ドリルとメル友と自慢の拳

611 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/05(木) 23:02:16.95 ID:pWNw6HmAo

 海の日が7月の20日から第三月曜日になってしまって何年が経っただろう。

 気になって昨夜PCで調べてしまった。

 すると驚いたことに、今では7月20日だった期間より第三月曜日だった期間の方が長いのだ。

 いやマジで驚いた。時の流れを感じた。俺まだ15だけど。

 しかし、いつだか語ったと思うが、俺はハッピーマンデーより週の中程にポツンと一日休める方が嬉しい。

 まあ土日祝日関係なく部活なんだけど。

テクテクテク...

京太郎「はぁ……」

憧「朝から辛気臭いわねー、どうしたの?」

京太郎「今日の部活が憂鬱でな……」

憧「部活? 祝日に部活するのがそんなに嫌なわけ?」

京太郎「違う違う。そうじゃなくて、今日はあいつが来――」





初瀬「うわあああああ憧が男と一緒に登校して死ねェ!!」ブゥン





京太郎「ほら来た危ねぇ!?」サッ

618 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/05(木) 23:43:07.55 ID:pWNw6HmAo

憧「初瀬!?」

初瀬「おはよう憧! 爽やかな朝だねっ!」ニッコー

憧「お、おはよ……」

初瀬「ちょっと待っててね、この野郎を始末してもっと爽やかにしてあげるから!」グッ

憧「しなくていいよ!?」

初瀬「死ねよやぁー!!」ダッ

憧「聞いてよ!?」

 聞いてない。

 俺を狙い、目にも留まらぬ速度で繰り出される拳の怒涛。

 スピードだけじゃない。パワーも以前とは段違いだと感じる。

 一撃でも食らえば終わりだ――が、

京太郎「オラァッ!!」ガシィッ

初瀬「何ッ!?」

 いくら速くても、強くても、元はたった二本の腕だ。

 こちらにも同じ数の腕があるんだ、受け止めることになんら問題はない。

初瀬「チッ……やるようになったな!」

京太郎「フッ、お前もな」

憧「なにこれ」

623 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/06(金) 00:19:04.08 ID:3MxFUq0No

初瀬「まあいい、今朝のところは見逃してやる」ペッ

京太郎「この通り魔なんで上から目線なんだ」

初瀬「そんなことより……憧ーっ!」ダキッ

憧「わぷっ!? ちょ、はつせ、苦しっ……暑苦しいから!」グイグイ

初瀬「照れるなよ~。ああ、憧は小さくて可愛いな~」

憧「誰のどこが小さいって!?」

京太郎「お前の胸」

「「死ねェ!!」」

京太郎「おっと」ヒラリ

 抱き合った状態から放たれるパンチなど避けるのは容易い。

憧「小さくないわよ! ちゃんと育ってるもん!!」

初瀬「そうだぞ! 直に見たこともないくせに知った風な口を利くんじゃあないッ!!」

憧「」ビクッ

京太郎「」ギクッ

初瀬「え?」

憧「……」

京太郎「…………」

初瀬「………………」



初瀬「うわあああああああ憧が男に生乳見せてるううううううううううう!!!」



憧「み、見せてない! 生では絶対見せてない!!///」

 うん、生では。

628 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/06(金) 00:59:09.77 ID:3MxFUq0No

初瀬「おい須賀ァ!!」

京太郎「あ、名前覚えてたんだな」

初瀬「うっさい! そんなことより憧っぱいだよ憧っぱい! 見たのか? 生で見たのか!?」

京太郎「だから見てねーって!」

 生では。

 ロッカーに閉じ込められた時もブラまでしか見てない。

 いや、ブラでも十二分に刺激的だったが。

初瀬「ていうか憧! なんで朝っぱらからこんなのと一緒にいるんだよ! 危ないよ!?」

憧「危なくないってば……初瀬、ちょっと大袈裟すぎ」

初瀬「だって……」

京太郎「通学路で偶然会うのは仕方ねーだろ。家が近いんだから」

初瀬「近いの!?」

憧「うん、あたしんちから見て山の手のアパート」



初瀬「うわああああああああああ憧が気安く通える距離に男の家があるううううううううううううううう!!!」



憧「通いません!///」

京太郎「夏でも元気な奴……」

630 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/06(金) 01:26:03.50 ID:3MxFUq0No

 その時。

車井さん「初瀬~!」タッタッタッ

京太郎「!」

初瀬「百花?」

車井さん「そうだよ、私の名前は車井百花だよ! もう、急に走って行かないでよぉ……」ゼーゼー

初瀬「あー……ごめん。憧の気配を察知したから、つい」

憧「あたしの気配って何!?」

 岡橋を追って現れた少女。

 毛先にウェーブの掛かった黒髪の彼女とも、以前に面識があった。

 歩み寄る。

憧「京太郎?」

 そして、

京太郎「よっ、車井さん」

憧「!?」

車井さん「あ、須賀くん。おはよ~」

憧「!!?」

632 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/06(金) 02:06:51.14 ID:3MxFUq0No

京太郎「途中で迷わなかったか?」

車井さん「大丈夫だったよー。事前に道を教えてもらってたおかげだね」

京太郎「そか。なら良かった」

憧「ちょ、ちょ、ちょ、ちょーっと待って!!」

京太郎「どうした?」

憧「………………え、なに、京太郎。そっちの……えっと……」

車井さん「私の名前は車井百花です」

憧「そう、車井さん。ごめんなさい新子憧です――その車井さんと、なんでそんな親しげなの?」

京太郎「なんでって、実際仲いいし。な?」

車井さん「ねー」

憧「いつの間に!?」

初瀬「そうだよ百花、お前いつも私と一緒にいたろ!?」

京太郎「俺らメル友なんだよ」

「「メル友!?」」

636 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/06(金) 02:47:47.69 ID:3MxFUq0No

車井さん「大体毎日メールしてるよね~」

憧「ま、毎日!?」

初瀬「いつメアドなんて交換したんだよ!?」

車井さん「私達が初めて会った日の何日か後かなぁ、偶然また会ったんだよ」

車井さん「その時、困ってた私を須賀くんが助けてくれて……で、その時ついでに」

京太郎「大したことはしてないけどな」

車井さん「そんなことないよ! すごく嬉しかったもん」ニコッ

京太郎「そうか? まあ、力になれたんなら何よりだよ」ニカッ

憧「………………あたしだってたまにしか………………」ボソッ

京太郎「憧?」

憧「ッ……きょ、京太郎! 早くしないと部活始まっちゃうわよ!」グイッ

京太郎「うおっ!? ちょ、引っ張んなって!」ヨロッ

初瀬「憧!? そんな奴の手を握ったらダメだよ、妊娠するよ!!」ダッ

車井さん「しないよ!? 初瀬は須賀くんを何だと思って……待ってよ~!」タッ

 こうして俺達は学校を目指し再出発する。

 今日は海の日。

 晩成高校麻雀部との壮行試合の日だ。

654 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/06(金) 21:56:06.44 ID:3MxFUq0No

 話は先週に遡る。

………………
…………
……

 学外での所用から帰ってきた鷺森部長が突然、

灼「来週、晩成、阿知賀、来る」

 と告げたのだ。片言で。

 俺達は驚いた。

 鷺森部長も驚いていた。

 なんでも、駅で先方の先鋒で部長の人に会ったらしい。

 「壮行試合してあげるっつってんの!」と言われたらしい。

 そりゃ驚く。

……
…………
………………

 そんな突飛な申し出をレジェンドがあっさり快諾し、祝日である今日、壮行試合を行う運びとなったのであった。

661 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/06(金) 22:45:53.08 ID:3MxFUq0No

テクテクテク...

憧「ところで、晩成のレギュラーの人達は?」

初瀬「後から来るよ。顧問の先生と一緒に車で」

車井さん「私達は先に来て阿知賀の人達のお手伝いをすることになってるんだ」

京太郎「なんか悪いな。一応こっちがホストなのに」

車井さん「気にしないでいいよ~。県代表の対局を近くで見せてもらえるんだもん、このくらい平気」

京太郎「そうか? まあ、マネージャーの俺もいるから、なんかあったら言ってくれよな」

車井さん「うんっ。今日はお世話になります」ニコッ

テクテクテク...

憧「……ねえ」

京太郎「ん?」

初瀬「どうしたの憧? 気分悪い? 須賀の息の根止める?」

憧「いや止めなくていいけど……この並びおかしくない?」



憧初車京



初瀬「何が?」

車井さん「何が?」

京太郎「何が?」

667 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/06(金) 23:07:30.31 ID:3MxFUq0No

憧「何がって……ほら、分かるでしょ?」

初瀬「うーん……」

車井さん「なんだろう……」

京太郎「……あ、そういうことか」ポム

憧「!」パァッ



憧初
車京



京太郎「いくら車通りの少ない道でも四人で横並びはダメだよな」

車井さん「なるほど~」

憧「違う!! 並ぶ順番の話!!」ガーッ

京太郎「順番?」

憧「そうよ! 普通は同じ学校同士で固まるんじゃないの!?」

初瀬「固まってるだろ? 私と百花で」

車井さん「もう離れちゃったけどね~」

憧「あたしと京太郎は!? 京太郎も阿知賀の一員だからね!?」

京太郎「憧……!」ジーン

憧「そこ感動するところじゃないっ!」

669 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/07(土) 00:06:48.32 ID:CUouKrQGo

初瀬「……なんで」ボソッ

憧「え?」

初瀬「なんで須賀の隣がいいの? 私の隣じゃ駄目なの?」ブツブツ

憧「は、初瀬? どしたの、ちょっと怖いよ?」

初瀬「なんで!? なんで私より須賀を選ぶの!? ねえなんでなんでなんでうわああああああああああ!!!」

憧「初瀬!? すっごい怖いよ!?」ビクーッ

車井さん「あっ。もしかして新子さん、須賀くんのこと好きなの?」






























「「「はああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっ!!?」」」

車井さん「三人も!? 時間差で!?」ビクゥッ

憧「ないないないない絶対ない!/// ありえないからっ!///」

初瀬「百花! 言っていい冗談と悪い冗談があるだろ!?」

京太郎「俺からも頼む、朝から疲れるんで勘弁してくれ……」

車井さん「え~、ピーンと来たと思ったんだけどなぁ……」

 来てない来てない。

 そんなに簡単に来てたら苦労しない。

 しかし急に恋バナ(?)をぶち込んでくるとは……

 阿知賀にはいないタイプだな、車井さん。

673 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/07(土) 01:09:32.35 ID:CUouKrQGo

……
…………
………………

 そのまま何事もなく学校へ到着。

 岡橋と車井さんを部室に案内した。

 部室には既に穏乃達が揃っていて、簡単な挨拶を済ませる。

 それから全員で部活の支度を始めた。

 とは言え、特別な準備は必要ない。ていうか設備がない。

 雀卓だってひとつしかないのだ、いつも通りの用意しか出来ない。

 なので余った時間は雑談で消費することになった。

 話題の中心は憧と岡橋の中学時代だ。

 ていうか岡橋オンステージだった。

 憧は物凄く恥ずかしがってた。

 その様子が可愛かっゲフン。

 照れ隠しに殴られた。全部避けた。

 そんな風に、賑やかな朝の時間を過ごした。

674 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/07(土) 01:57:01.75 ID:CUouKrQGo

憧「そろそろじゃない? 晩成の人達が来る時間」

初瀬「うん、多分」

穏乃「晩成かぁ……うーっ、なんかウズウズしてきた!」

玄「楽しみだね、おねーちゃん」

宥「人が多いとあったかい……」

灼「でも少し遅……出迎えに行ったハルちゃんが帰ってこな……」

京太郎「俺ちょっと見てきましょうか」

車井さん「あ、だったら私が行くよ?」

京太郎「いいよ、荷物とかあったら俺が運んだ方がいいだろうし」

 と言って扉に向かう。

 ノブに手を伸ばした――その瞬間、

ガチャッ

やえ「あ」

京太郎「あ」















やえ「め、メアド教えてくだひゃいっ!!///」

京太郎「出会い頭に!?」

693 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/07(土) 21:14:55.70 ID:CUouKrQGo

小走先輩「や、やったぁ! やったぞ巽、ちゃんと言えた!」

由華「はい、やえさんは最高です!!」

小走先輩「昨日から練習しておいてよかったぁ……噛んでなかった!?」

由華「はい、やえさんは最高です!!」

良子「いや噛んでたから」

日菜「噛んでたよね……」

紀子「噛んでたじゃん」

小走先輩「ばかな!?」ガーン

京太郎「……あのー」

小走先輩「ハッ!?」

憧「……」ジー

穏乃「……」ジー

玄「……」ジー

宥「……」ジー

灼「……」ジー

初瀬「こ、小走先輩……」

小走先輩「………………お前ら、いつから見てた?」

車井さん「先輩が大声で須賀くんにメアドを訊いたあたりから……」





                 ... -―――‐- ....      /}
               /:::::::::::/::::::::::::::::::::::::\  / /
              /:::::::::/::/:::::::::::::::::::::::::::::::::∨ ∠...__
             /{_:::/::::/::/l::::::| :::::: :ト、:::::::::::::::∨\__彡'
.             ∧__::|::::/::/八::::|\:::::| \:::::|__∧\\
           /イ::::::|:/l:/ ̄`ヽ{  \{´ ̄ }从::|:::|  \\
.          {::::|:/∧{ /芹うト     /芹うト }:|:::l    }::::}_
          _ノミV ノ{∧ 、V炒      V炒/ 小リ   ノ-=≦}  「晩成高校麻雀部部長の小走やえです。阿知賀の皆さん、本日はよろしく!」
.          /::::::::::/   {ハ   ̄   '     ̄  /^l/  /≧=-く__
.       {/:::::::::{   ヽ圦    r― v    //  {/-=≦彡'_
.          廴:::::::l            `ニ ´   . ´    \/≧=-く
           `^^′        `ト  __ ィ        辷_ -=≦)
                   ┌ |   __ノ\__ __       /∠
                / /∨ \____// ̄\    ̄} /
             __∠二ニ≠==≦二二/:.:.:{   /∧   くく
             //:.:.:{二二二襾二ニニニ/.:.:.:.:|  /   }   ノノ
.          / /.:.:.:.:}ニニニニ/ ∧二ニニ{:.:.:.:.:.:| ,/  \_〉 /





由華「やったーカッコイイー!!」キャー

 誤魔化したつもりか。

697 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/07(土) 21:45:35.38 ID:CUouKrQGo


 改めて、

小走先輩「ば、ばんしぇいこうこうまーじゃんぶぶちょうのこばしりやえでしゅ。あちがのみなしゃん、ほんじちゅはよろしくおねがいしましゅ……///」カチコチ

 先程の醜態に深く恥じ入る余り噛み噛みになってしまっている小走さん。

紀子「三年の丸瀬紀子でーす。よろしくじゃん」チョリーッス

 ツインテールで吊り目がちな丸瀬さん。

日菜「同じく三年の木村日菜です。今日はお世話になります」ペッコリン

 眼鏡。木村さん。

良子「同じく三年、上田良子だ。どうぞよろしく」ピッ

 その髪どうやってセットしてるんですか上田さん。

由華「二年の巽由華です。やえさんは最高です!」キリッ

 さっきからそれしか言ってない巽さん。

初瀬「岡橋初瀬、一年生です。今日は勉強させて貰います」ペコ

車井さん「私の名前は車井百花です。雑用は任せてくださいっ」ペコリン

 先着組の二人も再び名乗り、晩成高校麻雀部との顔合わせが終わった。

 向こうではレジェンドと晩成の顧問が挨拶している。

 いよいよ本格的に壮行試合のスタートだ。

700 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/07(土) 22:28:31.17 ID:CUouKrQGo

 とは言え。

 先述の通り、我が部には雀卓は一台しかない。

 それを考慮してくれたのか、晩成も今年のレギュラーのみで来てくれている。

 なので、壮行試合とは名ばかりの非常に和やかなムードだった。

 もちろん卓に着けば真剣勝負だが。

 今は阿知賀からは鷺森部長と穏乃が、晩成からは上田さんと木村さんが打っている。

 打たない面子は観戦や記録、牌譜の検討を銘々に。俺は雑用だ。

京太郎「お茶が入りましたよー」コトッ

憧「ありがと」

玄「いただきますのだ!」

宥「あったか~い」

車井さん「……」

初瀬「……」

京太郎「ん? 二人ともどうした?」

車井さん「いや~……男の子がお茶汲みしてるのって、生で見ると……」

初瀬「キモい」ズバァッ

京太郎「もっとオブラートに包めや」

702 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/07(土) 23:39:06.98 ID:CUouKrQGo

小走先輩「こ、こらっ岡橋! 失礼なことを言うな!」

初瀬「ぁ、す、すみません小走先輩!」

京太郎「俺に謝れよ……まあいいけど。晩成の皆さんもお茶どうぞ」コトッ

小走先輩「い、いただきましゅ!///」

紀子「ごちっすー」

由華「ありがとう、いただくわ」

初瀬「……」ゴクゴク

車井さん「わっ、すごいおいし~。この茶葉どこで買ったの?」

京太郎「普通にスーパーで売ってるやつだよ。丁寧に淹れたら何でもそこそこの味にはなるもんだぜ」

紀子「そう言われてもアタシなら絶対手ェ抜いちゃうなー」

玄「だから京太郎くんは凄いのです!」エッヘン

憧「なんで玄が自慢気なのよ……気持ちは分かるけどさ」

初瀬「ぐぬぬ……」

憧「初瀬?」

京太郎「なんだ、口に合わなかったか?」

初瀬「うっさいアホ須賀! 口に合わなかったらもっと喜んで難癖つけてるわ!!」

京太郎「お前そのセリフに少しの違和感も抱かねえの?」

706 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/08(日) 00:39:20.06 ID:RbtFoWSmo

小走先輩「岡橋! 喧嘩をさせる為にお前を連れてきたわけじゃないんだぞ!」キッ

初瀬「ぁ……す、すみません小走先輩……」シュン

京太郎「まあまあ、俺は気にしてませんから」

小走先輩「は、はひ……///」ポー

京太郎「そう言えば、なんで車井さんと岡橋の二人が付いてきたんだ? 晩成ってもっと部員いるだろ?」

車井さん「いっぱいいるよ~。私達が選ばれた理由は、初瀬と新子さんが知り合いだったからだね」

憧「え、そうなの?」

初瀬「うん。憧に会えるチャンスだと思って頼み込んだんだ!」

小走先輩「ごほん!……名目はあくまで県代表の打ちしゅじを勉強することだかんな」ジトー

初瀬「は、はいっ! もちろん分かってます」アセアセ

京太郎「へー……期待されてるんだな」

車井さん「あはは、どうだろ? 今年はベンチにも入れなかったからな~」

由華「だからこそよ。今日の対局を見て刺激を受けてもらわないと」

車井さん「はい! 頑張りますっ」フンス

739 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/08(日) 22:21:58.96 ID:RbtFoWSmo

小走先輩「と、ところで……」チラッ

京太郎「?」

小走先輩「しゅ、しゅがくん……と言ったな///」

京太郎「はい」

 須賀ですが(須賀だけに)。

小走先輩「キミはどうしてマネージャーをやっているんだ? それも女子ばかりの部活で……」

京太郎「……」

憧「……」

小走先輩「しゅがくん?」

京太郎「麻雀部は部員も五名と少なく、それでいて全国を目指していましたから、男手として何か力になれればと考えたからですね」キリッ

紀子「へー。かっけーじゃん」

由華「立派な心掛けね」

車井さん「須賀くんすご~い」

小走先輩「しゅてき……///」ポー

京太郎「HAHAHA」

 嘘は言ってないぞ。うん。

憧「……」ジトー

 嘘は言ってないぞ。

740 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/08(日) 23:17:27.14 ID:RbtFoWSmo

初瀬「嘘だ! どうせ憧を筆頭とした可愛い女の子に囲まれて選り取り見取りのハーレム王に俺はなるんだぜヒャッホホーイとか考えてたに決まってる!!」

京太郎「」ギクリ

小走先輩「おーかーはーしー!」

初瀬「す、すみません! でも……!」

憧「……ま、初瀬の言うこともあながち間違っちゃいないけどね」

京太郎「憧!?」

初瀬「やっぱりそうなの!?」

憧「まーね。少なくとも、入部当初の京太郎は下心の塊だったわよねー?」ニヤリ

京太郎「なっ、ナンノコトカナー?」

初瀬「それ見たことか! それ見たことか!」

憧「でもね」

初瀬「、え?」





         , r '´ ̄ ̄)`ヽ      ./´     .|     1    \
        /   , r ',´`ゝイ      /       i|     .|     ヽ
       ./  ,r'彳 /   .|     ./ ./    , /|     |   ヽ.  ヽ
      /// /  ./   ト、 ヽ   ./ /    / /|    i .ハ    1  ヽ
     ./  / ./  ./    |ヾ  ヽ / /i-、,_  /j ./ |    .ル.j |   .|1.   1
     ./  ./ ./  ./    .| ヾ  ヽj /.i  .>ト,/ j    /i j .|.ハ  | |.   |
    /  / j  i     |  ヾ /j j | / ./ '、` j   /ノ/ .|.j |  .j .|   .i |
    ./  / .|  .|    | |  >'´i |rt== ミ、 、 ./ / /' r t/'ー-/ |   .| |
   ./  .| .j  .|    | | V´  | .| .ク心:::::ミヾ ' '´   '  - ' j /j |   ルj
   j   .| .j  .|    .| |    | .| 毛:::::::ゝ       r==ミ,tノ/j j i  .从'
   /   .| /  .|    | |   | .| ヾ:::::リ'       .ク:::C }./イ .|.j //' 1   「今のこいつは……うん、意外と悪くないんじゃないかな」
   |  | .| /   .|     i. |   | .| ,,,,,         .レ:::リ './ iイ i/ノ |'  ,1
   |  1 .|./   |     ヽ.ト   | .|           ''ヾ / |'j j´  |  |1
  .|  1 |'    .1ヽ    ヽ》、  | .|         '  ,,,,, /  |j /   .|  |.|
  .|   、|    ヽ、ト    ヽ \| .|    ヽ、       /  .j ./    1 |.|
  .|   ,V     ゝ 、、    \ i .|、      ´    ノ   /./    .| | |
  .|   1、     .》、\ヽ    ゝ | ヽ、      , r ' ´   ././     | j |
  .|   .1ヽ    / `ー-ヽ、、_   ゝi、./ `ヽ- j ' ´  .i   ./.イ      |.j .|
  .|   1.ヽ  ./       ` ゝ 、 ` \'  ./ i   1  // 1|     .|.j  |

747 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/09(月) 00:09:20.44 ID:YdPjXq4No

初瀬「あ、憧……」

京太郎「憧……!」ジーン

憧「ぁ、べ、別にアンタを庇ったわけじゃないからね!? ただ客観的で公正な評価をしただけよ、しただけだから、ほんとに」

京太郎「はいはい、ありがとな」ポンッ

憧「ふきゅ」

初瀬「!!!!!!!!!!」ズガーン

小走先輩「!!!!!!!!!!」ズガガーン

紀子「わーお」

由華「あら、大胆ね」

玄「二人は仲良しですのだ!」

宥「あったか~い」

憧「ば、ばかっ……人前で何してんのよ……///」ワタワタ

京太郎「減るもんじゃなし、気にすんなよ」ポンポン

憧「減るのよ! あたしの中の大切なものが確実に!///」

車井さん「ん~……やっぱり新子さんって須賀くんのことが好きじゃ」

憧「ないから!!///」

751 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/09(月) 00:55:35.97 ID:YdPjXq4No

初瀬「あ、ぁ、あ、憧!!」

憧「な、なにっ?」

初瀬「何じゃないよ! なんで男に髪を触らせてるの!!」

憧「あ゛」

初瀬「憧言ってたよね、髪は女の命だから誰にでも気安く触らせたりしないって」

憧「そ、それは……」

初瀬「あれは嘘だったの? 憧は男にさえ平気で髪を触らせるような髪軽女だったの……?」

憧「髪軽女って何!?」

京太郎「妖怪みたいだな。二口女的な」

初瀬「お前は黙ってろ!」

憧「ぁ、あのね初瀬? これはその……嘘とかそういうんじゃなくて……」

憧「言葉自体は事実で……つまり、変な意味なんかじゃないんだけど……」

初瀬「……」



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      ': :|   | : : | : :|{{ `|: :| ヒン 厶イ刄|/│/: ′  「京太郎は特別……っていうか……」
       |: :|   |: :.;゙|: : i ゝ |: :|/;/;/     ヒン'イ |乂/
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初瀬「」

784 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/09(月) 22:23:50.37 ID:YdPjXq4No

京太郎「――」

憧「……ハッ!?」

紀子「」ニヤニヤ

由華「」ニヤニヤ

やえ「」チーン

車井さん「ほら~。やっぱり須賀くんのこと好きなんだよね?」

憧「ち、違っ」

玄「そうなの憧ちゃん……?」

宥「あったかいの……?」

憧「違うってばぁー!///」

初瀬「……」プルプル

憧「、初瀬?」

初瀬「………………須賀ァ!!」グワッ

京太郎「オレェ!?」

初瀬「お前以外に誰がいるんだよ! お前、憧に……憧に何をしたぁ!!」

京太郎「何もしてねーって! マジで!!」

789 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/09(月) 23:08:21.02 ID:YdPjXq4No

憧「やめてよ初瀬! ほんとに何もされてないから!」

初瀬「嘘だ! 何もされてないのに憧がこんな態度を取る筈ない!」

憧「初瀬……」

初瀬「憧は男嫌いなんだ! 男と仲良くなんて出来ないんだ! そうだよ、私の知ってる憧はもっと――」

憧「初瀬!!」

初瀬「ッ」ビクッ

憧「……初瀬。部活中だよ、静かにしよ?」

初瀬「ぁ、憧……」

憧「あたし、もう初瀬が知ってるあたしじゃない」

初瀬「――!」

憧「頑張ってるの。もう誰にも迷惑を掛けたくないから」

憧「京太郎が、阿知賀の皆がそれを手伝ってくれてる」

憧「だから――」

初瀬「……」

レジェンド「おーい。対局終わったけど、次は誰が入るー?」



          . :´ . : . : . : .`: .
        /: . : . : . : . : . : . :\
       /: . : . : . : . : . : . :ヽ: . \
      /: . : . : . : . : . : . : . :‘。: . ノ:。
     .′ : . : / : . : . : . :ト : . :‘./-‐゚。
     |__: . : . : .i: .|: . : . : .|: . : . : .| ゚,:}ヽ/:.‘。 :  ぃ
   /:.┼{ ―--..|:._|__ : //八: . : . :| 匕 }: . }: ゚: . }リ
 /: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪㍉}:.:|:ハ /   「――見ててよね。あたしの、麻雀」
/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈  :.:l/}/
 :./  : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_,      弋''ツ  |: |: .i  ( \    -‐ 、
: /  | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈             |: |: .|   ヽ у´   ___}_
/    : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″     `  :':':':゚|: |: .|   │ r  ̄     }
    |: . 。: . : . :∧ い  ゚:':':':     -┐   }: |i:∧    |    ――‐{
    | : ..。 . : . : ∧、vハ      ゝ __ ノ  / : |i: .‘    |       ー―{
   /: . : ゚: . : . : . ∧:vハ`   ..,,      /   } |i: . :;  ′     -- ′
.  /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__     ̄{ ̄: .|   }/}: . :.。 /\    }、
  ′: . : . : .。: . : . : . : .ⅵ\>―‐n: . :.{   / l: . : ∨/ / \  /:.入
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794 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/09(月) 23:59:30.05 ID:YdPjXq4No

 雀卓には憧と玄さん、そして小走さんと巽さんが着いた。

 さっきまで打っていた面子は円卓を囲んで晩成の顧問の指導を受けている。

レジェンド「よし、それじゃあ始めようか」

 号令。サイコロが回る。

 対局が始まった。

 俺と宥さんとレジェンドと車井さんは記録係だ。

 岡橋は――ただ見ていた。

 憧の横顔を。

 憧の闘牌を。

 憧の本気を。

憧「――ツモ!」

 そんな中、憧が和了した。

 玄さんを、巽さんを、奈良個人一位の小走さんを見事に出し抜いて。

 岡橋は――

初瀬「ッ!」ダッ

 言葉を失い、部室を飛び出してしまった。

798 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/10(火) 00:44:11.22 ID:5gkgS6WMo

憧「初瀬!?」ガタッ

京太郎「憧!」

 咄嗟に立ち上がった憧を声で制する。

 ドアを開け放った音と合わせて、室内の視線が集中した。

京太郎「岡橋は俺が追いかける」

憧「でも……」

京太郎「いいから。憧は対局を続けてくれ。記録係は――」

紀子「それならあたしが代わったげるじゃん?」

京太郎「ありがとうございます。お願いします」

憧「……京太郎」

 半ば強引に行動へ移ろうとする俺を、憧は名前を呼んで引き止める。

 目を見れば、俺に言いたいことがあるのが分かった。

 それでも、必死に呑み込んで、

憧「……初瀬のこと、お願いね」

京太郎「任せとけって」

 まだ事態を把握していない面々に頭を下げ、俺も部室を後にした。

800 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/10(火) 01:24:39.91 ID:5gkgS6WMo

~廊下~

 岡橋はすぐに見つかった。

 階段の途中に蹲っていた。

 やはり部外者だ、逃げ場所を知らない。

 同時に、三箇牧の時の憧を思い出して苦笑する。

 流石は親友だ、と。

京太郎「よー、そこの脱走犯」

 ぶっきらぼうに呼び掛ける。

初瀬「………………なんでお前が来るんだよ」

京太郎「憧じゃなくて悪かったな」

初瀬「ほんとだよ……お前が来るぐらいなら誰にも来てほしくなかった」

京太郎「そうは行くか。俺にだってお前を追いかける理由があるんだよ」

初瀬「理由?」

京太郎「ああ――」



京太郎「――ほっとけないんだよな。地元に置いてきた知り合いを思い出しちまって」



802 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/10(火) 02:18:00.19 ID:5gkgS6WMo

初瀬「……はあ? 何それ。っていうか誰それ?」

京太郎「誰でもいいだろ。俺の個人的な知り合いだ」

初瀬「ふぅん……で、その誰かさんと私が似てるって?」

京太郎「いや、似てない」

初瀬「は?」

京太郎「全然似てない。一つも共通点が見当たらない」

初瀬「じゃあなんで私を見て思い出すんだよ……」

京太郎「お前が惨めだったから」ズバァッ

初瀬「はぁ!?」

京太郎「だってそうだろ? ずっと一緒だと思ってた相手に裏切られて」

京太郎「離れ離れになっても昔のままのイメージを抱え続けて」

京太郎「それを押し付けて、否定されて。すげー惨めじゃねーか」

初瀬「お、前――」

京太郎「――あいつにもそんな思いをさせてるのかなって考えたら、ちょっとほっとけなかった」

805 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/10(火) 02:53:25.51 ID:5gkgS6WMo

初瀬「……」

京太郎「ま、お前に親切にしたところであいつへの罪滅ぼしにはならねーんだけどな」

初瀬「ふ、ふんっ! 白々しい。そんなこと言って、ただ憧の前でカッコつけたかっただけだろ」

京太郎「……かもな」

初瀬「え?」

京太郎「ポイント稼ぎとはちょっと違うけど、打算があったのは確かだ」

初瀬「……お前、何を……?」

 訝しむ岡橋の隣に腰を下ろす。

 しっかりと目を合わせ、

京太郎「なあ」



京太郎「憧の男嫌いって、何が原因なんだ?」



初瀬「――!」

808 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/10(火) 03:39:07.30 ID:5gkgS6WMo

京太郎「前にも聞いたろ。俺が男嫌いを治す手伝いをしてるって」

京太郎「憧も頑張ってるけど、なかなか改善しないんだ」

京太郎「だから原因が分かれば、もっと別の角度からアプローチ出来るんじゃないか……って」

京太郎「どうだ? 何か知らないか?」

初瀬「……」

京太郎「岡橋?」

初瀬「……憧には訊いてみたのか?」

京太郎「いや、訊いてない。流石に本人にはな」

初瀬「あっそ。じゃあ知らない」

京太郎「は!? ちょっと待て、「じゃあ」って何だ!?」

初瀬「うっさいバーカ。憧が隠してることを私が言えるかバーカ。知りたきゃ直接訊けバーカ」

京太郎「それが出来たら苦労しねーよ!」

初瀬「知るかバーカ。これでも食らえバーカ」サラサラポイッ

京太郎「っと!? なんだこの紙切れ?」

初瀬「私のケータイ番号とメアド。他の質問になら、気が向いたら答えてやらんでもないから」

京太郎「岡橋……」

初瀬「……」プイッ

京太郎「デレた?」

初瀬「今度余計なことをいうと口を縫い合わすぞ」

京太郎「そんなー」

811 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/10(火) 04:44:00.12 ID:5gkgS6WMo

……
…………
………………

~駅前~

初瀬「憧、今日はほんとにごめん! またメールするね!」

憧「ん、待ってるから」

車井さん「お世話になりました~。須賀くん、こっちもまた夜に」

京太郎「おう、気を付けてな」

穏乃「お元気でー!」ブンブン

 改札の奥へ消えていく二人を、一年生三人で見送る。

 時間帯は夕方。わざわざ学校に戻ってミーティングがあるらしい。

 俺はいつまでも手を振り続けている穏乃と、晴れやかな笑顔を浮かべる憧とを交互に見比べた。

憧「ん、なに? どうかした?」

京太郎「いや、なんでもないぞ、うん」

憧「? 変なの」

815 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/10(火) 05:26:59.86 ID:5gkgS6WMo

憧「それより今日は世話になったわね。助かった」

京太郎「ああ。まあお安いご用ってやつだよ」

憧「で、初瀬と何話したの?」

京太郎「……別に?」

憧「あ! 今アンタ嘘ついたでしょ!」ビシッ

京太郎「つ、ついてねーって」

憧「つ・い・た! 分からないとでも思った? 正直に答えなさい!!」

京太郎「………………逃げるんだよォォォーーーーーッ!!」ダッ

憧「あっ!? こら待て、待ちなさーい!」ダッ

穏乃「えっなに楽しそう! 私も混ぜてー!」ダッ

 とか言いながら、

 何故か穏乃も含めた三人で夕暮れの駅前で鬼ごっこに興じたのが、壮行試合の最後の思い出であった。

 全体的に騒々しくも冴えない一日だったが、大きな解決はなくとも小さな進展はあったと信じたい。

 新たに岡橋のデータで膨れたケータイを強く握り締め、そう思った。

【TO BE CONTINUED...】

816 名前:7月15日(月)[saga] 投稿日:2014/06/10(火) 05:31:04.20 ID:5gkgS6WMo

【おまけ】

小走先輩「ほぎゃああああああああああ!?」クワッ

良子「うるさっ!?」

紀子「狭い車内で迷惑じゃんよー」

日菜「やえ、どうかしたの?」

小走先輩「………………てない」ボソッ

由華「やえさん?」





小走先輩「言うだけ言ってしゅがくんのメアド教えてもらってないぃ!!」ウワーン





由華「そんなやえさんも最高です!!」

もいっこ【TO BE CONTINUED...】
最終更新:2014年06月10日 21:45