接触る

97 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/19(木) 01:08:44.23 ID:1hurCT6ro

 合宿明けの日曜日でも部活はある。

 むしろ合宿という名の乱痴気騒ぎで浮ついた気持ちを引き締める為にも、今日の部活は重要な意味を持つ。

 そして、それだけではなく。

 俺と憧にとっても、今日は大事な――

レジェンド「さあ、それじゃ二人とも覚悟はいい?」

「「はい!」」

 声を揃えて返す。

 部活の休憩時間、俺達は並んでレジェンドの前に立っていた。

レジェンド「お? 須賀くんだけじゃなく憧までやる気とは……」

憧「ま、こっちの方も頑張るって言っちゃったしね。いつまでも逃げ腰じゃいられないわよ」

穏乃「おー! いいぞ憧ー!」

玄「憧ちゃんファイト!」

宥「が、頑張って~」

灼「引き締めて気……」

なにその倒置法。

104 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/19(木) 01:24:39.32 ID:1hurCT6ro

レジェンド「そんな憧の熱意に応えて――ドーン!」サッ



             __________
            /   ___      / |
          /   /     `l    /   |
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        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄




京太郎「おう!?」

憧「箱が立派になってる!?」

レジェンド「いかにも! 憧が風邪で休んでる時に作ったんだよね~」

灼「私がね」ズバァッ

京太郎「監督ェ……」

レジェンド「ざ、材料は私が揃えたから!」

憧「ハルエ、ぶきっちょだもんねー」

レジェンド「れじぇじぇ……」

京太郎「「ぐぬぬ……」みたいに言わないでください流行りません」

105 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/19(木) 01:50:41.74 ID:1hurCT6ro

レジェンド「うがー! いいから早く引きなさい! ほらほら!」ズズイ

京太郎「はいはい分かりましたって……憧、どっちが引く?」

憧「京太郎でいいわよ。これまで二回ともあたしだったし」

 そういえばそうだったか。

 では、と一歩前へ。おニューの箱に手を差し入れる。

京太郎「んんん……これだ!」スポッ

 そして中に詰まった紙の中から一枚を摘んで引き抜く。

京太郎「はい」スッ

レジェンド「はい」サッ

 受け渡し。開くのはレジェンドだ。

レジェンド「! これを引いたかぁ……」

 不敵に笑み、俺達を見る。

 嫌な予感。

 とはいえ、主旨が主旨なので元から生易しい内容など期待はしていない。

 覚悟を決めて、発表に備える。

レジェンド「今回のお題は――」

                 --……--
         r―‐⌒ヾ : : : : : : : : : : : : : : : \
         |∨: : : : : \ : : : : : : : : : : : : : : : \
         |/゚:。 : : : : : : \.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : .
         /: : : \:.:.:.:. : : : :\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : 。
          //: :/ : : \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.o。:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :i: ゚
.         /イ /: :.:.:.イ:.:. ー┬---:.:.:.:__:.`:.:.o。:.:.:.:.:.|.:..。   「――『接触る(さわる)』!」
       i{ | ′:.:.'{_|_:.:.:.:| リV:.:.:.:.:.:.:}:.>匕、: :\j--i
        || |/: :.:.:∧}リ≫┘o。v――'’xr示=ミト、:.:.\}、
        リ {: :.:.:.:.|!:‘, ィ芹≧ュ    ’|イi//| 》、:。:.:.:.ぃ、
           |:.:.:.:.:.「`ヽ《乂_゚ツ        ゞ= '゚ :リ/リ゚。:.:.ト、i
           |:.:.:.:.小   , ,    '    , ,  : /:.:.:.∧:.} リ
           l.:.:.:.:.:| }ゝ-!            jハ:.:.:.:j/}:.|
          :。.:.:.:{ {:j:八    -==ァ     イ }/ j:ノ
            ゚:。.リ  \{≧ュ。.    ィ:jソ  ″ /
           ゞ    イニ}  ` ´  {ニヽ
              ィニ//      ゝ|ニ\_
        ┬==≦ニ/ニ7____    __,.|ニニムニニニニニlヽ
       /ニ|ニニニ/ニニニ|`-―――‐一´|ニニニムニニニニ|ニム
.      /ニニ:|ニ7ニニニニニ|          |ニニニニ}ニニニ=|ニム

京太郎「はぁ?」

109 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/19(木) 02:03:00.32 ID:1hurCT6ro

憧「さわる……って何、どういうことよ?」

レジェンド「どうもこうも、言葉の通りだよ?」

京太郎「さわるんですか?」

レジェンド「さわるんです」

京太郎「どこを?」

レジェンド「どこでも」

憧「どこでも!?」



レジェンド「そう! 『接触る』とはつまり、憧の身体の、私が指定した箇所を須賀くんが触るという極めてシンプルなミッションである!」バァーン



憧「帰るっ!」ダッ

京太郎「待て憧!」ガシッ

憧「ふきゅ!? 手ぇ触んないでよヘンタイ!」

京太郎「手ぐらいで!? これからもっと色んなところを触るんだぜ?」ワキュワキュ

憧「手つき生々しすぎ!」ゾワワー

111 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/19(木) 02:33:16.01 ID:1hurCT6ro

京太郎「まあ落ち着けよ。頑張るって決めたんだろ? 一緒に頑張ろうぜ(ゲス顔)」

憧「表情で台無しだから!」

レジェンド「でも須賀くんの言う通りだよ? 今みたいに手を掴まれたぐらいでビビってちゃねえ」

憧「そ、それは……」グヌヌ

レジェンド「れじぇじぇ」

京太郎「流行らないし流行らせない」

憧「………………じゃあ、やる」

京太郎「憧!」パァッ

憧「ただし! む、胸とかお尻は触らせないからね!?」ササッ

レジェンド「もちろん。嫁入り前の女の子だもんね」ウンウン

 嫁入り前の女の子五人を男と同じ風呂に放り込んだ主犯が何か言ってる。

 その節は本当にお世話になりました。

レジェンド「ま、なんにせよ憧も納得してくれたし、本格的にミッションスタートだ!」オー

京太郎「おーっ!」

憧「お、おー」

117 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/19(木) 03:04:26.04 ID:1hurCT6ro

レジェンド「と、その前に」

憧「」ズコー

京太郎「なんすかもー、せっかく憧もやる気になってたのに」

レジェンド「まあまあ。まず最初に手を洗いに行こうか」

京太郎「手ェ?」

レジェンド「手。色々触る訳だし、清潔にしとかないとね」

憧「……なんか、やけに常識的じゃない」

京太郎「まるで学校の先生みたいですね」

灼「先生だよ……」

レジェンド「んじゃ外の水飲み場にしゅっぱーつ!」

京太郎「え、なんで外まで?」

憧「トイレの方が近いわよ?」

レジェンド「だって、トイレだと男女別じゃない」

京太郎「え?」



レジェンド「二人にはお互いの手を洗ってもらうから☆」



憧「は?」

123 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/19(木) 03:26:50.83 ID:1hurCT6ro

~水飲み場~

ヌチャヌチャ

憧「ぅ……ぁ……っ……///」ゴシゴシ

ヌチャヌチャ

憧「これ、っこんな……///」ゴシゴシ

ヌチャヌチャ

憧「やだぁ……///」ゴシゴシ



京太郎「監督ー!! これなんか……なんかこれェ!!」ツルッ

憧「ふぁっ///」ビビクン

京太郎「監督ー!!!」

レジェンド「健全健全」

 あっはっはーと笑うレジェンド。

 対照的に憧は今にも泣きそうな表情だ。

 泡まみれの手と手が絡み合う様を見て、耳まで真っ赤にして。

 まあ、色々連想してしまうよね。俺もね。

 イカンですよこれ。とにかくイカン。

 指。手の平。手の甲。手首。

 丁寧に洗おうとすればするほど、つまり相手の肌を撫で回すということで……

憧「ぅあ……っは、ん……///」ゴシゴシ

レジェンド「おおーっと須賀くんの指が憧の(指の)股の深くに滑りこんでくちくちと水音を立てて」

京太郎「実況すんじゃあねええええええええええ!!!」

159 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/20(金) 00:42:10.62 ID:YSRbZnAGo

憧「はぁ……はぁ……っ……ぁふ、んっ……///」クチュクチュ

京太郎「ええい憧も憧だ! ちったぁ声抑えろよムッツリ娘!」

憧「ムッツリ言うなぁ!/// しょ、ぅがないでしょ……変な、ん、声っ……出ちゃうんだ、か、らぁあっ……///」ビクンビクン

 駄目だこいつ、早くなんとかしないと。

京太郎「い、一旦ストーップ!」パッ

憧「ぁ……」

 なんで名残惜しそうな顔で俺を見ますかね憧さん。

京太郎「とりあえず落ち着こう。ほれ、息整えて」

憧「ん……すぅ、はぁ……すぅー、はぁぁぁ……」

京太郎「よし。じゃあ、今度はゆっくりやってくな」

憧「へ?」

 ごしごし。改めて石鹸を泡立てる。

 憧の手を取り、まず親指から洗い始める。

ヌプヌプ

憧「ちょっ待っ」

 次に人差し指。包み込むように。

ヌリュヌリュ

憧「っん……」ピクッ

 中指。爪の隙間も。

ヌチヌチ

憧「ぁ、そこっ///」ビビクン

 薬指。小指。手の平。手の甲――

憧「あんた、わ、ぁ、わざとっ、わざとやってるでしょっ/// ふぁ、っきゅぅぅ……///」ビクンビクン

京太郎「オレェ?」

163 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/20(金) 01:14:58.53 ID:YSRbZnAGo

 なんか怒られたので普通に続ける。

ゴシゴシ

京太郎「あれ」

憧「な、なによ」

京太郎「いや……前より硬くなってる?」

憧「なにが?」

京太郎「マメ」

憧「ふきゅっ!!?」ギシッ

 なんかフリーズした。

 顔も更に赤いし。

 何故だ。……もしかして。

京太郎「………………指のな?」

憧「ふきゅ」

京太郎「……」ジー

憧「わ……分かってるわよ。うん。分かってた。指よね。他にないもんね」カタカタ

京太郎「じー」<○><○>

憧「分かってたってば!///」

 その後。

 水で洗い流して、ハンカチでお互いの手を拭いて。

京太郎「……ま、お疲れさん」

憧「うっさい……ばか」グスッ

171 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/20(金) 01:35:15.04 ID:YSRbZnAGo

~部室~

ガチャ

レジェンド「たっだいまー」

灼「お帰りなさいハルちゃん」

京太郎「苦しい戦いだったぜ……」

穏乃「戦い? バトルがあったの!? 私も行きたかった!」

憧「ぅう……///」

玄「あれ? 憧ちゃん顔赤いよ? どうかしたの?」

憧「な、なんでもない!///」

宥「あったか~い」

 俺達は部室に戻ってきた。

 忘れてはいけないのは、本当の戦いがここから始まるということだ。

 先程と同じ位置に立ち、レジェンドの指示を待つ。

レジェンド「さーて、それじゃあ始めるよー」

京太郎「押忍!」

憧「一思いに早くやってね……」

172 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/20(金) 01:55:31.95 ID:YSRbZnAGo

レジェンド「そだね、まだ部活も途中だし」

 毎度ながら部活中にやることかよと思う。

 思うが、俺は得しかしてないので黙っている。

レジェンド「まずどこを触ってもらおうかな~」ジロジロ

憧「む、胸とお尻は駄目だからね! あと髪!」

レジェンド「じゃあ太ももとか?」

憧「……ギリ無理! 下半身無理!」

京太郎「えー」

憧「えーじゃないっ!」

レジェンド「だったらお腹にしようか」

憧「お腹!?」

レジェンド「うん。下半身じゃないっしょ?」

憧「じゃないけど……」

レジェンド「だったら問題ナシ! 須賀くん、やっちゃって!」

京太郎「イ゛ーッ!」ガバッ

憧「ひぃぃ!?」ビクーッ

173 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/20(金) 02:07:29.14 ID:YSRbZnAGo

 ぺたり。

憧「っ!」ピクッ

 怯える憧が身構えるより早く、手の平を腹につけることに成功する。

 が、

京太郎「……うーん」

憧「なに唸ってんのよ……」

京太郎「だってなぁ」

ペタペタペタ

憧「~~~っ!?」ゾワゾワゾワー

京太郎「うむ」

 適当に手を動かして、ひとつ頷く。

京太郎「監督ー、ブレザーの上からじゃ面白くないですー」

レジェンド「あちゃー、それは想定の範囲外だったわー」

憧「あたしはめちゃくちゃ気持ち悪いんですけど!?」

176 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/20(金) 04:14:25.08 ID:YSRbZnAGo

京太郎「えー? ゴワゴワした感触しか伝わってこねえんだけど」

憧「知らないわよ、あたしは十分気持ち悪いし恥ずかしいし……」

レジェンド「じゃあ脱ぐ?」

憧「脱がない!! 全然『じゃあ』じゃないから!」

レジェンド「ちっ、誤魔化せなかったか」

京太郎「今ので誤魔化せたらそれはそれで問題だと思います」

 穏乃や玄さんならいざ知らず、相手は憧だ。

 いくらテンパっていても地力が違う。

 底の底ではキチンと冷静。それが憧だ。

京太郎「まあ、手触りは悪くてもぷにぷにしてるのは分かりますしこれはこれで」プニプニ





憧「ぷにぷになんてしてないわよバカ言わないでよちゃんと見てみなさいよホラァァァ!!」ガバァッ

京太郎「アイエエエエエエエエエエ!!?」

 あこは じぶんで ふくを めくりあげた !!

179 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/20(金) 05:59:00.70 ID:YSRbZnAGo

憧「あ」カァァァ...

 そんでもって自分で恥ずかしくなってる。

 ブレザーの前をフルオープン、中に着ているシャツを思い切り上に引っ張った結果、

京太郎「憧、へそ見えてる」

 御開帳である。

憧「っ……う、うるさい! ほら、ぷにぷになんてしてないでしょ!」グイッ

京太郎「おぉお!?」

 あまつさえ、もう後戻りは出来ないとばかりに俺の手をそこへ導いた。

 ぴたり。

憧「ん……」

京太郎「……おお……!」

 これは凄いぞ。

 滑らかな肌に吸い付くような手触り。

 制服越しの感触とは段違いだ。

182 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/20(金) 06:29:34.70 ID:YSRbZnAGo

憧「どう……? これでも太ってるだなんて言える?」

京太郎「いや、大したもんだな……余分な肉がほとんど付いてない」サワサワ

憧「あ、当たり前じゃない。毎日ちゃんとカロリー計算してるもん」ピクッ

京太郎「ていうか、そもそも太ってるとまでは言ってないけどな」サワサワ

憧「でもプニプニって……ん、言ったじゃない。デリカシーないわ、よ……っ」ゾクッ

京太郎「以後気を付けます」サワサワ

憧「ふぁ……って触りすぎィ!!」バシッ

 手ェはたかれた。

京太郎「いてーな自分から触らせておいて!」

憧「撫で回していいとは言ってないわよ!」

京太郎「仕方ないだろ! 触り心地が良いからやみつきになるんだよ!」

憧「ぇ……そ、そう? そんなに良かった?」

京太郎「ああ。変に動かさないからもう一度触らせてもらっていいか?」

憧「………………しょーがないわね」プイッ

 お許しが出たので早速手を伸ばす。

サワッ

憧「んっ」ピクン

 真っ赤な顔でそっぽを向いたまま制服をたくし上げる憧。

 その白いお腹に手を当てて楽しむ俺。

 ナンダコレな空間が形成されていた。





灼「『あっ、今蹴った』」

レジェンド「『おーいパパでちゅよー』」

「「変なアフレコすんな!!!」」

207 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/21(土) 00:29:42.65 ID:r0kTOoKso

 水を差されたのでお腹いじりは終了となった。名残惜しい。

レジェンド「じゃー次は……耳いってみよっか?」

憧「み、みみ!? てか、えっ、顔アリなの!?」

レジェンド「そらそーよ。髪もダメ胸もダメ下もダメとなったら顔ぐらいしかないじゃん」

憧「ぐぬぬ……」

灼「れじぇじぇ……」

京太郎「流行らそうとしないでください流行りません流行らせません」

レジェンド「それとも首筋とか、二の腕とかにする?」ニヤリ

憧「耳でお願いします!」ペコーッ

穏乃「おおっ直角お辞儀!」

玄「いいチャージインだね!」

 どんだけ嫌なんだ。

レジェンド「許可も下りたことだし、須賀くーん」

京太郎「ういっすー。んじゃ憧、触るぞ?」

憧「お、お手柔らかに」カチコチ

214 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/21(土) 00:53:43.10 ID:r0kTOoKso

 首をすくめ、目を固く閉じる憧へ手を伸ばす。

フニ

憧「ぅ」ピクン

フニフニ

憧「……うー……」パチッ

 閉じていた目が開いた。

 赤い顔で、恨みがましく俺を見てくる。

京太郎「なんだよ」

憧「なんでもないわよー……」

 なんでもない表情じゃないだろ。

京太郎「しかし耳って小さいから触り方のパターンがなくて困るな」

憧「あたしは変なことされないからありがたいけどね……でも、くすぐっ、たぃ」ピクピク

京太郎「耳の穴に指突っ込んでいいですか?」

憧「OKが出ると思ってるわけ!?」

 微塵も。

219 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/21(土) 01:19:14.90 ID:r0kTOoKso

京太郎「じゃあ何してりゃいいんだよー」フニフニフニ

憧「悩みながらも手は止めないのね……っ」プルプル

京太郎「お腹とはまた違った手触りが楽しい」フニフニフニフニ

憧「ぅぅぅぅぅ」

京太郎「餃子~」ペター

憧「あーそーぶーなー!」ムキー

ワーギャー

穏乃「いーなー、私も耳たぶ触りたい!」

玄「穏乃ちゃん穏乃ちゃん、おねーちゃんの耳たぶ、空いてますよ!」ササッ

宥「くろちゃー!?」

穏乃「やたっ! 失礼しまーす!」フニッ

宥「ぅひゃん!?///」ビクッッッ

穏乃「むぉ?」

玄「ふふふ。おねーちゃんの耳はぷにぷにで気持ち良いけど、おねーちゃん自身は耳がとても弱いのです!」プニプニプニプニプニプニプニ

宥「やめてぇぇぇ///」ビクンビビクン

穏乃「へー」

灼「悪い妹がいる……」

キャッキャッ

憧「なんかあっちでも盛り上がってるし……」

京太郎「隙あり!!」ズポッ

憧「ふきゃあっ!? すんなって言ったでしょうがーーーーーっ!!///」ウガー

226 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/21(土) 02:01:48.42 ID:r0kTOoKso

レジェンド「はーいそこまで! 次いくよん」

憧「まだやるのね……」

レジェンド「やりますともさ。ま、あと二箇所ぐらいかなー」

憧「(げんなり)」

 顔にげんなりって書いてある。

レジェンド「え~次は~……ほっぺ~、ほっぺ~」

京太郎「なんで車掌風ですか」

憧「てか、また顔……」

レジェンド「嫌なら鎖骨にキスとかさせる?」

玄「ふぇえ!?///」ガタッ

憧「ほっぺでお願いします!……ってかキスって何よキスって!?///」

レジェンド「まーまー」

京太郎「まーまー」

憧「あたしが聞き分けない人みたいになってる……!」レジェジェ

232 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/21(土) 02:37:55.75 ID:r0kTOoKso

京太郎「まーまーまー。ほら、こっち向けって」

憧「む……分かってるわよ」クルッ

 向かい合う。

 そこそこ高身長な俺は、高確率で女子に上目遣いで見てもらえるのが密かな喜びだ。

憧「……あの。やっぱ恥ずかしいんだけど」カチコチ

京太郎「ん? じゃあさっきみたいに目ぇ閉じてろよ」

憧「そ、そうね……ん」ツムリッ

京太郎「………………」

 向かい合って。

 顔を上げて。

 頬を染めて。

 目を閉じて。

 あれじゃん。

 完璧キス待ちじゃん。

236 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/21(土) 02:58:27.88 ID:r0kTOoKso

 しかも今から頬に手を添えるのだ。

 いよいよ以ってキスシーンの風情である。

 が、

穏乃「おー」

玄「じー……」

宥「じぃ……」

灼「じぇー」

レジェンド「」ニヤニヤ

 この視線の中では何も出来ますまいて。

 ので、

京太郎「はい、チーズ」パシャー

憧「は?」パチッ

 写メったった。

237 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/21(土) 03:28:15.49 ID:r0kTOoKso

京太郎「おー撮れた撮れた。写真写りいいなぁ憧」

憧「な、ななななな………………撮った? 今、撮った?」

京太郎「おうバッチリ。ほれ」スッ

憧「消しなさい!」バッ

京太郎「おっと」サッ

スカッ

 憧が伸ばした手を、ケータイを高く掲げることで素敵に回避する。

憧「ちょっとっ! それっ! 下ろしなさいよっ!」ピョンピョン

京太郎「ワハハ届くまい」

 気分は小学生だった。

 しかし跳んでも跳ねても揺れぬ憧っぱい。

 やはり八つ橋か……

憧「このぉ……せいっ!」ゲシッ

京太郎「おン!」ガクッ

 とか油断していると膝裏にローキックを食らった。

 小学生気分だったのは俺だけで、憧は高校生として知恵を使い俺からケータイを奪取してのけたのだ。

憧「さ、削除削除……!」ポチポチポチ

京太郎「らめえええ待受画面にしゅるのおおお!」

憧「させるか!///」ピッ

京太郎「んほおおおおおおおおおお!!」

279 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/22(日) 01:07:53.92 ID:nyMAS7oCo

レジェンド「こら須賀くーん。遊んでないでほっぺほっぺ」

京太郎「あ、そうでした」

 部活中に女子のほっぺを触ることは遊びでないのかと小一時間問いたい。

 が、これはこれで真剣で大事な作業だ、と自答しておく。

 憧の男嫌いを治す為に必要な、俺にしか出来ない役割である。

 精一杯務め上げてやろうじゃないか。

京太郎「触るぞー」

憧「う、うん」

ス...ピトッ

 手を伸ばし、憧の頬に添えるように触れる。

憧「ぁ……」

京太郎「うむ、やはり柔らかい」

 耳よりも腹よりも、広く深く触れるので格別に心地良い。

282 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/22(日) 01:35:17.02 ID:nyMAS7oCo

京太郎「……てか熱いな。また風邪がぶり返したりしてないよな?」

憧「なわけないでしょ。……恥ずかしいだけよ、ばか」

 そう言って、いつもならそっぽを向く憧なのだが、今は頬を触られて動きが制限されている。

 視線を逸らすことも出来ず、耳の時と同じく恨みがましい目で俺を睨む。

 が、

憧「……」

 なんか、ゆるい。

 視線に殺気が乗っていない。

京太郎「憧?」

憧「なに……?」

京太郎「いや、お前こそどうしたよ。ぽやーっとしてるぞ」

憧「うん……なんか……」ソッ

京太郎「え」

 手に手を添えられた。

 憧はそのまま目を閉じて、自分の手と頬で俺の手を挟むように重心を預ける。

 そして、

憧「……なんか……落ち着く……」フニャ





憧「」ハッ

憧「ってなにを落ち着いてんのよあたしは!?」

憧「違うの、違うのよ京太郎、別にこれはそういうんじゃなくてっ!」

憧「ごつごつした男っぽい手のくせに妙にあったかくていい匂いがして眠くなっちゃったとかじゃ全然なくて!!」

京太郎「とりあえず落ち着け」プニプニ

憧「ふぁにふんのよー!」ムキー

宥「あったかいの?」

288 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/22(日) 02:08:34.53 ID:nyMAS7oCo

レジェンド「はいそこまでー。ほっぺタイムしゅーりょー」

 ブレイクブレイクとか言いながらレジェンドが間に入ってくる。

 遠ざかるぬくもりを惜しんで手をぐーぱーさせる俺。

 憧は俺が触れていた頬を押さえてぅーぅー唸っている。

 うむ、あれぐらい殺気に満ちていてこその憧だよ。

レジェンド「さてさて。宴もたけなわではございますが、次で最後とさせていただきます」

京太郎「なんで幹事風ですか」

 幹事っちゃ幹事だが、でもやっぱり黒幕とかそういう呼び方が似合うと思う。

憧「やっと終わりね……長かった……」

京太郎「分かるわ。四日ぐらいやってた気がする」

 実際は30分も経ってない。

レジェンド「お二人さん。そういう話は最後までやり終えてからにしたらどうかな」ニヤリ

憧「うっ」

京太郎「むっ」

 この口ぶり。どうやらラストはそれに相応しい難易度のようだ。

 そしてその箇所を、レジェンドが高らかに告げる。



レジェンド「最後に触るのは………………唇だー!!」イェーイ



293 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/22(日) 02:32:57.07 ID:nyMAS7oCo

京太郎「く」

憧「ち」

玄「び」

宥「る」

穏乃「!」

灼「?」

 後ろ二人はどうやって発音して以下略。

レジェンド「イエス唇。二本指でプニプニされたりするといいよ」

憧「誰がされるかぁ! こんな顧問と同じ部屋にいられないわ、あたしは家に帰るわよ!」クルッ

 と、

 死亡フラグ風な捨て台詞を残して憧が逃走を図――

レジェンド「しず、玄、やーっておしまい!」

穏乃「了解!」ガシッ

玄「おまかせあれ!」ガシッ

 ――る、よりも、早く。

 レジェンドの号令に迅速な反応を示した穏乃と玄さんが、憧を両側から拘束した。

 うーん、どっかで見た構図。

※参考資料

300 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/22(日) 03:10:16.30 ID:nyMAS7oCo

憧「なっ!? なにすんのよアンタ達!?」

穏乃「憧、何でも途中で投げ出すのはよくないよ?」

玄「そうだよ憧ちゃん、これが最後なんだから。ね?」

憧「うるさいうるさーい! はーなーしーてー!」ジタバタ

 子供のように暴れる憧。

 しかし二人掛かりで抑えられてはロクに身動きも取れない。

 後は唇を触られるのを待つだけだ。

 が、

京太郎「あのー、こうも拒否られると流石にやり辛いんd」

レジェンド「灼、宥、やっちまいなー!」

灼「OKポッキー」ガシッ

宥「ごめんね、あたたかいからごめんね」ガシッ

京太郎「嘘ぉ!?」

 まさかのダブル強行突破である。

 鷺森部長は小さい身体のどこからこんなパワーが出ているのか分からないし、

 宥さんはやたら密着してくるせいでおもちが腕とか背中に当たって俺から抵抗する力を奪うし。

 為す術なく、憧の方へ近付けられる。

301 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/22(日) 03:12:42.58 ID:nyMAS7oCo

憧「ひッ……きょ、京太郎! 男ならそれぐらい振り解きなさいよ!」

京太郎「男だからこそ振り解けないこともあるッ!!」

憧「力説すんなぁ!」

 もう憧は目の前にいる。

 振り解くのは無理でも、せめてこの場に踏み止まり、少しでも長くこの感触を……ゲフンゲフン。

灼「往生際が悪……」グイッ

京太郎「うおっ!?」

 痺れを切らした鷺森部長によって、腕が強く引っ張られる。

 不意打ちだ。

 するとどうなるか。

 腕の先にくっついてる手の先にくっついてる指が、

 尚も何事かをギャースカ喚き散らしていた憧の、

 唇――の、

 隙間、

 に、



スポッ



 と。

※大変危険ですので美少女の唇に指で触れる機会があっても決して真似しないでください

306 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/22(日) 03:46:18.92 ID:nyMAS7oCo

京太郎「――!」

 言葉を失う。

 視線は憧の口の中へ飛び込んでしまった指に釘付けだ。

 瑞々しいピンクのヒダを抉じ開けて捩じ込まれた指に。

憧「むぁ、れるっ……!」

京太郎「ぉぉぉゎゎゎ」ゾワゾワゾワ

 濡れた、生暖かい感触。

 喋っている途中で侵入してきた指を避けようとしたのだろう。

 動いた舌が俺の指を舐めた。

 図らずも、ねっとりと。

 図らずも、唾液を塗りたくるように。

 図らずも、指の味を確かめるように。

 ……図ってないよね?

憧「――!」カァァァァァッ

 あ、図ってないっぽい。

 わざとなら、今更こんなに赤面しないもんな。

 とか考えている内に指を引き抜けば良かったのに、





憧「――――――――――~~~~~~~~~~っっっ!!?!?!???!!?!!!?!!??!」ガリッッッッッ

京太郎「いっっっっっっっっっっでええええええええええええええええええええええええええええええ!!?!?」





 そうしないから、思い切り指を噛まれる羽目になった。

328 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/22(日) 23:57:46.08 ID:nyMAS7oCo

憧「ぁ、ごめんつい!」アセアセッ

京太郎「ついってお前……あああいてえ……」ズッキンズッキン

穏乃「京太郎大丈夫!?」

玄「京太郎くん、手見せてみて!」

 そう促されて初めて、噛まれた指に視線を落とす。

京太郎「うっわ血ぃ出てるよ……」

憧「嘘!?」

 嘘なもんかい。

 憧の唾液に濡れた指に、ハッキリと滲む血の赤があった。

 多分ちょうど犬歯で噛まれたんだろうな。

 なかなかのなかなかな出血ぶりだ。

憧「うわうわうわ……ごめん、あたしそんなつもりじゃ……」

京太郎「あー、気にすんなよ。流石にこれは事故だし、消毒して絆創膏でも貼っとけば―― 玄「そうだ、消毒しなきゃ!!」 ――へ?」



                    / : : : : : :.:/:/: : /.: : : : : : : :| : : : : : : : | : : : : : : : :ヽ
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              /:/::.::.::i::.::.:i/| .::.::|八::.:八.::.::.::.|.::.::.|.::.::/|/\|.::.::.::.i.::.::.::.:.i 
                φ:.::./:.::.i::.::.:i::斗テ宀ミ .::.::.:\.::.∨斗宀弌ミ:/j|::.::.: j :.::i::.:.|   「ぁむっ」
              o:.::./i ::.::i::.::.:〃 んuノハ \|\|\| んuノハ ∨|.::.::.リ.::.::i::.:.|  
              {.::.:;.: i .::人 ::.:{i {::.. ..:::}       {::.. ..:::} レ.::.::.::.i.::.::i::.:.|
           __ xく>'|:.::i::.::.::.::.ト、| とつ_ノ         ゝ._(つo厶ィj .:: i.::.::i :八  
        /::.::.::.::.:/ |:.::i::.::.::.::.i:|////   ′    ////|:! ::.:i.::.::i::.::.::.:、
       '⌒ア.::.::.ノ  ノ:.::i::.::.::.::从                   从:: ノ.:: 八:.::.::.:\
                          (この辺に指)


「「「「「「!!?」」」」」」

339 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/23(月) 00:24:39.38 ID:mn7gweJqo

玄「んっ……」ペロッ

京太郎「」ゾワッッッ

玄「ちゅ……れるっ……」ペロペロ

京太郎「く、玄さ、だ、止め、」

玄「ぁ、動かないで。じっとしてて……んむっ」チュー

京太郎「~~~っ!!?」

 吸われてる。

 咥えられて舐られて、挙句の果てに吸われてる。

 玄さんの小さな舌が傷口に何度も触れる。

 その度に感じる熱が、ジワジワと腕を伝って来るような錯覚。

 屈み込んだ玄さんを見下ろすこの角度も良くない。

 誰も何も言えなくて、玄さんの吐息と水音だけが聞こえる時間が続いた。

玄「むぅ、ちゅ、ぷぁ……っ」チュポンッ

 やがて、解放。

 俺の指から玄さんの唇へ、うっすらと唾液の橋が架かって、すぐに途切れてなくなった。

 玄さんは、

            /   . . . . . . . : : : : : : : : . . .   \
             ,  . . . . : : .:. .:..:.:.:.:.:.:. .:. .:.:.:.:.:..ヽ:. . :. ヽ
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        ././ ′:!.:.|.......:小:.:.ハ__ .:.:.:.:iハ 斗:十:.ト:. .|:.:... i:. :
        i:.′} . :|. :! :.:.:斗{:.:「 丁i .:.:.:.ト:.V ヘ:.{\:.:.`!:.:.:. |: :|
        |′.′::l .:|.ト:. .::| ヽ 气{\:.:{ \  ヽ. \} :. : |: :{  「はい、おしまいっ♪」
            i . .:.|:八.:.|ヽ{  _    \   ,z≦ミ、| :.: :.!:. |!
            | : /|.::.:.:.::! ,ァ= =ミ     ´   `'^| :. : |:.小
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            |:′:} .:.: :| ∨ /i     '       .:. :. :.!:. l: {
         ○: :′.:.:.ト. .           ,      八:.:..:}:. l:.‘
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       i:/{:.! .:| .:.:.:. |:::::::/:::::::::ノ}≧ - ´ {入:/.:.:./i/:.:.′:. . ‘.
       |{∧{..:.i:.:{:.:.:‘:.:.::::::::/ 乂    / /:.:.:/V:.:.:.{:.:.:. . . ‘.
         .′..:.八:!ム:.七¨⌒}     >t_ん /:./「/:.:.: 厂 ̄ ≧ 、
         / . rヘ´ ヽ \  |   ∧   ∧'ィ斗v′:.:/       ヽ
.        / . :′       八_{ ̄≧ V__/イ´  {'リ:.:.:.:′      / }
       / . . {⌒ヽ       八  z__{ }___,  {.':.:.:./      /   |
      .′. .:|    \      《    ハ下  . /.:.:.:.′   ,    小
      / . . .:.{     ヽ   }  ∧__/ }ハ ≧7.:.:.:./     /     {:∧
.     / . ./..:.:}      . | く    /  }  ;:.:.:.:.:′ .′/     {:. .‘.
    / . ./..:.:.:.i      ∨ }    `≧-ヘ ∧ノ}:.:.:.:.{ . { .′     }:. . ‘.
  / . :/′:.:.:.}  ‘.     V|         ∨   |:ノ}:.:}  j /    /  {:.:. . ‘.

 玄さんだった。

346 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/23(月) 00:32:16.52 ID:mn7gweJqo

 俺達は、

京太郎「……」

憧「……」

穏乃「……」

宥「……」

灼「……」

レジェンド「……」

ウォーズマン「……」

 ドン引きだった。

玄「え、え、あれ? みんなどうしたの?」

灼「むしろ玄がどうした……」

玄「?」ヘケッ

穏乃「なんで京太郎の指を咥えたんですか?(直球)」

玄「なんでって……消毒だよ?」ヘケケッ

 いやいやいやいや。

358 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/23(月) 00:54:12.47 ID:mn7gweJqo

憧「玄……『ケガしてもツバつけときゃ治る』なんて迷信だからね?」

玄「えっ!?」ガーン

灼「むしろ雑菌がうんたらかんたらで良くな……」

玄「ええっ!?」ズガーン

レジェンド「一概に無意味とは言えないけどね。ただ推奨は出来ないかなー」

玄「で、でも、昔お母さんが怪我したところをぺろって舐めてくれて、「痛いの痛いの飛んでけー」って……だよねおねーちゃん!?」

宥「そんなこともあったねぇ……でも、今の玄ちゃんはあったかくない」ズバァッ

玄「おねーちゃんが冷たい!? うぇえ……おかーーーさーーーーーん!」ビエー

 とうとう泣き出してしまわれた。

憧「とりあえず、保健室行こっか」

京太郎「ああ、そうだな」

憧「ほんとごめんね、痛くない?」スタスタ

京太郎「もう痛みは結構引いたかな。ちょっとジンジンするけど」テクテク

玄「二人とも待ってよーーーーーーーーーー!!」ビエェー

 結局。

 三回目のミッションは玄さんが最後になんもかんも掻っ攫うという、グダグダ極まる結果で幕を閉じたのだった。

361 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/23(月) 01:16:23.52 ID:mn7gweJqo

……
…………
………………

憧「ところで慣れすぎじゃない?」

 夕暮れ時。

 部活が終わり、帰り支度の真っ最中。

 憧が俺にそんなことを言った。

京太郎「何がだよ?」

憧「昼間のアレよ、さわるアレ」

京太郎「ああ、さわるアレ」

 なんともアレなアレのことな。

 存外に長引いてしまい、その分の遅れを猛練習で取り戻す羽目になったので、既に記憶が曖昧だ。

 ただ、憧と玄さんの中があったかかったことだけは覚えてるナリ。

362 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/23(月) 01:20:19.60 ID:mn7gweJqo

憧「京太郎ってさ、女の子にモテたくて長野から出てきたんでしょ?」

京太郎「はい」

憧「の割に手馴れてるっていうか、ハルエの無茶振りにも気後れしたりしないし……あたしばっかり恥ずかしいとかなんか癪!」プンスコ

京太郎「んなこと言われても」

 お前のソレを治す為にやってんだろうに。

京太郎「ま、長野での経験が生きたかな」

憧「……経験?」

京太郎「おう」

憧「………………彼女?」

京太郎「いや、カピと咲で」

憧「なにそれ」

京太郎「ペット」

 と、ペット的なサムシング。

370 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/23(月) 01:40:25.41 ID:mn7gweJqo

憧「ペット!?」ズイッ

 と、

 ここで憧が意外な食い付きを見せた。

 目を爛々と輝かせ、身を乗り出してくる。

憧「え、なに、京太郎ペット飼ってるの!?」キラキラ

京太郎「おー、実家でな。カピバラのカピ」

憧「カピバラ!?」キラー

 目、もうビームでも出るんじゃないかってくらい輝いてる。

憧「カピバラって飼えるの!? 動物園で見るものじゃないの!?」キラッキラキラッ

京太郎「まあ一般的にはその認識で正しいよ……あ、写メあるぞ。見るか?」

憧「見たいっ!」キラキラキラキラーッ

 これ誰(暴言)。

 こいつ、本当に新子憧か……?

 この素直さ、無邪気さ、穏乃といい勝負なんじゃあないかな?

373 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/23(月) 02:06:14.55 ID:mn7gweJqo

京太郎「ぽちぽちぽちっと。ほい」スッ

憧「ありがとっ。……うっわぁー!」パァァッ

 おお、爛々を通り越して煌々と……

憧「なにこれなにこれ可愛い~! 目ぇ閉じてる~!」

京太郎「他にもあるから好きに見ていいぞー」

憧「うわっ、こっちも可愛い……! へー、こんな風に眠るんだぁ……」

 興味津ッ津、食い入るように画像を眺める憧。

 その間に俺は、

京太郎「おーい、穏乃ー」チョイチョイ

穏乃「?」

 玄さんと話していた穏乃を呼び寄せた。

穏乃「どしたのっ?」

京太郎「憧ってさ……もしかして、動物とか好き?」

穏乃「好きなんてもんじゃないよ! 大々だーい好き!」

京太郎「なんと」

 今明かされる衝撃の真実ゥ。

385 名前:5月5日(日)[saga] 投稿日:2013/09/23(月) 06:26:36.91 ID:mn7gweJqo

穏乃「小学生の頃も登下校中に見かけた犬や猫をよく構ってたっけ」

玄「部屋にはペットの飼い方とかしつけ方とかの本がいっぱいあるよねー」

京太郎「へぇ……」

 重ね重ね意外だ。

 そういうキャラって穏乃の担当だと思っていたが。

憧「京太郎京太郎っ、写メって他にないの?」クイクイ

京太郎「一周したんならそれで終わりだよ」

憧「えー残念……カピの写真ばっかりでサキのはないんだ?」

京太郎「え? おう」

 そういえば咲と写メなんて撮ったことないな。

 プリクラなら一度ゲーセンで撮ったけど、奈良には持ってきていない。

憧「いつか本物に会ってみたいなー。どっちもモフモフしたい」

京太郎「意外とゴワゴワしてるぞ? それに咲は油断してるとホーンが刺さるから危険だ」

憧「ホーン? カピバラに角なんてないでしょ?」

京太郎「いやカピバラじゃなくて咲は人げ――」

レジェンド「ほらそこ、モタモタしてるとカギ閉めちゃうぞー」

「「あ、はーい」」

 怒られてしまった。

 俺も夕飯の買い物があるし、早く帰らないと。

 しかし久しぶりにカピの話をして俺も懐かしくなってしまった。

 実家から昔のアルバムでも送ってもらおうかな。

 そんなことを考えながら、夕焼けに染まる部室を後にした。

【TO BE CONTINUED...】
最終更新:2013年10月16日 00:41
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