/:::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::ヽ、
イ-‐──/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::、=‐-ゝ
/::::::::::::::::::::::::::/::::::::::/:::::::::::::::::::::::/:::::l:::::::::::::::ハ
/:::::::::::::/::::::::::/:::::::::イ:::::::イ:::::::::::::/∧::::::|::::::::i::::::::ハ ∧
/:::::::::::::/::::::::::/::::::≦ハ:::/ l:::::::::::イ::,' .ハ::::|:::::::::|::::lヽハ < .>
∧ /:::::::イ:::,:::::::::イ::::仁_/:::/、 l:::::::::/ |/x≦l:::|ヽ:::::|::::| ∨
< .> /::/ iY/:::::/ /::/ 仁不下、l:::::::/ イ/仁下不 i::::l::::|
∨ /イ .|:/:::/ /イ.ヽ乂ニノ_., |::::/ .乂ニム イ.|:::ト、:|
/イ、ヾ ',  ̄ |::/ l  ̄ んノ リ
|:::::::.>.、__ |/ |: ムイ
|/|:::::::从 ノ ∧:::| 「おはようございます、恭子さん!!」
|::/l::::l人 、ー──‐' イ ヾ
|/ .|ノ| \ ` ニニ'´ /、|
ノ \ イ
イ \__/ /
イ __ / ゝ、 ∧
イ Y´ `ヾ=‐-、 ` ‐- _ < .>
イ 、__ .人 ) ハ --‐' ‐- 、 ∨
`≧x イ‐-ヽ、
∧ ヽ /  ̄ ヽ=ー──-=-‐= ニニニヽ
< .> i -─‐-=ニ  ̄ ̄ ‐--、__Y
∨ 人 `ヽ、____Y
恭子「はぁ!!?」
37 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/04(水) 01:23:08.26 ID:hQlVnVjMo
京太郎「三日も学校休んでどうしたんですか、風邪っすか?」
恭子「き、き、き、キミこそどないしたん!?」
京太郎「?」キョトン
恭子「すっとぼけんなや! その頭や頭! 真っ黒やんけ!」
京太郎「あ、はい。染めました」
恭子「染めたぁ!?」
京太郎「はい。三日前、恭子さんと別れたその足でドラッグストアに寄ったんですよ」
恭子「は……!?」
京太郎「取り急ぎヘアカラーで染めましたけど、次は美容院かな~」
恭子「ちょ、ちょお待って!」
京太郎「はい?」
恭子「………………なんで染めたん?」
京太郎「恭子さんが眩しいって言ったから」
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ヾイ:::::::::::,イ::::/,z≠=x、ヽ、 ,リヘ:::l:l:::::::}
/ {:::::::::::,;':::,',,イ,イ丁ハ ヾ゙ ヾ、 i:;l::!:::::リ
i .|:::::::::::::::::i.l;{ {叮ィツ -‐ `ヾリ::::::i
ヘl:::::::::::::::::l ヾー' ≦ミx、 /:;'::::::,'
::i|:::::::::::::::::l ,イハリ !} /::,イ::::/
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::i|:::::::::::::l!::| ´ `" './::/:::/
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:::i::::::::::;イ:::|ヽ. !、 / ,.:'::::/
;イ::::::::/:i::::l ゙:::ヽ、 ` "´ ,,..::≦:::::;'
シ::::::ツ`ン:/ ゙/::::,`:<";´::::::::::::::/
;;:/,〆ツヽ、/、イ::::::/;'::::::::,:::::::::/
43 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/04(水) 01:46:54.84 ID:hQlVnVjMo
ガクゥッ
恭子「忘れとった……この子アホやった……!」
恭子「そのくせ行動力は無駄にあるし……」
恭子「ああ、私がハッキリ言わんかったばっかりに……!」
京太郎「というのは冗談で」ケロッ
恭子「って嘘かい!!」クワッ
京太郎「や、嘘じゃないです。冗談ってだけで」
京太郎「この頭は、いわば意思表明みたいなもんです」
恭子「意思表明?」
京太郎「はい」
京太郎「恭子さんの為なら、俺はなんだってしますよ……っていう」
恭子「――!」
49 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/04(水) 02:11:44.97 ID:hQlVnVjMo
京太郎「どうです、似合いますか?」ニコニコ
恭子「……なんでや」
京太郎「?」
恭子「なんでそないなことすんの!? 私ら、もう別れたやん!」
京太郎「別れてませんよ」
恭子「、は?」
京太郎「別れてません。俺、恭子さんと別れるつもりなんてありません」
恭子「な、何を……だって自分、あの日「分かりました」て……」
京太郎「けど「別れます」とは言ってません。恭子さんの気持ちが分かった、と言っただけです」
恭子「――」ポカーン
京太郎「ちょっと突き放されたくらいじゃ、大好きな恭子さんを諦めたりしませんよ」ニコッ
恭子「な……なんでや。なんで、私みたいなんを……キミにはもっと、もっと相応しい人が……」
京太郎「恭子さん以外に考えられません」
恭子「……!」
51 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/04(水) 02:48:09.05 ID:hQlVnVjMo
京太郎「恭子さん」
京太郎「俺はあなたを尊敬しています」
京太郎「誰よりも自分に厳しいあなたを」
京太郎「自分の弱さを認められるあなたを」
京太郎「弱さを言い訳にしないあなたを」
京太郎「尊敬しています。大好きです」
京太郎「俺なんかより本当に眩しいものを、あなたは知っている」
京太郎「それがどんなに辛くても、あなたは前を向いている」
京太郎「目を逸らさずに、ずっと」
京太郎「それは強さです」
京太郎「眩しいものに挑み続ける姿勢は、それは強さなんです」
京太郎「俺はそんな恭子さんの姿に励まされて来たんです」
京太郎「俺は――」
京太郎「俺はそんな恭子さんの、日陰になりたいんです」
京太郎「俺の傍でくらい、弱いままでいてもいいんだって、言える男になりたいんです」
京太郎「目を瞑っていてもいいんだって、言える男に、なりたい」
55 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/04(水) 03:04:08.99 ID:hQlVnVjMo
恭子「ぅ……っぁ……」
京太郎「俺はあなたに、完璧なんて求めてない」
恭子「っ……!」
ギュッ
京太郎「……恭子さん」ギュ
恭子「あ、ほぉ……クサすぎ、かっこつけすぎや、あほぉ……!」ギュー
京太郎「ごめんなさい。でも、伝えておきたかったから」
恭子「………………ちょっとヒいたで」
京太郎「えっ」
恭子「……私でええの?」
京太郎「恭子さん以外は考えられません。言いましたよね?」
恭子「この通り、むっちゃ面倒臭いけど……?」
京太郎「そこがイイんですよ。そうでなきゃ最初から付き合ったりしません」
恭子「物好きやなぁ……」
京太郎「恭子さんこそ」
恭子「かもな……ここまでブッ飛んだ彼氏やとは思ってへんかったわ」
京太郎「そんなにおかしいこと言いましたかね」
恭子「いや髪や髪。申し訳ないわ、あんな綺麗な金髪を……」
京太郎「まあまあ。これでも自分では気に入ってるんですよ? 主将や代行には爆笑されましたけど」
恭子「あー……」
京太郎「それに、他にもいいことはありますし」
恭子「?」
56 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2013/12/04(水) 03:09:23.45 ID:hQlVnVjMo
クイッ
恭子「っ」ドキッ
京太郎「これなら恭子さんの泣いてる顔も、キスする時の顔も独り占めだ。日陰の役得ですよ」スッ
恭子「ぁ……きょうたろ、く――」
洋榎「おー、そこの黒髪はニュー京太郎やん! こんな道端に突っ立ってなにして――」ヒョコッ
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. /.: : : : : : : : / 、_\--ー‐‐一 '.: : : : : : : : : : : : Λ
./: : : : : : : : : :/ ` ',: : : : : : : : : : /: :'.
: : : : : : : : : : -/‐‐'' ,. -‐‐-、 i: : : : : : : : : : : : :.}
> : : : : : : : : ′ イ′ -ミ \|: : : : : : : : : : : :.}
\: : : : : : : : { f } |: : : : : : : : : : : : :i
`ー 、: : : :i / -ミ | | |: : : : : : : : : : : : |
}: : : |/ f } 乂__ノ ノ |: : : : : : : : : : : : |
| : :: i{ | | |: : : : : : : : : : : : |
| : : 八 乂__ノ , |: : : : : : : : : : : :人
|: : : :.‘, | /: : : : : : : : : : : Λ
. |: : : : : :. //: : : : : : :/ /: : : : : ,
. |: : : : :Λ r つ //!: : : : : : /:/: : : : : : :.;,
. |: : : : : : : . //|: : : : :/:/: : : : : : : : :}
|: :|i: : : : : : :=-. // .|: : : :/:/: : : : : : : : : 八
|: 八: : : : : : : : : : =-. . .. イ {{- 十: : :.{:.{: : : : : : : : ::/
|/ \: : : : : : : : : : : : :ノ_-=' ̄¨|八.,八: : : :\: : : : : : : :/
|i \: : : : : : : : :厂7/ | \ \: : : : \: : : : /
. / /: :.,ィ: : : : : : : : : : : : : : : \i
/ / / i: : : : : : : : : :i: : : : : : : :.\
__i / /: : : : : : : ;ィ: :}: : : : : : : : : : :.
i 「`7 /!: : : :∠」_ ハ: i: : : : : : : : :i
=-x /// : :/ ! 「 卞}: : : : : : : : :}
::::i. / / ==ェx、_ i/i: : : : : : : :/
:C !::::::::::「ヾ' i: : : : :..:/
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∨::::ソ i,厶イ\
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}: :.! )::)
/\ ノ|: .:| //
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_/ ヘ .i \. !:/
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【THE END】
最終更新:2013年12月04日 13:24