227 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/26(月) 23:01:42.75 ID:Wddpuc2To
六度目の遠征先は神奈川だ。
レジェンド馬鹿じゃねえの(暴言)。
いくら遠征とは言え、そこまで遠くを征そうとしなくてもいいじゃないか。
これまで、長野、京都、北大阪、愛知、静岡と、関西以西には一度も行ってないのも謎だ。
でも福岡なんかは晴れ時々パイナップルらしいから、行かなくて正解かもしれない。
とにかく、六度目の遠征先は神奈川だ。
四度目から順調に最長移動記録を更新し続けている。
今週は土曜も休みなので、動き出すのは金曜の放課後からだ。
各自一旦帰宅し、軽く汗を流すなどしてから荷物を持って再集合。
旅支度も一ヶ月半で六度目ともなれば慣れたものである。
二泊分の着替えと私物を少々、リュックに詰めて部屋を出る。
そして向かった阿知賀学院の駐車場で――
/´〉,、 | ̄|rヘ
l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/(^ーヵ L__」L/ ∧ /~7 /)
憧「」 二コ ,| r三'_」 r--、 (/ /二~|/_/∠/
/__」 _,,,ニコ〈 〈〉 / ̄ 」 /^ヽ、 /〉
'´ (__,,,-ー'' ~~ ̄ ャー-、フ /´く//>
`ー-、__,| ''
――修羅を見た。
234 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/26(月) 23:36:09.59 ID:Wddpuc2To
憧「来たわね、京太郎」
京太郎「あ、はい。来ました」
敬語になってしまった。
なんだこの気迫。
なんだこのプレッシャー。
穏乃「京太郎っ」テテッ
京太郎「おう穏乃、憧の奴どうしたんだ?」
穏乃「わかんない。集まった時にはこんなだったよ」
マジか。
玄さんと宥さんも抱き合って怯えてるし(間に入りたい)、困ったな。
憧「京太郎」
京太郎「」ビクッ
憧「……」
京太郎「憧……?」
憧「……こそ……せるわ」ボソッ
京太郎「え?」
憧「今日こそアンタの隣に座ってみせるわ!!」バァーン
京太郎「オレェ!?」
239 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/27(火) 00:14:08.84 ID:AY1X4EK/o
憧「そーよアンタよ。他に誰がいるのよ」
京太郎「そりゃそうだけど……え、お前そんなに俺の隣に座りたいの?」
憧「座りたくなんてないわよ!!」クワッ
京太郎「えぇー」
憧「座りたくなんてないけど……ここまで全敗なんて悔しいじゃない!」
京太郎「勝ち負けの問題なのか?」
憧「問題なの! 先週言ったでしょ、意地でも隣になってやるって」
京太郎「言ってたけどさぁ……」
憧「人をぞんざいに扱ってくれたことを後悔させてあげるんだから……!」ゴッ
なにやだこわいわもー。
完全に言い掛かりだし。
たまに子供っぽいというか、変なところでムキになる癖があるよな、憧。
レジェンド「ごっめーん、遅レジェンド~」テクテク
憧「本当に遅い!!」
レジェンド「ご、ごめんなさい!?」ビクゥッ
241 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/27(火) 00:33:55.28 ID:AY1X4EK/o
憧「ハルエ、箱」
レジェンド「はいっ! あ、灼~」チョイチョイ
灼「弱気なハルちゃんも味わい深……」トコトコ
__________
/ ___ S.A.作/|
/ / `l / |
/ ヽ.____/ ./ |
/________/ .|
| r‐- _ .| |
i l ヽ \ ̄` ヽ .| |
| /川 `\_ 丶 `l | |
| /∥イ从仆〟. ヽ_. l | |
| l∥;.l 佗i 冫´フ l.| /
| │l.」''`´ _ '⌒` y\ト| /
| l l ヽ. ー '' 仆川. | /
| ヽ 仆 - イク |/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
憧「さあ引くわよ!」
京太郎「テンションたけーよ……」
憧「引くわよ!!」
京太郎「分かった! わーったよ!」
今日の憧には逆らえないな。
すっかり怯えてしまった松実姉妹や呆然としている穏乃、レジェンドを慰める鷺森部長に先んじて、俺は指令ボックスに手を差し入れた。
327 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/27(火) 22:42:55.72 ID:AY1X4EK/o
◇
ついにこの時が来た。
京太郎が引いて、あたしが引いて。
皆の手に紙片が行き渡る。
憧「……」
六回だ。
いや、四度目の遠征では途中で席替えしたから、七回。
それだけやって、一回も京太郎の隣に座れてない。
座りたいとかじゃ、全然ないけど。
ここまで来ると偶然にも腹が立つ。
負けたくない。
持ち前の負けず嫌いが顔を出すのを感じた。
だから今日は、水垢離のつもりでシャワーを浴びて、出掛ける前にうちの神様にも頭を下げて。
そしてこのくじを引いた。
レジェンド「じゃあ須賀くんと憧から開く?」
京太郎「いーっすよ」
憧「……」
, : : : ¨ ̄ ̄ ̄¨'': : .
/: : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ、
,: ゙: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
/ : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ‘,
-┴fl : : / : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ: : ‘,
//:l:7:|\:|:l: : : : : : : :|: : : : : :l: : : : : |: : :.‘,
. // :|:,':.:l\:|:l: |: : : //: | : : : : ∧ : : |: |: : : :.:',\
. ,: :/ :|:| : l\:|:|、|: : //: /|: : : : / :| | : |: | : : : |:|\\
. / / | | :!: :|:l/|>// :|: : : / | |_:/:|: :.:..|:| \:ヽ
/ / l: |: : :v‐|:| __ `¨/: :/-‐<|/ |: | : : /lノ ',: ',
. / / |:l: : : i`|:| ¨⌒ヾ // x==ミ |: |/ / ',:.',
': :′ |: :|: : : |、|:| ,|: | イ :l: |
i: :| :| : |: : : l: |:|、 , /|: |: | l: |
|: :| l: : |: : : l: |:込、 __ _, /´|: |: | | :|
|: :|: |: :.:|: : : l: |:|: : うト _ イ: |: |: |:| l: :|
|: :| | : |: : : l: |:|_/〈 `=≦|\ : : : |:.|:.八| |: :|
|: :| l>┤: : :「 l_Vヽ \_ ,ノ Т¨|//: : ト、 |: :|
|: :| / 、|: :.:.:.У/ 「ヽ/ ∨\ | /;′ : | ‘, |: :|
|: :| ′ :l: : : :{ ′ ∨ヽ{ _厶>┐∧: : :| , |: :|
|: :| |: ∨ /=-ミ,_ 〉‐{_}‐‐ { ∨: :| i :|: :|
|: :|: ノ ∨ ¨〈/| |\ } ∨ | | |: :|
負けたくない――!
ピラッ
京太郎「……①、っす」
憧「」
⑥だった。
331 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/27(火) 23:05:38.71 ID:AY1X4EK/o
レジェンド「――」
穏乃「――」
玄「――」
宥「――」
灼「――」
瞬間、あたしと京太郎を取り囲むように立っていた皆が息を呑んだ。
何よ、当事者でもないのにマジになっちゃって。
こんなの、外れてみればどうってことないのに。
神様に祈ったからって隣になれるとか、そんなオカモチありえないのに。
なのに。
なんでそんな顔してるのよ、京太郎。
京太郎「あ、憧……?」
憧「な――」
/. : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : .\
/. : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : .ヽ
/ : . / : . : . : . ,. : . : . : .i. : . : . : . : .ヽ . : ',
, 'ニ/. : .:,'. : . : . : . :i . : . : . : |. : . : . : . :、. :! : ._{_}ミ ヽ
// /. : . :i: .,' . : . ,':/! . : . : . : |. : . : . : . :.:i .|: イ:| \: \
. // .,' /: . :| :| ./: . |/ | |:ノ: .ヽ、 |: . : . : . : .:.|: |r:{: .| \: \
. /:, ' /:/! : .:.| .|/| :|: | ,|イ : . : . : ト:、{ :i:.:| : i: |: |/| : | \: `. 、
/:/ !:| | :i . :!:.∧.斗匕 圦 : . ト : | ヽ`{:十t}: } :|: !: i | ヽ: . :i
. /:/ |:!|:| . |.:|:{x示㍉xミヽ\:{ ヽ{xテヤ示xV!: :!,'.: .| | ヽ:.|
,' :i {! .|∧: :! 圦 {トイ_刈` ´{トイ_刈 灯:.:| : . :| | |.::|
| :| |:i :ヾ|: :{c乂こソ 乂こソっ|: :!|. : . :l | !: | 「――、っ」
| :| |.| . : |:从 :xx xx | :|ノ . : . |:.| |.::|
| :| |l.|: . : |:.{ム "゙ ' ""゙ | :|: . : . : |: | |:|
|: | i| i!: :. :.|: |:.:ヽ. __ イ:.|: |. : . : . :|: | |.|
| :| l|:.:| : . : | :|: .|: > . ´ ` イ:.:..!.:|: | . : . : . |: | |.::|
|: | l|: . !.: . :..|: :i:.:|: . : r‐|` -‐ ´ |入.:.|:.| :|. : . : . : l: | !: |
| :| l|: : |: : . : !_ l:_| _/ \ / \j :!: . : . : . :|: | |:|
|: | |: : ,:|. : . : |ヽ{ | /`Yバ ノ/|. : . : . : . l: :| ! :|
| :| |:, イl: . : . .| ヽr──ミ、__彡──y' |. : . : . : :/ヽ:! |:|
|: | / /. : . : .j { { } } |: . : . :./ \ ! :|
声にならなかった。
334 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/27(火) 23:44:30.72 ID:AY1X4EK/o
憧「ぁ、れ……?」ポロポロ
どうして涙が。
やだ、止まらない。
京太郎「ぅえええ!? な、なんで泣くんだよ!?」
憧「わかんない……わかんないけど……っ」ポロポロ
京太郎「勝負に負けたのがそんなに悔しかったのか!?」
そうよ、悔しいわよ。
勝負に負けて、アンタの隣に座れないのが。
どうしてか悔しくて悔しくて仕方ないのよ。
穏乃「あ、憧の隣の人って誰!? 京太郎と席を替わってあげようよ!」
玄「そ、そうだね!」
宥「その方があったかいよね……」
灼「じゃあ私が」ガタッ
憧「いいって……くじは絶対でしょ、ハルエ」グスッ
レジェンド「あー、いや、うん……そんなことも言ったっけなぁ……」
京太郎「と、とにかく全員くじを開けようぜ? 替わるにしても何にしても」
穏乃「そうだった! じゃあ……あれっ!?」ピラッ
京太郎「どうした?」
穏乃「……私のも①なんだけど」
「「「「「「!?」」」」」」
338 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/28(水) 00:09:58.38 ID:WCa+Buc7o
灼「あ、私も①だ」ピラッ
「「「「「「!!?」」」」」」
え、なに、どういうこと?
①は京太郎が引いたのに、しずも灼さんもだなんて。
あたしだけ仲間外れなの?
やば、また涙が……
玄「わ、私は③だけど」
宥「私は②……」プルプル
ギリギリのところで引っ込んだ。
ありがと玄、宥姉。
穏乃「ど、どういうこと? ①が三枚も……」
京太郎「どうもこうも……本人に訊くしかねーだろ」チラッ
京太郎の声と視線に釣られ、全員が一方向を見た。
レジェンド「………………うん」
--……--
r―‐⌒ヾ : : : : : : : : : : : : : : : \
|∨: : : : : \ : : : : : : : : : : : : : : : \
|/゚:。 : : : : : : \.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : .
/: : : \:.:.:.:. : : : :\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : 。
//: :/ : : \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.o。:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :i: ゚
. /イ /: :.:.:.イ:.:. ー┬---:.:.:.:__:.`:.:.o。:.:.:.:.:.|.:..。
i{ | ′:.:.'{_|_:.:.:.:| リV:.:.:.:.:.:.:}:.>匕、: :\j--i
|| |/: :.:.:∧}リ≫┘o。v――'’xr示=ミト、:.:.\}、
リ {: :.:.:.:.|!:‘, ィ芹≧ュ ’|イi//| 》、:。:.:.:.ぃ、 「昨夜は酔っ払ってたから間違えて書いちゃったねコレ!!」
|:.:.:.:.:.「`ヽ《乂_゚ツ ゞ= '゚ :リ/リ゚。:.:.ト、i
|:.:.:.:.小 , , ' , , : /:.:.:.∧:.} リ
l.:.:.:.:.:| }ゝ-! jハ:.:.:.:j/}:.|
:。.:.:.:{ {:j:八 -==ァ イ }/ j:ノ
゚:。.リ \{≧ュ。. ィ:jソ ″ /
ゞ イニ} ` ´ {ニヽ
ィニ// ゝ|ニ\_
┬==≦ニ/ニ7____ __,.|ニニムニニニニニlヽ
/ニ|ニニニ/ニニニ|`-―――‐一´|ニニニムニニニニ|ニム
. /ニニ:|ニ7ニニニニニ| |ニニニニ}ニニニ=|ニム
灼「ハルちゃん」
レジェンド「はい、すみません」ペッコリン
342 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/28(水) 00:58:39.71 ID:WCa+Buc7o
で、
被った三人で公正にじゃんけんをした結果、
こうなった。
憧「――」
灼「イェス、イェスッ!!」ガッツポ
穏乃「やったね憧、二人で京太郎の隣だよ!」
京太郎「これで憧の逆転勝利……に、なるのか? まあ、よろしくな」ニッ
憧「――」
穏乃「憧?」
憧「――や」
京太郎「や?」
憧「やったぁーっ!」ダキッ
京太郎「バァーーーーーッ!?」
ハシャいだ。
なんだか無性に嬉しくて、我を忘れてハシャいだ。
我に返って、恥ずかしさの余り死にたくなったあたしを積み込んで、レジェン号は阿知賀を発った。
360 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/28(水) 22:12:16.57 ID:WCa+Buc7o
……
…………
………………
◆
一列目。
灼「ああハルちゃん、ハルちゃんはどうしてハルちゃんなの……?」
レジェンド「なんでも好き嫌いせず食べたからだよー」
灼「はぁぁ……運転してるハルちゃんの横顔も素敵……」ウットリ
レジェンド「ちゃんと座ってないと危ないよー」
二列目。
玄「おねえちゃん、みかん食べる?」
宥「食べる~」
玄「剥いて剥いて……はい、あーん」
宥「あ~、んっ。あま~い」ポワーン
そして、
穏乃「ふんふふーん♪」パタパタ
京太郎「なんだ、ずいぶん上機嫌だな穏乃」
穏乃「うん! はじめて京太郎の隣になれたからねっ!」
京太郎「あー、確かに穏乃とも隣に座ったことなかったよな」
穏乃「前や後ろはあったけどね。あ、ポッキー食べる?」
京太郎「サンキュー、貰うわ。憧も食うか?」スッ
憧「………………オカマイナク」カチコチ
三列目。
368 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/28(水) 22:51:50.25 ID:WCa+Buc7o
京太郎「なあ、なんでそんな隅に寄ってんだ? 窮屈じゃねーか?」
憧「オカマイナク……」ギクシャク
これである。
出発前はあれだけ激しい感情の起伏を見せておいて。
仕方なく二本分のポッキーを咥える俺だった。
穏乃「えー。せっかく同級生三人で並んでるんだからもっと喋ろーよー」
京太郎「そうだぞ憧、黙って俯いてたら酔いやすくなるし」
憧「ぅ……うん」
二人掛かりの説得に憧もようやく折れた。
すっと小尻を浮かせ、改めて普通に座り直す。
穏乃「じゃあ話そう!」
京太郎「憧、話題とかあるか?」
憧「あ、あたし!? 話題って……えっと、えーっと…………………………ご、ご趣味は?」
京太郎「お見合いかよ」
373 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/28(水) 23:17:08.50 ID:WCa+Buc7o
穏乃「私の趣味は山登りだよ!」
京太郎「しかも続けるのかよ」
穏乃「だめ?」
京太郎「駄目じゃねーけど、趣味なぁ……やばい、思いつかん」ウゴゴゴ
憧「え、なんか意外ね。多趣味っぽいし即答しそうなのに」
京太郎「広く浅く嗜むタイプなのは確かだけどな。ただ、最近は部活ばっかだし」
憧「あー」
穏乃「分かる分かる。私も前に比べて山に入る回数が減ったもん」
憧「アンタはそれでいーの。もうちょっと今時の遊びを覚えなさい」
穏乃「失敬な! 山はろうにゃくにゃんにょ関係なく楽しめるんだよ!」
京太郎「言えてないぞ」
穏乃「嘘っ? ろ、ろーなくなんにょ」
憧「言えてないわよ」
京太郎「では憧先生お手本を」
憧「ろうにゃくにゃんの」
京太郎「……」
穏乃「……」
憧「……///」
376 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/29(木) 00:00:18.82 ID:hpyhPln2o
京太郎「で、そんな憧にゃんのご趣味は」
憧「憧にゃん言うなっ!/// お、お風呂とか?」
京太郎「風呂って趣味か?」
穏乃「微妙かも」ウーン
憧「あっ、今お風呂を馬鹿にしたわね!? 入浴剤とかで色んな楽しみ方が出来るんだから!」
穏乃「お風呂なんて温まって身体キレイに出来たらそれでいいよー」
憧「……しず、今度うちに来なさい。あたしと一緒に湯船で1000数えるわよ」
穏乃「茹でダコになっちゃうよ!?」
憧「お湯はぬるめにしといてあげるから安心しなさい」
京太郎「俺も一緒に入ってあげるから安心しなさい」キリッ
憧「ふきゅっ!?///」
穏乃「え、ほんと?」
京太郎「本当だとも」キリリッ
憧「なワケないでしょ!? きょ、京太郎と一緒にお風呂とか、そんなの……っ///」カァー
京太郎「ッ」
やばい、自爆した。
こないだの夢を思い出してしまった。
379 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/29(木) 00:58:18.99 ID:hpyhPln2o
あの夢。
やたらリアルな質感、温度。
なまじ現実でも際どいところまで憧の素肌を見たことがあるせいで再現度は完璧だった。
それで風呂とか、ベッドとか。
色んな意味で駄目だった。
色んな意味で駄目だった。
穏乃「……京太郎? 憧?」
京太郎「うぇっ!?」
憧「なな、なに!?」
穏乃「いや、二人こそ何? 急に黙っちゃうし、顔も赤いし」
「「え」」
指摘され、反射的に憧を見る。
憧も俺を見ていた。
もはや見慣れた憧の赤面。
穏乃は、俺も同じ顔をしていると言った。
その顔を憧に見せてしまっているのか。
京太郎「……、」
憧「っ……」
俺は、
京太郎「ふ――フフフハハハハハハハハ!!」
憧「あ、あはははははははは!!」
穏乃「ぅ?」キョトン
笑って誤魔化した。
388 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/29(木) 22:51:21.30 ID:hpyhPln2o
その時。
――!
京太郎「!」
後方から轟くエンジン音。
それが急速に近付いてくる。
京太郎「憧、ちょっと悪い!」ズイッ
憧「えっ!? な、何!?」ドキッ
窓際に座る憧の前に身を乗り出した瞬間、
――!!
一台のバイクが風を切って通り過ぎた。
京太郎「おぉー……」
憧「……バイク?」
京太郎「おう! いやぁ、やっぱかっけーよな」
穏乃「京太郎、バイク好きなの?」
京太郎「まーな。ガキの頃から仮面ライダーとか観てたら嫌でも興味出るって」
393 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/30(金) 00:00:51.44 ID:9xbl+O9io
穏乃「なるほど! 確かにかっこいいよねガタックエクステンダー!」
京太郎「俺はハードボイルダーだな。てかマニアックだな穏乃……」
穏乃「ぅ?」
憧「じゃあ免許とか取るの?」
京太郎「割と本気で考えてる。まあ高校卒業してからになるだろうけどな」
憧「ふぅん」
京太郎「彼女とタンデムツーリングとか、男のロマンだよなぁ……」ウンウン
憧「……彼氏とタンデムツーリング……」ポツリ
京太郎「「危ないからしっかり掴まってろよ」とか言っちゃってさ、腰にきゅっと手を回されるんだよ」
憧「腰に手……」
京太郎「そしたらそりゃあ、胸が背中に直撃するって寸法よ!」
憧「む、胸が……背中に……///」
憧「……」カチャカチャ
憧「」グイッグイッ
京太郎「憧? シートベルト締め直してどうした? 緩いのか?」
憧「べっ別に!」カァッ
397 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/30(金) 00:17:04.34 ID:9xbl+O9io
. . . . . /. . . : :/: : :/: : : : : : : :ヽ: : : 、: . . 寸三ニ7
: : : : /. . : /:/: : /:!: : : : : : :.|: : :゙、: : :!: : . . 寸三} お久しぶりです原村です。
: : : /. . ://! !: :,':.:.|: :.:|: : : : :!: : : :ヽ: :l:| . . . ゙ニ7
: : / . .:Ll-┼┼-l、: :|: : : :.!|ヽ,r|''T:ーt、: : : :├'ヾ、
: :,'. : :.´!.! |:∧ | l.| ! ,'|:.l: : :|| |: !:||: |: : :.l: : ! ヽ、 エピソード19以来35話ぶりの解説です。
: :l{: : : :|!| i' ヾ |! |/,'/|: :/|! |/|' |:./!|:.,イ: :.i! i!
: :l|ヽ: : | ┳━┳━/' /:/./'┳━┳' イ:/,': : ,'| ノ
: :.i!: :lヽl ┃//┃ /'´ ┃//┃ イ'l/: :,イリ 作中では『腰にきゅっと手を回され』などと表現されていますが、
: : : : | ‘ ━ ’ ‘ ━ ’ '://: |
: : : : | ,':´:!: : . .!
: : : : L """ ' """ |: : |: : . .l そんなオカルトありえません。
: : : : ト.ヽ イ: : l: : . ∧
: : : : |ヽ|ヽ ⊿ .ィ´: !: : i: : . . .゙、
: : : : ト、l} ` _ _ ....:チ: : :.,':λ: :!: : . . . ト、 パッセンジャーに密着されると重心移動の妨げとなってバランスを崩す恐れがあり非常に危険です。
: : : : ゙、/ 7"/': : :.,': : :./:/ |: : !: : : . .ト、゙、
: : . : : lヽ ,'-.、_: : /: : :./!,' .!: :.|:. : : . .l ヾ.
: : . . : :゙、:\ ∧:::::::::::-.:_//' !: :.|: : : : . ! l:l 正しいタンデムの姿勢としては、片手をライダーの肩に置き、もう片手でグラブバーを握るのが適切だとされています。
ヽ: . . . . ヽ、:`ヽ ヽヽ::::::::::::|!`! |: : !: : : : . | リ
405 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/30(金) 01:08:56.69 ID:9xbl+O9io
その時。パート2。
レジェンド「あーっと急カーブ~」グンッ
京太郎「うおっ!?」グラッ
ポスッ
穏乃「わっ!?」
憧「あっ!?」
遠心力に引っ張られ、穏乃の胸に飛び込んでしまった。
なにこの取って付けたようなToLOVEる。
京太郎「す、すまん」
穏乃「う、うん。だいじょぶだよ、うん」
憧「ちょっと京太郎! 早くしずから離れ――」
レジェンド「またカーブ~」グンッ
京太郎「うぉわっ!?」グラッ
ポヨッ
憧「ひぁっ!? な、なに顔突っ込んでんのよ馬鹿ぁ!///」
京太郎「だからごめんって!」
407 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/30(金) 01:55:43.59 ID:9xbl+O9io
レジェンド「この先カーブが連続しまーす。ご注意くださーい」
なんやて赤土。
今のが続くのか。それは非常によろしくない。
踏ん張ろうにも両隣が小柄なので隙間がある。
どうしてもどちらかに傾いてしまうのだ。
どうすれば――
京太郎「――そうだ! 肩を組めば倒れる心配はなくなる筈!」
穏乃「おおっ! 京太郎ナイスアイディア!」
憧「ナイスアイディア……?」
京太郎「胸に顔面ダイブされるよりマシだろ。ほれ、手ぇ回すぞ――」スッ
レジェンド「イナーシャルドリフト~」ギャギギギギギギギギィ!
京太郎「――オアアアーーーッ!!?」ガクッ
フニッ
憧「きゃうっ!?///」ビビクンッ
ワシッ
穏乃「ひゃんっ!?」ピクンッ
411 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/30(金) 02:23:07.38 ID:9xbl+O9io
芸術的に手が滑った。
滑った手が、憧と穏乃の胸を抱き寄せるように鷲掴みにした。
いっそ笑える。
憧「ぁ、んっ……///」
穏乃「ぅぁ……っ///」
笑ってる場合じゃなかった。
姿勢を立て直そうにも、本当にカーブが連続していて抜け出せない。
フニフニムニムニプニプニクニクニ
憧「やっ……ばかぁ、そんな強く……あっ///」
穏乃「だ、だめっ! そこ、なんか、変に……///」
この後も滅茶苦茶蛇行した。
……
…………
………………
その後、
憧「信じらんない信じらんない信じらんない! このヘンタイ! ケダモノ! テクニシャン!///」ウガー
穏乃「……京太郎のえっち……///」ジトー
滅茶苦茶なじられた。
436 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/05/31(土) 21:32:49.17 ID:tsPCcqREo
……
…………
………………
_
. { ヽ
. 八
:. ’
ヘ ::.
r‐、ヘ. ヽ
,-マ ,廴__ \ γ==‐
入. \ーュ、 ̄`ヽ ム - : : `
{ \_ く.| ̄` V ´: : : : : : : ` 、: \
. `寸‐二八 ト、 /: : : :/: : : : : : : : : \: \
\ ヽ // 勹ュ ′ : : /: : : : /: : : :,ィ: : : ヽ: :\
ヽ__ // /./二\ /|: :\/:/: : :/ : : : / ハ: : : : :ヘ: : :` ー-_- __
`寸ニ/ノ /二二ハ. |λ:!: ,l:/: :\|: i: ;.イ / | : : : : : ヾー- 、: : : ` 、-- _‐-、
守三ヲ二二二入 lハ:|:ハト、i: |_|ヽ: | |/ ||: :|:ト、:\ ` 、: : : ヽ `ヾ、
マ二二二二二ニヽュ_ V´.|:l ,ィ示心ト、ハ| -┼|: :|:| |トヽー-- \: : : \ `
. `寺二二二二二ヘ\八 ハヘ. 弋_ツ ヽン芯ムイ:./|: | j! ヾ. \: : : \
. `寸二二二二ヽニマ.迅ヘハ "" .辷ツ/|_j厶レ'二≧、ヾ ヽ: : : ハ 「レッドアウト・ゴールデン・マキシマム・バーニングーーーーーーーーーーッ!!!」
` 二二二二{ニ.ハ、ヾ、| Y`ー、_ ' ∧:|二/ムァ‐ 、二ヽ\、 }: : : |
\二二ニ./ニヘヽ.|ト、`ー_'_ ィニ∧、〈 { / / /ヽニ{ ノ: : :/
\二/二二二リ「} ̄二ニ/ニ/ニ.ヾ、>ニュ{_ム}‐' _/: : /
|_/二二二二 ||二二ニレニ.厶ィ´ }:| ー―‐z/
|二二二二二ニ||二二ニ厂 リ
|二二二二二ニ||二二./
|二二二二二ニ||二ニ./
λ二二二二ニ ||ニニ./
ハ.}二二二二ニ/'二 /\
二二二二二./'二 /ト、ニヽ
|二二二二二.{{二ニノ ヾュニ}
|二二二二二.ハヤ二二二ノタ
|二 「l二二二二ヾ二ニ/.,イ
|二 |.|二二二二ニ}} /./ '
八二l」二二二二_ム' / ト、
}二二≦==‐rヘ´ .|ヾュ、
「ぐわあああァァーーーーーッ!!」
440 名前:7月13日(土)[saga] 投稿日:2014/05/31(土) 22:16:56.58 ID:tsPCcqREo
……
…………
………………
今回も順調な滑り出しだった。
地元じゃ最強ともっぱらの噂である片瀬高校のレギュラー陣を相手に見事な闘牌だった。
特に凄かったのは憧だ。
必殺技の『ハンドレッド・オクロック・アメイジング』、略してHOAで片瀬高校のマドンナを下した。
俺も傍で牌譜を取りながら興奮したものだ。
そんな日の夜だった。
京太郎「……」
現在、時刻は午後11時。
憧は――来ていない。
最近の流れなら遠征の夜には指令があったんだが。
どうも今日はナシらしい。
寂しい……とは違うが、なんとも拍子抜けだ。
445 名前:7月13日(土)[saga] 投稿日:2014/05/31(土) 23:17:58.53 ID:tsPCcqREo
京太郎「んー……そうだ」
メールでも送るか。
労いのメールだ。
憧には滅多に送らないので気恥ずかしさもあるが、たまにはいいだろう。
京太郎「……」メルメル
====================
To:憧
Sub:お疲れさん
今日は凄かったな!
俺も憧みたいな必殺技が出せるように
素振りの回数を増やすことにするよ
====================
京太郎「こんなもんかな」ピッ
送信、と。
それから一分も経ったろうかという頃に、
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
京太郎「早っ」
開く。
====================
From:憧
Sub:Re:お疲れさん
ほんとに!?
あたし凄かった!?
====================
その二秒後に、
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
京太郎「もう一通?」
開く。
====================
From:憧
Sub:Re:お疲れさん
いやまあどうでもいいんだけどね
====================
なんなの。
450 名前:7月13日(土)[saga] 投稿日:2014/06/01(日) 00:11:59.95 ID:1hKMVwTTo
京太郎「『本当だよ。今日一番活躍してたぞ』……っと」ピッ
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
京太郎「ん。……」
『別に大したことじゃない』という旨のメールが返ってきた。
顔文字絵文字マシマシで。
目が滑る。
京太郎「……『そういや今日って指令はないのか?』」ピッ
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
『たぶん。ハルエも灼さんも来ないし』
京太郎「ふんふむ……『だったらお互いゆっくり出来るな。明日もあるんだから早く寝ろよ』、と」ピッ
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
『分かってるわよ。アンタはあたしのお姉ちゃんかっての』
母親じゃなくて望さんなのか。
新子姉妹の関係性が窺える一文だ。
まあ憧とのメールはここらで切り上げて、折角だから穏乃にも調子を訊いておくかな。
京太郎「……」メルメル
452 名前:7月13日(土)[saga] 投稿日:2014/06/01(日) 00:51:58.22 ID:1hKMVwTTo
◇
なによ、京太郎のやつ。
今日は指令がなくて退屈かもと思ってた矢先にメールなんて。
ちょっと気が利くじゃない。
憧「……♪」パタパタ
こういうフォローが出来るのはポイント高いわよね、うん。
別にあたしがどうこうとかじゃなく、一般論として。
嫌味なく褒めてもらえて悪い気はしないし、あたしの影響で発奮させられたなら嬉しい。
京太郎は早く休めなんて言ってたけど、まだまだ眠くない。
だから今夜は、いーっぱいメールに付き合ってもらおうかな――
♪アノブタイヲコロゲマワッテー
憧「ん」
穏乃「ぅ?」
しずのケータイが鳴った。珍しい。
メールだよね、誰からだろ。
穏乃「わっ、京太郎からメールだ!」パァッ
憧「……」
なによ、京太郎のやつ。
464 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/06/01(日) 22:09:41.35 ID:1hKMVwTTo
穏乃「ほむほむ……うぇひひひひ///」パタパタ
憧「……」
穏乃「ねー見て憧! 京太郎がね、『今日も頑張ってたな』って褒めてくれた!」ニパー
憧「……ヨカッタワネ」
嬉しそうに、本当に嬉しそうにケータイをあたしに見せびらかすしず。
天真爛漫なその笑顔に、ささくれだった気分も少しは和らぐ。
けど、
憧「………………」ムスー
なによ、京太郎のやつ。
あたしとメールしてたんじゃないの?
なんでその最中に他の女の子にメールするのよ。
しかも、よりによって同室のしずに。
そんなんだからモテないのよ。
憧「……」メルメル
467 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/06/01(日) 22:41:28.00 ID:1hKMVwTTo
◆
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
京太郎「お?」
穏乃とメールの応酬をしていたら、また憧からも受信した。
なんだろう、伝え忘れたことでもあったのかな。
『ばか』
なんだよう。
京太郎「『バカとはなんだバカとは』」ピッ
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
『ほんとのことでしょ?』
京太郎「ぐっ……『確かにテストの点じゃ勝てないけど、今は関係ないだろ』」ピッ
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
『ばーか』
なんだってばよ。
472 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/06/01(日) 23:18:12.28 ID:1hKMVwTTo
憧が怒っているのは分かる。
ただ、それが何故かが分からない。
俺に非があるなら謝りたいし、他に理由があるなら力になってやりたい。
聞き出せるかな。
京太郎「『お前なぁ、言いたいことがあるならハッキリ言えよ』」ピッ
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
『だから言ってるじゃない。ばーかばーか』
京太郎「『ガキか!』」ピッ
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
『アンタより年上だもん』
京太郎「『一年以下の差でイバんな』」ピッ
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
『負け惜しみ乙~』
京太郎「」イラッ
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
『京太郎くん、まだ起きてる?』
京太郎「『うっせえ。用がないならとっとと寝ろ』」ピッ
京太郎「あっ」
478 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/06/01(日) 23:53:04.38 ID:1hKMVwTTo
京太郎「………………」
今のメールの送信先を確認する。
『松実玄』。
京太郎「」ブワッッッ
汗が噴き出す。
やっちまった。
やっちまったよ。
どうする?
どうもこうもない、すぐにでもフォローすべきだろう。
一刻も早くメール――いや、電話だ!
ピ、ポ、パ prrrr...
京太郎「……」ドキドキ
prrrr...prrガチャ
京太郎「!」
玄『………………も゛しも゛し……』グスッ
京太郎「すんませんでしたああああああああああ!!!」
488 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/06/02(月) 00:42:21.37 ID:85K6x1BWo
玄『わ、わだじこそごべんなさい……わる゛いことしたならあやまるから゛……だからきらいにならないで……』エグエグ
京太郎「嫌いになんてなりませんよ!!」
玄『でも、今のメール……』
京太郎「あれは送り先を間違っただけで、玄さんに言った訳じゃないんです! 断じて!!」
玄『ほんとに……?』
京太郎「本当の本当です! 俺、玄さんのこと大好きですから!!」
玄『ふぇっ!?』
京太郎「だから、俺の方こそごめんなさい。玄さんのこと傷付けてしまって」ペッコリン
玄『う、うぅううん! だだ大丈夫、もう大丈夫だから!』
京太郎「でも……」
玄『本当の本当なのです! 私も、あの、京太郎くんのことっ……!』
京太郎「俺のこと?」
玄『~~~ッ! な、なんでもないよ! 夜分遅くに失礼いたしました!!』ブツッ
京太郎「あ」
切れた。
なんなんだってばよ……?
517 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/06/02(月) 22:16:59.68 ID:85K6x1BWo
◇
憧「……」ソワソワ
メールが返ってこない。
どうしよう、言いすぎたかも。
怒らせちゃったかな。
それとも、もう寝ちゃったのかな。
しずの方もメールが途絶えてるみたいだし。
憧「……」
明日になったら、ちゃんと謝れるかな。
♪ユーガッタメール!
憧「!」
♪アノブタイヲコロゲマワッテー
穏乃「メールだ!」
え、同時?
いいや、気にしない。
とにかくメールを――玄から?
====================
From:玄
Sub:たった今
京太郎くんから大好きって言われちゃった!
びっくりしてお返事できなかったけど……
どうしよ~!?
====================
憧「」
524 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/06/02(月) 22:33:49.13 ID:85K6x1BWo
なんか怪文書が送られてきた。
浮かれポンチな顔文字付きで。
穏乃「えー、いいなー玄さん」パタパタ
一斉に。
憧「……」メルメル
====================
To:玄
Sub:Re:たった今
あたしなんて愛してるって言われたことあるもん
だからいちいち気にしてたらキリがないわよ
明日も早いんだからもう寝なさい
おやすみ
====================
憧「」ピッ
憧「――」
憧「……」メルメル
◆
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
京太郎「また憧からか」
ピッ
====================
From:憧
Sub:No Title
くたばれ
====================
京太郎「なんでや!」
532 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/06/02(月) 23:20:50.39 ID:85K6x1BWo
玄さんへのフォローが済んで一息ついてたらこれだよ。
なんでディアベルはんを見殺しにしたんや。
なんにせよ今日の憧は荒れてるぜ、止められそうにない。
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
次は穏乃からだ。
『おーい。もう寝ちゃった?』
京太郎「……」
癒される。
このメールの文面からも分かる無邪気さにどうしようもなく癒される。
事故と暴言の後だから尚更だ。
京太郎「……『女の子がくたばれとか言うんじゃありません』」ピッ
京太郎「『起きてるよ。ちょっと電話してた』……っと」ピッ
京太郎「ふあぁ……」
憧と穏乃にそれぞれ返信し、あくびをひとつ。
移動の疲れもあって眠くなってきたな。
543 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/06/03(火) 01:02:32.50 ID:cpHjmWl6o
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
京太郎「ん……」
立て続けに受信。
なんだか忙しくなってきた。
『女の子にくたばれって言わせる方が悪い』
『起きてたんだ。この時間って妙におなか減らない?』
京太郎「『いーやお前が悪い。お前の口が悪い』……」ピッ
京太郎「『分かる分かる』……『ホテルだと夜食ないのが辛いよな』……」ピッ
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
『悪くないし! あたしはまだ可愛げのある方よ!』
『夜中ってラーメン食べたくなるよね、ラーメン!』
『見て見て京太郎くん、ついさっき撮ったんだけど可愛いでしょ!(添付ファイル:布団から首だけ出した宥さん)』
京太郎「……」ウトウト
京太郎「……」メルメル
ピッ
544 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/06/03(火) 01:03:25.61 ID:cpHjmWl6o
◇
♪ユーガッタメール!
====================
From:京太郎
Sub:No Title
本当だ、可愛いですね
====================
憧「」
♪アノブタイヲコロゲマワッテー
====================
From:京太郎
Sub:No Title
いいや、お前が一番だよ
====================
穏乃「?」
♪デモソンナンジャダーメ
====================
From:京太郎くん
Sub:No Title
食いたくなってきた
====================
玄「」
560 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/06/03(火) 22:56:03.81 ID:cpHjmWl6o
◆
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
『今のメール何!?』
京太郎「はあ? 『何って、そのまんまの意味だよ。分かったら今日は寝とけ』」ピッ
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
『今のメール何?』
京太郎「穏乃も……? 『言葉通りだよ。悪いけど寝るわ、おやすみ』」ピッ
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
『ああういまなメンルぬ!?』
京太郎「『ごめんなさい意味が分かりません。もう寝ます、おやすみなさい』」ピッ
京太郎「ふぅ……なんかメールしすぎて疲れたな」
いつも面と向かって話してばかりだから、新鮮ではあったけど。
やっぱり俺は相手の顔を見て話すのが好きだな。
憧の百面相を思い浮かべながら、俺は緩やかに眠りについた。
明日も頑張ろう。
563 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/06/03(火) 23:49:26.81 ID:cpHjmWl6o
◇
憧「(そのまんまの意味って……)」
憧「(あたしのこと、か、可愛いって……)」
憧「(さっきまでケンカしてたのに、そんな……)」
憧「(そんな……)」フニャ
憧「……えへ、えへへ……ばーか……///」ゴロゴロ
◇
穏乃「(言葉通りって……)」
穏乃「(ラーメンの話してたのに、なんで私が一番?)」
穏乃「(私が一番……)」
穏乃「(……嬉しいからなんでもいいや!)」
穏乃「えっへへー♪」パタパタ
◇
玄「(はわわわわわわ……)」
玄「(た、食べたくなってきたって……)」
玄「(おねーちゃんを?……どういう意味で!?)」
玄「は、はわぁーっ!?///」ボフンッ
玄「ど、どうしようおねーちゃん~~~~~」ユッサユッサユッサユッサ
宥「やぁぁ……」zzZ
569 名前:7月12日(金)[saga] 投稿日:2014/06/04(水) 00:28:13.88 ID:TCsJXq4vo
◆
京太郎「ぐがー……」zzZ
♪メールダヨ、チャントミトケヨー
======================
From:■■■■
Sub:こんばんは~
もしかしてもう寝ちゃってるかな
今日は忙しくてメール出来なくてごめんね
須賀くんは遠征どうだった?
私も次期レギュラー目指して頑張ってるよー
月曜が楽しみだね
おやすみなさい
======================
京太郎「ぐごー……」zzZ
【TO BE CONTINUED...】
最終更新:2014年06月04日 18:49