855 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/05/20(火) 22:12:54.19 ID:cParPDjpo
サッサッサッ
京太郎「ふう、境内の掃き掃除って大変だよなー」
京太郎「こんなにだだっ広い敷地を毎日隅々まで綺麗にしろとか……」
京太郎「掃いても掃いても終わらなくて……まったく興奮しちまうぜ!!」
京太郎「(なんて思えるようになった辺り、俺もすっかり馴染んだよな)」
京太郎「(長野の親父、お袋、そしてカピ。お元気ですか)」
京太郎「(なんやかんやで鹿児島に来て早数ヶ月が経つけど、僕は元気です)」
京太郎「(永水の皆が優しく接してくれるので、ホームシックにもならずに済んでいる)」
京太郎「(お姫様、春、そして霞さん……)」
京太郎「(身の回りには―(痴女もいるけど)―おもちもちばかりで、僕の分身も元気です)」
京太郎「(むしろ隙あらばスタンドアップ・THE・ヴァンガードって感じで気が抜けません)」
京太郎「(それでも住めば都の霧島神境、今日もお勤めに励むとしますか)」
京太郎「よっし、掃除再開――」
ザッ
「きょ、京太郎くん……」
857 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/05/20(火) 22:17:27.26 ID:cParPDjpo
京太郎「はい?」クルッ
/| __
{.:| /: :_⌒ヽ
-─……─‐-: : `∧
/: : : : : : : : : : : : : : : : :.\:.
/: : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ:.:.:.ヽ
:' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.,:.:.:ハ
′: :/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :∨:.l
|: : : :i: : l / l!: : : ト、 : : : :ト、 : : : : |:.::.,
|: : : :|: : |' |: : : :|'´\: : |‐-: :}: :|i.:.::.,
|: : : :|\|'⌒ | l: : :| \| ∨: :八:.:.:.,
' : : : |:l __ 乂 : :| ,イ示冬、〉:/ ミ:.:.:.:., 「……」
|l: : : |:l_ ,竹冬、\| .乂:ン / }::| 〉:.:.:.:..
. 八: : :|:l〃乂ン |::|〉/.:.:.:.:.:..`、
\{:|i:ハ " ' u r|::| '.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
|:| 人" __ ,イ_}∧.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、:..\
':} ‘ ′ ...: |八:∧:::|.:.:.:.:.:.:.:.ト、.:.:..
>-<:: / 〉-}/|.:.:.:.:.:.:.:.| \|
/ ∧:: / / \.:.:.:.:.:.:.| }
京太郎「……誰?」
864 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/05/20(火) 22:49:55.93 ID:cParPDjpo
誰?「わ、私ですけど」
京太郎「あーっと……すみません、どこかでお会いしましたか?」
誰?「えぇぇ……」
京太郎「本当にすみません! 貴女のような美人を覚えていないなんて」
誰?「び、美人!?」カァッ
京太郎「おかしいなぁ……こんな美人、一目見たら忘れる筈が――ん?」
誰?「な、なに?」
京太郎「その赤い髪……美しいポニーテール……」ジロジロ
誰?「……っ///」モジモジ
京太郎「貧しい胸……」ジー
誰?「」イラッ
京太郎「………………あっ!? そのもみあげの∞は――巴さん!? まさか巴さんですか!?」
巴「まさかじゃなくても巴です! なんですかその覚え方!? なんですかもみあげの∞って!?」
900 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/05/21(水) 21:40:53.77 ID:f4w/2GtVo
京太郎「いやぁ、だってメガネがないとパッと見じゃ分からな……メガネ!! 巴さん、メガネはどうしたんですかメガネは!?」クワッ
巴「そ、それが今朝から見当たらなくて」
京太郎「大変じゃないですか!」
巴「はい……ここまで来るのも一苦労でした……」
京太郎「そういうことなら早く探さないと。ちょっとその辺見てきますね」
巴「待って、私も行きます。任せっきりには出来ないよ」
京太郎「でも危なくないですか?」
巴「だ、大丈夫。目を凝らせば少しは……あっ!」コケッ
京太郎「巴さん!」バッ
ガシッ
巴「ひぁ!?///」
京太郎「ふぃー、間一髪……そうだ、このまま行きましょうか」
巴「こ、このまま!?」
京太郎「手を繋いでれば転ぶ心配もありませんよね?」
巴「でも京太郎くんと繋がったまま歩くなんて、誰かに見られでもしたら……///」
京太郎「さあ、聞き込みに出発しましょう!」グイグイ
巴「聞き込み!? 積極的に人と接しちゃうじゃないてすか! やだーーーーーーーーーー!!」ズルズル
901 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/05/21(水) 22:01:48.90 ID:f4w/2GtVo
◆
初美「ふぅ~むなるほどなるほど、なるほどですよー」
京太郎「はっちゃん先輩、何か心当たりはありませんか?」
初美「残念ながらさっぱりですよー」
京太郎「そうですか……」
初美「あ、でも一つだけ分かったことがありますよー」
京太郎「なんですか!?」
初美「京太郎と手を繋いでるその子、巴ちゃんだったんですねー」
巴「気付いてなかったの!? 酷いよはっちゃん!」
初美「それははっちゃんじゃなくて壁ですよー」
巴「」ハッ
初美「メガネもなければ巫女服でもない巴ちゃんなんて巴ちゃんとは呼べませんよー」
京太郎「ひでえ」
巴「ほ、他にも特徴ぐらいあるでしょ! このもみあげの∞とか!」
初美「なんですかもみあげの∞って」
904 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/05/21(水) 22:44:23.73 ID:f4w/2GtVo
京太郎「ていうか、そう言えば確かに珍しく制服なんですね巴さん。しかも日曜に」
巴「最初は巫女装束を着ようと思ってたんですけど、箪笥から探し出せなくって……」
京太郎「重症ですね……」
初美「……」
ススス...
京太郎「ん? はっちゃん先輩、何を――」
初美「おりゃーですよー」ペローン
京太郎「ぶほおっ!?」
巴「へ――きゃあああああっ!!?///」
初美「あらあらまあまあですよー。メガネを失くして困ってる巴ちゃんのスカートをめくるなんて、京太郎は本当に最低のクズなのですよー(ゲス顔)」
京太郎「何を言うだぁー!?」
巴「きょ、京太郎くん……///」プルプル
京太郎「と、巴さん! 違います、誤解なんです!」
巴「京太郎くんの……ばかぁー!///」ベチーン
初美「ぶべらっ!?」グハッ
巴「えっ? あっ!? は、はっちゃんごめん!」アセアセ
初美「そ、それははっちゃんじゃなくて床ですよー……」ガクッ
京太郎「ゆ、許された……」ホッ
908 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/05/21(水) 23:26:33.27 ID:f4w/2GtVo
◆
春「……」ポリポリ
京太郎「どうだ春、落ちてたのを拾ったとか、そういう話を聞いたりとかしてないか?」
春「残念ながら……」ポリポリ
京太郎「そうか……」
春「……強いて言うなら」ポリポリ
京太郎「どうした!?」
春「京太郎と手を繋いでる人、巴ちゃんだったんだ……」ポリポリ
巴「はるるも気付いてなかったんだ!? 酷いじゃない!」
春「それガルルセイバー……」ポリポリ
巴「」ハッ
京太郎「なんでそんなん置いてんだ……つーか気付いてやれよ……」
春「無理……普段とイメージが違いすぎる……」ポリポリ
巴「またメガネと巫女装束しか特徴がないって話……?」ドヨーン
春「そうじゃなくて」ポリポリ
巴「え?」
春「私の知ってる巴ちゃんは、男の人と手を繋いで歩くタイプじゃないから……」ポリポリ
巴「あっ……///」カァッ
924 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/05/22(木) 00:22:58.40 ID:behRp3Fno
春「しかもそんなに嬉しそうに……」ポリポリ
巴「ち、違っ……嬉しそうになんてしてないでしょ!?///」
京太郎「そうだぞ春、巴さんは俺のデカくてゴツいばっかりの手と指まで絡めたって動揺なんてこれっぽっちも」
巴「ちょっと静かにしててください!///」
京太郎「ウィッス」
春「そういうのはよそでやってくれないかな……あっ」ポリッ
京太郎「春?」
巴「どうしました?」
春「黒糖が……切れた……」
「「!!」」
春「ねぇ、黒糖持ってない? 持ってるでしょ? 黒糖置いてってよ、ねぇ!!」ガタガタ
京太郎「やべーぞ妖怪黒糖おいてけだ! 逃げましょう巴さん!」ヒョイッ
巴「きゃあああっ!? きょきょきょ、京太郎くんっ!?」
京太郎「喋ると舌噛みますよ!!」ドヒューン
イヤアアアアアアアアアア...
春「黒糖……黒……と……うっ」ガクッ
928 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/05/22(木) 00:55:36.45 ID:behRp3Fno
◆
キキーッ
京太郎「撒いたか……間一髪だったな」キリッ
巴「ぁの、いいから、下ろして……///」プシュー
京太郎「え? あ、すみません」ストン
巴「はぁぁ……お姫様抱っこなんて生まれて初めて……///」ポー
京太郎「巴さん軽いから助かりました」
巴「そ、そう? そう言ってもらえると……」エヘヘ
京太郎「胸があったら即死でした、ありがとうございます!」
巴「………………」ベシッベシッ
京太郎「痛いです痛いです」
巴「いいですか京太郎くん! これからは女性に対してみだりにお姫様抱っこなんて――」
小蒔「呼びました?」ヒョコッ
巴「姫様!?」
京太郎「本物のお姫様来ちゃった!」
929 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/05/22(木) 01:46:29.91 ID:behRp3Fno
小蒔「楽しそうな話し声が聞こえたので来ちゃいました」エヘヘ
京太郎「(かわいい)」
巴「(かわいい)」
小蒔「それで、何のお話をされていたんですか?」
京太郎「あ、そうだ。お姫様、巴さんのメガネ知りませんか?」
小蒔「」ブワッッッッッ
「「!!?」」
小蒔「め、めが、めめめ、めがね、ですかっ」ダラダラ
巴「すごい汗ですよ姫様!」
京太郎「隠し事が下手すぎる!」
小蒔「ご……ごめんなさいっ!」ワッ
巴「そんな……まさか姫様が……」
京太郎「……詳しく聞かせてもらえますか?」
小蒔「はい……」
930 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/05/22(木) 02:29:12.65 ID:behRp3Fno
小蒔「あれは夜明け頃のことでした……」
小蒔「前日にお昼寝をしてしまっていた私は、いつもよりずっと早く目が覚めてしまいました」
小蒔「それで、ふと思い立って部屋を出たんです」
小蒔「それから、霞ちゃん、はっちゃん、春、そして巴ちゃんの部屋を回りました」
小蒔「みんなの寝顔が見たくなったんです。なんとなく」
小蒔「最後に訪ねた巴ちゃんの部屋で、枕元にあるメガネを見つけました」
小蒔「巴ちゃんがいつも掛けているそれがぽつんと置いてあって、なんだか不思議な感じでした」
小蒔「だから……魔が差して……」
小蒔「巴ちゃんのメガネを無断で掛けてしまったんです! ごめんなさい!」
小蒔「でも、そしたらすごく度が強くて、クラクラしてしまって」
小蒔「そうやってあっちこっちへフラフラしてる内に頭がぼんやりしてきて……」
小蒔「次に気が付いた時は自分の部屋のお布団に寝ていて、メガネもありませんでした」
小蒔「だから巴ちゃんのメガネがなくなったのは私のせいなんです! 本当にごめんなさい!」
京太郎「(かわいい)」
巴「(かわいい)」
932 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/05/22(木) 02:44:37.16 ID:behRp3Fno
小蒔「許してくれとは言いません。この罪は一生をかけて償っていくつもりです……」グスッ
巴「な、泣かないでください姫様。別に怒ってませんから」
小蒔「でも……」
京太郎「大丈夫です、メガネはきっと見つかりますよ」
小蒔「本当ですか……?」
京太郎「はい。お姫様のおかげで、大体の見当はつきました」
小蒔「わ、私のおかげ……ですか?」
京太郎「ええ。ですから、むしろお礼を言わせてください」
小蒔「そんな……とても受け取れません!」
京太郎「じゃあ、せめてもう巴さんに謝らないでください。巴さんも望んでませんから」
巴「京太郎くんの言う通りですよ。姫様、どうかお気になさらないでください」
小蒔「……はい。ありがとうございます、お二人とも」ニコ
京太郎「(かわいい)」
巴「(かわいい)」
935 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/05/22(木) 03:10:52.59 ID:behRp3Fno
テクテクテク...
巴「やっぱり京太郎くんは頼りになりますね」
京太郎「そうですか?」
巴「そうですよ。こうして私を助けてくれてますし、さっきの姫様へのフォローもお見事でした」
京太郎「いやぁ、人として……男として当然のことをしたまでです」キリッ
巴「……ほんとに男の子なんですね」
京太郎「え、はい、ご覧の通り。須賀京子ちゃんにでも見えますか?」
巴「そ、そういう意味じゃありません! なんていうか、頼り甲斐があるなぁって……」
京太郎「光栄です。そう言えば、どうして俺を頼ってくれたんですか?」
巴「え゛……と、それはですね……その……」ゴニョゴニョ
京太郎「?」
巴「……京太郎くん、金髪で背も高くて目立つから、見失わずに済みますし……」
京太郎「あー。目印として最適だったわけですね、分かります」
巴「それだけじゃないよ! 誰かの力を借りなきゃって思った時、一番最初に浮かんだのが京太郎くんの顔だったんです!」
京太郎「お、おぉう……そうストレートに言われると、なんか照れますね……」ポリポリ
巴「………………私も………………///」カァーッ
京太郎「……さ、さーて! 次行きましょう次! 俺の推理が正しければ、きっと次が――」
936 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/05/22(木) 03:19:52.51 ID:behRp3Fno
◆
霞「ああ、巴ちゃんのメガネでしょう? 確かに私が預かっているわ」
巴「本当ですか!?」
京太郎「やっぱり霞さんでしたか」
霞「何故か小蒔ちゃんが掛けて寝ていたから、危なくないよう私が預かっておいたの」
京太郎「それで返すのを忘れていた……と」
霞「ごめんなさいね、巴ちゃん」
巴「いえ、メガネさえ見つかれば全然。それで、メガネは?」
霞「ちょっと待ってね。ん、しょ……っ」モゾッ
「「!?」」ブフォッ
京太郎「む、胸の谷間に仕舞って……!? うぉお、すげえ迫力……!」ゴクッ
巴「ハッ!? きょ、京太郎くん! 見てはいけません!」バッ
京太郎「殺生でごわす!!」
霞「あらあら、はしたないところを見せちゃったかしら。でも、もう見つけたから――」スッ
メガネだったもの『』パリーン
霞「」
京太郎「」
巴「」
937 名前:某月某日(EX)[saga] 投稿日:2014/05/22(木) 03:21:09.92 ID:behRp3Fno
霞「あらあらまあまあ……」
京太郎「これ……まさか乳圧で……」
巴「にわかには信じられませんけど……」
霞「……」
京太郎「……」
巴「……」
京太郎「……巴さん」
巴「……なに?」
京太郎「……メガネ、買いに行きましょうか」
巴「……うん」
巴「(……デートだぁ)」フニャ
【THE END】
最終更新:2014年05月22日 22:46