合宿編・一日目

24 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/06/22(月) 03:15:05.77 ID:UK88y/jco










          【7月22日(月):合宿1日目】










25 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/06/22(月) 03:16:41.97 ID:UK88y/jco

《何かが違う朝》

チュンチュン...
 チュンチュン...

京太郎「ふぁあ~……ねむ」

 寝不足だ。それはもう。

 そもそも床に入った時間からして遅かったし、変な夢も見た。

 なんだプリンセス・アコって。

 夢の中でまでパンツ丸見えだったのはもう流石と言う他なかった。

 まあ俺の夢だが。

 欲求不満か(自問)。それはもう(自答)。

 いかんなぁ、もっとシャキッとしないと。

 この調子じゃこの先に待ち受ける十日間を乗りきれない。

 それどころか、この朝の通学路で憧とばったり出くわしただけでも危ないんじゃないか。

憧「あ」

京太郎「あ」

 こんな風に。

26 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/06/22(月) 03:18:28.73 ID:UK88y/jco

憧「きょきょッ……京っ!?」

京太郎「よ、よー憧。早いな」

 ちと動揺するが、なるべく自然体で挨拶。

 というか、むしろ憧の方が動揺しているような……

憧「うそ、そんな、いきなり、まだ心の準備とか、やばいお化粧おかしくないかなっあと服とか!?」ブツブツ

 動揺しすぎじゃないですかね。

 だが考えてみれば憧だって男の俺と十日間の共同生活が始まるのだ。

 動揺も已むなし、緊張も然りか。

 そう思い、

京太郎「あー……大丈夫か?」

 ぽん、と。

 何気なく肩を叩いた。

 ら、

                -‐…‐-
            /: ∪: : : : : : : : : : :`丶、
           /.: : :/: : : :|: : : : : : \: : :ヽ-
           ,:': //: / :|:|: : : |'、: : : :\: :∨ Y\\
           i|: //: /  |:|: : : |: \: ノ :||: :|/ |: |:|\\
           i| i∧:{`ー\: : |  ̄\: ||: :| : |:.:|:|  ヽ:ヽ
         八|l: : l 〃ヽ \l 〃ヽ ヽ|: :|: :′|:|   ',: :
         |:| |l\| {{ }}     {{ }}  |: :|/: : :|:|   i: i
         |:| || .′ー' ///// ー'   |: :l: : : :l|   |: |   「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」
         |:| |l {   __,/⌒\ u |: :|: : :||   |: |
         |:| || 人 レ        \ |: :|: : : |: :   |: |
         |:| |l / : `|/        \:!: : :.|: ∧   |: |
         |:| ||'/ : |/ , <       \:ノ: : ∧ ,: :′
         |:|/{: : : :/ゝイ ∨\      \\: :∨:/
          |/: : : /  イ {,∠‘,         \',:|:|
       //: : /  {⌒YY´   人        \|:|
.     /  ′:/   /l_/Т\_i: : :\         ̄ヽ
     /    |: : |{/   \/|/|_ | : : : ∧          |
.    /   八: :|′    o    八: : : { \        |
  _/_彡   ヽ{           \: :\ |:\       /
 /       人                ̄ |: : :l>―┬
./       /  }     o         |: : :l : : : : |

憧「うわぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!///」ドヒューン

京太郎「憧ー!?」

 逃げられた。脱兎の如く。

京太郎「………………」ポツーン

 なんか、違う。

 そんな朝だった。

48 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/06/24(水) 07:34:49.77 ID:QhngSCxro

《いつもと同じ仲間?》

~阿知賀学院~

穏乃「あっ、京太郎ー!」ダッ

ピョインッ

穏乃「おっはよ!」ダキッ

京太郎「うおっ!? おま、助走はやめろって言ってるだろ助走は……」ストン

穏乃「うぇひひ、ごめーん」

玄「京太郎くんっ」トテトテ

宥「お、おはよう……」トテトテ

京太郎「あ、玄さん。宥さんも。おはようございます」

玄「おはよー。今日からの合宿、よろしくお願い致しますのだ」フカブカー

京太郎「いえいえ、こちらこそよろしくお願いしますね」ペッコリン

宥「今朝も肌寒いねぇ……」プルプル

京太郎「めっきり夏日だよ!?」

宥「ぅう……><」

49 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/06/24(水) 07:36:02.55 ID:QhngSCxro

京太郎「ところで鷺森部長は?」

玄「まだみたい。赤土先生と一緒に来るんじゃないかな?」

京太郎「なるほど。じゃあ憧のやつは?」

宥「憧ちゃんなら……」チラ

京太郎「?」チラ

憧「」ピッタリ

京太郎「………………」

宥「あったか~い」

京太郎「いやいやいや……宥さんの背中に隠れて何やってんのお前」

憧「ふきゅっ」

玄「来てからずっとこうなんだ。京太郎くん何か知ってる?」

京太郎「まったくもって。とりあえず離れとけ憧、暑いだろ」

憧「ぅ……」オズオズ

宥「あぁん、あったかかったのに……」

玄「おねーちゃん! 玄のここ、空いてますのだ!」

宥「玄ちゃあんっ」ダキッ

玄「あづい!!」

50 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/06/24(水) 07:36:50.73 ID:QhngSCxro

京太郎「やれやれ……で、どうしたんだよ?」

憧「……っ」

京太郎「さっきは出会い頭に逃げるみたいに行っちまって、びっくりしたんだぞ?」

憧「ぁ……ご、ごめ……」

京太郎「怒ってるわけじゃねーけど……ま、なんでもないなら気にすんなよ」スッ

憧「ひうっ」ビクゥッ

京太郎「っと……」

憧「あ、あの、これは、その」シドロモドロ

京太郎「悪い、もしかして触られたくないのか?」

憧「違っ……! べつに、京太郎が嫌とかそーゆーのじゃなくて! さっき走ったから汗かいちゃってるし……汗!?」

京太郎「アセェ?」

憧「やだ、こんなんで京太郎の傍にいるとか無理だからマジ……髪もボサボサになっちゃったしお化粧も崩れて………………下着も……」ブツブツ

京太郎「憧?」

憧「…………………………しゃ」

京太郎「しゃ?」



憧「シャワー浴びてくるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!///」ドヒューン



京太郎「憧ー!?」

※集合時間には間に合いました

73 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/06/25(木) 07:32:44.52 ID:9IO9NXrLo

《恒例行事》

レジェンド「快晴!」ブォン

レジェンド「灼熱!」ブォン

レジェンド「いーずーれーもーレッ、ジェーンド!」ブォン

レジェンド「仮面雀士~~~~~~~~~~」ブォンブォンブォン

レジェンド「レジェンドー!」パラリラッ

京太郎「……」

憧「……」

穏乃「……」

玄「……」

宥「……」

灼「キャー! ハルちゃんこっち向いてー!!」

レジェンド「どーもどーも、ご声援ありがとー。みんな揃ってるかな?」

京太郎「揃ってるんで早いとこ進めてもらっていいっすか」

74 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/06/25(木) 07:33:20.70 ID:9IO9NXrLo

レジェンド「なんだよノリ悪いなぁ……」

玄「合宿所って遠いんですか?」

レジェンド「いや近場。車で一時間ぐらいかな」

宥「近いの……?」

穏乃「じゃあ席決めしなきゃ!」

憧「!」ピクッ

京太郎「あー。監督、例の箱は?」

レジェンド「フフフ……忘れてきた」キリッ

京太郎「なんで誇らしげだよ」

灼「ハルちゃんは忘れ物においてもナンバーワン!」イヤッホォーウ

玄「でも席順どうしよう?」

宥「じゃんけんとか……」

穏乃「いいですねっ! 勝った人から前に?」

京太郎「だな。自由に決めてたら時間かかりそうだし」

憧「……」ソワソワ

レジェンド「それじゃいくよー。最初はグー!」

「「「「「「じゃーんけーん――」」」」」」

100 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/06/26(金) 07:33:00.89 ID:31G+ccxmo

《サブヒロインの三点盛り~旬のメインヒロインを添えて~》

「「「「「「――ぽん!」」」」」」

 からの、

灼○レ
○玄憧
宥京穏
□□□

 これ。

                      ─━━
                   ィi〔:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:`:...、
                    /:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:\
                   ′:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i{:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:゚,
                /:i:i:i/:i:i:i:i:i:i:i:i:ハ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:.
              〃:i:i:i|:i:i:i:i|:i:i:l ||  :i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ハ
              |/|i:i:i:|:i:i:i:i|:i:i:| |l  、:i:i:i:i:i:i\:i:i:ハ}i:∧
              |l |i:i从:i:i:┼:i:ト|l   \i:i:i:i:i:iУ:i:i:i:i:i:i:.
         rヘ __   从:i:i:i/「芹芋ト    イ芋茅.:i:i:i:i:i:i:i:i:゚,  「イエス、イエスッ!!」
          ィ 厂ドrヘ   .:i:i:i:i:i|∧ V)ソ     V)ソ/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ハ
.         /ム’::::::::::〈  |i:i:i:i:i∧ ハ ""   ′  "/|i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|
.       乂{:/:::::::::〉l  |i:i:i:i:i{:i父ト.    __    |i:i:i:i:i:i:/:i:i:i:iリ
          V ̄:::::::|  Vl:i:i:i:「 ̄ ̄℡ュ.   _,. '’|i:i:i:/¨¨¨¨
          }::::::::: 《   ¨¨¨  ___/}  / \_¨¨
         |::::::[l;:::::|    . ´   / /{\/\  } `   .
         Υ ̄ 「___/     {l/ V廴_}/   、/     Y
         |  (ニニ \       }:_ ィ’            |
         |   V,ハ  ヽ./     /:.:.:′   /__   |
         |   {   、  \   /:.:./    /___ \i|
         !       /ヽ / \':.:./    {/   冫、 |
          .    / ̄ ト、 /\     '    /  ∨

 その為の右手。

玄「私この席何度目かな……?」

 待ちマツミ。

憧「」

 生ける屍。

宥「わぁ……♪」ジー

 物理的に熱い視線。

穏乃「やたっ、また隣だね京太郎!」

 大天使高鴨先輩。

101 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/06/26(金) 07:38:34.03 ID:31G+ccxmo

レジェンド「はーい、それじゃ出発するよー」パンパン

 そんなイカれたメンバーが出揃ったところで、レジェンドが乗車を促す。

 まずはレジェン号にそれぞれの荷物を積み込まなければいけないのだが……

京太郎「……いくらなんでも多すぎね?」

憧「ふきゅっ」

 十日間の合宿ともなれば、必然的に荷物は増える。

 増えるが、それにしても憧の鞄は大きかった。

 何をどうすればここまで膨れ上がるのか、コツがあるなら教えてほしいぐらいだ。

京太郎「そんなん持ってくるのも大変だったろ。持とうか?」

憧「いッ、いい、ぜんぜん、気にしないでいいからっ」

京太郎「んな遠慮すんなって、ほら貸せよ」スッ

憧「いいってば!」サッ

 と――

                       ;          i   /
                       ;          | /
                         /             |,/
                      /          }
                  〈              /
                      /\           /
                  /   ヽ __. -―'
                 ,     i |
                            |
                         ;'  |
                   ;     .ノ  ;
               i     /   .ノ
               |    ,' `!  /
               |ヽ  , / /
               | | /ヽ{  {
                  /lノ| i  `i l
                /    | |   ,}ー'
               _l_   | l   〕
              /    `ヽ. ヽ_}   )
           /        ヽ    ∧
         /⌒`ヽ      ゙  ノ`´
        /     \     |´
      /                 |
     /´ ̄ ̄`ヽ     i   |

 ――ぴとっ。

102 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/06/26(金) 07:41:49.89 ID:31G+ccxmo

京太郎「あ」

憧「あっ……~~~~~~~~~~っ/////////」

 え、なに、すげえ。

 憧の顔が下から上へ、猛烈な勢いで紅潮していく。

 今では耳まで茹だったように赤い。

 口はパクパクと音もなく、目はグルグルと渦を巻き。

京太郎「……憧?」

憧「ほ、ほ、ほッ……ほんとにいいからっ!」バッ

京太郎「ちょ、待っ」

 静止を振り切り、憧は重い荷物を力任せに担いで荷室に放る。

 そして大慌てで自分の座席に転がり込んでしまった。

京太郎「……」

レジェンド「みんな乗ったー? 出発するよー」

 仲間と、荷物と、釈然としない俺の気持ち。

 それら全てを積み、レジェン号は合宿所を目指す。

124 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/02(木) 07:32:10.42 ID:wt3x7B/ho

《道程》

 もう7月も下旬なので、レジェン号の車内は冷房がよく効いている。

 レジェン号の車内は冷房がよく効いているので、宥さんは震えている。

 宥さんは震えているので、俺にぴったりと抱きついている。

 後の三段論法である。

宥「あったかぁい……♪」スリスリ

京太郎「――――――」

 天を仰ぐ。

 意識をなるべく遠くに逃さなければ、半身を襲うこの感触に呑まれてしまいそうだから。

 その破壊力たるや、もはや左半身失調レベルである。

 いつぞやのようにショールを二人で分けあい、二人だけの温度を共有(京宥だけに)。

 左腕発右肩上がりの幸せ指数が脳細胞を蹂躙する中、拭い去れない一抹の不安。

 いつしか宥さん特有のものとなった、ドキドキとハラハラのシーソーゲームが今日も元気に開催されていた。

147 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/03(金) 07:38:46.01 ID:umnRoFdmo

 で、

穏乃「じー……」

 穏乃様が見てる。

 この須賀京太郎の何が珍しいのか、ガン見している。

京太郎「……穏乃?」

穏乃「ぅ?」コクビッ

 小首なんて傾げちゃって!

京太郎「いや、なんでもねー」

穏乃「ふーん」ジー

 言いながらも、視線は逸らさずまっすぐGO。

 こうなってくると奇妙な対抗意識のようなものが立ち上がってくる。

 俺も、意識して穏乃を見つめる。

148 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/03(金) 07:39:49.76 ID:umnRoFdmo

京太郎「……」ジー

 目と目が合う。

 じっと見て改めて思うが、穏乃は睫毛がぱっちりしてる。

 くりっと大きな目と相まって、普段の騒々しさを忘れる愛くるしさだ。

穏乃「……きょ、京太郎?」

京太郎「ん?」

穏乃「えと、私の顔になにかついてる? さっきからじっと見てるけど……」

 お前が見てたからやっちゅーに。

京太郎「いや、穏乃かわいいなーって思って」

穏乃「うえっ!?」ピョイーン

 おお、座ったままの姿勢。

 尻だけでの跳躍を披露した穏乃は、着地と同時に忙しなく視線を彷徨わせ、

穏乃「………………ぁ、ありがとう……?」

京太郎「なんで疑問形?」

171 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/06(月) 07:37:37.92 ID:eq8cUYmXo

穏乃「と、ところでっ。ずっと宥さんとくっついてるけど暑くないの?」

京太郎「どっこいそれほど暑くない」

穏乃「なんで?」

京太郎「多分あれだ、クーラー全開の部屋で毛布を被る心地よさ的な」

穏乃「分かる! あれ気持ちいいよね!」

京太郎「まさにそんな感じだ」

宥「あったか~い」ムニュムニュ

京太郎「……それ以上だ!!」クワッ

穏乃「えーいいなー……うりゃっ!」ギュッ

京太郎「お?」

穏乃「ほんとだ、なんかぽかぽかする!」

京太郎「宥さんにくっつかれてないと意味なくないか……?」

穏乃「そんなことないよ?」ギュー

京太郎「ならいいけど……ほれショールの中に来い」グイッ

穏乃「うぇひひ、あったか~い」

宥「あったか~い」

京太郎「(流石にちょっと暑い)」

172 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/06(月) 07:38:09.09 ID:eq8cUYmXo

玄「あっ! おねーちゃんと穏乃ちゃん何してるの!?」

憧「!?」バッ

宥「あ、玄ちゃん」

穏乃「京太郎にくっついてます!」

京太郎「くっつかれてます」

憧「………………」

玄「ふぅ~む、それはなかなかのなかなかに楽しそうだねっ。私も……」チラッ

京太郎「?」

玄「ッ……/// わ、私もおねーちゃんにくっついちゃおっかな!」アセアセ

宥「それならもっとあったか~い」

憧「ちょ、後ろに四人は狭いでしょっ」

玄「えー? 大丈夫だよ、こっちより広いし……んしょ」ヨジヨジ

憧「しかも座席を跨いで!?」

京太郎「それは危ないですよ!」

173 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/06(月) 07:38:53.46 ID:eq8cUYmXo

玄「ご心配なく! 赤土さんが急にブレーキをかけない限り平気ですので!」

京太郎「それあかんやつ――」

レジェンド「急にブレーキ踏むよー」

キキーッ!!

玄「へっ?」グラッ

京太郎「玄さん!」グイッ

ドサッ

京太郎「っつつ……だ、大丈夫ですか? ってなんか暗……」モゾッ

玄「ひぁ!?///」ビクッ

京太郎「玄さん? なんだこれ、暗いけど白くて……生暖かくて柔らかくていい匂いが……」モゾモゾ

玄「ふぁあんっ!?/// っだめ、そんなところ、擦らないでぇ……っ///」ビビクンッ

宥「ゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎ」

穏乃「おぉー、京太郎と玄さんがキン肉ドライバーの出来損ないみたいな格好になってる!」

京太郎「え? なんだって?」モゴモゴ

玄「い、息吹きこまないでぇっ///」ビクンビクン

憧「ふきゅきゅきゅきゅきゅきゅ………………ナニやってんのーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!///」

灼「わずらわし……」

195 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/10(金) 03:05:23.06 ID:4n5fsF6yo

《症状》

 だめだ。

 どうしよう。

 京太郎の顔を見るだけで。

 京太郎の声を聞くだけで。

 京太郎が傍に居るだけで。

 心臓が張り裂けそうなくらい高鳴っちゃう。

 ましてや京太郎に触られるなんて。

憧「……」

 ふきゅ。

 無理。

 無理無理。

 断じて無理。

 けど、それでも。

憧「――」

 傍に居たいって思う。

 こんな気持ちを、恋って呼ぶのかな。

196 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/10(金) 03:06:33.76 ID:4n5fsF6yo

 でも、このままじゃ駄目だ。

 どうにかしなくちゃ、とも思う。

 だってこれから始まる合宿で、ずっとこの調子じゃあ身も心も持ちそうにない。

 恋は、あくまであたしの個人的な問題だし。

 その為に皆との目標を疎かになんて出来ない。したくない。

 恋は恋。

 夢は夢。

 なんて、簡単に割り切れたらいいんだけど……

玄「よ、よいしょっ……はうぅ、恥ずかしくて死んじゃうかと思ったよぉ……///」

憧「……」

 とりあえず、

憧「……ねぇ玄」

玄「憧ちゃん? どうかした?」

憧「あんたってさ………………やっぱなんでもない」

玄「?」ヘケッ

 切り替えよう。頑張って。

 頑張れ、あたし。

215 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/21(火) 07:32:01.21 ID:M495bbi7o

《いざ合宿!》

穏乃「合宿だ! 地獄の鬼特訓だ!!」ウオー

憧「すー……はー……すーっ……はー……っ」

宥「……憧ちゃん?」

憧「ふぅ……テンション高ぁ~。十日もあるんだからセーブしなさい」

穏乃「お? 動きならセーブしてるよ? 見る?」

憧「見るって、何を?」

穏乃「これだよっ!」サッ

玄「こ、これは!?」

京太郎「重り入りリストバンド! その重さ実に1kg(リストバンドの表面に書いてあった)!」

穏乃「ふっふっふ……これを装着することで私は敢えて本来のパワーを出せないようにしているんだよ! まさに特訓! どう憧!?」

憧「」ソッポー

穏乃「見てよ!」

216 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/21(火) 07:32:51.58 ID:M495bbi7o

京太郎「しょーもないもん持ってくるなあ……」

穏乃「いやいや、これすごいんだって! 手を振るたびに一回カウントされるんだよね」

憧「へぇ。……それがどうしたの」

穏乃「合宿中麻雀をどれだけ打ったか、一目で分かる!」ビシッ

京太郎「今ので一回カウントされたな」

穏乃「はっ!? ちが、今のなし!」ブンブンブンッ

憧「二回三回四回……」

穏乃「わー!?」

京太郎「ったく何やってんだよ……なぁ?」

憧「っ」フイッ

京太郎「ん?」

憧「」ソッポー

京太郎「……憧」

憧「な、なに?」

京太郎「なんで俺の方も見ないんだよ」

憧「べ、別に……」

京太郎「別にじゃなくてさ、隣に立ってるんだから会話ぐらい……」

憧「みっ」

京太郎「み?」

憧「…………………………右にもいるでしょ」

_人人 人人人人人_
> 右にもいるでしょ <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄



京太郎「……玄さーん。おしゃべりしましょう」

玄「え? いいよー」

 俺は泣いた。

232 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/22(水) 07:39:54.97 ID:stgb3FISo

《私物混入》

灼「私物の持参は最低限って言ったのに……」

穏乃「最低限ですよ!」ドチャッ

 そう言って穏乃が自前のスポーツバッグをひっくり返す。

 畳の上に広がった中身は……

京太郎「ダンベル……」

憧「プロテイン……」

玄「エキスパンダー……」

灼「何するつもり」

穏乃「合宿です!」ムフー

京太郎「お前が参加するのって隣の部屋でやってるガチムチボディビルディング合宿だっけ?」

憧「と、隣でそんなのやってるの!?」ビクッ

京太郎「嘘でーす☆」

憧「~~~~~!!」ポカポカ

京太郎「痛い痛い痛くない」

233 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/22(水) 07:40:41.32 ID:stgb3FISo

灼「もー……」

 と、嘆息する鷺森部長の背後を、

宥「んしょ、んしょ」

 何か通った。

 コタツを抱えた宥さんだった

京太郎「……宥さん」

宥「え?」

灼「まさか私物では……」

宥「コンセントどこに刺そうかな」

 聞いちゃいねえ。

 まさか真夏の合宿所でコタツを拝もうとは思わなんだ。

 冗談は美貌だけにしてほしいぜ宥さん。

京太郎「と、とりあえず持ちますよ。重いでしょ?」

 あわよくば没収だ。

宥「わ、ぃ、いいよ、おねーちゃんだもん」

京太郎「だったら年下をもっと使ってください。ほら――」



 ――もにゅん。



234 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/22(水) 07:41:24.28 ID:stgb3FISo

憧「!」

玄「!!」

京太郎「!!!」

 乗――――――――――――――――――――った。

 俺が、良かれと持ち上げたコタツの天板に。

 俺と宥さん、その身長差が働いて。

 宥さんの、おもちが。

 たっぷり!

宥「わ、ゎわっ……///」カァー

 当の宥さんはコタツから離れた手をわたわたと彷徨わせ、狼狽えて。

 その間も絶賛ゲットライドなおもちは、宥さんの意思とは独立した生命のようで。

京太郎「……」

 ゆさっ――ぽよん。

宥「あっ///」

 ゆさゆさっ――ふるるっ。

宥「んん///」

 ゆっさゆっさ――ぽいんっぽいんっ。

宥「だ、だめぇっ……///」ピクンッ

京太郎「ハッ!?」

235 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/22(水) 07:42:34.73 ID:stgb3FISo

 弄んでしまった。我を忘れて。

 気付けば目の前には荒ぶるおもちと、その奥で顔を赤く染めている宥さん。

京太郎「す、すみません宥さん、つい!」

玄「京太郎くんは悪くないよおねーちゃん! 今のは仕方ないよ!!」

 すかさず玄さんがフォローに入ってくれた。

 ありがたいけど、それでいいのか。

 妹として女性として、玄さんの立ち位置に疑問を覚えずにはいられない。

宥「う、うぅん、いいの……おねーちゃんだから……///」

 魔法の言葉か何かか。

京太郎「いやほんとすんません、いつもなら最初に持ち上がった時点で憧から蹴りが入ってくるはずなのに――」クルッ

 と、

 言いながら振り返ると、そこには。

憧「……ぅー……」ジッ

 すごく、すごく物言いたげな目で俺を見つめる、憧の姿があった。

京太郎「……」

憧「……」

京太郎「……」

憧「……」

京太郎「……」

憧「……」

京太郎「………………ごめんなさい」

憧「……ふん」

 謝った。とりあえず。

260 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/24(金) 07:18:00.99 ID:CQYwWXwwo

《to burn》

灼「ここで生活していく上での当番を決めよう」

穏乃「合宿っぽいですね!」

灼「人数分となると役割が7つ必要だから、えーと……」

レジェンド「私も含まれるんだ――(いいけど)――」

穏乃「7つもあったらひとつくらい意味ない役割出てきそう」

憧「あー、ありそう」

京太郎「団体行動あるあるだな」

穏乃「ひとつめはおやつ管理係ね!」

憧「ひとつめから意味ないけど」

穏乃「ちなみに私がやる!」ムンッ

京太郎「横領の匂いがプンプンするんですがそれは……」

261 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/24(金) 07:18:55.37 ID:CQYwWXwwo

憧「でも、どうやって決めようか」

玄「プチ会議だ」

灼「じゃあ議題をボードに……」

宥「ないよー」

灼「……ボードはないか。じゃあ何か代わりのもので……」

カキカキ

灼「はい」タンッ

『麻雀部の合宿の当番分け、どんな役割がある?』

穏乃「「チーしますか?」って言って回る係!!」

憧「大喜利じゃないよ!?」

京太郎「よっしゃ、腕の見せどころだな」

憧「ちょ、だから違うって……」

玄「おねーちゃんのおもちを支える係!」ハイッ

憧「玄!?」

262 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/24(金) 07:20:09.55 ID:CQYwWXwwo

京太郎「はいはいはいはい! 俺それ立候補します!!」

玄「やめるのです京太郎くん! こればっかりは私に譲るように!」

憧「しかも椅子を奪い合ってる……」

穏乃「「ポンしますか?」って言って回る係!!」

憧「天丼禁止!」

宥「朝一番におこたの電源を入れてくれる係……」プルプル

憧「それくらい自分でやりなさい!」

灼「朝一番にハルちゃんの前髪をセットする係」

憧「司会がまさかの被せボケ!?」

穏乃「「カンしますか?」って言って回る係!!」

玄「おねーちゃんのおもちを育てる係!」

宥「寝る時に湯たんぽになってくれる係……」プルプル

灼「お昼時にハルちゃんの前髪をチェックする係」

レジェンド「家に忘れてきた資料を取ってきてくれる係」

京太郎「家にガスの元栓閉めたか確かめてきてくれる係」

憧「あ・ん・た・ら……! そこに直れーーーーーーーーーーっ!!!」ガー

283 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/29(水) 07:31:29.27 ID:uyYoy/sGo

《ちょっと真面目にやってよー》

レジェンド「んじゃ気を取り直して係決めね」

憧「ハルエが仕切るんだ……」

レジェンド「仕切るよ、顧問だもの」

京太郎「監督が顧問なんだ……」

レジェンド「今監督つったじゃん! じゃあ顧問だよ唯一の大人だしさぁ!!」

灼「まぁまぁハルちゃんナンバーワン。落ち着いてほし……」

レジェンド「しょうがないにゃあ……」

京太郎「(うわキツ)」

レジェンド「んじゃ気を取り撮り直して。係決めやるよー」

「「「「「「はーい」」」」」」

レジェンド「必要なのは生活面をサポートする係かな。本当に麻雀ばっかりしてる訳にはいかないし」

京太郎「あ、じゃあ俺が全部やりますよ」

「「「「「「却下」」」」」」

京太郎「満場一致で!?」

284 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/07/29(水) 07:32:04.24 ID:uyYoy/sGo

憧「当たり前じゃない……」

穏乃「京太郎も打とうよ!」

レジェンド「だね。須賀くんも積極的に参加する方向で」

京太郎「でもマネージャーの業務が」

レジェンド「それはそれでやってもらうけど」ケロリ

京太郎「あれっこの合宿俺が一番ハードだな!?」

玄「なせばなるのです!」ムンッ

宥「が、がんば……って」

灼「それじゃ役割分担しようか」

憧「生活面っていうと、例えばどんな?」

レジェンド「一番は食事の支度かな。ここ自炊だから」

憧「うわ、大変そう」

穏乃「でもみんなでやれば楽しそう!」

レジェンド「他には掃除とか」

玄「おまかせあれ!」

レジェンド「あと洗濯とか」

京太郎「おまかせあれ!」

レジェンド「洗濯は須賀くん以外で」

京太郎「ウゾダドンドコドーン!!!」

321 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/08/24(月) 07:32:58.42 ID:ezP1iPgro

憧「あ、当たり前じゃない!///」

穏乃「なんで?」

レジェンド「年頃の女の子の洗濯物を男子に洗わせるのは流石に……ねぇ?」

玄「そ、そうですね……///」

宥「うん……///」

灼「妥当だと思……」

京太郎「チッ……分かりましたよ、じゃあ俺は自分と監督の分だけ洗いますね」

レジェンド「分け方ァ!!! 私そっち側じゃないだろ!」

京太郎「?」キョトン

レジェンド「そのキョトン顔もやめろおおおおおおおおおお」グオオオ

灼「まぁまぁハルちゃんナンバートゥー。じゃあ洗濯は私がやろうかな」

宥「ゎわ、なら私はお風呂掃除……」プルプル

玄「お風呂以外のお掃除全般はおまかせあれ!」

憧「いやさっき聞いたし……しず、あたしらは何しよっか?」

穏乃「「ロンしますか?」って言って回る係!!」

憧「それはもういい」

322 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/08/24(月) 07:33:51.46 ID:ezP1iPgro

レジェンド「残ってるのは……食事の支度ぐらいかな?」

憧「え゛っ」

京太郎「食事っすか。じゃあ俺と憧と穏乃で分担するか」

憧「ちょっ」

穏乃「いいねっ楽しそう!」

憧「待っ」

レジェンド「そういうことなら須賀くんは朝昼を頼まれてくれる? 女子は練習に専念させたいからさ」

京太郎「そのつもりですよ。それに……」チラ

穏乃「ぅ?」

京太郎「穏乃一人に一食任すのも怖いですし」

レジェンド「言えてる」

穏乃「ひどっ!? もー京太郎ー!」ポカスカ

京太郎「わりーわりー。憧もいいよな? 穏乃のことフォローしてやってくれよ」

憧「………………」

京太郎「憧?」

憧「……へっ!? あっうん分かった!」

京太郎「サンキュー」

憧「――!」

 なんか憧が頭を抱えているが、一応それぞれの役割分担が終了した。

339 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/09/08(火) 07:31:17.37 ID:9yJJ+6fao

《その発想はなかった》

穏乃「いろいろ片付いたところで麻雀だ!!」ウオーッ

灼「片付いた?」

玄「まあ一応……」アハハ

レジェンド「ちょい待ち、練習は荷物片してからね」

憧「えー真面目~」

レジェンド「教師ですから」キリッ

穏乃「荷物なんて部屋の隅っこに寄せとけばいいじゃん! 麻雀麻雀っ!」ウズウズ

レジェンド「ダーメ。しず達はともかく、須賀くんは一旦部屋に行かなきゃでしょ」

穏乃「えっ」

京太郎「えっ」

憧「えっ」

玄「えっ」

宥「えっ」

レジェンド「ちなみに私も一人部屋☆」バチコーン

灼「えぇっ!?」

340 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/09/08(火) 07:31:46.12 ID:9yJJ+6fao

レジェンド「てか何そのリアクション」

穏乃「京太郎、私達と同じ部屋で寝るんじゃないんですか!?」

レジェンド「はい」

憧「完っ全に同じ部屋って思い込んでた……危なぁ……///」

宥「そんなぁ……」プルプル

玄「やめるのです赤土先生! おねーちゃんを凍えさせないように!」

レジェンド「うーんこの教え子達。私が言うのもなんだけどそれでいいの?」

灼「目眩がしてきた……こういう時はハルちゃんを数えよ……ハルちゃんは私に勇気を与えてくれる……ハルちゃんが1レジェンド……ハルちゃんが2レジェンド……」カタカタ

レジェンド「私が言うのもなんだけどそれでいいの?」

京太郎「馬鹿な……部屋に入ったら漏れなく誰かが着替えてたり朝起きたら布団に誰かが潜り込んでたりそういう素敵イベントは!!?」

        ,'        \   _..-‐i          /  そ 
.         ,' ..::::        i>イ-ュ .ノ            |  ん 
       ,'....:::.:::________ i、 T_ノ i             |  な 
      ,'-''"´r==-、__  `丶、  ,'     ,-――-、_.|  も 
       rヘ:::::/ ィ=rュ ゝソ r:::..ヾ<    /        l|  の  
      i ヘ ゙゙"、    ..::  /:rュ、ミ/   /   な ウ   \
      i、ヽ,        、'‐ノ`  ト   /    い チ    .|フ r―
     ヾr-i     __..__ 、  ,'ノ   .|      よ に    | ̄
     r-/ i    ゙、⌒゙^;  /    ヽ    : は    |
     i:ヘ_  \      ̄  ./    <     .:     /
   /i.:::: `ー 、\ _.:::...._ /        \       /
__,-"/ /:::::...    `ヽ`ー‐"ノヽ        `ー――'
//、 | .|ミ      i  / ̄ /
i i ヘi! .| \::...    / /   /-、 ____
ヽi ヾ 丶 `   /  i_  /゙iヘ `ー-   `ヽ

       ↑レジェンド

京太郎「チキショウめぇええええええええええ!!!」ダンッッッ

穏乃「ちぇーつまんないのー」ブーブー

憧「安心したような……ちょっと残念なような……///」ブツブツ

362 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/09/23(水) 02:24:02.99 ID:xOmn1m6To

《本日の部活動、終了☆(原作には存在しないポーズ)》

穏乃「いやー打ったー!」

玄「初日から濃かったねー」

宥「ねっとう、あったか~い」ポワ

灼「それどっちのネットウ……?」

レジェンド「はーいみんなお疲れ! そろそろ夕飯の支度しよっか」

憧「」ギクリ

京太郎「もうそんな時間すか。そんじゃ支度を……」イソイソ

レジェンド「待てい。夕飯の当番は須賀くんじゃなくてしずと憧でしょ?」

憧「」ギクギクリ

京太郎「あ、そうでした」

レジェンド「と、言いたいところだけど……初日だし今日のところは私が作るよ」

憧「えっ!」ホッ

穏乃「赤土さん料理出来るんですか?」

レジェンド「出来らあっ!」

京太郎「じゃあ頼んます監督」

レジェンド「え! 私が今日の夕飯を!?」

京太郎「自分で言ったじゃねーか!!」

363 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/09/23(水) 02:25:26.45 ID:xOmn1m6To

レジェンド「冗談冗談。すぐ用意するからねー」ケロッ

憧「なに作ってくれるの? バーニャカウダ?」

レジェンド「なんで最初に思いついたのがそれなのか」

京太郎「監督、俺ハンバーガー食いたいっす」

レジェンド「マック行けよ! この辺にゃないけどな!」

穏乃「ラーメン食べたい! 本格派の!」

レジェンド「いちからか? いちからしこまなきゃだめか?」

宥「あったかいものならなんでも……」

レジェンド「そのくらいの要望なら応えられるけど……」

灼「ハルちゃんならなんでもい……」

レジェンド「そうです、私が変なハルちゃんです」

玄「あ、もしかしてカレーですか? 荷物の中に材料あったし」

レジェンド「チキショー! 教え子のボケを丁寧に捌いてたらネタバレされたー!」

玄「はわっ、ごめんなさいですのだ!」ペコペコ

京太郎「いや最後の方ボケ被せてたでしょうが」

374 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/09/24(木) 07:33:01.29 ID:KOJHwMBjo

《20 years ago》

宥「赤土先生の時の合宿ってどんな感じだったんですか?」

レジェンド「あんまり覚えてないなー……」

京太郎「昔すぎて?」

レジェンド「事実だけど人に言われると腹立つなぁ!!」

玄「まぁまぁ……」

憧「お姉ちゃんも一緒だったんだよね。そういえば合宿の話は聞いたことなかったなぁ」

レジェンド「あ、望!」

憧「へ?」

レジェンド「望で思い出したんだけどさぁ、あいつ……ぷふー!」

穏乃「なんですかなんですかっ?」

灼「もったいぶらず教えてほし……」

レジェンド「えーでもなーこれはなー本人の名誉がなー………………ヒントはおっぱい」

京太郎「詳細希望!!!」ガタッッッ

憧「」ムッ

398 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/09/28(月) 07:35:00.66 ID:9ZbeMw2fo

《赤土メシ》

レジェンド「おあがりよ!」ドンッ

「「「「「「いただきまーす!」」」」」」

パクッ

憧「おわっ、このカレー……」

穏乃「うん……」

京太郎「監督。作ってもらってこういうこと言うのもなんですが、このカレーまずいっすね」

レジェンド「お粗末!」ドンッ

京太郎「ほんとにな!」

レジェンド「もー須賀くん、そんなことを言ってると友達をロスト。失うよ?」

京太郎「やかましいわ」

玄「あのぅ赤土さん、このカレーはどういうレシピで……?」

レジェンド「ん? 麻雀部に代々伝わる由緒正しいレシピだよ」

京太郎「それでこの味って……」

レジェンド「私ら世代の合宿でもカレーがおいしくなかったことだけは覚えてるからさ、そういう思い出みんなにも作ってほしい」ウンウン

憧「わざとこんな味にしたの!?」

京太郎「謝れ! 世界中の農業従事者とインド人に謝れ!」

399 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/09/28(月) 07:36:00.87 ID:9ZbeMw2fo

《しずごはん》

灼「ハルちゃんの手作りカレー……残すわけには……」プルプル

宥「あったかければ……あったかいのに……あったかいけど……」プルプル

玄「ふ、二人とも無理はよくないのです!」

穏乃「う゛ー……ごめんなさい赤土先生、プロテインで口直しさせてもらいます」ジャッポジャッポ

京太郎「口直しになるのか?」

穏乃「お」スポーン

憧「あっ!?」

ボチャン

穏乃「わー!? ごっごめんなさい!」

憧「ぅーゎー……カレーにプロテインが溶けてなにこの……」

京太郎「なかなか衝撃的なビジュアルだな……」

レジェンド「もったいないなぁ、まだこんなにあるのに……」

「「「……」」」

憧「」パクッ

レジェンド「」パクッ

京太郎「!?」

400 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/09/28(月) 07:38:02.71 ID:9ZbeMw2fo

レジェンド「……ん!?」

憧「なにこれ、美味しっ!?」

京太郎「マジで!?」

憧「マジマジ! 食べてみてよほら!」アーン

京太郎「うえっ!?」

憧「ほら早く!」アーン

京太郎「お、ぁ、おう……あーん」パクッ

憧「美味しいよね? ね、京太郎? ねっ?」

京太郎「嘘だろ……マジでうめえ」

憧「でっしょー?………………はっ!?///」

穏乃「憧?」

憧「ぁ……あぁ……///」プルプル

玄「憧ちゃん? 急に震えてどうかし――」

憧「ヒエェーーーー!!」モミモミモミモミ

玄「ふえぇえええっ!?///」モマレモマレモマレモマレ

京太郎「突然のサービス!!」

410 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/09/29(火) 07:33:07.51 ID:EPD55JRdo

《麻雀はディナーのあとで》

レジェンド「夕飯の後はお楽しみレクリエーションターイム!」

穏乃「いえーい!」

京太郎「何するんすか?」

レジェンド「麻雀」サラリ

京太郎「散々やっただろぉ!?」

レジェンド「ノンノンノンノン。須賀くんは全然でしょ」

京太郎「そりゃそうですけど……」

玄「京太郎くんも麻雀部の仲間だもんねっ」

宥「仲間はずれ、あったかくない……」

灼「一緒に楽しもうよ」ゴッ

京太郎「なんか鷺森部長から不思議と懐かしさを覚えるようなアトモスフィアが」

憧「ふきゅきゅきゅきゅ……」

穏乃「憧?」

憧「(京太郎と一緒に麻雀……京太郎と卓を囲む……京太郎と洗牌……触れ合う手……やだ、まだ心の準備が――!)」ドキドキ





レジェンド「そんじゃスイッチ入れるよー」ポチッ

ジャラジャラジャラジャラ

憧「(´・ω・`)」アコーン

427 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/10/12(月) 07:34:13.04 ID:GPWl6aiio

《ガス須賀爆発》

レジェンド「しまった、もうこんな時間!」

憧「わ、気付かなかった」

レジェンド「早くしないとお風呂閉まるよっ」

宥「えぇ……!?」

玄「急がなきゃ!」

灼「いそげ、いそげ」パタパタ

穏乃「いそげっ、いそげっ」ガチャガチャ

京太郎「いっそげ、いっそげ」バタバタ

憧「ちょっと待ったーーーーーーーーーー!」

灼「」ピタッ

穏乃「」ピタッ

京太郎「」ピタッ

憧「あ、灼さんは大丈夫です」

灼「ありがた……」パタパタ

428 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/10/12(月) 07:35:07.28 ID:GPWl6aiio

穏乃「えー灼さんばっかりずるいー」ブーブー

京太郎「そうだそうだー」ブーブー

憧「やかましい! まずしず!」ビシッ

穏乃「ぅ?」

憧「その小脇に抱えてるのは何?」

穏乃「お風呂グッズ!」ゴチャア

憧「時間がないって言ってるでしょ!? シャンプー類だけにしなさいっ!」ガーッ

穏乃「え、シャンプーは持ってきてないよ?」

憧「全部遊び道具!? あたしが貸したげるから行くわよ!」

穏乃「はーい」シブシブ

京太郎「まったく穏乃にも困ったもんだな。さ、急ごうぜ」

憧「京太郎も禁止ーーーーー!///」

京太郎「全否定!?」

レジェンド「そりゃそうでしょ」

灼「驚くことじゃな……」

宥「えぇ……!? 京太郎くんは一緒じゃないの……?」プルプル

玄「や、やめるのですおねーちゃん! 京太郎くんを持ち込まないように!///」

憧「とにかくっ、京太郎はついてきちゃダメだからね!? 絶対、ぜーったいだからね、ねっ!?」

京太郎「へいへい分かってるよ、流石に冗談だって」

憧「…………………………冗談なの?」

京太郎「お前は俺のことなんだと思ってんだ」

443 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/11/11(水) 07:32:58.32 ID:baZrYHo4o

《湯けむる阿知賀》

カポーン

宥「あったか~い」ポワワ

穏乃「広くて気持ちいいですね!」

玄「ふぅ~む……この泉質……この温度……なるほどなるほど~……」メモメモ

灼「今メモってもふやけて無駄だと思……」

キャッキャッ

憧「……」ゴシゴシ

穏乃「憧ー?」

憧「なに?」ゴシゴシ

穏乃「もうお湯に浸かったら?」

憧「……まだ!」ゴシゴシゴシゴシ

宥「あったかくないよ……?」

憧「まーだー!!」ゴシゴシゴシゴシゴシゴシ

453 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/11/27(金) 06:28:58.30 ID:aMQqt83so

《続・湯けむる阿知賀》

チャポン

憧「ッ……あ゛ぁ~~~~~~~~~~……♪」ホフゥ

穏乃「わ、おじさんみたいだよ憧」

憧「ほっといて。こっちは一日中緊張しっぱなしだったんだから……」

穏乃「緊張? なんで?」

憧「……言いたくない」ブクブク

穏乃「ぅ?」キョトン

玄「あっ京太郎くん!!」

憧「ふぎゅぶばっ!?」バッシャアアアッ

穏乃「憧!?」

憧「(うそやだなに京太郎!? お風呂に!? 初日から!? ちょっといくらなんでも急展開すぎるっていうか他の皆もいるのに時間と場所をわきまえてっていうか別にそんなつもりじゃなかったけど身体キレイにしててよかった――)」ゴボゴボゴボゴボ

灼「須賀くんがどうしたの」

玄「京太郎くんもお風呂に入らなきゃダメだよね、早く出ないと!」

宥「そ、そうだね……でも……まだあったかくないぃ……」プルプル

憧「」ザバァ

穏乃「憧!」

憧「……」

穏乃「憧?」

憧「バーニングラァーーーブ!!」ワシィッ

玄「ひょわあぁあああああっ!?」ビクゥッ

穏乃「憧ー!?」

468 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/12/10(木) 07:41:27.38 ID:s+aUQukzo

《キガエール》

レジェンド「憧、今日はどうしたん?」

憧「えっ!?」ビクッ

レジェンド「なんかずっと様子がおかしいけど」

憧「ハルエ……」

レジェンド「……」

憧「……いたんだ」

レジェンド「ずっといたよ!?」

穏乃「でも先生の言う通りだよ、憧大丈夫?」

憧「べ、別に……なんでもないから。ほんと、なんでもないから。うん……」

レジェンド「……特異点」

憧「へ?」

レジェンド「カブト虫」

憧「ハルエ……?」

レジェンド「廃墟の街。カブト虫。紫陽花」

憧「ちょ、一体なんなのよ――」

レジェンド「須賀くん」

憧「ふきゅっ!?」ドキーン

469 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2015/12/10(木) 07:41:57.17 ID:s+aUQukzo

レジェンド「ジョット」

穏乃「秘密の皇帝!」

玄「らせん階段」

宥「京太郎くん……」

憧「ふきゅっ!?」ドキーン

灼「カブト虫」

穏乃「イチジクのタルト!」

レジェンド「天使」

玄「京太郎くん」

憧「ふきゅっ!?」ドキーン

宥「特異点……」

灼「カブト虫」

玄「ドロローサへの道」

穏乃「京太郎!」

憧「ふきゅっ!?」ドキーン

レジェンド「……」

穏乃「……」

玄「……」

宥「……」

灼「……」

憧「………………さ、さー湯冷めする前に着替えちゃお~」モゾモゾ

「「「「「(怪しい……)」」」」」

490 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2016/01/02(土) 22:39:17.25 ID:kepwJUmEo

《京ちゃんさん@湯けむらない》

京太郎「ふぃー……」ゴロン

 一人部屋に敷いた布団の上に身体を投げ出す。

 視界に飛び込む見知らぬ天井に、ここが日常とは切り離された場所にあると再認識する。

京太郎「……」

 だから、なのだろうか。

 憧の変調は。

 それだけの理由で、片付けてしまえるものだろうか。

京太郎「――」ゴロン

 朝、最初に顔を合わせて以来、憧の様子はずっとおかしかった。

 まるで出会った頃のような警戒心で俺との接触を避けていた。

 不慣れな環境に緊張している――だけでは、ないように思えた。

 では何故? それが分かれば苦労はしない。

京太郎「………………あ゛ー!」ガバッ

 考えるのはやめた。

 ひとっ風呂浴びて俺も気持ちを切り替えよう。

 多分、今から出れば憧達と入れ違いになれる筈だ。

493 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2016/01/02(土) 22:52:08.32 ID:kepwJUmEo

《浴衣姿が露出度の割にエロいのってなんだろうねあれ》

ガチャッ

穏乃「あ!」

京太郎「お」

 まさかの出鼻。

 浴衣姿の女性陣と出くわした。

玄「京太郎くん! お風呂、お先にいただきました!」ケイレイ

宥「ぁ、あったかたかかった……よ?」プルプル

灼「そうは見えな……」

京太郎「良かった、ちょうど今から向かおうと思ってたんですよ」

レジェンド「待たせちゃってごめんね?」

京太郎「いえいえ」

穏乃「あ、でも憧がまだ着替えてるかも」

京太郎「マジか」

 知らずに突入しないで良かった。

レジェンド「なんか憧、ずっとソワソワしててさ。須賀くん心当たりない?」

京太郎「……いや、ないっすね」

レジェンド「そっかー」

494 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2016/01/02(土) 23:04:40.59 ID:kepwJUmEo

~大浴場~

 で。

 やって来ました大浴場(男女兼用・交代制)。

 正確にはその入口前。

京太郎「……」

 ここまでの道すがら、誰とも会わなかった。

 それが意味することは、

京太郎「……憧ー? いるかー?」

憧「ふきゅっ!?」ガタァッ

 こういうことである。

 ドッタンバッタンという中からの音を聞いて待つことしばし。

憧「お、おまたせあれ!!」バサッ

 暖簾をの向こうから憧が姿を現した。

 穏乃達と同じく浴衣姿だ。

 ただ、先程の物音から察するに慌てて着替えたらしく、浴衣の胸元が少し緩い。

 なるべく見ないように気をつけなくては。

京太郎「……」チラッチラッ

 なるべく(見ないとは言っていない)。

500 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2016/01/03(日) 00:35:39.58 ID:8BLBQuemo

憧「ご、ごめんね待たせちゃって」

京太郎「ん? あぁいや、別に気にすんなよ」

憧「……」

京太郎「……」

憧「……そ、それじゃ」スッ

京太郎「なあ」

憧「ッ!」ビクッ

京太郎「調子はどうだ? その、合宿初日の手応えっつーか」

憧「え、ぁ、そ、そうね……まあまあ、かな?」

京太郎「そうか。何かあったらすぐに言えよ?」

憧「な、ナニかって……?」

京太郎「なんだろうな……ああ、身体の不調とか」

憧「かっ身体!? あたしの!?」

京太郎「いや違」

憧「へへ平気よっ! 全然ほんとに絶好調! 今だってお風呂で念入りに洗ったし準備万端っていうかいつでもオーライっていうか――」ワチャワチャ





 ――はらり。

506 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2016/01/03(日) 01:34:22.20 ID:8BLBQuemo


 当時のことを、須賀京太郎氏はこう語った――

京太郎「一言で表現するなら……『静寂』と『祝福』、ですかね」

京太郎「まさに運命の悪戯としか言いようのない出来事でしたよ」

京太郎「あの瞬間ばかりは時間が止まったように錯覚しました」

京太郎「凍りついた時の中を滑り落ちる帯……花が咲くように広がる浴衣」

京太郎「その光景は今でも鮮明に覚えています。忘れようがありません」

京太郎「同時に抱いた、激しい憤りも」

京太郎「私は叫びました。そうせずにはいられなかった」



京太郎「「下着は邪道だろ!!!」――ってね」



京太郎「っととと……また失敗だ。難しいなコレ」

 ――ろくろを回しながら。

509 名前: ◆I1DjlWNWjk[saga] 投稿日:2016/01/03(日) 01:58:14.62 ID:8BLBQuemo

《決意》

~女子大部屋~

玄「浴衣ラクだねー。明日からはずっとこれでいいかも」

憧「絶対にイヤ!!」ウワーン

玄「ぁう」

宥「よしよし……」ナデナデ

穏乃「ぅ?」

灼「電気消すよ」

パチッ

【TO BE CONTINUED...】
最終更新:2016年01月04日 00:40