憧ちゃんに媚びよう!

512 名前:4月8日(月)[saga] 投稿日:2013/06/24(月) 01:14:49.98 ID:Tq8zWVlTo

 月曜日がやって来た。

 阿知賀に入学して4日目、初めての月曜日でもある。

 また、通常の授業が始まるのも今日からだ。

 と、いうのに、

京太郎「教科書忘れた」

 よ。

京太郎「……」

 オーケー落ち着け京太郎。まだ慌てるような時間じゃない。

 逆に考えるんだ、忘れちゃってもいいさと。

 何故なら、

 教科書忘れた→隣の人=新子さんに見せてもらおう→縮まる距離(物理)→俺「いやー新子さんは頼りになるなぁ!」→新子さん「もう、須賀くんったら放っとけないんだから……」→縮まる距離(心の)

 的な作戦が成り立つからだ!

 敢えて無様を晒し、相手に頼られる優越感を味わわせる……完璧だ。

 そうと決まれば、

京太郎「おーい、新子さーん」ヒソヒソ

憧「……なに?」ジトッ

京太郎「実は教科書忘れちゃってさ。見せてくれないか?」

憧「なんで?」

京太郎「えっ」

憧「なんで?」

京太郎「なんでって、こういう場合は大抵隣の人が……」

憧「右にもいるでしょ」

_人人 人人人人人_
> 右にもいるでしょ <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄



 右隣の人は嫌な顔ひとつせず教科書を見せてくれた。

 俺は泣いた。

518 名前:4月8日(月)[saga] 投稿日:2013/06/24(月) 01:40:07.75 ID:Tq8zWVlTo

……
…………
………………

 昼休みになった。

 メシの時間だ。

 俺の心にはひとつの決意が宿っていた。

 ――新子さんを食事に誘おう。

 本気だよ?

 ブルってないよ?

 本当だよ?

 さて、決意が鈍らない内に、

京太郎「おーい、新子さーん」

憧「……なに?」ジトッ

京太郎「あー、その、なんだ。これからメシだよな? 良かったら一緒にどう………………でしょうか?」ヘヘヘ

 アカン。

 最終的に揉み手でお伺いを立てる風になってしまった。

 ともかく、新子さんの反応は……?

憧「え、っと……」モジッ

 お。

憧「そんなこと急に言われても……」モジモジ

 おお?

憧「友達に噂されると恥ずかしいし……」

 おおお!?

 まさか、これはまさか、伝説の――!!?

憧「社会的に」



_人人人人_
> 社会的に <
 ̄Y^Y^Y^Y^ ̄

527 名前:4月8日(月)[saga] 投稿日:2013/06/24(月) 02:19:36.61 ID:Tq8zWVlTo

……
…………
………………

 掃除の時間だあああああああああああああああああぁ。

 体を動かすのは男の仕事。即ち俺の見せ場!

 やる気も沸いてこようというものだ。

 俺達の班(席順で区切られた)の今週の持ち場は視聴覚室。

 ホウキを構えていざ、尋常に掃除!

 なのだが、

京太郎「おーい、新子さーん」

憧「……なに?」ジトッ

京太郎「勘違いだったら悪いけど、さっきからずっと俺と対極の位置にいないか?」

憧「いるけど?」

_人人人人人_
> いるけど? <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

京太郎「………………なんで?」

憧「だって、近付いたらそのホウキであたしのスカートめくる気でしょ」

京太郎「めくらねぇよ!?」

 魅力的な提案ではあるがな!

京太郎「ホウキが心配ならチリ取りやろうか?」

憧「そしたら今度は直接あたしのスカート覗く気でしょ」

京太郎「覗かねぇよ!?」

 魅力的な提案ではあるがな!

京太郎「なんだよ新子さん……どうして俺のことを信用してくれないんだよ! こんなに誠実な俺のことを!!」

憧「救えないゴミの日っていつだったかしら……」

_人人 人人人人人人人人人人人人人人_
> 救えないゴミの日っていつだったかしら <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄



 前科持ちはツライ。俺はしみじみそう思った。

533 名前:4月8日(月)[saga] 投稿日:2013/06/24(月) 02:54:34.51 ID:Tq8zWVlTo

……
…………
………………

 部活なう。

 といっても俺に出来ることは限られている。

 例えば牌を磨いたり、女子の対局を見学したり。

 現在、卓を囲んでいるのは穏乃・玄先輩・宥先輩・鷺森先輩の四人。新子さんは余りだ。

 チャンスである。

京太郎「監督ぅ~」

レジェンド「ん、どしたー?」

京太郎「飲み物が切れてるみたいなんで、購買まで新子さんと買いに行ってもいいですか?」

憧「は!? なんであたしまで!?」

京太郎「いや、流石に六人分は持てねーし」

レジェンド「そだね。憧、一緒に行ったげなよ」

憧「う……ハルエが言うなら、仕方ないけど……」グヌッ

 ふふふ。

 知っているぞ新子さん。

 その(俺以外から)頼まれれば断れない性格と、(俺以外との)和を大切にする性分をな!



 ……また泣けてきた。

535 名前:4月8日(月)[saga] 投稿日:2013/06/24(月) 03:11:25.44 ID:Tq8zWVlTo

~購買~

京太郎「えっと、穏乃がオレンジで玄先輩がコーヒー牛乳、鷺森先輩がウーロン茶と、」

 宥先輩がおしるこ。

 ……自販機にも寄らなくちゃな。

 俺の分のジュースも手に持っていざ、尋常に精算!

 の前に、

京太郎「おーい、新子さーん」

憧「……なに?」ジトッ

京太郎「いや、棚の前でじっとしてどうしたのかなって」

憧「パンを選んでたのよ。何時間も続けて打つ時は糖分補給が大事だから」

京太郎「へ~」

 なんだろう、久しぶりに真っ当な会話をしてる気がする。

 まさしくチャンスじゃないか。

 この機を逃さず、新子さんと円滑なコミュニケーションを取るぞ!

憧「これでいいかな……」スッ

京太郎「お、メロンパン好きなのか?」

憧「須賀くんよりはね」




_人人人人人人人人_
> 須賀くんよりはね <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄



542 名前:4月8日(月)[saga] 投稿日:2013/06/24(月) 03:37:50.81 ID:Tq8zWVlTo

~部室~

 に、帰ってきた俺と新子さん。

 飲み物を配ってただいま小休止中だ。

 ここでもまた俺の作戦が始動せんとしていた。

京太郎「ふふふ……」

 笑い、取り出したるは誰もが知るお菓子の王道・ポッキー。

 箱を開け袋を開け、準備は万端だ。

京太郎「~♪」ポリポリ

 鼻歌混じりにポッキーもぐもぐ。うーん甘い。そして美味い。

 その姿を、

穏乃「あー! 一人だけお菓子食べてる!」ビシッ

 見つけてくれてありがとう、穏乃。

京太郎「いいだろー。飲み物のついでに買ってきたのだ」ポリポリ

 と言ってこれ見よがしにかじれば、見た目に違わず元気で素直な彼女のことだ――

穏乃「えーいいなぁいいなぁ。ねね、私にも一本ちょうだい?」

 計 画 通 り 。

545 名前:4月8日(月)[saga] 投稿日:2013/06/24(月) 03:57:10.62 ID:Tq8zWVlTo

京太郎「おういいぜ。何時間も続けて打つ時は糖分補給が大事だからな。ほれ」スッ

穏乃「やたーありがと!」

 俺からポッキーを受け取って嬉しそうにかじりつく穏乃。餌付けみたいでなんか楽しい。

京太郎「先輩方もよければどうぞ」スッ

玄「わ、いいの? ありがとう須賀くん!」

宥「ありがとう~」

灼「かたじけな……」

レジェンド「ありがたレジェンド☆」

 他の面々も次々とポッキーを食べ始める。

 計画通り予想通り、女子はお菓子に抗えない。

 つまり!

京太郎「ほら、新子さんも一本どうだ?」スッ

憧「え? いらない」

_人人人人人人人_
> え? いらない <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

穏乃「じゃあ憧の分も私がもっらうー!」パッ

憧「だったらあたしはしずからもらうー♪」パクッ

京太郎「!!?」

穏乃「あー!? なんだよーいらないじゃなかったのかよー?」

憧「気が変わったの。ん、美味し♪」ポリポリ

穏乃「ちぇー」

京太郎「」





_人人人人人人人人人人_
>【TO BE CONTINUED...】<
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
最終更新:2013年08月13日 14:48