温泉旅館に泊まろう! 紅蓮篇

246 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/01(日) 00:54:01.84 ID:I/5kRpkmo

 集合は正午過ぎ、昼飯を食べてからだった。

 おかげ様で入学以来最ものんびりした朝を過ごすことが出来た。

 ……溜まっていた家事とか、やれたら良かったんだけどな。

 ゴロゴロするばかりで何も捗らなかった。現実は非常である。

 だがしかし。

 敢えて言おう。

 「知るかバカ! そんなことより合宿だ!」

 と。

 そう、合宿だ。

 温泉旅館に一泊二日で。

 躍るわ、心が(倒置法)。

京太郎「う~~ベンチベンチ」

 そんな訳で待ち合わせ場所である川沿いのベンチを目指しているのだ。

248 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/01(日) 01:13:52.34 ID:I/5kRpkmo

 雑多な荷物でパンパンになったバッグを揺らして走る。

 この辺りだと思うんだけどな。

 川沿いの、近くに橋があるベンチ。

穏乃「おーい、京太郎ー!」

京太郎「お」

 穏乃だ。

 こっちに向かってぶんぶんと手を振っていた。

 駆け寄る。

京太郎「よーお待たせ」

穏乃「おはよ!」

灼「もう昼だけどね」

憧「ぶっちゃけ結構待ったわ」

レジェンド「時間にルーズな男はモテないぞー」

 集合場所にはもう全員が揃っていた。

 松実姉妹以外の部員と、レジェンド。

257 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/01(日) 01:47:40.04 ID:I/5kRpkmo

京太郎「だったらまず集合時間をちゃんと決めてくださいよ。なんすか昼飯食べたら集合って。土曜の小学生ですか」

レジェンド「童心を忘れない勇気!」

 ぬかしおる。

穏乃「んじゃ早く行こう!」ウズウズ

京太郎「あ、そうだな。……っていうか、お前は外でもそのジャージなのな」

穏乃「動きやすいからねっ!」

 そういう問題だろうか。

憧「もー、しずってばいつまでもそんなこと言ってられないんだからね。いい加減オシャレとか覚えなさい」

穏乃「ウェヒヒ」

憧「笑って誤魔化さないっ!」ズビシ

 鋭いツッコミを披露する憧は、穏乃とは対照的な、いかにも女子高生という装いだった。

 入学式前日に見かけて以来、二度目の私服姿である。

京太郎「ふむ」ジー

憧「……? な、なによ」

京太郎「いや、私服が新鮮だなーって」

 派手過ぎず地味過ぎず、センスの光るコーディネートだ。

 とか言ってファッションとか知らんけどな。俺。

262 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/01(日) 02:02:37.58 ID:I/5kRpkmo

憧「だからって見過ぎ! あっち向いてて」

京太郎「へーい」

 あっち向く。

 穏乃→憧と視線が動いたので次は鷺m

        ,.'`──、     _,.-'" ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`丶、
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         彡    ,'  ヾ、::¨::::ゝ      |      イ::¨:::::ア ',      彡ミ
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           }   |!      |!          |!       ∴    三`ヽ,
           ヽ  |!      |!           |!        |!    ミ三  `ヽ、
            }  `      /           ヽ            三  ::   `ヽ、
            }        /         :::   \    :: ::::   ミ    ::::    `ー───────
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269 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/01(日) 02:15:03.45 ID:I/5kRpkmo

 チーターだ!

 違うTシャツだ。

 鷺森部長のTシャツに潜む野獣の眼光が俺を射抜いていた。

灼「……」

京太郎「……」

灼「…………」

京太郎「…………」

灼「………………」

京太郎「………………」

        /´〉,、     | ̄|rヘ
  l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/(^ーヵ L__」L/   ∧      /~7 /)
   二コ ,|     r三'_」    r--、 (/   /二~|/_/∠/
  /__」           _,,,ニコ〈  〈〉 / ̄ 」    /^ヽ、 /〉
  '´               (__,,,-ー''    ~~ ̄  ャー-、フ /´く//>
                                `ー-、__,|     ''





京太郎「そのTシャツいいーーーっスねェーーーッ。すごくいいです、超イケてる」

灼「でしょ」フフン

 俺は何も見なかった。

291 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/01(日) 11:13:12.92 ID:I/5kRpkmo

レジェンド「よーし、そろそろ本当に出発するよー」

「「「「はーい」」」」

 という訳で移動開始だ。

 宿泊先であり松実姉妹の実家でもあるという松実館へ、レジェンドの先導で歩き出す。

憧「ねえ、ちょっと」チョイチョイ

京太郎「お?」

 その矢先、憧にシャツの背中を軽く引っ張られた。

 穏乃と鷺森部長の推定身長140cm台コンビを先行させ、やや後ろの位置で並ぶ。

京太郎「どうかしたか?」

憧「ん……あのね、言うべきかどうか迷ったんだけど……やっぱり言っとくわね」

京太郎「?」

憧「……松実のおばさん――つまり玄と宥姉のお母さんね、二人が小さい頃に亡くなってるのよ」

京太郎「え」

 急な。

 言葉に詰まった。

 それを見越してか、返事を待たず憧が続ける。

憧「あ、勘違いしないでよ。玄も宥姉も踏ん切りはついてて、今更ほじくり返すことじゃないってだけだから」

292 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/01(日) 11:14:41.56 ID:I/5kRpkmo

 それはつまり。

 何かの拍子に俺が松実姉妹に母親の所在を尋ねたりしないよう、釘を刺してくれたってことか。

京太郎「………………憧」

憧「な、なに?」

京太郎「お前いい奴だなぁ」

憧「ふきゅ」

京太郎「忠告ありがとう、気を付けるな」

憧「ぁ、べ、別に! あんたの失言でせっかくの合宿が白けるのが嫌なだけだし……」プイッ

京太郎「それでもいいよ。お礼に頭を撫でて差し上げたい」

憧「あと少しでも近づいたら舌を噛んで死ぬわ」ゴゴゴ...

京太郎「そこまでのことか!?」ガーン

憧「あのね、女の子の髪っていうのは気安く誰にでも触らせるものじゃないの。分かった?」

京太郎「へーい」

憧「そういうのはあたしじゃなくてしずにでもやってなさいよね」フン

京太郎「おーい穏乃ー。頭撫でていいかー?」スタスタ

穏乃「えー? いーよー」

憧「本当に行くなあ!! しずも簡単にオーケーしないっ!」ガーッ

315 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/02(月) 01:12:50.84 ID:3cNj9zjRo

……
…………
………………

~松実館~

レジェンド「ごめんくださーい!」

 エントランスっつーか玄関っつーか、な場所でレジェンドが声を張り上げる。

 俺はその後ろでキョロキョロと内装を眺めていた。

 思ってたよりずっと立派だ。

 観光名所の老舗旅館、侮るべからず。

玄「はーい」パタパタ

 と。

 足音を立ててやって来たのは玄さんだ。

 その後方には宥さんの姿も見える。

 姉妹は俺達の前でピタッと止まり、ビシッと背筋を伸ばして、

            /   . . . . . . . : : : : : : : : . . .   \
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                「「松実館へようこそ!」」

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            〈/: /: : : : : : :/::/: : : : : : : : : :ヽ: ヽ: ::ヽ
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         〉.i:|: ::ヽ、: ::ヽ--ゝ.、    ̄  _  ''--y: : /: : ノ 〈
         〈 //: ::ヽ:!:、:::ゝ ` ヽ`iゝ-___.イー ''´ /://: : :/| 〉
         .〈〈!: : :ヽ|ヾゝ:ゝ            /イ:/: ::/、:ヽ
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      〈  /: ::_>、: : : ヽ_             /: : : :/r-- f'_: :\ 〈
      〉/: :::! ヽ: : : ::ヽ`ゝ 、____,__,__, r-./: : : :/   /. ヽ: ::\ 〉

 (重婚すべし)

323 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/02(月) 01:40:05.55 ID:3cNj9zjRo

穏乃「やほー!」

憧「来たわよー」

灼「お世話になります」

京太郎「着物が素敵です!」

憧「この流れで言うこと!?」

京太郎「バカヤロウ憧、憧バカヤロウ。今言わずしていつ言うんだよ!」

憧「誰がバカよ!」キシャー

玄「ま、まあまあ憧ちゃん……京太郎くんも褒めてくれてありがとうね。でもこれ、正確には着物じゃないんだよ?」

 そう言って着物(じゃないらしい何か)の袖をフリフリさせる玄さん。

 「いや、着物じゃん」と思っていると、

穏乃「二部式って言うんだよ京太郎。パッと見は着物っぽいけど、上下に分かれてて着やすいんだ!」

 予想外の方向から正解が飛んできた。

京太郎「へ~……よく知ってたな穏乃」

穏乃「まあねっ」フフン

 無い胸を張る穏乃。

憧「みんなで春休みにバイトして、その時に自分で着たもんねー?」

 を、憧の無慈悲なネタバレが襲った。

京太郎「やはりそういうことか」0M0

穏乃「あー!? なんだよー言うなよ憧ー!」ムッキー

憧「ごめんごめん、しずが柄にもなく物知りぶってるのが面白くて」テヘペロ

342 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/02(月) 17:24:01.17 ID:3cNj9zjRo

レジェンド「宥、親御さんは? まず挨拶しときたいんだけど」

宥「あ、父は今手が離せなくて……先にお部屋へお通しするように言われてます」

レジェンド「そか。じゃあみんな、荷物持って移動~」

穏乃「はーい!」

灼「よっこいしょういち」

玄「あ、お客様の荷物は私が!」アセアセ

京太郎「いや自分で持ちますよ」

憧「お金払ってないしねー」

 ていうか今日は玄さん達も泊まる側だろうに。

 だからこそギリギリまで家の手伝いをしてるのかな。

 和服が似合う美人姉妹の案内で、俺達は今日泊まる部屋へ向かう。

~客室~

玄「はいっ、ここが皆様のお部屋なのです!」ジャーン

穏乃「おぉー!!」

憧「バイトで泊まった部屋より豪華~!」

灼「あの時は雑魚寝だったしね」

京太郎「すっげー……これがタダって、どんな手を使ったんですか監督」

レジェンド「人聞き悪いな!? 昨日も言ったけど、松実さんのご厚意なんだって。なー玄?」

玄「はい! お父さん、仕事が忙しくて父母会なんかにも中々参加出来ないのを気にしてて……」

宥「それで、折角だから部活でうちを使ってもらおうって」

京太郎「ええ人や……」ホロリ

343 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/02(月) 17:25:11.10 ID:3cNj9zjRo

レジェンド「という訳で! 今日から明日の夕方までこの部屋で麻雀三昧だー!」オー

穏乃「麻雀三昧だぁー!!」ウオォー

京太郎「やることは普段と変わらないんすね」

憧「ま、文化系の部活だしね」

灼「卓があればどこでも構わな……」

レジェンド「なんだよノリ悪いなー。いつもと違う環境で打つのも楽しいよ? 温泉でリフレッシュも出来るしさ」

憧「温泉……! そうよね、また松実館のお風呂に入れるのよね」ウキウキ

穏乃「なんなら今から入る!?」ソワソワ

宥「あったかいお風呂……」ポワワーン

レジェンド「その前に荷物下ろすよー。いつでも打てる状態にしとこ」

京太郎「そっすね。玄さん、俺の部屋はどこでしょうか?」

玄「え?」

京太郎「えっ」

憧「えっ?」ピクッ

345 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/02(月) 17:28:33.43 ID:3cNj9zjRo

玄「?」ヘケッ

京太郎「あの、俺の部屋は……」

憧「もちろん別に……あるわよね……?」

玄「えっ」

京太郎「えっ」

憧「えっ」



「「「………………」」」










玄「……あっ!」

「「えっ!!?」」

425 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/03(火) 00:43:29.91 ID://kiubHoo

玄「どどどどうしよー!? 京太郎くんが男子ってこと忘れてたよー!?」

憧「はああああああ!? どうやったらそんな重要なこと忘れられんのよ!?」

 玄さんの悲鳴と憧の絶叫が重なって響く。

 それに気付いた穏乃達が俺達の方に集まってきた。

穏乃「なになに、大きな声出してどしたの?」

レジェンド「替えのパンツでも忘れた?」

 レジェンド。

憧「ハルエー! 玄がまたやらかしたー!!」

玄「またってなに!? 私そんなにしょっちゅうやらかしてないよ!?」

灼「割とやらかしてるけどね」ズバァッ

玄「ズガーン!?」

宥「くろちゃー……」

 ごめんなさい玄さん、付き合いの短い俺から見ても割とやらかしてるイメージです。

429 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/03(火) 01:02:05.03 ID://kiubHoo

レジェンド「で、何をやらかしたって?」

玄「うぅ……実は、京太郎くんがいるのに一部屋しか確保してなかったのです……」シューン

レジェンド「あらま」

灼「あらた」

穏乃「えっ最初から同じ部屋で寝るつもりじゃなかったの?」

 穏乃。

憧「当たり前でしょ!? あたし達まだ高校生なんだから、そんな、一緒の部屋とか……」ゴニョゴニョ

京太郎「まったくだぜ! 健全な男女が一緒の部屋で寝るなんて、まったく最ッ高だぜ!!」グッ

憧「ほらぁ!!!」

レジェンド「うーん……流石に今から別の部屋は取れないよな?」

宥「は、はい、もう満室なので……」プルプル

京太郎「困りましたねぇ(ゲス顔)」

 いやはや本当に困った。

 もつかな理性。

玄「………………京太郎くん!」

京太郎「ひょ?」

 呼ばれて振り向く。

 先程までしょげ返っていた玄さんが、何やら決意の面持ちで。



玄「わ、私の部屋に泊まる?」



 どかーん。

448 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/03(火) 01:27:52.75 ID://kiubHoo

憧「いやいやいやいやいやいやいやいや!! なに言ってんの玄!?」

玄「だ、だって、こうなったのは部屋を手配した私のミスだから……」

憧「だからって男を部屋に上げるなんてありえないでしょ! 何かされたらどうするの!?」

玄「大丈夫だよ! 京太郎くんは紳士だし、おもち好きに悪い人はいないもん!」

憧「今はおもち好きなことが最大の問題なんだってば!」

 ヒートアップする口論。

 どれ、少し落ち着かせるか。

京太郎「安心しろ憧、おもちでのみ論じるならお前は射程距離外だ」キリッ

憧「今そんな話してない!!!」バキィッ

京太郎「やぶへびっ!」グハァッ

 火傷した。

憧「とにかく! あたしはこんな変態と同じ部屋で寝るのも玄の部屋で寝かせるのも反対だからね!」

穏乃「じゃあどうするの?」

憧「え…………………………帰ってもらう?」

京太郎「あァァァんまりだァァアァ!!!!!」

 火傷じゃ済まされない問題になってきたゾ。

461 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/03(火) 01:57:17.95 ID://kiubHoo

レジェンド「んー、折角の合宿なんだし須賀くん一人だけ帰すのもねぇ」

穏乃「そうだそうだ! 京太郎と遊べなくなるじゃん!」

憧「う……」

 いや穏乃は練習しろよ。と言いたいが黙っておこう。

レジェンド「てことで灼、なんかいい案ない?」

灼「え、私……?」

レジェンド「部長だからね」ニッ

 そういう君は監督・ジョースター。

灼「ふむ……まずハルちゃんの意思を尊重して、須賀くんも合宿に参加することが大前提として」

 大前提なんすね。いや助かりますけど。

灼「やっぱり須賀くんも同じ部屋に寝かすのが無難だと思」

憧「え゛、なんで!?」

灼「憧が心配するみたいな変態行為を須賀くんがするとしたら、玄と二人っきりにするのは危険」

玄「わ、私は平気だよ?」

宥「玄ちゃん、静かに」

玄「はい……」

灼「なら同じ部屋で、大人数で見張ってた方が楽で確実。女子がこれだけいたら狼藉を働くのも大変だろうし」

憧「な、なるほ……ど……?」ウゴゴゴ

穏乃「決まりだね!」

 鷺森部長って凄い。俺は改めてそう思った。

471 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/03(火) 02:18:45.92 ID://kiubHoo

レジェンド「そんじゃー寝床の問題も解決したところで」

憧「温泉でも入りたいわね……」ゲッソリ

レジェンド「憧」

憧「え?」

レジェンド「須賀くんのこと名前で呼んでみ」

憧「は?」

 オレェ?

 急な話の流れに面食らう。

 まあ、憧の方が驚いてるだろうけど。

京太郎「なんすか急に」

憧「そ、そうよ。名前って……よ、呼んでるじゃない」

レジェンド「一回だけでしょ?」

京太郎「一回だけですけどね」

憧「ふきゅ……」

478 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/03(火) 02:41:01.78 ID://kiubHoo

レジェンド「せっかく自分から歩み寄ったんだから、ちゃんと名前呼びを定着させよう!」ウムッ

憧「よ、余計なお世話よ! あたしにはあたしのペースってものが……」

灼「日が暮れる」ズバァッ

憧「うっぐぅ……!?」

 鷺森部長の容赦無い一太刀を浴びる憧。

 まあ、確かに一昨日以来呼ばれてないよなーと気にはしてたけど。

 いい機会だ、レジェンドに任せよう。

レジェンド「灼の言う通り、時には外部からの介入も受け入れないと埒が明かないよ?」

憧「うー、でもぉ……」

レジェンド「名前で呼ぶだけだって! 須賀京太郎くん。さんはいっ」

憧「……」

レジェンド「さんはい!」

憧「………………須田幸太郎」

京太郎「ダレェ!?」

486 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/03(火) 03:05:36.91 ID://kiubHoo

憧「す、スケキヨ太郎」

京太郎「犬神家!」

憧「今日タオル」

京太郎「惜しい! いや惜しくないけど惜しい!」

憧「†狂堕r」

京太郎「おいばかやめろ」

憧「ばかって言わないでよ!」ムキー

京太郎「言いたくもなるわ! なんで名前呼ぶだけでこんだけボケ倒すんだよ!」

憧「ボケてないわよ! あたしは至って大真面目!」

 むしろボケでしたーと言って欲しかった。

 憧の男嫌いの重篤さを再確認する。

 と、

玄「憧ちゃん」ポンポン

憧「玄?」

                 ......-‐……‐-.....
               .......................................................、
            /...........................................................\
            /.........................:.:.:.:....:.:.:..............................\
          .................:.:.:.:.:::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:....\....................
          /......./...:.::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:...ヽ:..................,     怖がらなくていいんだよ?
.          /............:.:::::::::::: |::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::.:.:...::.:................′
        ...........:.::l::::::::::l |::::::::::::::::::|:::_::::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::
        ;..../|::::i:::|:::::i斗‐|::{ :::::::::i:::「\:::\::::::i:::::::::|::|:::::::::::::i    確かに最初は恥ずかしい気持ちもあるけど……
        |:/ :|::::i::l|:::::i:::| |八 :::::::i:::|   \:::\|:::::::::|::l:::::::::|:::|
        |i  |::::l::l|:::::iΝ:   \:::∨ ≫ぅ弌ミj|:::::::::|::l:::::::::|:::|
        {;  |::::|八::::i≫ぅ斥   \  r'::ノrい》:::::::::Ll:::::::::|::::    実際に呼んでみるとね、心の距離が縮まったなぁって感じるの
         |::::|:::::ヽ《 r'::ぃ       ∨:.(ソ |::::::::::ト|:::::::::|:::::,
         |::::l::::::::::  V(ソ          |::::::::::|:!:::::::::|:::::′
         |::::i::::::::小 ,,,   ,     ''''  |::::::::::|j::::::::::|::::::::    だから、やっぱり名前で呼び合うのってすごく大切なことだと思うな
          乂j::::::::::い                |::::::::::|:::::::::::l:::::::::
          [_] :{::::::::i:人      ー  '     |::::::::::}:::::::::::}::::::::|
         /:::{ :{i:::::::i:::::::>...       /  }::::://::::::::::/:::::::::|   憧ちゃんも京太郎くんと仲良くなりたいなら、勇気を出して名前で呼んでみようよ
         |:::{ 八:::::{::::::::::::i::::::≧ァr     /::://::::::::::/::::::::::::|   
         |::::::\|\:::::::::::::i::::::::/{_j _/厶イ,::::::::::::::|::::::::::::::|
         ∨\;;|::i:::\:::::/::::::// 廴厂〉    :|::::::::::::::l\:::::::::|
             |::i::::::::::厶イ /| |  :/∧   |::::::::::::::|  ニ=-
             |/::::::::/   ∨ | |  厶=ーx' |::::::::::::::|      \
            /::::::::/ 厂 ̄ ̄ア7゙     ノ |::::::::::::::|       ⌒`:.
.             i ::::::::/  〉   《__jヽ    |  |::::::::::::::|    /    .
           | |::::::|   {     ノ八    |  |:i::::::::::::|.    /      i
           | |::::::|  ∧_/ /| \__,ノ  |:i::::::::::::||  /        |
           | |::::::|: /     // :|     }  |:i::::::::::::||  ,         |

玄「ね?」ニコッ

憧「ドラァ!!」バキィッ

玄「ぶべらっ!?」ドサッ

宥「くろちゃー!?」

 これは仕方ない。知らんけど。

494 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/03(火) 03:22:14.17 ID://kiubHoo

レジェンド「ほらほら脱線してるよ、名前はよ」パンパン

憧「ぅぐ、急かさないでよっ」

灼「はよ」パンパン

穏乃「頑張れ憧ー」

宥「ふぁいと~」

憧「……きょ、」

 おっ。

憧「きょ、きょ……きょう、……たっ………………きょうたr」



レジェンド「須賀くーん。憧が10回「京太郎」って言う前に100回「憧」って言えたら憧のことメチャメチャにしていいよー」



憧「は?」

京太郎「マジすか! うおお憧憧憧憧憧ー!!」

憧「ちょっ!?」

503 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/03(火) 03:58:44.26 ID://kiubHoo

京太郎「憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧」

憧「や、だめっ、速いってば!」

京太郎「憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧」

憧「うそ、やだやだやだ……待って、止めてったら――京太郎っ!」

京太郎「憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧」

憧「きょう、たろう……っ! 京太郎っ、京太郎!」

京太郎「憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧」

憧「京太郎京太郎京太郎京太郎京太郎京太郎ーーーーーーーーーーっ!!///」

京太郎「憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧憧あああ゛ア゛ぁチクショウ負けたああああああああああ!!!」

 なんてザマだ須賀京太郎!

 お前なんて今日から須田幸太郎だ! 又の名を田吾作!

 床に両手両膝をついて項垂れる。単純に「憧」の連呼で疲れたというのもあるが。

憧「はああぁっ……」ペタン

 対する憧もその場にへたり込み、著しく消耗した様子を見せていた。

 息は荒く、顔は赤く、一滴の汗が頬を伝って畳に落ちる。

 そしてどこか虚ろな目で、

憧「……………………………………………………い、いっちゃったぁ……///」

 ぅゎぁこぇろぃ。

558 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/04(水) 00:51:03.02 ID:qJfvPhM4o

……
…………
………………

ガラッ

宥「お、お待たせしました~」

玄「松実玄、ただいま戻りました!」ケイレイ!デタ!ケイレイデタ!

 松実姉妹が私服に着替えて戻ってきた。可愛い。

 右を向いても左を向いても美少女ばかりで、自分が男子高校生としてどうしようもなく恵まれた環境にいることを再認識する。

玄「あ、そうだ京太郎くん」

京太郎「はい?」

玄「今お父さんに確認したんだけど、京太郎くんもこの部屋に泊まって問題ないそうです!」

京太郎「えっ確認したんすか!?」ギョッ

玄「したよ?」ヘケッ

 したのか……

 いや、知らん顔で女所帯に紛れ込むのもどうかと思うけどさ。

 男と同室で寝ることを父親に報告する玄さんも、あっさり(?)許可を出す親御さんも、すごい。

568 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/04(水) 01:14:58.78 ID:qJfvPhM4o

レジェンド「やっと全員揃ったことだし、まず一局打とうか?」

穏乃「さんせー!」

憧「うー、ヘンな汗かいたから温泉入りたい……けど、合宿だし仕方ないか」

玄「やってやるのです!」

宥「じゃあ私は見学してるね?」イソイソ

灼「見学に毛布はいらな……」

 レジェンドと穏乃、憧、玄さんが卓を囲む。

 残った二人と俺は後ろで観戦だ。

 準備も終わり、ようやくGW合宿の幕が上が――

コンコン ガラッ

「失礼いたします。玄ちゃん、ちょっといいかい?」

 ――上が、あがが。

玄「あ、はい! どうしました?」

 呼ばれた玄さんが立ち上がって応じる。

 年配の訪問者は二部式を着ていた。つまり仲居さん――旅館の従業員だろう。

 その人が、玄さんに用事。

 あまり良い予感はしないな。

575 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/04(水) 01:38:10.09 ID:qJfvPhM4o

「あのね、言いにくいんだけど……」

 仲居さんが玄さんに耳打ちをする。

 玄さんの表情が、段々と難しくなっていく。

憧「……どうかしたの?」

玄「う、うん……連休中に臨時で雇ってるバイトの人が来れなくなっちゃったんだって……」

穏乃「え、なんでっ!?」

玄「風邪らしいんだけど……それで、人手が足りなくなっちゃって……その……」

灼「もしかして、玄が?」

玄「……」

 こくり、と。

 玄さんが無言で頷いた。

 室内に重い沈黙が立ち込める。

 「折角の合宿なのに」。

 そんな雰囲気だ。





 だから、

京太郎「あの、俺じゃダメですか?」

589 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/04(水) 02:17:15.75 ID:qJfvPhM4o

玄「えっ!?」

憧「京太郎!?」

 前後から驚きの声と視線が刺さる。

 敢えて無視。

京太郎「玄さんに比べたら役に立たないと思いますけど……雑用から力仕事までなんでもやります!」

玄「ま、待って京太郎くん! お客様にそんなことさせられないよ!」

 予想通りの反応。

 ならば俺も予定通りの対応だ。

京太郎「違いますよ玄さん、間違ってます」

玄「へ?」

京太郎「俺は麻雀部のマネージャーです。つまり――玄さんの身内ですから」ニコッ

玄「~~~っ!?///」ボフンッ

京太郎「マネージャーとして、選手が練習に打ち込める環境を作るのも大事な仕事の内……ですよね監督?」

レジェンド「え? あー、まあ、そうとも言えるけどさ……」ポリポリ

京太郎「んじゃ問題ないっすよね! さ、行きましょう美人のお姉さん! 存分にこき使ってください!」ズイズイ

「あ、あらあら。お姉さんだなんて……それじゃあ、お言葉に甘えちゃおうかしらね?」

京太郎「イエスマム! ささ、早く早く」ズイズイ





穏乃「京太郎ありがとー! 頑張ってきてねー!」

憧「……ふん、だ。かっこつけ」

灼「達者で」

宥「京太郎くんありがと~……ほら、玄ちゃんも」

玄「あ、あり、あう、ありありありあり……あうぅ……///」

 そんな賑やかな声援を背に受けて、俺は旅館の手伝いへと向かった。

600 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/04(水) 02:38:46.77 ID:qJfvPhM4o

……
…………
………………

 で、

 手伝いから解放されたのは、陽も沈みかけた頃だった。

 パねぇ。

 旅館パねぇ。

 情け容赦なく働かされた。

 いや、こっちから志願した訳だし、多少はね?

 だが多少ってレベルではなかった。

 建物の端から端まで駆けずり回って、行く先々で雑用雑用アンド雑用。

 でもなんだろう、細かい仕事をひとつずつ片付けていくのって快感だ。

 意外と向いてるのかもなー、雑用がkゲフン! マネージャー。

 そんなことを考えながら部屋に帰還する俺だった。

ガラッ

 京太郎「ただいまー」

605 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/04(水) 03:02:07.82 ID:qJfvPhM4o

玄「あ、京太郎くん!」

穏乃「おかえりー!」

 ちょうど観戦に回っていたらしい玄さんと穏乃に出迎えられた。

 卓ではレジェンドと憧と宥さんと鷺森部長が打っている。

京太郎「………………あっれぇ……」

憧「どうかしたの?」

京太郎「こういう場合って扉を開けたら何故かみんな着替えててキャーエッチーみたいな流れじゃないの?」

憧「バカじゃないの?」

 めっちゃ蔑んだ目で見られた。

京太郎「そんな……なんの為にノックもせずに入ったと思ってるんだ……」ガクッ

憧「次ノックしなかったら殺すからね」

 更に脅迫までされた。メゲる。

611 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/04(水) 03:19:28.19 ID:qJfvPhM4o

憧「っと、ツモ! 2000・4000!」パタッ

宥「あぅ、最後でまくられちゃったぁ……」

憧「えっへへー、やりぃ♪」

 ちょうど対局が終わるタイミングだったようだ。

 一位は憧、二位が宥さんか。

 で、

レジェンド「……もうレジェンドもインターハイもないんだよ……」

灼「そんなことないよ! ハルちゃんは最高だよ!」

 三位が鷺森部長で四位がレジェンドだな。間違いなく。

玄「赤土さん、今回は運が悪かったみたいで……」

穏乃「初っ端から宥さんに親満直撃食らってたよね……」

 哀レジェンド……

レジェンド「ぅがー! 負けたら腹減った! ご飯にしようご飯!」ガタッ

 なんか言い出した。

614 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/04(水) 03:51:22.32 ID:qJfvPhM4o

憧「ご飯って……まだ早くない?」

レジェンド「いーんだよ! どうせ外に食べに行くんだから好きな時間でっ」

京太郎「そういえばそんな話でしたっけ」

玄「ごめんね、私が家に遠慮しちゃったんだ」ショボーン

宥「わ、私も」プルプル

灼「別に気にすることじゃな……」

穏乃「そうですよ! みんなで連れ立って歩くのも楽しそうだし!」

レジェンド「お、しずが今いいこと言った! じゃあ誰か、何か食べたいものあるー?」

穏乃「はいっ! ラーメン食べたい!!」

憧「出たラーメン。別に嫌いじゃないけど」

玄「私はみんなの好きなもので」

宥「あったかいものならなんでも……」

灼「ハルちゃん」

京太郎「んじゃ俺もラーメンに一票」

レジェンド「となると……ラーメンで決まりかな?」

穏乃「ぃやったー!」キャホーイ

レジェンド「それじゃあラーメン屋に向けて、総員出撃ー!!」

「「「「「「おー!」」」」」」

671 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/05(木) 01:13:29.18 ID:pJ9Ar6zCo

……
…………
………………

~ラーメン屋~

ガラッ

レジェンド「ちわ! 大将ご無沙汰~!」

 常連っぽさ全開の気安さで暖簾をくぐるレジェンド。

 俺達は一軒のラーメン屋を訪れていた。

「おぉ、ハルちゃんじゃねーか! 元気してたか!?」

 迎えるのは威勢のいい声。まさに「大将」って感じだ。

レジェンド「元気元気! 今日はね、教え子を連れて来たんだ。麻雀部なんだよ」

 ひょいと身体をどけて大将の視界に俺達を入れる。俺達、会釈。

レジェンド「この店は私が学生時代の行きつけだったんだ。部活帰りによく寄ったなー」

京太郎「へー」

レジェンド「ちなみに望とね」

憧「へー」

 人に歴史あり、レジェンドに伝説ありといったところか。

674 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/05(木) 01:31:32.12 ID:pJ9Ar6zCo

 まだ早い時間なせいか、他の客の姿はなかった。

 とりあえず席に座ろう。

レジェンド「んー、私は大将と喋りたいからカウンターがいいんだけど」

灼「じゃあ私もカウンター」

憧「だったらテーブルに四人と、もう一人カウンターって感じ?」

京太郎「だな」

穏乃「私テーブル取ったー!」

玄「私もテーブルがいいなぁ」

宥「調理場に近い方があったかそう……」

 決まったった。

 憧と顔を見合わせる。

京太郎「……俺達も座るか」

憧「……そーね」

 で、

カ   玄穏
ウ宥  京憧
ンレ
タ灼  テー
|   ブル

 こうなった。

682 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/05(木) 01:59:21.54 ID:pJ9Ar6zCo

レジェンド「そんじゃさっさと注文決めてねー」

穏乃「はーい!」

レジェンド「ちなみに私の奢りだから」ニッ

 ざわっ。





京太郎「チャーシュー麺大盛りと餃子、あとチャーハン!」

穏乃「私も同じやつ!!」

憧「あたしは野菜ラーメン油少なめで♪」

玄「おもちラーメン! え、ない!?」

宥「スペシャル溶岩ラーメンください」

灼「にんにくラーメン。チャーシュー抜き」





レジェンド「………………大将。ラーメン」

「あいよ! 全員に味玉サービスしてやる!」

レジェンド「3キュー4ever……」

697 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/05(木) 02:29:45.38 ID:pJ9Ar6zCo

 注文の品はあっという間に出揃った。

 たまにあるよな、妙に商品の提供が速いラーメン屋。

 ともあれ、

レジェンド「それじゃー手ー合わせてー!!」

「「「「「「「いただきまーす!」」」」」」」

 ヤケ気味のレジェンドの号令。続けて合唱。

 早めの夕食が始まった。

京太郎「」ズビズバー

 うん、うまい。

 いかにもラーメンっていうラーメンだ。

 こういうラーメンを出す店が近所にあるのって、今の時代じゃちょっとしたラッキーだよな。

穏乃「おおっ、このチャーハンご飯粒がパラッパラだ!」ガツガツ 

京太郎「ほほう」

 それを聞いて俺もチャーハンに意識を向ける。

 これまた特徴らしい特徴はないが、しかし生真面目さの伺える一品だ。

 丸く小高く成形されているのが無性に嬉しい。

京太郎「あぐっ」

 味も予想通り……否、期待通りだ。

703 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/05(木) 02:57:26.94 ID:pJ9Ar6zCo

 間にラーメンを食べて、次は餃子だ。

 人によっては顰蹙を買うかもしれないが、俺はラー油をたっぷり入れる。

 ラー油の代替不能な辛味を楽しむなら餃子が一番だと思うからだ。

 狐色に焼けた面をタレに浸し、口まで運ぶ。

京太郎「あちっ!」

 この熱さは想定外だった。

 たまに生温い餃子を出す店もあるからと油断していた。

 慎重に、礼を持って……改めて。

京太郎「あふあふ」

 でも熱い!

 斜向かいでは穏乃も同じ様子だった。

 この焦げ目、曲者。

 でも美味いぞ。かなり美味い。

 ネギが入ってるのかな、シャクシャクと食感が愉快である。

 かじった断面にタレを二度漬け。ラー油の染みこんだ第二弾を口の中に放り込む。

京太郎「……うん」

 ラー油って庶民の食卓を簡単に中華にしてくれるから好きだ。

 中国、行ったことないけど。

709 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/05(木) 03:26:34.53 ID:pJ9Ar6zCo

憧「……しーずー。餃子おいしそうだね?」

穏乃「むっ! やらないよ?」ササッ

憧「おいしそうだねって言っただけなんですけど……まあ、もらうつもりだったんだけどさ」

京太郎「俺のやろうか?」

憧「え、ほんと?」

京太郎「ほれ、あーん」

憧「あー……いやいやいやいや!?」

 ガタァッ! と椅子を浮かせてのけぞる憧。

京太郎「行儀悪いぞー」

憧「だ、誰のせいよ!? そういう不意打ちやめてくれる!?///」

京太郎「じゃあ「あーんさせてください」って言ったら良かったのかよ!?」バンッ

憧「逆ギレすんな!!」



玄「じー……」ジー

穏乃「むぐむぐ……玄さん? なに見てるの?」

玄「え、あっ!? な、なにも! 京太郎くんの顔なんてミテナイヨ!?///」アセアセ

穏乃「?」モキュモキュ

714 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/05(木) 04:04:48.00 ID:pJ9Ar6zCo

 ところでカウンター組はどうしているだろうか。

 ちらり。

レジェンド「な、なあ宥……もう少し離れて食べてくれないかな……?」

宥「え、どうしてですか……?」チュルル

スペシャル溶岩ラーメン「」ゴボッ! ゴポォ!

レジェンド「怖いッ! マグマが、マグマが跳ねるッ!!」ビクビク

灼「」ズビズバー

 楽しそうだった。

玄「あ、そうだ京太郎くん」

京太郎「はい?」

 なんかデジャヴな会話。

玄「うちを出る前にお父さんと少し話したんだけど、京太郎くんが手伝ってくれて本当に助かったって言ってたよ」

京太郎「そうですか、微力ながらお役に立てたんなら何よりっす」

玄「微力じゃないよ! 仲居さん達もみんな京太郎くんのこと褒めてたもん!」

京太郎「オレェ?」

 そこまでのことだろうか。

玄「お父さんなんて、「是非とも松実家に欲しい人材だ」なんてことも言ってたんだよ?」

京太郎「気持ちは嬉しいですけど、阿知賀はバイト禁止でしょ」アハハ

玄「そうなんだよねぇ、残念」エヘヘ



憧「…………………………んん?」

\ゴチソウサマー!/

786 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/06(金) 00:26:00.96 ID:+jvfazv4o

……
…………
………………

~松実館・客室~

ガラッ

穏乃「たっだいまー!」

玄「はーいおかえりなさーい」

ゾロゾロ

 ラーメンで満腹になった俺達は松実館に戻ってきた。

 夕涼みがてらのんびり歩いたので腹ごなしもバッチリだ。

 となれば次は、

レジェンド「さて、今の内にお風呂済ませちゃおっか」

灼「ん」

宥「あったかいお風呂っ」ピコーン

 来 た か 。

             /´〉,、     | ̄|rヘ
       l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/(^ーヵ L__」L/   ∧      /~7 /)
京太郎「」   二コ ,|     r三'_」    r--、 (/   /二~|/_/∠/
       /__」           _,,,ニコ〈  〈〉 / ̄ 」    /^ヽ、 /〉
       '´               (__,,,-ー''    ~~ ̄  ャー-、フ /´く//>
                                     `ー-、__,|     '

 本当に本当に、なんて遠い廻り道……

 だが!

 今!

 奇跡のカーニバル、 開 ――

レジェンド「いやー混浴じゃなくて残念だったねー須賀くん?」アハハ

憧「ちょ、なに言ってんのよハルエ!」



















: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /<なにいってんのよはるえ
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >

792 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/06(金) 00:46:48.95 ID:+jvfazv4o

レジェンド「え?」

京太郎「なにいってんのよはるえ」

憧「なんであたしの真似してるのよ」

京太郎「え……? だって、だって監督、今、え? 混浴? じゃ?」

レジェンド「ないよ?」

京太郎「ノーウェイノーウェイノーウェイノーウェイ!!」

レジェンド「私の知り合いみたいなこと言うね須賀くん」

京太郎「ヤーーーーーウェーーーーーイ」

憧「スペイン語か何か?」

京太郎「……………………………………………………混浴じゃないの?」

レジェンド「ないよ」

憧「バカじゃないの?」

京太郎「」

京太郎「……」

京太郎「う」ジワァ

京太郎「うう……」ポロ

京太郎「う~~ううう、あんまりだ……」ポロ ポロ ポロロ

憧「げ、この流れ……」

京太郎「 H E E E E Y Y Y Y ! ! あ ァ ァ 」





~男湯~

京太郎「 ァ あ ぁ ~ ~ イ イ ッ す ね ェ ェ ェ ェ ~ ~ ~ と 」

801 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/06(金) 01:20:43.30 ID:+jvfazv4o

 最高だ。

 骨の髄まで沁み渡るとはこのことだ。

 松実館が誇る大浴場を、俺は今なんと独り占めしていた。

 どうやら一般客はちょうど夕食の時間らしい。

 外で早めに食事を済ませたのが幸いしたのだ。

 おかげでこんなに素晴らしい温泉を独占していられる。

 こんな贅沢が他にあるだろうか。

 いや、ない(反語)。

 この恍惚の中にあっては、全ての「邪なもの」は溶けてなくなってしまうだろう。

 なにが混浴だ。なにが綺羅星だ。

 そんな卑俗な趣向に溺れる暇があったら、頭のてっぺんまでこの温泉に浸かっていたい。

 そう思わせるだけの「説得力」……それがこの湯には含まれていた。

ガラッ

京太郎「ん?」

 仕切り壁の向こうで扉の開く音。



穏乃「ぅわっはー! いっちばーん!」ザパーン

憧「こらしず飛び込むなー!」



      |
男     |  女
 湯   俺|   湯
      |

806 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/06(金) 01:49:39.92 ID:+jvfazv4o

穏乃「うおおクローーール!」ザバザバー

憧「だから泳ぐなぁ!」

レジェンド「へー、貸し切りかぁ。ツイてるね!」

灼「ハルちゃん、お背中流します」

宥「あったか~いお風呂……までが……寒いぃ……」

京太郎「……」ゴクリ

 かべのそばにいる。

 五感を研ぎ澄ませ、そして聴力に一点集中。

 聞き逃すものか。決して聞き逃すものか。

穏乃「あ、そだ。京太郎ーいるー!?」オーイ

京太郎「ウェッ!? あ、ああ! いるぞー」

 かなり焦った。

穏乃「こっち凄いよ! うちらの貸し切りー!」

京太郎「男湯も俺一人だぞー」

穏乃「えー!? 独り占めとかずるい、私もそっち行きたい!」

京太郎「いやダメだろ!」

憧「その壁から離れなさい!!」

穏乃「ちぇー」

 よじ登るつもりだったんかい。

 行動派にも程があるわ。

813 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/06(金) 02:15:21.33 ID:+jvfazv4o

 しかしあれだな。

 顔見知りの女子達が壁一枚隔てた向こうで裸になっている。

 そう考えると……うん。フフ。うん。

カララ

京太郎「うん?」

 また女湯の戸が開いた。

玄「おまたせー」

 ああ、玄さんか。

 そういえば声が聞こえなかったな。

玄「えへへへへへへ……」チャプン

 なにを笑っているんだろう。

 と考えて、間もなく理解した。

 否、させられた。

玄「おねー……ちゃんっ!」ザバッ

宥「ひやあっ!? く、くろちゃー!?」

京太郎「!!!」

815 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/06(金) 02:34:57.99 ID:+jvfazv4o

 そうか。

 そうだ。

 玄さんは俺の同志だ。

 女性の豊かな胸をこよなく愛する――人呼んで、おもち愛好家。

 そんな彼女が温泉で何をするか?

 決まっている。

 揉むのだろう。

 愛のままに、わがままに。

 対して俺は温泉で何が出来る?

 決まっている。

 何も出来ない。

 ただこうやって壁に縋って。

 その向こうでいともたやすく行われているであろうえげつない行為を夢想するしかない。

京太郎「俺はいつも傍観者よ……!」グッ

821 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/06(金) 03:00:47.69 ID:+jvfazv4o

 一方で――



玄「うへへぇ、おねーちゃんのおもちはやっぱり一級品ですのだ!」モッチモッチ

宥「く、くろちゃ……そうゆうの、ぁ、だめだって、いつも……んっ」ピクンッ

玄「前より大きくなった?」モチィ

宥「ぅぅううう……///」



玄「赤土さーんっ」モチッ

レジェンド「うおぅ!?」

玄「ふぅ~むなるほどなるほどなるほどー」モチー?

レジェンド「微妙なリアクションだな……」



玄「灼ちゃんは……」

灼「……」

玄「が、頑張って!」グッ

灼「3キュー4ever」ピッ

826 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/06(金) 03:26:24.34 ID:+jvfazv4o

玄「しーずーのーちゃん!」モッ

穏乃「うひゃあ!? ちょ、ぁははっ! だめですくろさん、私、くすぐったいの苦手でっ!」ジタバタ

玄「穏乃ちゃんもまだまだのまだまだだねー」オオキクナレヨー

穏乃「やっ、あは、ひふっ! ひゅ、んっ……ふぁ、ぃ……っくふ、はははっ!……あっ!」ビビクン



玄「あこちゃー……」ザブッ

憧「そ、それ以上近付いたら大声出すわよ」ジリジリ

玄「どうせ誰も来やしねぇですのだ……」ワキワキ

憧「ひッ」

玄「そんなに怖がらなくてもいいじゃあないか……安心しろ……安心しろよですぞー……」

憧「キャラ間違えてない!?」

玄「大丈夫だよ憧ちゃん! そのおもちとは呼べない、八つ橋みたいに中途半端な胸も私におまかせあれ!」ムンッ

憧「今あたしのこの胸のことなんつったァ!?」

玄「隙あり!」ザバッ!

憧「しまっ――きゃあぁ!?」

843 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/06(金) 07:22:15.73 ID:+jvfazv4o

玄「あー……」モチモチ

憧「ちょ、人の胸揉みながら取るリアクションじゃなくないそれ……!?」

玄「だって、本当に中途半端なんだもん……」

憧「それならさっさと離しなさいよ! と、隣に京太郎だっているのよ!?」

玄「ご心配なく! 京太郎くんは大きなおもちにしか興味ありませんので!!」

憧「玄ォオオオーーーーーッ!!!」

玄「」モチモチモチッ

憧「ふゃっ」ピクンッ

玄「わ、憧ちゃん可愛い声」

憧「く、玄ぉお……! ぁ、っきゅぅう……!」ビクンビクン

玄「大きくなぁれ~大きくなぁれ~」モチモチモチモチモチモチモチモチ...

憧「絶対泣かす!!……ぁんっ!」











            _,...---、_,.、
           / : /: : / : : ヽー-、
            /. : :, !: iハ!/メ、.i | \
            イ : :{ ヽN  'i:!/!人iヽi 
         _1: : :i(    _ 丶:\
        /   `Yリヽ   '、_)'´!`ー`   「――――――――――――――――――――!!!(声にならない叫び)」
      /:::..     |  ,. _/
.      /.::、::    ト、ィ'
      / ::::::|::    !;-!
    /  ::::|::     ! ヽ、        ,:-‐クヽ
    /    ::!::..   ⊥__!_      /  ..:ノ)
   /     |::::..         ̄`''''''' ′..::::::::::ノ
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 /::      `ー‐┬---r―'''''''"" ̄__
./__       /!   i      / iu-゙、
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 ̄ ̄`ー`ー`ー-、/ |::.         _,.-‐'"

890 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/07(土) 00:25:54.92 ID:JIijIvwto

……
…………
………………

~松実館・廊下~

京太郎「お」

穏乃「あ」

玄「わ」

 脱衣所を出たところで穏乃と玄さんと鉢合わせた。

 浴衣姿である。

穏乃「京太郎も今上がり?」

京太郎「おう。そっちは二人だけですか?」

玄「おねーちゃんと憧ちゃんはもう少し入ってるんだって」

京太郎「宥さんは分かるけど憧もか……あいつって風呂好きなの?」

穏乃「そりゃもう! 一日に最低でも朝晩二回は入るんだって」

京太郎「へー」

 しずかちゃんか。

 ていうか二人と交互に会話するの疲れるな。

 ぶおォン。俺はまるで人間首振り扇風機だ。

897 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/07(土) 00:49:54.66 ID:JIijIvwto

京太郎「じゃあ部長と監督は?」

玄「二人は私達より先に上がったよ。今頃は卓球でもしてるんじゃないかなぁ」

京太郎「ほう、卓球」

 満喫してんなオイ。

穏乃「私達もやる!?」ムンッ

京太郎「いや、遠慮しとくわ」

穏乃「えー」

 肩を落とす穏乃。

 そんな露骨にガッカリしなくても。

穏乃「京太郎なら付き合ってくれると思ったのにー」プクー

京太郎「悪い悪い。どうも昼の疲れが抜けきってなくてさ」

 言って、肩をぐるりと回す。

 温泉に浸かってかなり楽にはなったものの、まだ重みを感じた。

穏乃「あ、そっか。ずっと働いてくれてたんだもんね」

玄「本当にありがとうね、京太郎くん」フカブカー

京太郎「いえいえ。お安い御用ってやつですよ」<○><○>ジー

 おかげで今こうして玄さんの胸の谷間を拝めるのだから。

玄「あ、そうだ!」バッ

京太郎「?」

 急に顔を上げた玄さんが俺の腕を取る。

玄「京太郎くん! お仕事を頑張ってくれたお礼に、」

 そして、言う。



            /   . . . . . . . : : : : : : : : . . .   \
             ,  . . . . : : .:. .:..:.:.:.:.:.:. .:. .:.:.:.:.:..ヽ:. . :. ヽ
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         / .イ ′:.:.:.:.:.:{:.:.:.:,| ...:.:.:.: {∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:. :. i
        ././ ′:!.:.|.......:小:.:.ハ__ .:.:.:.:iハ 斗:十:.ト:. .|:.:... i:. :
        i:.′} . :|. :! :.:.:斗{:.:「 丁i .:.:.:.ト:.V ヘ:.{\:.:.`!:.:.:. |: :|
        |′.′::l .:|.ト:. .::| ヽ 气{\:.:{ \  ヽ. \} :. : |: :{   「お姉さんがイイコト……してあげるね?」
            i . .:.|:八.:.|ヽ{  _    \   ,z≦ミ、| :.: :.!:. |!
            | : /|.::.:.:.::! ,ァ= =ミ     ´   `'^| :. : |:.小
            |.:/ :! .:.:.:.ハ ′             /i/, | :. : |:.|i
            |:′:} .:.: :| ∨ /i     '       .:. :. :.!:. l: {
         ○: :′.:.:.ト. .           ,      八:.:..:}:. l:.‘
         /:.{: :| .:.:.:. {:: 込      `   ´   /}::.:.:./::. :!:. ‘
          /:;:.|:.::| .:.:.:. |:::::::个:.....       .イ::∨:.:.:/:/.:.′:∧
       i:/{:.! .:| .:.:.:. |:::::::/:::::::::ノ}≧ - ´ {入:/.:.:./i/:.:.′:. . ‘.
       |{∧{..:.i:.:{:.:.:‘:.:.::::::::/ 乂    / /:.:.:/V:.:.:.{:.:.:. . . ‘.
         .′..:.八:!ム:.七¨⌒}     >t_ん /:./「/:.:.: 厂 ̄ ≧ 、
         / . rヘ´ ヽ \  |   ∧   ∧'ィ斗v′:.:/       ヽ
.        / . :′       八_{ ̄≧ V__/イ´  {'リ:.:.:.:′      / }
       / . . {⌒ヽ       八  z__{ }___,  {.':.:.:./      /   |
      .′. .:|    \      《    ハ下  . /.:.:.:.′   ,    小
      / . . .:.{     ヽ   }  ∧__/ }ハ ≧7.:.:.:./     /     {:∧
.     / . ./..:.:}      . | く    /  }  ;:.:.:.:.:′ .′/     {:. .‘.
    / . ./..:.:.:.i      ∨ }    `≧-ヘ ∧ノ}:.:.:.:.{ . { .′     }:. . ‘.
  / . :/′:.:.:.}  ‘.     V|         ∨   |:ノ}:.:}  j /    /  {:.:. . ‘.



 ごくり。

911 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/07(土) 01:10:15.17 ID:JIijIvwto

……
…………
………………


スタスタスタ...

憧「はーっ、お風呂気持ち良かったぁ……♪」

憧「流石は松実館自慢の温泉よね、ついつい長湯になっちゃった」

憧「そしてそんなあたしより更に長く入ってる宥姉……いつ上がってくるんだろ」

憧「ま、あんなに気持ち良いなら仕方ないよね」ウム

憧「心なしかお肌もツルツルになってるような……」

憧「……それはいつもより念入りに洗ったからかな」

憧「……」

憧「べ、別に深い意味はないけどね!」

憧「男子と同じ部屋で寝るとか関係ないし!」

憧「単に身だしなみの問題だし!」

憧「………………」

憧「髪おかしくないかな……」サッサッ

スタスタスタ...

~松実館・客室~

憧「ただい――」



玄「ふふ……どう、京太郎くん? 気持ち良い?」

京太郎「く、玄さん……っ!」



憧「ふきゅっ!?」ビクゥッ

918 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/07(土) 01:45:03.27 ID:JIijIvwto

憧「え……え……?」

憧「なに、今、襖の向こうから……」

憧「玄と……京太郎?」



玄「我慢しないで、声出してもいいからね……?」

京太郎「で、でも……それは……っあ!」

玄「ほら……こんなに硬くして」

京太郎「ぐ……だって、」

玄「何も言わないで。ちゃんと分かってるから」

京太郎「な……ぅ、あ、そこ……!」

玄「ちゃんと分かってるんだよ? 京太郎くんの気持ち良いところも、全部ね」

京太郎「玄……さん」

玄「良くなってきたでしょ?」

京太郎「………………はい」

玄「えへへ、このまま私におまかせあれっ」



憧「な、ななな、なっ、なぁっ///」プルプルプルプル

925 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/07(土) 02:03:38.81 ID:JIijIvwto

穏乃「あの、玄さんっ!」

玄「穏乃ちゃん?」

憧「!?」

穏乃「えっと……私にもやらせてもらっていいですか!?」

憧「!!?」

玄「え、でも……」

穏乃「お願いします! 私も、京太郎に気持ち良くなってもらいたいんです!!」

京太郎「穏乃……」

玄「穏乃ちゃん……」

憧「」

穏乃「……ダメですか?」

玄「ううん、ダメじゃないよ」

穏乃「え、じゃあ!」

玄「穏乃ちゃん。一緒に京太郎くんのこと気持良くしてあげよう?」

穏乃「は……はいっ!」

憧「」










憧「」

932 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/07(土) 02:38:41.32 ID:JIijIvwto

玄「じゃあ穏乃ちゃんは上になってくれる?」

穏乃「分かりましたっ。……ねぇ、京太郎」

京太郎「どうした?」

穏乃「あの……あのね? 私さ、こういうことするのはじめてだから……へたっぴだったら、ごめん」

京太郎「バーカ、気にすんなよ。よろしく頼むぜ」

穏乃「ぁ……うんっ! それじゃ、最初っから足でいくね!」

ガラッッッ!!





.             xァ′ /       |                ヽ {__j__
           '   /   ′       / |     |      .         :, `丶 \
      /  / /    i |    i  | |     |     i |  i     :,    \ \
      /  /         | |  ‐-L_ | |     | j |i  | |  |         \ \
   .         |    |:八  人j ト八      i |斗匕|「 | |  |   l: .,        ヽ
      /     |    |  Ⅳj]xぅ妝斥 \    i/≫ぅ妝ミxV|  |   |: .′       ,
.      ′     八  :{  |  |坏´_)「:::ハ   \ ∨  _)「:::ハⅥ  |   |: .        ′
  ;           \乂_|  |八 rヘしi::::}     \   rヘしi::::} オ |  . .|: . i           ;  「ナニしてんのよアンタ達はああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
  |   i        l .⌒|  |   乂__/ソ          乂__/ソ |  |  . .|: . |       i   |
  |   |          | . . .|  |    ,,,      ,      ,,,   |  |  . .|: . |       |   |
  |   |         /:| . . .|  |\i ///          /// |  |  . .|: . |       |   |
  |   |          | . . .|  |:::八     r'ア ̄`ヽ       /::|  |  . .|: . |       |   |
  |   |       i | . . :|  {::::::个:...   ∨     ノ    イ:::::}  |  . .|: . |       |   |
  |   |       | | . .八  V斗ri:i:i:〕ト       ィ:〔:i:i:iTV  八   .|: . |       |   |
  |   |       | | . . . :\ Vi:i:i:i:i:i:i:|. : j>--<. : .{: |:i:i:i:iV //   廴_|       |   |
  |   |     r七i| . . . . : |\i:i:i:i:i:i:i:|: . : . : . : . : . : . :|:i:i:i:/i:i/    // /i:\       |   |
  |   |     ∧ Ⅵ. . . . . :|:i:i:\i:i:i:i:|─-. : . : . : .-─|:/i:i:i:/    // /:i:i:i:i∧    |   |





穏乃「よいしょ、よいしょっ……どう京太郎、気持ち良い!?」フミフミ

京太郎「んー……わり、やっぱダメだ。お前軽すぎ」

穏乃「ガーン!?」










.             xァ′ /       |                ヽ {__j__
           '   /   ′       / |     |      .         :, `丶 \
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937 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/07(土) 02:54:05.46 ID:JIijIvwto

京太郎「それに比べて玄さんは上手いっすね」

玄「えっへん、松実館お抱えのマッサージ師さん直伝の指圧術ですのだ!」

京太郎「おお、どうりで本格的な」

玄「流石にお客様には出来ないけど、京太郎くんは……み、身内だもん、ねっ?」

京太郎「はい、玄さんにやってもらえて嬉しいです」ニコッ

玄「えへへへへへへ///」

穏乃「むーっ……私だって出来るもん! おりゃおりゃー!」ドスッドスッ

京太郎「ちょっ、痛い痛い痛……くない!? どんだけ軽いんだお前!?」

穏乃「もー! もっと太りたいー!」ムキー



憧「」

京太郎「ん、あれ? 憧? いつの間に戻ってたんだ?」

玄「おかえりー」

穏乃「憧、ちょうどいいところに! 憧も一緒に京太郎の上に乗ってよ!……憧? どうしたの? 憧ー?」

939 名前:5月3日(金)[saga] 投稿日:2013/09/07(土) 03:05:17.59 ID:JIijIvwto

……
…………
………………

ガラッ

宥「ただいまぁ~」ホカホカ

宥「……?」キョトン



京太郎「おーい憧ー」

穏乃「いい加減出てきてよー」

玄「おもち食べる?」



宥「……みんな、押入れの前で何やってるの?」

【TO BE CONTINUED...】
最終更新:2013年10月16日 00:41