二人羽織

114 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/03(木) 23:43:38.75 ID:1J+ALIwYo

京太郎「好きなロボットアニメはガンソードとビーストウォーズとグレンラガンですって言ったらロボットアニメファンに怒られますかね?」

灼「アバラの五、六本は折られても文句言えな……」

京太郎「やっぱり」

憧「なんの話よ……」

灼「こっちの話」

京太郎「俺は大好きなんだけどなぁ、特にガンソ。憧も機会があったら観てみろよ」

憧「考えとくわね(観るとは言っていない)」

京太郎「で、ちょっと話は変わるんだけど――車って怖くね?」

憧「車……?」

宥「どうして?」

京太郎「まず大きい! 軽自動車でも自分の何倍も大きい! 座席単位で数えても大体四倍!」

京太郎「そんな大きいものを誰もが完璧に乗りこなせるのか!? 左後ろなんて自分から離れすぎじゃないのか!?」

穏乃「うーん……?」

玄「分かるような、分からないような……」

京太郎「車に限らず、自分の意思が100%反映されない以上どうしても不安っつーかなんつーか……」ウゴゴゴ

憧「いつにも増して要領を得ないわね……」

ガラッ

レジェンド「部活の時間だオラァ!!」

灼「きた! メインハルちゃんきた!」

憧「ほら京太郎、おしゃべりはおしまい」ペシペシ

京太郎「マジックハンドなら……マジックハンドなら……」ウゴゴゴ

 今日も部活が始まる。

115 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/03(木) 23:46:33.98 ID:1J+ALIwYo

……
…………
………………

 で、

             __________
            /   ___      / |
          /   /     `l    /   |
         /    ヽ.____/  ./     |
       /             ./     |
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       i              |      |
       |               |      |
       |   お題BOX改    |      |
       |               |      /
       |               |     /
       |               |.  /
       |               |/
        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

レジェンド「指令の時間だオラァ!!」

 だオラァ。

憧「も、もう!? なんか間隔短くない!?」

京太郎「確かに……」

 ただでさえ前回の指令は二週間ぶりだった。

 その上で今回は日曜から土曜の六日しか経っていない。

 実際以上に短く感じるのも当然というものだ。

レジェンド「だって来週はテスト期間で部活禁止でしょ? だから明日は集中して練習したいし、今日の内に終わらせとかないと」

京太郎「せ、正論だ……監督のくせに」

憧「正論だわ……ハルエのくせに」

レジェンド「体罰が問題視される時代で良かったな?」ニゴニゴ

116 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/03(木) 23:48:43.93 ID:1J+ALIwYo

レジェンド「オラッさっさと引きな! どうせグズるんだからこの子はまったく!」

憧「ぐ、グズらないわよ! ちゃんとやるって言ったでしょ!?」

レジェンド「とか言って前回だって……」

憧「う゛っ……うるさいそこ! いいから引かせなさいよ!」バッ

 そう言ってレジェンドからお題BOX改をひったくる憧。

 「もっと大切に扱ってほし……」という製作者の呟きが聞こえた。

憧「……」ゴソゴソ

 緊張の一瞬。

 そして、

憧「……これっ!」スポッ

レジェンド「はい、じゃあ大きな声で読んでみよう! せーの――」

.             xァ′ /       |                ヽ {__j__
           '   /   ′       / |     |      .         :, `丶 \
      /  / /    i |    i  | |     |     i |  i     :,    \ \
      /  /         | |  ‐-L_ | |     | j |i  | |  |         \ \
   .         |    |:八  人j ト八      i |斗匕|「 | |  |   l: .,        ヽ
      /     |    |  Ⅳj]xぅ妝斥 \    i/≫ぅ妝ミxV|  |   |: .′       ,
.      ′     八  :{  |  |坏´_)「:::ハ   \ ∨  _)「:::ハⅥ  |   |: .        ′
  ;           \乂_|  |八 rヘしi::::}     \   rヘしi::::} オ |  . .|: . i           ;  「二人羽織!」
  |   i        l .⌒|  |   乂__/ソ          乂__/ソ |  |  . .|: . |       i   |
  |   |          | . . .|  |    ,,,      ,      ,,,   |  |  . .|: . |       |   |
  |   |         /:| . . .|  |\i                 |  |  . .|: . |       |   |
  |   |          | . . .|  |:::八     r'ア ̄`ヽ       /::|  |  . .|: . |       |   |
  |   |       i | . . :|  {::::::个:...   ∨     ノ    イ:::::}  |  . .|: . |       |   |
  |   |       | | . .八  V斗ri:i:i:〕ト       ィ:〔:i:i:iTV  八   .|: . |       |   |
  |   |       | | . . . :\ Vi:i:i:i:i:i:i:|. : j>--<. : .{: |:i:i:i:iV //   廴_|       |   |
  |   |     r七i| . . . . : |\i:i:i:i:i:i:i:|: . : . : . : . : . : . :|:i:i:i:/i:i/    // /i:\       |   |
  |   |     ∧ Ⅵ. . . . . :|:i:i:\i:i:i:i:|─-. : . : . : .-─|:/i:i:i:/    // /:i:i:i:i∧    |   |










憧「いやあああああ離してえええええ!」ジタバタ

穏乃「もー暴れんなってばー!」グイグイ

玄「ファイトだよ憧ちゃん!」グイグイ

京太郎「まるで成長していない……」

118 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/03(木) 23:54:43.79 ID:1J+ALIwYo

灼「結果出るまで勝負はわからな……」

憧「分かる! 分かります! 二人羽織なんて絶対ロクなことにならないから!」ジタバタ

京太郎「俺もそんな気はする」

レジェンド「でも憧と密着出来るよ?」

京太郎「さあ、張り切って始めようぜ憧!」キリッ

憧「もうやだぁ……この部にあたしの味方はいないの……?」

 と、悲嘆に暮れる憧に、

宥「憧ちゃん」

憧「宥姉?」

宥「」ニコッ

 静かに歩み寄った宥さんが、優しく微笑み掛ける。

憧「ゆ、宥姉ぇ……!」ウルウル



宥「どてらあるよ」サッ



憧「なんで!?」

120 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/04(金) 00:08:33.55 ID:FlP184Zpo

宥「京太郎くんのブレザーの代わりに……」

京太郎「オレェ?」

宥「うん、昨日貸してもらったのがあったかかったから……」プルプル

玄「おねーちゃん、だからって外で着ようとするのは止めようね?」

宥「うぅぅ……」><

 なにやってんだ宥さん。

 今まで膝掛けに使っていたどてらを手放して寒そうにしてるし。

レジェンド「これで準備は万端って訳か……あーこー?」

憧「」ギクッ

レジェンド「ねぇ~いいでしょ~二人羽織やろうよぉ~」クネクネ

京太郎「監督そのキャラ少しキツいっす」

レジェンド「はい」シャキッ

 この人はボケないと死ぬ人なんだろうか。

122 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/04(金) 00:15:52.47 ID:FlP184Zpo

 さて置き、視線を憧へ。

憧「二人羽織………………うぅ」グズリグズリ

灼「だめぽ……」

レジェンド「ダメかー」

京太郎「駄目っすね。どうします?」

 また視線をレジェンドへ、意見を仰ぐ。

レジェンド「しょうがない、久しぶりに例の手で行こうか」

京太郎「例の手?」

レジェンド「うん。しーずー?」

穏乃「はーい!」シュタッ

 呼ばれた穏乃が勢い良く立ち上がった。

 ということは、

京太郎「ああ、例の手……」

憧「え、まさか!?」

 憧も気付いたらしい。

 俺達の反応を見て、レジェンドが笑う。

レジェンド「そうよ、そのまさかよ――しず先生のお手本タイムです!」

123 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/04(金) 00:27:02.51 ID:FlP184Zpo

憧「ちょっ、卑怯よハルエ!?」

レジェンド「卑怯もラッキョウも大好物だぜェ~」グヘヘ

京太郎「うわぁゲスい」

 ゲスいが、これぐらいしないと憧は動かないからな。

レジェンド「しず、どう? やってくれる?」

穏乃「楽しそうだしいいですよ!」

 穏乃も二つ返事だし。

憧「そ、そんなあっさり……」

レジェンド「よく言った! 流石は私の一番弟子だね!」

穏乃「おおっ、いつの間にか一番弟子になってた私!」

灼「!!?」ガッタァァァァァァァァァァンンン

玄「あ、灼ちゃん落ち着いて!」

宥「穏乃ちゃん、はいどてら」スポッ

 玄さんが鷺森部長を必死に押し留めるている横で、宥さんが穏乃にどてらを着せていた。

穏乃「ありがとうございます! 京太郎もよろしくね!」フリフリ

 サイズが大きかったのか、余った袖を胸の前で揺らしながら穏乃が笑う。

 ……可愛い。

126 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/04(金) 00:54:25.85 ID:FlP184Zpo

穏乃「京太郎?」キョトン

京太郎「あ、ぉ、おう。どてら着たってことは穏乃が後ろか?」

穏乃「だねっ。それじゃいくよー、えいっ!」

ピトッ

京太郎「……」

穏乃「……」

 うん。

 後ろから抱き付かれただけだこれ。

穏乃「あれ……なんか思ってたのと違う……」

京太郎「ああ……コレジャナイな……」

 俺と穏乃の身長差は四捨五入して40cmある。

 憧達にはさぞかし間抜けなに映っていることだろう。

127 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/04(金) 01:21:17.19 ID:FlP184Zpo

穏乃「おっかしいなぁ……えいっ、えいっ」ムギュムギュ

京太郎「……!」

 躍起になって俺の背中に体を押し付けてくる穏乃。

 するとどうだろう。

 背中に微かな、僅かな、仄かな感触が……

穏乃「ん、っしょ……よいしょ……」ムギュムギュ

京太郎「……」

 本人は必死で正しい二人羽織の姿勢を模索中である。

 しかし俺は、穏乃もやっぱり女の子なんだなぁという感想を抱かずにはいられなかった。

 小さいけれど、小さいけれど、そこに確かにある柔らかさ。

 良い心地だ、感動的だな。

 さながら思春期の娘を持つ父の心境だ。

京太郎「って穏乃、やっぱ駄目だ。お前が後ろだと物理的に無理」

穏乃「くやしいー!」ムギュー

憧「やる前から気付きなさいよ……」

128 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/04(金) 01:42:17.54 ID:FlP184Zpo

京太郎「俺は薄々勘付いてたぜ?」フフン

憧「いばんな! まあ、とにかくしずは京太郎から離れ」

玄「じゃあ穏乃ちゃんが前になったらどうかなぁ?」

「「ナイスアイディア!」」ビシッ

玄「えへへー」

憧「」

 沈黙した憧を尻目に盛り上がる俺達。

 穏乃がスポーンとどてらを脱ぎ去る。

穏乃「はい京太郎!」スッ

京太郎「よしきた。これを頭から被って……」スポッ

 気分はジャミラだ。故郷は地球だ。

 そして俺に背中を向けた穏乃に近付き、どてらの内側に包み込むように――

ガバッ

京太郎「……」

穏乃「……」

 うん。

 後ろから抱き付いただけだこれ。

129 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/04(金) 02:03:53.25 ID:FlP184Zpo

京太郎「よっと」ギュ

穏乃「わっ?」

 腕を回すと、穏乃の体がすっかりすっぽり収まってしまった。

 ううむ小さい。

憧「あ、あすなろ抱き……ナマとか初めて見た……///」カァー

玄「……いいなぁ」ポソッ

宥「あったかそう……」ポワワーン

 密着する俺達に三者三様の視線が向けられる。

 が、

穏乃「んー……? 京太郎、これも違くない?」

京太郎「だな……なんだろうな……」

 まだ二人羽織ではない。

 何が足りないのだろうか。

レジェンド「そらアレよ」

憧「ハルエ?」

 と、レジェンドが口を開いた。

 彼女は事も無げに俺達の違和感の元を指摘する。

レジェンド「座ってないから」

「「それだーっ!」」

132 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/04(金) 02:25:20.58 ID:FlP184Zpo

憧「ハルエー! また余計なことを……!」

レジェンド「てへぺろー☆」(ゝω・)v

憧「ぜんっぜん可愛くないし!」

京太郎「よっしゃ座ろうぜ穏乃!」ドタドタ

穏乃「うんっ! 椅子は向こうだよ京太郎!」バタバタ

憧「ってああぁ……」

 何か言いたげに手を伸ばす憧だったが、その意図までは読めなかった。

 だって俺達は二人羽織に夢中だったから。

 試行錯誤の末に正解に辿り着く。その快感たるや筆舌に尽くし難い。

 ムカデ競争の要領で椅子を目指す。

京太郎「よし座るぞ!」

穏乃「おっけー!」

ポスン

 着席、満を持して。

 が、

京太郎「ん……?」

穏乃「あれ……?」

 うん。

 膝に穏乃を乗せてるだけだこれ。

136 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/04(金) 02:56:15.14 ID:FlP184Zpo

 おかしい。

 二人羽織ってこういうのじゃなかったか。

 こういう、一人がもう一人の後ろから手を出してなんやかんやするの。

 なんやかんやの部分が思い出せなくて歯がゆい。

京太郎「穏乃、今の状況をどう思う?」

穏乃「うーん……やっぱりイメージと違う」

京太郎「だよなー」

 俺が椅子に座って。

 その上に穏乃が座って。

 ここでなんやかんやの出番なんだと思う。

 だから、それが分からない以上、今の二人羽織は未完成なのだ。

 穏乃も足をぷらぷらぱたぱた、俺をただの椅子としか見ていないようだった。

143 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/04(金) 15:06:58.20 ID:FlP184Zpo

穏乃「でも、これいいかも」

京太郎「コレェ?」

穏乃「うん。こうやってるとなんか落ち着くー」ギュッ

憧「ちょっ!?」

 そう言って、俺の腕を取って前に回す穏乃。

 座っているので、さっき以上に完全包囲だ。

穏乃「ね?」

京太郎「ねって言われても……いや、でも確かに……」

 申し訳程度の重みと子供体温が良い塩梅だ。

 髪からはシャンプーの健康的な香りもするし。

京太郎「ふむ」トスッ

穏乃「わひゃっ!?」ビビクン

 と、

 何の気なしにつむじに顎を置いた途端、穏乃の肩が跳ねた。

150 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/04(金) 15:33:31.23 ID:FlP184Zpo

京太郎「おおう?」

 意外な反応だ。

 覗き込むと、これまた珍しく穏乃が顔を赤くしていた。

穏乃「きょ、きょうたろ、それっ、くすぐった……」プルプル

京太郎「なんと」

 そういえば、GW合宿でもそんなことを言っていたような。

 風呂場で、壁越しだったから俺が知ってると知られたらマズいけど。

 ので、

京太郎「そう言われると余計に苛めたくなるのってなんだろうねこれ」グリグリ

穏乃「うひゃあああああっ」ゾワゾワー

 顎ドリル。

 悶える穏乃。

 しかし俺の腕が妨げになって逃げられない。

 自業自得である。いや自縄自縛か?

156 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/04(金) 16:02:22.38 ID:FlP184Zpo

京太郎「ほれほれ~身長が伸びなくなるツボ~」グリグリ

穏乃「うぇっ!? それはほんとにやだ、やっ、あはははははっ!」ジタバタ

 安心しろ、迷信だ。

 頃合いを見計らって顎を離す。

 女の子に過度なくすぐりは厳禁だと、いつだったか咲にマジ説教されたこともあったし。

穏乃「はぁ……はぁ……」

 息も絶え絶えの穏乃。

 身体が熱くなってるのが分かる。

穏乃「ん、ぐ……っはぁー……もう! 酷いじゃん京太郎!」プンスコ

京太郎「悪い悪い。つい楽しくなった」ナデナデ

 ご機嫌取りに頭を撫でてやる。

穏乃「むぅ……本当に苦しかったんだからね! がぶっ!」ガブリンチョ

京太郎「いてぇ!?」 メッチャムーチョ

 もう片方の腕を噛みやがったぞこの野生児。

 が、痛みを感じたのは最初の一瞬だけで、後は力を込めずにガジガジするだけだった。

 サドマゾ的な意味でなく意外と気持ち良いので放置。撫で続ける。

 しばしナデナデとガジガジの応酬が続いたが、

京太郎「……?」

 やがてガジガジの方が音信不通になった。

京太郎「穏乃ー?」

 不思議に思い呼び掛けても返事がない。

 また覗き込むと、

穏乃「すぅ……すぅ……」zzZ

 お前すぐ寝るよね。

165 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/04(金) 16:41:50.13 ID:FlP184Zpo

京太郎「監督ー穏乃がー」

レジェンド「あー終わった? 待ってたよー」

 待ってたんかい。

 途中から完全に二人羽織じゃなくなってたし、止めてくれても良かっただろうに。

京太郎「これどうしましょ」

 これ(穏乃)。

レジェンド「んー、とりあえず後ろの机で寝かしとこっか」

京太郎「りょーかいでっす」

 穏乃を抱えて立ち上がる。軽い軽い。

 そのまま部屋の隅に寄せられた長机の上に横たえる。

 どてらの布団に鞄の枕と、なんともお粗末だが我慢してくれよな。

 部室にベッドなんてある訳ないんだから。

穏乃「むにゃ……きょーたろー……」zzZ

京太郎「はいはい」サラサラ

 額にかかる前髪をどけてやって、俺はレジェンド達のところへ戻る。

207 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/07(月) 01:55:23.19 ID:GMEIKSl+o

京太郎「どうもお待たせしました」

玄「お、お疲れ様ー……///」

宥「穏乃ちゃん、あったかそう……」

灼「お熱……」

京太郎「?」

 なにやら不可解なリアクションで迎えられる。

 レジェンドは例によって黙ってニヤつくだけだし、憧は――

憧「京太郎っ♪」ニッコリ

 笑って。

ツネッ

京太郎「い゛っ!?」

憧「……な・に・を・してんのよアンタは!? しずは特に不用心なんだからアンタが注意してなくちゃダメでしょ!?」ツネリー

京太郎「い゛だだだだだだ!! す、すんませんっした姐さん! 以後気を付けます、押忍っ!」

憧「誰が姐さんよ!」ギチギチギチギチ...

京太郎「ら、らめえええええ!! 腕のお肉千切れちゃうううううっ!!」

208 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/07(月) 02:20:44.56 ID:GMEIKSl+o

 俺の悲鳴を堪能した頃、パッと手が離される。

 見事に赤くなっとる……アコレイツォマジ容赦せん。

レジェンド「そんじゃ本番始めようか?」

京太郎「あ、でも監督、どてら穏乃に着せちゃったんですけど?」

 また取り上げるのも気が引ける。

レジェンド「ふむ……じゃあキミのブレザーで代用したら?」

憧「ふきゅっ!?」ビクッ

京太郎「オレェ?」

 そう言われてみると、出来なくはないのか。

 穏乃を筆頭として我が阿知賀学院麻雀部はかなりの低身長軍団だし。

 一番背の高い宥さんで俺とは20cm程度の差がある。

 憧とは四捨五入で30cm差、ブレザーでも覆い被さるには不足なしといったところか。

京太郎「じゃあそうしますか。な、憧?」

憧「ヘアッ!?」

 ヒトデマンかな?

211 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/07(月) 02:53:12.21 ID:GMEIKSl+o

京太郎「どうしたよ、俺の話ちゃんと聞いてたか?」

憧「き、聞いてるわよちゃんと。ぶ、ぶれ、ブレザー……被るんでしょ?」

京太郎「そうそう。で、前と後ろどっちにする?」

憧「……………………………………………………うしろ」

京太郎「オッケー。んじゃあ」ヌギッ

憧「ッ!」ピクッ

宥「っ!」ピクッ

 ブレザーを脱ぐ。

 目の前の憧と、何故か宥さんも反応していた。

京太郎「ほれ」バサッ

憧「ふわ!?」

 そのまま憧の頭から被せる。

 手渡しだと被るまでに時間かかりそうだし。

 が、

憧「っ……」ギシッ

 結局固まってしまった。

 あっれー。

213 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/07(月) 03:31:52.06 ID:GMEIKSl+o

京太郎「憧? おーい、憧ー?」フリフリ

憧「」ハッ

 ブレザーの隙間から覗く(何故か)真っ赤な顔の近くで手を振って見せる。

憧「な、なによっ!」アセアセ

京太郎「いやなによじゃねーよ。早く始めようぜ」

憧「わ、分かってるわよ……うん」

 どこか自分自身に言い聞かせるようにして、憧が動く。

 ゆっくりと俺の背に回り、これまたゆっくりと近寄って――

憧「ん……」ピトッ

 くっつく。

 いつぞやの指令を思い出させるような臆病さで。

 申し訳程度にシャツを摘んで。

 ……二人羽織じゃあねえなあ。

216 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/07(月) 06:15:58.68 ID:GMEIKSl+o

 と、言おうとしたが、

憧「」スンスン

京太郎「……」

 沈黙。

 ちょっと耳を澄ましてみる。

憧「すんっ……うっわ……これ、すんっ……前からも後ろからも、すんすん……すん。やば……すんすんすん……」モゴモゴ

京太郎「………………」

 声、くぐもってて怖い。

 思わず怯んでいると、

憧「しかもあったかいし……すん……なんか、段々……」フラッ

ポスッ

 背中に重み。

 そして、

憧「………………ぐぅ……」zzZ

京太郎「 お い 」

憧「ハッ!? 寝てません、寝てませんってばぁ!!」ヒェェ

 なんで敬語?

254 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/08(火) 01:26:08.44 ID:4gU6W/jSo

京太郎「なんでお前ら人にくっついて寝るの? 俺のこと安眠枕か何かと勘違いしてるの? なあ?」

憧「そ、そんなんじゃないわよっ! これは……あの……えっと………………そんなんじゃないわよ!!」モゴモゴ

京太郎「とりあえずブレザーから出てこいや」

 言うと、おずおず? しぶしぶ? ブレザーを取り去る憧。

 ……えらく顔が赤い。暑かったのかな。

憧「と、とにかくこれはダメ! かなりダメ! 後ろはダメ!///」

京太郎「選んだのお前じゃん……」

憧「お前呼ばわりもダメ!」ビシッ

 やれやれだ。わがままなお姫様だぜ。

京太郎「じゃあ交代な。ブレザー返して」

憧「………………」

京太郎「返せよ!?」

憧「か、返すわよっ!///」バサー

 投げ付けられた。

 なにこれもー。

255 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/08(火) 01:49:57.83 ID:4gU6W/jSo

京太郎「……ま、そんじゃ覚悟決めろよ。少しなら待ってやるからさ」

憧「う、うん……」

 素直に頷き目を瞑り、(控えめな)胸の前に手を置いて深呼吸する憧。

 何度か繰り返して、ちらりと俺を見て、そしてくるりと背を向けた。

憧「い、いつでもどうぞっ///」

京太郎「んじゃ遠慮無く」ガバッ

憧「ひゃああああああああああああああああああああっっっ!!?」

 夜道で露出狂に遭遇したような声を上げられた。

 幸いにも咄嗟の反応で殴られたり蹴られたりはしなかったが。

 つか、これ硬直してるだけだな。

憧「ぅあ、ぁ、これ、近っ……///」

京太郎「大丈夫か?」ボソッ

憧「んひっ!? み、耳くすぐったいからぁ!///」

京太郎「そんなこと言われましても」

 この体勢と距離だとどうしても息がかかる。

 耐えねばならんのだよ。

259 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/08(火) 06:03:27.83 ID:4gU6W/jSo

憧「ぅぅぅぅぅ……///」プルプル

京太郎「監督ー。ここからどうしたらいいんでしょうか?」

レジェンド「ん? どうって?」

京太郎「いや、さっきも結局イマイチ違いましたし、どうするのが正解なのか俺にはさっぱりで」

レジェンド「ああそういう。簡単だよ、その体勢でなんやかんやすればいーの」

京太郎「いやなんやかんやまでは分かってるんですよ! そのなんやかんやが何かを知りたいんです!」

 思わず声を荒げる。

 と、レジェンドは神妙な顔をした。

レジェンド「……なんやかんやは……」

京太郎「」ゴクリ

憧「」ゴクリ

玄「」ゴクリ

宥「」ゴクリ

灼「」ゴクリ

ウォーズマン「」ゴクリ

穏乃「」スヤァ

 そして――





                 --……--
         r―‐⌒ヾ : : : : : : : : : : : : : : : \
         |∨: : : : : \ : : : : : : : : : : : : : : : \
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         /: : : \:.:.:.:. : : : :\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : 。
          //: :/ : : \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.o。:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :i: ゚
.         /イ /: :.:.:.イ:.:. ー┬---:.:.:.:__:.`:.:.o。:.:.:.:.:.|.:..。
       i{ | ′:.:.'{_|_:.:.:.:| リV:.:.:.:.:.:.:}:.>匕、: :\j--i    「なんやかんやです!!!」カッッッッッ
        || |/: :.:.:∧}リ≫┘o。v――'’xr示=ミト、:.:.\}、
        リ {: :.:.:.:.|!:‘, ィ芹≧ュ    ’|イi//| 》、:。:.:.:.ぃ、
           |:.:.:.:.:.「`ヽ《乂_゚ツ        ゞ= '゚ :リ/リ゚。:.:.ト、i
           |:.:.:.:.小   , ,    '    , ,  : /:.:.:.∧:.} リ
           l.:.:.:.:.:| }ゝ-!            jハ:.:.:.:j/}:.|
          :。.:.:.:{ {:j:八    -==ァ     イ }/ j:ノ
            ゚:。.リ  \{≧ュ。.    ィ:jソ  ″ /
           ゞ    イニ}  ` ´  {ニヽ
              ィニ//      ゝ|ニ\_
        ┬==≦ニ/ニ7____    __,.|ニニムニニニニニlヽ
       /ニ|ニニニ/ニニニ|`-―――‐一´|ニニニムニニニニ|ニム
.      /ニニ:|ニ7ニニニニニ|          |ニニニニ}ニニニ=|ニム





京太郎「!?」

憧「!?」

玄「!?」

宥「!?」

灼「!?」

ウォーズマン「!?」

穏乃「」スヤァ

286 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/09(水) 00:20:09.85 ID:KXvewgqao

レジェンド「ま、要は『二人一組の不自由な状態で何かをする』のが二人羽織だからね。何をすれば正解って訳じゃないんだよ」ケロッ

京太郎「最初からそう言ってくださいよ……」

 穏乃としたことが丸々無駄骨じゃないか。

 憧だってこんなに耳やうなじを真っ赤にすることもなかっただろうに。

 俺には眼福だけど。

レジェンド「ゴメンゴメン。じゃー何しようか? おでんとかうどんとか食べてみる?」

憧「そんなもの部室にないでしょ!」

京太郎「つか、熱々の食べ物を女の子の顔に押し付けるのは流石に」

 押し付けられるのも嫌だけど、うん、流石に。

レジェンド「須賀くんは紳士だねぇ……ねえ憧?」

憧「あたしに振るの!? べ、別にこれくらい紳士でもなんでもないわよ!」

京太郎「むしろ嬉々としてやろうとする方がどうかと思います」

レジェンド「えー、灼とは盛り上がるんだけどなぁ」

灼「は、ハルちゃんっ! それは内緒って///」アセアセ

 なにやってんだあんたら。

 ていうか鷺森部長、そこで恥じらうんですか。

287 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/09(水) 00:42:01.13 ID:KXvewgqao

レジェンド「そんじゃ麻雀でもやろうかー」

憧「……ねえ、ここって麻雀部よね?」

京太郎「ああ……インハイ県予選まで一ヶ月を切った麻雀部だ……」

 そしてこのトボけたツラとフザけた前髪をしているのが監督だ。

 世も末である。

京太郎「まあ、確かにこの部屋で出来ることなんて麻雀だけだけどな」

憧「そうね、仕方ない……のかしら」

レジェンド「決定ね! 玄、宥、灼。卓に着いてー」

玄「はいっ!」

宥「はぁい」

灼「ラジャ……」

京太郎「俺達はどうする? 穏乃みたいに膝に座るか?」

憧「無理!!」

 ですよねー。

レジェンド「なら憧が普通に座って、須賀くんは膝立ちで後ろからくっついてみようか」

京太郎「そっすね」

憧「うー……分かった」シブシブ

290 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/09(水) 01:14:52.49 ID:KXvewgqao

 で、一旦分離。

 まず憧が椅子に腰掛けた。

 そこに再度ブレザーを広げた俺が、

京太郎「よっと」バサッ

憧「ひぅッ」ビクゥ

 覆い被さる。

京太郎「んー」モゾモゾ

憧「ひぇぇぇ」ゾクゾク

 位置の微調整。伸ばした手が雀卓に届くのを確認する。

憧「や、やっぱり近ぁ……」プルプル

京太郎「我慢しろって。椅子の背もたれがある分マシだろ」

憧「そうだけど……だけど近い! 怖い!」ガタガタ

 怖いと来たか。

 まあ確かに、これまで不慮の事故で密着した時は即座に離れてたしな。

 が、これも特訓。心を鬼にして続けよう。

 あー柔らけぇ。いい匂い。

293 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/09(水) 02:03:38.00 ID:KXvewgqao

憧「うぅー……しずのを見てるだけでも恥ずかしかったのに、自分でするなんて……///」

京太郎「穏乃はあくまでお手本だからなぁ」

 あまりいい手本ではなかったと思うが。寝たし。

レジェンド「じゃあ始めよっか。折角だから親は憧で!」

憧「何が折角なのよ……じゃあ京太郎、お願い」

京太郎「おー」

 言われ、手を伸ばす。

 目指すは雀卓の中央、サイコロを振るボタンだ。

京太郎「ふ、ぬっ……」ググー

憧「わ、ちょっ!?」

 となると必然、身体は前へ。

 前には当然、憧がいる。

 結果。より密着。

京太郎「ぬぅ……憧、ボタンどこだ?」

憧「そ、そんなことより息! 近いって息! 当たる!///」

京太郎「当たり前だろ! それよりボタン!」

憧「ボタンが何よあたしなんて命の危機なのよ!?」

京太郎「そこまでぇ!? あ、押せた!」ポチー

 カラカラ、ぜーぜー。

 サイコロの回る音と、憧の荒い息だけが聞こえる。

294 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/09(水) 02:35:10.76 ID:KXvewgqao

 それが終われば次は牌を取る作業がある。

 が、

憧「違う違う! もっと右!」

京太郎「右……こっちか?」スッ

玄「あ、違うよ京太郎くん行き過ぎ!」

京太郎「え、じゃあこっち?」サッ

宥「ま、まだ右じゃない?」

京太郎「どっち!?」

灼「それ別の山」

京太郎「スイカ割りか!!!」

 思わず堪らず叫ばずにはいられなかった。

憧「ちょ、うるさいってば耳元で!」

京太郎「あ、悪い。けどこれむちゃくちゃ難しいぞ……」

 崩したら容赦なくチョンボ扱いだし。

 手元に並べた後も、憧の指示で理牌しなくちゃいけないし。

 これなら熱々の大根を憧の顔に押し付けてた方がまだ……いやいやいや。

297 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/09(水) 06:00:28.23 ID:KXvewgqao

 理牌も終わるといよいよ対局開始だ。

 ツモは一つずつなので、さっきより簡単だが……

 だが、やはり相当の難易度であることには変わりなく。

京太郎「っと……ツモったぞ。間違いないか?」

憧「ん、オッケー。じゃあ次は左から四番目の牌を捨てて」

京太郎「よしきた四番目な。ひーふーみー……これっ!」パッ

憧「あ、違う!」

京太郎「へ?」

タンッ

灼「ロン。3900」

「「あ゛」」

 やっちまった。

憧「………………」

 憧の背中から、後頭部から、恨みがましいオーラを感じる。

灼「憧、点棒」

憧「……京太郎!」

京太郎「はいただいまー!」

298 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/09(水) 08:54:14.57 ID:KXvewgqao

 二人から急かされ、慌てて手を動かす。

 点棒ケースがあるであろう場所に指を引っ掛け、半ば力任せに開けた。

 ら、

バラッ

京太郎「うわっ!?」

 点棒を数本ばら撒いてしまった。

憧「あ、もう! 何やってんのよ京太郎!」

京太郎「わ、悪い……えっと、これかな?」ゴソゴソ

憧「ちょ! 違うっ、それスカート!///」

 おおっと。

 でも位置的にその辺に落ちてる筈だよな。

 探さねば。

ゴソゴソ

憧「あっ……やだ、そこ……っ///」

300 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/09(水) 09:27:45.37 ID:KXvewgqao

京太郎「あ、一本みっけ。次は……」ゴソゴソ

憧「ふひゃっ!? ど、どこに手ぇ突っ込んでんのよ!?///」

京太郎「仕方ないだろ点棒拾わなきゃいけねーんだから。嫌ならもう少し脚開けって」

憧「ぅう……そんなの、はしたない……///」モゾッ

 言いながらも、軽く身動ぎして隙間を作る憧。

 お陰でまた一本取れた。

 音からして落ちた点棒は三本か四本だったと思うが……

 ふむ。

京太郎「憧」

憧「な、なによぉ……」グスッ

京太郎「脱げ」

憧「ふきゅ」

京太郎「ていうか脱がすな」プチプチ

憧「ふきゃあああああ!!?」

303 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/09(水) 11:17:54.93 ID:KXvewgqao

 後ろから回した手でブレザーのボタンをひとつふたつと外していく。

憧「なッ、なニャぬ、なにしてんのよ!?///」

京太郎「いや、点棒が上着の内側に入り込んだ可能性がなきにしもあらず」プチッ

憧「ないわよほんの1%たりとも! ってもうボタン全部外されてる!?」

京太郎「麻雀に比べりゃチョロいもんだぜ」ハラリ

 白いシャツが顕になる。

 対照的に、肌はポストのように赤い。

玄「わわわわわ……///」ヒャー

宥「きょ、京太郎くん……脱がしたらあったかくないよ……?」プルプル

灼「やらし……」ジトッ

 同席者三名が三様の反応を示す。

 ちなみに東一局だ。

 待たせるのも悪いしとっととひん剥……ゲフン、点棒探そう。

 片膝立ちになり、更に深く抱く。

憧「ひ、ん……っ」ビクビク

309 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/09(水) 13:36:49.94 ID:KXvewgqao

京太郎「あっれぇ、ねーなー……ハッ! まさかシャツの下に……!?」ゴクリ

憧「」ブチッ

京太郎「ん?」

 なんか聞こえた。

 まるで目の前で小刻みに震える憧の堪忍袋の緒がブチ切れたような音が。

憧「……いい加減に……しろーーーーーーーーーーっ!!!」ウガー

京太郎「おおっ!?」

 突如として暴れ出した憧!

 俺が言うのもナンだけど、遅いんじゃないかな!?

憧「このヘンタイ! 今すぐあたしから離れなさーいっ!!」ガタガターッ

京太郎「待っ、憧! この体勢から急に動いたら――」

ワシッ

「「あ」」

ムニッ






憧「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッッッきゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」ヒュゴゥ





 危険だから押さえつけようと構えていた手の中に無理矢理立ち上がった憧の胸が結果的に偶発的に奇跡的にホールインワン&ホールドで控えめながらもそれなりに柔らかい八ツ橋の感触が伝わっ拳がゴシカァン。

 俺は死んだ。

312 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/09(水) 13:54:20.12 ID:KXvewgqao

……
…………
………………


穏乃「……ん……ふぁあ~」ムクリ

穏乃「ぅ……ここどこ……? 部室……? なんで……?」グシグシ

穏乃「………………」ポケー

穏乃「Σ」ハッ

穏乃「そういえば部活中だ!?」ガーン

穏乃「っれ、でも……」チラッ



宥「玄ちゃん、ににんばおり~」ムギュー

玄「あ、暑い! おねーちゃん暑いよ!!」ウギャー



憧「エッチ! バカ! チカン! ヘンタイ! サイテー! キンパツ! ロクデナシ!」ゴスッゴスッゴスッゴスッゴスッゴスッゴスッ

京太郎「」チーン



穏乃「……」

314 名前:5月11日(土)[saga] 投稿日:2013/10/09(水) 13:59:31.95 ID:KXvewgqao

トテテ

穏乃「灼さーん」

灼「あ、穏乃。おはよ」

穏乃「おはようございます。あの、なんで宥さんは玄さんに抱き付いて、憧は京太郎を馬乗りでボコってるんですか?」

灼「ん……なんて説明しよ……」

灼「……まあ、いつものこと」

穏乃「なんだ、いつものことか!」





レジェンド「おーい憧~……そろそろ正座キツいんだけど……」

憧「え? なに? 寒いって?」ギロリ

レジェンド「や、誰もそんなこと言ってな……」

憧「宥姉ー。ハルエが寒いからあっためて欲しいってー」

レジェンド「アイエエエエエ!? 言ってないよ!? イッテナイヨ!?」

宥「赤土さぁん……」ユラリ

レジェンド「ヒッ!?」

宥「あったか~く、してあげますね……?」ズモモ

レジェンド「嫌ああああああああああっ!!」

【TO BE CONTINUED...】



【須賀京太郎のステータスが更新されました!】
 称号:接触上等の男子高校生(new!)
 憧への印象:...→風呂で触ったのはどこだったんだろう
  →大変申し訳ありませんでした(new!)

【新子憧のステータスが更新されました!】
 称号:接触禁止の女子高生(new!)
 京太郎への印象:...→裏切りドスケベ野郎
  →クソゲス(new!)

【高鴨穏乃のステータスが更新されました!】
 京太郎への印象:...→好きだよー
  →たまにイジワル(new!)
最終更新:2014年01月09日 13:16