部員めぐり・宥


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765 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 01:03:17.56 ID:DOOpfPvlo

……
…………
………………

 キーンコーン カーンコーン
   キーンコーン カーンコーン

憧「今日は誰と会うの?」

とうとう新子さんの方から行き先を尋ねられるようにまでなった、部員めぐり三日目の休み時間。

京太郎「そーだなぁ。昨日が玄先輩だったし、次はお姉さんの宥先輩かな」

憧「宥姉か……なら早く行きましょ」ガタッ

京太郎「お、おう」ガタッ

言い終わるより先に動き始めた新子さんを、俺も慌てて追いかける。

二人で(間に充分な距離を取って)並んで廊下を歩く。

京太郎「やけに急ぐんだな。三年の教室ってこの階の一つ上だろ?」

憧「教室はね。行ってもいいけど、多分時間の無駄よ」

京太郎「え、なんで?」

憧「ついてくれば分かるわよ」

そう言って新子さんは、差し掛かった階段を迷わず下った。

767 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 01:32:53.87 ID:DOOpfPvlo

テクテクテク...

京太郎「けど新子さんも意外と付き合い良いよなー」

憧「……意外とは余計」

京太郎「あ、わり」

憧「何度も言わせないでよね。あたしは監視の為について来てるんだから」

京太郎「へいへい。でも今の所どうだ? 問題ないだろ?」

憧「しずの頭を無断で撫でた」ジロッ

京太郎「う」

憧「玄の胸トークに乗っかった」ジロリッ

京太郎「うぐぅ」

憧「これで宥姉にまで何かしたら絶対に許さないから」ゴゴゴ....

京太郎「き、肝に銘じておきます」

おっかねー。新子さんマジおっかねー。

最早恐怖が骨の髄まで染み込んでいた俺だった。

769 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 02:12:23.51 ID:DOOpfPvlo

憧「着いたわよ」

と。

いつの間にか先行していた新子さんが振り返る。

俺も数歩分の空白を埋め、立ち止まった。

京太郎「ここは……温室?」

かなり立派だ。

生徒数の割に何かとスケールの大きな学校である。

憧「宥姉ーいるー?」

ギ、と音を立てて開く扉。

中には、



宥「……ふぇ?」



宥先輩がいた。















スカートを穿いていなかった。

770 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 02:49:24.28 ID:DOOpfPvlo

憧「って何やってんのよ宥姉ぇーーーーーーーーーー!!?」

すかさず新子さんの絶叫が轟いた。

その迫力に宥先輩もハッと我に帰る。

帰れば、

宥「っ……ふぇえええ!? 憧ちゃんと、す、須賀くん!?」バッ

当然こうなる。

大慌てで制服の裾を引っ張って下半身を隠そうとする宥先輩。

まあ、全然隠せてないんだけどな。

京太郎「……!!!」

俺はもうギンッギンである。……目がな!

限界を超えて見開かれた両目に、タイツに包まれた先輩のおみ足を焼き付ける。

程よくむちっと、程よくすらっとした脚。

その付け根を守る布は全貌こそ見えないが、忙しなく動く手と裾の隙間から覗く控えめな白がかえって男心をくすぐってやまない。

恥ずかしそうに――実際に物凄く恥ずかしいのだろう、もじもじとすり合わせられる太もも。

京太郎「」ゴクリ

その質感に俺は思わず唾を飲んだ!

憧「いつまで見てんのよーッ!!」グサー

京太郎「目ガー!?」グワー

772 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 03:13:02.77 ID:DOOpfPvlo

転がる俺!

踏み付ける新子さん!

そのまま宥先輩へと詰め寄る!

憧「マジで何してんのよ宥姉! こんな所で脱ぐなんて……!」

宥「だ、だだだだって、ジョウロの水がスカートにこぼれちゃって、冷たくって、それで……」プルプル

憧「だからってガード緩すぎ! もう女子校じゃないんだよ!?」

宥「ごめんなさいぃぃ」プルプルプルプル

叱る新子さんと叱られる宥先輩。

新子さんと松美姉妹じゃ誰が一番年下だっけ。

そんなことを考えながら、俺はまだ地面に這いつくばっていた。

だって、起き上がったら多分また目潰しされるし。

新子さんならそろそろ事態の収拾に動いてくれるだろうから、もう少しの辛抱だ。

憧「とにかくスカート履こうよ! また誰か来たら今度こそアウトだから!」

ほらな。

773 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 03:37:11.32 ID:DOOpfPvlo

宥「わわ、でも、スカート濡れちゃってて……」

憧「それぐらい我慢しなさい。もしジャージとか持ってたら取って来てあげてもいいけど」

宥「あ、ある。あるよ、ジャージ」

憧「ん……じゃあ教室までひとっ走り行ってくるわ。宥姉はちゃんと服着て待つこと! 分かった?」

宥「う、うん」

母親が子供に言い聞かせるような光景だな。見てないけど。視界は回復したけど見てない。

次に聞こえたのは足音。新子さんが温室を走り去る音だ。

続いて衣擦れの音。つまり、宥先輩がスカートを穿いてる音だ。

………………見てぇ。

宥「ん、しょっ……ぁぅ、ホックが、ぅうう」カチャカチャ

見てぇぇぇ。

痛みとは別の事情で地面をゴロンゴロン転がる俺。

やがて音が止んで、

宥「あ、あのぅ……もういいよ、須賀くん」

お許しが出たので、ゆっくりと顔を上げる。

775 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 04:42:50.53 ID:DOOpfPvlo

宥「た、立てる? 大丈夫?」スッ

京太郎「あ、どうも」グッ

差し伸べられた手を掴ませてもらって立つ。

宥「……ぁ、うぅ」パッ

そして繋がっていた手が離れると、

京太郎「……」

宥「……///」

はい気まずーい。

どうしよう。

宥先輩も今更ながら顔を真っ赤にして俯いちゃってるし。

まあ、男にあんな格好を見られたんだから当たり前か。

見てしまった側としては、次の行動がとても重要になってくる。

下手は打てない。

どうすることが正解かなんて分かりはしないが、とにかくこの空気をなんとかしたいと思った。

776 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 05:15:07.73 ID:DOOpfPvlo

京太郎「あ、あのっ!」

宥「ひゃうっ」ビクッ

怯える宥先輩に俺の小粋なトークが火を噴く!

京太郎「………………お、温室ですね」

口下手だった。

宥「う、うん……温室、だね」

こっちもだった。

ええい、このまま世間話ムードで突っ切ってしまえ。

京太郎「先輩はどうしてここに?」

宥「ん……ここ、あったかいから好きなの」

京太郎「ああ、寒いの苦手なんでしたっけ」

宥「うん……」モフ

マフラーに口元うずめるの可愛い(可愛い)。

778 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 05:52:59.77 ID:DOOpfPvlo

京太郎「もしかして休み時間の度に来てるんですか?」

宥「流石に毎回は……20分休みと昼休みに来られたら来る、くらいかな?」

充分多い。

一度視線を先輩から外し、周りをぐるりと見渡した。

京太郎「すげー眺め……かなり立派ですよね、この温室」

宥「うん……好きな花も沢山あって、とっても大切な場所なんだぁ」ニコッ

京太郎「――っ!」ドキッ

い、今の笑顔、やばい。

めちゃくちゃ可憐だった。

玄先輩もそうだけど、この姉妹は何かと心臓に悪い。

宥「?」キョトン

ああっ、そんな不思議そうな顔でこっちを見ないで!

なんとか気を逸らさなければ……

779 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 06:17:05.02 ID:DOOpfPvlo

京太郎「せ、先輩! あの花ってなんて名前ですか?」

宥「え、どれ?」

京太郎「ほら、先輩の後ろの……」

宥「後ろ――ゎ、きゃっ……!?」ヨロッ

京太郎「っ先輩!?」

その時、先輩が不意にバランスを崩した。

俺が急に振り向かせたせいだ。

先輩の身体がぐらりと傾ぐ。

京太郎「!」

倒れる先にも、花壇が――!?

京太郎「危ないッ!」バッ

一か八か、俺は先輩の下に滑り込むように身体を放った。

そして、

ドサッ――!

780 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 06:45:27.97 ID:DOOpfPvlo

京太郎「い、っつつ……」ゴホッ

背中と、右半身に鈍痛。

宥先輩をすっぽり抱きすくめての胴体着陸――それ自体は成功したようだ。

問題は、

京太郎「先輩、花、花壇は無事ですか!?」

腕の中の宥先輩に問い掛ける。

先輩も恐る恐るといった様子で花壇を確認する。

宥「ぁ……大丈夫、花はなんともないみたい……」

京太郎「ま、マジで?」

宥「」コクリ

京太郎「っ……よ、良かったぁぁ……」

一気に力が抜けた。

着替え(?)は覗くわ花は傷付けるわ、なんてことになったら最悪だもん、俺。

781 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 07:09:40.09 ID:DOOpfPvlo

宥「……」ギュッ

京太郎「ん?」

と。

学生服の胸の辺りを強く握られた。

京太郎「先輩……?」

宥「……」

京太郎「あの、どうかしました?」

宥「うん……」

うん? 肯定?

京太郎「もしかしてどこか怪我を!?」

宥「」フルフル

違うらしい。

京太郎「じゃあ一体……?」

宥「……あの花……」ボソッ

京太郎「花?」

783 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 07:29:22.71 ID:DOOpfPvlo

宥「今、潰しちゃいそうになったあの花……私のお母さんが好きだった花なの……」

京太郎「お母さん……?」

宥「……守ってくれてありがとう、須賀くん……」ギュウッ

そう言って、宥先輩は一層強く俺にしがみついた。

ぽかぽかの塊が俺の心臓の上に重なる。

叶うならいつまでも感じていたい柔らかさ。

が、

今、俺の脳裏を、ある予感がよぎった。



新子さん、そろそろ戻ってくるんじゃね?



これは、やばい。

京太郎「あ、あの、宥先輩? よろしければそろそろ起き上がっていただきたいな~なんて……?」

宥「……っかぃ……」

京太郎「せんぱい?」

宥「あったか~い」ポワーン

京太郎「センパイ!?」

784 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 07:40:52.15 ID:DOOpfPvlo

宥「あったかあったか……」ズリズリ

京太郎「センパーイ!!?」

なに!? なんなの!?

なんでこの人俺の身体をよじ登ってくるの!?

宥「ふふ、あったかぁい……♪」ムギュー

なんで俺の頭を胸に抱きかかえるのー!!?

京太郎「もぷっ、ちょ、先パイ、宥先輩っ!」モゴモゴ

宥「ぁん、動かないでぇ……」モゾッ

トリップしてらっしゃる!?

なんとか拘束から逃れようとしても、上からのしかかられて抱き付かれてる状況をそう易易とは打破出来ない。

物理的にも、精神的にも。

宥「あったかいの、逃げちゃだめぇ」ムギュッ

むにょん。

京太郎「うごごご……!!」

なにこの幸せ物体。

この感触に抗える男なんてこの世にいないんじゃないだろうか。多分いない。

いやでもしかし、俺は抗わなくてはならないのだ。

このまま宥先輩に押し倒されて抱き締められて胸元に顔をうずめているような状態を、間違っても新子さんに見つかる訳にはいかないのだ――!

785 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 07:46:48.30 ID:DOOpfPvlo

バタンッ!



憧「宥姉お待たせ! ジャージ取っっっっっっっっっっっっっっっっ」



あー。