勉強会(死球)

761 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/17(木) 00:41:33.94 ID:vi4Lpd/1o

 部屋の掃除をしていた。

 と言っても、そもそも俺の部屋にはあまり物がない。

 金銭的にも時間的にも余裕がないからな。

 漫画やゲームといった娯楽品は長野から厳選して持ってきた少数のみ。

 お茶やコーヒーといった嗜好品を集める趣味はなく、専用の道具もなし。

 せいぜいカップ麺や弁当の容器を片付けて掃除機を掛ければ十分だろう。

 ……忘れちゃいけないのが、ノートPCにパスワードを設定しておくことだ。

 その上で押入れの奥に仕舞い込んでおく。万が一、億が一もないように。

京太郎「ふぃー……」

 ここまで念入りに掃除をしたのには訳がある。

 その『訳』が、もうすぐやって来る。

ピーンポーン♪

京太郎「お」

 噂をすれば。

 玄関へ。

ガチャッ



穏乃「おっじゃましまーす!」

憧「お、お邪魔します……」



京太郎「おう、いらっしゃい」

763 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/17(木) 00:58:33.69 ID:vi4Lpd/1o

 Q:どうしてこうなった?

………………
…………
……

レジェンド「今日から部室も使用禁止ですっ☆」キャルルーン

憧「うわ可愛くなっ」

穏乃「じゃあどこで勉強すればいいんですか?」

玄「私とおねーちゃんは図書室で」

憧「この時期すっごく混んでるんじゃない?」

宥「座れれば少し窮屈でも……あったかいし」ポワ

灼「私はハルちゃんちで」

京太郎「おい」

レジェンド「須賀くん達も誰かの家でやったら?」

穏乃「でも私の家だと漫画とかあるからなぁ……」

憧「あたしんちも麻雀関連の誘惑が多いわ……」

レジェンド「じゃあ須賀くんちでいいじゃん」

灼「(いいじゃん)」

穏乃「それだぁ!」

憧「ふきゅっ!?」

京太郎「そんなー」

……
…………
………………

 A:こうしてこうなった

767 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/17(木) 01:24:29.55 ID:vi4Lpd/1o

 そんなこんなで、今日は我が家で勉強会である。

穏乃「お~、京太郎の部屋だーっ!」

京太郎「どんだけテンション上がってるんだお前は」

憧「道中からこの調子なのよ……すれ違う人達の視線が辛かったわ。全員知り合いだったけど」

 物珍しそうにキョロキョロとする穏乃。

 対照的に憧は冷静だ。

 まあ、三回目だしな。

 それでも緊張というか警戒というか、そわそわした様子は見られるが。

京太郎「飲み物用意するから先に座ってろよ。ウーロン茶でいいか?」

穏乃「いいよーありがとー」

憧「ありがと」

 同意を得てから冷蔵庫を開ける。

 ペットボトルのお茶で来客をもてなすのもどうかと思うが、高校生だし。

 そうして人数分のコップを用意していると、

穏乃「あっすごい! 奥にも部屋がある!」

憧「コラしず、そっちは寝室だから入っちゃダメよ」

穏乃「え、なんで知ってるの?」

憧「ふきゅ」

 憧が華麗に地雷を踏み抜いた。

770 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/17(木) 01:45:19.89 ID:vi4Lpd/1o

憧「あ、あの、えと、それは、ね、その、えー、」シドロモドロ

 さあ憧、どう切り抜ける……?

憧「あわわあわわ」アワワアワワ

 あ、ダメだわ! もうあわわあわわってなってるわ!

 こうなったら自爆誘爆大爆発が関の山だわ!

穏乃「ねーなんで? もしかして前に来たことあるの?」

憧「ふ、ふきゅぅぅぅ……」グルグル

京太郎「ヘイお茶お待ち!」

 俺でインターセプト!

 二人の間に割って入り、素早くコップを配る。

 ついでに憧にアイコンタクト、「少し黙ってろ」。

穏乃「ありがとー。ねえ京太郎、憧って前にも来たことある?」

京太郎「え、ないぜ? どうしてそう思ったんだ?」

穏乃「だって、襖の向こうが寝室だって知ってたから」

京太郎「あー、そりゃあれだ。別に知らなくても分かることだからな」

穏乃「知らなくても……って、どゆこと?」ハテナ

771 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/17(木) 02:08:57.32 ID:vi4Lpd/1o

京太郎「よく見てみろよ、こっちの部屋にベッドはあるか?」

穏乃「……ないね」キョロキョロ

京太郎「よく考えてみろよ、俺が毎日布団を押入れに片付けるタイプに見えるか?」

穏乃「見えないね!」キッパリ

京太郎「……。つまりそういうことだよ」

穏乃「そっか、だったら隣の部屋にベッドが置いてあるか布団が敷きっぱなしになってるんだ!」

京太郎「Exactly(そのとおりでございます)。ちなみにベッドな。で、憧は今の推理を一瞬でやったんだろう。流石だな」

穏乃「流石だねっ! 憧すごい!」キラキラー

憧「…………………………ま、まあね!」

 やれやれだぜ。

 目を輝かせる穏乃と、潤ませる憧。

 どうにか丸く収まったって感じだな。

 しかし憧はここぞという時にうっかりしてるな……

 玄さんとレジェンドには及ばないが、ナンバースリーは盤石だ。

772 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/17(木) 02:25:56.72 ID:vi4Lpd/1o

憧「京太郎」コソッ

京太郎「あん?」

 と、憧が小声で話しかけてきた。

 穏乃に気付かれない程度に体を傾ける。

憧「あ、ありがとね。助かった」

京太郎「気に済んなよ。つか、それよりまず口を滑らせないようにしとけ」

憧「ふぐ……し、仕方ないでしょっ。咄嗟のことだったんだから」

穏乃「あっ! 二人で内緒話してる!」

 あっさり気付かれた。

憧「や、やーねーしず。内緒話なんてしてないわよ?」

穏乃「えー」

京太郎「ほら、そんなことより勉強しようぜ。あんまり遅くならない内に帰らないとだしな」

穏乃「むー」シブシブ

 なんとか誤魔化せた。

 ノートや筆箱を取り出して準備を始める。

776 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/17(木) 02:50:32.12 ID:vi4Lpd/1o

憧「さ、今日もビシバシやってくからねー」スチャッ

京太郎「あれ? 憧お前……」

憧「お前って言うな。何よ?」

京太郎「いや、お前も眼鏡掛けてたっけ。宥さんの真似?」

憧「真似じゃない! これは伊達よ、気分で掛けてみたの」

京太郎「気分ねぇ」

 洒落っ気のない宥さんの眼鏡に対し、憧は鮮やかな赤のアンダーリム。

 それを、どこかばつが悪そうにクイと弄って、

憧「……似合わない?」

 可愛い。

京太郎「いや、よく似合ってると思うぞ? なあ穏乃」

穏乃「うんうん、オシャレとかよく分かんないけど、なんか学校の先生みたいでカッコイイよ!」

憧「そ、そう? 実は結構意識してたりして……」テレテレ

 ほほぅ。

 注意深く見れば、確かにそこはかとない女教師ルックだ。

 わざわざYシャツにタイを締め、上からベストを着ている。

 一方で下が普通のミニスカなのは、そこが憧の拘りなのだろうか。

 ちなみに穏乃はジャージである。知ってた。

780 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/17(木) 03:12:18.65 ID:vi4Lpd/1o

京太郎「ふんふんふむふむ」ジロジロ

憧「ちょ、京太郎見すぎ!」カァァ

京太郎「え、見て欲しくてオシャレしてんじゃねーの?」

憧「自分を飾るのが好きでオシャレしてる人だって多いわよ。あたしがそっち側だし」

京太郎「ふーん」

 そんなもんか……なんか寂しいな。

 憧とか、男嫌いがなければ相当モテるだろうにな。

 現にクラスの男子連中からは崇拝レベルで人気だし。

 本人に伝えたら不登校になりそうだけど。

 さておき、

京太郎「そんじゃ張り切って始め――」

♪ネンガラネンジュータビシテーハーホントノジブンヲサガスノーサー

京太郎「あ、悪ぃ電話だ。先やっててくれ」

憧「はいはい」

穏乃「早く戻ってきてねー」フリフリ

 見送られ、一旦外へ。

 着信画面も確かめずケータイを耳に当てる。

京太郎「はい、もしもし?」



望『もしもーし、独身美人巫女でーす♪』



京太郎「もしもし、綺麗なお姉さん大好きですッ!!」

825 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/18(金) 00:36:17.04 ID:qN5hZ8oXo

望『あはは、須賀京太郎くんのケータイで間違いないみたいね』

京太郎「そういう貴女は新子望さん」

 憧のお姉さんで、レジェンドの同級生。

 麻雀部のOGなので、俺の大先輩でもある訳だが。

京太郎「なにか御用ですか?」

望『うん、憧いる?』

京太郎「憧? いますけど」

望『やっぱりかー』

京太郎「え、知ってて電話したんじゃないんすか?」

望『知らないよ? 「友達の家に勉強しに行く」とは聞いてたけど』

京太郎「それでどうして俺に電話を……? 普通は女友達だと思うんじゃ?」

望『思わないんだなー、これが』

京太郎「なにゆえ」

望『憧がテスト勉強の面倒を見る相手なんて穏乃ちゃんぐらいで、だったら「友達」なんてボカす必要はないからね』

京太郎「なるほど」

827 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/18(金) 01:15:27.80 ID:qN5hZ8oXo

望『それに勉強会にしてはやたら張り切って服選んでたし、ピーンと来ちゃうよね~♪』

京太郎「来ちゃいますか」

 すっげー楽しそうな声。

 電話の向こうの笑顔が目に浮かぶようだ。

 レジェンドといい、この世代は憧の天敵なのか。

望『ん、一応それだけ確認しておきたかったんだ。ありがとね』

京太郎「いえいえ」

望『あ、そうだ。前に話した晩ご飯の件だけど、そろそろ日取りが決まりそうだから今度また連絡するわね』

京太郎「りょーかいでっす」

望『それと、私が電話したって憧には内緒にしといてくれる? バレたら怒られちゃう』

京太郎「りょーかいでっす」

望『よしっ、じゃあ勉強頑張ってね。くれぐれも勉強会(意味深)にならないように♪』

京太郎「肝に命じておきます!!」ビシッ

828 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/18(金) 01:18:45.42 ID:qN5hZ8oXo

 電話口で敬礼をして、望さんとの通話を終える。

京太郎「……ふう……」

 レジェンド相手とはまた違う方向に疲れた……

 なんとなく緊張というか、萎縮というか、してしまうのだ。

 お茶目で良い人なんだけどな。

京太郎「さて」

 部屋に戻ろう。

ガチャッ

 ドアを開けると、二人の視線がこちらへ向いた。

穏乃「あ、京太郎おかー」

京太郎「おう、ただいま」

憧「電話長かったわね。誰からだったの?」

京太郎「え? えーっと」

 内緒、だったな。

京太郎「お袋」

憧「……アンタ母親相手に「綺麗なお姉さん大好き」とか言うの……?」

京太郎「聞かれてた!? ヤダーッ!」

憧「聞こえたのよ」

穏乃「聞こえたよね」

 聞こえてた。

829 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/18(金) 01:40:34.79 ID:qN5hZ8oXo

……
…………
………………

穏乃「おなかすいた!!」クワッ

 迫真の表情で穏乃が叫んだ。

 勉強、真っ最中である。

憧「静かにしなさい」

穏乃「おなかすいたーッ!!」ガタッ

憧「座りなさい」

 それを女教師と化した憧が情け無用に切って捨てる。

 穏乃は最後の力を使い果たしたようにへたり込んでしまった。

穏乃「うぅ、おなかすいたぁ……京太郎、ごはん……」ウルウル

京太郎「ごはんって言われてもなぁ」

 なんかあったっけ……

 あ。

 あった。

京太郎「ちょっと待ってろ」スクッ

 立ち上がり、キッチンスペースへ。

 穏乃の縋るような視線を背に感じながら、ものの1分で用意を完了させる。

 で、

京太郎「ヘイ冷奴お待ち!」サッ

憧「なんでっ!?」

831 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/18(金) 01:56:26.67 ID:qN5hZ8oXo

穏乃「いっただっきまーす!」

憧「しかも食べるの!?」

 差し出されたものが食料だと認めるや否や、猛烈な勢いで口に放り込んでいく穏乃。

 豆腐に限って喉に引っ掛かるなんてことはないだろうが、がっつくのはみっともないぞ。

穏乃「んぐっ!? ぐ、むっ!?」ジタバタ

京太郎「引っ掛かってる!!」ガビーン

憧「逆に器用だわ!!」ガビーン

 とかツッコんでる場合じゃねえ。

 慌てて手近にあった俺のコップを穏乃の口元に押し付ける。

 併せて背中も擦りつつ――ブラ、してないんだね……

 閑話休題。

 目を回しながら必死に冷奴を飲み下そうとする穏乃。

 こくこくと小さく鳴る喉や、口の端から垂れたウーロン茶が、なんか、うん。

 目には涙まで浮かべているから、うん。

 なんか。

834 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/18(金) 02:21:28.12 ID:qN5hZ8oXo

穏乃「っはあ! 死ぬかと思った!」ゼーゼー

 あ、救助成功。

 何度か咳き込んで、どうにか呼吸を整えている穏乃。

憧「もう! しずってば心配させないでよね!」

穏乃「ご、ごめんごめん」

京太郎「割とヒヤヒヤしたぞ。これで死なれたら俺が犯人じゃん。豆腐が凶器じゃん。救われねーよ」

穏乃「反省してます……」

 しょんぼり項垂れている。

 可哀想でもあるが、今回ばかりは庇い立て出来ない。

 豆腐の角で頭ぶつけて死ぬのだって難しいのに、内側から殺されかかるだなんてブレイブ過ぎるわ。

憧「てか、そもそもなんで冷奴なんて出てきたのよ?」

京太郎「他に食材がなかったからですが」

憧「偏りすぎでしょ!? どんな食生活送ってるのよ!?」

838 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/18(金) 02:46:15.89 ID:qN5hZ8oXo

京太郎「どんなって、普通だよ普通」

憧「いや、明らかに普通じゃないでしょ……」

京太郎「一人暮らし歴一ヶ月の男子高校生にはこれが普通なんです」

穏乃「そっか、自炊なんだよね」

京太郎「うむ。読んで字の如く米を炊くのが精一杯だけどな。あとは惣菜とか」

憧「料理出来ないの?」

京太郎「してる暇がない、ってのが正確かな。宿題とか麻雀の勉強とか、そっちを優先しちまうし」

穏乃「じゃあ料理しようと思えば出来るんだ?」

京太郎「まあ、少しぐらいは」

穏乃「へー! すごいね、私なんて全然出来ないよ」

京太郎「全然ってどうなんだよ」

憧「やろうとすらしないでしょ、しずは」

穏乃「うぇひひ」

憧「笑って誤魔化さない!」ビシッ

840 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/18(金) 03:11:48.83 ID:qN5hZ8oXo

穏乃「でも憧だって同じじゃん?」

憧「は、はあ? 同じじゃないわよ、一緒にしないで」アセアセ

穏乃「あれ、憧って料理出来たっけ?」

憧「……当然でしょ、女子ですから」

京太郎「へー。麻雀も勉強も出来て料理もとか、いよいよ完璧超人だな」

憧「…………ま、まあね」

京太郎「いつか手料理食べさせてくれよ!」

憧「………………イツカネ」

京太郎「急に棒読みになった?」

憧「ナッテナイ」

 ナッテナイノカ。

 と、

♪ガンバッチャッタガンバッタワレワレ

京太郎「お、メールだ」

♪マジカルマージャンワンダーラーンド

憧「あたしも」

841 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/18(金) 03:39:32.09 ID:qN5hZ8oXo

京太郎「誰からかな……って監督?」

憧「え、あたしもハルエから」

穏乃「なんで私には来ないの!?」

京太郎「そりゃあ……」

 監督から俺と憧にだけ同時にメールを送る理由なんてひとつだろう。

憧「……」

 憧も察したらしい。

 浮かない表情というか、たった今どん底まで沈んだというか。

京太郎「……」

 そして俺は、穏乃が覗き込む中でメールを開いた。



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From:レジェンド
Sub:次の指令

突然だけどハルちゃんからのお知らせだよ!
今週の日曜に次の指令を実施します。
詳しい内容はまだ秘密にしておくけど、
当日は各自手作り弁当を持参すること!
忘れないように今の内に伝えておくね。
美味しいお弁当期待してるゾ☆ミ

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憧「」

843 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/18(金) 04:02:43.21 ID:qN5hZ8oXo

京太郎「手作り弁当……?」

 何をさせようってんだレジェンド。

 嫌な予感しかしない。

 しかし、今はそれ以上に、

京太郎「……憧ー?」

憧「……」

 こっちが気掛かりだ。

 さっきから固まっている。

京太郎「どうした、大丈夫か?」

憧「…………」

京太郎「まあ、中間テストも始まってないのに指令の話を聞かされて憂鬱なのは分かるけどさ」

憧「………………」

京太郎「でも良かったじゃんか、料理は得意なんだろ?」

憧「……………………」

京太郎「早速チャンスが来たんだから、俺にも一口くらい食べさせてくれよな」

憧「…………………………」

京太郎「憧?」

憧「ふ、きゅ、う、ぅ、う゛、う、ぅ、ぅ゛、う」グギギ...

京太郎「怖っ!?」ビクゥ

878 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/19(土) 00:41:24.40 ID:ViWKY4S7o

……
…………
………………

 一時間ぐらい、経っただろうか。

 室内には絶えずペンを走らせる音が。

 それと時々、穏乃が憧に質問する声。

 窓からはそよ風が吹き込み、木々のざわめきや小鳥のさえずりも聞こえる。

 うららかな5月の陽射し。

 緩慢な時の流れ。

 こんな穏やかな気持ちで勉強が手につくだろうか。

 否。断じて否。

 つく筈がない。

 ただでさえ部活漬けの毎日が続いていたのだから尚更だ。

 次第に手の動きは遅く、両の瞼は重く。

 音も声も、景色さえも。

 すべてが遠のいて――

879 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/19(土) 01:10:20.98 ID:ViWKY4S7o


憧「――で、ここがこうなるわけ」

穏乃「なるほどー!」

憧「後は自分で解けるわね?」

穏乃「うん、サンキュー憧!」

 どーいたしまして、と返して一息。

 勉強嫌いに勉強させるのも楽じゃないなぁ。

 けど、根気強く教えて問題を解けるようにしてあげるのって、何気に楽しい。

 ちょっとしたコスプレ気分だったのに、案外性にあってるのかも?

 意識したことなかったけど、小学校の先生とか向いてたりして……

憧「あ」

 そんなこと考えてる場合じゃなかった。

 しずの他にもう一人、この部屋には問題児がいたんだった。

 ていうか、この部屋の主だけど。

憧「京太郎、そっちは順調?」

 呼び掛けながら振り向くと、

京太郎「……ぐう……」zzZ

880 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/19(土) 01:33:22.19 ID:ViWKY4S7o

憧「なっ――!」

 なにしてんのよこのやろう。

 もとい、なんで何もしてないのよこの馬鹿は。

 やけに静かだと思ったら、まさか寝てるなんて。

穏乃「ん? あ、京太郎寝てる」

 しずも気付いたことだし、ますます放っておけない。

 叩き起こそ。

穏乃「って憧!? その振り上げた握り拳をどうする気!?」

憧「どうって、そりゃ振り下ろすわよ」

穏乃「京太郎に?」

憧「京太郎に」

穏乃「やめたげてよぉ!」

憧「なんでよ! テスト勉強中に居眠りする方が悪いのよ!」

穏乃「それにしても起こし方ってもんがさぁ……なんで憧は京太郎にだけ乱暴なの?」

憧「え、なんでって訊かれても……」

 京太郎だから、としか答えられない。

 だけど、そう答えるのもなんか癪なので、曖昧に首を傾げた。

882 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/19(土) 02:20:17.89 ID:ViWKY4S7o

穏乃「見てよこの顔、こんなに気持ち良さそうに寝てるんだよ?」

憧「……そうね、腹立つくらい気持ち良さそうに寝てるわね」

 ノートの上にヨダレまで垂らして。

 その時、窓から吹き込んだ風が京太郎の前髪を揺らした。

 自称自毛の金髪が柔らかくそよぐ。

 ……な、なんか無駄に爽やかね。

憧「……」ジッ

 改めて、見てみる。

 京太郎の寝顔。

京太郎「ぐごー」zzZ

 黙っていて、且つヨダレさえ垂らしていなければ……うん、まあ、悪くない、わよね。ね?

 それにしずが言った通り、すごく気持ち良さそうな寝顔。

 ――以前の、お見舞いの時とはまるで違っていて。

 油断しきったその寝顔を見たら、少しだけ安心してしまった。

 と、

穏乃「んー……」スッ

憧「ちょっ!?」

 しずがおもむろに京太郎の首筋に顔を近付け、

穏乃「」クンカクンカ

憧「ちょおおおおおっ!!?」

887 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/19(土) 03:13:58.47 ID:ViWKY4S7o

穏乃「おお、これこれ」クンカクンカ

憧「って何してんのしず!? 「これこれ」って何よ!?」

 突然の出来事に慌てふためく。

 だって意味分かんないし。

 今、全然そういうタイミングじゃなかったし。

穏乃「いやぁ、前に嗅いだ匂いがなーんか忘れられなくって」

 悪びれもせずに言う。

憧「だからってそんな……そんなに気に入ったの?」

穏乃「んー、なんかね。クセになるというかなんというか……」クンカクンカ

 テーブルを挟んだ向こうで、尚もしずは京太郎の匂いを嗅いでいる。

 その光景は、まるで居眠りする彼氏にイタズラでキスマークをつけようとしてる彼女みたいに見えちゃったりして――ふきゅ。

憧「こほんっ。しず……アンタもしかして、匂いフェチ?」

穏乃「ぅ? においふぇちって何?」

憧「そういう、アンタがしてるみたいに特定の匂いに夢中になることよ」

穏乃「ふーん、じゃあ憧も匂いフェチなんだ」

憧「は? あたしは違うわよ」

穏乃「え? 違うの?」

憧「当たり前でしょ」

 そんなオカモチありえない。

913 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/19(土) 13:38:29.02 ID:ViWKY4S7o

穏乃「えー。私てっきり憧は京太郎の匂いが好きなんだと思ってた」

憧「ないない。なんであたしが」

 よりにもよって男の、しかも京太郎の匂いなんて。

 好きな匂いってことならアロマとか、それこそ女の子の方が断然いい匂いだし。

 ちょっと汗臭くて時々むせ返っちゃうような京太郎の匂いなんて、好きな訳がない。ない。

憧「ホラしず、いつまで嗅いでんのよ。そろそろ離れろ」グイッ

穏乃「に゛ゃー」

 間に入って、首根っこを掴んでひっぺがす。

 すると、自動的にあたしが京太郎の隣に来てしまった。

憧「……」ジィー

 より一層、見てみる。

 京太郎のうなじ。

 短髪だから、この姿勢だとハッキリ露出しちゃうんだ。

 さっきのしずと同じ距離まで近付く。

 で、

 すんっ。

918 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/19(土) 14:22:35.70 ID:ViWKY4S7o

 鼻呼吸。

 嗅いだ訳じゃない。

 人が生きていく上で必要な行為だから。

 ついでに、しずの言う「クセになる」匂いとやらを確かめるけど。

 断じてフェチじゃない。

憧「ん……」スンスン

 一度ではよく分からなかったから、もう何度か繰り返す。

 やっぱり、まず汗の匂いが目立って感じられた。

 ブレザーは脱いでるけど、まだ制服のシャツを着てるし、多分そのせい。

 それに今日はよく晴れたから。

 はじめて嗅いだ時より、濃い。

 Tシャツの時より、熱い。

 二人羽織の時より、深い。

憧「ふ、ぅ……」スンスン

 なんだろ。

 他の何にも例えられないこの匂いの正体は。

 変な感じがするけど、別に嫌って訳じゃなくて……

 男の人みんなが同じ匂いじゃ、ないよね。

 だからこれは、京太郎の匂い、なのかな。

憧「、ぁ……っ」ムズッ





穏乃「じー……」<○><○>

憧「ふきゅうっ!?」ビクンッ

922 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/19(土) 15:01:54.56 ID:ViWKY4S7o

穏乃「やっぱり憧も匂いフェチじゃん!」

憧「ちっ、違うわよ! ぜんっぜん違う!」

穏乃「でも今すっごく嗅いで」

憧「ないから! よしんば嗅いでたとしても、すっごく嗅いではない!」

 そこだけは譲れない! 何故か!

穏乃「別に隠さなくてもいーのに……そんなに恥ずかしい?」

憧「隠してない! けど、普通はもっと恥じらうものなのよっ」

 自分がSとかMとか気軽に公言しちゃう現代社会だけど、要は性癖だし。

 年頃の女子が言い触らす事柄じゃないわよね。

穏乃「ふーん……京太郎もそう思う?」

憧「え?」

京太郎「そうさなぁ」ムクリ

憧「え!?」

924 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/19(土) 15:28:20.80 ID:ViWKY4S7o

京太郎「まあ、何事においても恥じらいは大事だな。あんまりオープン過ぎると萎える」ウム

穏乃「苗……? よく分かんないけど、私は隠し事とか苦手だなー」

京太郎「隠し事とはまた違うんだが……穏乃にはちょっと難しかったか?」ナデナデ

穏乃「むっ、子供扱いするなー!」

京太郎「じゃあ撫でるの止めるか」

穏乃「……それはもっとやって!」

\HAHAHA/

憧「」

京太郎「ん? どうした憧?」

憧「……起きてたの?」

京太郎「おう」

憧「…………いつから?」

京太郎「耳元で穏乃が「に゛ゃー」って鳴いてた時からかな」

憧「………………」プルプル

京太郎「憧?」

憧「京太郎の馬鹿ぁ!!」スパァンッ!

京太郎「何故っ!?」ブベラッ

925 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/19(土) 15:50:59.07 ID:ViWKY4S7o

……
…………
………………


 居眠りの件を陳謝し、気を取り直して真面目に勉強中である。

京太郎「」モクモク

 憧の的確な指導のお陰で、難攻不落と思われた問題集にもどうにか喰らいつけている。

 この調子なら最悪でも赤点は免れるだろう。

 そうすれば……

「デート」

憧「ふっきゅ」

京太郎「!?」

 やべえ、心の声が漏れた!?

穏乃「――するんだっけ、憧と京太郎」

 違ったっぽい。

 声に出したのは穏乃だ。

926 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/19(土) 16:20:37.68 ID:ViWKY4S7o

憧「ま、まだ決まりじゃないわよ!」

穏乃「でも、テストの結果が良かったらするんでしょ?」

憧「約束した覚えはないけどね……!」グギギ

 お前気絶してたもんな。

憧「そもそもデートって何よデートってそんなのあたしにはレベル高すぎでしょハルエのバカバカバカあーでもデートっていう行為自体に対してはそこはかとなく興味はあるんだけどでも相手が京太郎だし京太郎なのよね京太郎だから京太郎とデートってデートってデートって……」ブツブツ

 怖っ。

穏乃「えっと、デートって仲の良い友達同士で遊ぶことだよね?」

京太郎「大体合ってる」

穏乃「いいなー、私も二人とデートしたい!」

 俺の知ってるデートと違う。

 でも、

京太郎「そうだなぁ……機会があったらこの三人でも遊びたいよな。部員みんなでとかも」

穏乃「いいねっ!」

京太郎「その為にもまずはテストを突破しなきゃな!」

穏乃「だね! がんばろー!」

「「おーっ!!」」

943 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/20(日) 00:34:38.94 ID:QJMpZANyo

……
…………
………………

 勉強会は日没を前にお開きとなった。

 玄関先で、別れ際の立ち話に興じる。

京太郎「二人共、今日はありがとな。お陰で捗った」

憧「どーいたしまして」

穏乃「私こそありがと! 二人と一緒じゃなかったらかーなーりヤバかったよー」

憧「ほんとにね。でも、この調子で明日も頑張れば赤点は取らずに済むと思うわよ」

穏乃「うぇ、やっぱり明日も勉強……?」

憧「当然」

 キッパリ言い放つ憧に、ガックリ肩を落とす穏乃。

京太郎「なあ憧、俺は? 平均点くらい取れるかな?」

憧「京太郎は………………ひとつくらい赤点があってもいいんじゃない? 人間だもの」

京太郎「良くねーだろ! ってかそれお前の願望だろ!!」

945 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/20(日) 00:56:25.94 ID:QJMpZANyo

憧「だって……」グズリグズリ

 恒例のグズりモードに入ってしまった。

 こうなる理由は、まあひとつっきゃないわな。

京太郎「なあ、俺から監督に言おうか? デートの件」

憧「ふきゅ……な、なにが?」

 「デート」という単語を耳にしただけど変な声を漏らす憧。

京太郎「辞退するってことだよ。赤点回避しても、デートはしない」

憧「……いいの?」

京太郎「お前が嫌がってるんじゃ、礼でもなんでもないからな」

 本当は死ぬほど勿体無いけど仕方ない。

 仕方ない。仕方ない。

 デートしたい。

京太郎「ぐ……ぎ……」ウゴゴゴ

憧「……」

946 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/20(日) 01:24:12.63 ID:QJMpZANyo

 デート、嗚呼デート。

 なんて甘美な響き。

 一度でいいから経験してみたい。

 きっと咲と出掛けるのとは比べ物にならないくらい楽しいんだろうなぁ。

 アイツに付き合って図書館で昼寝するのも嫌いじゃないが、ベクトルが違う。

 キャッキャウフフの有無は大事だ。

 いやまあ、憧と出掛けてキャッキャウフフがあるかどうかっていうと、どうだろうって感じだけども。

憧「……いいよ」ボソ

京太郎「ひょ?」

 今なんて言った?

 落としていた視線を憧に戻す。

 その顔が赤いのは、夕焼けのせい……だろうか。

憧「だから、デートしてもいいって言ったの!」

京太郎「マジで!!?」

952 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/20(日) 01:49:39.79 ID:QJMpZANyo

憧「マジよ、大マジ。……何度も言わせないで……///」カァァァ

 あ、これは照れてる。

 夕焼けよりもずっと赤い。

京太郎「え、でも、なんで? 俺とデートなんて嫌じゃないのか? 嫌じゃないの?」

憧「そりゃ嫌よ」ズバァッ

京太郎「ぐえぇ」

憧「……でも、これもチャンスだと思うし」

 息を吐くように俺のガラスのハートを粉砕デストロイしつつ、憧は続ける。

憧「全部ハルエの思う壺ってのだけ気に入らないけど、こういうところから少しずつ男嫌いを克服出来たら……って、思うし」

京太郎「憧……」

憧「だから!」

 ずい、と。

 憧が一歩前に出る。

憧「テスト、頑張りなさいよね。頑張っていい点取って、」

 その瞳は、まっすぐ俺を見つめて――



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          , 'ニ/. : .:,'. : . : . : . :i . : . : . : |. : . : . : . :、. :! : ._{_}ミ ヽ
         // /. : . :i: .,' . : . ,':/! . : . : . : |. : . : . : . :.:i .|: イ:|  \: \
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.    /:, '    /:/! : .:.| .|/| :|: | ,|イ : . : . : ト:、{ :i:.:| : i: |: |/| : |     \: `. 、
    /:/     !:| | :i . :!:.∧.斗匕 圦 : . ト : | ヽ`{:十t}: } :|: !: i |        ヽ: . :i
.   /:/     |:!|:| . |.:|:{x示㍉xミヽ\:{ ヽ{xテヤ示xV!: :!,'.: .| |        ヽ:.|   「デート……しよ……?」
  ,' :i      {! .|∧: :! 圦 {トイ_刈`    ´{トイ_刈 灯:.:| : . :| |         |.::|
  | :|       |:i :ヾ|: :{ 乂こソ      乂こソ |: :!|. : . :l |          !: |
  | :|        |.| . : |:从 :xx //////xx  | :|ノ . : . |:.|        |.::|
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  | :|    |:, イl: . : . .|   ヽr──ミ、__彡──y'  |. : . : . : :/ヽ:!     |:|
  |: |   /  /. : . : .j    {    { }     } |: . : . :./   \      ! :|



京太郎「――!」



          /   /     |   | |   | |  :       l :l   |  |   :|   | |
       / /    |    |__ | |   | |  |  :   l :l:  /|  |   :|   | |
.      ///     |    |\ |‐\八 |  |  |    |__,l /-|‐ :リ   リ  | |
     /  /   - 、     :|   x===ミx|‐-|  |:`ー /x===ミノ//  /  :∧{
       /   |  :.八   _/ {::{:::刈`|  |  l:  /´{::{:::刈\,_|  イ  /ー―‐ ..__     「おうっ!!」
.      / / :|  ::|/ \{^ヽ 乂辷ツ八 |\| /' 乂辷ソ ノ^l/ } :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `「⌒:.
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954 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/20(日) 01:57:57.06 ID:QJMpZANyo

             ┏━┓
   ⌒C、          ┏┛
      > ──- 、    ・
   _/    、  \
 / / l /斗l-| ハ 卜l ヽ
/  { |ノノレノ レ ∨Vリノ}
| / fヘレl(;;;;;)  (;;;;)レ|}   「……話終わった?」
| l|  ゞl |.иーT^ナ и) |
| l|   | {>==二==く.| !
V1  .ト、≧ヽ\L!‐|ヽレ'
  ゞ  |_| |   く\ | |
  \/| |   |\.] |
   .\しj = |. =|ν

【TO BE CONTINUED...】

956 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/20(日) 02:11:58.24 ID:QJMpZANyo

【おまけ】

京太郎「ぃよーっし! 急に闘志が湧いて来たぜ!!」ムンッ

憧「ぁ、で、でも、どれだけ頑張っても結果が出ないことだってあるわよね? ね?」

京太郎「うぉい!? 早速やる気を削ぐようなこと言うなよ!」

憧「だって……」

京太郎「残念だがな憧。『赤点を回避する』、『日曜に弁当も作る』――両方やる覚悟は出来ているッ!」ドッギャァーン

憧「」ピクッ

京太郎「しかし弁当なんて初めて作るからなぁ……今の内から中身を考えとかねーと」ウム

穏乃「私も手伝うよ! ただし味見に限る!」エッヘン

京太郎「オイコラ」

憧「………………」

959 名前:5月14日(火)[saga] 投稿日:2013/10/20(日) 02:23:25.04 ID:QJMpZANyo

~新子家~

望「憧遅いわねー」ザクザク

望「まさか京太郎くんちにお泊りする訳じゃないでしょうに」ジュージュー

望「もし無断で夕飯に遅れたりしたら、お父さんに京太郎くんのことバラしちゃおっかな~」グツグツ

<タダイマー!

望「お、帰ってきたかな?」

ドタドタドタドタ...ガラッ!!





憧「お姉ちゃん! 今すぐあたしに料理を教えてええええええええええ!!」





望「(なんかすっごい面白いことになってる予感……!)」ゾクゾクビー

もいっこ【TO BE CONTINUED...】



【須賀京太郎のステータスが更新されました!】
 称号:麻雀部一の問題児♂(new!)
 憧への印象:...→大変申し訳ありませんでした
  →テスト頑張るな。全力で!(new!)

【新子憧のステータスが更新されました!】
 称号:麻雀部一の優等生♀(new!)
 京太郎への印象:...→クソゲス
  →テスト頑張って。ほどほどに(new!)
最終更新:2013年12月05日 23:08